<5月11日>(土)
○昨日は自動車会社の決算が出ました。案の定、ですけどトヨタの決算がすごい。営業利益は1兆円越えで1兆3200億円。純利益の9621億円は前期比3倍なのだそうだ。なおかつ、想定為替レートは1ドル90円と保守的に見積もっているので、このまま為替が100円で推移すると、来期はさらに10円分(4000億円相当)の上積みがあることになる。
○その一方で、日産は減益になっている。この対比が面白い。トヨタは、リーマンショック後も「国内300万台生産」を維持して、国内販売の損失を我慢してきた。日産は対照的に、東南アジアなどで海外生産を増やしてきた。結果として円安になってみたら、トヨタは急激に利益が出るようになり、日産にはあまりメリットがない、ということになった。今季のトヨタは、国内販売も久々に黒字になったのだそうだ。ということで、株価がついに6000円台に乗せた。
○これはどっちが良い、どっちが正しい、という問題ではない。あのまま円高が続いていれば、日産が正しくてトヨタが間違っていた、ということになっただろう。とはいえ、外部環境が変わると、それまでの強みが弱みに転じたり、短所が長所に変わるということが得てして起きる。この辺が企業経営の難しく、また面白いところである。とにかく結果を出すことが大事なのであって、理屈は後からついてくる。
○同様に、ついに首位巨人に1.5ゲーム差に迫った阪神タイガースは、いったいどこが良くなったか。衆目の一致するところ、先発陣の踏ん張りにある。メッセンジャーとスタンリッジに安定感があり、先発に転じた榎田がそこそこやっていて、高卒ルーキー藤浪がローテーションの一角に入り、しかも能見が帰ってきてホームランまで打った。これで岩田が帰ってくるといよいよすごいのだが、それが本題ではない。
○なぜ先発が良くなったかというと、抑えのAFKが頼りないからである。安藤と福原と久保に後を任せたら、自分の勝利投手の権利が消えてしまうかもしれない。だから昨日なんか、メッセンジャーが142球で完投してしまった(ついでに3点タイムリーも打った)。後ろにJFKが居た頃とは全く逆のパターンができあがりつつある。
○今までは中継ぎや抑えを充実させる、というのが勝利への方程式と考えられていた。先発は6回までゲームを作ればよし。後は藤川たちがいるんだから任せよう、というのが昔の阪神。今は先発ができれば完投して、控えの連中を休ませてやろう、のパターンができつつある。これまた、どっちが正しいというものではない。野球なんだから、要は勝ちゃあいいのである。
○などと理屈をこねてみましたが、正直なところ、あたしゃタイガースが強ければそれでいいんです。失礼いたしました。
<5月12日>(日)
○これから2週間の間に、長野県諏訪市、富山県高岡市、新潟県柏崎市、京都府宮津市を訪ねることになっている。全部県庁所在地ではない、というところがわれながらすばらしい。講演旅行ばっかりなので、時間的にはタイトなんですが、いろいろ見聞させてもらおうと思います。
○ちなみに今年になってから訪れたのは以下の都市です。三重県津市(1月)、青森県八戸市、大阪府大阪市(2月)、和歌山県和歌山市、静岡県静岡市、愛知県名古屋市(3月)、大阪府大阪市、山口県周南市、岩国市、青森県青森市(4月)。どこへ行っても「アベノミクスと日本経済」みたいな話になるのですが、地方都市はそれほど景気が良くなっているわけではなく、その辺のギャップをリサーチしてくることが重要な仕事になります。
○とりあえず明日は諏訪市なんですが、10年前にも行ったことがある。その際の顛末は2003年10月16日の当欄に書いてある。塩羊羹をめぐる小さな冒険をしたんですよねえ。こんな風に自分の書いたものが残っていると、10年前のことでもちゃんと思い出すことができる。ありがたい。
○その一方で、こんな記録が残っているのは、このHPが過去10年間、技術的にはまったく進化しておらず、内容だけ書き続けて今日に至っているからであろう。このネット空間では、稀有の存在なんじゃないだろうか。その代わり、いまだにレスも付けられないし、SNSにも対応してないんですけどね。
<5月13日>(月)
○昨日あんなことを書いたら、主催者の信濃毎日新聞さんが塩羊羹を用意して待っておられました。いやー、催促しちゃったみたいで、申し訳ございません。
○でも、今日の会合は上諏訪で、塩羊羹は下諏訪に行かないと売っていないので、これは勿怪の幸いというもの。講演会が済んでから、上諏訪駅で足湯につかりながら、思わず当地ご出身の伊藤洋一さんに電話しちゃいました。
「伊藤さーん、今上諏訪に居て、塩羊羹もらっちゃったんですけど、お裾分けしましょうか?」
「うーん、残念、俺いま新幹線の中で移動中なんだよ」
○そうか、伊藤さんは火曜日に大阪でレギュラー番組を持っていたんだっけ。残念でございました。
○ということで、塩羊羹は今宵の会食のデザートと化したのでありました。もちろん好評でございましたとも。ご馳走様でした。
<5月14日>(火)
○産経新聞「正論」に寄稿。我ながら最近はこんなことばっかり書いております。
●20分で語れる骨太の成長戦略を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130515/plc13051503350003-n1.htm
○第8回目の産業競争力会議が開かれて、そろそろ「まとめ」に入りつつあるようなんですが、果たしてどんなものが出てくるのでしょうか。
<5月15日>(水)
いーやっさー、あ、いーやっさー。いーやっさー、いーやっさー。
○ちょっと聞きなれないお囃子です。これは富山県高岡市で、本日行われている「伏木曳山祭り」通称けんか山の掛け声。通りに人が集まって、この声が飛び交います。たまたま今日、5月15日は曳山祭りの日で、その日にたまたま北日本新聞社の高岡支部情報研究会の講師に呼ばれたのであります。
(先日も青森県八戸市に行ったその日が「えんぶり祭り」だったんですが、今回も全くの偶然でした。例年5月15日がお祭りなんだそうです。まことにラッキーでありました)
○伏木は港町です。男たちの気性は荒いです。といいつつ、女性たちも山車を引きます。粋でいなせです。富山の祭りというと、「越中おわら風の盆」のように、優雅で静かで、適度に鄙びた感じがあるんじゃないかと思うのですが、曳山祭りには岸和田のだんじり祭りのような猛々しいところがあります。町内ごとに分かれて、山車を繰り出します。
○夜になると、提灯を山ほどつけて「かっちゃ」が始まります。その名の通り、山車と山車とが派手にぶつかり合うのです。なにしろ山車の重さは8トンから。ぶつかり合うと、ズシーンと腹にこたえるような音がします。ちなみに、以下はウィキペディアに載っていた解説から。
夜となり提灯山に灯がともり男達の興奮と熱気が最高潮に達しようとした頃、かっちゃが始まる。山鹿流陣太鼓の囃子が鳴る中、50mほど距離を置いた各町の8t程ある山車に繋がれた縄を走りながら引き、付長手の先端どおし、時には横に少しずらし付長手を支える木にぶつけあう。何度となくぶつかり合い、各町の責任者である「総代」同士が長手の上に立ち、お互いに納得し握手を交わすまで多い時は10回以上続けられる。その際に観客から『もっとやれ!』等とヤジが飛ぶのも風物詩の一つである。
ドォーンという大きな音と共に地響きが起き、提灯が大きく揺れ、大歓声が湧き立つ。時に後輪さえも浮くさまは、勇壮かつ港町の男達の心意気が溢れ祭りは最高潮に達する。けんかやまといわれることや、総代同士が長手の上で、まだまだやる、いや、やめておこうと話しているそぶりからも、『ケンカ』のイメージが強く、勝ち負けがあるように思われがちだが、現在は勝敗制度はない。
○いやはや、面白かったでありますぞ。こんな祭りを見ながら、地元のお酒をいただくのがまた結構であります。名前が「勝駒」ってのがいいですな。将棋ファン、および競馬ファンは括目すべし。なにしろ「駒が勝つ」んですぞ。とりあえず不肖かんべえは、これでもう今週末のオークスはとったつもりになってしまっております。やっぱりクロフネサプライズですかねえ。
<5月16日>(木)
○富山に来たついでに、富山県立近代美術館へ。企画展の「ロマンの系譜 怪奇幻想玉手箱」という看板に惹かれたもので。ついでに言うと、空港に行く途中にあるので、時間調整に好適でした。
○「シュルレアリスムの源流はゴヤにあり」というのは、ちょっとこじつけっぽい気がしたけど、着眼点としてはアリでしょう。ポール・デルボーの「夜汽車」がみられるのと、ドラクロアにムンクにピカソにダリも数点ずつ展示していて、コストパフォーマンスはよろしいかもしれません。さらにこの美術館は、20世紀絵画の流れが売り物なので、「なるほどね」という企画でもあります。
○この美術館は1981年にオープンしたのですが、当時大学生だったワタクシめが夏休みにアルバイトをしていた場所でもあります。久しぶりだったので、懐かしかったですぞ。当時に比べると、常設展示のスペースが増えていて、展示物も増えておりましたな。30年もたつと、いろんな形で進化するものです。地方都市の美術館としては、そこそこユニークな存在になっているんじゃないでしょうか。ちょっとひいき目かもしれませんが、一応念のため。
<5月17日>(金)
○今日のお昼は中国から陳先生が来訪。日中経済のいろんなことについて情報交換するも、抱腹絶倒だったのが上海におけるマンション理事会の奮戦記。面白すぎて、ここではちょっと書けません。ただしそこで行われている人間関係の葛藤は、基本的にウチの町内会のあーでもない、こーでもないという話と重なっているように思える。日中遠からず、を実感する瞬間。
○午後は中央公論新社にて座談会の収録。前回は「小幡績vs飯田泰之」のアベノミクス対談でしたが、今回はその続編。またもお友達ベースで鼎談をやっております。アベノミクスはもう始まっちゃったので、今更反対しても遅い。リフレ消極派のエコノミストとしては、実験の推移を見守るのみである。だったら成功した場合と失敗した場合、どんな心構えが必要か、という趣向で議論しました。来月発売号にこうご期待、と言っておこう。
○たまたまその直後にオバゼキ先生の新著、『ハイブリット・バブル』を落掌。これが面白い。国債市場って、そういうことになっていたのか、などと教わること多し。読んでいる最中に、知り合いの弁護士から突然電話。「僕はアベノミクス反対派なんだけど、だれか反対している人を知らないか」。思わず、そのままこの本をご紹介してしまいました。
○などと変な友人たちの有難味を感じた一日でしたが、いちばん驚いたのはこのニュースですな。
●知花くらら 上杉隆氏と大人愛 14歳年上「気にならない」
2006年のミス・ユニバース世界大会2位で、モデルでタレントの知花くらら(31)が、元ジャーナリストで「自由報道協会」代表の上杉隆氏(45)と交際していることが16日、分かった。交際期間は約1年半。周囲によると、共通の知人を介して知り合い、その後デートを重ねて交際に発展したという。仲の良い友人らには交際を報告している。14歳の年の差はあるものの、互いに「気にならない」と周囲に話している。
○脱力さんとは結構長い付き合いになりますが、「14歳年上が気にならない」ったって、オヤジ世代としては気になりますですよ! ここで「うらやましい」となるか、「許せん」となるか、はたまた「ホモだという噂は否定されたのね。ああ、安心した」となるかは微妙なところがありますけれども。とりあえずご本人は否定しているらしいですが、傍証はありますし、ツィッターは既に炎上しているとのことで、そんなの知ったことじゃないですわな。
○ということで、面白い友人に恵まれた幸福を噛みしめた一日でした。
<5月18日>(土)
○ああっ、ここで紹介しないと日曜日に間に合わない!・・・と今朝になって思い出した。
●外国人投資家は日本株を買い増すのか(東洋経済ONLINE)
http://toyokeizai.net/articles/-/14002
○外国人投資家が訪日ラッシュである、というお話です。
○「競馬好きエコノミストの市場深読み劇場」、なかなかに好評なようで、アクセス数も伸びているそうです。これって競馬にからめているので、普段だったら書けないような話をずずずーっと書けてしまうというのがミソなんですが、問題は日曜日のレースに合わせなきゃいけないので、木曜日締め切りの金曜日アップとなります。で、ワシの場合は得てして木曜日の夜遅くになってから原稿を送り、東洋経済のFさんを苦しめることになってしまうのです。ごめんなさい、ごめんなさい。次からもっと早く提出します(以下、10回繰り返す)。
○競馬の予想の方は、当初、著者3人とも外しまくっていたのですが、最近は少し当たるようになってきて、ぐっちーさんも先週は「ヴィルシーナ単勝一本勝負であります!!」と見事に当てている。しかるに明日のオークスも極めて難解なレース。正直、あんまり自信がありません。ここだけはむしろ、日曜朝の上海馬券王先生を信頼した方が良いかと存じます。
<5月19日>(日)
○今週のThe Economist誌はスーパーマンになっている安倍首相が表紙である。
"Is it a bird? Is it
a plane? No... IT'S JAPAN!"
Abenomics, nationalism and the challenge to China
○まあ、読まなくてもだいたい中身は見当がつきますわなあ。
○ところでこの雑誌には、巻末に経済データのページがある。そこで各国の株式インデックスの年初来水準(現地通貨建てとドル建て)が書いてある。今週号のデータを引き出してみたのが下記である。
| local currency | $ terms | ||
| Japan | Nikkei225 | 45.2 | 23.1 |
| United States | DJIA | 16.6 | 16.6 |
| Britain | FTSE100 | 13.5 | 6.5 |
| Australia | All Ord. | 10.9 | 5.5 |
| Euro Area | FTSE Euro 100 | 7.7 | 6.0 |
| Canada | S&P TSX | 0.3 | -1.7 |
| Korea | KOSPI | -1.3 | -4.5 |
| China | SSEA | -2.0 | -0.6 |
| India | BSE | 4.0 | 4.1 |
| Russia | RTS | -6.6 | -8.9 |
| Brazil | BVSP | -9.9 | -7.9 |
○こうしてみると、日本の株高は文字通り一頭地を抜いている。それから米英豪が続き、意外なことに欧州も上がっている。でもって、BRICsがあまりよろしくない。先進国が良くて新興国が悪い、という図式になっている。溜池通信で何度も書いている通り、今年は「BRICs台頭の10年が終わり、先進国経済が再評価される年」なのだと思う。
○そんな中でも、日本が先導役になっているように見える。まことに頼もしい。一方で、日本は中国、韓国との関係で苦労しているし、安倍さんは憲法改正もやりたいようだし、都知事さんや大阪市長さんの「不規則発言」も聞こえてくる。「アイツも、あれさえなければなあ」と思われているんじゃないだろうか。難しいところであります。
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編集者敬白
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by Kanbei (Tatsuhiko
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