<7月1日>(水)
〇久々に国内便を使う出張である。ということで浜松町の駅に行く。はて、モノレール乗り場が新しくなっている。とはいうものの、まだまだ未完成であって、いったいいつまで工事をしておるのか。貿易センタービルはいつになったら完成するのだろう?
〇羽田空港に到着すると、乗り場が48番ゲートになっているのでガックリ来る。どういう罰ゲームかよ、というくらいに遠い。以前はよく地下の100番台ゲートに回されて、バスで移動というときにガックリ来たものだが、昨今はバスの運転手さんを手当てするのも大変だと見えて、乗客が歩かなければならないのである。
〇で、ところで今日のワシはどこへ行くのだったっけ、というと行先は宮崎である。いかんのう、これから向かう場所について、何の予習もしていないではないか。宮崎に行くのは確か3回目だったか4回目だったか。そうでなくても地方出張が多いうえに、毎週の大阪通いがある。とにかくしょっちゅう新幹線に乗っている気がするぞ。
〇などと、ぼやいているうちに宮崎ブーゲンビリア空港に到着する。そこからタクシーに乗って、フェニックスが並ぶ道を一路宮崎市へ。そうだ、この広い道路、広い空、南国風の樹木に明るい人たち。これぞ宮崎。予習してなくても、だんだん思い出してくるのである。
〇ところで皆さん、春季キャンプで宮崎県を訪れる球団がいくつあるか、ご存じでしょうか。読売巨人軍の青島キャンプは有名でしょうが、答えはこちらをご参照。なんと二軍を入れると、半分以上の球団が宮崎に来ているのである。ちなみにソフトバンクホークスは、去年優勝したからちゃんと1月に宮崎市内でパレードをやっている。こんなに野球チームが身近な県は、ほかにないのではあるまいか。
〇タクシー運転手さん曰く。「王さん、長嶋さんが監督をやっていた頃は、キャンプを見に来る人が3万人、4万人。ヘタな試合よりも多かったですよ」。なるほど、そういうものであったか。しかも野球だけじゃなくて、最近はサッカーやラグビーチームまでキャンプにやってくる。キャンプ地と言えば、最近は沖縄も多いですけれども、あそこはビミョーに雨が多かったり、移動に時間がかかったりするし、物価の安さも考えると宮崎の優位性は揺るがないのであります。
〇ということで、お昼はその昔、長嶋さんがよく通ったという釜揚げうどん屋さんへ。並800円にお稲荷さん100円なり。案の定、当地を訪れた野球選手の写真が一杯飾ってあるお店でありました。
〇さて、仕事であります。会場は宮崎観光ホテルで、大淀川のすぐ近くにある。そうそう、最初に宮崎に来た時に泊まったのはここだった。20年以上前のことなんだけど、入った温泉の風景まで思い出してしまう。人間の記憶って不思議です。球団ではオリックスさまご一行の定宿です。
〇考えてみれば、ここまで来て日帰りというのはいかんです。講演会と懇親会を終えて、午後7時に空港に向かうのですが、空が明るいことに感動を覚えましたな。ここは南国。
<7月2日>(木)
〇今日の午前中は良く降りましたな。もうこれぞ「梅雨」という感じ。もちろん歓迎するものではありませぬが、それでもこれで首都圏の水ガメは満たされるだろうし、気温も低めになるのは良いことです。ここ数年、この時期はもう暑い!という年が続いておりましたからなあ。
〇今年は猛暑を欧州が引き受けてくれたようで、エアコンのないお土地柄だけに大変だそうです。ありがたいことに日本には、エアコンもあればアイスコーヒーもある。これがなかったらこの季節は過ごせません。そうね、後は水羊羹があるといいですなあ。
〇この年になって、不意に感じるのは「紫陽花っていいな」ということであります。ウチの近所にはアジサイを植えている家が多くて、雨に濡れている風情はなかなかに良いものです。そしてまた、アジサイは花言葉が「浮気」であるように、同じ木でもどんどん色が変わる。よく見ると、青っぽいものもあれば赤っぽいものもある。この変化が楽しいのですよね。
〇まあ、なにしろ挿し木で勝手に育つという生命力の強い植物であります。園芸の初心者でも簡単に育てられるから、あちこちで見かけるのでありましょう。梅雨こそは生命の源、と考えればいいのかもしれませぬ。
<7月3日>(金)
〇今月の日経新聞「私の履歴書」は谷内正太郎さんである。のっけから外務省に入省して「燃えるような愛国心をもって勉強せよ!」という話である。でもって7月2日は日中関係で、本日3日は日韓関係である。ディープな話が続いて、とっても重い。今月は毎朝、居住まいを正して日経新聞を読まなければなりません。
〇日本経済新聞はもちろんよく考えていて、「私の履歴書」に登場する人にもいろいろあるのです。だって2月にお願いする人は、明らかにほかの月よりも回数が少ないですからね。7月にお願いする人は、31日まで書いてもらえる(ただし新聞休刊日が1回ある)。つまり今月お願いする人は、満を持しての登場ということになるのです。この後、どんな話が飛び出すか、楽しみにしたいと思います。
〇谷内さんは、富山中部高校の大先輩である。たぶん明日の回くらいでは、いきなり意表をついて立山連峰がどうのこうのという話が飛び出して、少年期の話になるんじゃないかなあ。もっともその先には、若い頃に師事したという若泉敬氏の話が出てくるかもしれません。日本外交史における重要証言が飛び出すことに期待しております。
〇でまあ、どういう計らいであるのか、本日は母校のお招きを受けて、富山県民会館ホールにて現役の高校生700人くらいを相手に一席ぶたなければならないことになりました。今日はちょうど期末試験が終わったタイミングだったのね。中には睡眠不足の人もいたことでしょう。よいよい、寝ていて構わんのだよ。試験の後は、ワシも覚えがあるもん。
〇で、何を話せばいいかといろいろ考えて、「『好き』と出会うこと」というテーマにしました。人生、いろんな目的がある。谷内さんのように、国家に尽くすことは文句なしに素晴らしい。世の中を少しでも良くしたい、という思いも貴重です。もっと下世話なことでも構わない。有名になりたいとか、お金持ちになりたいでも全然構わない。
〇いろんな目的がある中で、自分が心から好きだと思えることを仕事にする以上の喜びはないと思います。だって自分が好きなことは、どんな苦労も苦労とは感じないから。それで周囲から評価されて、ついでにおカネになったりすればまことに儲けもの。ワシなんぞは自分が好きなことばっかりやってきたから、本当にラッキーな人生を歩んできました。お陰で大きな病気をすることもなかったし、メンタルを病んだりすることもなかった。本当にありがたいことです。
〇ただし自分が何を「好き」になるのかは意外と難しい。それは自分自身がどんどん変化していくから。若いときの「好き」が、死ぬまで続くかどうかはわからなんのです。みんながみんな、大谷翔平になれるわけではないですから。だから試行錯誤しながら、自分が何を好きになるかを探していくほかはない。
〇てなことを1時間弱で話し終えたら、現役の生徒さんたちからいっぱい質問をもらいました。いいですねえ。高校生が、大人をなめている感じが特にうれしかったです。それでこそわが後輩たち。頼もしいなあ、と感じましたです。
〇ビックリしたんですけれども、明日からアメリカに行ってホームステイする、という生徒さんたちがいるのですね。OB会の尽力や、県からの支援もあって、そういうプログラムが組まれているとのこと。いいですなあ。がんばれよお、と伝えたいと思います。
<7月4日>(土)
〇アメリカの250回目の独立記念日であります。こんな駄文を寄稿いたしました。
●アメリカ版「七人の侍」になるのか?これから上院共和党の「無敵の七人」がトランプ政権を揺さぶるかもしれない
〇米上院に「YOLO議員団」なるものができている、というお話を、溜池通信風に仕上げたものであります。
〇さて、アメリカウォッチャー業界では、最近、訪日したパトリック・デニーン氏の言動が注目を集めております。
●日経新聞:トランプ後は「築く」政治へ パトリック・デニーン氏 (7月1日)by
秋田浩之氏
●朝日新聞:米国の自由主義は失敗した ポスト・リベラルの支柱が語る保守の行方 (7月3日)
by 池田伸壹氏
〇朝日の方の記事で、宇野重規教授がデニーン氏を鎌倉に案内したときのことが紹介されている。
妻と一緒に視察した小学校の給食に最も強烈な印象を受けました。それは私の国のカフェテリアとは全く違うものでした。幼い子どもたちが自分たちの教室で白いエプロンをつけて、同級生のためにチキンカレーを盛りつけて配膳し、全員に行き渡るまで静かに待ち、声をそろえて感謝の言葉を発する。リベラルな個人主義ではなく、義務や奉仕、相互の尊敬、そして共同体がそこには息づいていました。まさに文字どおり『民主主義の小学校』であり、私はそこに確かな『過去の現存』を見たのです」
〇アメリカのリベラリズムは失敗だった、というのが昨今の「右派」の認識でありますが、そうではない理想が日本の学校給食の中に残っていた、という。池田記者が鋭く「トックビルが旅した頃のアメリカのように?」と突っ込んで、「私は実在する日本の小学校に、これからのポスト・リベラリズムの可能性を感じました」というコメントを引き出している。
〇上は、「米国の新右翼は、何かというと日本社会を理想化する」という好例じゃないかと思います。まあ、われわれからしてみれば、学校給食というのはいろいろ面倒くさいことも多くて、「コミュニタリアン社会って、結構息苦しいんですよぉ」と言いたくなるところです。要するに、社会はある程度の「しがらみ」をキープしておいた方がいい、みたいな話だと思いますが、さても昨今のアメリカは難儀なのであります。
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編集者敬白
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