●かんべえの不規則発言



2018年8月 






<8月12日>(日)

○富山市で高校の同窓会。5時半に居酒屋で1次会スタート。14人。その後、カクテルバーで2次会、餃子で3次会、終了ほぼ深夜12時。もう完全に飲み過ぎ、食べ過ぎ。それでも最後まで11人も残っていた。元気なものようのう、というか、元気な人間だけが集まっているのやもしれぬ。

○テレビでは100回目の高校野球をやっているが、自分たちがあの年頃であったのは1970年代後半のことである。今ではそろそろ会社のことや子どもの教育はどうでもよくなり、病気自慢やら、介護から墓などの心配事が話題の中心になる。さらに夜が更けるにつれて、昔の記憶がよみがえってくるから不思議である。

○それにしても、3つの会合の割り勘が6000円、2500円、3000円くらい(だったかな?記憶不明瞭)で、そのまま歩いて家まで帰ってこられるのだから、富山の街はありがたいものである。気温も27度くらいで、連日の猛暑を体験した後ではわりと過ごしやすいです。


<8月13日>(月)

○去年オープンして、まだ行っていなかった富山県美術館へ。

○タダで入れる屋上スペース「オノマトペの屋上」は、立山連峰から神通川までを一望できる好スポット。環水公園も真下に見えます。もっとも今日は雨で景色が曇っていましたが。今後は「富山市の風景」は、呉羽山ではなくここで撮ることになるでしょうな。

○企画展の「世界ポスタートリエンナーレ・トヤマ2018」はえらいボリュームでした。なにしろ今年で12回目。つまり3x12=36年。富山県立近代美術館ができた当初からの企画でありますから、えらい月日が流れたものです。そういえば近代美術館がオープンした直後に、ワシは夏休みにアルバイトをしておったのだ。

○そういう過去があるもので、この美術館の収蔵品のことはだいたい知っておるのだが、常設展(コレクション展)はずいぶんと規模を縮小しておりましたな。本当はもっといろいろ持っているのである。それを以前の近代美術館では、「20世紀、美術の流れ」としてコレクションをまとめて紹介していた。今はいろいろ細かなテーマに分けて小出しにしている。スペースの問題があるからでしょうな。関係者のご苦労がしのばれます。

○富山県美術館の収蔵品は結構豊富でありまして、これに比べれば金沢の21世紀美術館なんぞ全然たいしたことはありません。何しろ富山県は1970年代から美術品を買ってますから、コレクションの中には今じゃとても入手できないものが含まれております。と言っても、知られていないんだろうなあ。思うに美術館は本来は収蔵品(コンテンツ)で勝負すべきものでありまして、建物(プラットフォーム)で勝負しようなどという昨今の時流は嘆かわしいものであります。

○ともあれ、富山駅からほど遠くないところに観光スポットができたのであるから、これで「2時間だけあるんだけど、何を見たらいい?」という観光ニーズには応えられるようになった。「1時間だけあるんだけど・・・」という人は、環水公園のスタバをご紹介すればよい。なにしろ富山県の観光資源は、非常に高い確率で県境にあるものでして(立山黒部アルペンルート、八尾おわら、五箇山の合掌造り)。

○他方で富山の県民性を考えると、こういう純粋な美術品よりも、ガラス工芸みたいに実用性のあるアートの方が地場には適しているのかもしれない。富山市でガラスをつくられ始めたのは、薬の瓶が必要だったからだそうです。つまりは年季が入っている。美しいだけではなくて、ちゃんと実用的でもなきゃいけない、というのはまことに富山的な発想だと思います。


<8月14日>(火)

○この週末からのトルコ・リラの暴落に関する論点整理。


<短期的な見通し>=経済学

*夏場に為替の大幅な変動が起きるのはよくある話。まして米ドルの利上げ局面で、新興国通貨、特にファンダメンタルズに問題のあるトルコやアルゼンチンの通貨が売られるのは何の不思議もない。

*6月に再選されたばかりのエルドアン大統領が、まともな経済担当相の首を切って娘婿を指名したり、「金利を上げると物価が上がる」などとアホなことを言っている。投機筋から見れば、おいしいカモネギということになる。

*当分は買い方のロスカットが続くので、通貨売りはなかなか止まらない。でも、落ちるところまで落ちたら止まる。インフレで国民生活は大変なことになるが、ここは我慢するしかないですなあ。

*ちなみにトルコへの投融資はスペインの銀行が多いらしい。どんな影響が出るのか、欧州経済にお気をつけなさいまし。ちなみに邦銀が受ける向こう傷は、規模から言ってたいしたことはないみたい。

*逆に個人投資家(いわゆるミセス・ワタナベ)がトルコ・リラにFX投資しているようですね。あの人たちは日本では数少ないリスクテイカーで、逆張りが大好きと来ている。皆さん、自己責任原則でお願いしますよ。


<中期的な見通し>=政治学

*この問題に火をつけたのは、良くある話でまたしてもトランプ大統領。トルコ国内でテロリスト容疑を受けているアンドリュー・ブランソン師を開放せよと迫っている。これは国内の福音派対策(中間選挙狙い)。

*逆にエルドアン大統領は「2016年8月のクーデター未遂事件の黒幕、アメリカ亡命中のギュレン師をトルコに戻せ」と言っている。しかるにこれは暖簾に腕押し。トルコ側はますます反米に走るだろう。

*そうなると次に何が起こるか。トルコはNATO加盟国なのに、ロシアに接近するだろう。あるいはロシアとイランとトルコの間で、「トランプ被害者連合」みたいなものが出来上がるのではないか。

*こういう時の常として、アメリカ側はまったくトルコへの関心が盛り上がらない。そういえば1970年代に、アラン・パーカー監督の『ミッドナイト・エクスプレス』という映画があったよなあ・・・・。


<長期的な見通し>=地政学

*トルコという国は欧州とアジアとアフリカの交差点。シリアの難民はトルコを経由して欧州に向かおうとする。それじゃかなわん、ということでEUはトルコに因果を言い含めて難民を受け止めてもらっている。

*エルドアン大統領としては、「やってられんわ」ということで難民をスルーしちゃうかもしれない。その場合、ドイツのメルケル政権は10月の地方選挙で苦しみ、イタリアのコンテ政権はますます反移民に向かう。こりゃユーロが売られるのも無理はない。

*ついでにイランとトルコの間では「クルド人勢力を苛め倒そう同盟」ができるかもしれない。ISISを倒すために、アメリカはオバマ時代からクルド人勢力を散々利用したんだよねえ。中東の秩序はますます危ういことに・・・・。


○結論として、この問題は短期楽観、長期悲観ということになるのではないかと。トランプさんの悪口を言うのは簡単ですが、彼は壊れるべきものが壊れるスピードを加速するためにこの世に舞い降りてきたのではないかなあ。


<8月15日>(水)

○アメリカ人のジョン君がワガママなことを言うのである。

○彼は新婚の奥さんと一緒に、里帰り旅行で今週はベトナムに行っていて、来週になると日本にやってくる。東京では昔の友人たちと感じのいい居酒屋で一杯やって、それからカラオケに行きたい。できればベトナム語の歌が入っている店が希望だとのこと。察するに、今頃はご夫婦でベトナムの歌のデュエット猛特訓中であって、その成果をわれわれに見せたいのであろう。

○思わず今日、カラオケ店に行って聞いちゃいましたよ。オタク、ベトナム語の歌は入ってますか、って。そしたらJoysoundとDAM、わが国における通信カラオケの2大メーカーがともに英語、中国語、韓国語どまりなので、大手のカラオケ店でベトナム語対応はほとんど無理でしょう、とのこと。

○しかし、仮にも国際都市・東京ともあろうものが、「ベトナム語には対応できません」というのも悔しいではないか。調べてみたら、案の定、いくつかありますな。おそらく新大久保界隈を探せば、カラオケ付きのベトナム料理屋がいっぱいできているのではないかと。あそこはもはやコリアンタウンを越えて、アジアンタウンになりつつありますからな。

○検索してみると、ベトナム語ソングを紹介するページもできている。ヒット曲はこちらをご参照。日本語の歌で、ベトナム語でカバーされている曲もいろいろあるようだ。五輪真弓にアン・ルイスに中村雅俊ですと? AKBはまだベトナムにはできていないのだろうか?

○しかしまあ、カラオケ生みの親であるわが国としては、「どんな言語にも対応して見せます!」(キリッ)という心意気を見せるべきではあるまいか。これもTOKYO2020までの課題の一つと考えるべきであろう。














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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)