●かんべえの不規則発言



2024年4月 






<4月14日>(日)

〇本日は競馬仲間6人にて福島競馬場を訪れて、その後は福島駅近くの天ぷら屋さんを訪れ、飯坂温泉の野天風呂に浸かってきたところです。いや、皐月賞は取れなかったし、馬券的には沈んだ一日であったけれども、友人たちと共にワイワイ過ごせた結構な一日であります。

〇水原一平氏もギャンブル友達が居れば、おそらくは深みにはまらなくて済んだのではないでしょうか。依存症はすばらしきかな。競馬仲間と共に過ごす時間は値千金。競馬の話をしていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。そして野天風呂には月が出て、桜の花びらが浮いている。

〇きっと山崎氏とぐっちーさんの霊も来てたんじゃないかなあ。ということで夜は更けてまいります。


<4月15日>(月)

〇昨晩は福島に泊まっていたので、今朝のNHK第一「マイあさ!」、月曜6時台後半のマイBiz「経済のイマ、物価と賃金の好循環 何が必要か」の電話インタビューは、飯坂温泉の伊勢屋さんの誰も居ないロビーからお送りしたのであります。終わった後は、もちろんゆっくりと朝風呂に浸かるのである。わはは。

〇こう言っては失礼ながら、伊勢屋さんは飯坂温泉の「ピンキリ」で言えば、キリに近い方ではないかと思う。ただしこちらはメシは他で食った後であるし、いまどき野郎ばかり6人が和室で雑魚寝という昭和なスタイルであるから、別に気にしないのである。そしてお値段は破格に安く、一同の満足度はまことに高かったのである。

〇というか、大人の遠足というか、競馬の「旅打ち」ができる仲間がいるというのは、こういうご時勢にはなんとも贅沢なことである。2012年の七夕賞に、たった一人で「福島競馬通い」を始めたときには、まさかこんな風に発展するとは思ってもいませんでした。コロナによる中断もあったしね。

〇まあ、しかし福島競馬は難解で、なかなか勝たせてはくれません。昨日の福島民報杯(高橋さん言うところの「社杯」)なんて、あらかじめ答えを教えてもらっていても当てられそうな気がしない。今週末には福島牝馬ステークス(G3)なんかもあるのですが、ううむ、これも難解だ。

〇それでも桜の季節の福島市はまことに良いところでした。さて、次の旅打ちはどこに参ろうか。円安のせいで海外旅行は贅沢になりましたが、国内旅行はいいですぞ。どこへ行っても旨いもの安いもの、人情に触れることができまする。

→後記:あらためて数えてみたら、ワシの福島競馬場通いは2012年7月の第1回から通算で今回が10回目でありました。これはちょっと自慢していいんじゃないだろうか。関東在住の競馬ファンで、「福島競馬場に10回行ったことがある人」はそんなに居ないと思うぞ。ここまでくると、当初の「震災からの復興を見届ける・・・」などという動機はどこかへ行ってしまって、単に楽しいから通っているだけである。最初は一人だけの旅でありましたが、今では一緒に行く仲間もいれば、案内をしてくれる友人がいて、現地には馴染みの店も何軒かある。まことにありがたいことであります)


<4月16日>(火)

〇本日は中部経済倶楽部の講師で名古屋市へ。「米大統領選挙の行方を読む」という演題ではあるのだが、そこはまあ自然と、先週の「岸田首相訪米の収支決算」みたいな話になるのである。

〇長い日米関係の歴史においても、今回は画期的な訪米であったと思います。なにしろ日本国首相が米連邦議会合同演説において、「日本はShoulder to Shoulderでアメリカと共に立ち上がっている」と言ってしまうのだから。「9/11」のときには「ショー・ザ・フラッグ」と言われ、「イラク戦争」のときには「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と催促されて、しぶしぶ自衛隊が中東に出て行ったあの日本が、今やアメリカの背中を押すまでになっている。

〇それはいわば当然のことであって、だって台湾有事の時にアメリカが来てくれなかったら困るから。「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」という岸田首相お得意のフレーズは、一定のアメリカ人にはちゃんと「刺さる」のである。だからそのためには日本も少し前のめり気味に貢献しなければならない。実際に22年末の防衛3文書では長年の防衛政策を大転換したし、防衛予算も2027年にはGDP比2%になるのだから。

〇いやいや、そこまでの覚悟は日本国民の大多数がまだ持っていないぞ。総理大臣にそういう危ういことを言わせちゃいかんのではないか・・・。そういう意見も確かにあるだろう。特に過去に日本外交を背負ったOBたちの間には、「そこまで言って委員会」的な感覚があるように感じます。

〇とはいうものの、それはアメリカが自信満々であった昔(自国肯定感がフルであった頃)のことであって、当時は日本がもたもたしていると、全部アメリカが押し切ってくれた。日本政府もいちいち理詰めで国民の了解を得るよりは、「アメリカさまがそう言っているから仕方がないんですぅ・・・」という説明をすることを好んでいた。実際に昔はこの「ガイアツ」がよく効いたのです。めんどくさいことは、「アメリカのご意向」で済ませてきた。

〇ところが今のアメリカはそんなに強気ではない。とくにオバマ大統領以降は、「そもそも日本はどうしたいのだ?」と素で聞かれたりする。仕方がないから、今では日本側である程度お膳立てを考えて、「ここまではわれわれがやりますから、この先はやってくださいねっ!」みたいに動かねばならない。この辺は日本外交における「断層」があるのではないかと思う。

〇とまあ、そこまで詳しい話はできないのですが、明日の「モーサテ」では「岸田総理訪米の収支決算」をテーマにお話しする予定です。


<4月17日>(水)

〇新スタジオでの「モーサテ」に登場。池谷さん、片渕さん、中垣さんと3人のキャスターがいて、もう一人のゲストは尾河真樹さん。以前はゲストの登場は6時40分までだったが、新年度からは番組終了の7時5分まで残ることになる。池谷さんはどこでツッコミを入れてくるかわからない。いいっすねえ、この雰囲気。

〇尾河さんも私も、昔のテレ東の神谷町時代を覚えている世代なので、なんだか昔の自由奔放な「モーサテ」が戻ってきたようでいいよね、てなことで意見が一致する。そういえばワシはこの番組は、今月で勤続15年目となる。

〇夜は田原総一朗さんの90歳お誕生日会に駆けつける。「小泉純一郎と菅直人、反原発派の元首相が仲良く登場」みたいな面白い構図があっちにもこっちにも。昔、よくお世話になったテレ朝の方々とも久しぶりにご挨拶する。

〇そうか、ワシはいつの間にかテレ朝系からテレ東系に移行していたのか。やってる本人は意外と気づいていないものなのである。そのあともう一軒、会合をハシゴ。

〇ということで、一日がとっても長いです。こういう日は、移動中はとにかく寝ている。こういうことができる東京都内はまことにありがたい。


<4月18日>(木)

〇今宵の阪神タイガースは佐藤輝明のサヨナラヒットで巨人相手に連勝!さすがは阪神打線のゴールドシップ。たとえ3三振でも、守護神・大勢を打ち崩したのは殊勲大であります。

〇これでタイガースは5割復帰。先発の西勇が頑張って、森下がいいところで打ってくれて、桐敷もいいところで押さえてくれました。後は大山の打棒に火が付くのを待つだけです。

〇これで明日からは首位・中日と甲子園で3連戦。ドラゴンズファンの上海馬券王先生やTAROさんには悪いですが、そうそういい思いはさせませぬぞ。待っておれ、わはははは。


<4月21日>(日)

〇柏シアターにて「ノスタルジア 4kリマスター版」を観る。いやあ、タルコフスキー監督作品ですよ。懐かしいねえ。

〇この映画を見たのはちょうど40年前。ワシは日商岩井の入社1年目で、初任給手取り10万円の身の上であった。同期の連中は早くも忙しく残業させられているのに、広報室に配属されたワシはあんまり仕事はなく、「もう帰っていいよ」と言われ、かといって金曜日の独身寮には晩飯の用意もなかったので、仕方がないから一人で六本木に行って、封切りになったばかりのこの映画を観た。

〇まだロシアがソ連だった時代である。『惑星ソラリス』や『ストーカー』を作って、既に「巨匠」と呼ばれていたタルちゃんは、「表現の自由」を求めてイタリアにわたってこの映画を作った。タルちゃんはその後、実際に亡命を宣言するのだが、じきにゴルバチョフが登場するので、彼の亡命は不問に付されることになる。結局、帰国することはなく、1986年にパリで亡くなった。享年54歳。

〇この映画、とにかく「雨漏りする家の中のシーン」――こんな風に言ってしまうとぶち壊しなんだが――が強烈な印象に残る。当時、小林麻美の『雨音はショパンの調べ』という曲がヒットし、そのビデオクリップ(当時はそれ自体がめずらしかった)も高い評価を受けたのであるが、今見ると『ノスタルジア』の「まんまパクリ」である。映像の詩人と呼ばれたタルちゃんは、世界中で幾多の模倣を生んだのである。

〇この映画を作っている時点で、タルちゃんは既に亡命を決意している。そうなると二度とソ連の土は踏めなくなってしまうし、家族はおそらくひどい目に遭うだろう。でも、そこはタルちゃんは芸術家だし、ロシアの正統派インテリゲンちゃんなので、本当に亡命してしまう。その過程で生じる「望郷」の念を、映画作品に昇華させようとしたのであろう。そういう意味では「私小説」風な映画である。ゆえに主人公の振る舞いは、まるで太宰治のように身勝手に思えるところがある。

〇今見ると、「古臭い前衛映画じゃのう」という思いは禁じ得ない。それでもタルちゃん一流の映像美は、まさしく本作において頂点に達したのではないだろうか。タルちゃんはこの2年後に『サクリファイス』を作って、それが遺作になる。でも個人的な好みで言わせてもらえば、やっぱり『ソラリス』や『ストーカー』の方がいいですよ。

〇ともあれ40年前の作品である。自分が23歳だったときに観た映画に再会するというのは、それ自体が「ノスタルジア」である。柏シアター、まことにありがたし。それにしても今のウクライナ戦争を見たら、タルちゃんは何と言って嘆くのだろうか。ちなみに彼のお父さんはウクライナの詩人だったそうだから、そのこと自体がひとつの作品のモチーフになりそうである。

〇さて、そういう映画を撮るウクライナ、もしくはロシアの映画監督はこの後、果たして登場するのであろうか?







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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)