●かんべえの不規則発言



2019年12月 






<12月1日>(日)

○ああっ、しまった。もう12月が始まってしまった。明日には「新語・流行語大賞」が発表になってしまう。とりあえずワシは「命を守る行動を」に一票入れておきたい。

○それよりも「今年の漢字」について。こちらは発表が12月12日(木)です。

○本命はずばり「嵐」でしょう。今年は台風が多かったし、アイドルグループ「嵐」は、天皇皇后両陛下の前で「奉祝曲」を披露した。しかも来年いっぱいで活動停止となる。この字は筆で描いたときに派手さがあるしね。

○対抗に「令」も有力でしょう。新元号「令和」が公表されたとき、「令」という漢字は怖い感じがする、てな声がありましたよね。でも、当たり前すぎて面白くないのと、あまり会話が広がらないのが難ですかね。

○少しひねって、「桜」はどうでしょう。「桜を見る会」に、ラグビーW杯の「ブレイブ・ブロッサムズ」も該当する。これは穴候補ですな。ちょっと季節感がずれるのが惜しい。

○あとはどうですかねえ。改元にかこつけて「改」もアリでしょうな。ラグビーW杯のベストエイト入りを祝して「勝」とか。うーん、後はどうしてもこじつけっぽくなりますね。

○ということで、今年もいよいよ残り少なくなってきました。もうじき2020年ですよ。ねずみ年ですよ。さあ、どうしましょう。ああ、やらなきゃいけないことが一杯ある!


<12月2日>(月)

今年の新語・流行語大賞「One Team」でした。ラグビー関連が5個もありましたし、その中でどれかと言えばやはりこれでしょう。ちなみに他の4つは、「ジャッカル」「にわかファン」「4年に一度じゃない。一生に一度だ」「笑わない男」でした。

○それくらい今年はラグビーW杯が成功を収めたということでしょう。あれを見た後では、他のスポーツが霞んで見えましたね。新語・流行語大賞は、かつては野球びいきと言われていました(「神ってる」2016年、「トリプルスリー」2015年など)。今回は「後悔などあろうはずがありません」(イチロー)が選考委員特別賞になっただけでした。

○昨年の大賞が「そだねー」(カーリングのロコ・ソラーレ)だったので、スポーツ分野が強いという流れは変わっていないと思います。今年は「スマイリングシンデレラ/しぶこ」がトップテンに入っていて、渋野日向子選手21歳はやっぱりインパクトがあるのですな。スポーツ選手が持つある種の「天然さ」は、現代社会においては希少価値なのでしょう。これは将棋の「ひふみん」(加藤一二三さん、2017年のトップテン)にも通じるものがあると思います。

○かつての新語・流行語大賞には、「お笑い芸人枠」がありました。近年のお笑い界は不作ですねえ。その代わりに「闇営業」が入ったのでは洒落になりません。もっともお笑い芸人が「新語・流行語大賞」を受賞して、その年の紅白歌合戦に出たりすると、非常に高い確率で行方不明になってしまいます。どこでどうしているのよ日本エレキテル連合(「ダメよ〜ダメダメ」は2014年の大賞)。「ワイルドだろぉ」のスギちゃん(2012年)や「グ〜」のエド・はるみさん(2008年)も懐かしい。今頃は地方で営業したりしてるんでしょうか。

○そして「政治家枠」も不振でした。そもそも気の利いた言葉で、政治を面白くしてくれるキャラが今は払底しています。今回は「ポエム/セクシー発言」(小泉進次郎氏)がノミネートされましたが、トップテン入りには力不足でした。そもそも進次郎くんは演説が上手いと言われるけれども、あれはたぶんに雰囲気作りが上手なのであって、名コピーを生んではいませんよね。

○お父さんの純一郎さんは、たくさん「流行語」を送り出しました。なにしろ2001年の大賞は「米百俵/聖域なき改革/恐れず怯まず捉われず/骨太の方針/ワイドショー内閣/改革の「痛み」」でしたからね。さすがはミスター・ワンフレーズ。政治家は言葉が命と言われる仕事ですが、近年は政治家の「造語力」が物足りないと感じております。

○今年の政界に新たな旋風を巻き起こした山本太郎氏も、「れいわ新選組」という党名がノミネートはされたものの、セリフやスローガンはあんまりヒットしてませんよね。そんなことではポピュリスト政治家は務まりませんぞよ。その点、トランプ大統領は"Keep America Great"で、ジョンソン英首相は"Get BREXIT done"ですから。

○もうひとつ、今年も不作だったか〜と感じるのは「CM枠」です。TVのCMに関係するものと言えば、かろうじて「○○ペイ」がある程度。これもペイペイのCMが特段に良かったとは思えないのですよね。今は面白いコンテンツを提供してくれるのは、テレビよりもむしろユーチューブなのかもしれません。そういえば「NHKをぶっ壊す!」(N国)はノミネートされていなかったのですね。

○純粋な意味で、もっとも流行語らしかったのは、「タピる」じゃないでしょうか。タピオカドリンク、あたしゃ1回も飲んだことないですが、ああいうものこそ時代の雰囲気を反映していて、後で懐かしく思えるものです。そう、流行は儚いから価値がある。ナタデココとか紅茶キノコとか、昔もいっぱいありましたよねえ。

○今年は「令和」もトップテン入りしました。新元号の評判がいい、というのは慶賀すべきことでしょう。実際にRの発音が新鮮だとか、出典が「万葉集」なのも良いのではないかという声は多いです。もっとも「令」という漢字は、「清らかで美しい、立派な、喜ばしい」といった意味があるそうですから、今年が本当にそういう年だったかと言えば若干の疑念が残ります。

○ということで、2019年は残り少なくなっていきます。まだまだサプライズがあるかもしれませんが、今年を締めくくると同時に、来年の予測を組み立てて行かねばなりません。明日は福島県郡山市に出没いたします。


<12月3日>(火)

○福島民友新聞主催、YMC郡山セミナーの講師で郡山へ。ちょうど4年前に来たことがある。福島市が政治都市なら、郡山市は経済都市。東北では仙台に次ぐ経済規模を誇る。

○ところがこの一帯は、先日の台風19号でひどいことになっている。工業団地が麻痺しているとか、病院が水没したとか、何より死者も出ている。阿武隈川の下流はなんともなかったのだが、支流で氾濫がおきたとのこと。そんなところへ、先日書いた自然災害に関する拙稿が関係者の目に留まったらしい。ありがたいような、困ったような。

○先週末に公表された10月分の鉱工業生産は前月比▲4.1%と、文字通りカックンと下落している。これはどう見ても消費税のせいじゃなくて、台風の被害によるサプライチェーン問題だ。台風の被害は一過性のものだとは言え、足元の10−12月期の日本経済はかなり落ち込みそうな予感。これでは大型補正もやむなしか。

○仕事を終えてから、郡山駅の「もりっしゅ」で勝手に慰労の一杯。ここは4年前も来た。一杯390円で、「月弓」という会津若松の日本酒を適当に注文してみたら、これが大当たりであった。いや、実に旨い。ついつい痺れて、帰りの新幹線内ではもちろん爆睡。

○東京駅に戻って、キヤノングローバル戦略研究所の創設10周年記念シンポジウムを覗く。知り合いが大勢働いているシンクタンクであるが、これだけ短期間に成功を収めた研究所は他に例がないのではないか。リーマンショック直後の2009年に作った、ということも今から考えると感動ものである。

○昔からよく知っている小林慶一郎先生がスピーカーだったので、真っ先に手を上げて意地悪な質問をさせてもらう。ところがこの質問、当方の勘違いであることが後ほど判明。しかし、これは「聞くは一時の恥」で、聞かなかったらずっと勘違いしているところであった。すばらしい。シンクタンクとは、まさにかくあるべきであろう。

○明日はまたも東北新幹線に乗って、今度は茨城県筑西市に参ります。


<12月4日>(水)

○常陽銀行さんの年末セミナー講師を務める。今年で何と6回目である。支店のあるいろんな場所を回って、今回は茨城県西部の筑西市で。ここは昔、下館市と呼ばれていた頃に、当時、日立化成に務めていた友人宅を訪ねたことがある。遠くて不便な場所だったという記憶があるが、今日は立派な会場で、お客様も200人くらい。考えてみたら、どこでも非常にお客さんの数が多いのである。

○これまでに訪れたのは、「つくば」「郡山」「神栖」「土浦」「日立」「筑西」の6か所。茨城県というのはつくづく面白い土地柄で、分散型なのである。県境に近いところに大きな町がある。そして県庁がある水戸市の人口は、それほど多くはない。お隣の栃木県が宇都宮の一極集中なのとは好対照といえましょう。

○普通に考えれば、一極集中型の県の方が資源を集中しやすいので、地銀の経営には良さそうである。でも、意外と分散型の方が良いのではないのかという気もする。それだけ顧客が多くなってリスク分散ができるわけなので。県境に大きな町があって、県庁所在地が小さい、ということでは山口県なんかもそうだよね。逆に一極集中型と言えば、秋田県や奈良県あたりでしょうか。こういうの、真面目に研究してみると面白いかもしれない。今後の課題にしましょう。









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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)