<1月23日>(月)
〇今朝は今年初めてのモーサテに出演。テーマは「2023年の通常国会を展望」。やはり市場の関心事は日銀人事。そして肝心なのはG7広島サミット。今日の経済進展は「米債務上限 2011−2023」としました。
〇お昼はYくん、Sくんと西新橋のウクライナ料理スマチノーゴへ。「予約は要らないだろう」だと思っておりましたが、お昼はかなりにぎわっておりましたな。本日はロールキャベツをいただきました。お店の方たちの日本語が、どんどん上手になってきたような。
〇夕方から双日建材主催の新春賀詞交歓会へ。今年は3年ぶりに復活して、全日空インターコンチネンタルホテルで開催の運びとなり、不肖かんべえの新春講演会も復活しました。3年ぶりのお懐かしい方々と再会を果たす。「今年の日本経済は『小吉』のおみくじ」といういつものネタなのだが、今日は『中吉』に格上げする。インバウンドがやけに好調なようなので。
〇今宵はホテルの宴会場が大変な盛況ぶりで、やはり今年の日本経済は「モノからサービスへ」でありますな。バンケットサービスの社長さんに伺ったところ、この3年間は本当に大変だったとのこと。そんな中でも、しっかり人材を確保していた会社が良くなっているようです。
〇木材業界では「ウッドショック」が解消し、ようやく北洋材などが入ってくるようになった由。ところが為替の急激な変動があり、住宅ローン金利の上昇があり、あるいはロシア材が入ってこなくなって困るとか、「脱・炭素」を目指さなきゃいけないとか、いろいろ課題が尽きないようです。
〇終わってから外交政策の勉強会へ。うーむ、われながら朝から夜までよく働くわ。それでもコロナで逼塞していた時期を思えば、こんな風にいろんな人と交流できる日はまことにありがたい。ましてメシ付きだし。感謝と共に就寝である。
<1月24日>(火)
〇本日は「むさし府中商工会議所」の新春講演会に呼んでもらう。最寄り駅は東府中駅であるが、そもそもワシは京王線というものに乗ったことがほとんどない。ものめずらしく、新宿駅から夕方の帰宅乗客と共に下り列車に乗ってみる。人身事故があったとのことでダイヤは乱れているが、まあ時間に余裕があるので各駅停車にて。
〇それにしても、なぜ府中には「むさし」が付くのか。単に「府中商工会議所」でいいではないか、と思ったら、これは広島県にも府中市があり、そっちの方がほんのわずかに登録が早かったからなのだそうだ。なんと府中市では、税務署まで「武蔵府中税務署」、郵便局も「武蔵府中郵便局」になっているのである。
〇しかし府中と言ったら、全国的に有名なのは圧倒的に東京都の方の府中市であろう。昔から「一務所二馬身三億円」と言って、府中市は名物に事欠かないのである(府中刑務所、府中競馬場、三億円事件)。それだけではない。東芝府中にサントリー武蔵野ビール工場、大國魂神社にくらやみ祭り、多磨霊園(多摩霊園にあらず)などもある。リーチ・マイケルだっているのだぞ。
〇ということで、仕事の方はつつがなく終了。ちなみに、むさし府中商工会議所の会頭さんとは、共通の友人であるところの長島昭久さんの話で盛り上がりました。
〇そこまではよかったのだが、問題は帰りみちであった。府中本町駅まで送ってもらい、武蔵野線で帰るのがよろしかろう(府中競馬場からの帰りコースなので)と思ったのだが、なんと強風のために武蔵野線が止まっておる。泣くなく南武線で立川駅に出たのだが、そこから中央線に乗り換えるとこの時間は快速という名の各駅停車である。駅に止まるたびに吹き込む今宵の風のなんと寒さよ。
〇さらに新宿駅で乗り換えようとしたら、山手線外回り線は神田駅ドア故障のために停車中であるとのこと。仕方がないから再び中央線に乗り換えて、御茶ノ水駅から秋葉原に出て、そして上野駅へ。すると案の定、常磐線も強風によりダイヤ乱れである。ううむ、こんなときまで「感染防止のために窓開けにご協力ください」は勘弁してほしい。
〇結局、柏駅まで2時間の旅であった。ううむ、首都圏を縦横無尽に駆け巡った感あり。明日はゆっくり資料作りでもしよう。
<1月25日>(水)
〇東洋経済オンラインで連載を一緒にやっている山崎元さんが、がん体験をカミングアウトされました。これは一読の価値あり、です。
●山崎元、癌になってみて考えた。「どうでもいいこと」と「持ち時間」
〇「『判断できる自分の能力と時間』が無い場合は、情報収集自体に意味がない」とか、「『病気の現状はサンクコスト(埋没費用)だ』と思うことがすんなり出来た」など、いかにも山崎さんらしい割り切った分析が随所に顔を出す。いつものマネー診断の記事のように、自分の病気のことを客観視できている。自分だったら、きっと例の「五段階」(否認→怒り→取引→うつ→受容)をぐるぐる回り続けてしまうだろうと思う。
〇癌と診断された時に、気になったのが「髪の毛」と「酒」だった、というのも、経験者ならではのリアリティである。当欄の1月11日に山崎さんのオフィスに伺った話を書いたけど、あのときに見た感じでは確かに頭髪は少し寂しくなってましたが、そんなにすごい変化ではなかったです。それからお酒をやめた代わりにおいしい玄米茶を飲んでおられました。お土産に頂戴した分は、日曜日の午後3時(つまり競馬をやっている聖なる時間)に淹れておりまする。
〇人生の「持ち時間」というのは、さすがにこの年になると意識する機会が増えてきます。そうは言っても、考えた挙句に「まあ、まだいいか」となってしまうことが多いです。山崎さんのこの記事、ときどき読み返すようにしたいと思います。
<1月26日>(木)
〇さる人いわく。「今がリーマンショック前夜のような気がして仕方がないんですよねえ。でも、それを言うと、『金融システムは安定しているし、ガバナンスも改善しています』などと皆に否定されちゃうんです」と。
〇それに対して別の人がいわく。「理屈からいえば金融危機はあり得ないんですが、でも経済って基本的に何が起きるかわかんないですから。危機は起きて初めてわかるものなので。今回も同じかもしれません」
〇なんとも無責任な会話に聞こえるが、言われてみれば確かにそんな気もする。コロナ後の世界では、各国が競うように金融緩和と財政刺激策をやっちゃって、どこかにひずみができていても不思議はない。問題はパンデミックの終結後にどういう形で表れるのか。
〇これが株式バブルであれば投資家が、住宅バブルであれば家を買った人たちが儲けている。それがバブル崩壊とともに損をする。だったら今回の局面で、いちばん儲けていたのは誰なのだろう?
〇それは各国政府なんじゃないだろうか。これまでは超低金利で市場のおカネを吸い上げることができたけど、それっていつまで続けられるのか。今すぐということではないにせよ、数年以内には債務危機みたいなことが起きるのではないだろうか。
〇などと考えてみると、次の日銀総裁はつくづく大変そうである。はてさて、どなたが引き受けられるのでしょうか。
<1月27日>(金)
〇欧米からウクライナへ戦車を送る話がバタバタと決まりました。しかしなんでこのタイミングで?とあらためて考えてみると不思議な気がします。実はロシア軍が春先の大攻勢を予定していて、そのことを米インテリジェンスがキャッチしたから、というのは考えすぎでしょうか。
〇われわれの認識は昨年秋時点のウクライナ側が攻勢に立っていた時点で止まっていて、その後は冬将軍もあって膠着状況となっている。そしてウクライナ側の戦意は高く、こうなったらクリミアも取り戻さないと止まず、となっている。この1年で急速に国民国家として団結しつつある。
〇しかるにロシア側も兵力を増強し、乾坤一擲の反撃を狙っている様子。ロシアとウクライナの間には、長いDVの歴史がある。「このままで終われるものか!?」という気持ちは、ロシア側でも意外と幅広くあるのかもしれない。
〇先日、プーチン大統領の手による『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』を山形浩生さんの訳で読んだのですが、ひどく気持ち悪いなと感じました。プーチンは「格下」と見なしていたウクライナに見捨てられたと感じ、そのくせウクライナの一人当たりGDPが低い貧乏国であることに怒っている。ああいう不条理なところがまことにDVらしく感じられます。
〇そうなると春ごろには戦況が大きく変わっている可能性がありますな。5月の広島G7サミットの時には果たしてどうなっていることか。まして核兵器が使われてしまった日には、「広島でのサミット」の意味あいが大きく変わってしまいかねない。いろんなケースがあり得ますので、岸田さんはご注意なされまし。
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編集者敬白
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by Kanbei (Tatsuhiko
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