●かんべえの不規則発言



2022年5月 






<5月20日>(金)

〇クルマを運転していて、突然流れてきたこの曲。背中に電流が流れました。先週見た『シン・ウルトラマン』の主題歌、「M八七」です。

〇恥ずかしながら小生、初めて米津玄師ってすげェと思いましたですよ。なんでこんな歌詞が書けてしまうんだろう。冷戦終了後に生まれた世代だというのに、ワシらウルトラマン世代が気づいていなかった何事かを教えてくれているような。


君が望むなら それは強く応えてくれるのだ

今は全てに恐れるな

痛みを知る ただ一人であれ


〇上海馬券王先生が、「シン・ゴジラに及ばない」と言っているのはまあその通りでしょう。今日の日経夕刊の「シネマ万華鏡」も、こんなことを書いている


かなり複雑なはなしが、速度をつけて展開され、見ごたえはあるが、やや疲労感もあった。「シン・ゴジラ」も情報過多なはこびかただったが、怪獣の描写が圧倒的にすばらしかったので、それさえもカタルシスにつながった。

今回は、ことばのほうが先行してしまっている。映像的に文句なくおもしろかったのは、にせウルトラマンとの対決と長澤まさみの巨大化。


〇ちょっとだけ弁護したくなるのは、『シン・ゴジラ』はわれわれが「3/11」を乗り越えるために必要だった物語であった。『シン・ウルトラマン』にはそういう要素がない。コロナが始まる前にほとんど撮り終えていたみたいだし。安直に言葉だけで説明しようとしているきらいは確かにある。ただし、これはこれで評価してあげてよ、という気がしている。

〇日経の宇田川幸洋氏は2点だけに絞り込んでいるようですが、山本耕史演じるところのメフィラス星人も加えてあげて欲しいです。異常な存在感でした。「この店、割り勘で良いか?」「私の好きな言葉です」。


<5月22日>(日)

〇昨日行われた豪州総選挙は、案の定、野党・労働党の勝利となりました。新首相に就任するのはトニー・アルバニージー党首。岸田首相からは、既に祝辞が発せられている

〇「9年ぶりの政権交代」とはいうものの、豪州の首相はしょっちゅう変わっている感がある。調べてみたら、こんな感じであった。


●トニー・アルバニージー(1963年生) 2022年5月〜

<自由党→労働党へ政権交代>

●スコット・モリソン(1968年生) 2018・8月〜

●マルコム・ターンブル(1954年生) 2015・9月〜

●トニー・アボット(1957年生) 2013年9月〜

<労働党→自由党へ政権交代>

●ケビン・ラッド(1957年生) 2013年6月〜

●ジュリア・ギラード(1961年生) 2010年6月〜

●ケビン・ラッド(1957年生) 2007年12月〜

<自由党→労働党へ政権交代>

●ジョン・ハワード(1937年生) 1996年〜


〇一時期の日本政治ほどというわけではないのだが、同じ政党の中で数年おきに首相を取り換えることが常態化している。その前はどうだったかというと、ハワード首相が10年以上もやっていて、それ以前の豪州では長期政権が普通であった。どうも今世紀になって、戦後世代が首相になるようになってから、落ち着きがなくなったようである。

〇ここが一番気になっていたところであるが、アルバニージー新首相は、さっそく今週のクワッド(日米豪印)首脳会議に出席するために訪日するらしい。まあ、アメリカと日本とインドの指導者と一発で顔合わせができるのだから、この機会を見送る手はないですわな。

〇幸いなことに、豪州における今回の政権交代は「外交では争わない」ことになっている。もっともAUKUSへの参加や原子力潜水艦の建造計画を、「アレは前の政権が決めたことですからっ!」などと言われた日には、同盟関係がえらいことになってしまう。豪州の外交方針には、国内にある程度のコンセンサスができているのであろう。

〇ほんの10年前まではケビン・ラッド首相のような親中派の首相が出ていたのに、これだけ対中強硬世論が根付いたということは、それだけ中国の「戦狼外交」が裏目に出ているということなのだろう。

〇日本という国は、非常に多くの資源を豪州からの輸入に負っている。石炭や鉄鉱石では全体6割を超えている。普通は「そんなことしちゃダメ」なんだけど、「あそこは大丈夫でしょう」ということになっている。というか、「豪州よりも安心な国」って地球上にはあまり存在しませんので。

〇今週24日にはクワッドはもちろんのこと、日豪首脳会談も行われることになるでしょう。本日は既にバイデン大統領も到着済み。今週は外交ウィークですな。そういえば明日はBSテレ東の「日経ニュースプラス9」に出没いたします。


<5月23日>(月)

〇本日は日米首脳会談。都内のアメリカ大使館周辺は、全国から警察官が集まってきている感じでした。たぶん今宵は八芳園周辺もすごい警備だったことでしょう。まあ、バイデンさんは明日にはお帰りになりますので、もちょっとの辛抱でありまする。

〇いろいろツッコミどころがあり過ぎるくらいですが、最初はやっぱりバイデンさんが記者会見で、「台湾が中国軍に攻撃されたら米軍は防衛するんですか?」と尋ねられて、"Yes, it's a commitment we made."と答えてしまった件

〇同じ失言を去年も2回やってしまったので、驚きも中くらいと言ったところがあるのですが、ここまでくるともう確信犯なんじゃないか、ひょっとすると尋ねた記者もグルだったんじゃないかなどと疑いたくなってくる。とりあえず中南海が眼を三角にしてくれるのなら、それだけで効果はあったと言ってよろしいでしょう。

〇ひょっとするとアメリカは、本当に対中戦略を変えちゃったのかもしれませんな。いよいよ覚悟を固めた時に、わざわざ「わが国はルビコン川を渡ったのであります」などと教えてあげる必要はないのです。「今まで通り、何も変わっておりません」とシラを切るのが、良き外交官の務めというものではないでしょうか。

〇次にIPEFが13か国でスタートしたという件。上出来と言っていいでしょう。なにしろASEAN10か国のうち、入らなかったのはミャンマー(軍政)とラオスとカンボジア(中国に近すぎる)だけ。のこり7か国が入ったということは、満額回答と言っていいのではありますまいか。

〇ひとつ考えられるのは、ちょうどAPEC貿易大臣会合がまとまらなかった直後で、「ロシアが入っているフォーラムは当分、機能しない」と判明したことが大きかったのではないか。G20も駄目っぽいですから、そうだったら新しい枠組みにはとりあえず手を挙げておかなければならない。

〇とはいうものの、ホワイトハウスのHPを見ると、「IPEF発足のオンレコ電話記者会見」が公表されていて、ブリンケン国務長官とレイモンド商務長官、タイSTR代表の3人がノリノリで答えているのが気にかかる。なんだか望外の成功に浮かれだっているような。

〇ということで、明日はクワッド、日米豪印首脳会談の番となります。これもいろいろありそうですが、不肖かんべえは神戸市に日帰り出張です。


<5月24日>(火)

〇神戸まで日帰り出張。場所はポートピアホテル。そういえば以前はジェトロ神戸さんのお招きで、2015年から18年まで毎年、ここへ来ておったのであった。ううむ、懐かしい。

〇今回の主催者は「神戸親交会」と言って、日本政策金融公庫の取引先の会。コロナで2回ほど延期になったけれども、今日になってちゃんとリアルで実現しました。よかったです。

〇しかも本日の演題は、「バイデン政権下のアメリカと日本の進路」。たまたまバイデン大統領が日本に来ているときに実現するというのは、まあ、なんというかお見事であります。

〇5月下旬のこの時期は、お客さんを招くにはいいんですよね。3年前には「令和初の国賓」でトランプさんを招いていますから(2019年5月26日〜28日)。だいたい大相撲春場所が終わって、日本ダービーが行われる時期の日本は良い季節です。クワッドも無事に終わったようですな。慶賀の至りであります。










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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)