●かんべえの不規則発言



2019年7月 







<7月17日>(水)

○大阪に来ている。いつもは大阪では、全日空ホテル(正確には「ANAクラウンプラザ大阪」)やリーガロイヤルなど、「キタ」に泊まることが多いのだけど、今日はスポンサーさんの関係で「ミナミ」のシェラトン都ホテルである。

○新大阪駅から地下鉄・御堂筋線に乗ってなんば駅まで来て、近鉄に乗り換えて奈良方面へ2駅、大阪上本町で下車。「うえほんまち」と呼ぶのですね。「かみほんまち」ではありません。そうか、阪神タイガースの「上本内野手」(うえぽん=Weapon)と覚えればいいのか。土地勘がないものだから、何を見ても新鮮な気分である。

○なんばの方から上本町にかけては、かすかに上り坂になっているようにみえる。そうか、これが「ブラタモリ」で言っていた「上町台地」(うえまちだいち)なのか。上本町の北方には大阪城がある。こういう地政学上の要所を見出した信長&太閤秀吉の着眼はすばらしい。

○今も大阪G20首脳会議が行われると、警備のために全国の物流が遅れたりする。やっぱり大阪は物流の要所なのである。「で、大阪G20はいかがでしたか?」と尋ねると、地元の人たちの間では「田舎の県警から派遣された警官が、トイレに拳銃を置き忘れて処分されたんだって」みたいな話が飛び交う。やっぱり大阪やねえ。

○ところで大阪くらいは選挙戦が盛り上がっているのかと思ったら、全然そんな感じがしない。せめて明日は選挙の掲示板くらいは発見したいものである。


<7月18日>(木)

○大阪は蒸し暑い。大阪商工会議所さんの朝食会講師を務めた後、双日の関西拠点である西梅田のダイビルに立ち寄る。そこから、勝手知ったる福島の朝日放送まで歩いてみたら、ドッと汗が吹き出してどうにもならぬ。なんなんだ、この暑さは。まあ、日本全国、どこも似たようなものか。

○しばし久闊を叙してから、神戸へ。ところが福島駅から神戸へというと無数の行き方がある。いやもう、信じられないくらいの順列組合せがある。迷った挙句、普通にJRで行ったのだが、どうせだったら阪神電車を使うべきであった。それであれば甲子園駅を通過できたのである。いや、もちろん阪急もあるし、大阪駅まで戻ってから新快速を使うという手もある。初心者としては苦悩するところなり。

○神戸に着いたら、ひどい雨である。考えてみたら、近年は毎年のようにジェトロ神戸さんにセミナー講師として呼んでもらっているのだが、いつもポートピアホテル近辺で用事が済むので、神戸駅や三宮方面に来ることがない。今回の訪問先はラジオ関西。何と神戸新聞さんと同じビルの中にある。

○番組収録を終えて、新神戸駅へ。なんと大雨で新幹線が遅延している。ホントに日本全体がどうなっているのよ。などと文句を言いつつ、駅で豚まんを買って、恵比寿ビールとともにホームで食べる。これが私の神戸定跡。新幹線の中で食べちゃあ、周囲に申し訳ないでしょ。


<7月19日>(金)

○以下は某医薬品業界の方から伺った話。

●我々の業界においては、韓国経済はまったく眼中にない。なんとなれば、韓国には医薬品業界がほとんど存在しないから。だから輸出はするけれども、輸入はほとんどない。医薬品の世界においては、「輸出規制」などという概念は存在しません。人の命にかかわることですからね。今度の事態にはびっくりしています。

――あたしゃてっきり韓国はフルセット型経済で、医薬品業界もあるのだと思っていました。だって韓国製の化粧品や美容整形はそれなりのニーズがあるようですし。

●医薬品業界が存在しない国では、薬はなるべくならジェネリックにしようとするし、薬価は隙あれば下げようとする。そんな国においては、自国で医薬品事業を興そう、新薬を開発しよう、などという物好きは現れません。それでいい、と考えているのでしょう。

――医薬品業界というのは、とっても参入障壁が高いのですよね。だからこそ利益率は高い(薬九層倍)なわけですが、人の命を預かる業界だけに、何かあったら一発アウトの怖さを秘めています。だからオール・オア・ナッシングになりやすいのですね。

○韓国経済について、われわれが知らないことはまだまだ他にもいっぱいありそうです。


<7月21日>(日)

○いかにも空が泣き出しそうだったので、一家そろって午前中に投票所に行ってきました。似たようなことを考える人が多いと見えて、近所の小学校の投票所は10時台にしては200番台となっておりました。結構なことであります。案の定、帰りがけになるとポツポツと降り出したみたいです。

○投票所に居る人たちは、このじめじめした天候の中を、エアコンの利かない体育館の中で、朝から晩までご苦労様であります。しかも彼らは知り合いが来ても、必要なこと以外は話しかけてはいけないのである。なんという難行苦行でありましょうや。

○こんな多くの人の苦労の上に選挙という作業は成り立っております。いくら盛り上がっていないからと言って、無視したら罰が当たります。目指せ、投票率5割以上。


<7月22日>(月)

○選挙が終わって一夜明け、いろんな人がいろんなことを言っているのだが、2019年参議院選挙を一言で言い表せば、「安倍・自民党による国政選挙6連勝」以外の何ものでもあるまい。2012年衆議院選挙で政権をとってから、2013年参院選でボロ勝ちし、2014年衆院選で皆をあっと言わせ、2016年参院選も無難にまとめ、2017年衆院選ではまたまた意表を突き、2019年参院選は面白くもない安全勝ちといったところだろう。「3分の2がどーのこーの」とか言っている人たちは、あんまり本質をわかってないと思う。

○ジャンケンでも将棋でもプロ野球でも、6連勝はなかなかできるものではない。まして議員さんたちの生命が懸った選挙で、6連勝は途方もない値打ちがある。この間に自民党は勝ち癖がつき、逆に野党は負け癖がついてしまい、とうとう分裂してしまった。今回の選挙で立憲民主党と国民民主党の両方の党首が、「ウチはできたばかりの若い政党ですから」と言っているのを聞いて、ああ、とうとうこいつらは自分たちが政権与党だったことを否定してし始めた、やっぱり彼らにとっても悪夢だったのか、と妙に納得してしまった。

○となれば自民党内では、6連勝した人に対して考えることはひとつしかない。「もう1回勝ってください」であろう。今の自民党で、衆議院で3回生以下の人たち(2009年選挙で勝ち上がった小泉進次郎や斎藤健が4回生である)は、安倍総裁以外の下で選挙を戦ったことがない。実に自民党議員の45%を占めている。彼らの願いは、「あと1回だけ衆院選で勝って、それから辞めてください」であろう。

○他方、6連勝もしてしまった人の立場になってみると、こんなもの、べつに必勝策があるわけじゃない。たまたま今までは運よく勝ってこれたけど、7戦目はこれまた全く別の話で、今度こそ負けるかもしれない。6勝0敗のままで余裕を持って首相の座を降りて伝説を残すのと、6勝1敗で終わって「あーあ、あの人はもう過去の人」と思われてその座を去るのでは、天と地ほどに人生が変わってくる。少しくらい、勿体ぶってもいいところであろう。

○「アベは四選目を狙っている」などというのも、権力の怖さを分かってない人の戯言だ。3選でもう十分に長い。何しろ佐藤栄作どころか桂太郎まで抜いてしまうのだ。ここまで来てしまうと、「どうやって虎の背中から降りるのか」(虎に食われないように)を考えなければならない。総理を引退したら、少しはゆっくりさせてもらって、メディアの監視からも逃れて、あとは清和会の長として収まって、「おい、今度はお前が総理やってみるか?」などと好き放題をやりたいじゃないですか。安倍さんは鬼でもなければ悪魔でもない。ごくフツーの政治家なので、そういう人生設計はちゃんとあると思いますぞ。

○さて、本日は秋田銀行さんのセミナーで秋田市に行っておりました。秋田は激戦区で、昨日は野党統一候補が僅差で勝ちました。安倍さんや菅さんが何度も応援に入ったので、地元経済界としては「これはきっと勝ち目があるんだろう」と思っていたら、意外とそうではなかった。やっぱり東北は難しいですよ。イージスアショアの問題もありましたしねえ。いや、一昨年までの北朝鮮のミサイルがビュンビュン飛んでいた頃ならともかく、米朝首脳会談を3回も見せられた後になると、「なんでそんなものが要るんだ!」となるのは自然な勢いというものです。

○「令和おじさん」こと菅官房長官は秋田出身。選挙区は横浜ですが、菅さんの「秋田・愛」は非常に深いものがあり、頻繁に「お国入り」されるそうです。ご出身は秋田県湯沢市だそうですが、今回、その湯沢市で両候補の票が拮抗していたことが意外感を持って受け止められていました。4月の統一地方選挙では、「令和おじさん」の応援効果は抜群で、北海道知事選などでは信じられないほど票の上積みがあったそうですが。今回の参院選では、さすがに神通力も衰えてきたのか、それとも地元の人にとっては「ああ、菅さんがまた来てくれたか」と有難味が乏しかったのか。

○それはさておき、講演会後の懇親会で、べらぼうに旨い日本酒を頂戴しました。


高清水 和兆

新政 佐藤卯兵衛


○帰りの飛行機の時間がなければ、とことん腰を据えて飲みたいところでした。秋田の日本酒はレベル高いです。というか、日本海側育ちの人間にとっては、秋田や新潟や富山の酒がいちばん身体にあっていて、京都や灘や広島はあんまりいいと思わんのですよね。軟水と硬水の違いなんでしょうか。ともあれ、上の2種はお勧めです。もちろん、いいお値段するみたいですけど。


<7月23日>(火)

○ホントだったら、溜池通信の恒例、参議院選挙のデータ分析をしなきゃいけないのですが、ここに書き起こす暇がありません。そこで、今朝の「くにまるジャパン極」でお話しした内容にリンクを貼っておきます。開票結果について、オタクな話をしております。

○こうやって聞き返してみると、野村邦丸さんが実に適切なツッコミをしていることがわかります。実は毎週、ほとんど打ち合わせなしでやっております。まあ、10年以上やっておりますからねえ。










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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)