●かんべえの不規則発言



2024年7月 






<7月1日>(月)

〇本日発表された日経&テレ東の世論調査では、岸田内閣の支持率は前月比▲3pの25%となりました。不支持率は67%(±0p)である。

〇たぶん官邸はこの調査をとっても気にしていたはずである。日経の調査は「2度聞き」(強いて言えば・・・と聞いてくれる)なので、他よりも高めに出る、というのはさておいて、調査時期が6月28〜30日と他社と比べて一番遅いからである。つまり「定額減税」の効果を見るには、この調査が一番適しているからだ。

〇ところが、定額減税は効果が見られなかったばかりか、今回の日経調査は通常国会の終わり際にバタバタと決めた「電気ガス料金の補助」についてまで、意見を聞いてくれている。その回答は、「有効だと思う25%」「有効だと思わない68%」とあいなった。いかんですねえ。完全に岸田首相は裏目っている感じです。定額減税に関しても、きわめて冷たい反応しかありません。

〇この調子でいくと、来週8日に出るNHKや時事通信の調査も似たような感じでしょう。やっぱり普通の政治家が、ポピュリストのまねごとをしちゃいかんのです。ここまで約3年、通算で1000日を超えた岸田内閣ですが、一番の悪手が定額減税だったのではないでしょうか。それ以外のことで言えば、かなり威張れる成果を挙げていると思うのですけどねえ。

〇ということで、アメリカはバイデン降ろし、日本では岸田おろし。どっちかは生き残るような気がしますけど、さて、どっちでしょうねえ。


<7月2日>(火)

〇本日は四国スミリン会さんに呼んでいただいて高松市へ。四国地域における住友林業さんのお取引先企業の会である。住宅や建材業界は割と昔からなじみがあるのだが、おそらくは円安で困っておられるはず。ということで、本日の講演会は「もしトラ」話から始めて、「シン・産業政策」、そして為替の話へとつないでみる。

〇そういえば本日は、神田財務官の置き土産とも言うべき「国際収支懇談会」の報告書が出たんですな。あとでしっかり読みましょう。たぶん円安対策のポイントは、「対内直接投資を増やすこと」と「国内の電力供給を強めること」(再エネと原発)、あとは海外に滞留している日本のおカネを、どうやって還流させるかに尽きるのだと思います。

〇向こうに着いてから聞いて驚いたのだが、東京から光吉敏郎社長が来るとのこと。実は光吉さんは日本ニュージーランド経済審会議の事務方同士で、若い頃から何度も一緒にニュージーランドで仕事した間柄である。お互いが課長代理くらいからの知り合いだが、30年近くたったらなんと向こうは社長さんである。

〇こちらは2010年のタウランガ会議に出たのを最後に、NZにはずっとご無沙汰しているのだが、光吉さんによればタウランガには今度、8階建ての木造市庁舎が建つのだそうだ。しかもその材料が、NZで植林されているラジアタパインと聞いて感動する。なるほど、今の木造建築ブームというのは隈研吾さんだけではないのですな。

〇わが国においても、木材の輸入量は貿易品目としてはかならずしも多くはないのだが、それでも2020年のウッドショック以降は国産材の使用が広がっている。変な話だが、スギ花粉問題を解決するためにも、国産のスギを切って建材として使い、代わりに花粉が出ないスギを植えていく、みたいなリサイクルをやっていくことが望ましい。

〇などと、この業界における最新情勢を伺う。あんまり感心したので、帰りの途中で双日建材のS君に電話をして、「住林さんの会合はレベルが違うぞ」などとお節介なことを言ってしまう。まあ、本当のことなんでしょうがない。

〇懇親会の立食パーティーでは、遠慮なく飲み食いさせていただいたのであるが、帰りに高松空港に着いたらANA便の到着が遅れている。この空港は梅雨の季節は霧が出るので、ときどきこうなるのである。これは仕方あるまい、ということを口実に、空港内のお店でさぬきうどんを注文する。また太ってしまうけど、高松に来たらやっぱりこれがないとねえ。


<7月3日>(水)

〇別に急ぐわけでもないのに、銀行のATMに寄って中途半端な金額を引き出してみた。が、なんと出てきたのは福沢諭吉と野口英世であった。なーんだ、つまらん。

〇今朝は新聞の号外(新紙幣20年ぶり発行)が出ていたというのに、ワシの手元に新札が来るのはいつになるのだろう。まあ、特段に急ぐ必要はないのだけれどね。

〇お札の肖像画を換えて気分を新たにする、というのは、極めてこの国に似合ったメンタリティなのだと思います。木造建築を繰り返して使い、ときどき畳を表替えする。天皇陛下の御代が変わり、元号も変わる。そうやって時間はぐるぐると同じところを回っている。

〇「脱・炭素」だとか「カーボンニュートラル」だとかいうのは、こういう循環型の世界観に比べれば、所詮は小賢しい人間の知恵よのう、とワシには思えてならぬ。資源が無駄になる、などと考えるべきではない。気分が新しくなることは、それ自体に大きな価値があるのだ。


<7月4日>(木)

〇先週のNYT紙に続き、今週はWP紙がエディトリアルで「バイデンは撤退せよ」と社説に掲げました(7月2日付)。


●Biden needs to be clear-eyed about the election. France and the U.K. show why.

(バイデンは選挙に刮目せよ〜フランスと英国を見れば理由がわかる)


〇英国のスナーク首相もフランスのマクロン大統領も、おそらくは「良かれ」と思って早期解散に踏み切ったのだろう。ただし、どちらも悲惨な結果に終わりそうである。その結果は近々判明するが、スナークは下野することになり(下手をすれば議席も失う)、マクロンはレイムダックの一丁上がりとなるだろう。バイデンよ、お前もその後を追うのでいいのか!というのである。

〇今日は独立記念日でありますが、果たしてバイデン氏の言動やいかに。ワシ的にはやっぱり「替えないで後悔するくらいなら、替えて後悔する方がいい」と思います。アメリカ人なら、そっちでしょ。ともあれ、来週になって英仏の選挙結果を確認した後では、「アメリカよ、お前もな〜」になるのかもしれませぬ。


<7月5日>(金)

〇しかしこのところ、なんでこんなに暑いんでしょうな。しかも忙しい。本来であれば、先週に仕事が集中していたので、今週は軽く流せば良いはずであったのだが。それがいかなことか、連日の仕事量である。

〇実は現在、弊社ではWindows10の会社貸与PCを、Win11マシンに交換中なのである。いや、来年秋にはサポートが終了するので、今やっておくのが得策であるのはわかる。が、新しいマシンはホントわからん。マイクロソフト社の苛斂誅求は、オジン世代には辛過ぎます。

〇しかもデータの移し替えには時間がかかる。ワシの場合、今の仕事を始めてから約25年くらいに溜めに溜めたデータが、全部PCの中に入っておる。これの移し替えに失敗したら、あまりにも痛過ぎるのである。

〇しかもこのデータは、将来、ワシが会社を辞める時には持ち出せないのである。幸いなことに、ワシの大事なデータのほとんどは溜池通信という形でこのサイトの上に乗っかっている。だからまあ、何とかなるだろう。しかるに普通の企業エコノミストの場合、今後は「大事なデータが会社のPCにあるから、会社を離れたくても離れられない」みたいなことが起こり得るのではないだろうか。

〇ホントに皆さん、どうしているのでしょうか。昔はこんなことを考えなくてもよかったのですが、人間がAIやPCに使われるような時代になりますと、なかなかに大変なことであります。


<7月7日>(日)

〇本日は七夕。事前には雨の予報でありましたが、関東では土曜日の夕方に雨が降った(柏近辺は特にすごかった)せいか、めでたく晴れてくれました。織姫と牽牛も無事に逢瀬を遂げることができたかと存じます。

〇で、不肖かんべえは、東京都知事選を横目に、総勢7人の仲間(含む:上海馬券王先生)と共に福島競馬場に向かうのである。福島駅では本日の「福島民報」を購入。早速スポーツ欄を開けてみると、「七夕賞 田辺今週も決める ルシェルブル勝機」とある。高橋利明記者がこんな風に書いている。


「7日の2回福島4日目のメインは夏の福島の大一番となるハンデGV第60回七夕賞(2000M芝)。(福島県)二本松市出身 田辺裕信騎手がカレンルシェルブルで、福島では初の2週連続重賞制覇を狙う。勝てば2014年メイショウナルト以来の七夕賞2勝目となる」


〇これはさすがに競馬予想ではなくて、贔屓の引き倒しというものではないのか。いや、福島民報は、あくまでも福島県内の読者向けの「県紙」である。となればカレンルシェルブルが6番人気であっても、ここは地元出身・田辺騎手の福島開催重賞レースの連勝を予想するのは、正しいことであると考えるべきであろう。

〇そうかと思うと、本日発売の東スポ「まりえのニッコニコ馬券」にはこんなことが書いてある。(虎石さんのあとにテレ東「ウィニング競馬」に出ている、あのまりえさんです)


「福島会最終の重賞、ラジオNikkei賞は福島出身・田辺騎手が勝利。地元紙記者のニンマリ顔、そして福島の皆さんが喜んでいるのを見ると、馬券は散々でも思わず笑顔になってしまいます。

実は、福島競馬場に向かうタクシーの中で「田辺は福島で乗るといつも以上にうまいんだよ。さすが地元だよな。ねえちゃん、今日は田辺を勝った方がいいぞ」と田辺さんの重賞Vを”予言”されていたんです」


〇これぞまさしく福島競馬。地元の熱さが競馬を支えている。そのことをワシはよく知っている。しかし地元紙記者って、誰のことだかバレバレじゃあないですか。ちなみにユーチューブの「高橋利明競馬のはなし」には、こんな風に説明されています。


「地方新聞では唯一の競馬専門記者である福島県の新聞社・福島民報の高橋利明記者が、ますます盛り上がる中央競馬の注目レースの話題や競馬記者の裏話などをあれこれ好き勝手に話します」


〇まあ、それでもまりえさんの予想は、「リフレーミング丸田騎手は七夕賞男」ということで、先週末の拙稿と同じ予想になっているのである。いや、残念でした。本日のリフレーミングは5着。今日の丸田騎手は仕掛けがちょっとだけ遅かったようです。

〇終わってみれば、戸崎騎手騎乗の2番人気レッドラディエンスが1着。1番人気のキングズパレスが2着。福島競馬にしては、意外と堅い結果でありました。馬券王先生もしっかり3連複をゲットされていたようです。まあねえ、福島競馬場では戸崎はよく勝ちますわな。田辺騎手も、本日は第4レースと第12レースでは来てくれたんですが。

〇東日本大震災の翌年から始まった不肖かんべえの福島競馬場通いは、今年で10回目(新型コロナによる3回の中断を挟む)。どんなことでも、長くやることにはご利益があって、人の輪が広がり、楽しい記憶が積み重なっていくものであります。さて、ワシらの七夕賞通いはいつまで続くのか。夏は旅打ちに限りますですぞ、ご同輩。


<7月8日>(月)

〇東京都知事選挙は小池都知事の再選(291.8万票)には何の驚きもないのだが、2位石丸(165.8万票)、3位蓮舫(128.3万票)という結果には絶句しましたな。立憲民主党が共産党と組むと、こんなにも無党派層に嫌われてしまう、というお手本のような選挙でありました。

〇ただし個々の立憲民主の議員さんたちの立場としては、このまま共産党と協力していく方が、とりあえず自分の選挙には有利になるので、このままズルズルべったりと行くのでしょう。その結果として、立民には若い候補者が登場しない。まだしも自民党にはコバホークみたいな「ニュースター」が登場しているのに、いまだに民主党政権時代の面々が「昔の名前で出ています」。これでは演歌のように、長期衰退の道を歩むのみではありますまいか。

〇自民党としては、この都知事選に大いに救われた。注目の都議補選では2勝6敗なのだから、「やーい、自民党が負けた、まけた」となっても不思議はないところ、野党第1党の方がダメージが深そうに見えるのだから。朝日新聞が困っているではないか。ああ、痛い。


●蓮舫氏、まさかの3位に涙も…選対幹部「何が原因かよくわからない」


〇この間に本日発表のNHK世論調査では、内閣支持率が前月比4p増加の25%、自民党支持率が28.4%(+2.9%)となって、青木率も5割を超えました。逆に立民支持率は前月比▲4.3Pの5.2%とほぼ半減しました。

〇ちなみに本日は6月の景気ウォッチャー調査も発表されました。6月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差1.3ポイント上昇の47.0となり、先行き判断DIも前月差1.6ポイント上昇の47.9となりました。これは定額減税の効果でありましょうか。そうだとしたら、岸田内閣としては「してやったり」となる。

〇とりあえず今回の都知事選挙の教訓は、@SNS選挙は効く(逆に今まで通りの街角大量動員作戦は効果が薄い)、A若い有権者はかな〜り政党離れしていて、何を考えているのかわからない、B供託金を上げるとか、選挙の公費助成を減らすとかしないと、ますます今回のように候補者多数のあほらしい選挙が続くぞ、あたりでしょうか。

〇まあ、しかしフランスの総選挙でも意外な結果が出ておるようですな。やはり選挙は蓋を開けてみないとわからない。こういうことがあるから、政治は面白い。自民党にとっては「勝ちに不思議の勝ちあり」、立憲民主党にとっては「負けに不思議の負けなし」といったところでありますなあ。


<7月9日>(火)

〇最近、立て続けに、「予定しておりました××の会合は、〇〇さんが体調不良により急きょ延期に・・・」ということがあった。どうも状況証拠的にみて、〇〇さんのコロナ感染が原因のようなのだが、まあ、その辺は深く追求しないのが大人の対応というものである。どんな原因であるにせよ、予定が急に空くのはワシ的にはありがたい。とはいうものの、ご本人におかれましては、どうぞ大事になりませぬように。

〇まあ、あれだ。いくら二類から五類になったとはいえ、油断をするとまだまだ危ないよ、ということだ。と思ったら、本日、日本将棋連盟から下記の2件の報告がありました。新旧の会長が相次いでこんなことになるとは、やっぱりちょっと心配であります。


●佐藤康光九段 新型コロナウイルス感染のご報告

●羽生善治九段 新型コロナウイルス感染のご報告


〇お二人は6月20日にも順位戦で戦っていたはずなのだが、さすがにそれが原因ではないでしょうな。しかし日本将棋連盟、いくら公益社団法人とはいえ、何とも義理堅いアナウンスメントをしているものである。

〇ワシは2年前のこの時期に感染して、そのときはモーサテの出演も急きょリモートにしてもらったりしたのであるが、基本的に軽症であったのでまるで懲りていない。熱が出たのが1日、咳が出たのが2日ほど。その週は在宅勤務を続けて、ちゃんと溜池通信も出ているのである。とにかく家の外に出られないのが辛かった、という記憶しかない。

〇最近は「2度目の感染」という話もちょくちょく聞きます。暑い日が続きますが、読者諸兄もどうぞご自愛を。不肖かんべえは明日は札幌に出没いたしますが、たぶんそんなに涼しくはないだろうな、と予防線を張っているところである。


<7月10〜11日>(水〜木)

〇首都圏が連日、うだるような暑さになる中で、当社のご関係先である北海道の北海鋼機さんの講演会に呼ばれて、いそいそと札幌に行くわけであります。個人的には、もう「大ラッキー!」であります。

〇新千歳空港に降りた瞬間には、「なんだ、こっちも結構暑いじゃないか」と思うのでありますが、夜になるとスッキリ涼しくて助かります。というより、上着がないと寒いくらい。いやあ、身体が楽です。首都圏の皆様に申し訳ない。

〇そしてまたいつものことながら、地元民に連れられて2次会で入った居酒屋で注文した、何の変哲もないフライドポテトが妙に旨かったりする。いつものことながら、「ずるいぞ、北海道」と言いたくなる。

〇さらに今回泊まった札幌プリンスホテルでは、朝食会場に海鮮丼が用意してある。朝から白飯を盛って、いくらと鮭とイカそうめんを乗せてご機嫌なのである。いや、そもそも今はいくらの時期ではないはずなのだが、季節外れでも旨いものは旨い。これが秋になったらどれだけ旨いのか。ずるいぞ、北海道。

〇ところが6月の景気ウォッチャー調査を見ると、現状判断DIの全国平均が47.0(前月比+1.3)となる中で、北海道は42.5(▲2.0)と最下位なのである。インバウンドによる観光需要が活況で、ラピダスの大型プロジェクトが進行中なのに、なぜそんなことになるのか。

〇観光需要については簡単で、おそらくは去年が良過ぎたから、今年の伸び代が少ないということであろう。ラピダスについては工事が活況を呈しているものの、とにかく納期を守らねばならないので、それ以外の北海道新幹線の整備などが遅れまくっているとのこと。そういえば札幌冬季五輪の誘致も、見通しが立たなくなりました。これは北海道民的には、寂しいことなのではあるまいかと。 

〇それから統計を調べて愕然とするのは、北海道の人口(509.1万人)は福岡県(510.7万人)に抜かれて全国9位に転落しておるのです。北海道はあれだけ広いというのに! ううむ、こんな風に少子化が進むと、家が売れなくなるのが建設関係では辛い。ちなみに順序は@東京、A神奈川、B大阪、C愛知、D埼玉、E千葉、F兵庫の順である。

〇それにしても今年3月に札幌に来たときとはまるで別世界で、あのときはまだ雪が残っていた。梅雨のない北海道はいいよねえ。本当にズルいんだから。年内にもう1回くらいは来たいものである。


<7月12日>(金)

〇今朝は為替が大きく円高に振れて驚きましたな。昨晩公表の米6月CPIが前月比▲0.1%だったから、ということで、これはやっぱりFRBの9月利下げは当確ですな。日米金利差は縮小するから、円が買われることに違和感はない。

〇とはいえ、一晩に4円の円高は行き過ぎだろう。これはやっぱり当局による為替介入があったのではないか。これはあったと考える方が自然であると思います。


(1)本来は7月1日に退任するはずの神田財務官が、今月末まで任期延長となっている。それは月末にG20財務相・中央銀行総裁会議が予定されているから(リオデジャネイロ、7/25-26)という大義名分はある。が、いかにも「最後っ屁」がありそうな状況である。

(2)神田財務官が狙うのは連休で市場が寂しくなった時である。今週末は3連休。ここは一発、かましを入れておくにしくはない。なあに、円安で儲けようなどという不届きな輩に遠慮はいらない。とりあえず投機筋は「沈黙の3連休」となるはずだ。

(3)そこへ来て今週の米CPIは、いよいよ米国経済の潮目の変化を示していそうである。逆に雇用統計は、じりじりと悪化を続けているではないか。古来、夏場が為替の転換点になった事例は枚挙にいとまがない。ふっふっふ。161円を当面の天井にしてやるわ!


〇ということで、当溜池通信としては「為替介入あった説」に一票を投じたいと思います。神田財務官、たぶん今ごろは高笑いではありますまいか。


<7月14日>(日)

〇トランプ前大統領、演説中に撃たれる。いや、驚きました。ますます「悪夢の1968年シナリオ」に近づいてきたような・・・。流れ弾で死者1人、負傷者2人もでているとのこと。とにかくテロはいかんです。「憎悪の連鎖」が起きないことを祈るばかりです。

〇明日15日(日本時間では明後日)からは、ウィスコンシン州ミルウォーキーで共和党全国大会が始まる。副大統領もまだ発表されていません。トランプさんの身にもしものことがあれば、その後をどうしたらいいのか、一同で完全にお手上げ状態になるところでした。

〇今週の共和党大会の日程をメモしておきましょう。


July 15 "Make America Wealthy Once Again," 経済問題

July 16 "Make America Safe Again," 犯罪と移民問題

July 17 "Make America Strong Again," 国家安全保障と外交政策

July 18 "Make America Great Once Again," 大会の総括


〇ちなみにスピーカーのリストは以下の通り。


●Trump Campaign & RNC Announce Republican Convention Headliners (July 13, 2024)


〇党の政策綱領は以下の通り。今の共和党はこんな感じなんですね。


●President Trump’s 20 CORE PROMISES TO MAKE AMERICA GREAT AGAIN!


(1)SEAL THE BORDER AND STOP THE MIGRANT INVASION

国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する。

(2)CARRY OUT THE LARGEST DEPORTATION OPERATION IN AMERICAN HISTORY

アメリカ史上最大の強制送還作戦を実行する。

(3)END INFLATION, AND MAKE AMERICA AFFORDABLE AGAIN

インフレに終止符を打ち、米国を再び手ごろな価格にする。

(4)MAKE AMERICA THE DOMINANT ENERGY PRODUCER IN THE WORLD, BY FAR!

米国を世界有数のエネルギー生産国にする!

(5)STOP OUTSOURCING, AND TURN THE UNITED STATES INTO MANUFACTURING SUPERPOWER

アウトソーシングをやめて、米国を製造超大国にする。

(6)LARGE TAX CUTS FOR WORKERS, AND NO TAX ON TIPS!

労働者への大幅減税と、チップは非課税に!

(7)DEFEND OUR CONSTITUTION, OUR BILL OF RIGHTS, AND OUR FUNDAMENTAL FREEDOMS, INCLUDING FREEDOM OF SPEECH, FREEDOM OF RELIGION, AND THE RIGHT TO KEEP AND BEAR ARMS

憲法、権利章典、そして言論の自由、信教の自由、武器を所持する権利などの基本的自由を守ろう。

(8)PREVENT WORLD WAR THREE, RESTORE PEACE IN EUROPE AND IN THE MIDDLE EAST, AND BUILD A GREAT IRON DOME MISSILE DEFENSE SHIELD OVER OUR ENTIRE COUNTRY -- ALL MADE IN AMERICA

第三次世界大戦を阻止し、ヨーロッパと中東の平和を回復し、わが国全土を覆う巨大なアイアンドーム・ミサイル防衛シールドを全て米国製で構築する。

(9)END THE WEAPONIZATION OF GOVERNMENT AGAINST THE AMERICAN PEOPLE

アメリカ国民に対する政府の兵器化に終止符を打つ。

(10)STOP THE MIGRANT CRIME EPIDEMIC, DEMOLISH THE FOREIGN DRUG CARTELS, CRUSH GANG VIOLENCE, AND LOCK UP VIOLET OFFENDERS

移民犯罪の蔓延を食い止め、外国の麻薬カルテルを解体し、ギャングの暴力を粉砕し、凶悪犯罪者を監禁する。

(11)REBUILD OUR CITIES, INCLUDING WASHINGTON DC, MAKING THEM SAFE, CLEAN, AND BEAUTIFUL AGAIN.

ワシントンDCを含む都市を再建し、安全で清潔で美しい都市を取り戻す。

(12)STRENGTHEN AND MODERNIZE OUR MILITARY, MAKING IT, WITHOUT QUESTION, THE STRONGEST AND MOST POWERFUL IN THE WORLD

軍隊を強化・近代化し、間違いなく世界最強・最強の軍隊にする。

(13)KEEP THE U.S. DOLLAR AS THE WORLD'S RESERVE CURRENCY

米ドルを世界の基軸通貨として維持する。

(14)FIGHT FOR AND PROTECT SOCIAL SECURITY AND MEDICARE WITH NO CUTS, INCLUDING NO CHANGES TO THE RETIREMENT AGE

定年年齢を変更することなく、社会保障と高齢者向け医療保険を削減することなく守り抜く。

(15)CANCEL THE ELECTRIC VEHICLE MANDATE AND CUT COSTLY AND BURDENSOME REGULATIONS

電気自動車の義務化を中止し、高価で負担の大きい規制を削減する。

(16)CUT FEDERAL FUNDING FOR ANY SCHOOL PUSHING CRITICAL RACE THEORY, RADICAL GENDER IDEOLOGY, AND OTHER INAPPRORIATE RACIAL, SEXUAL, OR POLITICAL CONTENT ON OUR CHILDREN

批判的人種論、急進的ジェンダー・イデオロギー、その他の不適切な人種的、性的、政治的内容を子どもたちに押し付ける学校への連邦政府資金を削減する。

(17)KEEP MEN OUT OF WOMEN'S SPORTS

女性スポーツからトランスジェンダーの男性を締め出す。

(18)DEPORT PRO-HAMAS RADICALS AND MAKE OUR COLLEGE CAMPUSES SAFE AND PATRIOTIC AGAIN

親ハマス過激派を追放し、大学キャンパスを再び安全で愛国的なものにする。

(19)SECURE OUR ELECTIONS, INCLUDING SAME DAY VOTING, VOTER IDENTIFICATION, PAPER BALLOTS, AND PROOF OF CITIZENSHIP

同日投票、有権者の身分証明、紙の投票用紙、市民権の証明など、選挙の安全を確保する。

(20)UNITE OUR COUNTRY BY BRINGING IT TO NEW AND RECORD LEVELS OF SUCCESS

新記録となる成功のレベルをもたらすことで、わが国を団結させる。


<7月15日>(月)

〇考えてみれば、来週末にはパリ五輪大会が始まるわけですが、開会式はセーヌ川で行われるのだとか。先日、ある警備関係の方が、「オープンスペースの警備は大変だと思いますよ」と言っておられました。

〇トランプさんの暗殺未遂現場もそうですが、やっぱりテロリストの側になってみると、オープンスペースは狙いやすいのです。だから警備関係者としては、なるべくイベントは屋根のある会場内でやってもらいたい。入り口で持ち物のチェックができますからね。少なくとも隣の建物の屋上からライフルで狙う、なんてことは不可能になります。

〇「でも去年のG7広島会合は、平和記念公園で各国首脳の皆さんが献花されましたよね」と尋ねてみましたところ、「ああ、あのときは広島市内が会社も学校も全部休みにしてくれましたから」と。なんと広島名物の市内電車まで止めたんだそうです。まあ、そこまでやったから、ゼレンスキー大統領も呼べたわけですよね。

〇そしてまあ、オープンスペースは「絵」になる。あのときは「原爆を落とした国の大統領と、落とされた国の首相が並んで献花する」というすごい写真が撮れました。あれが建物の中であったなら、それほど感動的な「絵柄」にはならなかったことでしょう。

〇実際、今回のトランプさんの襲撃現場からは、見事な写真と映像が残った。シークレットサービスに囲まれながら、血まみれのトランプさんが右手を挙げて「ファイト、ファイト!」と叫んだ映像は、多くの人の記憶に残った。良くも悪くもトランプさんは、このビジュアルをこれからとことん使うでしょう。

〇そういえば岸田首相は、和歌山県で爆弾テロに遭った経験があるのだけれど、そのことはまったく「使って」おられませんな。みんなすっかり忘れてるんじゃないかなあ。ちょっと政治家らしくない。まあ、そういう「ゆるい」ところが、キッシーの良さなのかもしれませんが。

〇さて、米大統領選である。いくら「絵になる」からと言って、今後は警備は厳しくなることでしょう。警備体制としては、大統領候補に対して発砲を許したこと自体がとんでもない「失態」ですからね。とはいうものの、トランプさんはああいう派手好きな方ですから、オープンスペースで選挙運動をやりたがるでしょうね。とりあえずこの後の党大会がどんなことになるのか。

〇4年前のコロナ騒動の時の大統領選挙もそうでしたが、民主党は地味好みで党大会もリモート優先でした。共和党は派手好みで、ホワイトハウスにオペラ歌手を呼んだり、盛大に花火を打ち上げたりしたものです。しかるにその際の警備体制をどうするのか。明日からの共和党全国大会は、ミルウォーキーの屋根のある空間で行われるようですが。

〇これから夏季五輪大会もありますし、世の中全体が「1968年」的に物騒な感じになりそうです。自民党総裁選挙だって気を引き締めてやらねばなりませぬぞ。とりあえずオープンスペースにご用心、と申し上げておきたいと思います。


<7月16日>(火)

〇思えばずっとアメリカ大統領選挙を追いかけてきて、「銃弾」や「流血」を目にすることは先週末まではなかった。もちろん「ブラックライブズマター」とか、「1月6日」とか、アメリカ政治に暴力はつきものである。ただし大統領が公衆の目の前で狙われる、というシーンはここしばらくはなかった。それは幸運なことだったのかもしれない。あまり考えたくないけど、これから先はそれが当たり前になってしまうのかも。

〇思えばここまで、@6月27日のテレビ討論会、A7月1日の最高裁判断、B7月13日の暗殺未遂事件、と驚天動地のドラマが半月の間に3件もあって、今やどう考えてもトランプさんの勝率は5割を超えている。もう「もしトラ」では失礼であろう。かといって、投票日までは4か月弱もあるのだから、「ほぼトラ」もまた不正確である。「まじトラ」くらいでしょうかねえ。とりあえずNY株が最高値を更新し、暗号資産やエネルギー株が買われるくらいには、市場は「トランプ大統領」を折り込み始めている。

〇今日からは共和党全国大会である。副大統領に指名されたのはJ.D.ヴァンス上院議員であった。正直、ワシ的には意表を突かれたが、トランプさんの胸の内はいかばかりであったか。たぶん以下のようなことを考えたのではないかなあ。


(1)2016年に大統領候補になったとき、トランプさんはまだ共和党にとって「他所者」だった。そこで副大統領に指名したのは、@下院議員として長いキャリアを持ち、A宗教的右派に推されているマイク・ペンス州知事(インディアナ州)であった。つまりペンス氏を通じて、トランプさんは共和党エスタブリッシュメントと福音派にアクセスを得た。これはいいチョイスであった。

(2)それから8年が過ぎ、今や共和党はすっかり「トランプ私党」になった。福音派もすっかりトランプさんに「なついて」いる。今となっては、トランプさんが必要とするのは、自らが大義名分としていた「忘れられた人々」へのアクセスである。ラストベルトの白人ブルーカラー層が、「トランプはもう俺たちのことを忘れてしまった」と思い始めたら、そこから没落が始まるはずである。

(3)その点、『ヒルビリー・エレジー』の著者であるJ.D.ヴァンスは、もともとが「中西部のダメな白人社会」で育った。たまたま海兵隊に入って、イェール大学を卒業して、ベストセラー作家になって、ピーター・ティールに見込まれてシリコンバレーで一旗揚げ、そしてオハイオ州の上院議員となった。そういう人物をラニングメートにするのは、「俺はお前たちのことをけっして忘れない」という意思表示になる。

(4)ヴァンスは、途中でトランプさんに楯突いていた時期もあったが、そこは許してもらった。そういうヤツならけっして裏切らないだろう、という計算があるのだろう。最悪、自分が大統領を任期中に辞めて、昇格したヴァンス大統領に恩赦させる、みたいなシナリオも、けっしてないとは言えませんからな(ニクソン大統領の前例あり)。

(5)「忘れられた人々」を救済するという計画には、長い時間を必要とするだろう。トランプさんの次の4年だけでは足りないかもしれない。そこは自分とそっくりな考え方のヴァンスに、しっかり後を継がせる、というメッセージにもなる。MAGA層はきっと喜んでくれるだろう。


〇ついでに言うと、今回の党大会にはニッキー・ヘイリーは呼ばれていない。が、きっと最終日までには呼ばれるだろうし、それで党の団結を示すという演出になるのだと思います。彼女としても、ここでミルウォーキーに行かないようでは未来が閉ざされてしまう。2028年に向けて、彼女の強力なライバルが誕生してしまったのだから。それに銃撃事件の後だけに、気分的にも行きやすいという面もあるはずだ。

〇ということで、共和党が圧倒的な優勢を築いた感もあるのですが、そこは米大統領選挙である。まだまだ先は長いし、波乱があって不思議はない。なにしろ2000年以降の米大統領選挙において、一番大差がついた2008年でも、オバマとマッケインの一般投票数の差は7%に過ぎなかったのだ。最後は必ず僅差の戦いになる。

〇民主党は反撃に出なければならない。このままホワイトハウスを奪われ、上下両院でも多数を取られ、しかも最高裁は6対3のままで、なんて状態を招いては危機的な状況になってしまう。やはり「バイデン降ろし」は避けられないのではないかなあ。


<7月17日>(水)

〇共和党大会は今日が2日目。案の定、ニッキー・ヘイリーさんはミルウォーキーに登場しました。ロン・デサンティス州知事もやってきて、党の団結を訴えました。まあ、こういうときの定番です。驚くべきことではありません。

〇JDヴァンスの副大統領の指名は、直前に「差し替え」があったようですね。もともとのトランプさんは、(不肖かんべえの読み通り)ダグ・バーガム州知事(ND)に傾いていた。この人、古い表現だが「いぶし銀」で、何があっても任せて安全というタイプ。JDヴァンスはもっと危なっかしい。が、若さも魅力である。トランプ・ジュニアとエリック・トランプの息子二人が、最終局面で強力に推したらしい。さて、この予定変更は今後、どう出るのか。

〇トランプ氏の影響力は市場に及び始めた。というよりは、マーケットが勝手に材料視して動き始めた。NY株価は2日連続で最高値を更新し、為替市場では1ドル156円まで円高が進行した。トランプさんの「円と人民元安批判」発言が効いてくれた模様。もっともこういう「口先介入」は、ファンダメンタルズがあるからこそ動くものである。この先、FRBは利下げに動き、日銀は引き締めに向かう。日米金利差は確実に縮小する。

〇面白いことに暗号資産が値を上げている。これは共和党のプラットフォームにちゃんと書いてあるからだ。こういうときは、キチンと原典に当たることをお勧めいたします。


Crypto

Republicans will end Democrats’ unlawful and unAmerican Crypto crackdown and oppose the creation of a Central Bank
Digital Currency. We will defend the right to mine Bitcoin, and ensure every American has the right to self-custody of their
Digital Assets, and transact free from Government Surveillance and Control.


〇トランプさんの当選確率が急上昇したことで、この手の「仕掛け」が増えてくる。いつものことながら、マーケットの反応は面白いね。

〇てなことで、不肖かんべえは明日はWBSに出没いたします。







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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)