●かんべえの不規則発言



2020年4月 





<4月1日>(水)

○少し前に流行った本に『ホモ・デウス』(ユヴァル・ノア・ハラリ)がある。若きイスラエル人の歴史学者が、テクノロジーとサイエンスの未来を才気煥発に、さまざまな雑学をきらびやかに振りまきながら語った本である。

○この本は冒頭で凄いことを言い切る。「人類は飢饉と疫病と戦争という3つの敵を抑え込んだ。これでもう残忍な生存競争を生き抜く必要がなくなった。その結果、人は不死と幸福を追求することになり、神にアップグレードされる」と。だからホモ・サピエンスはホモ・デウスになる。パチパチパチ。

○なるほど生き物とは所詮、アルゴリズムに過ぎぬ。その中で人間だけが文字を持つことができ、結果として宗教やら国家やら企業やらという虚構を生み出し、文明を築き上げることができた。この上、AIとビッグデータとバイオテクノロジーがあれば、なるほど神の域に迫るかもしれない。もっとも神に迫るのはごく一握りであって、そういう上級国民は大多数の「無用者階級」とは別世界に生きることになるのであろう…。

○…という辺りで何となくありきたりな未来論に思えてきて、ワシはこの本を上巻だけ読み終えたところで飽きてしまったのである。ごめんなさい。ユヴァル・ノア・ハラリは本書と、前著『サピエンス全史』がともに高い評価を得て、一躍、ときの人になった。それはまぁ、結構なことである。

○しかるに2020年になって、本書の前提はかなり恥ずかしい思い上がりであることが判明した。人類は疫病をまるで克服できていない。世界各国はCovid-19こと新型コロナウイルス、またの名を武漢肺炎を抑え込めるかどうかまるで見通せない。しかもこの間に各国間で無用な摩擦が生じており、世界経済は激しく損傷し、それぞれの国の社会には深い爪痕が残りそうである。

○とりあえずワシはイタリアに深く同情し、これをまったく助けられないEUに腹を立てている。自国のことで手一杯なのはわかるが、せめてECBにイタリア国債を買わせてやれよ、と言いたい。ところがドイツやオランダの緊縮財政主義者はそれを許さない。イタリアの医療制度が崩壊したのは、あんたたちのせいなのに。今から思えば、英国がEUを抜けたのは大正解であった。イタリアもこの騒動が終わったら是非そうしたらいいと思う。医者やマスクを送ってくる中国の方が、まだマシというものだ。

○EUもひどいが、WHOはもっとひどい。国際機関なんてそんなもんだ、ということを日本人が学習する良い機会になったのではないかと思う。まあ、国連とかIMFも似たようなところがありますからね。意識高い系のグローバル機関なんてものは、あきれるくらいに役に立たない。今から思えば、気候変動の心配をする10分の1でも、パンデミックに備えておくべきでした。

○ぶっちゃけ、コロナウイルスを克服するためには、各国が「自国第一主義」でいくしかない。この点で、トランプ大統領が当初から目指していたこと(国境警備の重視と製造業の国内回帰)は、意外といい線行っていたじゃないか、ということさえできる。14世紀の黒死病や16世紀の天然痘、20世紀のスペイン風邪みたいなことに直面した時、人々が最終的に当てにできるのは自国の政府、近所のお医者さんだけなのだ。後はソーシャルディスタンスや自宅待機といった我慢を、社会がどれだけ受け入れられるか。

○しかし、各国が一斉に「自国さえよければ」をやると、国境を超えるヒトやモノやカネの自由な往来は途絶え、世界経済は打撃を受けるはずである。貧すれば鈍すで、その先に戦争や飢饉がないと誰が保証できよう。相変わらず北朝鮮はミサイルを撃っているし。つまるところ『ホモ・デウス』などとは片腹痛し。人間はやはりダメダメな存在であって、戦争や飢饉や疫病に苦しむのがお似合いなのだ、ということになる。

○先日、今回のコロナ不況に対して、いかなる経済対策を打つべきかを議論していたら、「何をやっても効かない」という結論に達してしまい、「せめてこれが終わった後に、新しい日本が始まるような夢のある話を今のうちから考えておくことにしよう」ということで会はお開きとなった。意外とこれは生産的な態度かもしれない。

○人間なんて所詮は、飢饉と疫病と戦争に苦しむものなのだ、と開き直ってみれば良いのである。第2次世界大戦は大きな損害をもたらしたが、その後には男女や人種間の平等化が進んだ。皆が同じ苦労を乗り越えたからであろう。1920年代の世界大恐慌も大きな犠牲を残したが、危機を乗り越える過程で社会保障制度(Social Security)が誕生した。大きな犠牲を払うと、その後は少しだけマシになる。だからコロナの後、を今から考えておきましょう。

○だってワシらは神様じゃないんだから。贅沢を言っちゃいけません。ワシらのご先祖様は、いつもだいたいこんな感じだったんだから。


<4月2日>(木)

○ちょっと目を離している間に、アメリカ大統領選挙が様変わりである。スーパーチューズデーでバイデン候補が圧勝したのはほんの1カ月前の3月3日。いろんな意味で彼はツイていたのだが、コロナ騒動でまったく先が見えなくなってしまった。

〇本日時点でアメリカの感染者数は、世界ダントツ1位の21万6000人である。1カ月前にはまだ100人以下だった。当初はNYやCAなどブルーステーツに集中していたが、今ではフロリダやミシガン、ルイジアナにも拡散している。そして死者数も今では5000人を超えてしまった。ゲティスバーグの戦いの死者数が7058人だそうである。指呼の間にとらえた、と言ったら語弊があるだろうか。

○そこで何はさておきトランプ大統領である。以前は「たいしたことはない」と言っていたのに、「自分は戦時大統領だ」と変化し、今度は「20万人の死者が出る」などと言い出した。こんな風に前言撤回を何とも思わないのがトランプ流で、支持者もそういうものだと思っているところがこの人の強みだろう。とにかく今は連日のように記者会見を行い、目立ちまくると同時に顰蹙も買っている。そして支持率は相変わらず落ちない。

○今年の大統領選挙は基本、現職に対する信任投票となる。そういう意味では、雇用でも株価でも、2017年1月のトランプ政権発足時の水準以前に戻ってしまった。偉そうなことは、もう言えない。それでも、国家的危機の際には大統領の株は上がる。これを非難することも憚られる。その程度の同調圧力は、どこの国にでもある。

〇余談ながら、「各世帯に2枚ずつマスクを配る」という昨日の政府方針を聴いた際に、真っ先に思ったのは「今は東日本大震災でいえば、福島第一原発に自衛隊ヘリが上空から水をかけていたあの瞬間か!」であった。あのときの菅直人首相に対してさえ、非難することには躊躇があった。まして今は野党が受け皿足りえないのだから、この国の現状は深刻である。

〇話を戻して、そこでバイデン候補としては、「受けの姿勢」で行くことになる。自分は退屈な人間に見えるかもしれないが、まあまあ確実で、そこそこ有能だ。大統領として、アレと比べてどっちがマシか、皆さん、よーく考えてください、と訴えることになる。ところが如何せん、目立たな過ぎる。デラウェアの自宅スタジオからときどき情報発信するのだが、どうやって民主党内の熱気を維持していくのか。当面、自分が目立てるようなイベントは見当たらないのである。

○しかも民主党内の予備選日程がどんどん後ずれしている。この調子で行くと、6月2日に11州の予備選挙が重なる「ファイナル・ミニ・チューズデー」みたいなタイミングがあるのだが、それまではあまり見どころを作れない。副大統領候補をこの人に決めました!と言っても、「それがどうした?」と怒られてしまうだろう。ちなみに、「東京五輪の開幕は2021年7月23日になりました!」という先日の報道も、欧米では同様の顰蹙を買っていたようである。

〇問題はバーニー・サンダース候補である。自分から降りるつもりはない。そして降りるきっかけもない。当初は4月28日にNY州予備選挙が予定されていて、それで負けたら踏ん切りもついただろうに、今のNYで選挙ができるはずもなく、6月23日に延期されてしまった。誰か言ってやってください。そろそろ空気を読めと。

○もちろんバーニーのかたくなな態度には、党内から反発も出ている。「あんなのもう放っておけ。妥協する必要などない。バイデン政権ができた後のことを考えれば、政策や人事で変に妥協しない方がいい。民主党左派はウォーレンやAOCに代表してもらえばいいじゃないか」みたいな声が出てきている。「本来、民主党は『連合』であって『カルト』ではない」(ジェームズ・カービル)というのは、相当にムカついているのでしょう。

○バイデンがさらに気を付けなければいけないのは、民主党内に新たなヒーローが誕生しつつあることだ。それはクオモNY州知事。感染者数の激増と医療崩壊の瀬戸際で、日々、英雄的な活動をみせている。いや、今後のコロナウイルスとの戦い次第では、来月にはまた別のヒーローが登場しているかもしれない。そのくらい事態の展開は急である。

○バイデンが民主党の正式候補になることは既に「当確」である。ところが下手をすればこのまま埋もれてしまう。しかし今年は、米大統領選挙としてはめずらしいことに、「政治家としての経験が、負債ではなく資産になる」年となる可能性を秘めている。そうだとしたら、「バイデンはもしかしたら強い候補なのかもしれない」(当欄の昨年12月8日参照)という予言が的中することになる。

○ということで、まったく訳の分からない大統領選挙である。1か月後にはどうなっているのだろう。いや、そんなこと気にしてちゃいけないのかもしれないのだけど。


<4月3日>(金)

〇今宵発表された3月米雇用統計は、失業率が4.4%(前月比▲0.9%)、NFPは▲70.1万人(前月は27.5万人増)という衝撃的なものでした。事前の予想値よりもかなり悪い。ちなみにブルームバーグ社がまとめた事前の予想位置は、失業率が3.8%、NFPが▲10万人という控えめなものでした。グラフを描いてみると、その異常な形状に愕然とされられます。

〇しかも今回の統計は、あくまで3月上旬の米国経済を反映したもので、ただ今現在の状況をフルに表したものではないでしょう。本当に恐るべきは、来月5月1日に発表される4月の雇用統計であって、この間の新規失業保険申請件数から想定するに、さらにひどい数字が出ることは疑いがありません。

〇70万人という失業者数は、アメリカで雇用されている人口、1億6000万人の0.5%弱に相当します。このうちかなりの人たちが、健康保険も失ったのだと考えると、このコロナ危機のさなかにおいて、ドキッとさせられるものがあります。新型コロナの検査を受けるのは無料かもしれないが、「あなたは陽性です」と言われた瞬間に地獄が始まる。果たして治療費が払えるのか?

〇かのリーマンショックの際は、2008年9月のリーマンブラザーズ社の経営破綻から、1年間の間にNFPは無慮678万人も下落しました。ひと月の最悪は▲82.6万人(09年3月)でした。1年かけて製造業を中心に、ずるずると悪化が続いたわけでありまして、ようやくNFPが増加に転じたのは2010年3月になってからでした。

〇それに比べると今回のコロナ危機は、サービス業を中心に瞬時にして雇用が悪化したことになります。何しろ米国内の主要大都市が次々にロックダウンされている。再開までには長い時間を必要とするでしょう。2月の失業率3.5%は当面のピークということで記憶され、この記録が更新されることはしばらくないのではないでしょうか。

〇私の政権下で雇用状況は絶好調で・・・・とトランプ大統領はこれまでに何度も繰り返しました。黒人やヒスパニック層においても、史上最高の雇用状況であると。ところがもはやそんなことは言っていられない。九仞の功を一簣に虧く、とはまさにこのこと。

〇その割にマーケットの反応は控えめであるように思われます。ということは、本当の意味でサプライズではなく、ああ、やっぱりねの出来事だったのかもしれません。うむ、やっぱりな。


<4月5日>(日)

〇今回のコロナ騒動の重要な点は、「世界同時」であることだと思う。今はいつ終わるのか見当もつかないけれども、@ワクチン(特効薬)が開発される、A集団免疫がつく、B回復した人が感染者の大多数を占めるようになる、などの経緯を経て、いずれは「慣れる、飽きる、忘れる」の域に到達するのであろう。「飢饉、疫病、戦争」に対する人類の対抗策は、いつもそんな感じであった。

〇そうなったときに、各国の各集団はどんな「記憶」を持つだろうか。例えば、過酷な状況を体験したイタリアやスペインの人たちは、どんな感慨を持つのだろうか。そのことによって信仰は深まるのか、あるいは役に立たなかったということになるのか。それどころか教会で感染してしまった、みたいな話だってあるだろう。韓国の大邱市では、新興宗教が大クラスターになったようであるし。

〇国際関係はどうなるのか。やっぱりEUはひでえな、とか、中国のことなんて考えたくもない、となるのか。たぶんどこかの国に恩義を感じる、なんてことはなくて、憎しみの方がより強く残る気がする。もちろん、自国の政府に対する不信感も長く残るだろう。あるいは医療機関に対する思いも、さまざまに深いものになるはずである。

〇まだ十分に伝わってこないけど、特に武漢市にはいろんな思いが詰まっていることだろう。何しろ数が多いので、つらい別れをした人は膨大な数に達するはずである。そして彼らは、共産党指導部に対してどんな思いを抱いているのやら。ひとつだけ確実なのは、この後、「自分はあのとき武漢に居た」ということを軸として、膨大な物語が紡ぎだされるであろうということだ。ちょうど東日本大震災が「あまちゃん」や「シン・ゴジラ」を生み出したように。

〇家庭単位でもいろいろありそうです。外出禁止で家に閉じこもっている時間が長くなることで、家族の関係が深まるのか、それとも「もう顔も見たくない」になって、のちのち「コロナ離婚」が続出するのか。えらく先の話かもしれないけれども、まあ、家で暇にしているとそんなことも気になってくるわけでありまして。

〇おそらく、各国がいろんな形で「共通の記憶」を持つことになるのでしょうが、そのときに日本人が持つ思い出は、ちょっと他国とは違うものになりそうである。いや、もちろん、この先、爆発的に感染が拡大して、自分がコロナで死んだり、医療崩壊が起きる恐怖と日々戦っておるわけですが、「途中で気が緩んで花見に浮かれちゃいまして」などという時点で、既に「規格外」なんです。われわれは。

〇だから将来、日本人が外国人とCovid19について語り合うときに、なんとなくきまりの悪い思いをすることになるような気がする。あるいは、「あの国はちょっと変」というステロタイプを強化してしまうかもしれない。まあ、それが一大事かといえば、もちろんそんなことはないのであります。幸か不幸か、といえば、幸いに近いはずなのだから。


<4月6日>(月)

〇明日でいよいよ緊急事態宣言ですね。今回の政府の動きを見ていると、いつも火曜日がカギになっています。


3月24日(火)→東京五輪の1年程度延期を決定(3月26日の福島で聖火リレーが始まる前に決定する必要があった)。

3月31日(火)→「4月1日に非常事態宣言説」が流れる(年度末の株価は重要なので、その翌日が怪しいということになった)。

4月7日(火)→政府が諮問委員会を開催し、答申を受けたうえで国会に報告し、緊急事態宣言発令。


〇オリンピックの延期決定から2週間で緊急事態宣言。うーん、なんだか最初から予定していたみたいに見えますね。まあ、この間の動きは、世界全体ともに急だったのですが。

〇ちなみに3月10日(火)と3月17日(火)は、いずれも前日のNY株価大暴落で始まっていて、今から思うとここで世の中の雰囲気が変わりましたね。いつもサプライズは火曜日にやってくる。

〇さらにその前の3月3日(火)はスーパーチューズデーだったわけでして、まるで遠い昔のことのように思われます。あのときはジョー・バイデンさんが光輝いて見えたんですよね。今はむしろアンドリュー・クオモNY州知事の方が脚光を浴びていますけど。

〇ということで、どんどん関心が薄れているアメリカ大統領選挙ですが、お求めに応じてこんな小文を寄稿しました。つまるところ、これがワシの仕事なのよね。


●「最後のミニ・チューズデー」が次の焦点に https://media.gaitame.com/entry/2020/04/06/132914 


<4月7日>(火)

〇どうやらこんな感じに分類できますね。


●都市封鎖=中国。武漢は1月23日から4月8日まで、公共交通機関のみならず道路まで封鎖された。明日になったら、中国共産党のプロパガンダが盛大になりそうです。

●ロックダウン=欧州。都市に視点。もともと都市には城壁があって、黒死病などの際に門を閉じるのはしばしばあったこと。強権発動が可能。中国の場合と違い、権力者もその内側にいる。

●ステイ・アット・ホーム=米国。個人に視点。本来は「家にいてください」というお願いベースなるも、もとより州知事の権限が強い(州兵まで動かせる)お国柄なので、いろんなことができる。


〇日本がこれから目指す「緊急事態宣言」は米国型で、しかも強制力のない「お願いベース」。その意味で、ロックダウンとは程遠いものです。その一方で、同調圧力がとっても強いお国柄なので、それだけで十分効力を発揮するかもしれない。まあ、やってみなければわからない。やってみましょう。

〇もちろんPlan-Bとして、もっと強制力のある法制を用意しておくことが必要だと思います。「ここまでしかできません!」というのは官僚の言葉。国会議員の皆さんは、それではいけませんよ。立法権を持っているということを、強く自覚していただきたいものです。

〇さて、歴史的に言えば、日本も天然痘のような感染症と戦ったことがある。しかし都市封鎖のような経験はない。感染症対策は、基本的に「集団免疫」を獲得することだった。しかし今回のCovid-19はあまりにも感染力が強く、そうなるまでに医療崩壊を招きかねない。なかなかつらい局面と言えます。

〇ともあれ、感染症対策はそれぞれの国の歴史に規定されるようです。われわれはあんまり「下地」がない。その点をよく承知しておきたいものです。


<4月8日>(水)

〇武漢市の封鎖解除のニュースを見ていて、ふとこんな妄想が浮かんだ。まあ、SFと言ってもいい。1年後の世界がこんなふうになっていても、全然不思議ではないのではないのかなあ。


●2021年7月、東京五輪が開催される頃、Covid-19のワクチンや特効薬はまだ開発されていない。それでも、さすがに検査の方法だけは進歩していて、誰がコロナに感染していて、誰がしていないかはすぐにわかるようになった。感染者が見つかったときの隔離や、その後の治療のノウハウもそれなりに前進した。

●その結果、すでにCovid−19抗体を持つ人たちが、人口の2割程度を占めていることが判明した。感染してから快癒した人、いつの間にか抗体を得ていた人など、いろいろなケースがあるのだけれども、その人たちはリスクフリーなのである。深夜の街を徘徊するもよし、海外旅行に出かけるもよし。抗体を持つ人たちはそのことに対する証明書を持ち、それは天下御免に行動できる印であった。

●そうでない人たちは、あいかわらず「不要不急の外出を避け」て、家の中でひっそりと暮らしていかざるを得なかった。いつかは抗体を持つ人口が全体の過半数を超え、そうなれば感染は完全に下火になるだろう。ところがそうなるまでには意外と時間を要した。「抗体のある/なし」で、世界は全く二分されることになってしまった。

●「抗体がある」というだけで、世の中はまったく有利になる。就職でも結婚でも、そうでない場合に比べてはるかに優遇される。もちろん、それは本人の努力によるものではなく、単なる運不運の問題に過ぎない。それでも自由に行動できる人とそうでない人の間には、いつの間にか能力差が生じてしまう。

●かくして世界は思いもかけない形で、支配階級と被支配階級ができてしまうのであった。


〇うむ、『ホモデウス』なんかよりも、よっぽどこっちの方が薄気味悪い未来だなあ。特に「どんなことでも我慢できるけど、格差の拡大だけは許せない」という価値観の人からは、こんなことを思いつくだけでワシ個人が罵られてしまいそうである。いや、それはご勘弁を。今日だってワシは在宅ワークの1日であったし、明日もその予定なんだから。











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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)