●かんべえの不規則発言



2017年2月 






<2月20日>(月)

○トランプ政権発足から今日でちょうど1か月。本人が「大人になる」ことはなく、「さすがに大統領になれば現実的になるだろう」という周囲の期待も外れ、あいかわらずの「天然ぶり」を発揮しています。「アメリカで新大統領が誕生しても、日本人が関心を持ってくれるのはいいとこ1か月くらい」(オバマの時はホントにそうだった)という不肖かんべえの読みは大外れとなり、トランプ尽くしの日々が今日も続いています。

○トランプ政権の最初の3週間はまさに絶好調。24本もの大統領令を発出し、つまり「1日1本」以上のペースで世間を賑わせておりました。それが先週は1本もなし。この間に「イスラム圏7カ国からの入国禁止措置」は司法に否定され、マイケル・フリンNSC担当補佐官は辞任を余儀なくされ、その後任候補者にも振られ、閣僚人事は遅々として進まず、メディアからは「ロシアゲート」で叩かれています。「いよいよ潮目が変わった」と見えるかもしれません。

○ところがそれは希望的観測でしょう、ご本人はこの週末、フロリダ州に出かけて選挙戦もどきの演説をやってきました。これこそ元気の素というべきで、政治経験もなければワシントンに足場もないドナルド・トランプ御大にとっては、「選挙で勝った」ことが唯一の資産なのです。そして選挙に勝てたのは、「ワシントンに居るエリートどもには、けっして聞くことができない『忘れられた人々』が何を望んでいるか、自分には分かる」からなのです。

○リアリティTV司会者として成功を重ねてきたトランプ氏には、庶民の本当の気持ちがわかる。それを口にしたら、普通の政治家だったらアウトになるということもわかっている。ところが彼は政治家としての欲がないものだから、勝ち負けを度外視して言いたいことが言える。だからこそ、草の根の人気が続く。きわめてシンプルな話です。

○ところが既存のメディアどもは、相変わらず自分たちのどこが間違っているかが分かっていない。「トランプさえ追い落とせば、昔のまともな政治が帰ってくる」「成果を挙げられなければ、トランプ人気も失速するだろう」などという救い難い勘違いをしている。トランプ支持者たちは、エリートたちが右往左往しているのを見て喜んでいるのです。気の毒なことに彼らは、これが復讐劇であることに気づいていない。それではまだ罰ゲームが済んでいないというものです

○今現在の世論調査のデータを見てみると、支持率は平均で45%程度だからお世辞にも高くはない。ところがよくよく見ると、それはCNNのように今の政権と対立しているメディアが平均値を下げている。トランプ支持者のところにCNNが電話をかけてきたら、それは用件を聞かずにガチャンと切るのが当たり前ですから、そりゃあ数字は低くなりますわな。逆にラスムッセンのように、電話とネットの両方で世論調査をやっている会社では、トランプ支持が高めに出る。つまり「トランプ支持」は表立っては言いにくい、という状況が続いているようである。

○だったらトランプ氏が意気軒昂となるのも無理はない話で、今週は反撃の1週間となるのではないかと思います。来週28日は議会合同演説もある。まだまだぬかるみは続くと思いますぞ。こうなると、マイケル・フリンが健在な間に日米首脳会談を終わらせた(しかも最終日には北朝鮮のミサイル発射があり、それを処理した翌日に辞表を提出した)ことは、信じられないほどの幸運だったと言わざるを得ません。


<2月21日>(火)

○さるテレビ局関係者曰く。いま視聴率が取れるネタは、@まさお、Aゆりこ、Bトランプ、そして東芝は圏外と。うーん、そんなことでいいんですかねえ。


@叔父を殺害し、多くの部下を粛清し、ついには兄にも刺客を放った弟が、今やいかなる心境に至っているかは想像に難くない。いわば猜疑心に駆られた戦国武将のようなもの。危なっかしいなあ。

――この戦国武将は核兵器とミサイルを持っている。はて迷惑な。これではやはり策源地攻撃能力程度は、わが国として必須条件でありましょうや。


Aゆりこは既に「うちだ」を成敗し、次には百条委員会に「いしはら」を呼びつけ、さらには五輪開催で恨み重なる「もり」を討ち果たす。3つの「ドン」を退治した後は、いよいよ狙いはポスト安倍か。

――昨日、フジサンケイグループの「正論大賞授賞式」に行ったんですが、今年はめずらしくも安倍首相が来賓で来られなかったのですよ。なにしろ今年の大賞受賞者は木村汎北海道大学名誉教授。木村先生、思い切り安倍政権の対ロ外交を批判していましたから。そしたら代わりに壇上に立ったのが小池都知事。「あなたが来ないんなら、私がやるわよ〜」と言っているようでしたが、それって深読みし過ぎ?


B本日は「プレジデンツデー」。2月22日生まれだったジョージ・ワシントンを記念して、アメリカでは2月の第3月曜日は祝日になるのですよ。そこでこの日にこんなデータをご紹介。歴史家が判定する偉大な歴代大統領のランキングです。

――今回初登場のバラク・オバマ第44代大統領は歴代12位と好位置につけました。現在のドナルド・トランプ第45代大統領はどの辺になるんでしょうか。あんまり上にはいかないでしょうねえ。


<2月22日>(水)

○昨日、ご紹介したC−SPANによる歴代大統領のランキングですが、よくよく見るといろんな発見があります。以下は上半分だけのご紹介。

  President's Name Order Party Score 2017 2009 2000
1 Abraham Lincoln 16 Republican 906 1 1 1
2 George Washington 1 No Party 867 2 2 3
3 Franklin D. Roosevelt 32 Democrat 854 3 3 2
4 Theodore Roosevelt 26 Republican 807 4 4 4
5 Dwight D. Eisenhower 34 Republican 744 5 8 9
6 Harry S. Truman 36 Democrat 737 6 5 5
7 Thomas Jefferson 3 Dem/Rep 727 7 7 7
8 John F. Kennedy 35 Democrat 722 8 6 8
9 Ronald Reagan 40 Republican 691 9 10 11
10 Lyndon Baines Johnson 36 Democrat 686 10 11 10
11 Woodrow Wilson 28 Democrat 683 11 9 6
12 Barack Obama 44 Democrat 668 12 NA NA
13 James Monroe 5 Dem/Rep 645 13 14 14
14 James K. Polk 11 Democrat 637 14 12 12
15 Bill Clinton 42 Democrat 633 15 15 21
16 William McKinley Jr. 25 Republican 626 16 16 15
17 James Madison 4 Dem/Rep 610 17 20 18
18 Andrew Jackson 7 Democrat 609 18 13 13
19 John Adams 2 federalist 603 19 17 16
20 George H. W. Bush 41 Republican 596 20 18 20



○思うままにいくつか感想を。

*リンカーン、ワシントン、2人のルーズベルト、という上位陣は納得だが、定番のジェファーソン(7位)はやや低い気がする。

*アイゼンハワーの5位にはビックリ。ランキング赤丸急上昇中。アメリカ政治の分極化が進むにつれて、1950年代の中道政治が評価されている模様。

*ウッドロー・ウィルソン(11位)やアンドリュー・ジャクソン(18位)は近年下がっている。どうも戦争に勝った人の評価が落ちているような。

*今回初登場、オバマの12位はちょっと高過ぎでしょう。確かにスキャンダルはなかったけど、外交政策はひどかったと思うぞ。そもそも、彼がそんなに偉大であったなら、トランプ政権はできていないはず。

*32代のFDRから36代のLBJまで、5人全員が連続してトップテン入りはすごい。アメリカが世界の覇権国となった時期は、やはり指導者も優秀だったのか。

*逆にレーガン(9位)が冷戦を終わらせてからは、クリントン(15位)、ブッシュ子(33位)、オバマ(12位)と一桁台は出ていない。やっぱり覇権国ではなくなっているのかも。

*民主党と共和党はほぼ半々。ただし4人だけいるウィッグ党の大統領は全員順位が低い。ザッカリー・タイラー(31位)、ミラード・フィルモア(37位)、ベンジャミン・ハリソン(38位)、ジョン・タイラー(39位)。

*16代リンカーンがぶっちぎりしている一方で、その前後の大統領は惨憺たる成績。14代ピアスが41位、15代ブキャナンが43位=ブービーメーカー、17代ジャクソンが42位=ブービー。南北戦争で国が割れそうになった時期に、リンカーンが救世主になったということですな。

○こうしてみると大統領もさまざまでして、45代ドナルド・トランプ大統領にはどんな評価が下されるのでしょうか。・・・・きっと下の方でしょうなあ。
















***月初に戻る









編集者敬白





●不規則発言のバックナンバー

2017 2016 15 14 13 12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99
  16年12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月 12月
  16年11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 11月
  16年10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月 10月
  16年9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月 9月  
  16年8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月 8月  
  16年7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月 7月  
  16年6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月  
  16年5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月 5月  
  16年4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月 4月  
  16年3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月 3月  
17年2月 16年2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月 2月  
17年1月 16年1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月 1月  

溜池通信トップページへ

by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)