●かんべえの不規則発言



2019年3月 





<3月18日>(月)

○朝は「モーサテ」へ。今日のネタは「景気判断、表現どう変わる?」でありました。ついでに「今日のオマケ」もご紹介。本日は「パックンはお笑い芸人としてスゴイ!」ということに感動しました。普通のコメンテーターではないのであります。

○今日の経済視点では「チャイナ・リスク」を挙げました。チャイナ・リスクというと、皆さん中国経済が減速してほかに影響が及ぶことをいうわけですが、そんなことは去年からずっと言われ続けてきたことで、今さら知らないとは言わさない。そんなことは当然、想定の範囲内であるはずなのです。

○それよりも怖いのは、既に中国経済が底を打っていて、ここから急速に世界経済が反転し、アメリカなどは過熱気味になってしまうというシナリオです。その場合、Fedは再び引き締めに転じねばなりませぬ。しかし昨年12月はタカ派、今年1月はハト派、それが再びタカに・・・なんてことが実際問題としてできるのだろうか。それって大騒ぎになるのではないか・・・・。つまりチャイナ・リスクにはアップサイドもあるのであって、それは皆さん、あまり考えておられないご様子。そっちの方が怖いかもしれませぬぞ。

○今日は2月の貿易統計が出ました。パッと見ただけですが、思ったほど悪くはない。1-2月を慣らしてみると、日本の対中輸出は確かに前年比で減ってはいるけれども、この程度であればそんなに騒ぐことはないかもしれない。後は2月の鉱工業生産を待たねばなりませぬ。

○モーサテの後は新幹線に飛び乗って金沢へ。相変わらずにぎわっておりましたな。特に金沢駅の土産物売り場は、それはもう大変なものでありまして、ついつい変なものを買ってしまいました。ブランド力というものは、こういうところで出るものでありますな。


<3月19日>(火)

○今朝の日経新聞を見たら、「3月20日の月例経済報告は現状維持」とのこと。うーん、そんなことでいいのでしょうか。一方で本日の「大機小機」欄は、「微妙な段階に来た景気判断」という含蓄のある文章を乗せている。察するところ、「隅田川」さんは経企庁のOBなのではないのかなあ。

○ちょっとこれはいかがなものか、てな話を、今朝の「くにまるジャパン極」で申し上げる。やっぱり内閣府から経済企画庁を分離すべきではないのかと。エコノミストが日本経済を語る時は、日本政府ではなく日本国民の側に立つべきである。今の内閣府の中にいると、なかなかそんなわけにはいかない。政府内野党といわれてもいいから、愚直にデータを読んで正論を吐く部局が政府内に必要なのではないかと考える次第であります。

○番組が終わってから、2日連続北陸新幹線に乗って長野市へ。本日は信濃毎日新聞社主催の「信毎セミナー」。最初に呼ばれたのが10年前で、もうこれで5回目くらいだろうか。いかにも長野らしい、真面目なお客さんを相手に現下の日本経済をどう見るか、てな話を1時間半ほど。貴重なご質問を3ついただきました。

○夜は都内某所でブラックタイ盛装のパーティーへ。なんだか、これだけいろんなことが重なると、我ながら躁状態みたいな感じでありますな。若気の至りで、20代の頃に作ってしまったタキシード(その頃はバブル経済だった)、そでを通すのはこれが合計で10回目くらいか。とりあえず、ちゃんとズボンがはけるだけでも儲けものである。


<3月20日>(水)

○本日発表の月例経済報告、結局は下方修正となりました。基調判断は、「景気は、輸出や生産の一部に弱さがみられるが、緩やかに回復している」でした。結果的に官庁エコノミストの良識が示されたと思います。本日発行の溜池通信は、一部誤報となってしまいましたが、まあ、そこは仕方がない。ギリギリの判断だったのではないでしょうか。

○今週は月曜に「モーサテ」に出て金沢に行き、火曜は「くにまる」に出て長野に行き、夜は日仏交流160周年の晩餐会にも出て、今日はテレ朝チャンネル「津田大介」の収録を済ませ、なおかつ溜池通信もちゃんと予定に間に合わせたので、とりあえず「やり終えた」という充足感があります。あーホッとした。

○明日からは久々に海外に出かけまする。さて、どちらでしょう?


<3月21日>(木)

○ベトナムのハノイに来ております。たぶん20年ぶりのことではないかと思います。初めてきたのは1999年11月で、ちょうどこの溜池通信を始めたばかりの頃でした。

○その時は社会主義国を訪れるのが初めてだったので、イミグレで軍人のような係員が威張っていることにびっくりしたものです。それが今ではすっかり様変わり。何しろこの国は、今では入国カードもなければ、イミグレで写真を撮られることさえありません。

○そして、街は夜になると真っ暗になり、まことに寂しく見えたものですが、今ではこうこうと明かりがついている。何しろ今、これを書いているのが地上55階なのですから、推して知るべしであります。

○ひとつ発見したことは、この街の中心部は大統領府があって、大きな広場があって、ホーチミン廟がある。この作りはモスクワと全く一緒ですな。すなわち赤の広場の隣にレーニン廟とクレムリンがある。その昔、社会主義国は揃ってモスクワをまねようとしたのでありましょう。

○おそらくは北朝鮮もそういう国のひとつであって、先の米朝首脳会談にこのハノイが選ばれたことは、そういう意図があったのかと納得します。逆にアメリカから見ると、ベトナムは戦争を戦った後に仲良くなった国であって、最恵国待遇を与える過程では、POW・MIA問題などで随分やりあった相手でもある。でも、「アメリカと仲良くなると、こういういいことがある」と教えてくれる実例でもあったわけです。

○旧市街を訪れると、ここは昔ながらの様子が残っている。でも、やや観光客モードになっているのは、浅草みたいなものですかな。街中を走るクルマの量が増えましたが、オートバイも相変わらず元気に走っています。これぞベトナム。経済成長率7%は伊達じゃありません。いや、それにしても20年間には大きな変化があったものだと感心しております。アッパレなり、ハノイ。


<3月22日>(金)

○暑い、あつい、アヅイ。昨日、今日のハノイはとっても暑いのだ。今週末になると雨が降って寒くなるという噂もあるのだが、気温が30度超えたらもう夏到来だよね。空気はあまりキレイではないのだけれども、市内にあるホアンキエム湖のそばを歩いていて、ほんのり風が吹いたときなどはホッとする瞬間である。

○出発の前夜に慌てて夏物のブレザーを取り出したのだが、これだって着ちゃいられない。半袖シャツで歩いていると、道端で何かを売っている人が居たり、何をするでもなくお茶を飲んでいる人たちが居たり、所在無げにスマホを見ている人が居たり、そうかと思えば縁台将棋(というか、中国式の将棋らしい。いくら目を凝らしても、どれが王様なのかが分からない)をやっている人たちが居る。この人たちはいったい何をしているのだろう。

○市内を歩いていて、ちょっと感動したのがホアロー収容所である。フランス植民地時代のもので、それはそれは残酷なつくりになっている。フランス人はひどいことしますなあ。場所は違うけど、スティーブ・マックイーン主演の『パピヨン』という映画を思い出す。ホアロー収容所は後にベトナム戦争時に、アメリカ人捕虜を収容する施設に転じた。いわゆる「ハノイ・ヒルトン」である。その中には若き日のジョン・マッケイン三世もいたのであった。

○そうかと思えば、ベトナム軍事歴史博物館(本日は休館)には、中国人観光客が何十台ものバスを連ねてやってきている。察するに陸路をたどってここまで来ているのであろう。ミグ21なんぞが飾ってあるが、およそオモチャのような戦闘機であって、こんなものでよく戦争したわなあ、と感心してしまう。2015年に「国宝」に指定されたそうですが。

○こんな中で、昔と変わらぬ仕事を続けているのが商社駐在員の皆様方である。世の中が移り変わるにつれて、欧米ではどんどん事務所を縮小しているのだが、それでも東南アジアでは今も変わらず商社らしいフィールドが残っている。おそらく世界経済に占める日本のシェアは、これからもどんどん低下が続くのだろうが、「ここで負けたらアキマセン」というのが東南アジアであろう。

○ここハノイは「米中貿易戦争」の論理的帰結として、今は中国に代わる製造業の拠点として脚光を浴び、どんどん外から投資がやってきている。果たしてこの繁忙、どこまで続くのか。とにかく若くて、暑くて、元気な国なのである。ベトナムは。


<3月23日>(土)

○ハノイの空港では、ベトナムエアーのゲートは超満員なのである。大きな荷物を抱えた善男善女が並んでいる中で、思わず溺れてしまいそうになるのですが、ともあれ何とか便には間に合う。そこから3時間余りで到着するのがシンガポールである。

○どうしてハノイ→シンガポールになるのかというと、別段、トランプ=金正恩会談の後を追っているわけではなくて、たまたまそういうことになっただけである。ともあれ、元気のいいASEAN新興国から、元気のいいASEANお金持ち国へ。チャンギ空港に機体が着陸して、ホテルの部屋に入るまでは1時間以内。何なんだ、この手際の良さは。

○現地では佐藤夫妻にご案内いただく。それにしても、当地における「ドンキ」の盛況ぶりにはあっけにとられました。繁華街のど真ん中のビルが、ユニクロ、東急ハンズ、Zoffなどの日本資本に占領されていて、地下街はドンキなのである(ドンキホーテ、という名前は既にスペイン資本によって登録済みであったとのこと)。

○すごいんですよ。ワンパック1500円もする「あまおう」が売れています。鮮魚コーナーでは、Buri Kirimiとか、GINDARAとかを売ってます。北海道産干しアワビ、干しなまこ(バカ高い)を見た時には頭がくらくらしましたな。もちろん和牛も人気です。日本のコメも十種類以上売ってます。

○さらに当地では、"Hokkaido"が絶大なブランド価値を有している。北海道の海産物はもとより、ラーメンから豚丼、さらには余市などのウイスキーまで売ってます。「毎年、北海道に通っている」人もいるのだそうで、なるほどインバウンドのブームというのは、相当に腰の入ったもののようです。

○いかにもドンキらしい点としては、ガチャポンを置いていて、そこにはガンダムやキティちゃん、ピカチュウなど、一通りの日本製アイテムが揃っています。しかもコインは40SDとか30SDとかですから、気分的には500円玉ですね。現地の小学校では「ベイブレード」も人気になっていて、なんとNetflixが英訳して放送しているんだとか。

○日本の感覚から行くと、何より道行く人の若さが感動的です。しかも暑いものだから、皆さん薄着なんですね。さすがは常夏の島。こんな風に若い人が元気な一方で、お店のお掃除をしているのは高齢者だったりする。世界経済の最先端を行く当地の経済は、繁栄もあるけれども矛盾もありそうだ。

○どれ、ちょっと酔い覚ましにカジノにでも行ってくるとするか。今日は土曜日。夜は長いのである。


<3月24日>(日)

○本日はセントーサ島へ。第1回目の米朝首脳会談が行われたカペラホテルを見学いたしました。ハノイのメトロポールホテルもよかったけど、こちらはさらにリゾートっぽいホテルでした。

○とまあ、いろいろありましたが、これで東南アジア旅行も終了。これから帰国いたしまする。ああ、面白かった。


<3月25日>(月)

○実を言うと昨晩は深酒をしてしまい、ホテルに戻ってきたのが午前11時過ぎ。これで早朝のANA便に間に合わないと一大事。実はひやひやしていたのですが、午前3時にはちゃんと起きられて、ありがたいことにちゃんと帰って来れました。忘れ物もないみたいです。ああ、よかった。飛行機の中ではただただ寝ておりました。

○帰って来て見ると、モラー特別検察官の報告書が出たとか、株が下がったとか、イチローが引退したとか、羽生結弦がネイサン・チャンに敗れたとか、センバツ野球が始まっているとか、いろいろあったようです。ほんの5日間でも、いろんなことがあるものですな。ぼちぼち追いつきましょう。

○明日は文化放送「くにまるジャパン」から。この番組は2009年4月から出てますので、これでちょうど10周年になるんですよね。われながらよくまあ、続いたと思います。ということで、明日も寝坊しちゃダメなのである。









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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)