●かんべえの不規則発言



2018年9月






<9月1日>(土)

○ようやく上海から帰ってきたのでありますが、やっぱり自由にグーグルが使えるというのはいいですな。検索機能を使わずに文章を書くことは、今の世の中では結構つらいです。以下の文章も向こうで書いたから苦労しましたがな。


上海「シェア自転車」ブームはもう去っていた


○しばらくぶりにフェイスブックに触れたりして、ネットの自由を満喫するなり。


<9月3日>(月)

○本日はアメリカにおけるレイバーデイである。この日を過ぎたら、いよいよ選挙戦は本番と見なければなりませぬ。今年の場合、6月くらいから「今年の中間選挙はどうなるんですかっ!」と聞かれて、そのたびに「いやいや、まだ予備選挙も終わってないうちから、それは時期尚早ですよ」と言ってごまかしてきたのだが、そろそろそれも難しくなってきた。ということで、本日時点での選挙の予想をメモしておきましょう。情報源はReal Clear Politicsです。

●上院 民主党44議席、共和党47議席、Toss Up 9議席

○Toss Up(形勢不明)とされている9つの選挙区は以下の通り。共和党はアリゾナ(AZ)とテネシー(TN)で現職が引退して空白区となっています。

AZ: Open (R)
FL: Nelson (D)
IN: Donnelly (D)
MO: McCaskill (D)
MT: Tester (D)
NV: Heller (R)
ND: Heitkamp (D)
TN: Open (R)
TX: Cruz (R)

○テキサス州のテッド・クルーズ上院議員の再選が危うくなっていて、そこへトランプ大統領がお助けマンでやってくる、というのはほとんどジョークのような光景でありますな。2016年は予備選挙で辛辣なやり取りがあったものですが。それでも困ったときは相身互い。これが俺たちの麗しい友情の始まりだな、ふんっ。

○とはいうものの、ここから民主党が与野党逆転に持ち込むのは簡単なことではないだろう。それはToss Upとなっている9つの議席を、7勝2敗以上で切り抜けなければならないことを意味するからだ。

●下院 民主党199議席、共和党193議席、Toss Up 43議席

○こちらは民主党側に流れができているように思われます。現在の下院の状態は、民主党が193議席、共和党が235議席、空白が7議席となっているのですが、共和党側に厭戦ムードが漂っていて、選挙予想が行われるたびに「ときに利あらず」という情勢が伝わってきます。

○ということで、「上院は今のまま共和党が優位、下院は大逆転で民主党が多数に」というのが現時点での読み筋となります。まだ11月6日の中間選挙までは2か月あります。まだまだ先は分かりませぬぞ、と言っておきましょう。


<9月4日>(火)

○台風21号は案の定、えらい被害をもたらしたようですね。今年の大阪は災難続きですな。関空が水浸しになったり、新幹線が止まったり。首都圏の電車も今宵はたくさん止まったような。

○ところが信じられないことに、我が身を振り返れば昨日は愛知県刈谷市に出張で、明日は福岡県北九州市に行く。台風の影響を見事にすり抜けている。いやもう、奇跡のようなものである。

○しかも本日は「BS11」の「報道ライブ インサイドOUT」に出ていたので、電車の混乱に巻き込まれることもなく、帰りはクルマでお見送りいただいた。いやもう、悪運強いとしか言いようがない。

○こういうときこそ謙虚な感謝の気持ちが必要である。きっとわが身は誰かに使われているのであろう。ありがたや、ありがたや。明日はちゃんと飛行機に乗り遅れないように起きなければなりませぬ。ゴミ出しもちゃんと忘れないようにね。


<9月5日>(水)

○いろんなところで米中貿易戦争について語る日々であります。月曜日はアイシン精機さんで、火曜日は経済産業省系の財団で、水曜日は西日本政経懇話会で。本日は北九州市でお話ししましたので、ついつい「鉄鋼労働者のゆくえ」みたいなところに力が入ったりいたします。ついでに明日は雑誌の対談の収録です。これってホントに旬の話題なんですねえ。そうそう、来週はソウルでこれをやります。

○あ、アメリカは2000億ドル分の追加関税、ホントに今週中にやっちゃうんですか。そうですか。これは中国も困りますわねえ。もちろん対応策は決めていると思いますが、トランプ大統領の剛腕にお付き合いするのもだんだん苦しくなってきます。これから先はホントにイバラの道ですねえ。

○そういえばこれは先週、上海で聞いた話です。8月17日の江沢民さんのお誕生日には、ネット上で「江沢民同志、お誕生日おめでとう!」のメッセージが飛び交ったんだそうだ。ちなみに江沢民さんは、日本風に言えば大正15年生まれです。お元気ですわねえ。

○さらにその話を教えてくれた人曰く。「あれだけ嫌われていた人が急にそんな風になるっていうことは、今の人がよっぽど嫌われているってことですねえ・・・」。

○こういう状態を「言論の自由がない」というのか、それとも「上海っ子ならではの表現の自由」というのか。つまり読み手の側に行間を読むという工夫が必要なわけでして、中国という国はそういうことをたくさんやってきた文化がございます。桑を指して槐(えんじゅ)を罵る、てなやつですな。求められるのはリタラシーということになります。


<9月6日>(木)

○台風21号による関空の機能マヒに続き、北海道で震度7の地震が起きて295万戸の停電が起きているとのこと。今年の夏の日本列島は記録的な暑さだったけれども、本当に受難の季節となってしまいました。

○思わず自然災害に対する人間の無力さを痛感するところですが、こんな風に自然災害が多発する時代を迎えるとなると、そろそろ電力の自由化にブレーキをかけるべきタイミングなんじゃないか、と感じています。

○北海道で起きている事態は、苫東厚真という大型火力発電所が止まったことにより、北海道全体の電力の使用量と供給量のバランスが崩れてしまい、周波数低下により他の火力発電所も止まるという「系統崩壊」であると考えられます。電力事業は、常に需要量と供給量を調整してピッタリ合せなければならない。それは各地域の電力会社の仕事であって、地域独占を認められる代わりに安定供給を義務付けられるという仕組みになっていた。

○それが「3/11震災」を契機に自由化を進めましょうということになった。この間の理屈はよくわからなくて、ワシなんかから見ると東京電力を筆頭にする電力会社の政治力が弱まったところを狙って、経済産業省がかねてからの願望を強行したんじゃないのかなあ、と思えて仕方がない。ともあれ自由化という言葉には魔力があって、とりあえずエコノミストは皆賛成してしまう。その方が再生可能エネルギーが普及しますから、という理由づけもあった。

○今回のようなことが起きると、「だからもっと自然エネルギーを普及させるべきなのだ」と言い出す人がきっといると思う。それは自家発電などで使う分にはよろしいけれども、ビジネスとして太陽光や風力で電力を作って売る業者が増えると、結局のところ需給を合せるという電力会社の負担が増えることになる。自然エネルギーは量をコントロールできないから、それ以外を火力などで調整しなければならない。結果的に今回のような災害が生じた時のリスクを高めることになってしまいます。

○反対に、「だから今すぐ泊原発を再稼働させよ」という人もいるかもしれない。ただしそれも無茶な話で、そもそも入社5年目くらい以下の社員は誰も原発が動いている状態を知らない、という状態を作っておいて、今すぐ動かすとなったらそれはそれでリスクがある。逆に泊原発が動いていたならば、今回のような系統崩壊は避けられただろうなとは思うけれども、それは今から言っても仕方がない話である。

○空港会社も電力会社もインフラを担う仕事である。そこには単なる経済性とは別のモノサシが必要になる。彼らはリスクを分散するために、いろんな努力を行っている。例えば東京電力が新潟と福島(つまり日本海側と太平洋側)に原発を作っていた、というのも系統崩壊を避けて、安定供給を目指すひとつの知恵だったのだと思う。

○「自由化」はこの手の努力を無力化してしまう。そうまでして得られるものはいったい何なのか。例えば電気の契約を電力会社からガス会社に切り替えると、電気代が少し安くなるという話、皆さん本気で待ち望んでいるんでしょうかねえ。


<9月7日>(金)

○昨日に続き、太陽光エネルギーについてもう少し加筆しておきたい。

○今年の夏は猛暑にもかかわらず、関東などでは電力不足がほとんど起きなかった。甲子園大会をやっているお盆の昼頃は、皆が一斉に冷房を入れるので電力消費量がうなぎ上りになる。ところが太陽光発電による供給も、お昼頃がピークとなる。上手い具合に、電力需要が高い時間帯に供給も増えるようになっている。これがありがたい。

○しかし午後になると、太陽光発電からの電力供給は減り始める。そこで電力会社は石炭なり石油なりを焚いて、夕方に向けて供給力を埋め合わせなければならない。この辺のさじ加減は、現場の「匠の技」なのだそうだ。ともあれ、再生可能エネルギーは、「いつ、どれくらいの電力が来るか分からない」。調整役となるのは、いつも自由自在に量を調節できる火力発電ということになる。

○そこで問題は「冬ピーク」なのである。寒冷地にある北海道電力や東北電力では、夏場よりも冬場の方が電力消費量が高い。つまり冷房よりも暖房の方が電力需要が高いのだ。その場合、太陽光エネルギーのピーク時電力はあまり役に立たない。それよりも、夜にどうやって電力を供給するかが問題になってくる。

○現在の北海道はちょうど過ごしやすい季節を迎え、冷房の需要なども少ないはずである。それは大いに良かった。しかし今回のような地震が冬場に起きていた場合、えらいことになっていたことは想像に難くない。それこそ夜間に死人が出たかもしれない。電力不足は命に直結します。

○仮に蓄電池が今の100倍くらいの性能になれば、この手の問題は解決できるかもしれない。あるいは揚水発電という仕組みもある。昼間に余った電力を使って水を高いところに蓄えておき、必要なときにそれを放出するという手段である。電力会社は万一の事態に備えて、この揚水発電の施設を維持している。しかるに、それにはもちろんコストがかかる。民間企業としてはあんまりやりたくないが、インフラ企業の責務として維持している、というのが実態であろう。

○こういう現実を知ったら、単純に電力自由化はいいことだ、原発再稼働反対、再生可能エネルギー万歳!とは言えなくなるのではないだろうか。何より電力というのは長い歴史を持つ成熟した技術であって、これから先に大きなブレークスルーがあるとは考えにくい。エネルギーに関する議論は、常に理想論ではなく現実論から出発すべきであると思うものであります。


<9月8日>(土)

○昨日、一昨日と書いた電力談義がわりと好評のようなので、あと一言だけ。

○3/11以降、「原発がなくても大丈夫じゃん」としばしば言われてきました。それは野球チームで言えば、エース投手を使わなくても、なんとかローテーションは回せますよ、と言っているようなものです。原発を使わない(使えない)、というのは、電力会社としては無理に無理を重ねている状態なわけです。そんな状態を5年も続けていると、当然、現場は疲弊します。だからひとつ間違うと今回のような事態が起きてしまう。

○北海道電力の場合は、泊原発というエース抜きでやっているうちに、苫東厚真火力発電所という二番手投手に荷重がかかり過ぎる状態になっていました。だから復旧には時間がかかるかもしれません。もちろん北海道電力は事態を傍観していたわけではなく、石狩LNG火力を建設して電源を分散しようとしていた。2019年2月に運転開始の予定だそうですが、おそらくそれまでは綱渡りの電力供給が続くと思います。

○泊原発は地下に活断層があるかもしれないということで、原子力規制庁による審査に時間がかかっている。ちなみに同じPWR型では、関電、九電、四電の原発は既に再稼働している。「この際、非常時なんだから、冬に向けて泊原発を再稼働させろ」というのは、気持ちは分かるがさすがに無理筋でしょう。その一方で、「安心できないから、とにかく動かすべきではない」という反対論も合理性を欠く。これはあくまでも、原子力規制委員会の判定を待って決めるべき問題です。地震とは関係ない、と考えるべきでしょう。

○わが国初のブラックアウト(系統崩壊)という事態が意外と早く解決したので、のど元過ぎれば何とやらで、「やっぱり原発は動かすな」という声が高まるかもしれません。でも、そういうことではなくて、くれぐれも強調したいのは、「原発はなくても大丈夫」なのではなくて、「原発を止めている状態は、電力事業の現場に無理をさせている」ということです。


<9月9日>(日)

○土曜日は大阪経済大学の公開講座をやってきました。大阪は台風一過、予定していたけれども来れなくなりました、という声も少なくなかったようです。聞けば聞くほど台風21号は被害甚大であったようで、「マンションの9階の窓が、風で飛ばされてきた看板が直撃で大破」てなこともあったとか。過去の常識では考えられないような台風でした。

○公開講座の方は熱心な聴講者が多くて、質問をいただいたお二人は「1月の講座も聴きに来たし」「モーサテをいつも見ている」という方でした。質問のポイントはそれぞれ、「アメリカの長短金利の逆転をどう受け止めるべきか」とか、「日銀におけるテーパリングをどう考えるか。ETFの買い入れはどうなるか」などと非常に高度なものでした。畏れ入りましてです。

○去年から「客員教授」を拝命しておりますので、来月もたびたび大阪に伺います。ところで東京=大阪間の移動は、新幹線の一択と思っておりましたが、「最近はモノレールができて、伊丹空港も便利になったんだよ」との声も聴きます。いっぺんくらい試してみようかしらん。


<9月10日>(月)

○USオープンにおける大坂なおみ選手の快挙に日本中が沸き立つ昨今でありますが、不肖かんべえはこれまで女子テニスというものに全く関心がなく、それどころかセリーナ・ウィリアムズなる選手がどういう人であったかもほとんど知らなかったくらいなので、本件について何らかの持論を語ったり、どちらかの肩をもってそうでない側を断罪したり、なんてことを非常に気恥ずかしく感じるものであります。

○素直に勝っておめでとう、というのはいいんですよ。反則がどうやら、抗議がどうやら、審判がどうやら、観客のブーイングはいかがなものか、などと言い出すからややこしくなる。こういう問題はね、難しいんですよ。スポーツマンシップにジェンダーに人種も絡むわけですから。そして今のアメリカでは「トランプ現象」なんてものもあるわけでありまして。

○メディアがあれこれ言うのは、彼らの仕事みたいなものなので、ほっときましょう。彼らは限られた時間の中で、生煮えの取材で記事を送らなければいけない立場なんだから。適度に「ニッポン万歳!」のメッセージも入れなきゃいけないし。むしろ情報の受け手の側が問題でありまして、メディア情報なんぞを真に受けて、生半可な知識で分かったような気分になること自体が、とってもカッコ悪いことなんじゃないかと思います。

○でもまあ、才能のある若い人っていいですなあ。大坂選手がとってもまぶしく見えましたですよ。当サイトとしては、論評はその程度にしておきたいと存じます。


<9月11日>(火)

○日韓の会議に出るためにソウルにやってきた。まあ、2年前にも来ているので、大概の事は覚えているだろうと思ったら、まるで何も覚えていないのに自分でも呆れている。確かソウルからの戻りに関空に入った時の賑わいは、よく覚えているのだが。

○羽田国際空港でハッと思い当り、韓国のコンセントってどんな形だっけ、とネット検索してみた。案の定、C型というアダプターが必要なタイプだと判明。何だこれなら俺、家に持ってるじゃん。引き出しの中にあって、「どこの国のだっけ〜?」と思っていたやつではないか。ということで、くだらん出費が800円と少々。

○さらに金浦空港に到着してみると、地下鉄の乗り方が思い出せない。確か2年前はスイスイと行けたはずなのだが。自動販売機の使い方が分かりにくくて、ぶつぶつ言いながら切符を購入。と言っても、2300ウォンと言うことは、ホテルまで230円くらいではないか。まあ、安くて結構である。

○駅名の表示がわからないので、乗り過ごさないように電車の中ではiPadの地下鉄地図とにらめっこしながら過ごす。さてさて、2年前も使った経路なのだが、ホントに思い出せない。ところでNational Assembleという駅で急にご老人たちが乗り込んできたのは、あれはいったいなんだったのだろう。どうも何かの抗議活動であったように見えたのだが。

○1時間くらいかけて目指す江南に到着。駅から外へ出てみて1分くらい見渡してみたら、ようやく2年前の記憶が戻ってきた。目指すホテルを発見。チェックインしてPCをつけようとしたら、C型アダプターが不要であることに愕然とする。あ、そうか、2年前もそれでわざわざ買ったのに、結局使わなかったのだ。すっかり忘れていた。ホント馬鹿みたい。

○やれやれ。さて、夜になったら出動することにしよう。記憶を取り戻すのには時間がかかるのだ。


<9月12日>(水)

○上海だけではなくて、ソウルも「タクシーはスマホアプリで呼ぶもの」になりつつあるらしく、流しのタクシーはあまり多くない。しかも名にしおう交通渋滞。市内の移動は手間がかかるのである。ひょっとすると今の時代、アジアの大都市で普通に手を上げてタクシーを捕まえられて、なおかつ渋滞もそんなにひどくないというのは、東京の特権になっているのかも。

○日本では変化はゆっくりと訪れる。韓国はそうではない。この日韓戦略協力対話だって、1年前の秋に東京でやった時は、北朝鮮ウォッチャーたちが「総ざんげ」状態であった。北は核実験にミサイル発射とやりたい放題で、われわれは今までいったい何をしていたんだ!という反省があった。それが今では大違い。この1年の変化はすごかった。

○何と言っても金正恩が秘密のベールから出てきたことが大きい。過去1年間の首脳会談の回数だけでもビックリ仰天である。「3−2−1−0」というフォーメーションがある。

●習近平:3回。建国記念日(7/7)は腹心の栗戦書常務委員を派遣したが、近く平壌訪問がありそうだ。

●文在寅:2回。来週になると平壌訪問が加わって3回目となるらしい。

●ドナルド・トランプ:1回。中間選挙前にもう1回あるという観測も。

●安倍晋三:0回。日朝交渉を目指す動きもあるそうだが・・・。

○韓国においては、来週行われる3度目の南北会談への期待が高まっている。北朝鮮側でも、米朝首脳会談後の進展が思わしくないことへの危機意識があるらしい。逆に日本では1年前も今もそんなに認識が変わっていなくて、「ふーん、あの人たちはまた会うの。前進はないと思うけどねえ・・・」と醒めた感じだと思う。

○ただしこの否定的態度は、「今でも普通に流しのタクシーが拾える国」ならではの、のんびりムードを反映したものかもしれない。とにかく日本は変化が遅いのだ。もっともタクシー料金と言うことになると、ソウルでは1時間ずっと乗っていても5000円くらいで済む。交通料金が安いのはありがたいのである。

○夜は宴会。焼肉を堪能する。今の日本では食べられなくなっているユッケが出てきたのには感動した。もっとも伊豆見元先生によれば、昨今の韓国は「119」モードになっていて、「1次会だけで」「お酒は1種類だけで」「9時にはお開き」なのだそうだ。これではバクダン酒の出番がないではないかっ!って、別に飲みたいわけじゃないので、それは歓迎すべきことなんですが。

○中国の宴会では既に白酒(パイチュウ)が出なくなって久しいわけですが、こういうところもアジアはどんどん変わっておりますなあ。いつまでも昔の流儀は通らない。レトロな東京から見ていると、今のアジアは驚くことがたくさんございます。


<9月13日>(木)

○日韓戦略協力対話は一応クローズドの会議なので、誰それがこういうこと言った、とバラすのはご法度である。そこでチャタムハウスルールよりももうちょっと安全サイドを見て、「この会議に出た自分はこういうことを考えた」という感想だけを記しておくことにしよう。

○日韓で安保や経済の話をしようとすると、最近はどうしても「トランプファクター」が出てくる。そうなると、「ああでもない、こうでもない、ああっ、やっぱりわからないっ!」という『トランプ占いの罠』にはまってしまう。いや、だってそういうの最近はめずらしくないですから。1時間以上も偉い人が集まって、結論が「トランプさんにも困ったものですなあ」という会議、あなたの周りにもありませんか?

○ということで、ときにトランプ論をめぐって日韓の議論が迷走してしまうのだが、こんなに無駄なことはない。どうせわからないんだし。強いて言えば、そうやって堂々巡りをしている間は変に両者が対立することがなくて、むしろ同じ船に乗っている感覚を共有することができる。そういう意味ではトランプさんありがとう、ともいえる。

○思うに今のアメリカ政治は、「トランプ・ファクター」と「そうでない部分」に分けて考えた方が良い。いや、もちろんそれは理想論であって、「トランプ大統領を誕生させてしまったアメリカの民意」とか、「トランプ大統領の下でさらに変容するアメリカ社会」といった要素があるので、単純に両者を切り分けることはできない。ただし、例のニューヨークタイムズ紙の匿名寄稿で明らかになったように、「大統領の意に反して”まとも”な政策を実施しようとする側近たち」の動きもあるわけでありまして、トランプ政権には二面性があると考えなければならない。とりあえず安保関係で出ている文書は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」のようにまともなものが多いと思う。

○余談ながら、真正のトランプ支持者たちはトランプさんの周囲で犠牲的精神を発揮し、国家の体面を守ろうとしているエリートたちのことを「ディープステーツ」と呼んで忌み嫌っていることであろう。もっといえば、QAnonのような陰謀論者たちは、それこそが「君側の奸」であると考えているはずである。

○さて、トランプ政権に最も手を焼いているのは中国であろう。彼らは「戦術的調整」に踏み出している。例えば東方経済フォーラムに行ってロシアに接近する。共同演習にも参加する。アフリカの首脳を呼んで支援を約束する。そして日中首脳会談で日本にも秋波を送る、といった手口である。だって貿易戦争は困るんだもの。いよいよとなったら、北朝鮮カードや台湾カードを使ってくるかもしれない。が、今のところはあくまでも「戦術的調整」であり、せいぜい「韜光養晦(とうこうようかい)2.0」みたいな世界である。

○さて、こんな状況でアジアの国々は「アメリカと中国、どちらを選ぶのじゃ?」との問いを投げかけられている。困ったものである。とりあえずトランプ大統領が11月の東アジアサミットとAPEC首脳会議を欠席する(ペンス副大統領が代理出席する)ことで、ホッとしている国は多いかもしれない。次にトランプさんがアジアに来るのは、2019年6月の大阪G20でありますぞ。北朝鮮情勢が次に大きく動くのも、日本の年号が変わった直後ということになるのかもしれない。

○日韓関係について言えば、「お互いに関係が良くないと思っている今がニューノーマル」との指摘があった。なるほど。「日韓合意」については、文在寅政権は「認めないけど再交渉もしない」という中途半端な対応をしている。これはこれで、彼らとしては「オトナの対応」のつもりなのであろう。日本におけるかつての鳩山政権みたいに、「前の政権の合意にわれわれは縛られない」と言い張るよりはマシであろう。それでも「ハッキリしろよ」と言いたくなるところもある。

○国と国との関係において、安全保障や経済関係よりも「国民感情」が優先されるというのは、あんまり生産的なことではないのだけれども、いかにもそれが昨今の国際情勢でもある。トランプさんは「メキシコ人は犯罪やドラッグを持ち込む」と言って、それが受けて当選してしまった。似たようなことがあってはなるまい。いやはや、感情の政治と言うのはやっかいなものである。

○一方で韓国人は、なぜか年間700万人も日本に来訪する。全人口5100万人から言えば恐るべき比率である。逆に日本からの渡航は低調である。日本は妙なことになっていて、インバウンドは急増して3000万人に接近しているが、アウトバウンドは1700万人前後でずっと変わっていないのだ。日本人、貧乏になったとは思わないが、貧乏性になっているのではないだろうか。てなことを考える3日目のソウルなのであった。


<9月14日>(金)

○ということで、ソウルから帰ってきました。

○今回、国立韓国外交研究院(Korean National Diplomatic Academy)では、政権交代後に大幅な人事の刷新があり、「ひょっとすると保守派が軒並みパージされているのかも・・・」「ヘリテージと話をしに行ったら、相手がブルッキングスに代わっていたようなものなんでしょうか?」などと事前に噂していた。さすがにそんなことはなくて、これまで通り日韓でまともな対話ができたことを喜んでいるものであります。

○しかし文在寅政権をめぐる変化は激しい。だって2年前の秋に、パククネ政権のスキャンダルが破裂したわけである。それからロウソク運動が始まって、政府非難の声が高まって思いがけずパククネ弾劾が成立。大統領選挙が昨年春に前倒しになって、そこで運よく当選したのが文在寅さんなのである。

○そこから始まったのが北朝鮮によるミサイル実験攻勢であった。一説によれば、昨年2月の日米首脳会談におけるトランプ発言が火を点けたのかもしれないとのこと。とにかく、「このままではアメリカの北朝鮮攻撃は必至」と安保の専門家が口をそろえていた時期がある。去年の秋頃はかな〜り怖かった。

○ちなみに北のICBM開発は、もともと金正恩が取引材料として始めたことなので、対米取引で破棄することにはさほど痛痒を感じない、との観測もある。つまりICBM破棄するから終戦宣言しましょ、と言い出すかもしれない。それで米朝が妥協されて、核兵器が残ったままだと日本がとっても困るのであるが、今のまま行くとその恐れは十分にある。

○それはさておいて、今年に入ってからはピョンチャン五輪を契機に北朝鮮が平和攻勢に出た。かくして「3−2−1−0」というローテーションができているわけなのだが、そこは韓国政治であるから変化が早いのだ。文在寅大統領の政権支持率が8割を超えていたのは米朝首脳会談が行われた当時の話で、今は5割を割っているのだそうだ。良かれと思って最低賃金を上げたら景気が悪化。失業率も上昇。しかし韓国の最低賃金は、全国無差別だというのである。そりゃあダメに決まっているでしょう。地域対立の激しいお国柄、日本のように都道府県別でという当たり前の配慮ができないのだ。

○こうして文在寅は政権発足後、わずか1年半でモメンタムを失いつつある。こうなると韓国内の保守派もどんどん声をあげ始めているようで、「北朝鮮に対して譲り過ぎではないのか」という非難は増えているようである。この調子では、日韓対話は来年にはどんな議論をしているのであろうか。いや、来年はもうなくなる、今の政権は対日関係に興味ないから、などと言われると、それはそれでちょっと怖いのだが。

○来週は18日から20日にかけて、第3回目の南北首脳会談が行われる。文在寅大統領としては、平壌に乗り込むことで「夢よもう一度」と人気回復を目指しているようだけれども、それはちょっと甘いんじゃないかなあ。韓国国民は統一を望んでいるわけじゃないんだし、金正恩は当初のフレッシュさをどんどん失っているように見えるのだ。


<9月16日>(日)

○さてさて、帰って来て見るとこれからがビッグウィーク。月末に向けていろいろありそうです。


●米国が対中追加関税2000億ドルを発動。中国側も報復へ?(9/18)

――トランプさんは早くやりたくて仕方がない。周囲は何とかして止めたい。まさに匿名政府高官がNYTで語った通りの展開。規模は2000億ドルのままで、税率を10%に下げて早期実施との報道アリ。

●3回目の南北首脳会談(平壌、9/18-20)

――文在寅大統領は空路で訪朝とのこと。ちなみに金大中は空路で、盧武鉉は陸路でした。今回、鉄路という手はアリかな、と思ったのですが、安全策を取ったようです。

●自民党総裁選挙(9/20)

――石破さんが党員票で何%取るのかが焦点。自民党総裁選の伝統から行くと、きっと微妙で意味深な得票結果が出るものと思料します。

●第2回日米通商協議=FFR(ニューヨーク、9/21-22頃)

――8月9-10日にワシントンで行われた第1回からずいぶん間が空きました。それというのもUSTRが忙し過ぎるから。2度目は普通、東京でやるもんですよね。

――しかし翌週に日米首脳会談があるから、その前に済ませておく必要があった。この感じだと米側は準備不足でしょう。そこが日本側としては狙い目となります。

●安倍首相、国連総会で演説?日米首脳会談? (ニューヨーク、9/25頃)

――日程は流動的ですが、安倍さんはこの週末に渡米して、国連総会演説→日米首脳会談はかならずやるでしょう。そのために自民党総裁選の日程を繰り上げたのですからね。

――ここでもっとも重要なポイントは、「4度目の日米ゴルフは成立せず」ということ。それくらい今のトランプさんは追い詰められている。日本側としてはやりたかったよね。ああ見えてトランプさんは、「ツィートで強く、対面に弱い」から。

●FOMC(9/25-26)→今年3度目の利上げへ

――これはもうダンクシュートです。問題は12月の4度目があるかないかですな。

●米中閣僚会議(ワシントン、9/27-28)→ムニューシン財務長官と劉鶴副首相。

――トランプ政権内穏健派が必死の巻き返し。

●沖縄県知事選挙(9/30)

――昨晩の安室奈美恵さん最後のコンサートが政治的に利用されるんじゃないかと心配してましたが、そんな味の悪いことをせずとも流れが既に一方的になっているような気がします。

●金正恩委員長が訪米?(9月末〜10月初旬?)

――これがあるんですよねえ。国連総会の9月29日演説枠を北朝鮮が抑えているんだそうです。そのまま2度目の米朝首脳会談になだれ込む、というサプライズシナリオが考えられます。

●内閣改造、党役員人事(10月初旬)

――自民党総裁選の結果を受けて、どんな論功行賞があるのやら。来年の改元を見据えると大幅な変更は考えにくく、見所は小泉進次郎さんをどう処遇するか、くらいでしょうな。

●安倍首相が訪中(10/23)→日中平和友好条約発効40周年記念式典

――これはもうかなり前から準備が進んでおります。日中による第三国協力の案件が「成果」となるでしょう。安倍さんが訪れるのは北京だけなのか、それともあと1か所(上海か深センあたり?)回るのかが関係者の間の関心事項。

●臨時国会が召集(10/26頃)

――災害復旧の補正予算が急務であります。

●EUと英国の離脱交渉が終了予定(10月末)

――皆さま、シートベルトのご用意をお願いします。

●米中間選挙(11/6)

――何だかエライことになりそうな感じです。


<9月27日>(月)

○この3連休、前半は安室奈美恵さんの引退で、後半は樹木希林さんが亡くなったことでしたね。お二人とも非常に長い期間にわたって活躍されていたので、お別れは残念です。

○結果として平成がどんどん遠くなるというか、「すべての世代が知っているスター」というものが、どんどん残り少なくなっていきますね。これが平成の次の年号になると、歌手でも俳優でも「すべての世代が知っていて、その人の行動にシンパシーを寄せる」ことは非常に稀有なことになってしまうことでしょう。

○だってさあ、「今、どんな歌やドラマがヒットしているか」って、聞かれてもあたしゃ知らないもん。歌番組は減ったし、ドラマも見てないし。カラオケにも滅多に行かないし、若い俳優は顔覚えられないし。って、こちらがオヤジなだけですけど。

○一方でインターネットの世の中は、すべてのヒットを一本化してしまって、「ロングテール」なんぞを無意味化してしまう。結果として小粒なヒットを頻発させることになり、人気者が長生きしにくくなっていく。罪作りな世の中だと思います。スポーツ界なんかは別として、誰もが知っているようなスーパースターはあと何人存命なんでしょう?


<9月18日>(火)

○昔お世話になったT先輩から召集がかかった。従って、今宵は国際開発センターの理事会が終わるや否や、昨日同様のにわか雨が降りしきる中を、品川から渋谷の会合場所へと急いだのである。

○何が原因だったかと言うと、T先輩はこのたび得度をした。浄土真宗のお坊さんになったのである。この辺が妙な世界なのだが、お坊さんというものは、たまたまお寺の家系に生まれれば簡単になれてしまう。お坊さんは一族郎党で仲良しなのである。ゆえに不肖かんべえは一応、富山における真宗のお寺の末裔なので、たぶん一念発起して申請すれば、おそらく比較的容易にお坊さんになれてしまうのではないかと思う。

○ところがお寺とはまったく縁のない人がお坊さんになろうとすると、そこは勉強しなければならなかったり、修業しなければならなかったりする。T先輩はこの手の不条理に遭うと燃えるタイプなので、ついつい本気になって数年を費やし、とうとうこのたび宿願を果たしたという次第である。

○そのために下界との接触を一切断って、過酷な修行に挑んだのであるが、すべての工程を終えて10数日ぶりに現実社会に戻って来て見たら、自分ところの子会社が作った映画がなぜか大ヒットしていた。その名を「カメラを止めるな!」という。口コミでヒットする、という世にも珍しいサクセスストーリーである。思わず得度のお蔭ではないかなどと思ってしまうが、ご本人によればかかる現世利益は、浄土真宗が忌み嫌うものである。

○当方としては、いやいや、良かったよかった、この映画、気になっていたけれども見てなかったのだ。本日、招待券を頂戴したので、これから見ることにいたします。とりあえずご馳走様でした。

○ちなみにこのT先輩と言うのは、かつて日商岩井を辞めてパチプロになったTさんのことであり(当欄の2000年7月24日にその間の経緯が書いてある)、その後、いろんなIT会社で活躍して今日に至っている。いやはや、不思議な会でありました。それにしても、なぜこう昔の知り合いに会うと若返った気持ちになるのでしょうか。そういうご利益については、阿弥陀様も咎めるようなことはないと思います。


<9月19日>(水)

○ジェトロ神戸さんのセミナーで神戸のポートピアホテルへ。神戸は雰囲気がいいし、お客さんの感度もいいので好きなんですよねえ。数えてみたら今年でなんと4度目であった。「4回とも聞きにきました」という人が複数いたのには驚きました。ご贔屓いただきまして深謝申し上げます。

○たまには神戸空港を使ってみよう、と思い立って今日の帰りはモノレールに乗って神戸空港へ。海上空港から見る神戸市の景色は素晴らしい。しかも夕日に染まっていく。飛行機の時間までにちょうど1時間あったので、空港のレストランで生ビールと関西お好み焼き。さらに牛筋も追加。ぷはー。

○往復共に新幹線、というよりもこっちの方がいいですな。帰りは飛行機。スカイマークはキッチリ1時間の定時運行だし。もちろん機中では爆睡するのでありました。


<9月20日>(木)

○自民党総裁選、かなりショッキングな結果が出ましたね。

  議員票 党員票 合計
安倍晋三 329 81.2% 224 55.3% 553
石破 茂 73 18.0% 181 44.7% 254
棄権      
合計 405   405   810


○石破さんの党員票は、2012年総裁選での得票の55%からわずかに10P下げただけ。逆に安倍さんは地方票でも圧勝するつもりが、そうはならなかった。終盤戦になって、甘利さんが「55%は超えたい」と言っていたけれども、まさにその数字どんぴしゃりとなりました。これは現役首相がかろうじてメンツを保てる数字でありますが、こういう玄妙な数字が出るところが自民党総裁選。独特のバランス感覚だなあ、という気がします。

○こうなると「石破派を人事で干してやる」というのも難しくなりますね。なにより党員の45%が「反安倍」であったという事実は重く、安倍さんには「気がね」が必要になります。とりあえず憲法改正は夢のまた夢でしょう。もちろん変える条文の中身にもよりますけど、国民投票に架けた時に否決されてしまう確率が高いということですからね。

○石破票が安倍票を上回ったのは10県でした。山形県、茨城県、群馬県、富山県、三重県、鳥取県、島根県、徳島県、高知県、宮崎県です。「地方の反乱」と言っていいのではないでしょうか。逆に安倍票が石破票に大差をつけたのは、神奈川県(菅、甘利)、和歌山県(二階)、広島県(岸田)、山口県(安倍)、福岡県(麻生)などです。つまり今の内閣の主要メンバーが居るところ、ということですね。これをどう読み解くべきか。

○10月1日に予定されている内閣改造も面白くなってきました。骨格は守ると言っているけれども、多少は新味を出さないと低い支持率になってしまいます。石破さんや斎藤農相の扱いも悩ましい。もっともそれ以前に、安倍さんにとっては今週末からの訪米が大変なんですけど。

○不肖かんべえは明日はめずらしいことに、『モーサテ』『ゆうがたサテライト』のダブルヘッダー。ついでに明後日は『Biz Street』にも出ちゃいます。今週から来週にかけては本当にいろんな日程が重なって、しみじみ面白いですなあ。アドレナリンが出ているような気がする今日この頃。


<9月21日>(金)

○「モーサテ」(5:45〜7:05AM)と「ゆうサテ」(4:54〜5:20PM)を1日に両方出て発見したこと。

○テレビ東京内の同じスタジオ、同じ打ち合わせ会議室で仕事をするのだが、違う出演者、違うスタッフ、違うテーマ、そして時間帯も12時間ちかく違う。こうなるとまったく別世界なのである。

○朝は皆、バタバタしている。皆さん目が覚めてから時間がたってないし、放送前に確認すべき作業が多いからだ。ニューヨークとのやり取りもあるし、ゲストも複数いるので、どのニュースでどのようにコメントをどう振るかもややこしい。その割に、オフィスはまだ人が出ていなくて閑散としている。

○夕方になると、その日に起きたことは一通り分かっているし、ゲストも1人だけなので確認作業は多くない。その代わりこちらはリハーサルがあり、放送直前まで「やっぱりここはこうしましょう」という変更作業が続く。突発的なニュースが飛び込む、ということもある。オフィスは人で一杯になっている。

○なぜ1日に両方の番組に出ることになったかと言えば、たまたま佐々木あっこさんと池谷亨さんから別々に依頼があって、面白そうだから両方受けてしまっただけのことである。テレビ東京の内部でも、当日になって「あれっ?」と気づいてくれた人も居て、何人かの方から「無理しないでくださいね」と声をかけていただいた。

○いやまあ、ものは試しと考えただけのことですから、別にご心配いただくようなことではないのです。ただしあんまり仕事量を増やすと、自分なりに考えている仕事の質が下がる恐れもあるんで、多少はセーブしようと思います。ああ、でも面白かった。


<9月22日>(土)

今週号の溜池通信は朝鮮半島情勢に特化して、政局については触れておりませんでしたが、今週の自民党総裁選挙については東洋経済オンラインで書いております。


「弱い安倍首相」が日本経済にプラスなワケ


○書き手としてはどっちつかずのことを書いておるつもりなのですが、安倍信者からは「コイツは分かってない」と言われ、アベ政治を許さない派からは「安倍がプラスなわけない」などと言われるポジションであります。ということで、いつもにも増してコメント欄は荒れております。

○つらつら考えるに、安倍政権はいいこともしているのだけれども、やっぱり国民に飽きられている。日本政治の基準では、5年9か月はとっても長いのです。でなきゃ、党員票が45%も石破さんに流れるはずがない。あれは石破支持票というよりも、反安倍票だとカウントした方がいい。仮に岸田さんが立っていれば、そっちに流れたかもしれない票です。

○「飽きた」という感情に対しては、いかなる理屈をもってしても対抗はできません。佐藤栄作政権は7年7カ月も続いて、その治世はそんなに悪かったわけではないのですが、やっぱり長過ぎた。佐藤退陣のときはワシは小学生だったけれども、当時の社会全体の解放感みたいなものをうっすらと記憶している。「飽き」という人間の感情を相手にすることは容易なことではありません。

○せめて周囲の人を適度に取り換えてリフレッシュすればいいのですが、いつまでたっても麻生副総理に菅官房長官なので、そういう点でも変化がありません。二階幹事長も変わらないでしょうから、10月1日に発足する新内閣は鮮度の低いものとなるんじゃないか。

○もっとも口の悪い人たちは、「あれは替えないんじゃなくて、変えられないんだ」などと言います。小泉純一郎とは違って、安倍晋三は非情になりきれない。とはいえ、三選後は非情にならねばならない瞬間が来るような気がしますけど。


<9月24日>(月)

○安倍首相がニューヨークに到着。変則的な日程になりますが、26日の日米首脳会談の前に23日夜に、トランプタワーにてトランプ大統領と差しで夕食会に臨んだようです。まあ、今回はゴルフが出来ませんからね。ご自宅に招いてもらえるというのはありがたいことで、この調子なら日米貿易摩擦もあんまり深刻なことにはならないかもしれません。

○こんなツィートをしています。さて、ホンネはどっちでしょう。


●Donald J. Trump @RealDonaldTrump

Prime Minster @AbeShinzo is coming up to Trump Tower for dinner but, most importantly, he just had a great landslide victory in Japan. I will congratulate him on behalf of the American people!

8,907件の返信 12,864件のリツイート 57,999 いいね


●Donald J. Trump @RealDonaldTrump

Going to New York. Will be with Prime Minister Abe of Japan tonight, talking Military and Trade. We have done much to help Japan, would like to see more of a reciprocal relationship. It will all work out!

8,868件の返信 14,259件のリツイート 65,418 いいね


○今後の日程はこんな感じのようです。いろいろ混じっているのでややこしいですね。


9月23日(日) 日米首脳晩餐会(NY,トランプタワー)

9月24日(月) 茂木経済財政担当相とライトハイザーUSTRのFFR(→後記:アメリカ側の要請で25日に延期。やっぱり準備不足なんですねえ)

         米韓首脳会談。文在寅大統領が、トランプ大統領に先週の南北首脳会談の結果を説明。

9月25日(火) 安倍首相が国連総会で一般討論演説。

         日韓首脳会談、日トルコ首脳会談など

         トランプ大統領が国連総会で一般討論演説

9月26日(水) 日米首脳会談。


○ちなみに9月27-28日に予定されていた米中の閣僚級協議は案の定、キャンセルとなりました。そうだろうねえ。

○それとは別に、トランプさんはロシアゲートなどいろんなスキャンダルを抱えている。いろいろある中で、ワシ的にはこれがいちばん効くんじゃないか、と思っているのはこの話である。ストーミー・ダニエルズさん(本名ステファニー・クリフォード)とは、アメリカのセクシー女優さんです。


●Stormy Daniels Hits Trump Where It Hurts

The Guardian has obtained a copy of Full Disclosure, the not-yet-released book by Stormy Daniels (nee Stephanie Clifford), and it contains a few passages Donald Trump is not going to like. For example: "I lay there, annoyed that I was getting f**ked by a guy with Yeti pubes and a di*k like the mushroom character in Mario Kart." And it is small. Or this one: "It may have been the least impressive sex I'd ever had, but clearly, he didn't share that opinion."

She also noted that while she was with Trump, Hillary Clinton called and Trump chatted with her for a while about the race. And also that Trump told Daniels he really did not want to be president.


○すいません、品のない話で。でも、これって現職のアメリカ大統領の話ですから。


<9月25日>(火)

○「新潮45」が休刊になるそうである。LGBT批判の杉田水脈論文を擁護したことが原因である。まあ、しょうがないだろうなあ、とは思うけど、新潮社と縁の深い書き手の1人として、少しばかり同社に対する弁明を試みてみたい。

○新潮社というのは、出版社としては老舗である。どんな特色があるかというと、同社と多少の付き合いがある人であれば、以下のポイントにはほぼ確実にご同意願えるのではないかと思う。


@たぶん日本でいちばん校閲が厳しい出版社である。最初に新潮社で本を出した時には、「この人たちは鬼か悪魔か」と呆れたものである。2冊目からは少し信用してもらえるようになりましたが。

A新宿区矢来町にある自社ビルがとっても古い。その建物が示す通り、封建的な社風である。実はこの不動産収入によって支えられている、との噂も絶えない。

B新潮社の編集者は、この業界には珍しくネクタイをしている人が多い。飲んだ帰りでも、律儀に会社に立ち寄ったりする。全体的に個性的だが、真面目なタイプが多い。

C自社の部数についてサバを読まない。98万部売れた時に「100万部です」、などと言わない。これはこの業界において稀有なことである。むしろ3万部売れた時に10万部突破!と誇張する方が普通である。

D同社を代表する部門は文芸部門である。村上春樹の本が売れた年は大助かりである。何より新潮文庫を1冊も持っていない、という人は居ないだろう。最近はライトノベルなんぞも手広くやっているようだ。

Eその一方、週刊新潮は意地悪な記事を載せるし、写真週刊誌FOCUSで一世を風靡したこともある。そういう点では意外と過激な会社でもある。なぜかマンガだけは苦手なようだ。

F書き手として、ごくまれに「打ち合わせ」と称して接待されることがあるのだが、店の選択がとにかく渋い。いつも感心してます。いえ、私も昭和の商社マン教育を受けた世代ですので、そういうの気にするんです。


○こういう出版社で、不肖かんべえは何冊か本を出させてもらっており、ウェブフォーサイトで連載したこともあり、「新潮45」も何回か寄稿したことがある。ほとんどが前のM編集長の時代のことであって、どんなことを書いたか、手元に残っているワードファイルを基に再現してみると以下の通りとなる(題名は編集部がつけるので、違っているかもしれない)。まあ、こんな記事が載る雑誌、と考えていただけると誤解は減るかと思います。


●安倍嫌いにつける薬(2015年9月号)

●テロと格差と僕らの2015年(2015年3月号)

●「一票の格差」論を嗤おう(2015年1月号)

●日本人はなぜ官兵衛が好きなのか(2014年2月号)

●秘密保護法〜大新聞猛反対の空回り(2014年1月号)

●アメリカという悪役が引退した後の世界(2013年11月号)

●わが日本再建論=貴族院の復活(2013年1月号)


○いま読み返すと、特定秘密保護法案を擁護した拙稿がまことに面白い。それから黒田官兵衛について書かせてもらった号は、ものすごく力が入ったことは言うまでもない(NHK大河『軍師官兵衛』が始まったときである)。年末年始の休みに資料を何冊読んだことか。とにかくテーマだけ与えて、とっても自由に書かせてくれるのがありがたい雑誌なのである。

○おそらく「新潮45」を読んでいる人は、あんまり多くはないと思うのですが、とにかくあれは保守雑誌ではありません。最近も「一発屋芸人列伝」とか、「廃炉という仕事」とか、「総理と女たち」とか、非常に面白い連載を掲載しています。おそらくフリーライターにとって、こんなに自由に、しかも長い記事を書かせてくれる雑誌は今どき他にはあんまりないでしょう。純正保守雑誌である『正論』や『WILL』では、こういうことは期待できません。

○それじゃあなんで「新潮45」は杉田水脈論文なんか載せたんだ、しかもそれを擁護するなんて、と言われたら、すいません、それ読んでないんです。LGBTにはまったく関心がございませんし、そんなの読んだらいかにもカルマが溜まりそうじゃないですか。まあ、同誌としては、たまたま載せたら叩かれて注目が集まったから、ついつい図に乗ってしまったというのが正直なところなんだと思います。そういう意味では意外とノンポリなんです。

○少なくとも、私が知っている新潮社という会社はイデオロギーフリーです。強いて言えば、社是は封建主義でしょうか。もちろんリベラルではありません。かといって、反リベラルというわけでもない。文芸春秋は、朝日新聞を叩きますよね。そうすると売れるから。新潮社はそうじゃなくて、「ふふん」と鼻でせせら笑うんです。両社の違いはその辺にあるんじゃないか、というのが不肖かんべえの長年の観察結果です。

○そういえば、もうじき年に1度の新潮社ドキュメント賞の季節であります。今年は古川勝久さんが受賞なのだそうで、おめでとうございます。毎年、都内の有名ホテルで行われるんですが、今どきめずらしく喫煙可だったりするんですよね。とにかく古い業界なんです。出版界って。


<9月26日>(水)

○本日の国連一般討論でのトランプ大統領のスピーチ全文はこちら。いかにもトランプ節だなあ、と思う部分を抜き書きしておこう。


That is why America will always choose independence and cooperation over global governance, control, and domination.

I honor the right of every nation in this room to pursue its own customs, beliefs, and traditions. The United States will not tell you how to live or work or worship.

We only ask that you honor our sovereignty in return.


○おれはおれで勝手にやるから、お前たちも勝手にしろ。もう人権だの民主主義だのを押しつけはしない。その代わり、俺のやることに勝手なことは言わさない。――いやあ、ジャクソニアンですなあ。


America's policy of principled realism means we will not be held hostage to old dogmas, discredited ideologies, and so-called experts who have been proven wrong over the years, time and time again.

This is true not only in matters of peace, but in matters of prosperity.


○頭のいい奴らが言ってる事なんか信じないぞ。今までだって失敗ばかりだったじゃないか。――この部分、いかにもアメリカ的な反知性主義宣言であります。


America is governed by Americans. We reject the ideology of globalism, and we embrace the doctrine of patriotism.


○いやあ、そこまで言いますか。グローバリズムというのはイデオロギーじゃないと思うんですけどね。少なくとも愛国主義の反対語じゃないはずなんですが。


To unleash this incredible potential in our people, we must defend the foundations that make it all possible.

Sovereign and independent nations are the only vehicle where freedom has ever survived, democracy has ever endured, or peace has ever prospered. And so we must protect our sovereignty and our cherished independence above all.


○SovereignとかSovereignty(いずれも「主権」)という言葉が10回くらい出てきます。こういう演説を国連総会でぶち上げる、というのもトランプ流ですね。これが一時的な現象なのか、それともアメリカ外交の画期を為すものなのか。「またトランプが勝手なこと言っている」では済まされない内容だと思いました。


<9月27日>(木)

○日米首脳会談、うまいこと誤魔化しましたなあ。とりあえず次に安倍さんがトランプさんに会うのは、年末のG20ブエノスアイレス会議(11/30-12/1)までないでしょう。それまではほっといて良さそうです。ライトハイザーUSTRは、米中やNAFTAの交渉が忙しくて、当分は日米物品貿易協定(TAG)なんぞには手が回らないでしょうから。

○この手口は7月にEUが使ったものと同じ。トランプさんと差しで会って、「バイで関税交渉をやりましょう。その代わり、交渉期間中は自動車関税はナシですよ」と持ちかける。でも、その後は何もしていない。それでいいのです。だってトランプさんが忘れてくれるから。思い出されると面倒ですが、ほかにも厄介な話がたくさんあるのですから。

○拙いのは韓国やメキシコのように、米国の高関税の脅しにビビッて数量制限を呑んでしまうこと。しかし、EUや日本が管理貿易を受け入れるわけにはいかない。そこで自動車関税を棚上げして、時間稼ぎに徹する。幸いなことにTPA法のしばりがあるので、議会承認の必要がある。すなわちTAG交渉は、開始の90日前に議会に通告する必要があるのですと。なんとも結構な話ではございませんか。

○これは安倍首相としては、渾身の八百長相撲かもしれませぬ。トランプさんの耳元で、「いやあ、参ったまいった。トランプさんにはかないませんわ!」などと言っているかもしれません。いや、相手がトランプさんだから、プロレスと呼ぶべきなのでしょうか。

○実際、トランプさんとしては、これで自分の支持基盤に対して、「日本とも交渉の糸口をつかんだぞ。これで自動車も売れるし、農産物も売れるというものだ。今までの政治家連中は何をしてたんだ」などと宣伝することができる。何も本当に貿易赤字を減らす必要はないのです。

○ところで今回の日米共同宣言の全文をメモしておきましょう。


一、安倍首相とトランプ大統領は、日米間の強力かつ安定的で、互恵的な貿易・経済関係の重要性を確認した。トランプ大統領は相互的な貿易の重要性と、日本や他の国々との貿易赤字削減の重要性を強調。安倍首相は自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を強調した。

二、さらなる具体的手段を含め、日米間の貿易・投資の拡大と世界経済の自由で公平かつ開かれた発展を実現することへの決意を再確認した。

三、両国は国内調整の後、日米物品貿易協定(TAG)と、サービスを含む他の重要分野で早期に結果が出るものについて交渉を開始する。

四、TAGの議論が完了した後、他の貿易・投資の事項についても交渉する。

五、TAGは双方の利益をめざし、交渉にあたって以下の両政府の立場を尊重する。

   日本は農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。

   米国は自動車について、市場アクセスの交渉結果が自国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。

六、第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。

七、日米両国は信頼関係に基づき議論を行い、協議が行われている間、この共同声明の精神に反する行動を取らない。また、他の関税関連問題の早期解決に努める。


○「五」では、「日本は農業、米国は自動車」が最大の眼目であることを言っている。2013年2月に、安倍=オバマ会談で「TPPにも聖域がある」と確認した時のことを思い出しますね。日米の通商問題は、やっぱりクルマと農業なんですなあ。

○それから面白いのは「六」ですね。この項目は、どう見ても中国を念頭に置いている。「後でポストTPPの議論もやりましょうね」と言っているようにも読める。日米が再び同じ方向を向くときが来るのでしょうか。

○ついでに言えば、共同宣言に「為替」の文言が入らなかったことも成功と言えるでしょう。そっちは麻生=ペンスの日米経済協議の範疇、ということになるのだと思います。結論として、「上手なトランプ捌き」だったと思います。


<9月28日>(金)

○『新潮45』が休刊になるので、今までに自分が寄稿したことがある雑誌で今は亡くなっているものがどれだけあるか、数え上げてみた。意外と多いのである。


●『論座』(朝日新聞社)→現在はウェブ版

●『諸君!』(文芸春秋)

●『フォーサイト』(新潮社)→現在はウェブ版

●『外交フォーラム』(都市出版)→現在は『外交』(隔月刊)が後継。

●『世界週報』(時事通信社)

●『読売ウィークリー』(読売新聞社)

●『月刊自由民主』(自由民主党)


○いやあ、懐かしい。私の上を通り過ぎた雑誌たち、みたいな感がありますな。さて、不肖かんべえがこれまでに寄稿したことがある媒体のうちで、真っ先に後を追うのはどれか、以下のうちから選べ。


●『SAPIO』(小学館)

●『週刊SPA!』(扶桑社)

●『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)

●『Voice』(PHP)


○洒落になりませんなあ。それにしても、つくづく多くの出会いと別れがあったものだということを、今さらながらに思い出している。


<9月29日>(土)

○いよいよ残すところあと1日だけ。今すぐ投票に急げ!・・・・というのは沖縄県知事選挙のことではありません(それよりも台風24号にお見舞い申し上げます。沖縄県の皆さま、どうぞお気をつけください)。


●あなたが選ぶ!思い出のコロンボ 投票受付中! 9月30日締め切り!投票はお早めに!


○ワタシ、ロス警察のコロンボと言いまして・・・・ウチのカミさんがあなたのファンでねえ・・・・アナタ、こんな風におっしゃいましたよねえ・・・・すいません、あとひとつだけ・・・・などと言いながら、夏でもよれよれのレインコートを着て、安い葉巻を吸い、大好物はチリ料理とコーヒー。そんなコロンボ刑事がエリートの犯人をじわじわと追いつめていく。その正体は、「ロサンゼルス市警察(LAPD)殺人課(Homicide)のコロンボ警部補(Lieutenant Columbo)」というのが正しいのだと思います。

○ということで昔、NHKで放送してくれた『刑事コロンボ』シリーズ。面白かったですよねえ。あの当時は倒叙方式のミステリードラマはめずらしかったし、犯人はいつも有名俳優。それがいずれも社会的地位の高い知的な人物なのに、どう見ても賢いとは思えないコロンボに追い詰められていき、最後は完全犯罪が崩れる、という黄金パターンでした。

○投票ということでは、ワシ的には下記の作品を支持したいっす。


*6:二枚のドガの絵

*13:ロンドンの傘

*15:溶ける糸

*19:別れのワイン

*24:白鳥の歌

*32:忘れられたスター

*46:汚れた超能力


○とにかく脚本がよく書き込まれたシリーズでした。カッコいい音楽も耳元に残っています。あの頃のテレビって、本当に面白かったんですよ。「すべての芸術活動は、その初期において頂点に達する」、という言葉通りでありました。










編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki