●かんべえの不規則発言



2003年9月




<9月1日>(月)

○今日聞いて面白いと思った話なんですが、「株式市場は小泉政権支持に転換した」。節操がないといえばそれまでだけど、投資家にっては、「こちとら命の次に大事なものを張っているんだ、節操なんざ気にしてた日には干上がってしまうわい」、ということのようだ。それはそれで納得である。

○小泉政権の経済政策は、「とにかくカネを使わない」ことがすべてに優先する。これじゃあ景気は良くならないから、株は順調に下げる。株式市場にとっては、大盤振る舞いをしてくれそうな亀井さんの方がありがたい、というのが常識だった。逆にいうと、債券市場にとっては、こんなにありがたい政権はなかった。そんなわけで、債券は買えばいい、株は売ればいい、という状態が丸2年近く続いてしまった。

○ところがところが。日本経済というのはそんなにヤワではなかった。今年の春に、いわゆる「地政学的リスク」の重しが取れたら、株価の自律的な反転が始まった。実体経済にかかわる数字も、GDP、鉱工業生産、民間機械受注、失業率などが次々に改善している。こんな風にマインドが好転すると、景気はそうそう崩れるものではない。かくして株は買われ、債券は売られるという逆トレンドが始まっている。

○そうなると、小泉政権の政策に対する評価も、「何もしてくれない」から「よく我慢した」に変わってしまう。なにせ証券界は、きびしいリストラを終えたところである。そこへ来て扱い高はバブル期に匹敵するほどになっている。銀座に証券マンが帰ってきたとか、今年のボーナスはすごいことになるぞとか、急に採用を増やし始めたなんて噂が流れている。この世界の本質は「結果オーライ」である。

○自民党総裁選を間近に控えて、株式市場の「寝返り」という事実に、はたして抵抗勢力は気づいているだろうか。まあ、知ったこっちゃありませんけどもね。


<9月2日>(火)

○今日は10年もの国債の表面利率が1.6%にまで上昇。これでは新規の国債発行には慎重にならざるを得ません。ということは、大型の補正予算だなんてトンデモナイ!ということです。これだけ長期金利が上がるということは、景気の先行きがそれだけ明るいということですから、ますます「政策転換」を求める抵抗勢力の主張には説得力がない。いよいよ盛り下がる自民党総裁選挙である。

○今宵は政治ジャーナリスト、角谷浩一氏の事務所に集まって政局研究会。でもね、はっきり言って面白くないんです。だいたい小泉さんに挑戦しようという顔ぶれは、「肉体的にも派閥の長としても限界に近く、いまさら引っ込みがつかない人」とか、「金も使わずに名前を売るチャンスだと思っている人」とか、「実は次の選挙が危ないから、とりあえず出ておいて箔をつけたい人」ばかり。今から思うと、堀内総務会長の擁立が最後のチャンスでしたね。

○この先の楽しみといったら、「橋本派が割れるか」くらいだけど、そんなエネルギーが充満しているようにも見えません。今の永田町では、「時代が変わると、それまでの長所が短所に変わる」、という一種のパラダイム転換が進行しているようです。従来は「数こそ力」がセオリーだったけど、今では「100人もいるから身動きが取れない」。哀れ橋本派は、ここで負けるとあと3年の冷や飯です。小泉さんは高笑いでしょう。

○ひとつ気になるのは、地方の党員票でどんな反応が出るかで、こればっかりは読めません。勝ち方次第では、小泉さんは再選されても弱い政権になってしまうので、ここでどれだけ取れるかは勝負どころ。それにしても、各種世論調査を見る限り小泉人気はまだ強い。つくづく思うのですが、小泉さんは自民党にとって「最後の生命維持装置」。はずしたいけど、はずせない、というのが正直なところでしょう。

○再選後の小泉さんはどうなるのか。まず、組閣のときに苦労するかもしれません。「道路改革をやらなきゃいけない国土交通大臣」とか、「郵政民営化をしなきゃいけない総務大臣」は、いったい誰が引き受けてくれるんでしょう。竹中氏の使い方も悩ましいところです。意外とユニークな布陣になるのかも。解散・総選挙を乗り切るためには、思い切った起用が必要でしょう。

○仮にこの秋の衆院選、来年6月の参院選を無事に越えたら、小泉政権は2006年の自民党総裁選挙まで怖いものなしの状態になる。これはほとんど「2期目の合衆国大統領」のようなもの。つまり、自分が好きなことができるわけで、歴史に名を残すことを意識するようになる。小泉さんの場合、「日本経済の再生」が目標であるようにはとても見えないし、「旧田中派への復讐」という目標は着実に遂げられつつある。では2006年までのテーマとはなにか。ひょっとすると「憲法改正」なのかもしれません。


<9月3日>(水)

○岡崎研究所の阿久津博康さんを講師にして、アメリカの北朝鮮政策について話を聞きました。6者協議でアメリカが目指しているのは、北朝鮮の核開発を阻止するというのは建て前で、本音は「核拡散を防止できればいい」のではないかという解釈です。

○筆者もほぼ同意見です。(1)そもそもアメリカは、北朝鮮には深い関心も利害もない。(2)朝鮮半島でアメリカが軍事オプションを取れるようになるには、相当な準備期間を必要とする。(3)イラク復興と中東情勢があまりにも大変で、そこまで手が回らない。・・・・などといった条件を考えると、とにかく現在は時間が稼げればいい。以前にも書いた話だけど、東アジア情勢に対するアーミテージとウォルフォビッツの見方は一致していて、「通常兵器の優位があるからには、うかつに手は出せない」し、「金正日は暴発するほど愚かではない」。

○これに対し、「北朝鮮はもうred lineを越えてしまったのでは?」という意見も多かった。それはそうかもしれないが、その場合は耐えがたきを耐えて、red lineを後ろに下げてでも、当面は外交による解決を目指すのでしょう。現在の対北朝鮮政策は、クリントン時代のそれとは違って、中国をパートナーにしている。少なくとも、チャイナカードの効力をしっかり見極めるまで、軍事オプションは自制するでしょう。

○一部には、「北朝鮮には核は存在しない」という見方もあるのだそうで、ロシアの外交筋などは「完全なブラフ」とまで言い切っているという。本当にそうだとしたら、北朝鮮は「弁慶の勧進帳」を超える役者振りを発揮しているわけで、あまりにも見事としかいいようがない。それでも、北に核施設を供与した国で、そんな声があるというのは面白い。

○6者協議ではいろいろあったようですが、これで来月は「ASEAN+3」と「APEC首脳会談」がある。北が黙っているわけがない。きっと荒れますぜ。だから解散・総選挙はできなくなるんじゃないですか、という話は先日から何度もしているんですが、この点に気づいている人はまだあんまり多くはないようです。


<9月4日>(木)

○とある研究会で、政局について話をすることに。お昼に出かけていったところ、著名な参加者が多くてプレッシャーがかかってしまった。それでも意に介さず、自民党の有名スタッフT氏の前で、「小泉さんは自民党の生命維持装置」と決め付け、官庁エコノミストH氏の前で、「リフレ派には政治的な力がない」と言ってしまうワタシ。もちろんバカ受け。われながら、いい根性しています。

○さて、阪神タイガース、いつ「その日」が来るのか、気になって仕方がない。なんとなれば、来週9月10日のヤクルト−阪神戦の切符を手当て済みなのである。「マジック1」でその日を迎えるのがベストだが、そこはまぁ「マジック3」くらいでも、たぶん球場全体を埋め尽くすであろう阪神ファンとともに、来るべき興奮へのカウントダウンを味わえるのであれば大いに結構。問題はその前に決まってしまう場合で、昨日、「マジック7」と聞いたときにはさすがに焦った。これこれ、そんなに急いでどうする。下柳、今夜は構わないから、少しは打たれなさい。

○18年前も神宮球場だった。マウンド上には、当時のヤクルトのエース、松岡弘が独特の落ち武者のような表情で立っていた。フランチャイズなのに、客席は黄色一色で染まっていて、万歳のウェーブは文字通り球場を一周してしまった。9月10日に決まってくれたらなあ。もっともその場合、無事に帰れるか、という心配もありますが。


<9月5日>(金)

○今宵の阪神−横浜戦、「0−3で横浜リード」と聞き、「うんうん、今日も無理することはない」「横浜さんにはお世話になっている」と頷いていたら、それが「1−3」になり、「2−3」になる。しょうがないよ、今の阪神は強いんだもの。とうとう9回裏。見る見るうちにランナーが出て、矢野の一振りがバックスクリーンに吸い込まれていく。あーあ、やっちゃった。サヨナラホームランだよ。5万の観客が熱狂しているが、あたしゃ複雑な心境である。こういうのを「勝たんでもええのに、また勝った」というんでしょうな。

○ところで自民党総裁選、さるベテラン政治記者はこんな「票読み」をしています。

1回目で小泉が勝つだろう。万が一2回目になった場合は、議員票だけで決まる。議員票は355票で、過半数は178票。そこで・・・」

@ 森、山崎、旧加藤派が合わせて101票。
A 河野Gも小泉支持で11票。
B 橋本派の100票は6割が小泉に来るようです。60票。
C 堀内派は自主投票で8割が小泉。40票。

と、
ここまでですでに212票。大楽勝。さらに、

D
無派閥の17票もほとんどが小泉。
E 江亀派も5票くらいこぼれるらしい。

○ほとんど「勝たんでもええのに、また勝った」ですな。これこれ、もう少し遠慮して日本シリーズ(総選挙)にとっておきなさい。

○謹告:かんべえの自宅用メールアドレスは、このところウイルスメールの嵐でほとんど麻痺状態です。こちらから返事がない場合は、いただいたメールを読んでない可能性があります。まことに恐縮ですが、ご承知おきください。


<9月6日>(土)

○あんまりウイルスメールが多いから、怖くてアウトルックを開けない。開くと1件ずつノートンがチェックしてくれるんですが、時間がかかってしょうがない。そこでニフティのメール画面を明けてみました。す、すると、そこには!こんな恐ろしい光景が広がっていたのです。

      送信者         日付     属性     サイズ    題名                  
■    MAILER-DAEMON@ms7... 09/06 M 103947 Byte  Returned mail: Service unavailable
■    vivi@cpckor.com.tw 09/06 M 102554 Byte  Thank you!
■    MAILER-DAEMON@mai... 09/06 M 102126 Byte  Returned mail: see transcript for detail
■    Victoria.jen@afp.com 09/06 M 101899 Byte  Re: Thank you!
■    ZWT10373@nifty.ne.jp 09/06 M 100842 Byte  Your details
■    jcj@tky.3web.ne.jp 09/06 M 102258 Byte  Thank you!
■    f16@ws.gov.tw 09/06 M 99543 Byte  Re: That movie
■    sososha@s.email.n... 09/06 M 103279 Byte  Re: Re: My details
■    MAILER-DAEMON@aol... 09/06 M 98696 Byte  Re: Wicked screensaver
■    MAILER-DAEMON@mai... 09/06 M 103616 Byte  Returned mail: see transcript for detail
■    tsean123@ms32.hin... 09/06 M 100477 Byte  Re: Details
■    h118800@ms4.hinet... 09/06 M 102228 Byte  Re: Re: My details
■    cnewsnet@chinesen... 09/06 M 100576 Byte  Your details
■    maho6480@yahoo.co.jp 09/06 M 99665 Byte  Re: Approved
■    sososha@s.email.n... 09/06 M 98580 Byte  Re: Wicked screensaver
■    irenelin@ms13.hin... 09/06 M 102693 Byte  Thank you!
■    sogihome168@yahoo... 09/06 M 100661 Byte  Re: Re: My details
■    heye@nifty.com 09/06 M 102155 Byte  Your details
■    Patrick.liu@eraco... 09/06 M 101034 Byte  Re: Your application
■    s8733029@ms31.hin... 09/06 M 99878 Byte  Re: Details
■    sdi00917@nifty.ne.jp 09/06 M 100698 Byte  Re: Wicked screensaver
■    Jessica@moneydj.com 09/06 M 846 Byte  Thank you!
■    zambala@ms31.hine... 09/06 M 100513 Byte  Thank you!

○いっときますが、これはほんの一部でございまして、わずか一昼夜に到着したウイルスメールは無慮250本!それにしても、パトリックやらジェシカやらは、いったい何者なんでしょう?

○もう我慢ができん。ということで、ニフティのウイルスバスターに加入することにしました。これは月額200円で、メールのウイルスを除去してくれるサービス。昔からのニフティサーブの会員は使えないので、ずっとあきらめていたのですが、この際、アットニフティに移行することにいたしました。ニフティの前身であるNIF(なんと1986年設立)を知っている者としては、実は断腸の思いがしております。

○と、いうことで移行してみたんですが、こうしている間にも同様のメールが6本も来てしまう。ああ、頭が痛い。ニフティでない方のアドレスはどうということはないのですが・・・。


<9月7日>(日)

○自民党総裁選。「20人の推薦人」を集めるってのは、われわれの想像以上に大変なことらしい。なんとなれば、最後の瞬間になって、「御免!」という電話をかけてくる「同志」が出てくるから。ちゃんと歩留まりを読み込んでおかないと、総裁選に名乗りをあげるわけにはいかないのだ。明日の9月8日は公示日。

○塩崎擁立に奔走した河野太郎氏、とうとう断念して、今朝は頭を丸めて「サンデープロジェクト」に出演してました。田原総一朗にねじを巻かれていましたが、「最後のお願い」が実を結ぶかどうか。政策新人類の奮起にエールを送っておこう。

○9月6日分の河野太郎「ごまめの歯ぎしり」には、こんなくだりがある。

総裁選挙。
致死ナイラか右余地忌め地位右地にないわ白いぢい゛い名に

○場合が場合だけに、単なる文字化けではないだろう。どんな暗号なのか。この手のパズルが大好きなこの人と一緒に考えるも、答えは見つからず。あーん、気になるよう。

○それはさておいて、明日は午後9時半から日経CNBCの「エクスプレス」に今井 澂さん(白鴎大学教授)のゲストで出演します。お題は「自民党総裁選と経済政策」。よろしくね。


<9月8日>(月)

○今日は、東海大学の国際シンポジウム「イラク戦争後の国際関係―日米同盟と近隣アジア諸国関係との調和的発展―」に参加しました。「9・11」からちょうど2年ということで、この手の企画がしばらくは増えることでしょう。

○筆者の担当は、ここの第2セッション「対テロ戦争と日米同盟」の中でコメントすることでした。日経新聞論説委員の伊奈久喜さんとご一緒しました。過日は滝田洋一さんと一緒にパネリストを務めましたが、この夏、日経新聞社における安全保障と金融の両看板とご一緒したというのは、ちょっと自慢できる話かもしれません。もっとも、今日のコメントは7分間と時間が短かったこともあり、大勢には影響がなかったなあ、と感じておりますが。

○六カ国会議について、いろいろ有益な話を聞きました。なるほど、これは一筋縄ではいかない。一例をあげると、「朝鮮半島の非核化」という目標は、北朝鮮の側からいうと、「米中ロが朝鮮半島では核を使わないという保証」も必要だという理屈になる。そんなの無理に決まっているのだけれど、北朝鮮側がこういう原則論にこわだってくるとしたら、協議の行方にはあまり楽観的にはなれませんね。加えて、中国側の参加者が、「日本や韓国は北朝鮮だけでなく、アメリカに対しても圧力をかけるべき」というのを聞くと、ほとんど目が点になってしまうのだけど、このくらい複雑な構図になっているということを思い知らされました。

○今日の会議では、京都大学教授の中西寛さんにお目にかかったのも収穫でした。ちょうど今、長らく「積ん読」状態であった、『国際政治とは何か』(中央公論新社)を読んでおります。これが掛け値なしにいい本だというのは、今更、筆者ごときが強調するまでもないでしょう。何と言うか、読んでいて「ああ、同世代人だなあ」と感じる部分があるのです。それは上の世代にありがちなイデオロギー色と無縁なことであり、価値判断に関する部分でそこはかとない含羞がにじみ出ることであり、歴史上の事実を引き合いに出すときのこだわりであり、とにかく細かな部分で妙に共感してしまうのです。

○同じ京都大学でも、中西輝政はちょっとなあ、と感じ始めているアナタ、こちらをぜひお試しください。


<9月9日>(火)

○ここに使われることのなかった「マニュフェスト」があります。おそらく4人の候補者のうち、これだけ体系的な政策を考えている人はいないでしょう。多方面に渡っていることと、それぞれに年限を切ってあるところなど、お手本のようなマニュフェストです。

緊急提言 幻のマニフェスト

渡辺喜美

 自民党総裁選に出馬すべく私の政権公約案を作成しました。立候補には20人の推薦人が必要です。同志と作戦を練りながら、とにかく21人集まってその中から誰を出すかを決めようということになり、必死の努力をしました。しかし、集まったのは私を入れて19人。9月8日の立候補受付直前まで奮闘しましたが、力及ばず。

 派閥や党や官邸から圧力と懐柔を受けながらも集まってくれた18名の仲間に心から感謝します。

 派閥の壁は厚くて高く、私のような当選2回の無派閥組が20名の仲間を集めるのは至難の業です。

http://www.nasu-net.or.jp/~yoshimi/2003/030908maborosi02.html

少しでも多くの人の目にとまることを願って、ここで紹介しておきます。

○さて、今宵は野中広務氏が引退宣言。77歳と高齢な上に、地元でもいろいろあるらしいので、所定の行動だったのではないかと思います。それでも、そこは「私は戦う」の人ですから、「小泉政治を否定するために」と噛みついてみせた。かつては官房長官や幹事長として、辣腕を振るった野中さんですが、かなしいかな派閥に戻れば橋本、綿貫、青木、村岡といった人たちの後塵を拝することになる。そこで意を呈して動いてくれたのが鈴木宗男ですが、これもアウトとなってしまったので、もはや政治的資源が尽きた。加えて北朝鮮情勢の変化。彼の政治生命は、とうの昔に尽きていたように思います。

○この際ですから、中曽根、宮沢といった総理経験者も、皆さんお引取り願えませんでしょうかね。と思ったら、山中貞則さん(82)は、17選を目指して次の衆院選に鹿児島5区から立候補するとのこと。なんでも、「この人がいる限り、納税者番号制度は通らない」んだそうで、まったく、日本政治にはアラファトさんみたいな人が多すぎます。

今日はこの人と一緒に、ワシントンから帰ってきたこの人とランチしました。新しい勤務が忙しいようで、HPの更新が止まっているようですが、ご家族一同元気で日本での生活をスタートされたよし。ますますのご活躍をお祈りいたします。


<9月10日>(水)

○午後5時に会社を出るために、わざわざ半休を取ってしまった今日のかんべえ。銀座線の外苑前で降りると、もうそこにはタイガースグッズを抱えたトラキチたちが群れをなしている。神宮球場に向かう道路は、ビールや弁当や関連グッズを売る出店が軒を並べ、さながら縁日のような活況を呈している。そりゃそうだ。マジックは今日で残り4。明日にも阪神優勝が決まるのである。

○こんな貴重な日の内野席を取っていただいたTさんには、この場を使って深く御礼申し上げるとして、いやはや予想通りというか、予定通りというか、今日の神宮球場は満員御礼。そしてフランチャイズであるにもかかわらず、ヤクルトファンは本当に数が少ない。かんべえたちが座っている一塁側に少々、そしてライトスタンドにヤクルト応援団の一角があるだけで、残りはすべて黄色く染まっている。これを国会に喩えるならば、社民党の単独少数内閣がその他すべてを野党に回しているようなもの。何だか申し訳ないくらいである。

○実際に試合が始まってしまうと、なるほど阪神の応援団は常軌を逸したパワーを発揮する。選手ごとに応援スタイルを変えて、大声を出したり踊ったりしているレフトスタンドの一群は、どう見ても選手以上にエネルギーを使っている。それが最後までペースが落ちない。これはまあ、一点差を争ういい試合だったからだが、こんな応援団を敵に回すか味方にするかは、結構、勝敗を左右すると思う。「数は力なり」というのは、自民党の中だけではない。

○とくに先制打を叩き出したアリアスへの応援はすごい。「レッツゴー・ジョージ」の大合唱は、ぜひ来月訪日するというブッシュ大統領に聞かせてあげたい。数万人がジョージ、ジョージと叫ぶのを聞いたら、とりあえずヒットポイントは50くらい回復するはずである。(支持率の回復にはつながらないだろうが)。野球のお陰で、日米関係がいかに深まっているかも伝わっていい企画だと思う。政府関係者でこれを読んでいる人は、まじめに検討するように。

○今日の先発、井川はいつも通りの荒れ球がびゅんびゅん走っていて、すいすいとアウトを取っている。そこに油断があった。6回裏の攻撃では、球場全体が風船を膨らませることに集中していたら、あっという間に岩村のツーランホームランが飛び出した。手痛い逆転。かんべえも4個入り500円の風船を持ち込んでいたのだが、あれを膨らませるのは結構疲れるものなのだ。慣れてる人は一人で2個以上膨らませているのだが、皆、6回裏には風船を手にもったままで身動きが取れなくなる。文字通りトイレにもいけないし、ビールを買うこともできない。ここでヤクルトが大量点を入れたら、どうしたらいいのだろう??

○幸いなことに、間もなく7回表の攻撃が始まる。「六甲おろし」を大合唱して、色とりどりの風船を上空に解き放つ。なるほど美しい。一種、感動的な光景である。ところが、万有引力の法則に基づいて、空気の抜けた風船はどんどん落ちてくる。球場の「風船拾い係」の人たちが一斉に駆け出してきて、即座にグラウンドを片付けている。見れば審判までもが風船を拾っている。さすがに守備についているヤクルトの選手たちは手伝わない。当然だよな。考えてみたら、阪神ファンはなんて迷惑なことをしているんだろう。

○それでも、風船のご利益はあらたかで、7回表に片岡のソロホームランが飛び出して同点。2対2。他球場、広島が中日に敗れたことが伝わり、マジックが1つ減ったと球場は大喜び。「もう1個、減らせえ」とますます応援に熱が入る。気のせいか、審判のきわどい判定が、ことごとく阪神に有利になっているように思える。そりゃそうだろう。これだけ大勢で熱狂的な応援団を背中にしょっていたら、どうしたって判断は揺れますぜ。ああ、そんな中を、健気に応援しているヤクルトファンには頭が下がる。

○一塁側のヤクルト応援団長は、回の切れ目ごとに一席ぶつのだけれど、なかなかに話せる人なのである。「阪神はどうせ優勝するんだから。ヤクルトを2位にさせてちょうだい」(これには誰も異存はない)。「今日の井川からは点は取れないねえ」「今日も少ないヤクルトファン、応援よろしく」てなことを言うから、ついつい手拍子も手伝ってしまう。きっと、似たようなことがずっと続いているんだろう。ここは神宮。あなたたちの球場だというのに!

○思えばかんべえ、神宮球場に来るのは久しぶりなのだが、ヤクルトー阪神戦はかつてはよく見にきたものである。1987年には、来日したばかりのホーナー選手(アトランタ・ブレーブス)が、遠山投手から3連続ホームランをぶっ放したのを見た記憶がある。それから、江本がスコットにサヨナラホームランを打たれて、文字通り目が点になったことも覚えている。江本の背番号は、今日の井川と同じ29だった。ああ、今日もサヨナラ負けを食らうのだろうか。

○案の定、阪神打線は湿りがちで、逆にヤクルトが7回から連続して3塁にランナーを進め、一触即発のピンチをかろうじて井川が乗り切るという繰り返し。延長に入っても、このパターンが続く。そして運命の11回裏。早々と満塁にされてしまう。総力戦で投手を注ぎ込む星野采配からは、「勝ちたいんや!」という気迫が伝わってくる。しかし、ウィリアムズに代わったばかりのリガンの初球がラミレスに打たれ、今宵の阪神タイガースの命運は尽きた。

○タイガースのメガホンと、タオルを首にかけたままで帰る道すがら、上野駅で「今日はどうでしたか?」と聞いてくる「同志」がいる。「いやあ、駄目っす」と答える。ひょっとして明日の切符を持っている人だったのかも。

○明日のかんべえは、ブルームバーグテレビジョンに出演して、「阪神優勝の経済効果」について6分少々のコメントをする予定です。時間はたぶん3時40分頃だったかな?ふん、でも明日の優勝はもうないのさ。それにしても、これって「9・11」の2周年の日にする企画かなあ?


<9月11日>(木)

○あれから2年、ということをあまり感じない1日でした。その一方で、2年前の不規則発言を読み返してみると、少しあの当時の雰囲気がよみがえってきます。あの頃はホントによく書いていたなあ。ただしアクセス数はまだ10万台でした。ちょっと懐かしい。

○当溜池通信のアクセスカウンターが100万の大台に近づいています。最近は1日2000件平均くらいですから、たぶん今週末ですね。阪神タイガースの優勝とどっちが早いか。桁数の多いアクセスカウンターに切り替えなきゃいけません。これも週末の作業となりますか。

○これは今年から始まったHPですが、「現役官僚による非官僚的な官僚論」のサイトです。アクセス数は1万を越えて2万に向かっているところ。先日、読み始めたらついついハマりましたな。webmaster氏もやる気満々といった感じです。

http://bewaad.com/index.html

○このサイト、経済問題をまじめに取り上げていますが、文章もよく練れているし、適度な遊びもあって、人気が出そうです。"Bewaad"という単語は、"Before we are all dead."の略で、ケインズの有名な言葉(In the long run, we are all dead.)から来ている。ご推奨しておきましょう。

○週末ごとに更新されているようですが、かなりの分量です。「仕事が忙しいでしょうに、よく続きますね」、なんてことを、私が言っちゃあいけないな。あはは。


<9月12日>(金)

○メキシコのカンクンではWTO閣僚会議が行われていて、日本は「先進国にも特例を」などとひたすら譲歩を求めているようです。これとは別途、メキシコとの二国間FTA交渉も進めることになっていて、これがまったく埒があかないらしい。メキシコはすでに米国とEUを相手にFTAを結んでおり、今では関税の格差から日本企業に明白な被害が出てしまっている。理由はもちろん「センシティブ・セクター」で、要は農業があるから駄目ですと。何でも豚肉と革製品がひっかかっているとのこと。

○FTAといえば、日本は2002年1月にシンガポールと締結したものの、二の矢が続かない。メキシコが駄目なら、韓国やタイとの交渉も望み薄だろう。ということは、世界的なFTA囲い込み競争に日本は取り残されるということだ。ある意味では、ドーハラウンド以上に重要な問題といえる。メキシコとのFTA締結ができない場合に失われる国益は、あまりにも大きい。

○農水族といえば、昔は中川一郎とか渡辺ミッチーといった大物がいた。加藤紘一や羽田孜のように、農水族だけどいずれは総理の座を目指している人もいた。こういう人たちは、いざとなれば国益と秤にかけて、「鶴の一声」で交渉をまとめてくれた。ところが最近の農水族ときたら、「生涯一農水族」みたいな人たちで、とにかく駄目の一本槍なのだそうだ。

○具体的に誰と誰か、と聞くと、せいぜい5人程度だという。その程度なら、いっそ毒でも盛るか、カネで買っちゃうか。もっとも、この問題については、「官邸が動いて調整する」というソリューションもあるわけで、それができないというのも情けない話である。こういう細かな芸当は、小泉さんには期待できないだろうなあ。


<9月13日>(土)

○今日読んだ本です。『ならば私が黒字にしよう』(高塚猛/ダイヤモンド社)。最近、何かと話題のダイエーの福岡3事業、すなわち福岡ドーム、シーホークホテル&リゾート、福岡ダイエーホークスの3つの代表取締役をしている人です。お名前は「こうつか・たけし」と読むのですね。初めて知りました。

○高塚氏は29歳で盛岡グランドホテルの総支配人に就任し、再建した経歴の持ち主。そこを中内オーナーに見込まれて、福岡3事業の建て直しに取り組む。78億円の経常赤字を3億円に縮小し、福岡ドームの観客動員数を310万人に伸ばした。これは読売ジャイアンツに次ぐ数字であり、今年の甲子園球場は間違いなく抜くだろうけれども、とにかく快挙である。

○高塚氏は、日産のゴーン流とは対極的な手法を取る。まずもって、コストカッターではない。人を切らない、資産を売却しない、銀行への金利は払いつづける。過去は否定せず、「赤字は恥ではないが、赤字を直そうとしないことは恥である」と説く。実際にやることは、社員教育を大事にするとか、人事異動をするとか、宿泊とレストランと宴会部門の連絡を良くするとか、まあ、わりと当たり前のことである。

○もちろん大胆な決断もしていて、たとえばダイエーホークスのロゴなどのロイヤリティー収入をタダにするとか、対西武戦をプラチナチケットにしてしまうとかは、言われてみればなるほどの「コロンブスの卵」である。こういう努力の結果、ホークスが地元に根付いたわけで、お見事というほかはない。

○さて、それでめでたく企業再生なるかというと、そうもいかない。営業で33億円の黒字が出ていても、経常では5億円の赤字。そして福岡3事業に投入された金額は1700億円もある。とてもじゃないけど返せない。だから不良債権ですね、ということになる。経営は再建したが、身売りは止められない。だからこんな記事が出る。

<毎日>2003.9.13

■ダイエー今季限りで球団運営から事実上撤退

 ダイエーと主取引銀行がまとめた福岡事業(プロ野球球団、ドーム球場、ホテル)の処理案の全容が12日わかった。「福岡ダイエーホークス」については、国内有力企業に球団株を売却するまでの間、ダイエーからの資金援助をやめ、主催ゲームのチケット販売などもドーム球場の買い手企業に委ねる。球団株の売却は04年秋とみられるため、ホークスは来季も「ダイエー」の「冠」を残すが、ダイエー本体は今季限りで球団運営から事実上撤退する。

 この方針は、18日に予定しているドーム球場とホテルの売却のための入札条件になる。優先交渉権を得るために参加する外資系投資会社3社は、ダイエー本体の球団運営撤退を前提に、ドーム球場やホテルの価値を算定するとみられる。


○高塚氏は言う。経常を黒字にすることはできる。スター選手を獲らないとか、社員の給与をカットすればいい。でも、そんなことをするくらいならば、地域の活性化に投資した方がいい。そうでないと会社の存続が怪しくなる。そもそも自分はバブル崩壊後は拡大思考を捨てた。営業利益が出て元金を償還して、会社が存続できればいい。自分はオーナーではなくてサラリーマン経営者だから、高い利益率にこだわる必要がない・・・・・。

○これは非常に現実的な考え方だと思う。実際、資産売却やコストカットを始めると、事業としての採算性が失われてしまう。結果として、顧客も、社員も、銀行も、誰も喜ばない結果が残る。福岡3事業も、できれば今のスタイルで続けた方がいいんじゃないかと思う。それが通らないという現実がまことに悩ましい。それでも、低成長時代に地方でビジネスをする際には、「高塚流」は非常に有力な方法ではないかと思う。

○ところで今年は、阪神タイガース対福岡ダイエーホークスの日本シリーズになりそうですね。チケットが取れそうな方は、私めにも一声かけてくださいまし。


<9月14日>(日)

○アクセスカウンターの桁が上がっちゃいそうだから、その前に何とかしなくちゃ、とは前から気になっておりました。現在のカウンターは、ニフティの提供によるもので、99年8月の立ち上げ時からずっと使っている。昨年4月に専用URLを取って、今のホスティングサービスの会社に移ってからも、ずっとそのままにしているのです。

○でもって、今度こそはホスティングサービスの会社から7桁以上のカウンターをダウンロードして、新しく付け替えようと思ったのです。てなことで、ああして、こうして、とやっていたが、3時間苦闘してやり方が分からない。温厚なかんべえさんも、さすがにイライラしてくる。なんでこう、マニュアルと言うのは不親切な上に、下手な日本語で書かれているのか。しかし、本当のところは誰が悪いのでもない。私がバカなだけなのよ。よく分かっている人がやれば、すぐに解決することなんだろうなあ、と思いながらやると、ますます腹が立ってくる。

○このトラブルは、最終的にいつもと同じ経路をたどったのである。夕方になって、この人(最近、更新をさぼっている)が、「ふん?それならニフティのカウンターの桁数を上げればいいじゃん」とのたまい、彼女の言う通り、ソースの中にある「6」を「7」に書き換えてみると、あら不思議、ちゃんと桁数が増えているじゃありませんか。が〜ん。私の今朝の3時間はなんだったのか?ああ、もったいない。この時間があれば、今日は中山競馬場に行けたかもしれないのに!

○パソコンのトラブルに費やす時間は、瞬く間に流れていく上に、何一つ後には残らない。悲しいくらいに無駄な時間です。HPを運営していると、ときどきこの無意味な時間を浪費する羽目になります。「溜池通信」を続けてきた過去4年と1ヶ月の間には、この手の悲しい思いが何度もありました。この間、技術的な知識はほとんど増えず、フロントページもFrontpage Expressで作った、昔ながらの冴えないまんまです。というか、あたしゃ、そういう点の向上心は皆無だからなあ。

○まあ、それでもこんな風に、多くの人が立ち寄ってくれるサイトになったんだから、偉いもんじゃないかと自画自賛してみたくなる。アクセス数は先月は手抜きしたからちょっと減ったけど、1年前に比べれば倍になっているではないか。100万の大台達成は9月16日の午前中くらいでしょうか。冗談で言っていたけど、本当に阪神タイガースの優勝とどっちが早いか、いい勝負になりそうです。


Summary by Month
 
Month Daily Avg Monthly Totals
Hits Files Pages Visits Sites KBytes Visits Pages Files Hits
 
Sep 2003 6583 4216 4154 2066 10920 947257 26864 54014 54819 85579
Aug 2003 5345 3509 3310 1659 19777 1996428 51458 102622 108809 165715
Jul 2003 6805 3850 3516 1730 20388 3612080 53657 109013 119352 210962
Jun 2003 5805 3729 3466 1672 18838 1881574 50173 103986 111877 174154
May 2003 5322 3415 3292 1610 19112 1944771 49932 102081 105890 165012
Apr 2003 5449 3434 3265 1596 18640 1895038 47883 97967 103039 163488
Mar 2003 5042 3245 3078 1484 18044 1941326 46020 95418 100616 156332
Feb 2003 4704 2966 2833 1328 15544 1497023 37201 79328 83070 131717
Jan 2003 3729 2463 2260 1141 14871 1316249 35376 70066 76377 115622
Dec 2002 3398 2128 2001 1014 12350 1182156 31452 62046 65981 105348
Nov 2002 3391 2113 2076 1063 12649 1087981 31901 62295 63390 101733
Oct 2002 3262 2163 2091 1067 13394 1198246 33083 64841 67081 101149
 
Totals 20500129 495000 1003677 1060301 1676811



<9月15日>(月)

阪神タイガースの歌 

六甲颪に颯爽と
蒼天翔ける日輪の
青春の覇気美しく
輝く我が名ぞ阪神タイガース
オウオウオウオウ阪神タイガース
フレフレフレフレ

闘志溌剌起つや今
熱血既に敵を衝く
獣王の意気高らかに
無敵の我等ぞ阪神タイガース
オウオウオウオウ阪神タイガース
フレフレフレフレ

鉄腕強打幾千度び
鍛えてこゝに甲子園
勝利に燃ゆる栄冠は
輝く我等ぞ阪神タイガース
オウオウオウオウ阪神タイガース
フレフレフレフレ


○「六甲颪(おろし)」というのは、意外なことに通称であって、本当の阪神タイガースの歌というのが正しい。この歌は不思議と飽きが来ない。何回でもエンドレスで歌うことができる。こんな応援歌を持っているだけでも、阪神ファンは幸せというものである。たとえ今日は18年ぶりの優勝で、その前は21年前であったとしても。(それにしても、何という勝率の低さだ・・・)

○誰が言ったのか忘れたが、「麻雀とは最後は牌の音を楽しむゲームである」。その伝でいくと、阪神ファンとは六甲颪を愛する存在かもしれない。すいません、あとは言葉が続きません。ああ、うれしいなぁ。


<9月16日>(火)

○本日午前で当サイトのアクセス数が7桁の大台に到達しました。皆様のご愛顧に感謝申し上げます。

○昨日の阪神優勝は、午後7時半という早い時間に決まりました。これはテレビ局の報道関係者にとって、望外の出来事だったでしょう。なにせ、胴上げの中継、試合の経過報告、優勝記者会見、道頓堀川のダイブ、全国の熱狂ぶり、ビールかけ、さらに選手へのインタビューと、この話題だけで夕方から深夜まで、延々と引っ張ることができた。ワシも昨夜は何年ぶりかで、久米宏のニュースステーションを見てしまった。そうそう、試合の中継から胴上げまでを完全に中継してくれたNHKのBSには心から感謝しよう。当分は受信料は笑って払ってあげよう。

○その反面、お気の毒なことに、阪神の優勝は祭日に決まってしまったので、休日には発行しない夕刊紙は阪神特集号を出せなかった。(出せばかならず売れるのに!)その上、今朝は一般紙も休刊日に当たってしまい、今日の夕刊になって星野監督の胴上げが載る次第。というわけで、「阪神優勝!」というおいしいネタは、今朝は各スポーツ紙が独占することと相成った。さぞや売れたでしょう。かんべえも、本日はデイリースポーツの阪神タイガース優勝特集を買い、柏駅から新木場駅までかけて熟読しました。

○デイリースポーツといえば、阪神タイガースと運命をともにして幾星霜。長年の思いがほとばしるような記事を堪能いたしました。とくに歴代の「トラ番」記者の回顧録は、阪神ファンの切歯扼腕の歴史を伝えて余すところなし。一面の胴上げの写真もすばらしい。

○本日のスポーツ各紙には、星野監督個人による「応援御礼」の広告が掲載されている。デイリースポーツに載っていたのは、「昨日、球場に来られなかった人にもありがとう。応援感謝 星野仙一」という文言。まことに粋な計らいというもので、かなり前から準備していたのでしょう。まあ、それくらい余裕のある優勝だった、ということをあらためて感じました。(ダイエーの王監督には、そんな余裕はないでしょう)。

○ところで、こんな企画に身銭を切ってしまう星野さんって、あまりにもカッコよすぎる。そう思った瞬間に、嫌な予感が走ったのですが、今年限りで監督を引退しちゃうなんてのも、アリだったりして。日本シリーズを堂々と制した後で、「田淵、あとはお前がやれ」と身を引いたりしたら、これはもうダンディズムの極致。無傷の星野伝説が誕生する。これって、荒唐無稽な話ではないと思う。だって、阪神の監督に「後生大事」はないんですもの。

○その後の展開も容易に見当がつく。阪神球団はオフの更改で渋ちんぶりを遺憾なく発揮。選手は遊びほうけて体調不十分で来シーズンを迎える。新田淵タイガースは波乱含みで船出するが、春先から故障者続出で連敗街道をひた走る。ついには内紛が勃発し、島野ヘッドコーチが退団。阪神の成績不振はファンの怒りを掻き立て、夏には田淵休養説が流れ、その後は・・・・ああ、嫌だいやだ。一夜明けると、阪神ファンはついついこんな発想をしてしまうのです。

○ところで、わが敬愛する阪神ファンの北杜夫氏は、なんで今回はちっとも出てこないんでしょう?ちょっと心配だ。


<9月17日>(水)

○昨日、あんなことを書いたら、今週発売の週刊新潮が、「うつ病の北杜夫が語る阪神タイガース優勝」みたいな記事を、お嬢さんである斎藤由香さん(同誌誌上で「窓際OL」として連載中)の対談という形で掲載しています。これがまた、北杜夫ファンが案じていたとおりの事態で、やっぱりなあ・・・・と心に沁みました。全国の北杜夫&タイガースファンの皆様、必見です。

○本日は立川市で内外情勢調査会の講師を務めました。それにしても昔に比べれば便利になったもので、午前10時10分にお台場のオフィスを出ると、午前11時40分には立川駅に到着するのですね。東京の端から端まで移動するわりには、中央線特別快速はたいしたものだと思います。

○学生時代に小平市で下宿していたので、中央線の先の方はなんだか懐かしいものを感じます。たまたま会場に見えていた中に、地元信用金庫の小平市支店長さんがいて、ローカルな話題に花を咲かせていたら、「龍園はご存知ですか?」と来た。なんと懐かしい。小さな中華料理屋さんなんですが、数え切れないほど、あそこの定食を食べたものです。あまりにもボリュームがある店なので、きっと今行ったらとても食べきれないでしょうが。それにしても、江夏豊にそっくりな龍園のおやじは、今も元気にやっているという話を聞いてうれしくなりました。

○夜は渋谷へ。なんで渋谷かというと、アメリカでベンチャーキャピタルをやっているKさんの呼びかけで、あの世界においては今でも「ビットバレー」の縁があるから、でした。久々に訪れた渋谷は、高層ビルが増えていて、なんとも見違える世界。ここもある意味では懐かしい街のひとつなのですが、あんまり変わってしまうとむしろよそよそしく感じられるのが不思議なくらいです。

○結局、今日一日で、@柏→お台場、Aお台場→立川、B立川→お台場、Cお台場→渋谷、D渋谷→柏、とまるで東京都の地図の上に星印を書くような移動をしてしまいました。いかに東京の交通機関が発達しているかを実感した一日でした。


<9月18日>(木)

○さる方のお誘いで、なーんと本日は相撲見物に行ってしまいました。いやはや、これは結構なものでございます。かんべえが最後に国技館に行ったのは、たしか曙が土俵入りをしていた記憶がありますので、かなり昔の話。今は「満員御礼」の垂れ幕もなく、二階席は当日でも入れてしまうような状態ですが、そこは伝統の国技。味わいの深いものがございます。

○案の定、いちばん人気は高見盛です。ロボコップのパフォーマンスで、会場は割れんばかりの喝采。よくよく見ると、高見盛は木村剛からメガネを取りはずして、二、三発はたいて涙目になったような顔をしている。その高見盛は、どうみても必敗の体勢から逆転して、本人もビックリの勝ち名乗り。これはもう、ファンは大喜びです。それにしても、高見盛の取り組みが終わったら、帰ってしまう人がいたのには驚きました。彼の人気が文字通り、今の大相撲を支えているのですね。

○印象に残ったのは、モンゴル勢力士がそろって美しい体をしていること。力士たるもの、そこは皆、そうあってほしいものですが、実際には「これぞお相撲さん」といえるような人はそう多くはなく、しかも包帯やバンドなどが妙に目立っている。そんな中で朝赤龍や旭鷲山はほれぼれするような体格でした。

○結びの一番、朝青龍が若の里に投げられて、今場所の初黒星になったからさぁ大変。館内を座布団が乱れ飛びます。われわれの桝席にも2発飛び込んで、ビールは倒れるわ、結構な騒ぎ。「うーん、これはWeapons of Mass Disturbanceですなあ」「いっそのこと、座布団で座布団を迎撃する防衛構想はいかがでしょう」などという会話になったのは、関係者がここのご一同様であったからでしょう。

○そんなわけで、終わった後は一杯やりながら、安全保障問題でのオタク話。山のようなお土産を持ち帰り、これを至福の一日といわずして何というべきか。


<9月19日>(金)

○いよいよ明日は自民党総裁選の開票日。小泉圧勝の観測が多いので、ほとんど興味は失われた感もありますが、こういう見方をすると結構、楽しめます。すなわち、「誰が2位になるでしょうか?」

(1)普通に考えれば2位は亀井さん。「自民党総裁選で2位になった男」というと、小渕政権下の加藤紘一のようなものだから、たとえ無役であっても、それなりのステータスにはなるわけです。亀井さんとしては、ちょっとくらいは威張ってもいいわけで、少なくとも江藤・亀井派の領袖という座は安泰といえる。逆にいえば、2位になれなかった瞬間、「では、今日からこの派閥は平沼派ということに」、となりかねず、どうかすると年末頃には東京地検からお呼びがあったりするので、この差は天国と地獄である。

(2)次に藤井さんが2位になれば、「さすがは経世会」ということになる。人事面でも粗略な扱いはできなくなるし、崩れかけている派閥の団結も引き締まるだろう。その一方で、最終局面のゴタゴタを見ると、どうもそこまで真剣に選挙に力を入れたようには見えない。むしろ、明日から「野中対青木」の遺恨試合が始まって、橋本派の迷走は続きそうである。そうなると竹下さんは草葉の陰で泣き、小泉さんは官邸で大笑いということになりそうだが、だからといって自制するようにも見えず、この際、とことん血みどろの戦いを見せてほしい気もする。

(3)最後に高村さんが2位になる場合だが、普通であれば考えにくいものの、古賀氏の一派が合流するらしいのでちょっと目が出てきた。この場合、高村さんの入閣はほぼ決まりで、その場合はやはり外相が濃厚だ。野中さんと一緒に地獄に落ちかねない古賀氏としても、済んでのところで救われる。仮に成績が不振に終わった場合でも、本人としては失うものはほとんどなく、山口一区における次の選挙が安泰になるだけでも手を上げておいて大正解、ということになるだろう。

○ということで、明日の結果を楽しみにいたしましょう。


<9月20日>(土)

○選挙結果というのは、「意味深」な数字が出ることが多いものです。下の数字を見ながら、「よく出来ているなあ」と感じました。

  小泉 亀井 藤井 高村 合計
国会議員 194 66 50 47 357
地方票 205 73 15 7 300
399 139 65 54 657


(1)小泉さんが大台の「400」に1つ足りなかった。全体の6割を越えているんだから、「完勝」であることに変わりはないが、あと1票多かったら、周囲が受ける印象はまるで変わっていたはず。ちょっとだけ、惜しい。

(2)亀井さんの議員票「66」は、江藤・亀井派の60人に10%上乗せした。「大変よくできました」の数字である。これが60を割り込んでいたら、目も当てられなかった。

(3)藤井さんの議員票「50」は、橋本派議員「100」のちょうど半分である。橋本派は真っ二つになったわけだ。藤井氏にとっては、「やっと半分」なのか、それとも「まだ半分も」なのか。

(4)高村さんの議員票「47」は、高村派議員「16」の3倍である。ひょっとすると、今夜のビールが一番おいしいのはこの人かもしれない。

○地方票ですが、亀井氏は新潟、広島、宮崎でトップ、藤井氏は岐阜でトップだった。高村氏も地元、山口では6票を小泉氏と半分に分けた。これを2001年選挙のような「勝者総取りルール」でやいっていれば、おそらくこんな結果になる。小泉:亀井:藤井:高村=266:21:7:6 つまり、それくらい小泉さんの勝ちは圧倒的なのである。よかったね、ドント式で。


<9月21日>(日)

○安倍晋三さんが幹事長に指名されました。すごいなあ。ビックリしました。天才の人事だと思います。

(1)本人が一発OKしていること、補佐役に久間氏を用意していること、発表を午前の遅い時間、サンデープロジェクトに間に合う時間に流していることなど考えると、この人事はかなり前に思いついて、準備をしていたんでしょう。しかし漏れなかった。大胆な人事というものは、発表のときに周囲をビックリさせたところで半ば成功です。

(2)当選3回でも、株式会社自民党の社長になれる。これは「自民党が変わる」という目に見える証拠であるし、実際にこれで自民党の世代交代は進むでしょう。企業でもそうですが、大抜擢人事が行われると、ベテラン陣は自分が「肩叩き」されているように感じます。すると不思議なことに、文句たらたら言ってた人たちが急におとなしくなるものなのです。

(3)総選挙を控えて、野党にとっては安倍幹事長の誕生は「とっても嫌な人事」でしょう。抵抗勢力も、あっけに取られているかもしれないけど、文句は言えませんわね。「人気がないから辞めろ」と言ってた幹事長の代わりに、人気だけはある幹事長が来るわけだから。「相手が一番嫌がる手を指す」という大山十五世名人のような一手ですね。

(4)実際の仕事振りはまだ分かりませんが、これで安定感が出てきたら、「お父さんに似てきた」という話が出るでしょうな。安倍晋太郎が幹事長をやっていたのは竹下政権の頃。そんなに古い話ではありません。

○さっき電話したら、角谷浩一氏も「早く閣僚人事の全体を見たい」と言ってました。本当にそうですねえ。どうしたら、こんな人事を思いつけるんでしょう。恐れ入りました。


<9月22日>(月)

○日経平均が500円も下げたそうで、半分はG7の結果を受けての円高進行によるものでしょうが、半分は閣僚人事を見てのことでしょう。いつものことですが、小泉さんはバランス感覚がない。これはどう見ても「挙党一致内閣」ではない。あっちこっちで悲鳴や嗚咽を呼びそうで、いかにも前途多難。

○しかし考えてみれば、2001年4月の第1次組閣のときも同様だった。あのときは「塩川財務大臣」を聞いて、その日のうちに為替が50銭円安に動いた。今回も地味目とか、軽量級といった評価は出るだろうけど、とにかく小泉流であることだけは間違いない。そして「安倍幹事長」は相当に評判がいいようなので、総選挙は何とかなりそう、というムードが漂っている。

○本日はみずほインベスターズ証券さんでフォーラムの講師を務めました。こんな忙しそうな日に、「アメリカの論理を読む」という話に大勢来ていただきました。深謝。


<9月23日>(火)

○さる日の床屋さんで耳にした会話。

○お客さんは年金生活のご老人で、自分の土地に缶入り飲料の自動販売機を置こうとしているらしい。「いや、小遣い銭くらい稼ぎたいからね」。すると床屋さん側が言うんです。「自動販売機、うちも昔やってたけど、あれって電気代かかるんだよ。月に2万円くらい」。

○へー、知らなかった。自動販売機を置くのはリスクのない商売なのかと思ったら、電気代は自前になるのですと。24時間稼動だから、電気代はそう安くはないだろう。面白いので黙って聞いていると、家族経営の床屋さん、それぞれ商売には一家言ある人たちなので、話はどんどん発展していく。

○床屋さん一家いわく。自動販売機の商売は、月の売上が5〜6万円以上はないと黒字にならない。この商売のコツは、しょっちゅう変わる売れ筋商品を常に揃えておくことだという。販売員が毎日、巡回に来てくれているうちは、どれが売れ筋かが分かるし、商品を常に置いておくことができる。ところが途中で販売員のリストラがあり、一人の受け持ち範囲が広くなってしまった。そうなると販売員は、催促してもなかなか来てくれない。かくして自動販売機は、しょっちゅう「売り切れ」ランプがついてしまう。と、ここで床屋のおねえちゃんが、端倪すべらからざることを言う。

「売り切れランプがついてるってことは、売れ筋商品を切らしているってことでしょう。損するからすぐ来いと言うのに、来てくれないのよ」

○これは実践的マーケティングというものですね。お陰でひとつ賢くなった。さて、ご老人はなおも自動販売機ビジネスに期待があるようなのだが、今度は床屋の親父さんが別筋のリスクを提起する。「最近はバールでこじ開けて、中身をごっそり持っていかれることもあるらしいよ」。これまた、いかにもありそうな話である。ご老人がかなり動揺したところへ、今度はおかみさんが心に沁みる一言を吐いた。

「こういうときだから、いろんな事をやりたくなるのは分かるけど、こういうときだから、止めといた方がいいよ」

○いかにも当世風で不景気な話なんだけど、私も聞いていて、自動販売機を置くのは止めたほうがいいだろうなあ、と思った。なんとなれば、その場にいた誰一人として、自動販売機で缶入り飲料を買いそうではなかったんだもの。


<9月24日>(水)

○世論調査によると、小泉新内閣の支持率は軒並み6割を越えて好調のようですが、キャッチフレーズを集めるとこんなのが集まるらしいですね。ネタもとはニッポン放送の、「垣花正のニュースわかんない!?」。

●下手なマッサージ内閣(痛みだけが残る)

●ブルー斜党内閣(森と泉に囲まれて静かに眠る)

●パンスト内閣(不透明で横滑りが多く、長く持たない)

●樹海内閣(青木や森から抜けられない)

●鬼平犯科帳内閣(平蔵のおかげで町が静まり返っている)

○ほかにも優秀作品を考えられた方は、ぜひ当溜池通信まで。

○それとは全然関係ない話なんですが、今週のThe Economist誌にちょっと気になる記事が出ています。題して"Preparing for the worst"という北京発の記事です。中国の人民解放軍が北朝鮮との国境に向けて動いているそうです。

They say that large convoys of infantry have been seen moving in broad daylight through the area during the past couple of weeks. The soldiers are believed to be from the Shenyang military region, which covers the whole of north-eastern China, including the 870-mile (1,400km) border with North Korea. Large-scale deployments near the border are highly unusual. The Shenyang military region has traditionally focused on defending the border with Russia to the north and east, rather than North Korea to the south.

Hong Kong reports put the numbers involved at around 150,000 troops. That would be about 60% of the military region's dwindling strength. The improvement of China's ties with Russia has made Shenyang a particular target for troop reductions (China announced this month that its armed forces would be trimmed by another 200,000 by 2005, though at 2.3m they would remain the world's biggest, and with a fast growing budget). Diplomats say the Shenyang military region's attention is now increasingly focused on potential security problems arising from the Korean peninsula.

○核開発に関してプレッシャーをかけるなど、いろんな思惑があるんでしょうが、ちょっときな臭い気がします。北京としては、「北朝鮮で何かあるかもしれない」という感触を得ているんじゃないでしょうか。


<9月25日>(木)

○内外情勢調査会の講師で福島市へ。数えてみたら、これで10都府県、16箇所目であった。こんなふうに全国各地を訪れると、いやでも感じるのは「都市と地方」の問題である。別に二枚舌を使うわけではないのだが、同じ日本経済を見るにしても、先週講演した東京都立川市と今週の福島市では、ずいぶんと角度が違ってくる。

○福島県といえば、首都機能移転問題を抱えている。しかるにこの話はどうも望み薄である。それどころか、第2次小泉内閣においては、石原伸晃国土交通相が、首都機能移転担当となっている。これは今回の組閣における最大のブラックジョークであろう。石原慎太郎都知事が「移転反対」を陳情しようと思ったら、自分の長男を都庁に呼びつけることになるのではないか。

○首都圏には世界でもっともリッチで、移動手段が完備していて、もっとも情報伝達速度の速い消費者が3000万人も住んでいる。ここで目新しいことをやる分には、それが営業的に成功するかどうかはさておいて、とにかく集客は簡単である。新丸ビル、六本木ヒルズ、大江戸温泉、北朝鮮の工作船に至るまで、とにかく人が集まってくる。経済のソフト化、サービス化が進むと、大勢の客がいる市場は有利。逆に地方で何か成功させようと思ったら、ハードルは非常に高い。

○「どうやって中央から人を呼ぶか」と考え出すと、ついつい大型プロジェクトを考えてしまうのだけど、シーガイヤ、ハウステンボス、アルファトマムなどは軒並み失敗している。おそらく愛・地球博なんぞも失敗するんだろうなあ。前売り券はずいぶんダンピングしてますが、誰が買うんでしょ。そのうち会社に割り当てが来たりして。

○他所から人を呼ぶ仕組みを考えるときに、どうしても欠かせないのはブランドを作ることでしょう。情報化社会というのは、勝手にブランドやカリスマを作ってしまい、それ以外を全部負け組みにしてしまう癖があります。そんな中で、「福島県の喜多方ラーメン」とか、「盛岡の三大麺」などというのは、上手なやり方をしていると思います。誰とも競合することのない「オンリーワン」を作ること。こんなことが地方経済にとってヒントになるのかな、と感じています。


<9月26日>(金)

○あたしゃ1回も見たことがないんですが、「トリビアの泉」ってのが流行っているそうで。(何曜日、何時にどの放送局でやっているかも知らない。家族に聞いても、全員が知らなかった。まったく何という一家であろうか)

○さて、永田町でトリビアをやるとどうなるでしょうか。

●森喜朗元首相一家が飼っているチンチラ2匹のうち、1匹の名前は「タメゴロー」という。
※タレント・俳優のハナ輩氏(故人)と森氏は親しかったが、その縁でハナ氏が飼っているチンチラの子供をもらった。命名の際、「ハナ氏にちなんで」上記の名前に決まった。
※もう1匹のチンチラは「モモコ」という名前である。

●参議院選挙全国区で当選し、開票日の翌日亡くなった議員がいる。向井長年(民社党)。

●若き日の中曽根康弘は、内務省を辞めた退職金で買った自転車を白ペンキで塗りつけ、それに「白馬号」と名づけた。

●不破哲三と空手の大山増達は友達だった。主義主張でなく、単に気が合うとのこと。互いの著書を交換していた。

●鳩山邦夫の趣味が蝶で「蝶を飼う日々」という著書まで出してる。

●竹下登は麻雀でリーチがかかると「竹下登、最後のお願い、最後のお願いです」と選挙口調で絶叫する。

●菅直人は東工大時代、マージャンの自動点数計算機を開発し特許を持っている。

●河本敏夫は三光汽船の倒産の責任を取って沖縄開発庁長官を辞任したが、そのニュースが大きく取り上げられたのは辞任当日の夕刊のみだった。なぜなら・・・その翌日の朝刊のトップは日航機墜落。

●野中ヒロムと中川一郎は同い年である。

●土井たか子は・・・テレフォンショッキングに出演したことがある。ちなみに土井を紹介した「お友達」は横山やすし師匠。

●小泉首相はフジテレビのドラマ「TEAM」の第一回に文部大臣役で出演してる。

●民主党国対委員長の野田佳彦はアメリカ横断ウルトラクイズで優勝したことがある。

○ちなみに真偽のほどは保証しかねます。元ネタは下記をご参照。

http://society.2ch.net/test/read.cgi/giin/1061384169/ 

○これは知り合いの記者が教えてくれたものですが、結構面白い。

●宮沢喜一はゴルフでロングパットが入ると、いきなり漢詩を唄いだす。周囲はどう反応していいかわからず、その場が凍る。


<9月27日>(土)

○昨晩、飲んだときに聞いた話で、「へえ〜」だったものをいくつか。

●国連総会において、どうでもいいような議題がかかるとき、発展途上国の多くでは本国からの訓令もなく、自分で判断しようにもよく分からないということがある。そういうときは、「とりあえず日本と同じにしておけば安心」なので、日本が賛否を投じた直後に、一斉にそれと同じ投票行動が続く。

○日本は妙なところで信用があるということですな。たしかにアメリカやフランスに賛同するのはちょっと危なげだけど、日本の真似をする分には、恩に着せられる心配もなさそうだし。学級活動ではあまり発言せず、いつも他人より後から静かに手を挙げる秀才みたいなものですな。

●日本の銃刀法では、自分が持つことを許される銃は1つだけであり、他人との銃の貸し借りは厳に禁じられている。

○つまりクルマの免許などと違い、使っていい銃は限定されるんですね。これを教えてくれた人は、猟銃の保持を警察に申請したところ、厳重な身辺調査をされた挙句に「駄目」と言われてしまったそうだ。なんでもご近所への聞き込み調査まであるらしく、そういうところで「ウチの近所で猟銃を保持されるなんてトンデモナイ!」という反対があると、通らなくなるのではないかと。さすがに刀狩りの国だけあります。

○最後にこれはトリビアにはならないんだけど、自分なりに「へえ〜」と感じた話。

●1989年に北京の学生運動を弾圧したときに、中国政府はそれが海外で大騒ぎになるとは思っていなかった。1996年に台湾近海にミサイルをぶち込んだときも、それで米軍の空母が出てくるとは思わなかった。ところが2000年を過ぎた頃から中南海は穏当になり、最近は台湾で独立話が出てもまことに静かである。どうしてこんなに「大人」になったのか。おそらく世代交代が進んで、指導者が若返ったからであろう。

●レーガン政権の頃の共和党は今ほど保守的ではなかった。現在のブッシュ政権は、レーガン主義者の残党が見果てぬ夢を追って試行錯誤するうちに、予想以上に保守化が進んだもの。

○最後の部分は、『G・W・ブッシュ政権とアメリカの保守勢力』(JIIA現代アメリカ/日本国際問題研究所)に詳しく出てきます。この本は非常に勉強になります。


<9月28〜29日>(日〜月)

○先週、エコノミスト誌に書いた「デジタルAV機器」の件で電話取材を受け、今朝の毎日新聞朝刊に筆者のコメントが載りました。「景気最前線・回復は本物か」という連載の第1回で、デジタル家電のブームがいかに波及効果が広いかを紹介しています。「日本の半導体出荷額が11年ぶりに米国を逆転する」というのは初耳でした。つまり、それくらいデジタルカメラ、薄型テレビ、DVD録画再生機などの需要が強いということ。この連載はちょっと要注目です。

○そうしたらそれを見て、今度はテレビ朝日さんから電話があり、急いで取材したいとのこと。内心、カジュアル出勤にしなくて良かったわい(出掛けに来客があることを思い出して踏みとどまった)と思いつつ、カメラ取材を受けました。これで「週刊誌(エコノミスト)」→「新聞」(毎日)→「テレビ」(テレビ朝日)と同じ話題が循環したわけで、なるほどこうやって話題というものは作られていくのだなあ、と妙なところで感心しました。

○ところで「デジタル新3種の神器」の話は、思い起こせば、今年1月6日のJ−WAVE「Jam the World」で今年のヒット商品になるって予言しているんですよね。(そうそう、角ちゃん、今日の放送聞いたよ。医療事故の話、面白かった)。さらにいうと、当「溜池通信」では何度も取り上げていて、昨年の5月31日号では「AV関連機器が有望」とか、昨年の7月12日号では、「IT製品に第3の波が来る」などと書いておるわけです。

○何が言いたいかというと、「どうだ俺の予想が当たったぞ」というのもあるんですが、それよりも「いいニュースは話題になりにくい」ということですね。たぶん、デジタルAV機器の関連業界では、昨年秋ぐらいから「よっしゃぁ」と思っていたはずなんですが、マスコミの注目を集めるまでにはかなりのタイムラグがある。逆にいうと、マスコミが取り上げるくらいだから、このブームも先は長くないかもしれない。端的に言うと、このニュースを聞いて、「デジタルAV機器の関連銘柄を探そう」と思った個人投資家の方は、止めたほうが無難だと思います。「知ったらしまい」といいますしね。

○今日、取材に来られたテレ朝のクルーのお一人が、当溜池通信のファンだったそうです。本日はお愛想なしで失礼しましたが、また機会がありましたらどうぞお越しください。


<9月30日>(火)

○昨日あんなことを書いたら、テレビ朝日、スーパーJチャンネルのデスクの方からも「ちゃんと読んでます」とのメールを頂戴しました。失礼いたしました。かんべえのコメントは明日の放送で使われる予定だそうです。放送は夕方5時台ですから、ちょっと自分では見られませんが、お手すきの方はどうぞよろしく。

○さてさて。最終局面に来て優勝を決められないダイエーホークス、これでは9月中には決まらないかと思いましたが、さすがに今夜で決まりましたね。他球場でやっている西武ライオンズが負けて、試合中に優勝が決まるという昨年のジャイアンツのようなパターン。この瞬間、ロッテのマリンスタジアムでは「優勝おめでとう」が点灯しました。試合ではホークスは大量リードなのですが、その後も点を取られる大味な試合で、なんとも苦労の末の優勝という感じでした。

○それでも優勝の瞬間はいいものです。見ているうちに、阪神タイガースの優勝を思い出してしまいました。さて、来月は日本シリーズ。いい勝負をしてもらいましょう。








編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki