<12月1日>(日)
○11月26日付け「ジョージ&コンディ」には及びませんが、ブッシュ政権ネタは豊富ですね。
An Israeli doctor says: "Medicine in my country is so
advanced that we can take a kidney out of one man put it in
another and have him looking for work in six weeks."
A German doctor says: "That's nothing, we can take a lung
out of one person put it in another and have him looking for work
in four weeks."
A Russian doctor says: "In my country medicine is so
advanced we can take half a heart out of one person put it in
another and have them both looking for work in two weeks."
The American doctor, not to be outdone, says: "You guys are
way behind, we just took a man with no brain out of Texas, put
him in the White House, and now half the country is looking for
work!
○国が半分だけ動いている、ってところがイイ。民主党支持の残りの半分はしらけている。で、こんなジョークが受けているわけだ。こういう手口があんまり日本で使われないのは残念なことだ。ジョークは重要な政治的手法だと思います。
<12月2日>(月)
○岡本さんから、「これ、ちょっとすごいと思いませんか?」というメール。何のことかと思えば、あら懐かしい。2年くらい前の溜池通信です。
http://web.archive.org/web/20000919183029/http://member.nifty.ne.jp/kanbei/
○これを見ると、当時はまだアクセス数が2万4537。もうじき50万件ですから、思えば遠くに来たもんだ、てな感じです。
○伊藤さんによれば、「これは一種の文化事業なんだよ。アメリカで始まって、ようするにネットの歴史を全部
とって置こうとしている奴らがいる」。なんとも奇特な心がけといえましょう。「自分の手で過去を抹消したいと思う書き手にはつらい試みかもしれませんね。予想を書いて思いっきりはずしているエコノミストとか。くわばらくわばら」と書いたら、すぐにお叱りが来て「いつも雑誌に書いてるつもりで書きなはれ」。へえへえ、ごもっともでやんす。
○ところで民主党の迷走は今夜も決着せず、明日の役員会に持ち込まれた様子。大騒ぎの結果、鳩山代表の首が飛びそうです。鳩山さんが飛ぶと菅さんの株が上がるのがこの党のバランス・オブ・ゲームで、そこまで見込んだ小沢=菅の仕掛けだったという見方は、案外外れてはいなかったような気がします。今宵の角谷浩一氏によれば、小沢一郎氏の読みが勝っていて、自由党の狙いは最初から選挙協力にあったのであろうと。そりゃあ、横路さんと一緒に政治活動やろうとは思わないですわな。
○これで明日の民主党がどんな結論を出すかなんだけど、思い切り外しちゃう恐れがあるんではないかと(例:羽田代表)。ここまで来ると、物事は悪い方へ、悪い方へと流れていくような気がして仕方ありません。
<12月3日>(火)
○深夜に帰宅してPCを開けてみたら、おお、500,130アクセス。大台達成でございます。皆様のご愛読に深謝申し上げます。
○その昔、5000件に達したときに喜んで、「ちょうど5000番だった人に図書券5000円進呈」などという企画をやらかしたこともありましたな。当時はだいたい1日50件平均で、読んでる人もだいたい見当がついていた。あれはあれで、なかなかによいものでした。今は1日1000件平均。いったい何人が読んでいるのか見当もつきません。電波や活字などのマス媒体に比べればまことに小さなものですが、それでもプレッシャーを感じるに十分な数字です。
○最近の悩みとしては、誰が読んでるか分からないので、「まっいいや、書いちゃえ」がやりにくくなった。「これ、オフレコよ」で聞いた話をその夜のうちに書いちゃうと、さすがに友達なくすし。昨夜も今夜も、いろいろ仕込んだ面白い話はあるんだけど、熟慮の上、自粛。ちょっと惜しいけど。
○HP誕生から3年3ヶ月くらいになりますが、振り返ってみれば、非常に良質な読者に恵まれ、逆に筋ワルな「あらし」に遭うことはほとんどなく、HP運営にありがちなトラブルはほとんど経験しておりません。贅沢を言わせてもらえば、読者数はなるべく現状程度で安定してくれるとありがたい。そろそろ「あの店も味が落ちたねえ」と言われそうな気もするし。
○そうそう、夕刊フジ様、今宵はご馳走様でした。
<12月4日>(水)
○最近はちょっと太り気味のかんべえ。久しぶりに着る冬物スーツのズボンがきつい。い、いかん。新入社員当時の服(もちろん、そんなに残ってはいないが)が着られる、というのが自慢だったのに、この調子ではほとんどのズボンが作り直しになってしまう。それは嫌だ。面倒だし、お金もかかるし、だいいち下腹部が突き出ている中年男性の自分が嫌だ。耐えられないくらい嫌だ。
○風呂上がりの体重計を見て、うーむ、少なくとも3キロは多い。考えてみれば、最近はとかく自分を甘やかすことが多かったような気がする。会社帰りにM&Mチョコを買うとか、駅でエレベーターに乗るとか、寝酒するとか。かといって、そんなに太るほど罪なことをしてた覚えもなく、結局年をとったということなんだと思う。悲しいことよの。
○スポーツはほとんどやらない人なので、急に始めたところで続かないことは自明。忘年会シーズンにつき、ダイエットもきっとなし崩しになる可能性が大。今日はついついカジュアルモードで、楽な格好で出勤。明日はどうしよう。
<12月5日>(木)
○イージス艦の派遣が決まりました。不規則発言の5月3日に書いた話の繰り返しになりますが、インド洋にイージス艦を派遣して米軍の対テロ戦争を支援することは、集団的自衛権の行使の問題が絡みます。本来はちゃんと国民の理解を得た上で行うべきでしょう。
○極端な話、米艦に向かってミサイルが飛んでくるのを察知して、日本のイージス艦がフルオートモードで迎撃する、なんて局面があるかもしれません。そんなときに、これは集団的自衛権だから撃っちゃ駄目、などというような縛りを現場にかけちゃいけないだろう。イージス艦の防空能力には定評があります。だからこそ出すのであって、使えないものを出しても意味がない。
○夕刊によれば、防衛庁長官が「具体的交戦には情報出せない」などと言っておる。だったら、何のために行くんだ。日米野球でドリームチームを作るから、日本選手も出てくれませんかとアメリカに言われた。昨日までは、「松井を出すとホームランを打つかもしれないので、出せません」と言っていた。今日になったら「松井を出します。でも、全打席バントをさせます」というのか、この大馬鹿野郎。
○しみじみ悲しくなるのは、「日本は集団的自衛権は行使できない」という内閣法制局の見解に縛られ、延々とおかしな理屈をいっぱい積み上げてきたことだ。周辺事態法も、テロ特措法も、みーんなこの障害をクリアするために、法学部出身の人たちが絞り出した知恵の結晶だ。それでも対イラク戦には打つ手がないので、取りあえず海上自衛隊の四番打者を出す。こうやって結果的に集団的自衛権に裏口から入ろうとする。なんというか、日本的な決着だなあ。
○まあ、裏口からでも入れるだけいいか、と自分を納得させたところで、あらためて腹の立つ話を思い出す。
○海上自衛隊の人たちがインド洋に行っても、危険手当がつかないのである。なぜならば、日本の兵士は危険な場所には行かせないことになっている。だから危険ではない、ということになる。しかし、気温40度のインド洋上で給油作業をやる人たちが、危険じゃないわけないだろうが。もう、この手の言葉の遊びはいい加減にしてほしい。彼らは日本を代表して、テロと戦うため、アメリカとの同盟に貢献するために仕事をする。それがいけないという人はもう少数派のはずだ。だったら、もうちょっと彼らのために考えてもいいじゃないか。
○えーと、明日は日本貿易会の合宿のために、更新をお休みします。今週号の溜池通信は、土曜日の夜にアップします。(実はもうほとんどできているんだけど)。早く読みたいという人は、会社のHPの方をご参照ください。そちらには金曜の夕方までに出ているはずですので。
http://www.niri.co.jp
<12月6日〜7日>(金〜土)
○「中国ビジネスと商社」研究会で合宿。一昼夜かかって中国経済を語る。わしゃ疲れたぞ。まあ、でも今週号で書いた内容は、そんなに間違ってはいなかったようなので少し安心した。
○火薬、紙、羅針盤など、中国文明が生み出した発明は古来たくさんありますが、それらを上手に活かしたのは他の文明だったりします。面白いのが漢方薬で、何百年も前から薬効があることは分かっているのに、それらがなぜ効くのかという分析がついぞなされなかった。いってみれば、「暗黙知」みたいなものですな。中国を相手にする商売はこの「暗黙知」が重要で、それだけに分かりにくいことが多い。その点、中国ビジネスで苦労してきたベテラン商社マンなどは、満身これ暗黙知みたいなものですが、最近は漢方薬の評判が悪かったりするもんだから悩ましい。
○オニール財務長官とリンゼー補佐官が更迭されました。オニール長官はもともと評判悪く、あんな長官の下では働けないと財務省現場の士気低下が深刻だった。早くクビにしろという声はあったが、「中間選挙が終わるまで待て」(責任問題になるから)ということで先送りされていた。リンゼー補佐官については、この夏ぐらいからブッシュが安保チームに囲まれていて、経済政策について何を言っても相手にされず、くさっていたらしい。しかし、「対イラク戦争をやれば1000億ドルか2000億ドルかかる」と口走ったのはまずかった。あれでブッシュ政権内タカ派の顰蹙を買ったと思う。
○部下にやさしいブッシュ大統領としては、2人に対して当初は名誉ある退出方法を考えたと思う。しかし、経済不振に対する責任を取らせるというキツイ形にしたのは、新年度を控えたドライな打算が働いている。つまり、国民の主要な関心事が経済になっていることを受け止めてのことだろう。こういう思考はカール・ローブ上級顧問が得意とするところ。ブッシュがもっとも信頼するこの参謀についてはここをご参照。ホワイトハウスの西ウィングで、かつてのヒラリーの部屋に陣取っている男です。さすがですな。
<12月8日>(日)
○今週号でも触れておりますが、「中国がデフレの主犯なんてことはあり得ない」ことは、マクロ経済学からいったら疑問の余地がないと思います。つまり年間7兆円程度の中国製品の輸入が、仮に日本製品よりも3割安かったとして、価格の引き下げ効果はわずか2.1兆円。年間500兆円の日本経済にいかほどの影響があろうか。たしかにゼロではないだろうけど、どう考えても誇張され過ぎていると思う。
○ところが日経新聞に毒された人たちには、この理屈が通じない。こんな反論が返ってくる。
「たとえ量が少なくても、中国製品が入ることで他の製品も値下げを余儀なくされる」
(→日本製品と本格的に競合している中国製品はそれほど多くない。せいぜいネギや椎茸程度)。
「100円ショップの存在がデフレ心理を強めている。そして100円ショップは中国の存在なしにはあり得ない」
(→100円ショップの売り上げはスーパーに比べればスズメの涙)
「中国製の部品が入ってくることで、日本製品の価格が下がっている」
(→だったら大いに結構な話ではないか。値下がりによって消費者の可処分所得は上昇するから、その分、別の商品が売れる。もしもその分が貯蓄に回ってしまえばデフレ要因となるが、その場合は別の理由によると考えるべきだろう)
○どうもこの手の議論を聞いていると、まず中国に対する被害者意識があって、「やつらはアンフェアだ」「普通にやったら俺たちが勝てるはずがない」という内向きの心理状態になっているように思う。かつての日米貿易摩擦とよく似た心理構造で、こういうときは「トンデモ経済学」が流行する。1992年の米国大統領選挙で、ロス・ペローは「NAFTAを結ぶと、アメリカのJOBがメキシコに奪われる」と主張した。今から思えば「アホか」であるが、日本における最近の中国脅威論もそれに似た趣きがある。
○「人民元を切り上げしてほしい」などというのも、本当に日本経済のためになるかどうかは分からない。むしろ中国に出ている日本企業が困るとか、中国の産業集積がますます競争力を強めるとか、そういう結果になりそうな気がする。少なくとも日本のデフレを止めることにはならないと思うぞ。ひとつだけ確かなことは、そうなったときに日経新聞は「人民元切り上げの衝撃」という特集を組むであろうということだ。みんな悲観論が好きだからなあ。
○「中国が関係ないとなれば、デフレはなぜ生じているんだ?」という声が聞こえてきそうである。はい、正直言ってよく分かりません。今週発売のSAPIOで、「日米デフレの比較文化学」みたいな記事を書いているんですが、まだまだ議論の入り口に過ぎないという感があります。しばらくこの問題を考えてみたいと思います。
<12月9日>(月)
○今年の流行語大賞は「タマちゃん」に「W杯」という芸のない結果になりました。かんべえとしては、これくらいはヒネって欲しかった。「現代用語の基礎知識」編集部におかれましては、是非、次の言葉を来年度版に掲載していただきたい。
民自再生法
支持率が急落し破綻懸念先とされる民主党と昔から要注意先と言われる小沢自由党を合併させることにより、両党を再生させるための方法。もとはと言えば、ここ数年無党派層の台頭により各政党の支持率デフレが進行する中、鳩山民主党代表が危機意識を持たずに党運営を続けた結果の再生策。
合併の際に両党はノンパフォーミング議員を民自再生委員会に送り、公共事業予算削減額など数値的な構造改革基準を指標に再生の可否を判断する。再生不能と判断された議員は、社民党送りとなり事実上再選の道が絶たれることになる。マーケットには既に「30者リスト(KPMG作成)」なるペーパーが出回っている。但し、再生不能な議員の一部については、民主党若手議員と台湾旅行で何かと話題の額賀自民党幹事長代理がそれを実質簿価で買い取る交渉に乗り出しており、民主党内からは歓迎の声も聞こえる。
最終的には次期総選挙を経て、「自由民主党」と「民主自由党」という、有権者にとってはどっちでもいい2大メガ政党へと収斂されていく計画。これによって石原ハゲタカファンドの出番がなくなった訳だが、小泉バブルの最終処理へとつながるかは疑問視されている。また、民主党が今回の再建に失敗すれば、北川三重県知事が新たな指導部として強制的に送り込まれる案も竹中プランの工程表に盛り込まれる模様。
○上記の新語は最近、永田町で採取されたもの。よくできてますな。ところで、駄目な政党は合併や国有化では再生できません。決め手は世代交代による指導部の刷新。これは民間企業でも同じことですな。
<12月10日>(火)
○本日、日本貿易会が貿易見通しを発表しました。ポイントは以下の通りです。
http://www.jftc.or.jp/research/statistics/statistics.htm
◆◇◆2002年度◆◇◆
● 輸出総額は48兆7,780億円で前年度比5.6%増。米国経済が着実に回復するとともに、アジア経済の回復も鮮明となり、輸出数量は大きく増加。特に、アジア向けの素材、機械機器が好調であり、米国向けも自動車を中心とする機械機器が伸びている。一方、素材・部品を中心に価格低下圧力強く、価格は低下。輸入総額は37兆7,930億円で前年度比1.6%増。輸出主導による国内の生産回復により輸入数量が増加、輸入価格は原油高ではあるが全般に市況軟調で小幅低下。原油価格の上昇から鉱物性燃料が増加、機械機器を中心とする製品輸入も増加が見込まれる。
●
経常収支は、貿易収支黒字の大幅な拡大を背景に、大幅な黒字幅拡大が予想される。
◆◇◆2003年度◆◇◆
● 輸出総額は50兆6,840億円で前年度比3.9%増。米国経済が堅調な成長基調を維持し、世界経済を牽引する中で、輸出数量は小幅増加。輸出価格は競争激化で、ほぼ横ばい。金属製品の減少が見込まれるが、機械機器は、IT関連機器、部品の伸びによる増勢が継続。輸入総額は37兆8,960億円で前年度比0.3%増。輸入数量は国内景気の低迷が続くことから微増にとどまる。輸入価格は原油価格の低下もあり、わずかに低下。鉱物性燃料は減少するが、IT関連などの機械機器を中心に製品輸入は増加が続こう。
●
経常収支は、貿易収支黒字の拡大が続くため、黒字が増大し続け、15兆円台に上ることが予想される。
○ご注目いただきたいのは、2003年度の経常収支が15兆円強の黒字になること。ひょっとすると過去最高を更新するかもしれません。それくらい日本の輸出は強い。ほんの2〜3年前には、「日本の黒字が消える」という議論がありましたが、まるでウソのようです。恐れ入ったか日本経済、てな感じですな。
○念のため言っておきますと、かんべえも参加している貿易会のワーキンググループでは、個々の貿易品目を各社で割り振って予想し、商品別の予測を積み上げてこの数字を作ります。例えば2002年度の予測では、かんべえは自分の担当分野では、通信機輸出を思い切り外し、造船輸出はほぼぴったり当てました。どちらも自慢にはなりません。前者はITバブル崩壊を甘く見ていたからで、後者は受注産業ゆえに約2年先までの仕事量がほぼ読めているからです。こんなふうに真面目に作っておりますので、わりに信用できる見通しであると思います。
○これだけ黒字が出るということは、来年は極端な円安にはならないでしょうね。来年の為替については、基本はイラク問題が早期に片付いてドル高という見方ですが、開戦のきっかけがつかめないまま膠着状態が続くようだと、大幅なドル安の可能性もある。110円から140円、ってところですかね。経済閣僚の交代は、あんまり影響はない、と思います。
<12月11日>(水)
○最近、太り気味のかんべえはこまめに歩きます。今日もお天気がよくなったので、昼休みにヴィーナスフォートまで遠征し、そこからフジテレビの先まで遠回りして来ました。このコース、夏場は散歩コースにしている人が結構いますが、さすがにこの季節は少ない。それでも、お台場の埋め立て地もこの辺りは何もなく、広々とした空き地を歩くのは悪い気分ではない。問題はお昼をマックで済ませてしまうことで、これではダイエットの効果は期待薄ですな。
○その昔、こんな話を聞いた。「若い人は、たくさん歩いてください。これはメタファーで言っているのではありません。物理的に、肉体的に歩いてください。何か得るものがありますから」。自分はもう若くはないんだけれど、これから先の人生に比べれば、相対的には今の方が若いので、歩けるうちに歩いておきましょう。少なくとも健康にはいいはずなので。
○夜は昔の上司を囲んでの忘年会。その昔、怒られたり逆らったりした同士が、昔話に花を咲かせて、最後はいやはや大変ですなあ、という結論に。ふぐ鍋を囲んで楽しく時間が過ぎ、ついつい食べ過ぎて、またズボンがきつくなる。うーん、また明日もいっぱい歩かなければならないなあ。
<12月12日>(木)
○今日の『ルック@マーケット』で、歳川隆雄さんが爆弾情報を披露。来年1月に小泉首相は訪ロを予定している。最初にモスクワを訪問してプーチン大統領と会い、それからハバロフスクに飛ぶことになっている。そして、ハバロフスクで金正日と2度目の会談をやるんじゃないか、という話。小泉さんの「次の一手」として、この可能性は面白い。
○会ってどうするか。拉致問題の解決、および核開発に対する何らかの言質と引き換えに、日本が米を援助する。先方は正常化交渉を抜きにして経済的な利得があり、こっちはこれで時間が稼げる。(その間に体制が崩壊してくれれば儲けもの)。政治的な効果も大きい。1月12日に第2回日朝首脳会談を成功させ、通常国会の冒頭解散、なんて離れ業もあったりして。
○もう一点、日銀総裁の後継人事については、小泉首相が「デフレと戦える人を」と言ったので、中原元日銀審議委員が有力になってきた、とのこと。こっちはチト疑問。グリーンスパン議長と中原氏がG7でやりあう姿は想像しがたい。また、日銀に無理矢理インフレ・ターゲティングをやらせるにしても、そのときはインフレ・タカ派の総裁にやらせた方がうまくいくというもの。ハト派の総裁が突っ走ろうとしたら、現場が動かないかもしれない。なにせ日銀総裁は、今決めたら向こう5年間は変えられないのだから、あんまり冒険はしにくいと思う。
○今は「ない」といわれているが、やっぱり福井元副総裁が順当なんじゃないかと思う。福井氏は、経済同友会の次期代表幹事にという声もあった。来年春で2期4年を迎える小林陽太郎代表幹事も、後任を決めるとしたらそろそろ頃合いである。こっちの人事も気になりますね。
<12月13日>(金)
○野田毅氏が保守党の党首を辞めて自民党に復党したいとか。船が傾いているからといって、船長が最初に抜け出すのはいけませんな。そんなことなら、扇千景さんを党首にしておけばよかったのに。こういうのを「男を下げる」というのでしょう。
○他方、熊谷氏など民主党の一部議員は保守党への合流を目指していた。これは保守勢力の結集を目指したいからというより、「自然な形で自民党に戻りたい」ということなのでしょう。三角飛びという高度な狙い。なんでそんなに自民党がいいのかね。
○「何がなんでも道路を作るぞ」の抵抗勢力もさることながら、こんなに見苦しい議員を大勢見ていたら、ますます政治不信は高まりますぞ。
<12月14日>(土)
○今月から「りんかい線」が全線開通し、埼京線に接続した。これで臨海副都心は「ゆりかもめ」以外の都心へのアクセスルートができ、利便性が一気に高まったことになる。実際便利になったのだと思うのだけど、なかなかに頭の痛いこともある。以下はちょっとした私怨晴らし。
○開通所日の12月2日朝。新木場駅でいつも通り乗り換えようとしたら、大混雑になっている。どうしたどうした。「えー、埼京線が遅れておりまして、出発が遅れております」。ホームには2台の車両が出発を待っているが、どっちが先に出るのかと車掌に聞いたら、堂々と「分かりません!」。いつも少ない乗客(ビッグサイトで大イベントがあるときだけ混雑する)を相手にしているので、緊張感まるでなし。
○12月6日。「東京テレポート駅から新宿まで23分」という触れ込みを信じて使ってみたところ、電車が動いていない。しょうがねえ、「ゆりかもめ」にするかと思ったら、「お客さん、今、新木場を出ましたから、あと6分で来ます」。なるほど6分で到着した。しかし電車は大崎駅辺りでいくつも止まっているらしく、何度も停止する。感心したのは、乗客が誰も慌てていないこと。普通のJRの車両がこれだけ遅れたら、皆がいっせいに携帯電話をかけだすところだが、やっぱりお台場にはビジネスの乗客がいないのだなあ、と再確認。
○12月某日。かんべえの同僚T君の体験。案の定、「りんかい線」が止まっているので、電車から降りて動き出すのを待っていた。はっ、と思った瞬間に音もなくドアが閉まり、しずしずと電車が動き出した。何のアナウンスもなし。温厚なかんべえより、さらに温厚だという評判の高いT君、「さすがにむかつきました」。
○こんな体験を繰り返したので、今週の雪の朝はためらわずに新橋経由「ゆりかもめ」を選びました。「りんかい線」、交通機関としての自覚が非常に低いです。まあ、臨海副都心は一種の巨大なレジャーランドですから、お猿の電車と思えば腹も立ちませんけどね。
<12月15日>(日)
○今週19日に韓国大統領選挙が行われる。ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)候補、民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補がビミョーなところらしい。今年の夏くらいまでは李候補の楽勝ムードだったけど、ここへ来ての反米ムードで流れが変わりつつある。女子中学生2人が米軍の装甲車にひかれた事件で、犯人が無罪になったことが原因。ソウルの反米集会では4万5000人が集まったとか。といっても「過失は罪とせず」というのがアメリカ流の発想だから、「そんなこと言われたって困るよな」というところだと思う。
○逆に最近の北朝鮮の核開発宣言は、太陽政策を継承しようとしているノ・ムヒョン候補の足を引っ張ることはないらしい。北が脅しをかけると、南で反感が強まるかというとむしろ逆で、宥和政策を求める声の方が高まるらしい。6月にワールドカップの最中に洋上での銃撃戦があったときも、北に対して怒るというよりはかえって和平ムードが高まった。この辺の心理はちと理解しにくい。
○おそらく韓国人の中には、北に対する複雑な感情が2つあるのではないかと思う。ひとつは「申し訳ない」という同情心で、北の同胞は飢えているけれども、自分たちは高い生活水準を享受している。だから身内を痛めつけるようなことはしたくない、という後ろめたさ。もうひとつは、「やるじゃないか」という敬意で、北朝鮮は最貧国といえども核やミサイルを開発したりして、アメリカに対して一歩も引かずに対抗している。自分たちにできないことをやっている、さすがは同胞だ、という変なナショナリズム。
○日本やアメリカとしては、この手の韓国の北への思い入れを無視するわけにはいかない。「アンタの同胞は狂犬みたいな連中だ。日米韓でしっかり締めつけて、早く金正日の体制を崩壊させよう」などと言い出したら、かえって反発を買うだろう。内政干渉にならないような言い方を工夫しなければならない。ここが難しい。韓国は太陽政策を撤回することが最前手だとは思うが、イ・フェチャンが負けそうな気がして仕方がない。
○ところで懐かしや、あの「遊び人の金さん」の話が出ていたぞ。
●ディズニーランド訪問また失敗?金正男氏、仏入国できず(朝日新聞12月15日)
北朝鮮の金正日総書記の長男、金正男氏(31)がディズニーランド訪問に再び失敗したようだ。といっても、東京ではなくパリの話。仏有力紙リベラシオンが14日、「北朝鮮の後継者、ミッキーに会えず」と題し、外交筋の話として報じた。
それによると、正男氏は最近、仏入国ビザの申請をしたが、拒否されたという。記事は「世界に四つあるディズニーランドのどれかを訪問したいという望みを捨てていないようだ」と指摘。しかし、東京はリスクが大きく、米国の2カ所はもっと危険なのでパリを選んだ、と推測している。
もっとも、最近、同氏が北朝鮮情報機関の幹部になったことも、仏当局が入国を阻んだ理由らしい、と付け加えている。欧州連合(EU)加盟国の大半はすでに北朝鮮と国交を樹立しているが、フランスはまだ。
○韓国の同胞への思い入れには敬意を表するとして、北朝鮮はそんな立派な国ではないように思うぞ。
<12月16日>(月)
○知り合いの編集者の紹介で、作家の田中光二さんにお会いしました。お話しして、目から鱗がたくさん落ちました。
○かんべえの世代だと、「田中光二=SF作家」という印象が強い。かんべえは中学生の頃にSF小説に熱中し、とくに星新一、小松左京、筒井康隆はよく読んだ。(そういえば、ハヤカワJA文庫ってどこへ行っちゃったんでしょうね?)
その後、豊田有恒、眉村卓あたりまで読んでから方向転換し、その先はエラリー・クイーンなどの海外ミステリ物に移ってしまった。というわけで、日本のSF界では第二世代に当たる田中氏の作品はまったく読んでいない。最初に「どうもすいません」とおわびを申し上げる。
○最近の田中氏は、シミュレーション小説の第一人者ということになっていて、太平洋戦争を舞台にしたシリーズが多い。聞くところによれば、この手の小説は若い軍事オタクの読者と、すでに高齢に達している戦争体験者の読者という2つの層を同時に相手にしなければならない。前者は軍事に関するマニアックな知識を要求するし、後者には当然ながらリアリティのない戦場シーンは通用しない。書き手としては、なかなかに難しいジャンルのようである。
○さて、田中氏はとある新作の構想を練っていて、それを一緒に考えてほしいというのが編集者のリクエストである。たぶん自分はそういうことには適任であろう、と勝手に思っていたのだが、やっぱり小説家の発想はすごい。とある奇想天外なシチュエーションがあって、そこから世界の経済や軍事が動き出すという設定である。「ええっと、その場合は、どうなるんでしょうね」などとお付き合いしているうちに、文字通り無数の筋書きが浮かんできた。
○思えば小説の世界では何だって可能なのである。私たちの周囲では「あれも駄目、これもできない」ということが多い。デフレは止められない、道路改革はできない、政治家もマスコミも相変わらずで、イージス艦は出られるけどミサイルは撃っちゃ駄目とか。しかし思い切り条件を外して発想を伸ばしてみると、世の中の景色はずいぶん変わって見える。フィクションの世界で小説家はオールマイティだが、自分がオールマイティになったつもりで考えてみるのは新鮮な体験です。
○お土産に『愛国者の地雷』(実業之日本社)を頂戴する。1999年の作品で、北朝鮮による拉致事件をテーマにしたもの。拉致被害者の家族が動かない事態に業を煮やし、破天荒な「地雷テロ」に打って出る。主人公は、太平洋戦争のビルマ戦線で生き残った老人、という設定がいい。これはハードボイルドですね。
<12月17日>(火)
PART1
2003年3月19日。日銀記者クラブは異常な熱気に包まれていた。この日、任期を終える速水優総裁の後継者に、まったく無名の人物が就任したからである。小泉首相が「究極のデフレファイター」と呼ぶ第28代日本銀行総裁がいかなる人物か、固唾を飲んで世界が注目していた。
無数のフラッシュの中を現れたのは、まるで布袋様のようななりをした、笑顔の印象的な人物であった。
「どもどもどもども、このたび日本銀行総裁を拝命いたしました二瀬兼清造でございます」
「早速ですが、幹事会社より質問をさせていただきます」最初にマイクを握ったのは、日本経済新聞のベテラン、多北要一記者であった。「まず総裁としての抱負を伺います」
「言うまでもありません」二瀬兼総裁は笑顔で答えた。「デフレを止めること。これが私の使命でございます」
「しかし」多北記者が畳み掛けた。「どんな手があるというのですか。正直なところ、効果的な手段があるとはとても思えないのですが」
「秘策がございます。ただしその中味は、ここで申し上げるわけにはまいりません」
記者クラブは騒然となった。「インフレ・ターゲティングですか」「米国債の買い入れですか」「いや、不良債権の一括買い入れでは」――そうした声を無視するかのように、二瀬兼総裁は言い放った。
「ひとつだけ申し上げます。昨年来、政府・日銀はデフレ解消のために特殊プロジェクトを組み、日夜突貫作業を行ってまいりました。私どもには成算がございます。1年とは申しません。日本経済のデフレは半年以内に解消してご覧に入れます」
クラブ内のざわめきは、もう収拾がつかないほどになっていた。
「あと2週間。4月1日までお待ちください。その日になれば、すべてが明らかになるでしょう」二瀬兼総裁は上機嫌で断言した。
PART2
その日の朝、とある中年男性が銀行のキャッシュディスペンサーから3万円を引き出した。3人の福沢諭吉を手にした男は、ふと違和感を感じた。手触りも、肖像画も、そして透かしまでもいつもと変わりのない紙幣。もう一度お札を見た男は、「ぎゃあ!」と声を上げた。そのお札は日本銀行券ではなく、「みずほ銀行券」だったのである。
同じ衝撃が日本全国に走った。4月1日の朝をもって、日本国内には5通りの紙幣が流通するようになったのである。すなわち日本銀行券、東京三菱銀行券、三井住友銀行券、みずほ銀行券、それにUFJ銀行券である。財務省印刷局は、この日のために秘密裏に4種類の新紙幣を用意していた。それぞれの紙幣の意匠はまったく同じなのだが、「XX銀行券」とある部分が違う。そして日本銀行券では「総裁之印」とある赤い印章が、それぞれ4大銀行の頭取のサインになっていた。
「なるほど、これは良くできている」小泉首相は5種類の紙幣を手にとって言った。「私にはよく分からないのだが、これで本当にデフレが止まるのだろうか」
「お任せください」二瀬兼総裁は笑顔で胸をたたいた。「四大銀行には無制限の通貨発行権を与えてあります。もうこれで彼らに恐いものはありません。好きなだけ紙幣を増発することで、増資もできますし、不良債権の償却も、過剰負債企業への債務免除も可能です。これで日本の金融システムの不安は完全に解消しました。そう、ゴールデンウィーク明けには、ペイオフの解禁もやってしまいましょうか」
外国為替市場ではドル円相場が1ドル150円をつけていた。その一方で、日経平均株価はストップ高となっていた。
PART3
人々は新しい現実にすぐに適応した。5つのお札はすべて同じ価値ということになっていたが、そこはそれ、使い分けが行われた。まず日本銀行券は退蔵され、ほとんど市中には流通しなくなった。人々は少しでも安全と思われる銀行券は大事に使ったが、危ないといわれる銀行券を手にすると一刻も早く使ってしまわなければと焦った。4種類の銀行券の間には、それぞれの経営状況に応じて優先順位ができ、はなはだしい紙幣はババ抜きのように忌み嫌われた。
人々はこんな会話を繰り返した。
「ちぇっ、お釣にXX銀行券が入っていたよ」
「そんなの早く使っちゃいな。持っててもろくなことないから」
「でもさあ、受け取りを拒否するところもあるんだよね」
「そうそう、海外でドルに変えようとしたら、1ドル300円だって言われちゃった」
「パチンコ屋はどこの紙幣でも受け取るらしいよ。きっと北朝鮮に流れてるんじゃないか」
「その点、トヨタさんなんざぁさすがだね。支払いが全部日本銀行券だったよ」
「うらやましいなあ。やっぱり持つべきものは日銀券ですな」
いつしか5つの銀行券の間には、それぞれに闇の交換レートができた。マネー雑誌は競って新しい現実に対応するノウハウを提供した。「日本銀行券を手に入れてあなたの資産を守る法」「XX銀行券を処分する方法」「いま○○銀行券に妙味あり」・・・・いずれにせよ、資金の流通速度は加速し、経済は活況を呈し始めた。もはやデフレを心配するものはどこにもいなくなった。
(今宵、かんべえの3人の弟子=先崎、山根、原田と忘年会をやっていたら、馬鹿話からこんなシミュレーション・ノベルが誕生してしまいました。誰かこの先のストーリーを考えてください)
<12月18日>(水)
○昨日のシミュレーションに対し、通貨オタクのこの人から「面白すぎ」とのコメントを頂戴しました。それから、「通貨(法貨)として強制通用力のある銀行券の発行は、法律(日銀法46条)によって日本銀行だけに与えられています。いかにニ瀬兼総裁といえども、法改正なしに通貨発行権を与えることはできません」。あはは、いちおう念のため。
PART4
2003年9月。ワシントンで行われたG7において、塩川財務大臣とニ瀬兼総裁は高らかにデフレの克服と日本経済の回復を宣言した。1ドル180円(といっても、それは日銀券のことで、220円くらいの銀行券もあったわけだが)の円安により、企業収益の回復も景気を後押しした。結果として、自民党は小泉総裁の無投票当選を決めた。
しかし、同じ国の通貨の価値に差があるという矛盾は、ついに国際投機筋が狙い撃ちにすることとなった。ターゲットになったのはみずほ銀行券である。みずほ銀行券は瞬く間に1ドル500円まで売り込まれてしまった。人々はこう噂した。
刷るほどに
値打ちの下がる みずほかな
官邸にとっては、これは冗談ではなかった。
「二瀬兼総裁、どうするつもりだね」小泉首相が気色ばんだ。
「みずほなど国有化すればいいじゃありませんか。それで日本銀行が吸収します。銀行券は1種類減って4種類になりますが、インフレの行き過ぎを止めるにはちょうどいいでしょう」
「いや、それが・・・」竹中金融担当大臣が真っ青になっていた。「銀行はキャッシュを手に入れて、真っ先に公的資金の返済を始めたんです。政府優先株は、もうほとんど返済されています」
「そうか、お陰で財政再建ができそうだと、喜んでいたのだった」と小泉首相。
「それよりも、心配なことがあるんじゃが・・・」塩川財務大臣が言った。「外資がみずほ株を買いあさっているらしい。万が一、みずほ銀行が彼らの手に渡ったら、困ったことになる」
この懸念は当たった。間もなくリーマン・スタンレー・サックス証券が、みずほ株の公開買付を宣言した。みずほ側は自分で資金を出して、自社株買いで対抗しようとした。しかし、みずほ銀行券の相場下落が痛かった。ついに四大銀行の一角が外資の手に落ち、彼らは日本国の通貨発行権を手にしたのであった・・・・。
<12月19日>(木)
○金融シミュレーション「通貨が没落する日」は、最終章、外資に乗っ取られたみずほ銀行が「中東復興銀行」に看板を付け替え、イラク復興事業に巨額の投融資に打って出る。ブッシュ大統領は「打ち出の小槌だぁ」と大喜び、なんちゅう落ちにしようかと思っていたが、さすがにもう飽きたので止めにする。それになんだか、悲しすぎるような気もしてきたし。
○いささか旧聞となるが、月曜日の夕刊、日経と東京新聞は「イージス艦出航」、朝日、読売、毎日は「イージス艦出港」と、きれいに揃った見出しを写真入りで載せていた。かんべえの友人O氏が、「あれはおかしい。正しくは出撃だろう」と言っていた。おっしゃる通りである。こういうぼかした言い方をするのが大マスコミの悪いところ。物見遊山じゃあるまいし、税金を使って行くのだから、何のために行くのかはっきりすべきだろう。かんべえとしては、もちろん出陣でも文句はない。産経新聞が夕刊を止めていなかったら、果たして何と書いただろうか。
○報道によれば、イージス艦派遣を公明党に認めてもらうために、防衛庁幹部が手を代え品を代えて説明したらしい。あるとき「現在派遣しているヘリ搭載護衛艦は冷房の利きが悪いため、艦内温度は30度もあります。イージス艦なら25度まで下げられ、居住性に優れています」と言ったら、「それだよ。それをどうして早く言わないんだ」と喜ばれたという。防空能力が優れているから出しちゃイケナイ、という反対論もひどいが、冷房の利きがいいから出してもいい、というのは何とも庶民的である。(「居住性を名分に、公明幹部は飛びついた」12月15日読売新聞朝刊)
○2週間ほど前に、NHKの週刊こどもニュースで「集団的自衛権」の説明をしていた。「アメリカの船を狙っているミサイルを、日本が打ち落とすと憲法違反になる」というアレである。こどもの一人が「なんで?」と目を丸くしていた。そりゃそうだろう。だいたいミサイルが何かに命中すれば、かならず不幸が起きるに決まっているのだから、どこに向かっているものでも打ち落とすに越したことはない。日本は平和国家です、というのは自分の身さえ安全であればそれでいいのか、それとも本当の意味で世界の平和を望んでいるのか。
○こういった銃後の矛盾を、一身に背負わされているのが自衛隊員たちである。気の毒に。イージス艦、今日はどこまで行ったやら。
<12月20日>(金)
○先週号の"From the Editor"で、「日経新聞はケシカラン」と書いたら、反響が多かった。ごく一部だけご紹介します。
●日経新聞は、あれだけ主観的な、メッセージ色の強い記事を毎号書いていながら、そのメッセージの内容についてはまったく深く考えられていないように見うけられます。その多くはあまりに安っぽい「悲観論」です。生物が楽観よりも悲観を重視するのは生存本能のなせる業ですが、新聞は客観的なものだと信じている多くの読者に対して義務を果たしているといえるのでしょうか。
(会社経営)
●日経新聞の件、全くの同感です。
再販制度と世界的にはマイナーな言語に守られた究極の規制業種のくせにって感じですよね。
銀行の決算発表の席上でどこかの頭取が「貴方の給与の方が、銀行員より高いでしょう」と切り返していましたが、TVでそのくだりを流していたのは1社しかなかったです。
(アナリスト)
●規制緩和のもっとも遅れている、言いかえれば規制に保護させ尽くしているマスコミなんて日経のことをかんべいさんも指摘されておられますが信用に値しませんね。
日本の事情を本当に知りたいのならアメリカかイギリスのメディアに頼らざるを得ないと私はずっと言い続けていたんですが、英語に抵抗があるかたにはやはり難しいですね。
(会社経営)
●今週号の'From the Editor'を拝見して同じことを感じている人は意外と多いんじゃないかなあと思いました。
3、4年前に日経を止めたことがあります。洗脳しようとしているみたいでうんざりでした。
今は学生に「とりあえず日経読め」と言っている手前、とってはいます。
(大学講師)
○そしたら偶然にも、今週は日経の記者から取材の申し入れがあり、本日お会いしました。「いや、実はこんなことを書きまして・・・」と正直にカミングアウトしたら、呵呵大笑されましたけどね。
○念のために申し添えますと、日経の文化面とスポーツ面はすばらしいと思います。他紙より小さなスペースで、実にいい仕事をしておられます。・・・・って、フォローになってないか。
<12月21〜22日>(土〜日)
○有馬記念に行ってきました。年末の大一番というものの、今日の中山競馬場は入場制限なし。午後から行っても入れました。面白い顔触れが揃っているとはいうものの、かつてに比べれば人気が落ちているのでしょう。それでも11万人というと相当な人出で、スタンドはほとんど満員電車状態。今年、何度も通った中山競馬場だが、こんな混雑は初めて見たな。それでもいつも通り、紅芋アイスを購入する。今年はいったい、これを何個食べたかなあ。
○毎年、有馬記念はその年を締めくくるようなレースになる。今年は@シンボリクリスエスとKファインモーションという3歳馬同士の一騎打ちとの前評判。その陰で、JナリタトップロードやCエアシャカールが引退していく。馬の世界は世代交代が早い。人間の世界も見習ったほうがいいかもしれない。その一方で、1990年のオグリキャップのような復活劇がありうるというところが有馬記念である。
○さて本日のテーマは、日本最強牡馬の@シンボリクリスエスと、世界級の牝馬Kファインモーションのどっちを取るか。上海馬券王は後者を取ったようだが、かんべえは前者で行くことを決めた。武豊がKファインモーションを選んだというところに、ちょっと危ういものを感じたのである。落馬してしまったEノーリーズンを袖にするのは当然だが、Hジャングルポケットを見離すのはちょっと気の毒。武君、ちょっと浮気もの過ぎないか。パドックで見たKファインモーションは落ち着き払っていて、ほとんど風格がただよっていたけれども、あえて買わない。
○予算の半額を、@シンボリクリスエスの単勝につぎ込むことにする。家を出る前は5倍見当だったのに、オッズシートをプリントしてみたら4倍になっており、パドックに行ったら3.8倍まで落ちていた。なんか損したようで悔しい。体重8キロ減だけど、もともと体が大きいんだから気にしない。馬連をAコイントス、Cエアシャカール、Eノーリーズン、Iイーグルカフェに流す。どれが来ても30倍以上の高配当。最後は遊びのつもりで、三連複でゴチャゴチャと買う。さあ、どうだ。
○ゴール前100メートルの辺りに立つ。周囲は人の群れ。ときどき後ろから押されて、人の波が崩れる。前はあんまり見えない。とはいえ、レースが終わるまでは身動きも取れない。この状態で発走まで20分間辛抱する。それでも大観衆のどよめきの一部になるのは、悪からぬ興奮である。上を見上げると、今にも泣き出しそうな空がかろうじてもっている。そしてファンファーレ。第47回有馬記念の発走である。
○逃げ馬不在のこのレース。案の定、Kファインモーションが前に出る。周囲から「おいおい」という声が飛ぶ。しかし2500メートルを逃げ切れるのか。武豊、わざと先に行かせるようにしてGタップダンスシチーが前に出る。まったくの無印だが、向こう上面で思い切り差を広げ、第4コーナーを回ったところでまだトップに立っている。気がついたら、Kファインモーションはどこへ行っちゃったのか。このままだと大番狂わせである。スタンドは騒然。
○そこへ鋭く追い込んできたのが漆黒の馬体。思わず「いっけー!」と怒鳴る。祈りが通じて、@シンボリクリスエスの差し足がGタップダンスシチーをゴール前で交わす。「よおし!」と叫ぶ。そんなにたくさん買ってるわけじゃないし、配当も安いんだけど、とにかく取れば勝ち。2002年はいい年だった、ということにしておこう。かくしてクリスマスよりも重要な年末の行事が終わった。
<12月23日>(月)
○筆者のもとに日経批判のメールが続いて来ております。以下はエコノミストとジャーナリストの方からのご指摘。いずれも、いかにもプロらしいコメントです。
●「悲観」を売り物にしているのは何も「日経新聞」だけでは有りませんが、私も仕事がらそれがいつも鼻についています。(中略)
何かの材料に対して、「さあ大変だ」式の紙面でないと売れないというのがまず頭にあるのだと思います。(中略)
最近では、米国経済については新聞は「デフレ懸念か、景気失速懸念」キャンペーンを行ってるように思います。米国経済の先行きについて、特に日本人に悲観的にみる方が多いのは、新聞等の日本のマスメディアの「さあ大変だ」式の報道の影響が非常に大きいと思います。
●断片的なデータをもとに、フレームアップ記事が多くて、書かれた関係者がバタバタしているところをよくみます。
詰めの作業を行っていれば防げるものを、1つのデータで拡大解釈して記事を出してしまうんですね。その場合は数日後に、「記事が出たことで考え直し、こういう風になった」とかで事実上の訂正を出しています。そういうのは普通、誤報ではないんでしょうか。(中略)
その記事が原因で、業績悪化などに追い込まれたらどうするのでしょうか。ベンチャー企業が「●日の日経記事について」と反論を書いているのを数回見たような記憶があります。
○面白いことに、日経に対する批判はほとんどが経済面に集中しています。なるほどな、と思ったのは、日経の経済面は他紙に比べて埋めなければならない紙面が圧倒的に広いことです。なにしろ日経金融や日経産業もありますしね。あれだけの紙面を毎日埋めようと思ったら、ときには「まあいっか」で書き飛ばしてしまうのかもしれません。もうひとつ、企業広報が日経新聞を敵に回せない、という事実がある。たとえ間違った記事を書かれても、企業は泣き寝入りせざるを得ない。こういう力関係の非対称性は緊張感の欠如を招いていると思う。
○日経新聞に対して「物申す」人は少ないし、それを取り上げる場もない。だいたい、日経新聞を敵に回して得する人なんていないからね。やっぱり競争相手が出ないことには、事態は変わらないのかな。
<12月24日>(火)
○今宵はクリスマスイブ。夕刻のお台場は、若いカップルたちであふれておりました。ファッションを見たところ、どいつもこいつも今夜のご予算は5000円程度といったところですな。そりゃま、1万円以上張り込む人たちは、もうちょっと派手目の場所を選ぶでしょう。お台場でデートしている人たちは、非常に慎ましく見える。ま、どこで過ごしてもクリスマスイブ。屋台のたこ焼食べてもイブはイブ。
○所帯持ちにとっては、クリスマスイブは「早く帰んなきゃイケナイ」というだけで、特段、たいしたことのない日です。そんなわけで帰ってみると、寝室の電球が切れていて、晩飯前に「コジマ電気」までクルマを走らせたりするんですが。コジマの帰り、J−WAVEを聞いていたら、山下達郎の「クリスマスイブ」が流れました。うーん、これも、いわゆるひとつの名曲なんでしょうな。
○さて、溜池通信読者にピッタリのプレゼントをひとつ。
The other day, the United Nations conducted
a survey on global food problem.
It sent to its member countries a questionnaire comprising one
simple question:
What is your honest opinion on how to address food shortage in
the rest of the world?
However, UN got answers from none of them.
The UN told us the background of this.
"Well, the result of survey was disappointing. We have
carefully analyzed the possibel causes and reached to an
interesting observation."
The following is appeared to be key reasons why nobody replied.
For China, they do no know what is "opinion".
For Africa, they do not know what is "food".
For most of EU countries, they do not know what is
"shortage".
Particularly for France, there was another reason: the question
was written in English.
For Russia, they do not know what is "honest".
For US, they do not know what is"the rest of the
world".
For India, they got back to us with a 100-page paper for
clarification on the question, so we gave up.
For Japan, they did not provide us with their answer as nobody
else did it.
○こういうジョークは、いかにもこのHPらしいでしょ。それじゃ、皆さん、メリークリスマス。
<12月25日>(水)
○年末の週刊誌は、印刷所が休んでしまう、いわゆる「年末進行」のために強行軍となります。そこで編集者たちは、手抜きをしながら分厚い新年号を作るわけですが、今週の週刊文春(新春特大号)の企画には恐れ入りました。題して「わが青春の傑作マンガ・ベスト100」。
○文芸春秋はマンガ雑誌を持っていない堅気の出版社ですが、この企画はすごい。なにせ『天才バカボン』と『鉄腕アトム』がそれぞれ1回分、まるまる掲載されている。ページ数を稼ぐには、これ以上安直な手は考えられない。「なんという手抜き」とも思うが、読者としてはつい熟読してしまう。「わが青春の」とついているわけだから、最近のマンガは取り上げない。上位10作は以下の通り。
1位 鉄腕アトム 手塚治虫
*ま、当然でしょうな。私なんざ、絵本代わりにこれで文字を覚えたようなものです。ただし手塚作品の頂点(=日本マンガの最高峰)は『火の鳥・鳳凰編』だと思いますが。そういえば、アトムの誕生日(2003年4月7日)が近づいております。
2位 あしたのジョー 高森朝雄/ちばてつや
*高校時代、近所にあった「ピカソ」という喫茶店に通って読んだ。その時の周囲の情景までくっきりと思い出せる。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』もそうだが、20歳を過ぎてから読んだのでは意味のない作品もこの世には存在する。
3位 巨人の星 梶原一騎/川崎のぼる
*小学校時代は、文字どおり男子生徒全員がこのマンガに熱狂していたが、阪神ファンの私には無用のマンガであった。後年になって、「星飛雄馬は目から火が出る」「星明子はいつも赤いワンピース」などのギャグが出るようになって安心した。
4位 天才バカボン 赤塚不二夫
*『おそ松くん』の方が面白かったような気がするのだが・・・・実物大マンガと称し、ページ一杯にバカボンのパパの顔が現れたときは驚いた。
5位 ブラック・ジャック 手塚治虫
*その前から「善玉でない主人公」を追い求めていた手塚は、無免許の天才外科医という設定で金の鉱脈を掘り当てた。ドクターキリコや本間博士など、脇役陣も充実。大河ドラマの巨匠は、オムニバス形式でもこれだけのモノを描けたのだから、やっぱり途方もない才能だったのだ。
6位 トーマの心臓 萩尾望都
*中学生で初めて読んで以来、いつ読み返しても感心する。これほど再読に耐えるマンガは希有だと思う。『ポーの一族』も11位に入っているのだが、この2作が評価されていることはうれしい。
7位 ねじ式 つげ義春
*うーん、ノーコメント。小劇場出身の私は不条理モノには点が辛いです。
8位 ドカベン 水島新司
*野球マンガの頂点。プレーのひとつひとつが、自然に、美しく描かれている。(例:ピッチャー里中のアンダースローの投球フォーム)。キャラもよくできていて、私は2番セカンドの殿馬が好きだったな。もっといえば、野球マンガの面白さということでは、水原勇気が出てくるまでの『野球狂の詩』が随一だったと思う。
9位 キャプテン ちばあきお
*異常な野球マンガ(侍ジャイアンツとかアストロ球団とか)がさんざん流行ったあとで、魔球が出てこない野球マンガが出たらその方が面白かった。でも、少年ジャンプが好きでなかった私は、この作品をあんまり読んでないのだ。
10位 エースをねらえ! 山本鈴美香
*「この一球は唯一無二の一球なり」。今から思えば、当時から宗教がかっていたかもね。そういえばこのマンガも魔球が出てこないストイシズムがありました。
○『ドラえもん』の23位や『ゴルゴ13』の49位は気の毒じゃないかとか、いろいろ言い出すと切りがないんだけど、「わが青春の傑作マンガ」というだけに、今でもやっているマンガの点は低くなってしまう。ある程度、そのマンガが存在した時代が意識されなければならず、かといって『ベルサイユのばら』(24位)のように今から考えると恥ずかしいモノは駄目なのである。その点、『マカロニほうれん荘』(16位)や『がきデカ』(20位)が上位にくるのは納得である。
○以下はけっしてベストテン入りすることはないだろうけれど、きわめて極私的に選んだ愛すべき「わが青春の傑作マンガ」です。
『バイトくん2
東淀川貧民共和国』いしいひさいち
『スーパーヅガン』片山まさゆき
『ぼくんち』西原理恵子
○自宅のPCが不調。電源が入らない。今朝になって復旧したのは、幸運と配偶者のおかげでした。明日以降もよくわかりません。もし更新が止まったら、そういうことだと思ってください。年末年始はまとまった仕事をしようと思っていたのですが、思わぬ痛手。
<12月26日>(木)
○今宵のわがPC殿は機嫌良く起動しました。昨晩は動かなかったので、不貞寝してしまいました。今朝になって復旧後に配偶者が申しますには、「下手なことしないで、さっさとあきらめて正解だったね」。PCの事故というのは、起きてから焦っていろいろなことを試しているうちに、ますます傷口を広げてしまって、「あんなことさえしなければ良かったのに」ということが多いんだそうです。いささか身につまされる話ではないかと。
○最近の日本経済論議も似たようなところがあって、出てくる処方箋がだんだん奇策ばかりになっている。円安誘導だの、インフレ・ターゲティングだのは、はっきりいって邪道の経済政策だと思うのですが、それらがもっともらしく語られているのがチト恐い気がする。まさに、壊れかけのPCに引導を渡す結果になりそうで。戦争の歴史を振り返ってみても、窮地に陥った側が乾坤一滴の奇手に打って出て、見事に態勢を挽回した、などという例はそう多くない。むしろ態勢が有利なときほど奇策は決まる。不貞寝してたほうが良かったりして。
○今宵の忘年会、
この人が書いていた「何でも反対、自民党」というネタが馬鹿受け。自民党の抵抗勢力の方々も、ジタバタするくらいなら、不貞寝していた方がずっとご自分のためにはいいと思うぞ。今週の週刊新潮「悪相と書かれて怒った道路族」なんて、いい物笑いの種でっせ。
○今日気がついたんだけど、小泉首相&山崎幹事長コンビには、いざとなったら「解散・総選挙」→「自民党候補として公認しないぞ」という奇策がある。ノナカ、カメイ、コガは公認から外す、とやったら、国民の支持率は急上昇するんじゃないかしらん。面白いと思うけどな。
<12月27日>(金)
○やれやれ仕事納めです。うーん、今年は何があったんだろう。溜池通信のアクセス数はずいぶん増えたし、マスコミへの登場機会も増えた。『ルック@マーケット』と『Jam
the World』はそれぞれ16回も出た。夏の台湾旅行は面白かった。そうそう、競馬にもよく通ったなあ。で、俺は会社では何をしてたんだろう。むむむむむ。
○溜池通信本誌では、イラク問題や中国経済について取り上げることが多かった。年後半からは北朝鮮というネタが急浮上。物騒な話がたくさん出たが、実際に火が点くのは来年ということになるのだろう。日本経済は、書いててむなしくなることが多かったけれども、「エンターテイメント産業に学ぶ」とか「ワールドカップの経済学」などというテーマを発掘できたのは収穫だったと思う。
○この1年の不規則発言を振り返ると、6月にワールドカップに熱中していた時期が懐かしい。われながら典型的なにわかファンだったが、読み返すと往時の記憶がよみがえる。とくに6月20日付の「拝啓
フィリップ・トルシエ様」がいいな。
○などと、このHPを見ることで、自分の1年を思い出すことができる。さても便利よのう。このようにHPというものは、読者の都合はさておいて、自分自身にとっていい記録なのである。
<12月28日>(土)
○たいへん長らくお待たせいたしました。1年前にこの欄で募集した「2002大予測」、いよいよ本日が期限です。回答はこちらをご覧ください。
○12問中、10問を正解して堂々の第1位に輝いたのは、「元銀行員の広告屋」こと倉さんでした。アーミテージレポート以来の読者だそうです。ちなみに社内で行った分でも、9問正解が最高でしたから、10問正解には値打ちがあります。昨年、11問正解の偉業を達成した杉岡さんは、今年も9問正解で第2位。今年はベルリンからプラハに移られたそうですが、「モーニング娘。って?」などと言いつつ、2年連続の好成績は感服いたしました。
○8問正解も3人いらっしゃいました。そのなかには、「Ho
is leading China?」のネタを送っていただいたワシントンのSさんも。逆に最下位は、証券会社大手の要職にあるMさんです。なんと3問。あはは、などと笑ってはいられません。だって私も5問しか当てられなかったんだもん。原田君(6問)に負けちゃったよー。
○それはさておき、何の賞品も出ないこの試みに、多数のエントリーをいただきありがとうございました。
<12月29日>(日)
○知り合いの著書をご紹介しておきましょう。
●『初心者のためのやさしい経済学』塚崎公義&山澤光太郎(東洋経済新報社)1400円+税
たとえば「マクロ経済学とミクロ経済学の違い」。あなたならどうやって説明しますか?この本の説明には脱帽です。「これ以上やさしく書けない!」という帯の文句に嘘はありません。それでいて、最後の方では「IS−LM曲線と流動性のワナ」まで説明してしまう。お見事。
著者HP http://www.tsukasaki.net/
●『英文社内文書の書き方』名塚紀子&木下泰&アイバ・ピュ(The
Japan Times)2200円+税
よくある英語学習モノではない。外資系企業の中では、どんな文書が飛び交っているかを知るうちに、とっつきにくい「ガイシ」の文化や思考法が理解できるようになる。目から鱗がいっぱい。
著者HP http://www006.upp.so-net.ne.jp/nokkoo/
○ところで明日から帰省します。富山のお正月は3年ぶりだなあ。
<12月30日>(月)
○パソコントラブルについて、親切な読者からいただいたコメントあり。どうもありがとうございます。
最近入れたNORTONのシステムワークスの中に「GO BACK]というソフトがはいっておりまして、これがなんともすばらしいソフトで、立ち上がらなくなった時でも、自分の希望の時間にさかのぼってパソコンの中身を戻してくれます。
今回は、一昨日、夜中に立ち上がらなくなって途方にくれた時、翌朝、思い出して使ってみたところ、一発で一日前の状態に戻してくれ、その間に私がいじくり回した痕跡を綺麗に治してくれました。
○うーん、ぜひ日本経済にもそういうソフトが欲しい。でもって1992年までさかのぼって、そこからやりなおし。でも、同じことの繰り返しだったりして・・・・・。
○さて、富山に到着。空港から実家に行く途中、母校である県立富山中部高校を通ったら、「田中耕一さんノーベル化学賞受賞」の垂れ幕がかかっている。これがまるで、「野球部が甲子園に出る」とか、「XX君が駅伝を走る」みたいなセンスなのでおかしい。卒業生がノーベル賞を取るなんてことは、めったにないことなんだから大いに威張ってもよさそうなものだが、すでに日本中が大騒ぎしてしまっている中にあっては、変に控えめに見えてしまう。ご本人も、なるべくなら紅白の審査員などは返上し、帰省して安らかな正月を送られるといいのですが。
○ご町内の防犯部員のTさんは、有馬記念で「今年は田中さんの年」と踏み、Iイーグルカフェ−Bヒシミラクルの馬単を買った由。理由は、騎手が田中勝春に角田晃一(こういち)だから。もちろん当たりはしないけど、こういう買い方をする人が現れるのも、有馬記念ならではの現象でしょうかね。
<12月31日>(火)
○田中耕一氏も昨日帰省されたようで、富山駅には500人の出迎えがあったそうです。写真付き携帯が流行っているせいで、有名人の写真を撮ろうという人が多くて大変だったよし。同じ日にお隣の石川県では、ゴジラ松井が帰省していたとのこと。そういえば拉致事件も新潟、福井なので、今年は北陸が目立った年だったのですな。
○テレビでは2002年ハイライトをやっている。面白いけど、すぐ忘れてしまうので、こういうものを残しておきましょう。きっとあとで使えると思います。
■2002年 政治カレンダー
□1月
1日 小泉純一郎首相が韓国の金大中大統領とともにサッカーW杯の日韓共同開催を記念し「全世界に向けた共同作業」とメッセージ
4日 小泉首相が紋付きはかま姿で年頭記者会見し「金融危機をおこさぬためあらゆる手段を講じる」
13日 小泉首相がシンガポールのゴー・チョクトン首相と会談、日本として初の自由貿易協定となる「新時代経済連携協定」に署名
18日 自民党大会で小泉首相が「聖域なき構造改革」に決意
21日 通常国会召集
東京でアフガニスタン復興支援会議開幕
24日 田中真紀子外相が衆院予算委でアフガニスタン復興支援会議へのNGO参加拒否問題で鈴木宗男衆院議員の圧力があったと答弁。鈴木議員と野上義二外務事務次官は否定
28日 アフガニスタン復興支援会議へのNGO参加拒否問題で政府見解を野党が拒否、衆院予算委で与党は野党欠席のまま平成13年度第2次補正予算案を可決
29日 小泉首相が田中外相、野上外務事務次官を更迭、鈴木議員も衆院議運委員長辞意表明
民主党の大橋巨泉参院議員が党運営への不満などを理由に議員辞職願を提出
□2月
1日 外相の後任に川口順子環境相を起用、環境相には大木浩氏決まる
平成13年度第2次補正予算が成立
4日 小泉首相が施政方針演説で「改革本番の年」
6日 競争入札妨害容疑で逮捕された元秘書の会社から秘書給与を受け取っていたとして鹿野道彦氏が民主党離党表明
17日 ブッシュ米大統領が来日
18日 日米首脳会談。ブッシュ大統領が小泉首相の構造改革路線に支持表明
20日 衆院予算委でアフガニスタン復興支援会議へのNGO参加拒否問題で田中前外相と鈴木議員を参考人招致、主張は真っ向から対立
□3月
4日 川口外相が北方4島への人道支援をめぐる鈴木議員の関与について「異例なこと」などとする調査報告書を公表
8日 東京地検が所得税法違反(脱税)の疑いで加藤紘一元自民党幹事長の元秘書、佐藤三郎容疑者を逮捕
11日 衆院予算委で鈴木議員の証人喚問、特定業者選定への関与を否定
15日 鈴木議員が自民党離党
18日 加藤元自民党幹事長が元秘書の脱税事件の責任をとり自民党を離党
22日 小泉首相が金大中大統領と首脳会談、対北朝鮮政策で日米韓連携強化確認
26日 社民党の辻元清美前政審会長が議員辞職願提出
31日 横浜市長選で無所属新人の前衆院議員、中田宏氏(37)が与党3党など推薦の現職を破り当選、政令市長では史上最年少
□4月
2日 川口外相が鈴木議員の影響力排除で東郷和彦駐オランダ大使を免職とするなど処分を発表
8日 衆院予算委で加藤元自民党幹事長の参考人質疑、元秘書の脱税事件などの政治的責任をとり議員辞職を表明
16日 政府が武力攻撃事態対処法案など初の有事法制関連3法案を閣議決定
19日 井上裕参院議長が政策秘書の裏金授受疑惑で責任をとり辞表提出
21日 小泉首相が靖国神社参拝、8月参拝の見送りを明言
22日 参院議長に倉田寛之元自治相を選出
25日 衆院予算委で辻元氏の参考人質疑
28日 衆参統一補選で参院新潟選挙区は民主、自由など推薦の黒岩宇洋氏、衆院和歌山2区は自民党公認の石田真敏氏が当選
□5月
2日 井上前参院議長の秘書らが逮捕、井上氏は議員辞職願を提出
8日 中国・瀋陽の日本総領事館に北朝鮮を脱出した一家5人が駆け込み、中国公安当局に拘束、連行される
13日 亡命者連行事件で川口外相が調査結果発表、中国側の主張を全面否定
29日 海上自衛隊が情報公開法に基づく海自の資料請求者の個人情報を調査、リストを作成した三佐から事情聴取
31日 小泉首相も出席しソウルで日韓共同開催のサッカーW杯開会式
□6月
19日 衆院が逮捕許諾請求を全会一致で議決、東京地検が鈴木議員を逮捕
20日 中谷元防衛庁長官が防衛庁リスト問題で柳沢協二官房長らの更迭など処分を発表
自民党党紀委員会が公設秘書給与流用疑惑で田中前外相を党員資格停止2年とする処分を決定
21日 道路関係4公団民営化推進委員会の委員に作家の猪瀬直樹氏ら7氏決まる
衆院が鈴木議員の議員辞職勧告決議案を可決
23日 岡山県新見市の市長選と市議選で全国初の電子投票
26日 主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)が開幕
□7月
4日 亡命者連行事件で川口外相が岡崎清総領事の更迭など関係者13人の処分を発表
5日 長野県議会で田中康夫知事の不信任決議案が可決
15日 宮路和明厚生労働副大臣が帝京大医学部受験での口利きで引責辞任
22日 外務省改革についての川口外相の私的諮問機関「変える会」が最終報告、大使の2割を民間・他省庁などから
24日 郵便事業に民間参入を認める信書便法など郵政関連法が成立
1票の格差是正のため衆院小選挙区を5増5減する改正公職選挙法が成立
田中前外相が衆院政治倫理審査会で弁明
26日 平成15年4月からサラリーマン本人の医療費の自己負担率を3割に引き上げる改正健康保険法が野党欠席のまま与党の賛成多数で成立
29日 米軍普天間飛行場の代替施設問題で政府と沖縄県などは名護市沖の環礁を埋め立てることで基本合意
31日 ブルネイで川口外相と北朝鮮の白南淳外相が会談
通常国会が閉幕
□8月
2日 政府が平成16年度をめどに偽造防止のため新紙幣に切り替えると発表
5日 住民基本台帳ネットワークが稼働
8日 人事院が国家公務員給与で初の引き下げを勧告
9日 田中前外相が秘書給与流用疑惑で「潔く身を処する」と議員辞職
26日 小泉首相が日本郵政公社の初代総裁に商船三井会長の生田正治氏を起用する人事を内定
30日 政府は小泉首相が9月17日に日本の首相として初めて北朝鮮を訪れ、金正日総書記と首脳会談を行うと発表
□9月
1日 出直し長野県知事選で田中前知事が大差で再選
2日 小泉首相も出席し南アフリカ・ヨハネスブルクで環境・開発サミット首脳会合
4日 能登半島沖の日本海に北朝鮮工作船と酷似した不審船
11日 鹿児島県・奄美大島沖で沈没した工作船引き揚げに成功、小型工作船を積載
17日 小泉首相が訪朝し金総書記と日朝首脳会談。金総書記は拉致事件で8人死亡5人生存と伝え謝罪、国交正常化交渉の10月中の再開を盛り込んだ日朝平壌宣言に署名
23日 民主党代表選で鳩山由紀夫代表が菅直人幹事長を決選投票で破り3選。中野寛成幹事長起用に党内が反発
27日 小泉首相が拉致被害者家族と面会し「今日まで政府対応に問題が多々あった」
30日 小泉首相が内閣改造を断行、柳沢伯夫金融担当相を更迭して竹中平蔵経済財政担当相に兼務させたほか新たに6人が入閣
□10月
2日 拉致事件で政府が調査団の調査結果公表、「死亡」とされる横田めぐみさんは自殺、有本恵子さんはガス中毒死
4日 扇千景国土交通相が鹿児島県・奄美大島沖で引き揚げられたのは北朝鮮の工作船と断定、海上保安庁は携帯型地対空ミサイルなどを回収と発表
7日 政府がペイオフ(預金払戻保証額を元本1000万円とその利子までとする措置)の平成15年4月の全面解禁を2年間延期することを決定
15日 拉致被害者5人が24年ぶりに帰国、家族と再会
16日 米政府が北朝鮮は米朝高官協議で核開発継続を認めたと発表
18日 臨時国会召集、小泉首相は所信表明演説で「経済再生が最重点」
24日 政府は拉致被害者5人を北朝鮮に戻さず北朝鮮に残った家族全員の帰国を求める方針を決定
25日 民主党の石井紘基衆院議員が刺殺される
27日 衆参統一補選が7選挙区で行われ与党は5勝2敗で勝利、野党は1議席と惨敗
29日 クアラルンプールで2年ぶりに日朝国交正常化交渉再開
30日 政府が不良債権処理加速策と産業再生などを柱とする総合デフレ対策を決定
□11月
1日 衆院憲法調査会が中間報告書をまとめ衆院議長に提出、9条含め改憲論を多く紹介
11日 北朝鮮に拉致され「死亡」とされた松木薫さんとされる遺骨は別人のものと判明
受託収賄などに問われた鈴木議員の初公判、鈴木議員は無罪を主張
12日 政府が産業再生・雇用対策戦略本部を設置
14日 中央教育審議会が教育基本法の改正を求める中間報告を提出、国を愛する心などを盛り込む
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が理事会で北朝鮮への重油提供を12月から凍結すると決定
17日 沖縄県知事選で稲嶺恵一氏が再選
21日 政府・与党は平成14年度補正予算編成で追加歳出を4.2兆円規模とすることで合意
29日 民主党の鳩山代表が記者会見で代表辞任の意向示唆、自由党の小沢一郎党首と会談し合流など連携への決意を伝える
□12月
3日 民主党の鳩山代表が自由党との新党構想などをめぐる党内混乱の責任をとって辞任表明
4日 政府がテロ対策特別措置法に基づく米軍支援で海上自衛隊のイージス艦派遣を決定
拉致被害者や家族を支援する拉致被害者支援法が成立
6日 政府の道路関係4公団民営化推進委員会が今後の高速道建設に歯止めをかける最終報告を提出。委員会の内部対立から委員長が辞任
10日 民主党代表選で菅前幹事長が圧勝。幹事長に岡田克也氏
13日 臨時国会が閉幕
24日 政府が平成15年度予算案を決定。一般会計は対前年度比0.7%増の約81兆8000億円で2年連続の緊縮型
25日 保守党と民主党離党組の14人で保守新党が旗揚げ。代表に熊谷弘氏
○さてと、まだ1枚も書いてない年賀状の宛名書きでも始めるとしよう。皆様、よいお年を。
編集者敬白
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by Tatsuhiko Yoshizaki