●かんべえの不規則発言



2002年5月




<5月1日>(水)

○今週末5日はフランス大統領選挙の決戦投票です。シラク対ルペン。第1回投票でルペンが2位につけたことは、いろんな意味でサプライズでした。今週のThe Economistの表紙は、ルペンの大写しに"France's shame"とやらかしています。世間一般の評価は、「グローバリゼーションの陰で、欧州は移民問題や犯罪の増加に苦しんでおり、人々の不安につけ込んで極右政党が勢力を伸ばしている」ということのようです。ところがこの見方、あまりにも整然としていて、ちょっと疑わしい。もちろん大筋はその通りなんでしょうが、フランスの場合はもっと違う理由で説明がつけられそうな気がする。

○第1に、選挙結果を見る限り、「ルペン現象」が起きているわけではない。ルペンは1988年からずっと大統領選挙に出ているが、得票率は14%(88年)、15%(95年)、そして今回が17%(02年)。そんなに増えたわけではない。得票数は今回が480万票だが、これは95年とそれほど変わらない。つまり彼には昔から固定的な支持層がある。今回は全体の投票率が下がったから、その分ルペンの得票率が上がったという理屈で、少なくとも浮動票がどっとルペンに流れたようには見えない。

○第2に、今度の選挙は候補者が乱立した。そのため、1位シラク19.9%、2位ルペン16.9%、3位ジョスパン16.2%と、得票率が全体的に下がった。左派からは7人も候補者が立ち、それぞれちょこまかと票を取ったためにジョスパン票が食われてしまった。フランス大統領選というのは、徹底した個人の戦いであり、政党が重きをなしていない。ちょっと野心のある政治家だと、「とりあえず名前を売るために、立候補しておくか」と考えてしまう。だからこんな変なことになるのだろう。

○第3に、フランスという国は、いまだに政界が「昔の名前で出ています」である。日本でさえ、小泉さんや真紀子さんが表舞台に登場すれば、有権者は政治に関心を持つ。いつまでたっても80年代の顔ぶれで政治をやっている。これはもうフランスだけの現象だ。これでは投票率が下がるのも無理はない。

○ということで、かんべえは諸悪の根源はフランスの選挙システムにあり、と見ている。コアビタシオン(保革共存)ができるという欠点が有名だが、それだけじゃなくて本当に駄目な制度だと思う。仮にアメリカのような予備選挙のシステムがあれば、右派と左派でそれぞれ候補者を絞り込むことができるので、極右の候補者が本選に生き残るチャンスはなかったはずだ。とにかく政党を否定するようなシステムなので、政策論争も深まらないし、新しい政治家も育たない。こういう考えは古臭いと思われるだろうが、政党がしっかりしなきゃ政治は駄目なんです。

○というわけで、5月5日もドッチラケ選挙になるんじゃないかと思う。こんな風にね。

「おい、ルペン。俺は降りさせてもらうぞ」(次元)
「拙者もだ」(五右衛門)


<5月2日>(木)

○昨日、あんなことを書いて、今朝の朝刊を見たら吹き出しました。

「反極右100万人、ルペン派圧倒。仏メーデーデモ対決」。

○反極右勢力が動員したデモの参加者はパリだけで25万人。全仏では110万人が参加したという。これに対し、ルペン候補がパリで開いた国民戦線の集会は1万人規模と低調でした。やっぱり極右勢力が伸びているわけではないんですよ。なんだか可哀相になっちゃうな。それにしても、今頃になって盛りあがるくらいなら、左派は最初から候補者を絞れってぇの。誰かさんがこんなことを言ってたかも。

「今日こそは逃がさんぞ。ルペン」(銭形警部)。

○さて、今日は夏の到来を思わせる好天となりました。冬服のスーツは全部クリーニングに出したし、テレビの薬品会社のCMも、さりげなく花粉症から水虫に変わっています。こういうのも季節の変わり目ですかね。

○かんべえの花粉症も、さすがに峠を越したと思われるこの頃になって、なぜか柏駅西口ではポケットティッシュ配りが白熱しています。今朝などは4社から6個ももらってしまった。業種は全部、消費者金融。いつもは「武富士」に「アイフル」に「ライフ」くらいなんですが、最近は「アルファOMC」とか「ディック」という聞きなれない会社が参入しています。「よろしくお願いします」と手に手にティッシュを差し出される中を駅に向かうのは、ちょっとした景観になっています。

○花粉症の季節には、貴重なポケットティッシュなんですが、これからは余りますぞ。会社の脇机の引出しには、ティッシュがもうあふれんばかりになっています。それにしても、昔は銀行の支店が預金集めのために、ポケットティッシュを配っていたなんて、今では信じられませんね。今は預金なんて金利がゼロでも欲しくない、というのが銀行のホンネでしょう。代わりにサラ金が、お金借りてくださいと言ってティッシュを配っている。なんというか、時代の変化を感じる出来事です。


<5月3日>(金)

○今週、与党幹事長が、のこのことワシントンまで出かけたところで、ウォルフォビッツ国防副長官から「イージス艦とP3Cを出してくれい」と打診されました。(http://www.asahi.com/politics/update/0430/001.html) 正式な外交ルートではなく、「国防副長官→与党3党の幹事長」という非公式なルートで持ちかけられたというところがミソです。日本政府とすれば、いざとなればこの打診をシカトしてもいい。でも、この次に「国務長官→外務大臣」とか、「国防長官→防衛庁長官」、あるいは「大統領→首相」で同じ話が来たときには逃げられない。

○注意が「イージス艦」に集まるのは当然ですが、筆者はむしろ「P3C」が本命ではないかと思っています。対潜哨戒、洋上哨戒、救難支援、輸送支援と、非常に使い勝手がいいですからね。それに海上自衛隊は練度が高いし、米軍とのインターオペラビリティが高い。加えて、いずれ米軍がイラク攻撃に踏み切るときは、ペルシャ湾岸での活動が必要になるので、そのための予行演習という意味合いもあるのだと思う。イラクもイランも潜水艦を持ってますからね。(北朝鮮製だったりして。お、やっぱり悪の枢軸か?)

○問題はP3Cの航続距離です。軍事ジャーナリストのAさんによれば、「ノー荷物の状態で約7600km」だそうですので、バンコクなどに立ち寄って給油しつつ、インド洋まで行くことになります。大変なご苦労になることは確実ですが、おそらく海上自衛隊が名人芸を発揮することになるのだと思います。目標がハッキリしているとき、日本人はすごい能力を発揮しますから。

○ではイージス艦はどうか。それをやっちゃうと、「デファクト集団的自衛権が発生する」という話があるんです。つまり米軍の艦船の防空を日本のイージス艦が担当するときは、「お隣の船を守らないと、自分がやられてしまう」という理屈で乗り切るしかない。でも、海の上の「お隣」とは、何キロ先でもお隣といえちゃうので、これはもう限りなく事実上の集団的自衛権になる。実際、空から降ってくるミサイルを撃ち落とすときには、いちいち「これは誰に向かって撃たれたものか」なんて考えている暇はないし、ミサイルは誰の上に落ちても迷惑なことにかわりはない。

○集団的自衛権をなし崩しに認めちゃう方法としては、イージス艦を送るというのは、かなり有力な手段ではないかと思います。でも、こういう裏口から入るようなやり方は、あんまりいいことじゃないですよね。ご承知の通り、かんべえは「集団的自衛権、早く認めよう」論者ですが、やっぱり、ちゃんと腹をくくって政治決断をした上でないと、イージス艦は送っちゃいかんのではないかと考えるわけです。

○などと憲法記念日っぽいことを書いてみました。皆さんはいかがお考えでしょうか。


<5月4日>(土)

○抱えている2本の雑誌原稿にめどがついたので、午後からNHKマイルカップへ。サラブレッド三歳オープン、皐月賞とダービーの間で、大いに悩ましいレースである。皐月賞で一敗地にまみれたHタニノギムレットがダントツ人気なるも、これだけはあるまいと真っ先に切る。次にタイガーカフェ、マンハッタンカフェで大いに意気上がる小島太厩舎のNメジャーカフェも、3度目はあるまいということで切る。お世話にはなったけどね。

○なんとなく買いたいのが、横山典のDアグネスソニックと、後藤のFシベリアンメドウ。そろそろこの2人にチャンスが回るんじゃないかと思って。さらに実績から考えるとOタイキリオン。これにPカフェボストニアンを加えてボックス買い。やっぱり今年も外国産馬でしょ、と思ったところが結果は「ギャア!」。馬鹿馬鹿、俺の馬鹿。消去法から行ったら、@テレグノシスが残って当然じゃないか。来たのは@―D。50倍見当の中穴。などと、毎度のごとく、責任のない週末の喜怒哀楽を堪能する。

○帰りに書店にて羽生善治『簡単に、単純に考える』(PHP)を購入。平尾誠二、二宮清純、金出武雄の3人との対談集。ラグビーマネージャー、スポーツジャーナリスト、ロボット学者とともに勝負について語っている。印象に残ったフレーズを以下の通り抜書きしておく。

「体系化というのは、言葉を換えると単純化ということだと思うんです。物事をどんどん単純化していく作業です」(p112)

「素人のように考え、玄人のように実行する」(p186)

「キス・アプローチでやれ。KISSというのは、"Keep it simple, stupid."の頭文字です。これはエンジニアリングの基本的な考え方です」

○第一人者というものは、余人と違ってシンプルな世界観を持っているものだ。逆にいえば、凡人はシンプルな思考ができない。だって世の中は複雑だもの。複雑なことをシンプルに捉えられる、ということは、すごい才能なんだと思う。情報を集めることは、ある程度の訓練をすれば誰でもできる。反対に、捨てることは難しい。羽生善治をもってしても、「二時間考えて、駄目と分かった読み筋には愛着が出る」と言う。

○昔、大学時代の授業を思い出した。先生「システムって、何のことか分かるかね」。学生「・・・・・」。先生「この間、キャバレーの看板に、明朗会計システム、と書いてあった。つまりそういうことなんだ。システムとは分かりやすい、ということだ」。(こういう話をするのは、マーケティングの田内幸一先生だな、きっと。) 

ややこしい世の中を単純にするために、システムというものが必要になるのだろう。だが、それは誰にでもできるわけではない。おそらく素人くさい発想というのものを、大切にすることが必要なんだと思う。直感は誤らない。誤るのは判断だ。「素人のような発想を、玄人のように書く」。こういうふうでありたいな。


<5月5日>(日)

○先月からこの「溜池通信」は引越ししました。新しいホスティングサービス会社はCPIといいます。詳しくは以下のURLをご参照ください。

http://shared.cpi.ad.jp/

○CPIはログ解析のサービスをしてくれます。このサービスが感動モノで、たとえば引越しからこの方のアクセス件数などがバッチリ分かってしまうのです。今日はそのことをご紹介しましょう。4月15日(月)から引越しを告知したので、16日(火)からこのtameike.netを訪れる人が増えました。その後ははっきりとした規則性が見られます。

      リクエスト数/ページ数
2002年 4月14日: 177:/111:
2002年 4月15日: 1031:/451:
2002年 4月16日: 2114:/1348:
2002年 4月17日: 1847:/1102:
2002年 4月18日: 1214:/795:
2002年 4月19日: 1610:/989:
2002年 4月20日: 1669:/789:
2002年 4月21日: 1226:/673:
2002年 4月22日: 2118:/1085:
2002年 4月23日: 1715:/1053:
2002年 4月24日: 1676:/1024:
2002年 4月25日: 1539:/995:
2002年 4月26日: 1749:/1030:
2002年 4月27日: 1190:/624:
2002年 4月28日: 1075:/661:
2002年 4月29日: 1070:/622:
2002年 4月30日: 2015:/1113:
2002年 5月 1日: 2073:/1214:
2002年 5月 2日: 1721:/1163:
2002年 5月 3日: 1234:/813:
2002年 5月 4日: 1575:/978:

○平日が1000件ちょっと。休日はその7割程度。つまり職場で見ている人が多いということでしょう。週の前半(月、火)の方がアクセスが多く、後半(木、金)にはやや少なくなる。「溜池通信」の本誌は、土曜日に自宅で読む人と、月曜か火曜日に会社で読む人に大別されるようですが、後者が数の上では多いようです。

○次に時間帯で切ってみると、こんな感じになります。

0時: 1580:/989:
1時: 915: /569:
2時: 789: /474:
3時: 454: /295:
4時: 325: /211:
5時: 576: /376:
6時: 576: /361:
7時: 1281:/ 802:
8時: 2476:/ 1502:
9時: 2515:/ 1544:
10時: 2127:/ 1259:
11時: 1819:/ 1015:
12時: 2230:/ 1249:
13時: 1570:/ 855:
14時: 1162:/ 555:
15時: 1180:/ 579:
16時: 1258:/ 679:
17時: 1156:/ 684:
18時: 913: /539:
19時: 981: /547:
20時: 1046:/ 647:
21時: 1560:/ 879:
22時: 1687:/ 1028:
23時: 1864:/1101:

○いちばんアクセスが多いのは午前8時から9時台で、ここだけは1500件を越える。皆さん、思ったより朝が早いですな。金融関係にお勤めの方が多いとお見受けします。12時台のお昼時間にもアクセスがちょっとだけ増える。もうひとつの山は、夜の22時から23時にかけてやってきます。こちらは自宅で読んでいる学生さんが多いのかな。この「時間別集計」は、それほど意外性がありません。

○さて、次のデータは、「えっ、そんなことまで分かっちゃうの?」とビックリされるかもしれません。考えようによっては、ちょっと怖いデータですぞ。題して「ドメインレポート」。

リクエスト数: バイト数の割合 (%): ドメイン
------------: ------------------: --------
       22565:             69.17%: .jp (日本)
        5407:             16.60%: [未解決IPアドレス]
        1683:              5.92%: .com (商業団体)
        1465:              5.11%: .net (ネットワークサービス)
         448:              1.46%: .edu (米国高等教育機関)
         158:              0.66%: .id (インドネシア)
         163:              0.55%: .sg (シンガポール)
          44:              0.15%: .arpa (旧アーパネット)
          25:              0.14%: .my (マレーシア)
          21:              0.09%: .no (ノルウェー)
          17:              0.05%: .ch (スイス)
          22:              0.04%: .org (非営利団体)
           9:              0.02%: .th (タイ)
           6:              0.02%: .tw (台湾)
           3:              0.01%: .int (国際機関)
           2:              0.01%: .uk (英国)
           1:                   : .to (トンガ)
           1:                   : .cy (キプロス)


○海外の読者のうち、ノルウェーは安達さん、台湾はらくちんさん、シンガポールはYさん、などとこちらから顔が見えている人もいるわけです。でも、トンガやキプロスからアクセスがあるというのは驚きですね。そうそう、インドネシアでは「よろずインドネシア」という巨大な掲示版があり、そこでときどき「溜池通信」が引用されているのですけど、ここの議論は質が高いのでいつも感心してます。

○もっと怖いデータをご紹介しちゃいましょう。題して「組織別レポート」。

リクエスト数: バイト数の割合 (%): 組織
------------: ------------------: ----
         272:              1.18%: 202.33
         832:              1.79%: 210.225
         304:              0.62%:             aol.com
         362:              1.70%:        livedoor.com
         826:              2.37%:          mesh.ad.jp
         740:              2.40%:           odn.ad.jp
         310:              0.56%:  XXXXXXXXXXXXXX.co.jp
         271:              0.98%: XXXXXXXXXXXXXXX.co.jp
         827:              2.36%:          dion.ne.jp
         375:              1.43%:           dti.ne.jp
         412:              1.77%:          home.ne.jp
        3097:              7.97%:       infoweb.ne.jp
         346:              0.81%:         nttpc.ne.jp
        2317:              6.71%:           ocn.ne.jp
        1142:              3.61%:        so-net.ne.jp
         300:              0.83%:        wakwak.ne.jp
         450:              1.30%:     asahi-net.or.jp
         572:              1.53%:         plala.or.jp
         318:              1.26%:           bbtec.net
         299:              0.78%:              uu.net
       17668:             58.05%: [その他: 478 組織]

○「XXXX」にしたのは、どちらも某一部上場企業さんです。いっときますが、日商岩井ではありませんぞ。下の方は、この人がお勤めの会社だとヒントを出しておきましょう。

○こうやってログの分析をしてみると、いろんなことを感じています。率直な感想をいくつか。

(1)自分でも驚くくらい読者が増えた。
(2)とはいうものの、同じ読者が繰り返し訪ねてきているようなので、母集団はそれほど多くないらしい。
(3)ほとんどは日本国内に読者がいるんだけど、海外の読者も5%以上いる。

○とまあ、こんなデータを元に、今後もこのHPを続けて行くつもりです。今後ともよろしくお願いします。


<5月6日>(月)

○そうそう、今夜に合うように宣伝をしておこう。ビデオジャーナリストの神保哲生さんが、「地球温暖化」をテーマに作った番組が放映されます。

5月6日(月)午後10時〜10時44分 NHK教育テレビ ETV2002

『地球温暖化で島が沈む?!南の島ツバルの選択』

地球温暖化に起因する海面の上昇で最初に海に沈むとされている南太平洋の島国ツバル。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2100年までに地球の海面が最大で88センチ上昇するとの見通しを発表。それを
受けてツバルは、国民を段階的に別の国へ移住させ、最終的には 全国民を国外に避難させる決断を下した。

国を捨てるまでの決断を下したツバルに、今何が起きているのか。
海面の上昇によって国民の生活基盤が奪われているツバルの実態と、 地球温暖化の最前線からツバルが行なった捨て身の問題提起を、 ビデオジャーナリスト神保哲生が渾身の現地取材をもとに報告する。

お問合せ先:日本ビデオニュース株式会社(03-5570-8088)


○神保さんが南の島を取材しているというから、私はまたてっきり東ティモールだと思ってましたが、実はツバルだと聞いてびっくり。ツバルといえば、.tv(ドットTV)のカントリードメインを売り飛ばして、国家予算の10年分くらいを手に入れたユニークな国。でも、ここで神保さんが取り上げたのは、海面が上昇して島が沈むかもしれないというコワイ話。なにせサンゴ礁でできている島ですから、塩水が噴き出すと農業もできなくなる。そこでツバルはニュージーランドへの移民を始めた。

○この話を聞いたとき、真っ先に私の脳裏に浮かんだのは谷村新司の脂っこい顔でした。そう、「さらばぁ〜ツバ〜ルよぉ〜」。ああっ、ヒンシュクです。お許しくださいっ!神保さんの前ではとても口にできなかった、しょうもない親父ギャグ。でも、これがどうしても言いたかったものだから・・・・

○昨日、海外の読者が5%以上と書いたら、さる海外の読者から「いつも会社のPCから見ているので、xxxx.co.jpからアクセスしていることになりますよ」とのご指摘。なるほど、それだったら海外の読者がもっと多くても不思議はないですね。インターネットの世界はげに摩訶不思議。


<5月7日>(火)

○ひとつ発見。米国には共和党系のPNACという団体があるんですね。"Project for the New American Century"の略です。 HPは下記にあります。

http://www.newamericancentury.org/index.html 

○この団体、1997年6月3日に設立の声明文が採択されている。その最後の部分がこれ。

Our aim is to remind Americans of these lessons and to draw their consequences for today. Here are four consequences:

・ we need to increase defense spending significantly if we are to carry out our global responsibilities today and modernize our armed forces for the future;

・ we need to strengthen our ties to democratic allies and to challenge regimes hostile to our interests and values;

・ we need to promote the cause of political and economic freedom abroad;

・ we need to accept responsibility for America's unique role in preserving and extending an international order friendly to our security, our prosperity, and our principles.

Such a Reaganite policy of military strength and moral clarity may not be fashionable today. But it is necessary if the United States is to build on the successes of this past century and to ensure our security and our greatness in the next

○「こんなレーガン流の軍事力と道徳性重視の政策は、今日ではファッショナブルではないかもしれない」という一節に、クリントン時代に腹を立てていた保守派の憤懣やる方ない気持ちが読み取れます。そりゃそうでしょう。97年6月といえば、クリントンがデンバーサミットで得意の絶頂だった頃です。しかし保守派の論客の目から見れば、クリントンの安保・外交政策はムチャクチャもいいところ。「もう見てらんない。お前ら俺のためにそこをどけと。ホワイトハウスというのは、もっと殺伐としているべきなんだよ」と言ったかどうか。

○さて、この文書に署名した人は以下の通り。

Elliott Abrams Gary Bauer William J. Bennett Jeb Bush

Dick Cheney Eliot A. Cohen Midge Decter Paula Dobriansky Steve Forbes

Aaron Friedberg Francis Fukuyama Frank Gaffney Fred C. Ikle

Donald Kagan Zalmay Khalilzad I. Lewis Libby Norman Podhoretz

Dan Quayle Peter W. Rodman Stephen P. Rosen Henry S. Rowen

Donald Rumsfeld Vin Weber George Weigel Paul Wolfowitz

○あれまあ、副大統領に国防長官に国防副長官、という3人のタカ派がガン首をそろえています。こういう人たちが作ったのが現ブッシュ政権というわけですね。いやぁ、知らなかったあ。このHP、しっかりチェックした方がいいかもしれません。ブッシュ政権の動きに意外なヒントが隠されているかもしれません。


<5月8日>(水)

○社長交代というのは難しいものです。身を引いて会長になる人は、できれば院政をひいてやろうと思うし、少なくとも自分の存在感を失いたくはない。新たに社長になる人は、最初のうちはおとなしくしていても、いずれは自分の思い通りにしてやろうと心中期するところがある。だから、会長が人事権だけは譲らないとか、社長が会長の交際費を削るとか、その手の内紛はそこらじゅうに例がある。こんなことは、日本企業に勤めている人なら誰でも知っている初歩の社内政治だ。

○それに似ているなあ、と思うのが中国の江沢民と胡錦涛の関係。胡錦涛の訪米は、98年の江沢民訪米の軌跡をなぞるように、目立たぬよう、慎重に行われた。ひとつだけ目立ったのが、ラムズフェルド国防長官とサシで会談したこと。これは胡錦涛の方から言い出したらしい。彼は中央軍事委員会の筆頭副主席だから、その資格は十分にある。しかし、会って話せば中国を代表することになる。これは「防衛問題も私が仕切りますよ」というデモンストレーションになる。

○江沢民はカチンと来たはずだ。この秋の党大会で総書記を胡錦涛に譲る。来年春には国家主席も譲ってしまうだろう。でも中央軍事委員会の主席だけはしっかり握っていたい。そのためには人民解放軍の支持を確実にしておく必要があるから、小泉さんの靖国神社参拝に怒って見せたり、わざわざイランを訪問して米国を刺激したりしてみせている。人民解放軍は反米、反日ですからな。副主席がでしゃばったことをしたら、きっと面白くはないだろう。

○その江沢民は、今年10月に最後の訪米を予定している。その際には是非、ブッシュ大統領の私邸があるテキサス州クローフォードの牧場に招いてもらいたい。そうすればブレア首相やプーチン大統領と同格になるし、米中関係の安定も示すことができる。と同時に、胡錦涛に対して、「ふん、お前と俺とじゃ先方の対応が違うんだよ」と見せつけることもできる。いかにも新会長と新社長がやりそうな心理的な鞘当てである。

○最近、中国大使館の高官がクローフォード牧場の付近を視察して、地元警察に職務質問を受けたそうだ。おそらく「会長派」の社員なんでしょうな。宮仕えはツライよね。そのうち、政府要人はすべからく、「お前はどっちにつくんだ」で悩まなきゃいけないだろう。この辺の機微は、アメリカ人よりも日本人の方が理解しやすいと思う。アメリカのCEOは辞めたらスパッといなくなるからなあ。


<5月9日>(木)

○友人の紹介で、米国務省の経済分析官(日本と韓国担当)と意見交換。テーマは「小泉改革と日本経済」。で、私見を述べながら、ホテルオークラでコーヒーを3杯。聞けば、昨日はロバート・フェルドマンとイェスパー・コールに会って話を聞いたという。ううむ、なんというか、少しばかり落差があるようだな。本当にワシでよかったんだろうか?

○さて、一昨日の当欄で紹介した゛Project for the New American Centuryですが、おもしろい資料を発見しましたよ。

http://www.newamericancentury.org/iraqclintonletter.htm

1998年1月26日付、クリントン大統領宛てに、「サダム・フセインをこれ以上のさばらせるな!」「一般教書でちゃんとしたイラク政策を打ち出せ」と叱咤した手紙。大統領に提言をするというよりも、書き出しからして喧嘩を売ってます。

We are writing you because we are convinced that current American policy toward Iraq is not succeeding,...

この差出人が以下の通り。

Elliott Abrams    Richard L. Armitage    William J. Bennett

Jeffrey Bergner    John Bolton    Paula Dobriansky

Francis Fukuyama    Robert Kagan    Zalmay Khalilzad

William Kristol    Richard Perle    Peter W. Rodman

Donald Rumsfeld    William Schneider, Jr.    Vin Weber

Paul Wolfowitz    R. James Woolsey    Robert B. Zoellick

○今度はアーミテージ国務副長官とゼーリックUSTR代表が入ってます。このPNACに関与しているのは、共和党の中でも安保・外交政策に造詣が深く、現実主義者で、グローバリストの系譜に連なる人脈ですね。こういう人たちの眼から見ると、クリントン外交は無節操で一貫性がなく、通商摩擦で同盟国を痛めつけたりする一方、米国に対する脅威に対しては弱腰、と映ったわけです。まあ、分からんではないな。

○ちなみに98年1月といえば、クリントンがスキャンダルで弾劾の危機にさらされていた頃。ところが1月27日の一般教書演説の出来がよく(財政赤字はもうすぐなくなります、てなことを訴えた)、クリントン支持率は1月中は5割そこそこだったのが、7割以上へと上昇。おりからの米国経済の好調ぶりもあって、なんとか政権の危機を乗り切りました。翌月が長野オリンピックだったことと関係があったかどうか、結局、クリントンはイラク攻撃を思いとどまりました。

○PNACに名を連ねているような共和党保守派は、こんな不遇の時代をじっと耐えてきたのでした。こういうのを読むと、「9・11」の直後に
ウォルフォビッツ国防副長官が、「イラク撃つべし!」と叫んだ理由がよく分かりますね。つまり、「クリントンがもっとしっかりしていれば・・・」という怒りが先にたってしまうのでしょう。


<5月10日>(金)

○今宵は、キャラクタービジネスをやっている社長さんの話を聞いてきました。「第一人者のモノの見方はシンプルである」を地で行くような人で、面白い話がたくさんありました。でも、門外不出のノウハウも入っているようなので、発言を引用することは控えることにします。代わりに自分の感想を少しばかり。

○キャラクターが成功するかどうかは、主人公の個性と同時に、ちゃんとした世界観があるかどうかにかかっていると思います。たとえば、最近の子供向けのおもちゃ売り場では、『とっとこハム太郎』が増殖していますが、これなんぞはキャラの愛らしさだけで勝負しており、世界観がまるっきり平板。おそらく『セーラームーン』のように、飽きられるときは早いでしょう。長持ちするキャラは、『機動戦士ガンダム』や『アンパンマン』のように、登場人物の背後に独自の世界観が確立されている。

○世界観は、@その国の伝統的な文化や価値観と一致していて、A時代にも適合して、Bなおかつ新味がなければならない。たとえばディズニーのキャラクターは、アメリカ文化とは切り離すことができません。大方のディズニー商品は日本でも人気だけど、

♪僕らのクラブのリーダーは、Mickey Mouse, Mickey Mouse, Mickey Mickey Mouse.♪

なんてことを言われると、もうバタ臭くてついていけませ〜ん、と思ってしまう。その点、物言わぬ『ハローキティ』の方が、はるかに和製キャラクターとして安心感がある。ちなみに賢いディズニーは、日本市場ではなるべく『くまのプーさん』を全面に押し出している。こっちはイギリス製で、日本人にも抵抗が薄いからね。

○日本の文化にあったキャラクター、といえば、『サザエさん』なんぞが思い浮かびますが、「大家族」「平屋建て」「丸刈りの元気な子供」「食事時にはちゃぶ台」といった世界観が、現実離れするほど古くなってしまったので、そろそろもたなくなっている。だいたい東芝がアニメ番組を持ちきれなくなった時点で、サザエさんの世界観も崩壊したようなものだろう。その点、『ドラえもん』はSF仕立てになっていることで、比較的寿命を保ちそうだ。藤子不二雄の世界は案外と無国籍なので、アジア全域で受けがいい。

○いろんな意味で画期的な世界観を提示したのは、やはり『ポケットモンスター』だったと思う。この物語には終わりがない。シリアスな対立軸もない。そういう意味では、物語の常識をいくつも踏み外している。それでいて、日本人が大好きな「友情、努力、勝利」の物語になっている。この世界観が、不思議と全世界で受け入れられた。ちなみにポケモンを真似して作られた『デジモン』は、古式ゆかしい善と悪の対立で作られていて、案の定、速攻で忘れ去られつつある。戦後日本の平和教育というものは最近では評判が悪いけど、半世紀かけてこんな不思議な世界観を生み出したといえるかもしれない。

○キャラクターを作る、その背後の世界観を作るといった仕事は、当然のことながら誰でもができるわけではない。飛びぬけた才能が必要だ。不思議なことに、この分野で日本人は比較優位があるらしい。宮崎アニメの評価があんまり高いので、最近では産業としての可能性に注目する人も増えている。しかし、その割りには恵まれた世界には見えないのである。才能を発掘するとか、育てるとか、最終的には経済的に報われるというシステムがまるでない。その一方で、ゲームや映像などは確実に制作費が高騰していくので、参入障壁はどんどん高くなる。

○ハリウッドがいろんな仕掛けで世界中の才能を磁力のように引きつけるシステムを持っているのに対し、日本の体制はあまりにも貧弱だと思う。これはちょっと問題ではないのかな。


<5月11日>(土)

○今日はメールが多い。昨日みたいな話はみんな好きなのね。ということで、今日もエンターテイメント関連のお話を。

○「ハーバード・ビジネス・レビュー」という雑誌は滅多に読むことは無いんだけれど、今月のこの記事だけは気になったので、週末に持ちかえって読みました。題して『モノポリーに学ぶマネジメント論』。これは原題の方がよくできている。すなわち、"Everything I know about business I learned from MONOPOLY."(ビジネスについて知っていることは、すべてモノポリーから学んだ)。

○これを書いているフィル・オーバンズ氏はゲームデザイナー。モノポリーゲームの版元であるパーカー・ブラザーズ社の副社長をやっていた人だ。マネジメント論としてはさほどのものではないが、ゲームに関するいろんなウンチクが楽しい。たとえば、「モノポリーが長寿を保っていられるのは、技75%、運75%というゲーム・バランスのおかげ」という指摘は、大いに納得である。勝てば技、負ければ運、といえるからね。こいつは麻雀も同じだな。

○アメリカでは、ゲームの保守本流というべきチェスやブリッジの人気がすたれているという。マナーが厳しい上に、気まずい雰囲気になることが多いから。今日ではもっと気楽なゲームが望まれており、盤外で盛りあがれるのがいいらしい。そもそもエンターテイメントの選択肢が増えたので、アメリカでもゲーム人口は総じて減っている。仲間を集めるのも苦労するだろうし。

○いよいよ金融ビッグバンが始まるぞ、と言っていた頃に、資産形成の勉強になるようなゲームが作れないものか、てなことを考えていた。いかにも売れそうだから。でも、この論文によると、ゲーム業界には「株と競馬のゲームは売れない」という鉄則があるのだと。なぜなら株や競馬が好きな人は、本物に手を出すから。

○日本には『ダービースタリオン』という人気ゲームソフトがある。これは競馬のゲームというよりも、サラブレッドを育てるゲームなのだ。そしてこのソフトを作って大金持ちになったプログラマーは、今や本物の馬主になっている。やっぱり本物の方が楽しい、ということか。


<5月12日>(日)

○このところ、週末は競馬日記になっている「不規則発言」である。今日は京王杯SC。先週から、このレースが気になって仕方がなかった。なにしろ有力馬がひしめきあっている。人気順に行くと、Kマグナーテン、Dダイタクリーヴァ、Eゼンノエルシド、Iダンツフレーム、Jトロットスターと並ぶ。G1馬から新進気鋭まで幅広い。でもワタシの狙い目は、上り調子のOグラスワールド。この馬、今年はいい線行くんじゃないかと思ってるんです。

○今日のレース、午前中はおとなしかったのに、昼から荒れ出して8レースと9レースは万馬券。これはきっとメインも高配当、と取らぬ狸の皮算用。オッズを見ると、グラスワールドは単勝8.9倍。あんまり人気になってもらっては困るので、頃合といったところか。だが、馬体重10キロ減とある。前走が3月31日なので、この減り方はちょっと心配。パドックの映像も、首が下がっていて覇気が感じられない。弱気になったからか、単賞を1000円買おうとしたところ、マークシートを塗り間違えて100円になってしまった。正直なものである。でも、これが結果オーライとなった。←ここんとこ重要ですよ。

○あまり期待を持たずに中山のスタンドに座り、アイスコーヒーを手にしてターフビジョンで見る。ふと、隣の人の新聞を覗くと、Qゴッドオブチャンス、と書いてある。おお、その手があったか。と、思う間もなく京王杯が出走。絵に描いたような展開で、ゴッドオブチャンスが馬群を抜けだした。1400メートルなので決着は早い。2馬身リードのままでゴールイン。2位以下は混戦。でも、僅差で来てくれましたよ、わがグラスワールドが。Oから薄めに200円ずつ流していた中に、ちゃんとQが入っていたのだ。O―Qは1万270円。うほほ〜い、狙い通りではないけれど、予定通りの万馬券。

○上機嫌で売店に立ち寄り、お土産にステイゴールドの人形を買って帰る。勝てば官軍。昨日も書いた通りですな、ゲームよりも実物の方が面白い。あはは。


<5月13日>(月)

○午前中、当社の韓国の取引先を相手に、日米中の経済問題に関するプレゼンテーション。とはいうものの、日本語でやればいいので、気分は楽である。中国に関する部分では、例の「経済統計疑惑」をご紹介する。IMFのGDDSのことなどは、案の定、誰も知らないですね。(不規則発言、4月24日分をご参照)。韓国企業も中国市場には期待するところ大なので、この話題には食いつきがいい。質問続出で時間を30分オーバー。

○少し前宣伝となりますが、今週末に出る新潮社『フォーサイト』で、かんべえが書いた「中国の統計疑惑」に関する小文が掲載されます。乞うご注目。というわけで、来週以降は中国政府の要注意人物にされてしまうかも。そうなる前に、一度くらいはメインランド・チャイナに足を踏み入れておくべきだったか。

○午後は、日本貿易会の貿易動向見通しの改訂作業。今日が締め切りなので逃げられない。かんべえの受け持ちのうち、「船舶輸出」と「航空機輸入」はどちらもモノが大きいので、かなりの部分まで正確に予測できる。船は今年度の引渡し分は、金額まで含めてほぼめどがついており、為替が大きく動かない限り、そんなにははずれない。航空機は、そろそろ国内航空各社が買い替え需要期に入っているので、この先1〜2年は輸入が増える、てなことが分かっている。

○始末におえないのが、「通信機輸出」と「その他機械輸入」だ。通信機は世界的なIT不況の波をくらい、米国、EU、アジア向けがそろって落ち込んでいる。そろそろ復活すると思うのだが、通信機といっても有線もあれば無線もあり、ルーターなんぞも含まれている。こんなものの動向をどうやって予想すればいいのじゃ。その他機械、というのがまたクセモノで、音響映像機器、科学光学機器、原動機、通信機、という上位4品目を足しても半分に満たない。しょうがないから、最後はエイヤア、で数字を埋める。

○夜はJ−WAVEスタジオへ。久々の「Jam the World」に出演。テーマは「エンターテイメント・ファンド」。映画やゲームソフトの制作のための投資ファンドは財テクとして有効か、というのがテーマ。ナビゲーターの角谷氏、ふだんから映画をたくさん見ているので反応が鋭い。というか、この話題はやっぱり面白いと思う。コーナーの名前は「フィフティーン・ミニッツ」だが、いつもより長くて20分くらい話していたような気がする。

○ちょうどこの時期は、ラジオ番組の聴取率調査が出たらしく、この人も5月12日分であーだこーだと言っている。でも、FM放送といえばJ−WAVE。なんでも、かんべえが前回出演した4月8日のこの時間では、ラジオ聴取者のうち3割くらいがJ−WAVEだったそうで、これはもちろんダントツの数字。別に私めのお陰でもなんでもないんだけど、こんなものは競馬と同じで「取れば勝ち」。

○それにしても、朝・昼・晩と全然違うことをしているんので、頭が変になりそうな一日。ま、こういう日もあります。


<5月14日>(火)

○今日はホームページの宣伝を。かんべえの職場のHPができましたのでご紹介しておきます。ここです。

http://www.niri.co.jp/ (日商岩井総合研究所)

○ここにも「溜池通信」のページがあります。それはここと同じ。あと、「お台場技報」という技術関連のメルマガと、「お役立ち経済ONLINE」というリンク集があります。後者は、経済調査をやっておられる方にはかなり便利なページではないかと思います。ぜひお試しください。

○なにせ、できたてのホヤホヤ。至らぬ点も多々あるかと存じますが、ごひいきにどうぞ。


<5月15日>(水)

○佐藤優さんとは、1995年にある勉強会で初めて会った。たしか阪神大震災の後で、生活物資が不足して大変だ、といった話が出たと思う。当時、ロシアから帰ったばかりの佐藤さんが、「日本人は油断してますね。ロシアだと各家庭が食糧を蓄えていて、2DKのアパートだと一部屋が食糧庫ですよ」と言った。別に喧嘩を売るつもりはなかったが、こっちからは「そんな無駄な在庫を作ってるんじゃあ、ロシア経済はよくなりませんな」とやり返した。たぶんそんな会話が最初だったと思う。

○それからいろんな場所で会った。同じ1960年生まれなのだが、ロシア、東・中欧、中央アジアといった地域について、佐藤さんはおそろしく該博な知識の持ち主であることが分かった。「スロバキアの東部の何とかという地域は戦略的に重要で、ハンガリー動乱のときはソ連の戦車がここを通過してハンガリーに入った。スロバキアを安定させることは、欧州の安全保障にとってきわめて重要だ」などという話をされては、深くうなずくしかないではないか。とにかく、端倪すべからざる人物なのであった。

○エリツィン政権の動きを分析する話も聞いた。これがまるで笑い話なのである。エリツィンはいつも酔っている。だから大事な相談はめったにできない。部下は人事などの相談ごとを貯め込んで、チャンスをじっと待っている。チャンスとは、エリツィンがテニスをする日のことだ。テニスの後で、エリツィンはサウナに入る。そこを狙って決裁の書類を出し、一気にサインさせる。ゆえに、エリツィンがテニスをした直後に、クレムリンは動き出す。「次のテニスの日はいつか。これがいちばん大事なポイントなんです」。大きな目を見開いて、笑わずにそんな話をするのである。

○ある時期から、彼とはあまり会わなくなった。忙しそうだというのは聞いていた。鈴木宗男議員がどうの、ラスプーチンがどうの、という話も聞こえてきた。彼のことを詳しく知ってるわけではないけれども、私には彼が腹黒い人間だとはどうしても思えない。年賀状をもらうと、外務省の仕事のことより、ロシア研究でこんな成果があった、などと書かれていた。とにかく、ケチな私利私欲で動くタイプではないのである。もし外務省で彼が暴走したというのが事実であれば、それは「士は己を知るもののために死す」の原理によるものだと思う。

○ひとつだけ指摘しておきたい。「鈴木&佐藤は、国策を否定して、二島返還論を進めたのがけしからん」、という声がある。それはちょっと買い被りというものだ。あの頃、対ロシア外交を仕切っていたのは誰だったか。橋本首相と小渕外相ではないか。1997年のクラスノヤルスク合意では、2000年までに領土問題を解決する、とあった。ロシアが領土で譲る気がないことは分かっていた。となれば、落としどころは「二島返還」(あるいは二島先行)になりそうなものだ。ムネオはこの問題に関しては、最初から経世会の走狗に過ぎなかったと思う。ムネオの利権漁りは、それを黙認する人がいたから可能になったはずだ。

○98年の大蔵省バッシングのときもそうだったが、なんだか異常な議論をしているような気がするぞ。


<5月16日>(木)

○『織田信長合戦全録』(谷口克広/中公新書)を読了。この作者、中学校の先生らしいのだが、なまじの学者などよりよっぽど考察に実があり、前作『信長の親衛隊』(同)も面白かった。「良質の史料にこだわる」という姿勢がはっきりしていて、読んでいて発見が多い。本書は信長軍団の合戦を、ひとつひとつしらみつぶしに検証した労作。最新の戦国時代研究の動向を知ることもできる。

○通説に対しても、遠慮なく異を唱えている。たとえば姉川の合戦で、徳川家康軍が大活躍したことになっているのは、江戸時代に書かれたものであるから、徳川びいきを割り引いて読む必要がある、という。また延暦寺の焼き討ちは、山頂近くではあまり行われていないというのが最近の研究だそうだ。あるいは長篠の合戦で、「鉄砲3000挺の3段撃ち」などという通説は信じるべきではない、と切り捨てる。いちいち「なるほど」と感じる。

○信長の合戦記録を通してみると、近江の国を維持することに大変な苦労をしていることが分かる。元亀元年から2年にかけて、信長は主力な部下のほとんどを琵琶湖畔に配置している。明智光秀(坂本/大津市)、佐久間信盛(永原/野洲町)、柴田勝家(長光寺/近江八幡市)、中川重政(安土/安土町)、丹羽長秀(佐和山/彦根市)、木下秀吉(横山/長浜市)という、豪華ラインナップである。これは岐阜と京都間の導線を押さえることが死活的に重要だったからだろう。こうした思い入れが、安土城建設につながったことは想像に難くない。

○信長の合戦というのは、ひとことで言えば「スピード重視」である。本書の冒頭に出てくる朝倉氏追撃のシーンなど、信長の作戦思想がものの見事に決まった例といえる。今がチャンスだと思ったら、自分が単騎で駆け出していく。その辺の感覚は、幼少時から戦いに明け暮れたことによって研ぎ澄まされたのだろう。この間、誰かに相談して物事を決めた様子はまったくない。

○他方、スピード重視の作戦思想は、城攻めには向いていなかったようで、石山合戦などでは苦戦している。城攻めはやはり羽柴秀吉の方が巧みだったようだ。その秀吉は、信長のスピード重視思想を何時の間にか学んでいて、中国大返しと賎ヶ岳の戦いでは見事なファインプレーを残している。

○もうひとつ、気づいたのが長男・織田信忠が相当に優秀な武将だったと思われることだ。天正10年の武田勝頼追討戦などは、ほとんど彼だけで終わらせている。本能寺の変の際に、「光秀ほどのものが裏切ったのなら、逃げ場はあるまい」と潔く戦って戦死しているが、うまく逃げていれば歴史は変わっていたかもしれない。

○本能寺の変の謎ときについては、最近は「朝廷黒幕説」が出ている。谷口氏の結論は、それはちょっと無理があり、光秀単独犯という最初の前提に戻って考えた方がいい、という。ちなみに信長公記にある、森蘭丸との以下のやりとりは、おそらくは史実であろうとのこと。このシーン、まるで史記の項羽最後の場面のようで、あまりにも美しい。短い言葉の中に、信長という人格が凝縮されているようだ。

信長「いかなる者の企てぞ」
蘭丸「明智が者と見え申し候」
信長「是非に及ばず」


<5月17日>(金)

○オーストラリアのエコノミストが意見交換に来社。いきなり、「いやはや最近の日本経済は・・・・」と来る。だいたい、エコノミストの口からNPLとかJGBという言葉が出てくるようだと碌なことはない。先日の米国務省氏も同様だったが、やけに不良債権問題に詳しい人が多い。そして「小泉改革は駄目だ」と続く。海外では日本の悪い話ばかりが流れているようだ。

○輸出が回復に転じていること、IT製品は今年はヒットが出そうなこと、などを説明し、ついでに今週号の中味を説明する。つまり、少子高齢化という現実の前に、日本のエンターテイメント産業は海外市場を目指している。「ポケモン、知ってるでしょ?」と聞いたら、「うん、あれはスゴイ。日本人はcreativityがない、などというのはとんでもない間違いだ」と来た。そこが分かっているのなら話は早い。

○そこでこう言ってみる。「過去10年、EUが生み出したものは何だ?新通貨ユーロとISOだ。どちらも政治の産物に過ぎない。経済界はな〜んにも新しいものを生み出していないでしょ」。それに比べれば、過去10年の日本経済はものすごい発明や新製品をたくさん世に送っている。世界初のハイブリットカー、コンテンツ付きの携帯電話、DVDが見られる高級ゲーム機、300ピクセルのデジタルカメラ、プラズマディスプレイと液晶画面、青色発光ダイオード、そしてピカチュウ。こんなに生産性の高い経済が、世界のどこにあるというのか。

○「う〜ん、やっぱり日本はすごいなあ」。それを言ってもらえれば、わざわざお台場まで立ち寄ってもらった甲斐がある。「ゆりかもめの料金は高すぎる」と怒っていたけどね。


<5月18日>(土)

○トルシエ・ジャパンの最終メンバーが発表されました。かんべえはそれほどサッカーに詳しいわけじゃありませんが、中山ゴンと秋田が入ったのはよかったな、と思っています。そもそもワールドカップというのはたいへんな修羅場である。3試合戦う間に、最低でも一度は「ああ、やっぱり駄目か!」と思う瞬間があるはずだ。そういうとき、秋田の顔を見れば落ち着くだろうし、ゴンが何か叫んでいるのを聞けば元気が出るだろう。とにかくベンチに置いておくだけでも価値がある2人だと思う。

○とくにゴンが入ったことで、番組を作る人たちは大いに助かると思う。だって絵になるし、ストーリーを作りやすくなるから。思えば1993年のドーハの悲劇から、早くも10年近くたっている。対イラク戦、ロスタイムで同点にされ、選手もファンも呆然としている中を、「さあ逆転だ」とただ一人めげなかったのは中山ゴンだった(と思う)。それから98年のフランス大会で、ゴンは「日本人で唯一、ワールドカップでゴールしたことのある男」になった。こんな選手が2002年になっても頑張っている。日本サッカーの歴史そのものですぞ。

○それから中村俊輔が落ちた。彼のセットプレーを活かせないのはたしかに惜しいが、こんな見方もできるのではないか。素人のかんべえが見ていても、トルシエさんは選手の交代がうまくない。激戦区のMFで中村をいれちゃうと、いつ彼を投入するかで悩まなければならない。だったら、最初からはずして置いた方が落ち着いて戦える。とにかく日本のスポーツ・ジャーナリズムというのは、無いものねだりをしてやまないから、外野から非難されそうなネタはなるべく残さない方が賢明である。(それにしても、この後に及んでトルシエを非難する人たちの神経が信じられない)。

○わが柏レイソルからは明神選手がメンバーに入った。1988年に小学校5年のときに、神戸から引っ越してきたらしい。関係ないですが、かんべえは1989年に荻窪から引っ越してきた。激戦区の守備的MFが役どころなので、出場機会はそう多くないかもしれないけど、わが街を代表して頑張ってほしいです。

○森内八段が4‐0で丸山名人を破り、新名人に就いた。しかし羽生善治がからまないときは、将棋の記事は本当に扱いが小さいなあ。


<5月19日>(日)

○瀋陽の総領事館事件、あんまり発言する気になれないんですが、黙っているのもなんなので、少しだけ。

(1)「難民は必死だった」という意見は多いけど、領事館を守っていた武装警察も必死だったでしょうね。だって責任問題になっちゃうもの。そりゃあ、ムチャクチャをやりますがな。

(2)副領事さんはあの警官と、毎朝あいさつをしてたんでしょうね。帽子くらい拾いますよ。ビデオで盗撮されていることが分かっていれば、少しは態度も違ったでしょうが。

(3)中国側は一枚岩、日本側はバラバラ。マスコミは外務省の失態を叩きたいし、野党はあわよくば政府攻撃の材料がほしい。これでは勝負になりません。

○要するに、文句言いたくなるのは分かるけど、この際、味方を信じてやれよ!と言いたい。トルシエ批判と同じ種類の苛立ちを感じているワタシ。


<5月20日>(月)

○『オーラル・ヒストリー』(御厨貴/中公新書)がとっても面白い。オーラル・ヒストリーとは、現代史を記録するために、政治家や官僚などに話してもらうこと。竹下登の『政治とは何か』、後藤田正晴の『情と理』などはその成果物である。昔の人の話を聞くというのは楽しいもので、この2作も非常に有益だった。しかしオーラル・ヒストリーの主眼はあくまで現代史研究のためにある。目指すところは、「公人の、専門家による、万人のための口述記録」だという。

○重要なことというのは、意外と記録には残っていないものである。たとえばこんな例がある。三井銀行の社長が語った第一次大戦の終わり頃のエピソード。「支店全体に来たボーナスの総額の半分は支店長が取ってしまう。それから4分の1は、2人の次長が取る。最後に残った4分の1を、20人なり30人なりの銀行員で分ける・・・・」というのが、その当時の当たり前だったという。つまり戦前の日本は、まるで今日の外資系企業のようにドラスチックな賃金体系だったわけ。でも、みんなが「当たり前」と思っているから、こういうことは文書記録には残らない。

○現代におけるいろんなことも、聞き書きを作っておかないと、後世に伝わらない恐れがある。そこで政治家や官僚に話をしてもらって記録を残す。その際のインタビュー手法は、けっして無理攻めをしないということに尽きる。国家機密に関することは話してもらえないのが当然だし、相手を怒らせては元も子もないので、批判がましいことを言ったり、前後の矛盾を追及したりはしない。辛抱強く長時間、何度も話を聞く。教えてもらえないことは、形を変えて何度も同じ質問をしたりする。それでも話してくれなかったらしょうがない。

○たとえば後藤田さんは、全体の4割くらいを語ってくれただろう、と言う。残りの6割は墓場に持っていくだろうけど、それはそれでいい。とにかく4割話してもらったことでよしとする。また、極端な話、嘘をつかれても構わない。長く話せば不自然なところは分かるし、ほかの人の話と付き合わせて嘘がばれることもある。迂遠に思えても、そういうやり方をする。ジャーナリズムの手法とは全然違う。

○このインタビュー手法、かんべえにとっては非常に馴染みがある。なにせ社内報と広報誌の編集を合計7年もやっていたから。20代の頃は、いろんな「エライ人」の話を聞く機会が多かった。それを記事にまとめるわけだけど、取材を受けた人が確実に満足するような形にしなければならない。下手に逆らったり、批評精神を発揮してはいけない。そこがジャーナリズムとの決定的な違い。社会の公器として真実を追究するのが目標ではなくて、会社の役に立ってナンボの媒体なんだから。

○そういう仕事をしていて気づいたことがある。「上手に話を聞こうと思ったら、相手をいい気分にさせること」。礼儀正しくして、頭を空にして話を聞き、素直に相槌を打つ。できるだけ的確な質問をする。相手が言おうとしていることを、上手なフレーズで表現してみる、などなど。ふだんは自分でも無遠慮な人間だと思うのだが、一対一で話を聞くときは、なるべくそういう努力をしてきたつもりである。

○考えてみれば、こんなのは社会人としての基本動作のはずなんだが、「上手なインタビューの仕方」というのは、世の中のどこでも教えてはくれない。「聞き上手」というのは得難い才能だと思うんですが。


<5月21日>(火)

○仕事の関係で経済産業省のHPで探し物をしていたら、こんなページを発見してしまった。ちょっと驚き。

http://www.meti.go.jp/policy/media_contents/index.html

○なんとメディア・コンテンツ産業を育てるべく、映画、音楽、出版、果てはゲーム、アニメまでも研究済みだったのだ。それぞれのジャンルの現状分析から政策の方向性まで、いちいちパワーポイントの資料にまとめてある。お見事。

○先週号でエンターテイメント産業を取り上げた。実はデータを集めるのが難しく、しょうがないから朝日年鑑の1996年から98年版をチェックして書き上げた。なーんだ、ここにちゃんとしたデータがあるじゃないか。たとえばアニメ産業は、「2000年の市場規模は1519億円。でもキャラクターのライセンスを加えると約2兆円」などとある。でも「96〜97年にピークがあった」という全体の趨勢は確かめられた。

●映画産業:99年以降の劇場入場者数、興業収入は2年連続大幅下落。
●音楽産業:CD生産額は1999年以降2年連続減少。
●ゲーム産業:市場規模は98年以来3年連続減少傾向。
●出版産業:市場規模は97年以来4年連続減少傾向。

○しかし経済産業省、「第2次ベビーブーマーが高齢化したから」という点は押さえていないようだ。溜池通信読んで勉強してね。

○先週号を書くきっかけになったのは、この人が企画してくれた5月10日夜の会合だった。そこでさっそくこのHPを教えてあげたら、「役所って暇ですね」という返事が速攻で帰ってきた。7分で返って来るんだから、あんたの方がよっぽど暇だと思うぞ。岡本呻也サン。


<5月22日>(水)

アメリカ国務省のサイトを開けて、昨日発表された「Patterns of Global Terrorism」2001年版にチェックを入れる。毎年春に出される国際テロに関する白書である。昨年の「9・11」の直後、かんべえが真っ先に探したのがこれだった。そのときに見た2000年版と比べると、今年は写真入りになっている点が目立つ。もちろん表紙はワールドトレードセンタービル。ただし、特段に真新しいことが書いてあるわけではないようだ。

○確認したかったのは、Overview of State-Sponsored Terrorism(テロ支援国家の概況)である。米国はテロ支援国家として、キューバ、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、スーダン、シリアの7カ国を指定している。この扱いがどう変わったか。結論を言うと、7カ国中、どれひとつとして解除されなかった。事件直後の9月20日にブッシュ大統領は、全世界に対して「アメリカにつくか、テロリストにつくのか」と問いただした。しかし同報告書いわく、テロ支援国家は身の潔白を示すに必要な行動を取らなかった、と言う。(もっとも、スーダンとシリアは少しは改悛の情がある、みたいなことが書いてある)。

○なんでここが気になったかというと、てっきり悪の枢軸の大本命、イラクについて、長々と書いてあるのではないかと思ったのである。が、期待はずれ。むしろ去年より短くなっている。冒頭で「イラクは9・11攻撃を批判しなかった唯一のアラブ・イスラム国である」と書いてあるが、そんなもん、誰でも知っている。

○ひとつだけ「おや?」と思ったのが、北朝鮮のパートで、「ピョンヤンは、1970年の日航機ハイジャック事件(いわゆる「よど号事件」)の連合赤軍メンバー4人に対して隠れ家を提供していることが、テロリスト支援の問題となっている」と指摘してあることだ。が、よくよく見たら、これも昨年の報告書に同じ記述がある。肝心の日本人の間では、「よど号事件」なんて遠い昔の話で、犯人が帰ってきたら暖かく迎えてしまいかねない呑気さがある。でも、アメリカはそういうことをきっちり気にしている。北朝鮮であれば、拉致事件の方がよっぽど問題だと思いますけどね。

○むしろ今年の報告書で、興味深いのは「中東概況」の中のIsrael, the West Bank, and Gaza Stripの部分である。パレスチナで発生したテロ事件をひとつひとつ挙げながら、歯切れの悪い物言いとなっている。つまり、冒頭は「伝統的にイスラエルは、米国のテロとの戦争におけるもっとも強固な(staunchest)支持者である」と持ち上げておきながら、最後の方では「イスラエルが自治政府のインフラを破壊したために、パレスチナ側の行動は非効率なものになった」てなことを指摘している。おそらくこの部分は、何度も書き直しさせられたんでしょうね。

○結論として、国務省の文書から、ブッシュ政権の「次の一手」を読み取ろうと思ったのは、どうやら当てが外れたようだ。対テロ戦争の司令塔はホワイトハウスの中にあるのでしょう。


<5月23日>(木)

○久々に英語でプレゼンの機会あり。本誌の4月26日号にある、「日本経済は思ったほど悪くはないですよ」という話と、5月10日号にある「アメリカ経済にはこんな死角がありますよ」という話をつないで1時間と少々。どちらも多少の意外性があるらしく、そこそこ関心は持ってもらえたと思う。でも、自分の英語の下手さが身に染みて、その後数時間は自己嫌悪に陥る。

○(予想外に)「日本はいいけど、アメリカは悪い」と考えると、最近の円高ドル安傾向は自然な動きに見えてくる。ちょうど1999年の上半期と同じようなパターンだ。99年の円ドルレートは、年初115円で始まって一端は120円まで下げ、それから105円を割り込むくらいまで上げた。この間、輸出と政府支出主導で景気は緩やかに上向いた。今年は年初130円で始まり、一時は135円まで下げて、そこから円高に向かっている。99年と同様に考えると、最安値から15円程度の上昇余地があるとして、120円にタッチする当たりまで上げても違和感はなさそうだ。

○というと、「円高で景気が腰折れするのではないか」という懸念がありそうだ。しかしそれで景気が悪化するくらいなら、そもそも円高に向かう理由もなくなるので、これは本末転倒である。99年も円高に向かいつつ、輸出は伸びたし、景気も回復したのだ。これは別段不思議な話ではない。99年も2002年も、輸出はまずアジア向けから上昇に転じている。そして日本とアジア間の貿易は、かなりの部分が企業間取引だし、そもそもアジア経済は緩やかな円高を歓迎するのである。

○「日本経済が上向いたのはアメリカの回復のお陰」という。それはその通りなのだが、日本からの対米輸出は今年3月時点でまだ前年同期比マイナスを続けている。アメリカの需要増はまずアジア経済(特に韓国や台湾)の輸出を刺激し、そこを経由して日本経済に波及する。これは1990年代にアジアがIT製品の世界的な生産基地になり、「日本の部品をアジアで組み立て、欧米に輸出する」という貿易パターンが完成されたからだと思う。

○本誌1月11日号では、「今年の為替は安値で145円、高値で125円」と書いた。どうやら高値は少しはみ出してしまったが、とにかく160円とか180円とかいうことはない、まして「1ドル200円で日本は救われる」なんてことは絶対にない、というのが筆者の持論なので、その点はちょっと安心している。


<5月24日>(金)

○株の世界の裏話、をテーマに勉強会。なんか思わずディープな世界にのめり込み、疲れたので今日は短めに。

○これがブッシュの真の姿だ!ものども、驚いたかあ。

http://www.randomdudes.com/bush/bush.html

○あ〜気色ワル。


<5月25日>(土)

○5月20日のこの欄で、「オーラル・ヒストリー」について書きました。昔の人が生きている間に、放っておくと埋もれてしまいそうな歴史上の事実を、聞き取りして記録にとどめておかなきゃいけない、という話である。それでふと思いだしたのが、昔、ご近所にあった「なみきストアー」のおばちゃんのことである。

○ときは1980年代後半。ちょうどアサヒがドライビールを出し始めた頃だったと思う。かんべえは当時、南荻窪に住んでいて、環状八号線から少し入ったところの「なみきストアー」で缶ビールを買い、その少し先にあった安アパートに帰る生活だった。「なみきストアー」は昔ながらの小さな食品スーパーで、おそらく売上の大部分は酒類とたばこが占めていたはずだ。かんべえも、ビール以外のものを買った記憶はほとんどない。だって食品などの日常品は、いつも荻窪駅の西友タウンセブンでまとめて買っていたから。

○この店のおばちゃんが、いろいろ昔話をするのである。店にはあんまり客はいないので、ただ一人の客を相手に、ついつい話は長くなる。話は終戦直後から始まる。おばちゃんは、その当時の平均的日本人と同じように、家を焼かれて食うや食わずの身の上だった。そこで環八の近くの空き地で商店を始めた。結婚したばかりのご主人が朝早くに八王子まで出かけ、卵を仕入れてきては荻窪で売った。おばちゃんは一人娘を背中に背負い、朝から晩まで働き続けてお金を貯めた。

○そのうち、近所の土地が空いているから、買わないかという話が持ちかけられた。これでちゃんと屋根のある店が持てる、と思い、お金を貸してくれるところを探して回った。ここでおばちゃんの話は、しばし銀行の悪口に脱線する。晴れた日には傘を貸してくれるが、雨が降ると取り上げるといった、よく聞く話である。ともあれ、努力の結果、お金は用意できて、土地は手に入った。しかし店を建てる金まではなく、ご主人がどこかから材木を拾ってきて、それを土地の四隅に立てた。それが「なみきストアー」の始まりである。

○日本は復興し、荻窪には住人が増えた。「なみきストアー」はちゃんとした店になり、せっせと借金を返す日々が続いた。

「それがね、あんた。ボーリングでいっぺんに返せちゃったんだよ」

○おばちゃんの一人娘はプロボウラーになったのである。かんべえと同年代以上の方であれば、1970年前後のボーリングブームと、並木恵美子という名のサウスポーの選手をご記憶であろう。おばちゃんの娘は中山律子などと並ぶスター選手となり、おばちゃんは借金ではなくて、税金の心配をする立場になったのである。

「税務署がね、年末に急いでXX万円持って来いというのよ。あわててお金掻き集めて届けたわよ」(1970年頃にしてはビックリするほどの金額だった。念のため数字は伏せておく)

○時は流れ、南荻窪は閑静な住宅街となり、ボーリングブームも去った。元プロボウラーは普通の家庭に入り、ときどきは店に帰ってくるらしい。「なみきストアー」は少しぼろっちい店になったけど、おそらく減価償却はとうに済んでおり、ご夫婦の老後の暮らしには問題がなさそうだった。とはいうものの、おばちゃんは間もなく導入される消費税に腹を立てていた。3%の計算が面倒だというのである。

「あたしはね、こういうのは全部、アメリカが悪いと思うんだよ」

○おばちゃんは元気にしているだろうか。「なみきストアー」も、今頃はコンビニになっているのかもしれない。かんべえは思うのだ。こういう話は、ちゃんと記録をとっておくべきじゃないかと。「プロジェクトX」のような話ではないけど、戦後復興期の日本人がどんなに健気な人たちだったか、忘れてしまってはいけないと思うのだ。


<5月26日>(日)

○今日は町内会の清掃の日。町内総出で防犯灯の整備と草むしりなどに1時間半程度。防犯灯の切れている分は取替えを注文しなければならず、それは防犯部長の仕事だという。おいおい、聞いてないよ〜。恒例のドブさらいがないので、終りが早い。「今年は市の方でやってくれますから」という説明を聞いて、不満そうな声が出てしまうところが我が町内の恐ろしいところである。11時から集会所で打ち上げが始まる。昼から飲むとまた一日使い物にならなくなるのでパスするが、なんと午後2時になっても宴会は続いていた。ますます恐ろしい。

○今日は三歳馬の頂点、東京優駿こと日本ダービー。2週前の京王杯SCで万馬券を取り、先週のオークスは家でじっとガマンしたかんべえ、今週はほとんど欲ボケ状態となっている。今年のクラシックレースは荒れ模様ゆえ、今日も有力馬を押しのけて、意外なのが来るだろうと勝手なストーリーを描く。ここへ来て急に伸びてきた馬で、2000メートル以上で勝利がある馬、という条件で探すと、無印のHファストタテヤマが該当する。こんなのが連に絡めば確実に万馬券である。

○が、さすがに欲張り過ぎか。Hファストタテヤマは後方を凡走。終ってみれば、来たのは一番人気のBタニノギムレット。皐月賞とNHKマイルカップで連続3位だったので、勝負運はすでに逃げ去ったと思っていたが、さすがは武豊である。3歳馬の頂点に立つのは、やっぱりこういう馬の方でなければならぬ。2位のJシンボリクリスエスもこの先が楽しみな馬と見た。来月の宝塚記念(6/23)で古馬と激突するでしょうが、そのときが楽しみですな。

○とはいうものの、ワールドカップが開幕間近。昨晩の対スウェーデン戦もいい試合でした。プロ野球やJRAにとっては、この先はきびしい1ヶ月となるでしょう。それから政治への関心も確実に低下する。週刊誌が「ムネオにヤマタクに真紀子」の悪口で売れるというのもそろそろ限界だろう。今日は東京競馬場に小泉首相が来ていた。その小泉さん、今日は26日だということで、枠連A―Eをしっかり取ったという。恐れ入りました。

○PS:昨日の記載分、「並木美恵子はサウスポーではなかった」とのご指摘あり。たぶん読者の記憶の方が正確だと思います。あらためて訂正まで。


<5月27日>(月)

○というわけで、今夜はJ−WAVEでワールドカップの話をしてきたんですが、ドロナワ勉強で読んだのが『サッカーを知的に愉しむ』(林信吾&葛岡智恭/光文社新書)。これはいい本でした。サッカーを愛する気持ちがあふれています。

○サッカーは文化なり、ということで、それぞれの国の風土を反映したものになる。イングランドは肉弾戦を好み、ドイツは組織戦を求め、イタリアは守備に辛く、フランスは華麗なパス回しをよしとする。他方、アメリカ人はサッカーのルールをアンフェアだと感じる。中南米はサッカーが社会に深く根ざしているだけに、政治的な思惑がからんだりもする。この辺の比較文化論が面白い。

○そんな中で日本が求めるサッカーとは何か。日本サッカーはまだ幼年期だけに、民族としての独自色を持つには至っていない。最初に「ドーハの悲劇」というトラウマがあり、「ジョホールバルの勝利」があり、フランス大会では0勝3敗だった。その後の成長は著しい。今度のワールドカップも、成長の糧となるだろう。著者はマナーを重視し、攻撃の手を抜かない「サムライ・サッカー」を提唱する。日本サッカーはいかにあるべきか、というのは、大会終了後に大いに議論したらいいと思う。

○本書で知ったのだが、今回、84もの自治体がキャンプ地誘致に名乗りをあげたという。ピッチの整備など、そのためのハードルはかなり高く、しかも選ばれたのは22のみだった。正直なところ、いい加減な目的の自治体もあったかもしれない。が、大分県中津江村のケースを見る限り、村人たちのホスピタリティは本物だったといえる。遅れてきたカメルーンの選手たちにも、その心はきっと通じていると思う。かんべえはあの中津江村の人たちを、なんとなく誇らしく感じている。

○本書はまた、日本サッカー協会の幹部や、某社の「社長兼主筆」のような人が、いかにサッカー育成の障害になってきたかを事細かに紹介している。それに加えて、「野球しか知らないスポーツ・ジャーナリストが、野球報道の方法論をサッカーに持ち込む」弊害もあるという。すごくよく分かる気がする。だいたい野球報道だってかなり歪んでいるわけだから、サッカー報道がまともになるわけがない。ジャーナリズムの未熟という現象は、政治や経済でも問題になっているのだから、スポーツだけは例外、ということは絶対にないでしょうな。

○トルシエ監督が果たしてきた役割についても、本書は高い評価を与えています。この後に及んでまだ悪口を言ってる人たちに、ぜひ読んでもらいたいと思います。


<5月28日>(火)

○昨日、日銀のHP上で「中国の為替制度について」という論文が発表されました。これがいかにも日銀らしく、タテ、横、斜め、どこから叩いてもびくともしないような、中味の詰まった仕事になっています。

http://www.boj.or.jp/ronbun/ron0205a_f.htm

○先日、かんべえが「フォーサイト」で寄稿した「中国の国際収支の謎」について、この論文がコラムを作って説明してくれています。かんべえの疑問は以下の通り。

@貿易黒字と直接投資が数百億ドル単位で安定的に流入しているのに、1998年から2000年にかけて、外貨準備の伸びが鈍化している。
Aこの間、資本収支の中の項目で、急に赤字が増えたことになっているが、いかにも不自然。統計にゴマカシがあるのではないか。
Bまた、誤差脱漏が毎年きまって150億ドル前後あるのも、何を意味するのか。

○この問題に対し、上記論文は以下のように説明しています。

「資本収支」は、1997 年まで大幅な黒字を計上していたが、アジア通貨危機後の1998 年に赤字に転じた後、1999 年及び2000 年は小幅の黒字に止まったため、外貨準備の増勢も急激に鈍化した。このように、資本収支の黒字が大幅に縮小した背景としては、

@前述のとおり、居住者による外貨預金の増加を背景に、国有商業銀行の対外投資が増えたこと、
A国際信託投資公司の破綻に伴い、海外銀行による対中与信の引き揚げや外債発行の困難化が生じたこと、
B通貨危機に伴うアジア諸国の輸入代金の支払い困難化から、貿易信用の期間が長期化したこと、
C人民元レートの切り下げ観測を背景に違法な外貨取得(虚偽の通関証明書等を用いて外貨を購入する等)がみられたこと
などが挙げられる。

○AやBはいかにもありそうな話で、なるほどという感じです。ただし、「貿易黒字と直接投資が、本当はもっと少なかったんじゃないの?」という最初の疑念が、これで氷解したというわけでもありません。だって聞けば聞くほど、いい加減な話が多いんだもん。

○たとえば、中国では外資系企業に特典が多いので、中国企業がいったん資本を香港などに持ち出し、外資系企業のふりをして中国に投資する、というケースが少なくないそうです。この場合、資本を外へ持ち出す分は捕捉されないので誤差脱漏となり、国内に戻すときは直接投資にカウントされる。ゆえに「直接投資は多いけど、誤差脱漏も多い」という統計のクセができるらしい。そういうトリックは理解できるけど、だったら中国の統計が信じられるようになるか、といえば、それは別問題でしょう。

○また、フォーサイトの最後に書いたように、「これだけ資本流出がおきやすい経済体質では、人民元のフロート化はとても不可能」という結論部分は、かえって裏付けられたような気がします。

○さて、本日は中央大学の中国研究会へ。テーマは国有企業改革。中国の国有企業改革とは、イコール民営化の問題である由。となれば、その先に待っているのはコーポレートガバナンスの問題だ。ここ数年、国有企業の民営化はビックリするほど進んでいる。その成果として経営の効率化も進み、プロの経営者も育ってきているという。2001年時点で中国の上場企業数は1160社、時価総額は4兆3522億元(約50兆円)にも達する。

○ところが実は国有企業の株は、まだ全体の3分の2までは国家が保有している。国中の会社がみ〜んな、NTTみたいな状態なのである。財政赤字に悩む中国政府としては、これをもっと手放したい。でも、そうすると株価が下がってしまう。そりゃそうだ。今の時価総額の倍の金額を外から持ってこないと、完全民営化はできない計算になる。ゆえに当分の間は、国有企業は「半官半民」もしくは「第三セクター」的な状態が続くであろう。

○というと、これらの企業がちっとも改善しないように思えるかもしれない。だが、家電のハイアール(意外なことに、これも国有企業)に代表されるように、うまく行っている企業が多いのだという。中国政府&共産党が、「啓蒙君主」として市場経済化の尻を叩きつつ、しっかり経営を監視しているからではないかとのこと。

○しかし、「上からの改革」が成功しつづけると、企業の力はますます強くなり、結果として中国政府&共産党の存在意義は薄れていかざるを得ない。この矛盾は、やっぱりどこかの時点で現体制がひっくり返ることで解消されるのだと思う。げに悩ましきは中国経済。


<5月29日>(水)

林芳正参議院議員のパーティーへ。前半はセミナーで、テーマは「コンテンツ産業を考える」。音楽とゲーム産業は丸山茂雄SCE会長、アニメとキャラクターは久保雅一小学館キャラクターセンター長、そして三木谷浩史楽天社長、というメンバー。コンテンツ産業は市場規模10兆円、溜池通信でも最近取り上げたばかりなので、当方は興味津々。

○面白かった発言を書きとめておく。
「アニメはゲームにかなわない。ゲーム業界の人はフェラーリに乗るが、宮崎駿さんはアウディに乗っている」
「任天堂の宮本氏(スーパーマリオやゼルダの生みの親)が、日本ではまるで知られていない不思議」
「『千と千尋の神隠し』は評価が高いが、『ミュウツーの逆襲』の全世界興業収入308億円には遠く及ばない」
「プロダクションが評価されるアメリカ、テレビ局が儲かる日本。川上と川下の関係が逆転していないか」
「ADSLで8Mというけど、本当は2M。2Mだとスポーツやドラマを見るのはツライ。でもアニメなら大丈夫」
「ブロードバンドとオンデマンドでコンテンツは売れる、というが、その場合、どうやって新人を発掘するのか」

○それから懇親会へ。司会役の小林ゆたか参議院議員をはじめ、いろんな人と会う。ご祝辞は宮沢喜一元首相、塩爺財務大臣、石原行革大臣などなど。乾杯のご発声は青木幹雄参院幹事長。ヤマタク幹事長はちょっと元気がない。ま、当然か。

○『ワールドカップの話をしよう』(大住良之/NECメディアプロダクツ)を読み始める。これも面白い。「サッカー・ピープルは4年ごとに歳をとる」という帯の文句が気に入った。ワールドカップ開幕まであと2日。


<5月30日>(木)

○いよいよワールドカップが明日開幕。以下はありがちなクイズですが、今回の参加国の名前です。いくつ分かりますか?

白耳義
瑞典
波蘭
土耳古
亜爾然丁
宇柳具

○別に辞書などを引いたわけではなく、単にWORDでワールドカップ参加チームの国名を入力し、変換してみただけです。その結果、分かったことは、

(1)日本、韓国、中国、サウジアラビアのアジア枠4カ国は、こういう当て字が存在しない。
(2)アフリカ代表のナイジェリア、チュニジア、カメルーン、セネガルも同様。要するに、明治時代に存在しなかった国は駄目。
(3)欧州はほとんどの国にこうした表記が存在するが、それでもスロベニアとクロアチアは駄目。

○では、ヒントを出しておきましょう。あとは考えてください。

白耳義:日本の緒戦の相手です。
瑞典:親善試合は1対1で引き分けました。
波蘭:アウェーで2対0で勝ったときはうれしかったなあ。
土耳古:アジアかと思ったら、欧州の枠なんですね。
亜爾然丁:国は経済危機の最中ですが、優勝候補の一角。
宇柳具:最初のワールドカップはこの国で行われました。

○では、頑張れニッポン!


<5月31日>(金)

○これはまあ、かんべえの癖みたいなもんですね。ご利用いただければ幸いです。

●2002年FIFAワールドカップ公式サイト http://fifaworldcup.yahoo.com/jp/

●ヤフー・スポーツトピックス http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/sports/fifa_world_cup_2002

●日経ネット・サッカー http://sports.nikkei.co.jp/soccer/wc/biz/

●イサイズ・スポーツ Total Football http://www.isize.com/sports/football/wc/index.html

○ヤフーがオフィシャル・パートナーになった、というのが今大会の面白いところ。米国大統領選挙のときもそうでしたが、イベントにはヤフーがとってもお役立ちなんです。







編集者敬白



不規則発言のバックナンバー

***2002年6月へ進む

***2002年4月へ戻る

***最新日記へ


溜池通信トップページへ


by Tatsuhiko Yoshizaki