<11月1日>(月)
○「退職のち放浪」を送ってくれているH氏は、つい先日まで中東にいただけあって、例の事件は他人事ではなかった様子。こんな感想を寄せてくれました。
イラクでバックパッカーが誘拐・殺害されたというニュースを聞きました。NHKの海外放送でもやっていたらしく、アンマンのホテルが出ていたそうです。以前、ヨルダン死海編で書いた、パレスチナで最も親日家であるサーメルが働いているところです。私も数日世話になりました。
このホテルは日本人の旅行者が多く、情報ノートも充実しています。昔のノートを見ると、『私はこうやってイラクを旅してきました』という書き込みも多かったです。ただそれは、最初の誘拐が起きる前の話でした。
何でも日本大使館の人がわざわざこの宿に来て、“旅行者をイラクに行かせない様に協力してくださいね”と言っていったらしい。確かに宿の壁には、大使館職員が置いていったと思われる『米軍攻撃直後とは違って、今の状況は半端じゃないので行っちゃ駄目』といった内容の紙が張られていました。
旅は麻薬のようなもの、と言う人がいます。放浪していると、実によく理解できます。できますが、命を掛けるほどではないというのが私の実感です。
○何気ない描写のなかに、バックパッカーたちの世界が急に等身大に見えたような気がしたので、ついご紹介まで。
○正直なところ、イラクを目指した香田さんの心境は私には理解できませんし、H氏も「なぜそこまで・・・」と思っているようです。これは私やH氏(30代)が、社会人として一通りの経験を済ませていて、ぶっちゃけた話、あんまり若くはないからでしょう。とくに私などは、H氏の放浪記を読むだけでも、アイツよくやるよなあ、といつも感心しているくらいですから。
○旅の魅力も、とにかく本人が無事であってこそ。H氏を含め、世界を放浪中の皆さんは、どうかご自愛を。
<11月2日>(火)
○いよいよ米国では投票が始まりました。東海岸時間の午後8時には開票が始まります。日本時間では、11月3日一杯で結果判明といったところでしょうか。
○ということで、選挙結果待ち。ここだけの話、今日の午後、某局のワイドショーから「明日の午前は空いてますか?」という打診が来た。大統領選の特集をするかもしれないから、ということで。そして夕方になって「新プロ野球球団は楽天に」の報が入ると、「やっぱりあの話はなかったことに」ということになった。賢明な判断だと思います。ニュースとしての価値はそっちの方が上だし、選挙の話はその前に何を言っても無駄ですから。
○さて、迫真の現場の様子を、「在米保守主義日本人」がお伝えします。
> 吉崎さん
>
> いよいよ明日が投票日。
>
ある在米保守主義日本人からの最後のお便りです。
>
>
残念ながら、ケリーに勢いがついてしまいました。
>
民主党は全く革命的な戦法に出て、どうやら成功しそうです。
>
> それは学生を投票所へ行かせること。
> 投票率を上げること。
>
この両方は、同じことを逆から説明しているにすぎません。
>
> 投票率の年齢別カーブは、18歳〜25歳が極めて低い。
>
投票率を上げればこの層が自ずと上がるし、この層を上げると投票率が上がる。
> そういう関係になっています。
>
>
ですからもしケリーが勝てば、最大の功労者はブルース・スプリングスティーンと
> いうことになる。
>
さてここで、開いた口のふさがらないのは、洗脳集会がまかり通ったことです。
>
>
ブルース・スプリングスティーンで何千という聴衆を煽ります。
>
湯気が出るようなロックコンサートの環境をつくります。
>
それでケリーの演説ならびに集会が終わると、さあさあみんな、行こかーっって、
> 連れて行く。
>
> その隣に、投票所があるのです。
>
不在者投票か、暫定投票か、いやそれとも正式の事前投票か。
>
ともかく何日も前から、投票ができるようになっている。
>
>
そこへ連れて行くんですよ。これが洗脳でなくてなんでしょう。
>
慌てた共和党は、投票所のボランティア(全国平均年齢72歳)の監視だけではいかん。
>
そう思って、ロイヤーたちを派遣しました。そしたらこれが、脅迫だの威嚇だのと
> また非難され。
>
> 暫定投票、provisionally ballotというのは、有権者かどうか曖昧なまま、投票させる制度。
> 3日目に、有資格保持者だったかつきあわせつつ、票を数えるんでしょ。
>
だから僕だって早い話、票だけ入れられるんですよ。運転免許証かなんかを見せて。
>
>
この運転免許証というのでは、面白い経験しました。
>
こないだ、中国人や韓国人に混じって、国務省へ行きました。
> 写真IDとして免許証を持っていたのは僕だけです。だから僕はそれを見せた。
> ほかの人は、パスポートを見せた。
>
>
すると、国務省職員は、パスポートを見せた人を別の列へ連れて行き、僕をその他
> 米国人の列に置いた。
>
つまり免許証持っている人はアメリカ人、っていう思い込みが、国務省にすらある
> んですね。
> だから72歳のボランティアがやってる投票所で、堂々と僕なんかが投票できても不
> 思議とは思えない。
>
>
集中による混乱を避けるためと称してだいぶ前から投票所を開いてる。
> そんな州がいっぱいあるでしょ。
>
だから、ロックで熱くしといて、それいけーって投票させられる。
>
>
こういう手法は、共和党には思いつけなかった。
>
>
先週土曜日は、クリントンがニューメキシコのアルバカーキーに行ってた。
>
政策的争点のつぼはしっかり押さえつつ、高校中退の兄ちゃんにも親しみを感じさせられる。
>
あれはやっぱり得がたい政治家だったんですね。
>
>
聴衆はみんなうっとりですよ。マジックにかかったみたい。
> ああ、この人、いいわあーってな。
>
そうやって盛り上げておいたところで、クリントンはやおら
>
>
「ほら、投票所、そこだから。これ、終わったら行くよね。行くでしょ」
> ですから。
>
>
前代未聞の有権者登録数ですし、事前投票数ですし。
> これは民主党に有利に響きそうです。
>
>
しかしせめて一晩、冷却期間を置いて、投票所に向かわせるというのが常識じゃないんですか。
>
いくら連邦制で州の権限を認めているったって、こんなむちゃくちゃな。
>
しかもオハイオとフロリダの両方に有権者登録して、片方で当日、他方で事前投票
>
するということもまかり通っているんですからね。
>
民主党はここにも目をつけた。彼らの選挙戦術は今回すごかったんでは。
>
>
もう僕のヤマカンではブッシュ敗北です。それもかなりのランドスライド。
> だから惜しみつつ、いくつかご紹介。
>
>
ブッシュパパの演説、土曜日に聞きました。テレビでね。
>
するとマイケル・ムーアと全面対決の勢いですし、珍しくとても面白かった。
> 「I am George Bush and I approve this message」って、テレビの広告で息子が
> やってるのを真似して見せたり。
>
>
終盤、こんな国難を迎えたことは戦後はなかった。戦前だってあったかどうか。
>
そう言いましてね、「そんな大変な、国難のとき、George
W. Bushは両手を祖国へ
>
回して」とここまで言って「うっ」です。あとが言葉にならない。
>
>
「おとーちゃーん」「おじーちゃーん」と声を掛けたくなりました。
>
>
> 別のところでは、チェイニーがやってた。
>
チェイニー単体で見ると怖いけど、リンっていう奥さんと一緒だとなごみますね。
> なんでもディックが15歳のとき以来の付き合いだってんでしょ。
> 結婚40周年迎えたとこだって。
>
>
これだけで、にせものじゃないなって思いますよ。
> えらいもんだ、りっぱなもんだ。
>
> そのリンが言ってました。
>
テロリストがあなたのおうちに来たと思って御覧なさいな。
>
そのときドライブウエーに出て立ち向かってほしいのは、ブッシュ・チェイニー、
> それともケリー・エドワーズ? って。これは説得力あったんだけどなあ。
>
>
で、チェイニーのジョークというのは独特の味があっていい。
>
>
「ワイオミングじゃ言うんだけどね、豚にどんなに口紅塗ったって、豚は豚だわさな」
>
>
これを低い、くそ面白くないような調子で言って、一拍間合い。
>
で会場、どっと沸きます。ケリーのこと指してるわけですし。もとはブスな女性の
>
ことを言ったカウボーイ風の表現なんでしょうけどね。
>
>
そしたら「これ、気に入ってるんだ。もっぺん言わせたいか」と言っといて、
>
>
「ワイオミングじゃ言うんだけどね、豚にどんなに口紅塗ったって、豚は豚だわさな」
> ってまた。
>
>
ビンラディンのテープについて、共和党はうまく使い損ねましたね。
>
オレを狙っているのか、そうかいつでも来い、いつでも相手になってやるって。
>
なんで真昼の決闘のグレゴリー・ペックを思い出させるやり方しなかったんだろう。
>
> それやってたら勝てたと思うのに。
>
あの映画、大概の大統領は何度も見るんですってね。
>
>
まあ、まだ負けたと決まったわけではありませんが。
○長文ですが、面白すぎ。これはもう、「上海馬券王」と「元商社マンH氏」とは別枠のコラムを設けなきゃいけないんじゃないかと。「在米保守主義日本人」さま、どうぞ、投票日後のリポートもお願いいたしまする。
○まあ、それはさておいて、民主党の「若者を洗脳する」作戦は非常に有力なようですね。ただし二重投票はいけません。これは投票後にもめるでしょう。
○ブルッキングス研究所の研究に、「有権者登録は全米至る所で増えているのか?」というペーパーがあります。これによれば、2004年の有権者登録は、巷間言われているほどには増えていない。2000年が82.7%、2002年が82.2%なのに、今年は10月時点で80.9%に過ぎない(10月5日時点の最新データ)。考えてみたら当たり前のことで、激戦州では投票登録をやりましょう運動をやっているけれども、カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州をはじめとする「旗幟鮮明州」(そっちの方がはるかに多い)では、「どーせ結果は見えているんだから、投票なんてあほらしい」ということになってしまうのだ。
○でもって、2002年の登録率を年代別に分けると、こんな風になるらしい。なんか日本の数字と似ているような。たしかに若者の数字は低い。
18歳から24歳:43.0%
25歳から44歳:63.2%
45歳から64歳:73.4%
65歳から74歳:78.6%
75歳以上:77.3%
○ところで上記の数字は「登録率」の話であって、「投票率」ではないことにご注意ください。アメリカの投票率は50%程度であって、今年はそれが55%程度に上がると言われている。だが、上記のように有権者登録率はザックリ8割程度なので、アメリカにおける投票率5割とは、8割X5割=有権者の4割になってしまうのです。お役所に住民票というものがあって、黙っていても家に投票用紙が送り届けられる日本のような国とは違うのです。
○日本だって、投票用紙が自宅に届くのじゃなかったら、わざわざ自分で登録手続きまでして投票なんてしないよ、という人が多いだろう。特に若者は。民主党の作戦が鋭いのは、そういう若者たちを集めて、面倒な登録手続きを手伝ってあげて、そのまま不在者投票をさせてしまうという点にある。至れり尽せり。
○共和党側もいろんな対策を用意しているでしょう。なにしろアメリカは選挙当日の選挙運動がありですから。さて、明日を待ちましょう。
<11月3日>(水)
○長い1日です。今日が祝日であったお陰で、選挙速報に見入ってしまいました。2000年選挙の後遺症か、マスコミは当確を打つのが憚られて、まだ、勝利宣言も敗北宣言もありません。それでもオハイオ州の暫定投票を含めても、ブッシュの勝ちは動かない。フライング気味ですが、ここまでの感想を書いておきたいと思います。
1.選挙戦について
即日決定とならなかったのは残念でしたが、ともあれ「どっちが勝ったか分からない」事態は避けられました。2000年のような法廷闘争の再現は、できればご遠慮したいものです。「四十日戦争」だけはご免こうむりたい、というのはコンセンサスでしょう。
フロリダ州の選挙風景を見ていて、「4年前の恥辱を繰り返さない」という気概が浸透しているように感じました。「2つに割れた米国」「党派色を強める社会」といわれる中で、秩序だった投票が行われたことはとにかく良かった。また、前回の約1億人を大きく上回り、1億2000万人ほどの有権者が選挙に参加したことは、選挙の正当性を高める上で意義のあることだったと思います。
特に選挙人投票と一般投票が一致したことは大きい。この点は米国の選挙制度の「盲点」というべきもので、両者が一致しない場合、選ばれた大統領の正当性に傷がつく。1期目のブッシュ政権は、「自分は正当に選ばれた大統領」として振る舞ってきましたが、そのことをずっと引きずっていた4年間だした。それどころか、2004年選挙において、ブッシュ大統領は一般投票で5割を超えた見込み。これは1992年、1996年のクリントンもなし得なかった快挙であり、ブッシュは「自分はフルに国民の負託を得た」と言い得る立場です。
とはいうものの、2期目を迎えるブッシュ政権は、引き続き5割近い「怒れる民主党支持者」を相手にすることを余儀なくされる。2期目のブッシュ政権の支持率が、5割を大きく上回ることはないでしょう。「2つに割れた米国」という問題は、今後も続く。せめてこの選挙の「戦後処理」が、なるべく遺恨のないような形で集結することを望みたいと思います。
2.共和党の勝因
大統領選挙だけでなく、議会選挙、知事選挙でも共和党が勢力を伸ばしたことは注目に値する。ダッシュル上院議員の敗北を含め、民主党の退潮は著しい。米国の草の根は保守化している。今回は特に社会問題が果たした役割が大きかったようだ。
今回の投票では、憲法で「同姓婚の禁止」を定める州民投票がアーカンソー州、ジョージア州、ケンタッキー州、ミシガン州、ミシシッピ州、モンタナ州、ノースダコダ州、オハイオ州、オクラホマ州、オレゴン州、ユタ州の11州で行われ、全部大差で成立している。この問題の影響の大きさと、米国社会の保守化をあらためて示されたような気がする。
若者の投票が増えたことも、かならずしもケリーの有利につながらなかったようだし、ヒスパニック有権者のブッシュ支持が増えたという報道を見ても、有権者が本当に気にしていたのは、「イラク」や「経済」よりも「社会問題」だったのかもしれない。
3.民主党の敗因
以前から何度も書いてきたことですが、ケリー上院議員の敗因は、「反ブッシュ感情」だけでは勝てなかった、ということに尽きるでしょう。例の「憤兵は敗る」という言葉通りの展開です。民主党は2004年選挙戦において、「党の結束」「共和党に遜色のない資金量」「投票日直前の盛り上がり」「若い有権者への浸透」など、予想以上の成功を収めてきました。しかし、「候補者本人の魅力」と「明快な対立軸」を持てなかった点で、現職に一歩及ばなかった。
民主党としては、これだけの追い風がありながら、ホワイトハウスを逃し、上下両院および知事の数で勢力を減じることになった。「リベラル」という言葉が否定的な意味となり、党勢も長期低落傾向が続いて久しい。クリントンは、大胆に中道に寄ることで2期8年の政権を維持したが、それがイコール民主党の復活ではなかった。本当はこの辺で、復活に向けての方策を練るべきときだった。
ところが民主党は、「ブッシュ憎し」という情念だけで目の前の2004年選挙を戦ってしまった。中西部の労組票を念頭に置いて戦ったケリー戦略は、2010年や2020年のことを考えていたとはとても思えない。民主党にとっては、共和党が1964年の大敗後、基本にたち返って出直したときと同様な試みが必要なのではないだろうか。「ヒラリーならば、2008年は勝てるかもしれない」と考えるようでは甘い。民主党が代表する価値とは何なのか、どんな有権者の声を代表すべきなのか、そういう基本戦略を立て直すべきだと思う。
○とりあえず現時点ではここまで。(19:30)
○今ごろになって気づいたんだけど、この選挙結果は先週号で書いた筆者の予想がかなり当たっている。
●ブッシュ:291
――2000年の勝利州に加えてウィスコンシン州(10)とアイオワ州(7)をゲット。激戦州では、
フロリダ(27)を意外な差で確保。台風後の被災地を何度も回ったことが勝因か。今回はPopular
Vote(一般投票)でも相手候補を上回る。
●ケリー:247
――メジャーリーグにおけるレッドソックスの優勝も追い風に、2000年の勝利州に加えてニュー
ハンプシャー州(4)をゲット。激戦州では苦戦の末、ペンシルバニア州(21)を押さえるが、
最後の激戦地オハイオ(20)が僅差であと一歩届かず。
○ブッシュが勝つ「ウィスコンシン州(10)」を、「ニューメキシコ州(5)」に置き換えるとドンぴしゃり、でした。偉い。(19:40)
○ケリーが敗北宣言をしたようです。
AP:
Kerry Calls Bush to Concede Election
Nov 3, 11:14 AM (ET)
By CALVIN WOODWARD and RON FOURNIER
(AP) President Bush smiles as he watches early poll results with
members of his family in the residence...
Full Image
WASHINGTON (AP) - President Bush won a second term from a divided
and anxious nation, his promise of steady, strong wartime
leadership trumping John Kerry's fresh-start approach to Iraq and
joblessness. After a long, tense night of vote counting, the
Democrat called Bush Wednesday to concede Ohio and the
presidency, The Associated Press learned.
Kerry ended his quest, concluding one of the most expensive and
bitterly contested races on record, with a call to the president
shortly after 11 a.m. EST, according to two officials familiar
with the conversation.
The victory gave Bush four more years to pursue the war on
terror, a conservative domestic agenda and probably the
opportunity to name one or more justices to an aging Supreme
Court.
He also will preside over expanded Republican majorities in
Congress.
"Congratulations, Mr. President," Kerry said in the
conversation described by sources as lasting less than five
minutes. One of the sources was Republican, the other a Democrat.
The Democratic source said Bush called Kerry a worthy, tough and
honorable opponent. Kerry told Bush the country was too divided,
the source said, and Bush agreed. "We really have to do
something about it," Kerry said according to the Democratic
official.
○やれやれ、これでやっと寝られる。(1:32)
<11月4日>(木)
ケリー上院議員の敗北宣言を受けて、小泉首相は盟友、ブッシュ大統領の再選を心から喜んだ。でも、徹夜で疲れているだろうからと、アメリカ時間の朝になるのを待ってから、祝福することにした。電話がつながり、小泉首相は言った。
「大統領閣下。オハイオございます」
○・・・・・上記のネタは、お馴染みT編集委員から頂戴いたしました。んもー、オヤジギャグの極致なんだから。
○閑話休題。以下は11月4日付け産経新聞朝刊の取材に答えたものです。
□日米は現路線継続
双日総合研究所副所長・吉崎達彦氏 選挙人獲得では大接戦だったものの、ブッシュ大統領は前回選挙で敗れた一般投票でも勝利し、政権の正当性は高まった。しかも51%以上の得票率だ。クリントン前大統領も50%を超えたことはなく、上下両院でも共和党が圧勝したことも考え合わせると、政治基盤は強くなった。
いずれの選挙でも共和党の勝利に終わったということは、米国社会の保守化が進んでいるということだろう。裏返せば、民主党が世の中の価値観の変化に対応できなかったということだ。反ブッシュ感情に訴えるだけでは勝てず、明確な対立軸を作るのに失敗した。
日米関係でいえば、現在の路線を継続することになるだろう。当面の焦点はトランスフォーメーション(在外米軍の変革・再編)だ。日本側にはアジアから中東にかけての「不安定の弧」といわれても心の準備ができておらず、在日米軍基地の心配ばかりして米側をがっかりさせた。シーレーンを守るのは日本の国益でもあり、真剣に検討すべきではないだろうか。(談)
○仮にケリー政権誕生になっていたら、来年1月の大統領就任式までの3ヶ月間は「相手の出方待ち」となり、日本側は何もすることがなかっただろう。が、ブッシュ再選が決まったからには、この3ヶ月間を有効に使うことができる。トランスフォーメーションという問題に対し、「日本はどこまでやるべきか」、しっかり議論して、答えを出すべきではないだろうか。
○その一方で、「21世紀の日米同盟の理念はいかにあるべきか」てな概念的な問いかけをすることは、日本人はあんまり得意ではない。ついつい「横田基地はどうなる、普天間はどうなる」という、身近な話に落とし込んでチマチマした話に終始してしまう。その一方で、「アーミテージさんが日本の対応に失望しているぞ」「あの人の顔をつぶしていいのか」てな話になると、急に物事が進んだりもする。良かれ悪しかれ、日本側として真面目にやらんといかんです。
○あと、明日の日経金融新聞、「視点論点」にも、大統領選に関する寄稿をいたしました。読んでくださいまし。
<11月5日>(金)
○ビデオニュース・ジャパンの「マル激トーク・オン・デマンド」の収録。神保哲生さんとは、実は1980年代からのお付き合いだったりする。本日の番組、前半は宮台真司さんと一緒に、アメリカ出張中の神保さんと電話でつなぎ、後半は小川和久さんをゲストにトランスフォーメーションや日本社会の病理について議論しました。編集の上、月曜日にはアップされるそうです。会員の方は、どうぞご覧になってください。
○神保さんは選挙当日、ネバダ州のケリー選対を取材したそうです。朝方は「行けるぞ!」と意気軒昂としていた陣営も、夕方にかけてだんだん意気消沈し、最後はお通夜状態になってしまった由。民主党側としては、これだけベストを尽くし、敵失にも恵まれ、勝てる条件が揃っていたにもかかわらず、紙一重で届かなかった。神保さんの声も、心なしか元気がない。
○ワシントンでも、ブルッキングス研究所はお通夜状態、AEIは祝勝会モードであるらしい。選挙の後には勝者と敗者ができる。僅差だっただけに、負けた側の悔しさは切実だ。「ブッシュが勝ったからカナダに移住する」てな声もホントにあるんだとか。物悲しい感じもするけれども、「いいなあ、アメリカにはカナダがあって」てな感じもチラホラ。
○民主党にとっては、2004年の敗北が「ベストを尽くした負け」である点が貴重であると思う。党の指導部もダッシュル上院議員以下が壊滅状態。でも、過度に悲観する必要はないのであって、残された者は灰の中からよみがえるしかない。後から考えれば、あそこが「底値」だったということはよくあるものです。
○おっと、こんな風にケリー陣営に肩入れしていると、「在米保守主義日本人」さんに怒られてしまうかも。かんべえは節操がないので、右の桜チャンネルから左のビデオニュース・ジャパンまで、求められればどこでも行きますそ。
<11月6〜7日>(土〜日)
○昨日も一昨日も爆睡。もう全部済んだ、と思っていたら、世間では「なぜブッシュが勝ったのか」「第2期政権はどうなるのか」「アメリカの分裂、修復は可能か」、さらには「2008年の候補者は誰か」などといった議論が盛んなようである。考えてみたら、その手の原稿依頼も来ているので、あんまりボーっとしているわけにもいかない。自分としては、一仕事が終わったような気になっているのですが。
○つれづれなるままに、何度も良く見たサイトを回ってみる。センチメンタル・ジャーニーという感じかな。以下は、皆さんもたぶんご覧になったと思われるサイトです。
●Electoral Vote Predictor 2004 http://www.electoral-vote.com/index.html
○ここは毎朝チェックしてました。現在は、最終形が掲載されています。これを見ると、ブッシュはニューヨーク州やカリフォルニア州などでも、2000年に比べて得票を伸ばしていることが分かります。そしてテキサス州などの南部諸州でも、当然のことながら得票率を上げている。逆にケリーが2000年のゴアに比べてより多く得票した州は少ない。マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ヴァーモント州、メーン州などは、これは地元の利があるからあったり前というもの。それ以外を探すと、ワシントン州とオレゴン州くらいである。要するに、赤い州はより赤くなり、青い州はあんまり増えなかった、ということです。
●Real Clear Politics http://www.realclearpolitics.com/bush_vs_kerry.html
○このサイトもヒット商品でしたね。最後はブッシュの1.5%リードで本番を迎えた。折れ線グラフにしてみると、投票日に向けて両者の差がグングン接近していたことが分かる。投票日まであと1週間あれば。あるいは当日、オハイオ州が晴れでフロリダ州が雨だったら。結果がどう転んでいたかは分からないと思う。2004年の大統領選挙は、「得票で350万、得票率で3%」の差をつけたこともあり、ブッシュの「大勝」といってもいいくらいだと思うが、「楽勝」ではなかった。
●アイオワ州電子市場 http://128.255.244.60/graphs/graph_Pres04_WTA.cfm
○ある意味、もっとも信頼に足る情報源だったこのページは、11月2日に向けて赤い線と青い線が急接近し、その後に上下に放たれた。これを見ていると、「つわものどもが夢の後」という感じですなあ。
●CNN選挙特集 http://edition.cnn.com/ELECTION/2004/index.html
○ここも非常にお世話になりました。現在のお薦めは、出口調査を公開しているこのページですね。いろんな読み方ができます。書き出すときりがないので、ここではパス。
●ギャラップ http://www.gallup.com/
○共和党寄りだとか、いろいろ文句も出たギャラップですが、かんべえとしては最後までこの老舗を信じてよかったと思っている。というか、ゾグビーを信用しなくて正解だった。
●クック・ポリティカル・リポート http://www.cookpolitical.com/
○ここは選挙後はお休み状態ですが、早く続きを読みたい。「今日、頭にピストルを突きつけて、どっちが勝つか、と聞かれたら、私はきっと"Fire
Away"と答えるだろう」とか、「政策綱領を読んだことのあるアメリカ人は、UFOを見た人よりも少ないだろう。かくいう私でさえ、まともに読んだことがない」など、爆笑モノの解説が多かった。
●Politics 1 http://www.politics1.com/index.htm
○このブログの会話も大変、参考になりました。日本にも、これくらいレベルの高い政治ブログがあればいいんですけどねえ。荒らしが少ないところがイイ!
○情報ソースはもちろんほかにもあるわけですが、特によく見た上記7点をあらためて紹介して、感謝の意を表しておきたいと思います。
○それから、2004年大統領選挙のウォッチングでしょっちゅう意見交換していた「オタク仲間」を、ここに名を上げておきましょう。国際大学の信田智人さん、みずほ総研の安井明彦さん、国際問題研究所の中山俊宏さん、そして現在、ブルッキングス研究所客員研究員の谷口智彦さん。皆さん、お疲れさまでした。引き続きよろしく。
<11月8日>(月)
○純正リベラル派は、今日のアメリカをどんな風に見ているのだろうか。たまたまいいタイミングで読んだのが、ロバート・B・ライシュ著『アメリカは正気を取り戻せるか』(東洋経済新報社)。ヒドイ邦題だなあ、と思ったら原題はもっとあからさまである。すなわち"REASON:Why
Liberals Will Win The Battle for America"――理性、ないしは理屈の上からは、リベラル派はアメリカの戦いに勝利する、というのである。そんなこと言って、アンタ、頭は大丈夫か。
○リベラル派は勝つどころか、そもそもライシュの人生自体が敗北の連続である。彼は若い頃に、『ワーク・オブ・ネーションズ』というとっても面白い本を書いて有名になった。なおかつ、Friends
of Bill(クリントンのお友だち)の筆頭格であったため、クリントン政権では重きをなすと見なされていた。ところがビルのお友だちには、ルービンとかサマーズのようなツワモノたちが軒を並べていて、彼らと一緒に議論をしても敵わなかったらしく、労働長官という「端パイ」ポストをあてがわれた。それも途中で憤然と去っている。要するにリベラル過ぎて、中道クリントン政権には身の置き所がなかったのだ。
○ライシュはその後、2002年にマサチューセッツ州の知事選に立候補して負けている。本人が言うには、選挙資金がまるで足りなかったらしい。ちなみに同じときの選挙で、ケリーは楽勝で上院議員に再選され、そこで選挙資金をしこたま溜め込んだ。「あれはきっと大統領選に出るつもりだぞ」という噂が立ったのはここからである。本書では、ケリーに関して一切触れてないところを見ると、何かよほど嫌な記憶があるらしい。が、それは本題ではない。
○本書は「リベラルであることは、誇るべきことである」という一文で始まる。ライシュは、過激な保守派を「ラジカル・コンサバティブ=ラドコン」と呼び、彼らとの対決をリベラル派に呼びかけている。(ネオコンも最近は落ち目なので、叩くに価せずと言うことか)。ラドコンが権力を握ることの危険に警鐘を鳴らし、彼らに対する長年の恨みつらみを書き連ねている。が、その多くは、ほかの人がよく書いているような「共和党右派」に対する批判であり、真新しい話は少ない。というか、間違ったことは言っていないと思うが、所詮は党派色の強い議論であって、中道から右の人たちが読んでも説得力は感じないような議論である。
○たとえばライシュは、ラッシュ・リンボーのラジオショーや、FOX NEWSの台頭について苦々しく書いている。これらの番組に「お飾りのリベラル」として呼ばれる際の不愉快な体験についても言及している。なるほど、お気の毒ではあるが、なぜFOXがCNNよりも人気が出るかといえば、「裕福なラドコンの資金提供」のせいにしたりする。他方、三大ネットワークが民主党寄りであることについては何も触れない。仮に「三大ネットワークとケーブルテレビ、どちらかが味方してくれるとしたら、どっちを選ぶ?」と聞いてみたいものだ。
○面白く感じたのは、民主党に奮起を促している最後の部分である。「本当のことを言えば、民主党は存在していない。・・・真に全国的な民主党というものはないのである。少なくとも共和党が持っているようなものはない。共和党には規律と組織がある。彼らは党の路線を決め、それに忠実に従う。民主党員にあるのは何か。民主党の将来に関する会議ばかりだ」――ラドコンは間違っているかもしれないのに、民主党が持っていない「勇気と組織」がある。「民主党が全国的な党であるかのように見えるのは、大統領候補を選ぶときだけである」――なるほど、これでは選挙に勝てないはずである。
○1932年から1980年までの48年間のうち、32年間は民主党の大統領だった。ところが1980年から2004年までの24年間で、民主党がホワイトハウスを支配したのは8年間だけである。さらに下院、上院、州知事など、あらゆる場所で民主党は劣勢にある。なぜこんなに凋落したのか。ライシュは言う。「民主党の最大の敗退はアメリカの巨大な中産階級、勤労階級――そのほとんどが4年生大学卒でない白人労働者、特に白人男性――の間で起こっている」。80年代には彼らがレーガン・デモクラットになった。90年代はクリントンがかなり取り返した。2000年代はまた共和党側に行ってしまったようだ。
○ライシュは、民主党が中道寄りになったことが間違いだと言う。ディック・モリスが「第三の道」を提案したことに反対し、クリントンとゴアが財政黒字で政府債務の返済を繰り上げようとしたことも否定する。民主党は浮動票を狙うのではなく、投票に行くことを止めてしまった低所得者層に訴えかけよと説く。ではどうやって?「権力に向かって真実を語るただひとつの道は、真の改革者の道徳的熱情をもってすることである」「民主党員は立ち上がり、存在感を示さなければならない」。――そのためには、宗教的左派も大いに活用して原理主義派に対抗させよ、ともいう。そういえば、かつての宗教団体は民主党寄りだったのですよね。
○心意気は壮とすべきながら、どうも元労働長官は、アメリカ社会の保守化の原因に気づいていないようだ。彼が『ワーク・オブ・ネーションズ』で新しい時代の雇用のあり方として持ち上げた「シンボリック・アナリスト」たちは、その後のIT産業の勃興も加わって、現代社会の中心的な存在になっている。その彼らが政治的には保守になっているのだ。人間、大企業を離れて、自分で税金を払う身になれば、保守化するのが当たり前ではないか。アメリカ社会の保守化の背景には、そういう産業構造の転換があるとワシは思うのだ。
○ライシュが説く民主党の再建策は、どこかの国の「元気に平和、頑固に福祉」(違ったかな?)のように聞こえてしまう。そうじゃなくて、もうちょうっと時代を先取りするような努力が必要なんじゃないだろうか。ともあれ、本書からは民主党が抱える悩みが非常によく読み取れます。
<11月9日>(火)
○岡崎研究所の一員として、上海国際問題研究所と共同の「第4回日中安全保障対話」に参加しました。明日の昼までの日程で、テーマは@海上の安全、A朝鮮半島情勢、B日中関係、C中台海峡、という順に、だんだんきな臭くなっていく。友好的なやり取りもあれば、きわどい応酬もあり、という大人の世界である。とってもスリリング。
○席について、中国側の顔ぶれを見回しているうちに、ふと思いついたことがある。気づいてみれば、なーんだ、という話なんだけど、日中間にはエネルギー問題に関する大きなパーセプション・ギャップがある、ということだ。どういうことかというと、
(1)日本という国は、おそらく1バレル50ドルの石油価格を屁とも思っていない、世界でもめずらしい国である。ウチの近所でもガソリンがリッター95円のところが110円くらいに上がっているが、それで暴動が起きるわけではない。日本全体でみても、エネルギー多消費型の産業はほとんど海外に移転済みであり、国内のエネルギー消費は民生用が中心であり、それも少子・高齢化現象があるから将来需要がガンガン増えるという気遣いはない。1970年代とは違って、エネルギー価格に鈍感になっている。
その点、中国はどうかといえば、かつては石油を自給できたものが、数年前から石油輸入国になり、今年の石油輸入量は前年同期比で4割増だという。国内経済の伸び率は高く、この調子で行けば来年はいったいどうなるのか、というくらいに石油需要が伸びている。エネルギー資源に対しては、非常にナーバスにならざるを得ない環境にある。
(2)また、日本はエネルギー効率の高さにはちょっとした自信がある。もっというと、「石油価格が上がると、北米市場でトヨタやホンダのハイブリットカーが売れる」などという株式アナリストが居たりする。逆に中国は、エネルギー効率がとっても悪い国である。経済成長によるエネルギー消費弾性値も高そうだ。だからエネルギー価格には無関心で居られない。
(3)さらにいえば、日本は1バレル80ドルになろうとも、「どうせカネさえ払えばいいんだろ」みたいなところがある。なにしろ空白の90年代でさえ、日本の貿易黒字は減らなかった。だから外貨が足りなくなって、石油が買えなくなるなどという事態は、すでにわれわれのイマジネーションの外にある。その点、中国はどうかといえば、この調子で石油価格が上昇したら、ひょっとすると貿易赤字に転落するかも、あるいは今は外貨準備が潤沢にあるけれども、これがいつまで続くか、といった心配をしても不思議ではない。
○そういう意味の発言をしたら、「中国は今、まさに石油ショックのときの日本のような危機感を持っているのです」という返事が返ってきた。だから中国は、今どき「資源ナショナリズム」を発揮したりする。日本人の多くは、そういう感覚を忘れてしまって久しいので、中国側の切羽詰った心情が分からない。というか、そもそも石油なんて国際価格で買えればいいのである。日本としては。
○日中が尖閣諸島の地下資源で衝突する背景には、こんなギャップがあるのだと思う。日本側は、中国側がそこまでエネルギー資源の確保に真剣だということが分からないから、「なんて汚いやつらだ」と感情的になる。中国側は、日本がのん気に構えているので、「構わない、やっちまえ」ということになる。
○この辺の問題について、一通りの応酬があった後で、中国側から、「日本の省エネ技術を提供することで協力してほしい」という発言があった。そこでこんな風に答えたんだけど、これは気持ちよくウケたな。
「世界で一番、エネルギーを無駄遣いしているのは、中国ではありません。アメリカです。(爆笑) アメリカは省エネ技術がないわけではありません。単にやる気がないのです。(さらに爆笑) だいたいガソリン価格も電気代も安いのでは、省エネをするはずがありません。だから中国がやるべきことは、エネルギー価格に思い切り税金をかけることです。高いものであれば、人々は大切に使うようになります。日本の省エネ技術だって、その方法で発展したのですから。(日本側のみ爆笑)」
○明日は台湾問題の討議があります。楽しみですね。
<11月10日>(水)
○中国側のメンバーに、若手の女性経済学者が入っている。アジア経済の現状を説明するときに、彼女が「雁行形態」という言葉を使っていたので、休憩時間のときに「懐かしい言葉を使いますねー。もう時代遅れかもしれないのに」と言ったら、いやいや、アジアでは今でも日本が先頭を行ってるでしょう、などと言う。それはそうかもしれないけど、@IT産業においては、インドのバンガロール地区が、一夜にして世界の先端に立つこともあり得る、とか、A中国のように広い国では、国内で雁行形態ができる、など、この理論は21世紀には通用しなくなる可能性もある。
○てなことを、英語と筆談のチャンポンで話していたら、なんと彼女は「雁行形態」の生みの親、小島清先生を知っているのである。「中国で国際貿易論を学ぶ人は、かならずシャオトン先生で勉強します」と言う。おおお、ポール・クルーグマンやローラ・タイソンではないのですな。やはりアジアで貿易論を学ぶなら、小島先生でなければなりません。
○うれしくなって、@私は一橋大学で小島先生の授業を取っていた。A先生はとっても優しい人で、学生の成績は「A」と「B」しか与えなかった。B恥ずかしながら、自分は「B」だった。C先生はもう80過ぎだと思うけど、お元気でかくしゃくとされている、などと熱心に語ってしまった。(たしか最後にお目にかかったのは昨年春のことなので、ちょっと自信はないけれども、とにかくお元気だと思う)。向こうは、そんな偉い先生がまだ生きているのか、と驚いた風だった。日中の学問は意外に近いようだ。
○台湾問題については、またそのうちにやりましょう。立法院選挙もあと1ヶ月ですしね。
<11月11日>(木)
○今日は岡崎研究所の事務局長だった、小川彰さんの3回目の命日。でも、岡崎研究所ゆかりの人たちが今夜集まったのは、とても晴れがましい場所でした。それは長島昭久さんの出版記念パーティー。「日米同盟の新しい設計図
−変貌するアジアの米軍を見据えて−」(日本評論社)は、いわゆるトランスフォーメーションを解読する絶好の本。小川さんが生きていたら、きっといちばん喜んでくれたはずである。
○今日は民主党のお歴々も来てましたが、わざわざここで報告するような話はまるでなし。特筆すべきはジェームズ・アワーさんの挨拶で、おめでとうの言葉にかこつけて、ワシントンの最新情勢についてこんな風に語ってくれた。「パウエルとアーミテージはおそらく残留するよ。国防長官はライスになるかもしれない」。
○前者は今月に入ってから、急速に増えてきた観測である。9月の共和党大会に呼ばれず、「夏頃から引継ぎ書を準備している」という噂が流れたパウエルだが、2期目になっても残る、いや少なくとも1年程度は継続する、という話を、私でさえ複数のルートから聞いている。アワーさんとアーミテージ国務副長官の関係を考えても、この人事予測の信憑性は高い。
○後者はちょっと希望的観測という気がする。ペンタゴンという巨大な官僚機構を動かすのは相当な力技だし、いまだ白人男性以外は着いたことのないポストでもある。でも、ライスが着くかもしれないというからには、少なくともラムズフェルドは去るのであろうし、ライスは政権内に留まるのであろう。すなわち、「ネオコンが減って、穏健派(現実派)が残る」という読みは正しいということになる。
○ここで不思議なのは、なぜパウエルが変心したかである。あんまり自信はないのだけれど、こんな風に考えるとすべて辻褄が合う。
(1)先月末の訪中の際に、パウエルは「台湾の独立は認めない」と、従来から一歩踏み込んだ発言をして物議をかもした。共和党の右派からは、「従来の外交政策をゆがめるもの」と非難を浴びた。なぜこのタイミングで中国に媚びるような発言が出たのか。ひょっとしたら何かディールがあったのではないか?
(2)そもそも訪中(パウエルは訪日もしたけど、明らかに主題は中国にあった)の目的はなんだったか。おそらくは選挙を控えて、北朝鮮問題について何事かメッセージを運んでいったのだろう。それも中国に対し、「借り」を作るような性質のものだったと推測できる。
(3)北朝鮮といえば、北朝鮮人権法が成立したばかりである。これは議員立法により、超党派、上下院全会一致で成立した。が、おそらく国務省がサポートしてできた法案なのであろう。そしてこの微妙な法案に対し、ブッシュ大統領があっさり選挙前にサインしたのもちょっと不思議である。
(4)ここからがGuessになるのだけれど、パウエルは北朝鮮人権法を使うことで、金正日体制を自壊に追い込めると踏んでいるのではないだろうか。あの法案の「キモ」は、北朝鮮内部の人々に対し、亡命や脱北を促すところにある。それで大量難民が発生し、政権が崩壊するならば、米国としては非常に安上がりな解決策ということになる。
(5)問題は、難民が発生すると中国国境に来るということだ。おそらくその点で米中間は何らかのディールをしたのであろう。パウエルの台湾発言は、そのための代償の一部だったと見ることができる。
(6)と、ここまで大きな「絵」を描いたからには、パウエルは辞めるわけにはいかない。北朝鮮の体制がソフトランディングするまで、見届けなければならない。そして、それは遠い先の話ではないだろう。でなければ、「少なくともあと1年は残る」などという噂にはならないはずである。
(7)この目論見がすべてうまくいったとしよう。マスメディアはこんな風に評するだろう。「ネオコンに任せたイラクは、高価な戦争をやった挙句に、収拾のつかない混乱に陥った。パウエル(穏健派)に任せた北朝鮮は、コストはほとんどゼロで片がついた」。とまあ、それは余計な話だが、「悪の枢軸は外交で倒せる」というのは、歴史的な教訓としても素晴らしい。ブッシュ政権の2期目に、そんなファインプレーがあったら、いいですよね。
○繰り返し強調しておきますが、上の推測は状況証拠だけで、何か特殊な情報を得ているわけではありません。でも、「選挙でブッシュが勝てばファルージャ掃討戦が始まる」という予測は当たったことだし、これもちょっと信憑性があると思いませんか?
<11月12日>(金)
○今宵は岡崎研究所の臨時総会&秋のフォーラムで、昨晩と同じメンツが結構、集まっていたりする。それを途中で抜け出して、恒例の勉強会PACで大統領選挙についての反省会。
○今宵、いちばんヒットしたのはこのセリフ。「アメリカは孤独な与党自民党。ヨーロッパは民主党で、野党の立場に満足している。日本は公明党で、踏まれてもついていきますアメリカに。でも、あんまりオイシイ立場ではない」。気持ちはブルーステーツでも、国益を考えればレッドステーツ。
○こんな風に、ずぶずぶにオタクの世界に入っているかんべえは、明日からも強行軍が続きます。お話しするネタはすべて米大統領選関連です。ホント、われながら街道をまっしぐらという気がします。
●かんべえさんのお仕事日程表
11月13日(土)中央大学で講師。
11月15日(月)内外情勢調査会福井支部で講師。
11月18日(木)日経CNBC「マネーアンドワールド」の収録。(放映は11月20日)
11月19日(金)東京財団で講師。
11月22日(月)某研究会で講師。
11月24日(水)国際問題研究所のセミナーでパネリスト。
11月25日(木)内外情勢調査会旭川支部で講師。
11月29日(月)内外情勢調査会都城支部で講師。
11月30日(火)内外情勢調査会宮崎支部で講師。
<11月13〜14日>(土〜日)
○今週末は締め切り原稿が2本あるのですが、おそらく今日中に両方は仕上がりませんな。どちらかにご迷惑をおかけする公算が大。こういうとき、分量が長い方にとばっちりが行くのは必然というもので、「ボイス」編集部様、お許しを〜。
○ところで、ゴメンナサイ、を気持ちよく表明しているのがこのページである。
http://www.sorryeverybody.com/gallery/1/
Some of us ―― hopefully most of us ―― are trying to
understand and appreciate the effect our recent election will
have on you, the citizens of the rest of the world. As our
so-called leaders redouble their efforts to screw you over,
please remember that some of us ? hopefully most of us ? are
truly, truly sorry. And we'll say we're sorry, even on the behalf
of the ones who aren't.
○何百人というアメリカ人が、「ブッシュを当選させちゃってゴメンナサイ!」を表明している。よくよく見ると、シャレになってないものも多くて、アメリカの分裂度合いと、リベラル派の絶望の深さが思い知られます。では、かんべえは仕事します。
<11月15日>(月)
○こないだからチョロチョロしている中国原潜ですが、海上自衛隊のホームページ(今月からリニューアル)では、こんなニュースリリースがされています。
http://www.jda.go.jp/JMSDF/info/news/16news/16110801.html
16.11. 8
海上幕僚監部
中国海軍艦艇の動向について
海上自衛隊第4護衛隊(護衛艦「あけぼの」)は、11月8日(月)午前12時頃、種子島の南東約315q(約170NM)において、中国のダーヂャン級潜水艦救難艦「861」及びトゥーヂョン級航洋曳船「東??830」を確認した。
これら2隻は、11月5日に確認して以降、種子島南東海域で変針・変速を繰り返している。
○中国もやっぱり原潜が気になっているのですね。「早く無事に戻って来い!」って、当たり前か。こういう内容を、詳しい説明抜きで、さらりと公開している海上自衛隊は、なかなかに味なことをしているような気がします。だってこんな風に、写真つきでバッチリ公開されてしまうというのは、海軍としてはかなり恥ずかしいことですよ、きっと。
○ところで下記によれば、先週まで当該地域では日米共同の対潜特別訓練が行われていたとのこと。
http://www.jda.go.jp/JMSDF/info/news/16news/16102701.html
16. 10.27
海上幕僚監部
対潜特別訓練について
海上自衛隊は、次のとおり次により米海軍と対潜特別訓練を実施します。
1 期 間
平成16年10月29日(金)〜11月8日(月)
2 場 所
沖縄周辺海域
3 訓練統制官
海上自衛隊:潜水艦隊司令官 海 将 田村 力(たむら つとむ)
米 海 軍 :第7潜水艦群司令 海軍少将 Dave Gove
4 参加部隊等
海上自衛隊:潜水艦2隻等
米 海 軍 :巡洋艦1隻、駆逐艦2隻、潜水艦3隻、航空機若干等
5 主要訓練項目
対潜戦
6 その他
対潜特別訓練は、昭和32年から実施しており、今回で107回目となります。
○中国の原潜さんは、これを覗きに来て、壊れてしまったんでしょうか。だとしたら、かなり情けない。
<11月16日>(火)
○東京財団のプロジェクトで、ロバート・デュジャリック氏(ハドソン研究所研究員)を招いて。とっても、頭のいい人でありました、彼は。しかも言葉使いがストレートで、平気でキツイことを言う。非常に面白かった。2時間の議論で、とてもいい刺激を受けました。で、最後に彼に聞いてみたわけです。パウエル辞任をどう思うかと。
○「別に? だって彼は政策と関係ないでしょ。ブッシュ外交を決めているのはブッシュ自身だし」と来やがった。そして追い討ちをかけるように、こう言った。「パウエルが成し遂げたものは少ない。もし彼がイラク戦争に反対であったのだとしたら、それを止められなかった彼は無力だ。賛成であったのだとしたら、あんな戦争にしてしまった彼は無能だ」
○参った、である。上の指摘には反論のしようがない。でも、パウエル・ファンとして、以下、若干の弁護を行っておきます。
○まず、ブッシュ政権のマネジメント・スタイルの問題がある。普通、合衆国大統領の外交スタイルは、次のようなタイプに分類できる。
(1)安全保障担当補佐官を使ってホワイトハウスで仕切るタイプ(ニクソン=キッシンジャー/カーター=ブレジンスキーなど)
(2)国務長官を信用して丸投げするタイプ(レーガン→シュルツなど)
(3)国防総省を中軸に据えて自分で仕切るタイプ(ブッシュ〜チェイニー〜ラムズフェルド)
○ブッシュはこのめずらしい(3)タイプである。しかもチェイニー副大統領は、ラムズフェルド国防長官とは元師弟関係という特殊な事情があり、この枢軸体制には余人が入り込めなかった。かくして国務長官は中東シャトル外交のパシリに使われたり、アジア外交という裏庭の仕事に専念することになった。(仮にパウエルの代わりにライスが就任したとしても、ラムズフェルドが残った場合、この構造は変わらないだろう)
○でも、お陰で東アジアにおけるブッシュ外交は、この4年間、わりにいい線をいっていた。日米関係はもちろんのこと、米中関係は良好、六カ国協議にしてもPSIにしても、危なげがなかった。今回の米国大統領選挙において、北朝鮮と韓国以外の主要国政府は、ほぼ「ブッシュ再選きぼ〜ん」であった。東アジアにおいて、国務省はいい仕事をしたと思う。
○もうひとつ、パウエルはむなしい仕事を一杯させられたが、その努力ぶりを評価する人は少なくなかった。というか、ブッシュを評価しない人ほど、パウエルには大きな期待を寄せたのである。2003年2月、イラク戦争の直前、ブッシュの言うことは怪しいと思っていた人も、パウエルが言うのなら、イラクに大量破壊兵器はあるのだろう、と信じた。パウエルの存在が、どれだけブッシュ外交に信用を与えていたか。
○2001年1月31日の当不規則発言において、国務省におけるパウエルさんの初の挨拶を紹介しました。今、読み返しても、いいスピーチだし、なんていい上司なんだろう、と思います。でも、彼自身はいい上司に恵まれませんでした。うーん、残ってほしかったなあ。
<11月17日>(水)
○評論家の櫻田淳さんからも、「私もパウエル・ファンです」というメールをいただきました。国務長官としての評価はさておいて、やっぱり人間的な魅力ということでは、パウエルはアメリカにとって宝のような人物であると思います。組織の中で仕事をするなら、是非、ああいう人と苦楽を共にしたいものです。
○さて、コンドリーザ・ライス新長官について。安全保障担当補佐官はスタッフ、国務長官はライン。スタッフとして有能な人が、ラインの長として務まるかどうかは別問題です。ライスは安全保障担当補佐官としては、明らかに歴代担当者の中でもハイレベルで、少なくともクリントン時代のお二人(アンソニー・レイク、サミュエル・バーガー)に比べればはるかに上だったと思う。でも、国務長官としてのパフォーマンスはどうだろうか。
○スタッフというのは、トップの信頼さえあればそれで仕事ができる。ラインは部下全体の人心を掌握しなければならない。まして今の国務省の職員は、ほとんどがパウエル長官に同情的であろう。こういうときに新長官として舞い降りるのは難しい。パウエルは軍人、ラムズフェルドは経営者で、こういう人たちならば、「天下り」には慣れている。が、学者のライスは、組織の長としては苦労するような気がする。
○同じ学者出身のオルブライト国務長官は、相当に組織内の評判が悪かった。どれくらいひどかったかというと、日本で田中真紀子外務大臣が誕生したときに、国務省内で「日本のオルブライト」という喩えが成立した。・・・・いえ、別段「女は駄目」などと言うつもりはないのですよ。でも、この二人は外交官としても、リーダーとしても冴えなかったと思います。
○その前のクリストファー国務長官は、実物を見たことがあります。1994年に訪日して、経済同友会で講演をしたときに、不肖、私めが会場の東京會舘でご案内申し上げた。この人、時間ギリギリで到着し、挨拶もそこそこに、別室にこもって「お色直し」をはじめたのにはあきれたな。弁護士出身、良き外交官には見えなかった。
○と、ここでハタと気がつくわけだが、クリントン時代の外交チームは、実にお粗末極まりなかったんだなぁ。だって、このほかにUSTRにミッキー・カンターがいたんだよ。その割りに、やってたことは結果オーライだったというのは、やっぱりクリントンはとてつもなく運が良かったんだろうか。
○アメリカ外交では、たまにスタッフがトップを上手く丸め込んで、大きな仕事をしちゃうことがある。キッシンジャーやブレジンスキーのケースである。その当時の国務長官が誰だったか、ほとんど霞んでしまって覚えていない。こういうのは例外的なケースだと考えておいた方がいい。それにラインよりスタッフが威張っているような組織は、だいたいが碌なものではない。
○その点、スタッフとしてのライスの仕事振りは過不足のないもので、あの重量級のメンツの調整役に徹し、大統領に求められない限り自分の意見は語らなかったそうだ。これから先は、自分が先頭に立つ機会が増えるだろう。議会承認もまだなのに、気が早いかもしれませんが、いい国務長官になってほしいものです。
○キッシンジャーは、フォード政権下で国務長官も務めた。このときの仕事振りが語り草になっていて、とにかく鬼のような上司だったそうだ。部下が提出したリポートを何度も突っ返す。何度目かになって、部下がさすがに切れて、「これ以上、書き直すところはどこにもありません!」と叫んだら、「そうか、それではそろそろ読んでみよう」と言ったとか、言わないとか・・・・
○かんべえもサラリーマン生活20年ですので、こういう話をしているとついつい長くなってしまいます。ひとつだけ、確信のようになっていることがあります。それは「いちばんいい上司は、能力があって、やる気のない上司」であり、「いちばん悪い上司は、能力がなくて、やる気のある上司」だということ。説明は省きます。
<11月18日>(木)
○本日は日経CNBC「マネー&ワールド」の収録。テーマはもちろん米大統領選で、国際問題研究所の中山俊宏さんと一緒に、大統領選挙とアメリカの保守化、みたいな話を展開する。放映は20日土曜日の午後9時半ですので、皆さん見て頂戴ね。
○週末に放映する番組ということもあり、小道具としてお酒が登場する。普段は会場である「アイスバー」特製のカクテルが多いのだが、今日はボジョレ・ヌーボーの解禁日ということもあり、ヌーボー登場である。番組のMCである中島健吉つぁんは、「夜の帝王」である上に、元パリ駐在員であるので、もちろんワインにも詳しい。匂いをかぐ手つきも堂に入っている。今年の出来は去年ほどではないが、まあまあといったところらしい。
○当方はいつも通り、グラスに口をつけるだけで、飲まずに番組を終える。ああ、ちょっともったいなかったかも。といっても、これは「秋になったら1回くらいはマツタケご飯」みたいなお約束であって、しょっちゅう飲みたくなるようなものではない。確か去年のこの日は青森に行っていて、一人寂しくホテルのバーでヌーボーを注文していたような。とにかく、そんなに美味いワインではないんだよなあ。
<11月19日>(金)
○今週はいっぱい書いて、いっぱい話したなあー。もう書くことないぞ。いや、ないこともないけど、書きたくないぞ。今週末は、宿題原稿なしだ、うれしいな。天気は良さそうだし、マイル・チャンピオンシップは面白そうだし。Thanks
God, It's Friday.
とりあえず、明日は洗濯からかな?
<11月20〜21日>(土〜日)
○昨日は一度もPCをつけなかった。そういうのも爽やかでよろしいですな。
○『ジハードとテロリズム』(佐々木良昭/PHP新書)を読み始めるも、すぐに寝てしまう。この本、「ビン・ラーデンは死んでいるかもしれない」で始まる。そんなこと言ったって、10月末のあの映像は何だったというのよ。どうやら書き終えてからあの映像が出て、直す暇がなかったらしいが、これでは読者が手に取った瞬間、「ああ、この本は古いのか」と買われなくなるんじゃないだろうか。中身が良さそうなだけに、ちょっと惜しい気がする。
○今月号の『フォーサイト』、書評で伊奈さんが『官邸外交』(信田智人/朝日選書)を取り上げている。(現場主義の学者が見た官邸外交という現象)。この本の着眼の良さを称賛し、「こういう仕事は、むしろジャーナリストによってなされるべきだったのではないか」と書いている。信田さんに、「こーゆーテーマで書いたらどう?」と勧めたワタクシとしては、自分が誉められたようでうれしい。「官邸」と「外交」の両方を知ることにかけては、信田さん以上の適任者はいないと思う。
○NHKの将棋トーナメント。今朝の羽生VS南戦は羽生王座のいいところだけが出た一戦。これだけ分かりやすい快勝譜もめずらしい。見ていてしびれました。5五に飛車を寄った手がいい感じでしたねえ。
○ところでこの週末は、APECを舞台に、いろんな首脳外交が行われているが、朝鮮日報のこの記事にちょっと驚いたな。
米大統領「北核、6か国協議で平和解決」
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と米国のブッシュ大統領は20日(韓国時間)首脳会談を行い、韓半島の非核化原則を再確認し、北朝鮮核問題を6か国協議の枠内で平和的かつ外交的な方法で解決していくことにした。
(中略)
同日午後10時25分から約10分間行われた会談で、ブッシュ大統領は「北朝鮮核問題を6か国協議の枠内で、平和的かつ外交的な方法で解決していこうとする米国の立場を再度強調する」と述べ、米国は対北朝鮮敵対視政策を持っておらず、北朝鮮を侵攻する意図がないという点を再確認したと、潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官が伝えた。
○10分間で行われた首脳会談って、いったいどういう内容だったのよ。「これはこれは」「いやいや、どうも」みたいなやり取りがあって、なおかつ通訳の時間も挟んでいたと考えると、とてもではないが、上に述べたような意見交換が行われたとは思えない。ブッシュ政権はしみじみ、好き嫌いがはっきりしていますな。
<11月22日>(月)
○アジア情勢に関する研究会で、米大統領選挙についてのご報告。連日のように、方々で似たような話をしております。
○そこでも話が出たのだけれど、やっぱり先月末のパウエル訪中が謎である。彼は北京にどんなメッセージを持参したのか。翌月の選挙で負けるかもしれない大統領の、再選されても辞めようと思っていた国務長官が、何用あって北京に向かったのか。口さがない向きは、「台湾の独立を認めない」発言で中国に恩を売り、退職後はキッシンジャーのように「対中口利き料」でオイシイ思いをしようと思っているのだろう、などと言う。パウエルに限って、それはないだろう。台湾発言は、何か中国にかける迷惑のオトシマエであったと考えた方が自然である。
○北朝鮮に関する話だということは検討がつく。米中間で、どんな話し合いがもたれたのか。パウエルが辞意表明したことで、当欄の11月11日付で書いたような推測はハズレだと分かった。それでも10月末というタイミングから考えて、急ぐ必要があったと見るべきだろう。ひとつの可能性は、「北朝鮮の体制が危ない」という感触を米中双方が得ていた場合である。くわばらくわばら。
○研究会が引けてから、新橋に移動して台湾から帰国中の「らくちん」さんと再会。らくちんさんが先月号のフォーサイトに寄稿した内容が好評であったご縁で、同編集部のN氏も合流。中国情勢、中台海峡問題、日本のソフト産業などについて放談。中台海峡の問題については、台湾側はのんびりしていて危機感は薄く、中国側がむしろ火がついているという。「五輪と台湾、秤にかければ、台湾が重たい共産党」なんて、物騒な話もチラホラ。
○日中首脳会談は無事にとり行われましたようで。いやホント、中国という隣人は分かりませぬ。
<11月23日>(火)
○配偶者が伝説のコンサート「LIVE AID」のDVDを買って来てしきりに聞いている。今日になって、ワシもクイーン登場の部分と"We
are the World"の部分を聞いてみたが、なんとも懐かしい。あれは1984〜95年のことなので、実にもう20年が過ぎている。マイケル・ジャクソンも、フレディ・マーキュリーもみんな若い。今はなきレイ・チャールズやら、どこでどうしているのよ、ホール&オーツとか。そして気がつけば、ワシも20歳年をとり、体重は5キロ以上増え、体脂肪率は20%を超え、コレステロール値は危険水域に達しつつある。
○このコンサートが行われたのは、まだ冷戦たけなわのレーガン政権下。たしか軍事費の占める割合が、対GDP比で7%程度あった頃だと思う。間もなくゴルバチョフ書記長が登場し、チェルノブイリ事故でソ連経済が麻痺し、その後の国際情勢は急展開を見せるのだが、なんというか、いい時代であったなあ、と思う。日本の貿易黒字が問題になり、中曽根総理が「一人100ドル、外国製品を買いましょう」などとマジで国民に訴え、通産省では「輸入品、生かしてわが家も国際化」などという恥ずかしい標語を張っていた。
○音楽や文学は、社会を変えることは出来ない。せいぜい人の心を慰める程度が関の山だ。「LIVE AID」がアフリカの飢餓問題を救ったかというと、おそらくはそんなことはない。20年前のワシは、会社の独身寮のテレビで同期の連中と一緒に、「こんなの偽善だよなあ」などと言いながら、コンサートを見ていた。でも、少なくとも偽善は偽悪よりはマシであるし、何かをする人はしない人よりは志は高い。そして見終わったら、やっぱりちょっとだけ感動した。そして20年たってから、当時の雰囲気をちょっとだけ思い出して、少し幸福な気分になった。得体の知れない未来と違って、過去は確かである。良い過去を持つ者は幸いなるかな。
○ひるがえって、今日の世界は後の世の鑑賞に堪えるような感動を生み出しているのだろうか。今日は長女Kが、友達と一緒に『ハウルの動く城』を見てきたけれども、ワシ自身が見に行こうという気にならぬのは困ったものである。やっぱり精神が動脈硬化を来たしつつあるような気がする。むー。
<11月24日>(水)
○午前、岡崎研究所に集合して、日中安全保障対話のまとめの会。1時間半の座談会をやって、中国の動向から北朝鮮情勢、台湾問題、日中関係などについて。なかなかに興味深い話が出たなあと思ったら、テープが取れていなかった。うーん、身近な安全保障ができておらぬ。困ったものである。
○午後は国際問題研究所で、米大統領選の結果に関するパネルディスカッション。久保文明・東大教授、安井明彦・みずほ総合研究所主任研究員、中山俊宏・国際問題研究所主任研究員と私めの4人がパネリスト。こんな高度にオタクな会合に、60人以上も集まるなんてどうなっているのでしょ。つくづく2004年は、日本人が米大統領選にかつてない関心をもった年であったと思う。2時間たっぷり、エンジョイする。
○二つの研究所はすぐ近くである。この周辺はほかにも東京財団、世界平和研究所、日本国際フォーラムなど、外交安全保障関係のシンクタンクが多い。そこで「虎ノ門は東京のマサチューセッツ・アベニュー」などと呼んでいる。赤坂からは歩いていける距離なので、とっても助かる。お台場は遠くになりにけり。
○明日は内外情勢調査会の仕事で旭川に参ります。飛行機が早いので、明日は早起きせねばならぬ。それにしても北海道へ日帰りとはわれながらもったいない。
<11月25日>(木)
○ちょっと迷ってから、PCを持って家を出た。羽田空港の手荷物持込で、どういう扱いを受けるかなあ、と思ったら、案の定、「機械を通してよろしいでしょうか?」と聞かれた。試しに、「嫌です」と答えてみたら、「では、あとでスイッチを入れてもらいます」。そのままPCは機械をスルーして、立会いの人の前でスイッチを入れ、Windowsのロゴが見えた瞬間に「では、結構です」となった。ふーん、そうなんだ。エアラインはPCに化けた武器を怖れているのか。ひとつ学習。
○困るのはワシのPCはWindows 2000なので、立ち上がるのにとっても時間がかかるのだ。そのまま起動しつつあるノートパソコンを手に持ったまま、テクテクと90番搭乗口へと歩くのはちと変であった。が、ついでだから、ここでHPを更新しておこう。ただ今午前7時40分。8時10分発のJAL1103で旭川に行ってまいります。
○そういえば、伊藤洋一さんは昨日まで高知だったようで。こちらはこれから北海道です。向こうの気温は0度だそうだ。ひえええー。(7:40am)
○こちらは旭川空港。外は吹雪でございます。天気予報では、雪は午前中だけということだったのですが、午後になっても止まず、外は午後4時半にはほぼ真っ暗となっております。まだ11月だというのにこの有り様で、冬本番はまだまだこれからです。それだけに、梅と桃と桜がいっせいに咲き始める5月の連休頃は、春の訪れの美しさはひとしおであるとのこと。
○そもそも旭川は、屯田兵が開拓した土地である。街の歴史については、ここをご参照。北海道の中央に位置し、災害も少ない上川盆地は、明治の日本においては北方防衛における要害の地であった。そして今の旭川といえば、イラクに行った最初の部隊が所属した第二師団の所在地。つまり日本最強部隊のいる街。ひょっとしたら、日本でいちばん安全な町かもしれない。
○北海道にはありがちなことに、旭川の景気はよろしくない。有効求人倍率が0.39というから驚きだ。もともとが軍都なので、地元の産業はそれほど多くはない。公共事業の減少がもろに響いている。
○力を入れるとしたら、やはり観光ということになる。思えば今を去ること10数年前、かんべえが北海道を家族旅行したときは、日高ケンタッキーファームからレンタカーで北上したものの、富良野で予想外に時間をとってしまい(ワシは『北の国から』のファンであった)、結局は旭川に行くのは断念して札幌に向かってしまったように、今ひとつ「目玉」となるような観光資源に欠ける。・・・・と言ってしまうと気の毒なので、観光に関する情報はこちらをご参照。
○目下のところ、「旭川ブランド」としては「ラーメン」と「動物園」がある。仕事が済んでから、「ラーメン村」につれていってもらった。8軒ほどの店は、意外と流行りすたりが激しく、すでに何度か入れ替わったそうだ。「山頭火」で塩ラーメンを頂戴する。外は吹雪。北海道でラーメンを食うからには、やっぱりこういう環境でないと。
○さて、暇つぶしはこれぐらいにして、そろそろ搭乗手続きに行きましょう。PCはつけたままでいいのかな?(17:20pm)
<11月26日>(金)
○財政再建のために定率減税は廃止するけれども、景気対策として円高介入はするかもしれない、ってのはとっても変じゃないだろうか。増税は遅らせる代わりに、介入は自粛するという方が筋が通っていると思うけど。
○新防衛大綱が大詰め。陸上自衛隊の人員削減を憂える某自衛官OBいわく、「だったら、雪祭りの雪像作りに財務官僚を借り出したらどうだ」。くだらないと思われるかもしれないけど、気持ちは分かるぞ。
○三位一体改革は、2.8兆円の補助金減額で政府・与党が妥結とか。3兆円にはちょっと届かないけど、ほとんど満額回答でしょうなあ。この辺の落とし方が小泉流というか。
○と、ここまでは財務省に対する嫌味。後は他愛のないもの。
○心に残る幕の内弁当というものは存在しない。でも、人はベテランと呼ばれるような年頃になると、得てして幕の内弁当を作りたくなるのである。だって自分が上手に作れるから。そしてその頃になると、「それじゃあ駄目だよ」と言ってくれる人も周囲にはいなくなるのだ。
○かんべえの身の上には、米大統領選特需、みたいな日々が続いている。でも、あと1週間くらいですね。「えーっと、ブッシュに負けた人、何ていったかなあ、ほら、顎の長い人」。そんな会話が聞こえてきそうである。
○在米保守主義日本人さんからメール。「かんべえさんはいろんな場所に行けて果報者だ」。いや、ホント、そうなんです。あたしゃ本質的に出不精で、他人に指示されないと、自分から身体を動かそうとしない人間なんで。
○ジャパンカップ、ゼンノロブロイが本命とか言われてるけど、そんなに強い馬だったかなあ。シンボリクリスエスだって、1年目は3位だったじゃあないですか。今年は外国産馬だと思うけど。
<11月27〜28日>(土〜日)
○配偶者が「ドラクエ[」を買って来たので、ついつい後ろから覗いてしまう。思えばドラクエシリーズのために、合計何百時間を費やしたことだろう。話の設定は毎回変わるけど、スライムなどの愛すべきモンスターたちや、慣れ親しんだ音楽、それにときどき「ニヤリ」とさせられる会話などは、毎度納得のマンネリズムである。だんだんドラクエも「水戸黄門」の世界になってきたのかも。
○岡本呻也氏が編集長を務めるフィナンシャル・ジャパン、第2号になって初めて実物を発見。昔のエスクワィア日本版のように、贅沢な造りの経営雑誌である。志は高そうだが、いったいどんな人がこの雑誌を買うのだろう。これでは木村剛氏の広報誌と勘違いする人は後をたたんのではないだろか。
○明日は内外情勢調査会の仕事で宮崎へ。先週が旭川なので、このギャップはすごい。さて、宮崎って、何があったっけ。そういえばハラダ君の地元かあ。
○上海馬券王は日本における最後の投票を実施。明日は機上の人に。あらためて彼に贈る。
渭城の朝雨 輕塵を潤す
客舎青青 柳色新なり
君に勸む更に盡せ一杯の酒
西のかた陽関を出づれば故人なからん
(送元二使安西 王維)
<11月29日>(月)
○普通の人なら誰でもできることで、ワシができないことがいくつかある。「マイレージを貯める」というのもその一例で、今日は宮崎行きの便に乗るというのに全日空カードがない。JALカードは持っているのだが、先週、旭川に行ったときは忘れていたので、やっぱり貯まらない。そもそも、2000年のインドネシア行きや2002年のニュージーランド行きの際にも、たしかにワシはJALを使ったし、登録したつもりだったのに、今になってみると残っていない。責任者出て来い、といっても、おそらく悪いのはJALでも旅行代理店でもなく、ワシ自身なのであろう。クーポン券やら回数券の類を、今だかつて上手に使えた試しがないのである。
○ということで、夕刻、宮崎空港に到着。午後4時半といえば、旭川ではすでに真っ暗で、おまけに吹雪であった。ここ宮崎は、5時半になってもまだ明るく、気温も暖かい。そして空港の表玄関には南洋風の樹木が植えてあり、ちょうどロサンゼルスを思わせる光景である。つくづく日本は狭いようで広い。
○そのまま都城市へ行き、本日の分の講演。聞けば都城は、昨日が市長選で、多選の高齢現職市長を35歳新人が破ったところだという。内外情勢調査会の会員というのは、ほとんどが地元の名士の方々なので、市長選挙といえば非常に高い確率でどちらかの陣営に巻き込まれているはずである。おそらく本日は疲労困憊、という人たちを相手に、4週間前のアメリカ大統領選挙の話をする。われながら間の抜けた状況といえよう。自衛手段として、「米大統領選挙がもたらす今後の国際情勢」とか、「米国の分裂に見る日本社会の将来」みたいな方向に話をもっていく。心優しき都城市の方々は、結構、面白がってくれたような気がした。ワシの勘違いでなければ幸いなるかな。
○旅先ではいつも、時事通信の地元支局長さんのお世話になる。宮崎県で、今年一番のニュースは何か、と聞いてみたところ、「そうですねえ・・・・」としばし返事がない。強いて言えば、4月に行われた植樹際で、天皇皇后両陛下が来たことくらいだろうと。こういうのを聞くとほっとする。というのは、最近は全国各地で凶悪犯罪が多いので、通信社の支局の人はそっちで忙殺されている例が少なくないのである。たとえば茨城県だと、水戸も土浦も行ったことはあるけれども、あのときお世話になった支局長さんは今頃、どうなっているのだろう。本当にお気の毒という以外ない。取材される側はもっと気の毒であることはいうまでもないのだが。
○都城市から戻り、宮崎市のホテルに到着したのがもう午後9時近く。ハラダ氏推奨の焼き鳥屋に出かけるにもちと遅い。でも、せっかくだからと散策してみる。ここでも、インターネットを使えば10分で出来るリサーチをせず、ホテルのフロントで地図をもらうこともせず、いきなり外に出て歩き出してしまう。出不精人間は、こういうときは変に豪胆である。
○宮崎観光ホテルは大淀川という大きな川のほとりにある。この街の造りは新潟市に似ているようだ。JRの駅から川の近くにかけて街が広がっている感じである。とりあえず宮崎駅まで歩いてみることにする。1キロほど歩いた先にあったのは、妙にこじゃれた駅で、改札口が独特である。この辺、元新婚旅行のメッカの面目躍如たるところがある。よくあるのだ、「観光都市を目指しています」などといいながら、駅のトイレが汚いような町が。ここはさすがにそういうことはない。
○駅前の大通りは高千穂通りという。全体に宮崎市は道路が広くて立派である。表通りはさすがにもう閉まっている店が多いのだが、そこは蛇の道は蛇というもので、一番通りというアーケードに差し掛かったところでピンと来た。「ああ、この先に繁華街があるのだな」と。なるほどその先を行くと、呼び込みのお兄さんたちがたむろする通りがあった。それでも、怖いという感じではない。全体にsofisticatedな街である。地方都市にしてはタクシーが多いのも特色であろう。
○と、結局1時間程度で散策終了。ホテルについている温泉に入浴。温泉については、九州では大分や熊本が有名ですが、宮崎にもないわけではない。ほんのちょっと覗いただけですが、宮崎市はなかなかにくつろげるところのようですぞ。
<11月30日>(火)
○宮崎空港のコーヒーハウスで東京行きの飛行機の時間待ちである。太陽が燦々と降り注いでいるので、スーツの上着などはとても着ていられない。窓の外の緑は、高いものはパーム、低いものはソテツである。ここは南国。それにしても先週の旭川とは、なんという違いであろうか。
○空港内には、いろんな工夫を凝らした売店が並んでいる。現在の一番のお薦めは「焼酎」であろう。種類が多いこと、驚くほどだ。あるいは地鶏とか、「ざぼん」のようなフルーツが目に付く。しかし宮崎のお土産というと、福岡や熊本に比べると、強力なブランド力を持ったものがないような気がする。この辺、供給側の戦略ミスもあるようで、"Made
in Miyazaki"を示すブランドは、「宮崎」「日向」「高千穂」などが乱立していて、イメージが拡散している。
○誰もが知る通り、南国宮崎は、かつて新婚旅行のメッカであった。おそらくまだ外貨持ち出し制限のあった頃の話である。当時のタクシーの運転手さんたちは、月給袋に手をつける必要がなかったそうだ。新婚さんたちが渡してくれるチップや、土産物屋のバックマージンでいつも潤っていたという。「観光は儲かる」という原体験が、のちに「シーガイヤ」という巨大な観光施設が作られる遠因になったのかもしれない。
○そのシーガイヤ、リップルウッドが再生に乗り出したはいいが、案の定、苦戦しているらしい。「ハゲタカ」は日本の優良資産を買い叩き、いつもオイシイ思いをしているとお考えの向きには、これは「朗報」かもしれない。いくらカネを注ぎ込んだところで、「ターンアラウンド」が成功する保証はない。不良債権の買い付けを生業とするハラダ君も、「ゆめゆめ、オランダやらハワイやらマイアミに憧れて、投資、町作りをしてはいけない、とあらためて思います」と含蓄のあるメッセージを寄せてくれているぞ。
○宮崎はゴルフ場が多い。今月、タイガー・ウッズが久々の優勝を遂げたダンロップ・フェニックス、不動裕理と宮里藍が賞金女王を争ったLPGAツァーは、いずれもご当地で行われた。地元の人によると、後者は高麗芝を磨き上げたコースなので、賞金女王が意外なショートパットを外したのはそのせいであろうと。また、宮里藍が打ち込んだバンカーは、文字通り人の背丈ほどの高さにグリーンがあり、有名な難コースらしい。ゴルフが大好きという人は、晩年をこの地で過ごすのも悪くないだろう。
○問題は、かんべえがゴルフをやらず、焼酎も飲まない人であることだ。本屋さんがあって、競馬場が近くて、友だちが大勢住んでいるところ、というと、結局は首都圏から動かないんだろうな。ワシの場合は。(15:55)
編集者敬白
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by Tatsuhiko Yoshizaki