●かんべえの不規則発言



2012年3月






<3月1日>(木)

○今日は千葉「正論」懇話会の講師の仕事で海浜幕張へ。(と書いてから気づいたのですが、なんともう記事が出ておりました。恐るべし、産経新聞)。

○時節柄、産経新聞と言えば巷の噂になっているのが、「言うだけ番長との喧嘩はどうなったのか?」。いちおう与党の政調会長殿は、産経記者の「お出入り禁止」を黙認解除したようでありますが、朝日新聞社説や読売新聞「編集手帳」なども産経擁護に回り、いささか思惑とは違った模様です。「えー、最近世間を騒がせております、言うだけ番長のマエハラでございます」とでも言えば、彼も男が上がるのにね。

○先日も某政治記者がしみじみ言っておりましたが、「民主党議員の”愛されたい症候群”は何とかなりませんかねえ」。・・・ポピュリストというのか、それともナルシストというべきなのか、ちょっとでも批判されるとすぐに方針を撤回したり、逆切れしたりする人が多いのです。この世の中は、「悪名は無名に勝る」というくらいなんで、権力者は批難されるのが当たり前。若い政治家が、いつも周囲にチヤホヤされていないと落ち着かないというのは、まことに困ったものであります。

○日本政治の古きよき時代には、ベテラン政治家が好んで嫌われ役を買って出て、「泣いた赤鬼」における青鬼さんのような振る舞いをしてくれました。トップが「悪いのは全部俺だ、文句あるか」と居直ったり、「この通り土下座するから許してくれい」と悪者になってくれるからこそ、仕事が回るということがあるわけでして。逆に新聞に悪く書かれたからと言って、大臣が課長補佐を怒鳴ったりするようだと、組織としては最悪です。沖縄の普天間問題なんぞが典型ですが、嫌われ役の不在は得てして問題の迷走につながってしまうのです。

○その点でほぼ唯一の例外となっているのが、野田首相の「消費税」でありまして、政策としての善し悪しは別として、これは貴重な資質だと思います。少なくとも彼だけは、「自分が愛されなくても仕方がない」と自覚している。問題は総理の身代わりになろうという人が出てこないことで、その意味では「愛されたい症候群」というよりは、「嫌われたくないシンドローム」が問題なのかもしれません。

○竹島や尖閣諸島の問題においても、かつてはタカ派政治家が政府の外で怒りまくってくれるお陰で、韓国や中国に対する抑止力になるという面がありました。ところが今は、物分りのいい政治家が多くなってしまったので、結果として領土問題で相手方が強気になっている。結果として国益が毀損されますので、政治家の「愛されたい症候群」は厳に慎むべきではないかと思うのであります。


<3月2日>(金)

○大和証券CMさんで米大統領選に関するセミナーの講師を務める。考えてみれば、4年に1度、大統領選挙が来るたびにこの手の仕事をしている。大和さんでの講演は、これで通算4回目になるのだそうだ(もちろんワシ自身は自覚していない)。

○10年前ならいざ知らず、アメリカ政治を研究する俊秀がこんなに出てきている中で、なんでいつまでもワシがこんなことをやっておるのだろう。最近はアメリカにも行っていないのに。・・・と思っていたら、アンケートの反響が良かったそうなので、やっぱりもう少しやっていてもいいのかな。

○夜はラジオ日経の番組で、またまた米大統領選挙の話。いつもAM放送に出ている身としては、短波放送の世界はほとんど完全にネットに移行していることに新鮮な感動がありました。そりゃそうだ、短波放送のラジオなんて、ウチにもないぞ。てゆうか、どこに行けば売っているんだろう。

○こちらはFX企業が番組のスポンサーについているので、為替の観点から米国政治を語らなければならない。そうか、ワシは米大統領選と金融の世界のインターフェースを担当しているのか。ニッチなニーズですが、リピートオーダーがもらえる間はちゃんと務めさせてもらいますぞ。


<3月4日>(日)

○昨日は所用があって東大の本郷キャンパスへ。滅多に足を踏み入れる場所ではないので、ついついものめずらしく感じられる。

○安田講堂は、とっても古い建物である。よくまあこんな場所を占拠したり、放水したりしていたものだと思う。といっても、それは45年も前のことであった。よくよく調べてみたら、安田講堂が出来たのが1925年であるから、全共闘の事件当時はまだ出来て43年目であったのですな。なにしろワシが子供だった頃の古い話である。

○これを寄贈した安田善次郎は暗殺されている。寄付を断わられた相手が、逆恨みしたことが原因であったそうだ。彼が寄付した安田講堂や日比谷公会堂は、匿名で行なわれていたのである。享年83歳というから、思ったより長寿であった。

○石橋正二郎などもそうだが、昔の金持ちはずいぶんと寄付をしたものであった。まあ、当時の企業会計はどんぶり勘定だし、今ほど累進課税でもなかったし。それでも先日、訪れた「こんぴらさん」では、無名の人々による寄付を記した石碑が無数に建っていたのに驚いたものである。

○さて、本郷キャンパスの古い校舎のトイレに入ったら、こんな張り紙がしてあった。旧制高校のような味わいで、ちょっといい感じでありますな。


しずしずと一歩前進目を落とし 蛇口しごいて露落としけり


<3月5日>(月)

○先週、NHKの飯田香織キャスターと会ったら、知らないうちにブログに取り上げられていた。ギョッ。

○自分もよく、他人のことを勝手にこのサイトで書いてしまうことが多いのだけど、自分が取り上げられると軽いショックがあるものですな。まあ、テロリストがテロに遭うようなものなので、お互い様ですが。

○よくよく見たら、このBizスポブログは情報源として優れている。早速「お気に入り」に登録しました。でも、番組「Bizスポ」は1回も見たことがない、というのは彼女には内緒である。深夜はテレビよりもネットですわなあ。


<3月6日>(火)

○いよいよスーパーチューズデー。衆目の一致するところ、本日開票の10州のうち、最も重要なのはオハイオ州。世論調査を見ると、このところサントラムがちょっと失速気味なので、ロムニーにも勝ち目が出てきた。ここで勝てれば、後は楽である。ジョージア州は地元のギングリッチが勝つかもしれないが、それはまあ誤差の範囲内みたいなものでしょう。

○問題はロムニーさん、ブルーカラー層に人気がないということ。大富豪イメージがどんどん強くなって、先週行なわれた地元のミシガン州でもギリギリ3ポイント差の勝利だった。(ただし同州はOpen Primary方式なので、民主党員が大量に参加してサントラムに投票したとの観測あり)。

○やっぱりロムニーさん、「首切りが好きで、税金は15%しか払わない」というイメージが負の遺産になっているのだろう。製造業の多い中西部州は、毎回、大統領選の帰趨を決める重要目標なのだが、この辺はオバマの「金持ちから税金取ろう」攻撃が浸透している。結果として、2012年選挙はどんどんポピュリスト路線になっていくようでありますな。経済政策を考える上では、あんまり好ましいことではないと思います。

○まあ、明日の選挙結果を待つことに致しましょう。


<3月7日>(水)

○スーパーチューズデーの結果は以下の通りでした。

Candidate AK GA ID MA ND OH OK TN VT VA
Mitt Romney 33% 26% 63% 72% 24% 38% 28% 28% 40% 60%
Rick Santorum 29% 20% 17% 12% 40% 37% 34% 37% 24% -
Newt Gingrich 14% 47% 2% 5% 8% 15% 27% 24% 8% -
Ron Paul 24% 6% 17% 10% 28% 9% 10% 9% 25% 40%


(1)ロムニーがちゃんと勝った(5割以上取った)のは、@自分が知事をやったマサチューセッツ州(MA72%)、Aモルモン教徒の比率がユタ州についで高いアイダホ州(ID63%)、Bサントラムとギングリッチが登録できなかったヴァージニア州(VA60%)の3つだけで、この辺が"Mr.Landslide"(©ジョン・マッケイン、もちろん皮肉)の面目躍如であります。

(2)それ以外の州ではしっかり苦戦していて、注目のオハイオ州(OH)では38%対37%というギリギリの勝利でありました。ここは、むしろ負けたサントラムが「よくぞここまで」と褒められるパターンです。そもそも10州で同時に選挙戦をしていても、候補者の身体はひとつしかないわけで、今回はCMの量がモノをいったはずなのです。そして実際に派手に宣伝費を使ったのに、圧勝できなかったところに問題があります。

(3)ギングリッチの低調さも目立つ。地元のジョージア州(GA47%)はさすがに取れましたが、それ以外は軒並み3位に甘んじました。これで「保守候補はサントラム」という効果が定着したんじゃないかと思います。普通だったらここで撤退ですが、ご本人はこのまま残ってスーパーPACを使った「ネガティブキャンペーン攻勢」を続けたいと思っていることでしょう。そんなことしたって、何も得るものはないのにね。その辺の大人気なさが、ギングリッチその人であります。

(4)よくよく見れば、ロン・ポールもしぶとく生き残っている。この辺が2012年選挙の特色で、若者とネチズンとリバタリアンがしっかりと彼についている。共和党内の経済的保守派層は、ポールの独壇場になっている。このことは、後で意外に効いて来るかもしれません。


<3月9日>(金)

○外交専門誌『外交』の編集委員会。1年前から始めて、今日が最終回。少し名残惜しい。

○第1回会合は、昨年の3月14日に行なわれる予定が、震災で延期された3月18日だった。電車さえ走ってくれるか、どうか分からない時期であった。そして現在用意しているのは、「3・11から一周年」の特集号である。文字通り、「3/11で始まって、3/11で終わる」仕事であった。

○ということで、何かにつけて1年前が思い起こされるこの頃である。正直なところ、3月12日になったらホッとするかもしれません。たいした被害にも遭わなかった人間がこんなことを言うとバチが当たりそうだが、これも一種のPTSDなんじゃないかと感じる次第。


<3月11日>(日)

○昨日、出かけた政策分析ネットワークのシンポジウム「東日本大震災から1年」が面白かったので、以下は簡単なメモ書き。特に「民間事故調」の労をとられた船橋洋一さんの発言の中に秀逸なものが多かった。敬意を表したい。

●なぜ原発の安全規制は失敗したのか。「小さな安心」のために「大きな安全」を捨ててきたから。

●「原子力ムラ」は同質社会。内部で真剣な議論がない。多様性の欠如が問題だった。

●緊急災害の際に必要なものは"Surge"(増派)。今回、キチンと増派できたのは自衛隊だけだった。

●吉田所長の奮闘は光るが、日本の組織における現場力とは、つまるところトップの力量の欠如の裏返しではないか。

●ドイツが脱原発を決断した理由は"Inter-Generational Ethics"(世代間の倫理)にある。バックエンドのない技術を使って、後世に負担を残すべきではないという考えからだ。

○この「世代間の倫理」という面で、今の日本は完全に落第であって、ムラの論理を優先して後の世代に大きな負担を先送りしようとしている。もちろん財政赤字の問題もそのひとつ。近いところで言えば、「定年を65歳まで延長して、公務員の新卒採用は4割減らす」なんていう決定もその一環。最近は年寄りの自殺が減って、若者の自殺が増えてるそうですが、このままだと若者は年寄りの年金を払ってくれなくなりますぞ。

○もうひとつ、個人的にツボにはまったのは、「生活保護の比率は、大阪では100世帯に3つ、富山では1000世帯に3つ」という指摘。フェルドマンさんが「それは農業保護のせいじゃないか」と言ってたので、後でご本人を捕まえて、「富山の農業はそんなに甘くないです」と言っておきました。これってほとんど経済の問題じゃなくて、文化的差異のせいじゃないかなあ。「自助―共助―公助」でいうと、自助がやたらと強いお国柄ですので。


<3月12日>(月)

○一連の「3・11」関連コメントの中で、不肖かんべえがもっとも腑に落ちたのは、昨日の日経新聞に出ていたこのコメントでありましたね。

「今は予測が極めて難しい時代。将棋でいえば、5手、10手先を考えても仕方ない局面。とりあえず次の一手を考えて指して、相手の手を見てまた考えるしかない。将棋の場合、わけのわからない局面ではとんどもなく悪い手を指す可能性が高い。だから、いい手を指すより、悪い手を指さないことが重要だ」

「また、先が見えない場面では将来に出来るだけ多くの選択肢を残すことが大事。将棋でいう『含みの多い手』が望ましい。そういう意味で、(先々の政策を選挙の時点で固定してしまう)マニフェスト政治というのは、先の見えない今の時代との相性があまりよくない気がする」

○語り手はもちろん羽生善治さん。「含みの多い手」というのがいいですね。めでたく第70期名人戦挑戦者に決まりましたが、応援したいです。あ、ついでにNHK杯もね。

○こういうときに「グレートリセット」などと口走るのは、だいたいが悪手になるものです。ご用心。


<3月13日>(火)

○3月8日に発表された1月の国際収支速報値では、「1月の経常収支は▲4373億円!」ということがニュースになりました。過去最大ということで、ついつい警鐘を乱打するような報道になるのは、今の時期にはありがちなことです。

○でも、実は季節調整値では1156億円の黒字なんですよねえ。でもそんなの、普通の人は気づきませんわなあ。今年の1月は営業日が19日しかない特異な配列であったし、おなじみ中国の春節はあったし、1月は季節的に貿易赤字が出やすい月なんです。

○世間的には、「やっぱり経常赤字になるんだから、円安は確定だな」とか、「だから早く増税したほうがいい」などといった形で援用できるので、「1月は経常赤字!」というデータは好都合なんじゃないかと思います。これって、「悲観は気分から」の典型パターンでありますね。

○ちなみに所得収支は、相変わらず「月に1兆円強」のペースで黒字が続いています。直接投資のラッシュが続いているので、底堅く推移しています。今後、円安が進むとますます水ぶくれするでしょう。だから月間で経常収支が赤字になるためには、「毎月、貿易収支が1兆円以上の赤字」になることが必要なんです。

○確かに今年1月はそうでしたけど、よほどのことがない限り毎月は続かないと思うんですよね。まあ、イラン問題などで、石油価格が1バレル300ドルくらいになれば、まんざらない話じゃありませんけれども・・・・。少子高齢化で、内需もそんなに強くない今の日本経済で、輸入がそんなに増えるわけないのであります。

○ということで、いつものことですが、新聞の数字には気をつけましょう。

○ところで本日は講演の仕事で横浜のホテルニューグランドへ。何が驚いたといって、懇親会に黒岩知事が登場したことであります。ホントに知事さんやってるんだー、って、当たり前ですけど。挨拶では、「がれき問題の黒岩でございます」とご苦労が偲ばれました。お久しぶりと握手してきました。頑張ってくださいね。


<3月14日>(水)

○アメリカ大統領選挙におけるネガティブキャンペーンのCMには、1964年の"The Daisy Girl"、1988年の"Willie Horton"、そして2008年の"3am Phone Call"などの名作があります。2012年も、これらに匹敵する傑作が飛び出したようです。それがこれ、"Chinese Professor"です。

○2030年、すでにアメリカは超大国の座を滑り落ちている。なぜそんなことになったかといえば、オバマ政権が「大型景気刺激策」だの、「医療保険改革」だの、アメリカらしからぬことをやったからである・・・。「今や彼らは、中国に借金を返すだけの存在となった」と言って大学教授がニヤリと笑うと、つられて学生たちも哀れむようにゲラゲラと笑う。この後味の悪さが超一流です。

○未来SFとしての味付けもよく出来ています。ちょうどアップルの"1984"を髣髴とさせる感じです。小道具を上手に使って、「2030年、北京の大学」というイメージをかもし出していますね。

○しかもこのCM、セリフが全部字幕になっているから、簡単にパロディを作ることができる(例えばこれ)。これではユーチューブ上をにぎわすのも無理はございません。

Why do great nations fail?
The Ancient Greeks…
the Roman Empire….
The British Empire…
and the United States of America.

They all make the same mistakes
turning their back on the principles
that made them great.

America tried to spend and tax itself
out of a great recession.

Enormous so-called “stimulus” spending,
massive changes to health care,
government takeovers of private industries
and crushing debt.

Of course, we owned most of their debt…
so now they work for us.

Citizens against Government Waste


○いやあ、ユーチューブって本当に楽しいですね。ではまたご一緒に楽しみましょう。


<3月15日>(木)

○今日の午前、日本貿易会の貿易動向調査会で、今年度最後の会合。三井物産さんに引き継ぎまして、これにて小生の委員長のお勤めは終了。やれやれ、これで少し肩の荷が軽くなりました。

○思えば1年前は震災の直後で、引継ぎの会合さえ開けなかったのでした。そして春にはサプライチェーン問題の中で輸出はどうなるか、夏には原発が止まって燃料輸入はどうなるか、さらに秋にはタイの洪水の影響はどうでるか、最後はイラン核開発問題で原油価格はどうなるかなど、本当に話題の尽きない1年でありました。お陰で2011暦年は貿易収支が赤字になったわけですが、これは異例尽くしの1年の結果だと思います。トレンドとして定着はしないと思うんですよね。ま、少数意見ですが。

○と言ってる傍から円安が進んで、今日の為替は1ドル84円をつけました。日経平均も1万円台に。年初は1ドル77円の日経平均が8500円でしたから、受ける感じはずいぶん変わったと思います。今週ぐらいから、日経新聞の一面も妙にはしゃいだ感じになっております。現金なもんですなあ。おそらく年初の時点で、「今年3月には、為替は85円で株価は1万円」などと言ったら、「お前は甘い」という批判が殺到したことでしょう。エコノミストの言うことは、つくづく当たりません。

○それでも、気分が明るくなるのは結構なことでありましょう。今日は昼も夜も、「日本経済の行方」についてお話しする機会がありましたが、ポイントは「みんなが言ってるほど、ひどくないでしょ?」 悲観論は何も生み出しません。


<3月16日>(金)

○消費税増税をめぐる民主党内の議論は、今宵はどうやら収拾できなかったようです。増税法案の国会提出に向けて、党内の意見調整が必要とことなんですが、そもそも彼らは野党時代には、自民党の事前審査制がケシカランと言っていたはずなんですがねえ。まあ、与党になったら、自分の知らないところで物事が決まっては面白くない。特に消費税増税で有権者に文句を言われるとなると、せめて抵抗したポーズくらいは示さなきゃいかんという構図です。

○ただし焦点となっているのが、「景気が悪化した際の弾力条項」と、「消費税率を10%に上げた後の再増税」ということですので、普通であればこれはまとまるのでありましょう。党内反主流派も、本気で潰すつもりであれば、「新たな行革の数値目標」みたいに、もっと粘れるネタを探してくるはずです。その点、弾力条項も再増税も、文章表現次第でいつでも「打ち方やめ」が出来る話ですからね。ちょうどTPP交渉参加でもめた際に、「関係各国との協議に入る」という文言で対立を修復したのと同じパターンです。

○弾力条項にGDPの数値を使おう、というのもムチャな話でありまして、その場合のGDPは速報値なのか確定値なのか。どっちにしろ遅いし、後から改訂されるし、いかにも景気指標のことを分かってない人が言い出しそうな話です。

○こんな風になったのは、先日の野田=谷垣極秘会談のご利益でありましょう。皆が知っているけど「秘密会談」で、当人同士はそのことを否定していて、なおかつ政治的には絶大な効果がある、というのは、まことにもって不思議な効力というほかはありません。

○総理大臣と野党党首がこっそり会ったらしい。ということは、お二人は携帯番号を交換しているはずです。今頃、二人がしょっちゅう携帯で連絡を取り合ってるんじゃないか、と考えると面白いですね。野田さんは、「谷垣は俺の言うことを聞くぞ。いざとなったら話し合い解散で、小沢派を全滅させることができる」と党内に圧力をかける。他方、谷垣さんも、「俺はいつでも総理と連絡が取れるんだぞ」というポーズで、自民党内の求心力を持つことができる。

○もちろん政局は一寸先は闇でありますが、なんとなく増税が通ってしまうのかな〜という気がしてきました。


<3月18日>(日)

○坂野潤治先生の『日本近代史』(ちくま新書)。幕末の1857年から、開戦直前の1937年までの80年間の通史を描くという大変な労作です。ゆっくり読む時間がないので、いちばん気になる最後の部分を開いてみたら、こんな風に書いてあった。

3月11日の三重の国難を迎えて以後の日本には、「改革」への希望も、指導者への信頼も存在しない。もちろん東北地方の復旧、復興は日本国民の一致した願いである。しかし、それを導くべき政治指導者たちは、ちょうど昭和10年代初頭のように、四部五裂化して小物化している。「国難」に直面すれば、必ず「明治維新」が起こり、「戦後改革」が起こるというのは、具体的な歴史分析を怠った、単なる楽観に過ぎない。

○政治の危機に際して、「平成の龍馬よ出でよ」とか「白洲次郎に学べ」とかいう手合いの議論が、スパッと心地よく斬り捨てられています。そうだよね、今のタイミングで「維新」じゃないよね。「四部五裂化して小物化」している今の永田町の面々には荷が重すぎますわなあ。まあ、今の政界には少なからず「維新好き」の連中がいて、「船中八策」などと口走るわけですが、彼らの知識は所詮、司馬遼太郎の範囲を出ませんから。

○だったらどうするかというと、1週間前にこの欄で紹介した羽生善治二冠の知恵しかないと思うんですよね。

●いい手を指すより、悪い手を指さないことが重要だ


●将来に出来るだけ多くの選択肢を残すことが大事。将棋でいう『含みの多い手』が望ましい。

○喩えていえば、「脱原発」でも「即再稼動」でもなく、「エネルギーのベストミックス」を検討することが、「含みの多い手」ということになるのだと思います。こういう一手は、マスコミで誉められる事は少ないですけど、そこは我慢するしかありません。もう少し世の中の動きが落ち着いてきて、政界にちゃんとした顔ぶれが出てくるまでは、「維新」や「改革」は望み薄だと思うのです。

○その羽生さんは本日、NHK杯を4連覇。通算ではこれが10勝目。とうとう初の「名誉NHK杯選手権者」になりました。それにしても、トーナメント方式で4連覇ってどれだけ強いんだよ・・・と呆れるほかはありませんが、渡辺竜王を倒した今日の決勝戦は久々に見惚れてしまいました。


<3月19日>(月)

○先週、某所で「リフレ論」をテーマとする勉強会をやった。まあ、それは良かったんだが、終わってから近所の「T」というチェーン店で一杯やろうとしたら、ここが2500円で飲み放題で、なおかつ食事は先付け2種類に、鍋があって、さらに二品ほどついて、ご飯ものもあって、まことに堂々たるラインナップであった。

○どう考えても、これはデフレである。30ドルでこれだけ飲み食いできる場所は、世界でもそんなにないだろう。ということで、デフレメリットを享受してしまうために、ますますリフレ論から遠ざかってしまったのであった。似たような人は、少なくないのではないだろうか。


<3月20日>(火)

○今朝の「くにまるジャパン」でもお話しましたが、日本貿易会が来週、「総合商社の研究」出版記念シンポジウムを行ないます。あらためてご紹介。

1.日時 平成24年3月27日(火)14:00〜16:00(開場13:30)
2.場所 東京商工会議所4F 東商ホール 東京都千代田区丸の内3丁目2-2
TEL:03-3283-7680 <代表> (東京メトロ千代田線 二重橋前B7 出口)
3.テーマ 「総合商社原論−未来へ向けた商社のアイデンティティの再確認−」
4.モデレーター 日高敏充 氏   (株)三井物産戦略研究所副社長(特別研究会座長) 
5.パネリスト
田中隆之 氏    専修大学経済学部教授(特別研究会主査)  
大島久幸 氏    高千穂大学経営学部教授  
吉崎達彦 氏    (株)双日総合研究所取締役副所長チーフエコノミスト(特別研究会委員)  
6.参加費 無料 
7.申込み 3月23日(金)までに下記申し込みフォームにてお申し込みください。
定員(400名)になり次第、締め切らせていただきます。


○1年半くらい、貿易会内部で議論を重ねてきた研究プロジェクトで、この成果をまとめた単行本が、間もなく東洋経済新報社から出版されます。田中隆之著『総合商社の研究〜その源流、成立、展開〜』です。商社の研究というのは意外と少ないもので、本書はかなり包括的なものになっていると思います。

○ふと思い出したのですが、中学だか高校だかの頃に、『ニッポンの総合商社』という本を持ってたんですよね。手元に残ってませんし、何でそんな本を買ったのか、今となっては見当もつかないんですが(当時の1200円は高かった)、後年、商社に勤務することになった理由の一つは、書棚にそんな本があったからなんだろうと思います。若い頃の思い込み、というのは面白いもんですな。

○先週、事務局で聞いた話では、「お陰さまでもう300席以上埋まりました」と言ってましたので、まだ少しは席があるみたいです。ご関心のある向きは、どうぞお出かけください。


<3月21日>(水)

○以下は今朝の産経新聞にあったベタ記事。あたしゃ吹き出してしまったな。


■岡田副総理、小沢氏の無罪期待

 岡田克也副総理は20日、甲府市内で記者団に対し、資金管理団体の土地購入をめぐる事件で4月26日に東京地裁の1審判決が出る民主党の小沢一郎元代表について「もちろん小沢先生が無罪を勝ち取られることを強く期待している」と述べた。


○なぜこのコメントがニュースなのか。きっとこの記事を書いた記者は、「犬が人を噛んだ」ではなく、「人が犬を噛んだ」と感じたから、配信したんでしょうね。そこの感じ方が面白い。いや、好判断だと思いますよ。

○ついでに言えば、今朝のモーサテで流れたこのニュースも、素晴らしいベタ記事だったと思う。


■ギリシャ、国債償還乗り切る

ギリシャは20日、EU=ヨーロッパ連合などからの第二次金融支援や民間の金融機関の債務削減受け入れを通じ国債の大量償還を乗り切りました。ギリシャの財務省関係者によりますと、EUなどからの今回の支援額は75億ユーロ=およそ8,300億円でそのうち6割が国債の元本償還金の支払いにあてられたということです。


○軽〜く言ってますけど、「3月20日、ギリシャは国債の大量償還をどうやって乗り切るのか」というニュースを、年初から何度繰り返したことでしょう。その3月20日が何事もなく過ぎた。これって大ニュースだと思うのですが、いい話は扱いが軽くなります。ええ、それはもう、「手術は成功しました」というと単なるベタ記事ですが、「手術が失敗しました」というと天地がひっくり返ってしまうのと同じであります。

○今朝、来週の打ち合わせに見えた滝井キャスターに、「あのニュースはすごいことだよねえ」と言ったら、「自分でも読んでて、こんなんでいいんだろうか、と思いましたよ」と言ってました。

○ということで、ベタ記事おそるべし、という話でありました。


<3月22日>(木)

○講演で京都へ。本当は昨年9月に行く予定だったのに、台風でたどり着けなかったために流会になった、といういわくつきの会合である。当方としては、「あれに懲りず、よくまあ呼んでいただきまして」と感謝するほかはない。リピートオーダーをいただけることは幸いなり。

○ふと見回すと、京都の町は全国チェーンの店でも、看板がさりげなく控え目になっていて、その辺はちゃんと配慮がされている。それもそのはずであって、京都が普通の地方都市であっては、わが国としても困るのである。

○加えて京都の企業というのがなかなかに芸達者で、ハイテク産業から伝統工芸まで、色とりどりに揃っている。ということは、経営者も曲者揃いということであろう。しかも稲盛教祖様が典型だが、余所者をしっかり取り込んで大企業に育てるという伝統がある。

○もっと言うと、大学の先生方がまたもっと曲者揃いで、そういえばあの人もこの人も、ここに住んでいるんだなあ、ということに思いつく。そうか、もっと深く掘り下げなければならないと思うのだが、本日も日帰り出張で、長居することができないのであった。今後の課題ということにしておこう。


<3月23日>(金)

○今年は日中共同声明の40周年で、いろいろイベントが予定されています。そのキックオフミーティングが2月にあったんだそうですが、日本側に重大な瑕疵があったというのです。

○それはイベントに花を添えるためにAKB48を呼んだところ、来てくれたのがなんと20番台以降のメンバーであったのですと。序列社会の中国を相手に、これはいけません。ちゃんと前田敦子とか大島優子とかともちんとかを呼んで、「これがAKBの常務委員会ですぅ〜」とでもやらないと、日本側が中国を軽く見ているというネガティブなメッセージを送ってしまうことになるのです。

○いやしくも「日本のソフトパワー外交」などというテーマを掲げるのであれば、これはいけません。関係者の猛省を促したいところです。あ、そうそう、かねて当欄の持論であるところの男性ユニット、「梁山泊108」を日中芸能界のコラボで作る、なんていうのも面白いんじゃないでしょうか。


(後記:下記の記事を見ると、板野友美、梅田彩佳、横山由衣が入っていて、9位、19位、22位ですな。ちょっと情報が不正確でした。失礼致しました)。

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=59098 


<3月24日>(土)

○渡辺将人『分裂するアメリカ』(幻冬舎新書)から、いくつか感心した箇所のメモ書き。

●近年のアメリカではトクヴィルの言説がとりわけ保守系の政治家に、安易に断片的に引用される傾向が目立つ。「トクヴィルに触れておけば、保守言説に輝きが増す」といった感覚でスピーチライターが乱用する。(P27)


●「共和党がマルコ・ルビオ(上院議員)を副大統領に選んだとしましょう。南西部のメキシコ系は彼を仲間だとは見なしませんね。彼はキューバ系です。それにエリートです。大半のメキシコ系にとって彼はほとんど白人なのです」(P79)


●「1つ言えるのは、オバマはリストを明確に持っていること。そしてそのリストは、今までできなかったこと、クリントンもできなかったことに焦点を絞っている。中東和平について言えば、これまでブッシュもクリントンも、政権末期になって突然始めて失敗している。だから政権の早い段階で手をつけることにこだわったはずです」(P115)


●自由への渇望とそれを実現する手段として銃が歴史的に深く関与してきたことがリンクしている。そして銃を放棄することは、彼らにとって事実上の「武装解除」であり、根本的な権利を奪われ、精神的に去勢されるに近い問題なのだ。(P123)


●「保守的な視聴者にターゲットを絞ったことで、忠誠心の高い視聴者が生まれました。忠誠心の高い彼らは、オバマやペローシやリードがいかに酷い連中であるかということを聞きたがるのです」
 こう述べるペイロニンは、FOXの番組は「ニュース」ではなく「政治」を商品化したことが高視聴率と経営の安定に寄与したと明かす。
「CNNの視聴者は、平均7分しかチャンネルを合わせないのです」(P172)


○ほかにも、カール・ローブが若い頃から共和党の運動に参加したとき、参考にしたのがコミュニティ・オーガナイズの創始者、ソウル・アリンスキーの『ラディカル達のための法則』であったとか、ジョン・エドワーズの秘書の告白とか、ふかく感心するようなネタが満載。勉強になりました。

○ついでにこちらのリンクもご紹介しておきましょう。「アメリカ大統領選挙UPDATE4」です。

http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=927 


<3月25日>(日)

○もうほとんど忘れられている感がありますが、共和党予備選はまだやってます。3月24日はルイジアナ州予備選。どうやらサントラムが勝ったみたいです。ロムニーさんはやはり南部では人気がありません。なかなか決まりませんなあ。

○ちなみに今後の日程は下記の通り。実はまだ半分近く残っているんです。

4月3日:ウィスコンシン(42)、メリーランド(37)、 DC(19)
4月24日:ニューヨーク(95)、ペンシルバニア(72)、コネチカット(28)、ロードアイランド(19)、デラウエア(17)
5月8日:ノースカロライナ(55)、インディアナ(46)、ウェストバージニア(31)
5月15日:ネブラスカ(35)、オレゴン(28)
5月22日:ケンタッキー(45)、アーカンソー(36)
5月29日:テキサス(155)
6月5日:カリフォルニア(172)、ニュージャージー(50)、サウスダコタ(28)、モンタナ(26)、ニューメキシコ(23)
6月26日:ユタ(40)

○と言いつつ、現在はロムニー563対サントラム263のダブルスコアですから、これから先の逆転は大変です。かといって、サントラムの戦意は衰えていませんし、ギングリッチやポールも撤退する気配がありません。皆さん、「8月27〜30日、タンパで行なわれる共和党大会までやるぞ!」と言ってます。このまま見せ場もなく、ダレた戦いが続きそうな予感。

○この間、オバマ大統領は韓国を訪問し、南北境界線を初視察しています。この後は核サミットに参加し、胡錦濤さんやメドベージェフさんとの会談に臨む予定。このままじゃいけないことは自明なのに、動きが取れない共和党。なんだか今の日本にちょっと似ているような・・・・。考え過ぎか?


<3月26日>(月)

○今朝は「モーサテ」出演のために、午前4時半に家を出たのでありますが、この時間の国道16号線がこんなに混んでいたのを見たことがありません。大小のトラックがぶんぶん走ってました。さすがは年度末であります。

○今年は曜日の配列が特殊で、ちょうど土曜日で年度末が来る。だから事業者としては、なるべく今週中に品物を納入して、「支払いは現金でお願いします」という動きがあるのだそうです。そうすれば、バランスシートの中身が良くなりますからね。

○そんな複雑な話ではさておき、最近の首都圏はどこへ行っても道路工事が多いです。これは古典的な年度末の風景といえましょう。

○で、その31日には、東京で桜が咲くようです。去年は花見どころではありませんでしたから、今年は少しはエンジョイしたいですね。


<3月27日>(火)

○日本貿易会の「商社原論研究会」の出版、ようやく先週末に本が出来てきました。ちゃんとアマゾンにも乗っています。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4492762035 

●総合商社の研究―その源流、成立、展開
田中 隆之 (著)

価格: ¥ 1,890 通常配送無料 詳細
単行本: 280ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2012/03)
ISBN-10: 4492762035
ISBN-13: 978-4492762035
発売日: 2012/03
商品の寸法: 19.6 x 14 x 3 cm

○本日は東商で出版記念シンポジウムをやりました。会場に用意した本100冊はきれいに売れました。著者の田中先生(専修大学教授)は、来週からサバティカルでロンドンに赴任。座長のH氏は今週一杯で転職されて、4月からは新天地に向かわれるとのこと。なんとギリギリ年度末に間に合ったのでした。

○1年半かけて、「商社とはなんぞや」という「そもそも論」を議論してきた成果であります。これでしばらくは、「総合商社について知りたい」と言われたときに、「あの本読んで」と答えることができます。ということで、ご紹介と宣伝まででした。


<3月28日>(水)

○昨晩は「商社原論研究会」の打ち上げ。今宵は『外交』の編集委員会の打ち上げ。それが終わってから、「貿易動向調査会」の打ち上げに合流。年度末に、打ち上げのハシゴをしている。連日、よく飲んでます。

○うーん、いろんな仕事が終わるなあ。といっても、別に新年度から暇になる、というわけでもない。あらためて数えてみると、いろんな仕事を掛け持ちしている。と言っても好きでやってるというよりは、頼まれたものを右から左へと片付けているに過ぎない。自分でやろうと思って始めたものはと言えば・・・・・あ、1個だけか。

○ということで、おそらくはたいした節目もなく、週明けには新年度を迎えることになる。よう候。

○『外交』はちょうどVol12号が出たところ。ちょうど「3/11」の直後に始まったこの仕事の最終号は、「3/11から一年、日本はどう変わったか」の特集です。お奨めは五百旗頭真先生の巻頭論文、それから原発問題を取り上げている斉藤誠論文ですね。自分では満足のゆく号に仕上がっています。

○この雑誌、出てから半年たつと、外務省HPでPDFファイルで公開されます。ちょうど1年前に初めて手がけたVol.7「東日本大震災 日米同盟と国際協力」が公開されています。この後、順に6冊の号が公開されていきますが、基本、タダで読めますのでご推奨。もう買ってくれなんていいませんから!


<3月29日>(木)

○<問い>次に挙げるものの共通点は何か。(20点)


●ビスタ(トヨタ)、マーチ(日産)

●東北新幹線、上越新幹線、中央自動車道

●キャスター(JT)

●CDプレーヤー(SONY)

●笑っていいとも(フジテレビ)

●「コボちゃん」(読売新聞)


○答えは「1982年に誕生したもの」です。つまり上記は全て、今年で30周年になるんですねえ。

○その一方で、1982年に誕生したものの中で、ホンダのプレリュードはなくなってしまい、NECの「PC-9801」は産業廃棄物となり、電電公社の「カード式公衆電話」は駅前でも見かけなくなり、日本石油の「日の出マーク」は2001年から「ENEOS」になってしまいました。そりゃあ、そうでしょう。30年と言えば"Generation"(一世代)ですがな。無事に続くこと自体がめずらしい。

○ということで、タモリと植田まさしは偉いと思います。だって30年ですよ。


<3月30日>(木)

○南シナ海への中国の進出に関する備忘録。

1.「主権の問題だ」と言いつつ、少しずつ出てくるのが中国海軍。でも本当の狙いは基地を作ること。すなわち南シナ海を「Anti-Access」ゾーンにして、米軍などが入って来れないようすること。

2.ASEANは一枚岩になって中国に対抗しようとしている。でも、ここで「中国対ASEAN」の妥協が成立するようだと、それはそのまま東シナ海にも適用されかねない。ゆえにここは、あくまで「国際ルールの適用」(ex:航行の自由)でなければならない。

3.ベトナムやインドネシアがASEAN議長国になっている間はいいが、今年はカンボジア。ましてミャンマー当たりともなると、地理的な関係から南シナ海の安全に対する関心は薄い。というか、深刻さが分かってもらえない。ましてラオスのような内陸国もある!

4.中国国内の内紛が、この問題にも影を投げかけている。利益団体の抗争が激しく、人民解放軍と中国共産党と改革派と国有企業が入り乱れている。ということで、これから先がどうなるかはサッパリ分からない。

○今のところ、ヒラリー・クリントン国務長官は上手に対応しているように見えますが、オバマ政権の2期目になったらどうなるかは分かりませんぞ。

○ついでにこちらもご参考まで。

●小谷哲男「中国が尖閣諸島にこだわる理由」 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1761 









編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki