●かんべえの不規則発言



2009年9月






<9月1日>(火)

○今朝のスポーツ新聞各紙の一面見出しを見ていて、ふと違和感を感じました。各紙が取り上げていた話題は、「押尾学容疑者が釈放」が2紙、それから「楽天監督に東尾氏」が2紙、それからサッカーの岡田ジャパンに出場辞退者が出たという話。ぶっ飛んでしまったのはデイリースポーツで、「絶対3タテや!真弓虎がヤクルトと決戦」というもので、この異次元ぶりには阪神ファンとしても深くうなだれるしかありません。これでホントに阪神がヤクルトを逆転して、CSに出ることになってしまったら、とっても恥ずかしいんじゃないだろうか(でも喜んでしまうかも)

○何が言いたいかというと、今朝はたいしたニュースがない日だった。にもかかわらず、総選挙から2日たったら、もう政治の話が消えてしまった。「鳩山政権が誕生へ」みたいなことを書いても、おそらく新聞は売れない。政治に対する関心はそれほど高くないし、鳩山新政権への期待度もあまり高くない。2001年の小泉政権発足当時と比べると、その差は歴然としている。なにしろあのときは、ワイドショーもスポーツ紙も連日のように「小泉が、真紀子が、抵抗勢力が、」と取り上げていた。あの当時、政治ネタは掛け値なしに面白かったのだ。

○それに比べると、鳩山政権の発足はボルテージが低い。皆が「どうせ他人事」だと思っているんじゃないだろうか。例えばNYTimes紙の寄稿は、いろんなところで懸念を呼んでいるけれども、鳩山さんのために弁護しようとしている人をほとんど見かけない。日本の新指導者が、海の向こうで「反自由化論者ではないか」「チャベスみたいな男なのか」という反響を呼んでいるということは、明らかに国益を損ねていると思うのだが。

○リーダーシップの欠如ということをよく聞く。日本政治は堕落した、とも言われる。実はリーダーシップよりも、フォロワーシップの問題が大きいのではないだろうか。どんなにひどい資質の首相であっても、周囲が支えなかったら国家の体をなさなくなる。そしてまた、周囲が盛り上げるからこそ、ときとして指導者は成長してくれるのである。小泉さんは、明らかに途中で大化けした。ところがその後の首相に対しては、皆が「お手並み拝見」とばかりに無責任モードである。これでは首相使い捨ての連鎖が止まらない。

○選んだ側にも責任がある。ましてそれが308議席の大差なのだから、支持者も民主党スタッフも、官僚もメディアも、もうちょっと「われらが総理」を気にかけるべきではないか。スポーツ紙が率先して見放すというのでは、政権交代後の日本は明るくなさそうであるぞ。


<9月2日>(水)

○日本の総選挙の結果について、海外メディアがいろんな風に論評していますが、これがいちばん秀逸だと思いますね。Financial Timesの論説(9月1日)ですが、今はJBPressという、まことにありがた〜いサイトがあって、全部を翻訳で読むことができます。下記をご参照。

●確信できる日本の継続性〜日本の「革命」に期待してはならない理由

○原題名の"Japan's continuity we can believe in"とは、オバマの選挙スローガンだった"Change we can believe in"をもじったものでしょう。日本がこれからやろうとしているのは、「変化」ではなくて「継続」である。民主党政権になったからといって、革命が起きるわけではない。また、長らく続いた自民党時代にも、「変化」がなかったわけでもない。結局、日本という国は「継続」が得意な国なのである。

○その証拠に、「失われた20年」などというけれども、日本は結構、うまくやってきた。経済はいまでも世界第2位のままだし、失業率も低い。東京の飯は旨いし、最近はサッカーも強い。高齢化への対応策など、欧米が見習うべき存在かもしれない。こんなに不況が続いたら、欧米ならとっくの昔に「過激な政治的主張」が頭をもたげてくるはずのところ、日本はまったくそうなっていないではないか、というご指摘である。本稿の日本に対する観察の鋭さ、これはちょっとしたものではないかと思います。

○日本はこれまで、政策の変更の必要が出てくると、自民党総裁選でうまく方向転換を行なってきた。実際、野党に政権担当能力がないのだから、自民党内の派閥間の擬似政権交代で済ませるしかなかった。1998年の「凡人、軍人、変人」の争いでは、経済政策を改革路線から財政支出拡大への切り替えた。2001年の「橋本vs小泉」の戦いでは、大きな政府から小さな政府へと舵を切った。いずれも立派な「変化」である。ただしこれらは「革命」ではなく、「継続」のための方便であった。

○ところが時代は移り、自民党の総裁選挙が機能しなくなってきた。2006年、2007年、2008年と3回連続で、政策の軸を決めるのではなく、単なる「選挙の顔選び」のための総裁選をやってしまった。結局、小泉路線を踏襲するのか是正するのかさえ、まともな党内議論ができなくなってしまった。その間に野党の民主党が着々と力をつけ、いよいよ政権を奪うまでに成長した。ということで、いよいよ日本も政権交代によって政策を変更する段階に到達した。そうだとしたら、これから先に待ち受けている「変化」というものも、けっして日本という国が持つ「継続性」を上回るものではないだろう。

○そういう視点から見ると、今朝の新聞に出ていた朝日、読売、共同の世論調査の結果が、非常によくわかる。これら3つの世論調査は、質問や答えの形式によって微妙に数字は違っているけれども、ほぼ同じような答えになっている。(同じ方法でやっているから、同じ結果が出る!)

●今回の選挙結果はよかったか、よくなかったか?

  朝日新聞 読売新聞 共同通信
よかった 69% 68.3% 49.2%
よくなかった 10% 16.1% 7.8%
どちらともいえない 14.1% 42.3%


●民主党新政権に期待するか?

  朝日新聞 読売新聞 共同通信
期待する 74% 70.9% 71.1%
期待しない 17% 23.3% 20.2%


○つまり、今回の選挙結果に有権者はほぼ満足しているようだ。しかるに民主党の政策に満足しているかと言えば、そうでもないらしい。

●民主党が大勝したのは政策が理由か(朝日新聞)

そう思う 38%
そう思わない 52%

●子供手当てに賛成か(朝日新聞)

賛成 31%  反対 49%

●高速道路無料化に賛成か(朝日新聞)

賛成 20% 反対 65%

●民主党は政策を実現できるか(読売新聞)

かなり実現できる 4.0%
ある程度実現できる 49.6%
あまり実現できない 41.3%
まったく実現できない 3.0%
答えない  2.2%

○それどころか、民意は自民党の復活にも期待を寄せている。

●自民党は立ち直ってほしいか(朝日新聞)

立ち直ってほしい 76%
そうは思わない 17%

●自民党は再び政権を取ることができるか(読売新聞)

できる 65.8%
できない 18.9%

○まさに変化ではなくて継続。このように考えると、鳩山新政権誕生への静かさがよく理解できると思うのです。


<9月3日>(木)

○今回の選挙報道では、NHKが民放に視聴率で負けるという前代未聞の事態がありました。午後9時台、日本テレビが26.4%でNHK総合の21.9%を大きく引き離しての勝利であった由。ただしその理由は簡単で、24時間テレビのフィナーレを引きずったから。イモトアヤコがゴールインした9時14分には、最高視聴率39.0%を記録したと聞くと、「歴史的」な選挙結果も形無しである。こりゃもうどういう世の中なんだと呆れるほかはない。

○そうかと思うと、先日の朝生の視聴率が4.4%もあったそうだ。今年2番目の高さであるという。地味なテーマで、学術的な議論の応酬もあったのに、大健闘でありましょう。というか、ワシ的にはあの時間帯に起きている人がそれだけいるというだけでも驚きである。だいたい周囲の話を聞くと、ビデオで見ている人がほとんどである。朝日ニュースターで再放送を見るという手もありますぞ。ということは、いったいどれだけ大勢が見ているのか。

○ちなみにウチのテレビでは、夜になると非常に高い確率で衛星放送ないしはBS放送を見ております。地上波は、バラエティ番組ばかりで見ていられない。そして昨今の野球中継は、もっぱら衛星放送とBSが頼りである。ちなみに今日のタイガースは、ヤクルト相手に三タテならず、であった。ちょっと残念だが、本当に勝っていたら、いささか強欲過ぎるという気もする。さて、明日のデイリー・スポーツはどう書くのかな?

○最後に宣伝です。明日、9月4日夜のかんべえは、BS11のINsideOUTに登場します。「民主党連立政権の経済政策を問う」というテーマです。それから9月7日夜は、BSフジの PRIME NEWS に出る予定。こちらは初めてです。BSの番組は、地上波に比べて尺が長いんで、出る側としては非常に贅沢な感じがします。ごく少数の方々にだけ、お付き合いいただければ幸いです。


<9月4日>(金)

○そろそろこの問題を考えてみましょう。「どうやったら自民党を立て直すことができるか?」

●真正・保守政党として再出発する。8月15日には全議員が靖国神社に参拝する。党の総裁には稲田朋美氏が就任し、「頑固に改憲、元気に軍備」を合言葉に、民主党政権の主張にはなんでも反対。保守政党としての筋を通す。

――「21世紀の社会党」になってしまい、勢力衰退の道をたどる怖れあり。

●地域政党としての再生を図る。自民党は実は西日本では負け渋っているので、党本部を九州に移転し、東日本で強い民主党に対抗する。もちろんマニフェストの第一条は、「京都への遷都」である。

――日本は東軍と西軍に分かれて「応仁の乱」になってしまうかも。もう「赤いアメリカ、青いアメリカ」を笑っていられない。

●大胆な人事を行なう。この期に及んで、120人しかいない衆議院議員のうち、4人もいるような元首相が暗躍するようでは前途は暗い。当選回数7回以上の人は無条件で総裁選出馬を辞退するように。

――「平時の谷垣、乱世の石破、大乱世の河野太郎」という言葉を、どこかで聴いたような気が・・・。

●「没落した名門」を立て直した過去の事例に学ぶ。まずは巨人軍の原監督を呼んで、ご意見を拝聴してはどうか。もっとも、これはCSが終わってからにした方がよいかもしれない。ひょっとすると阪神の猛チャージが・・・・・(ないない!)

――外部講師としては、『会社は毎日、つぶれている』の著者、西村英俊もお薦めします。

●まず、組織全体で笑いを取り戻す。組織が暗くなっているときこそ、ユーモアを大切に。

――今日の全国幹事長会議では、某県代表から「これからは陳情はどうすればいいのですか?」という質問が飛んだとか。なんという与党ボケだ、などと暗くなることなく、明るく笑い飛ばしましょう。


<9月6日>(日)

○よくよく見たら、なんて長い名前だったんだろう。今日、行って来たのは、「日経 ライフプラン充実プロジェクト キックオフセミナー」でした。「人生を実りあるものにするためのお金のはなし」という題名もついている。新しい日経ホールのキャパシティは500〜600人なんですが、なんでも2000名を超える方々からの応募をいただいたそうです。高いご関心をいただきありがとうございました。

○いろんなところで講師をやっておりますが、これまでの私の体験から行くと、「日曜日のお客を笑わせるのは難しい」のです。平日のセミナーというのは、皆さん、何かしらの共通項を持っていることが多いので、会場に一体感ができやすい。ところが日曜日のセミナーは、それぞれあまり縁のない人たちが集まってくるので、ひとつの方向に関心を集めることが難しいのです。で、「ここは受けるだろう」と思っていたところで会場が静かだったりすると、話し手は密かにダメージを受けます。笑いがなくても、こちらの発言に静かにうなずいている人を見つけると安心します。その辺はかなり単純です。

○ところが私の次の講師の生島ヒロシさんは、冒頭に「こんにちは、みのもんたです」と言って外した後に、「身体にいい体操をしましょう」とか何とか言って、見事に会場全体を乗せてしまいました。うーん、プロの仕事だ。・・・って、これは簡単に真似できることではない。

○そういえば講師の仕事、年内まだ20個くらい受注残があったはず。新型インフルエンザになったら各方面にご迷惑がかかります。気をつけなければ。


<9月7日>(月)

○永田町界隈では、「来年の参院選に向けての戦いはもう始まっている!」という声がもっぱらであります。そこでこのページを覗いてみました。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/171/giinsu.htm 

○そしたらなんと、新しい与党会派であるところの「民主党、新緑風会、国民新、日本」は118議席と、参院242議席の半分に残り3議席と迫っているではありませんか。あとはほんのちょっとの努力で、社会民主党・護憲連合の5議席は不要になってしまうのです。いやー、知らんかった、気がつかんかった。このこと、みずほたんは気づいているのでしょうか。

○しかも参院には欠員が2議席あります。10月25日には、静岡県と神奈川県で補選が行なわれます。両方とも、元は民主党の議員が辞職した議席ですから、ここは取れる可能性が大でありましょう。そしたらもう120議席。ここで「リーチ!」という声がかかるかもしれません。甲子園球場であれば、「あと一人」コールが始まるところ。いろんなルートで、民主党への脱走兵が出るのではないのかなあ。

○今頃になって気がつきますが、衆院選の直前に田中真紀子衆議院議員が民主党に入党したのは、当時は「外相狙い」などと言われておりましたが、それは噴飯モノの新聞事例。真の狙いはご主人の田中直紀参議院議員の1議席だったのですね。恐るべし小沢戦略。「来年の参院選をよろしく」などと言いながら、もっと手前を見ているんじゃないだろうか。


<9月8日>(火)

○なんだか急にどーっと疲れがでてきました。本日発表の「8月景気ウォッチャー調査」は2ヶ月連続のマイナスに。このままDIが50を超えられないままに、景気は腰折れしていく気配がします。いつものことながら、景気下降する局面になると「なるほど」と感じさせられるコメントが増える。印象的なものをちょっと抜書きしておきましょう。冷夏、インフルエンザ、政局などがマイナスに働いているようです。


●月末の総選挙を控えて法人客の動きが鈍い。(北海道=観光型ホテル)

●一度引き下げた弁当の単価を上げるのは難しく、売り上げは低迷する。(東北、その他飲食)

●考えられないような価格を提示する会社が出ている。(北関東=窯業)

●客の中で景気のよい業種がなくなってきた。(北関東=旅行代理店)

●天候不順により、客は夏物セールにまったく興味を示さない。(南関東=衣料品専門店))

●客は政局が不安定なので2〜3か月様子を見ようということになり、契約にはなかなか至っていない。(東海=住宅販売会社)

●夜の飲食はおろか昼のランチも来客数が減っている取引先が多い。(北陸=鮮魚)

●赤字企業による、2期連続の赤字を避けるための経費削減が目立ち、契約社員や派遣社員の解雇がさらに進む感がある。(近畿=民間職業紹介機関)

●秋物展開がまったく見られない。(中国=衣料品専門店)

●政権交代があると、若干増えつつある公共事業が今後は減る。(四国=建設業)

●近隣商店街の空き店舗が依然として増え続けている。(九州=百貨店)

●インフルエンザ流行警報の直後から、9月の大型連休のキャンセルがかなり出ている状況にある。(沖縄=レンタカー)


○本日は9月の月例経済報告も発表されました。普通は中旬に発表されるものですが、前倒しになっているのは林芳正経済財政担当大臣の最後の仕事という意味合いがあるからでしょう。本当であれば、明後日の機械受注――いかにも悪そうな気がする――なども見たうえで、じっくりと判定したいところです。

○基調判断は据え置きでしたが、雇用情勢への懸念を示しつつ、「景気は、失業率が過去最高水準となるなど厳しい状況あるものの、このところ持ち直しの動きがみられる」となった。月例報告の基調判断の言葉が長くなるということは、内閣府の迷いが深まっていることを意味します。経験的にいっても、「月例文学」が長編大作になると碌なことはない。本当に1993年のパターンを踏襲し、「この秋に景気腰折れ」の確率が高まっていると思います。


<9月9日>(水)

○とっても久しぶりの勉強会仲間が集まって飲み会。多士済々。いろいろ面白いネタがあったのだけど、とりあえず選挙コンサルタントK氏の話をご紹介しておこう。

○今回の選挙で、「危ない」と言われていた自民党の大物が何人か、ギリギリのところで当選している。そのうち2人の選挙をK氏は担当していた。いずれも「小沢ガールズ」候補が優位に立ち、大物代議士も一度は観念したと伝えられている。が、K氏は独自のインターネット世論調査などを通じて、「最後は勝てる」と読んでいたという。なぜか。

○民主党候補のタマがいいと、民主党寄りの有権者は最初から投票行動を決めてしまう。ゆえに最初の世論調査で一気に優勢に立つが、その段階から票が伸びなくなってしまう。ところが有権者の中には、悩みに悩んだ挙句に投票日直前に答えを出す「真剣な無党派層」が一定割合でいる。また今回の選挙では、「自民党周辺層」も、どっちに入れるかでギリギリまで考慮した模様である。こういう人たちは、世論調査をすると「まだ決めていない」と答える。その人たちは、投票日直前になって「やっぱり自民党に入れよう」と決断するだろう、とK氏は見込んでいた。だから逆転できた、というのである。

○なるほど、大新聞の世論調査でも、投票日直前には「民主党が320議席、自民党は100議席割れ」といった数字が出ていた。ところが蓋を開けてみたら、意外と自民党が負け渋った。この現象の正体とは、「真剣な無党派層」と「迷った自民党周辺層」であった、というのがK氏の見立てである。例えばテレビ局の出口調査なども、当日の午後6時で作業を打ち切ってしまうので、午後6時から8時にかけて投票した人の民意は把握できないのだそうだ。おそらく投票日になっても迷った挙句に、午後6時過ぎになって投票所に行き、「やっぱり自民」と入れた人が一定数、いたのだろう。ゆえに出口調査の結果よりも、自民党は善戦した・・・・・。

○もうひとつ、今日は神保哲生さんが来ていたけれども、彼のブログのこの記事にご注目。「鳩山氏外交論文の謎」について詳しく調べあげています。本件については、「そら見たことか」的な冷やかしと、「贔屓の引き倒し」的な弁護が交錯していますが、おそらくこれがもっとも真相に近いのでしょう。日本外交にとっては、まことに難儀なことだと思います。

○ついでにもういっちょ書いておこう。まことに異例なことに、今年2回目のオバマ大統領による議会合同演説の時間が近づいています。レイバーデイが終わり、議会が再開されたところで、医療保険改革に関する大演説をぶって、不利な世論の流れを変えようという勝負どころです。今まで、ピンチを迎えるたびに名演説をぶって切り抜けてきたオバマさんですが、私は今回の演説は失敗するんじゃないかと思っています。なぜなら、今のアメリカ国民は、おそらくこの問題についてのオバマ演説を聞きたいと思っていないから。

○もちろんアメリカにとっても世界にとっても、この演説は成功してくれた方がいい。医療保険改革が前進してくれた方がいい。でも、ダメなんじゃないかな、と思う。『オバマは世界を救えるか』などという大仰な本を書いた人間としては、もちろんオバマが成功してくれる方がいいのだけれど、得意技が決まらなかった後の彼がどうするかを見てみたい、という気もしている。さて、どうなるでしょうか。


<9月10日>(木)

○昨日、あんなことを書いたら、9月9日夜のオバマ演説は非常に立派なもので、見た人の間からは「医療保険改革を支持する」という意見が増えたそうです。「私はこの問題を提起する最初の大統領ではないが、最後の大統領たらんと決意した」(I am not the first president to take up this cause, but I am determined to be the last.)なーんて、カッコいいセリフが一杯である。ご本人がマーサズ・ヴィンヤードで休暇中に、スピーチ制作部隊はフル稼働していたということでしょう。

○ところがこの演説中に奇妙なことが起きた。「全米に医療保険を広げるといいましても、それは不法移民にまで広げることを意味するものではないのであります」てなことをオバマが言っている最中に、「嘘つき!」というヤジが飛んだ。いわゆる不規則発言。たちどころに議場は騒然、テレビやラジオで聞いていた人たちの間でも、「今のは誰だ?」と大騒ぎになったらしい。(全文の中から該当部分を抜き出しておきます)。


Now...

Now, there are also those who claim that our reform efforts would insure illegal immigrants. This, too, is false. The reforms -- the reforms I'm proposing would not apply to those who are here illegally.

(UNKNOWN): That's a lie. (正確には、"You lie."と言ったらしい)

(AUDIENCE BOOING)

That's not true.

And one more misunderstanding I want to clear up: under our plan, no federal dollars will be used to fund abortions, and federal conscience laws will remain in place.


○ヤジの主は、サウスカロライナ州選出の共和党下院議員、ジョー・ウィルソンでありました。まったく無名の存在であったにもかかわらず、一夜にして有名人になってしまいました。おそらくアメリカの右翼系掲示板などでは「ジョー、グッジョブ!よく言った!」みたいな書き込みが殺到したでしょうけれども、議会では民主党からも共和党からも大顰蹙を買ってしまい、本人は下記のような平謝りモードとなってしまった。


"This evening I let my emotions get the best of me," he said in a statement. "While I disagree with the president's statement, my comments were inappropriate and regrettable. I extend sincere apologies to the president for this lack of civility."


○ちなみに決定的瞬間を見たい、聞きたいという方はこちらをどうぞ。(1分23秒あたりです)。ヤジの瞬間、壇上の3人が声がしたほうを振り向き、「あ〜あ、やってられね」とばかりにバイデン副大統領が頭を振っているところが印象的です。

○ジョー・ウィルソン下院議員(気のせいか、名前もしょぼい感じがする)にとっては、生涯最悪の日だったかもしれない。言うに事欠いて、「嘘つき」はマズイでしょ。せめて「ありえねえ」くらいにしておけば良かったですなあ。が、悪名は無名に勝るともいう。少なくともこのヤジ一発で、オバマ演説の全容は人々の記憶から薄れただろう。しばらくたつと、「2009年9月9日の合同議会演説」というと、「ああ、あの嘘つきヤジがあったヤツね」になってしまうかもしれない。医療保険改革の行方がどうなるか。まだまだ予断を許さないといえましょう。

○ところで日本の国会では、「嘘つき!」くらいのヤジは平気の平左である。この点はちょっとアメリカ議会を見習ったほうがいいかもしれませぬ。


<9月11日>(金)

○今年7月、経済同友会が「第16回企業白書」を発表しました。このシリーズ、第一線の経営者たちが真面目な議論をして作っており、いつも面白いと思います。概略は下記でダウンロードできます。

http://www.doyukai.or.jp/whitepaper/articles/no16.html 

○資料編に入っていた経営者インタビューが特に充実していたと思います。(この部分、残念なことに上記のURLには見当たりません)。当代一流の経営者たちが、講演やインタビューという形でみずからの会社や経営について語っていて、文字通り宝の山だと思います。こういう人たちの話を聞けるチャンスは、滅多にあるものじゃありませんからね。

○以下、ちょっと気に入った部分を抜書きしておきました。日本経済の現状を感じさせるもの、経営の真髄を語っているもの、ご本人の真情を吐露しているもの、などが入っています。毎度のことながら、偉い人たちが書生論議をしちゃうところが、経済同友会のよいところだと思います。


●セブン&アイホールディングス

セブンイレブンで販売しているざるそば一つとっても、かつては1つのそばつゆでよかったが、現在は地域ごとに味の濃さや甘さを変えていかざるを得ず、狭い日本でも6種類のたれを作っている。経済の成熟化が進み、ローカル性が強くなってきているのでそれに対応していく。

POSを実用化したのは我々が日本で最初であり、統計数字だけで私が経営していると誤解されることがあるが、むしろ私は否定する立場である。あくまで検証するための過去のデータであって、それをベースに将来を判断してはいけない。

●ローソン

大都市は良いのだが、中小都市は高齢化している中で時間的価値がそれぞれの都市で変わってきている。
提供する商品を変えなければならない。例えば杉並区や世田谷区はローソンストア100が上手くいっているのだが、高齢化が進んでいるからだ。主婦が歩いて15分以上のスーパーにはいきにくいし、インターネットスーパーも届くのに半日以上かかって利用しにくいため、歩いて3分以内にある当社の生鮮売り場が好評である。

クリティカルデシジョンメイキングを遅くても45歳までに経験しないと経営者としては厳しいだろう。
本来は30歳代前半にそれに近いことを経験する必要がある。

●コマツ

日本のよさは継続的なきめ細かさである。ものづくりにおいては善だが、本社部門、お役所は部分最適だけをやり全体最適に結びつかないことがある。
ゴーン氏が日本はトップダウンがないと部分最適=全体最適にならないと述べたのはまさしくその話であるが、それを言い過ぎて部分最適をやる力を失ってはならないというのが私の持論で、部分最適の力を維持しながらいかに全体最適と結びつけるかが企業では難しい。

●パナソニック

変化に機敏に対応しているかどうかの重要な指標が自社内在庫だ。我々の場合は流通在庫も含めるが、それを含めてどれだけ機敏に動けるかが重要だ。極めて劇的に日本企業が変わったのはバブル崩壊後に資産圧縮をしたことだ。当社でも約1兆1000億円の資産圧縮をしたが、CFOと議論して、売れるものは土地、建物はじめ、ほとんどあらゆる遊休資産は売るようにした。キャッシュフロー経営は日本に定着しつつある。

●トヨタ自動車

世界中から私宛にお客様からの手紙が来るが、きっちり対応してお客様第一として展開している。
世界中から毎月数十通は来るが、目を通している。そのうち8割はきちんと対応したかどうかをフォローすればいいが、残りの2割は報告を求めたりする。

●本田技研工業

ロボットにしても燃料電池にしても、なぜ長い間続いて最終的にある程度の姿を実現できるかと言うと、マネジメントが実現したくて仕方がなく、頻繁にフォローしているからだ。ロボットの経過を見ていると、ある時期進展しないときもあるのだが、その時に「もう止めてしまおう」と言うのか、「ここまで来たのでもう少しやってみよう」とエンカレッジするかの違いだろう。

本田では失敗は責められるものではなく、むしろ勲章であって、失敗すればその方法はダメだったことが証明されるわけである。優秀な成果を挙げたテーマは業務表彰するが、優れた失敗も表彰する。
(中略)顧客まで行く失敗は問題だが、「ノートライ、ノーエラーはいけない」というカルチャーを植えつけることが重要である。

●三菱商事

私は「可愛くない部下を何人持つかが経営だ」と言っている。可愛い部下ばかりだと経営にならない。
私と違ういろいろな意見を述べる部下がいる方が最後に自分で責任を持って意思決定できる。
不愉快になることもあるが、できる限り可愛くない部下を持つ努力をしている。


<9月13日>(日)

○阪神がついに3位浮上。昨日、失敗しているだけに、嬉しいような、恥ずかしいような。

○なにしろ今シーズンのタイガースは、57勝63敗4引き分け。2位の中日まで14.5ゲーム差もある。打率2割5部2厘、本塁打85本、防御率3.18は、どれひとつとして威張れるような中身ではありません。こんなんで、CS(クライマックスシリーズ)に出るというのは問題大有りではないのか。さらに言えば、こんなんで優勝してしまったりしようものなら、いよいよ困ってしまうではないか。やっぱりCSって仕組み、止めましょうよ。

○それもこれも、ヤクルトが連敗してくれたお陰。いったいどうしちゃったんでしょう。先日、会った純正野球ファン氏は「信じられない」と言っていましたが、それを言うなら昨年の阪神ファンも信じられない思いをしたのであります。いつまでも、あると思うな親とゲーム差。まあ、これも野球というか、これが野球というか。

○野球というゲームには、どこか麻雀とあい通じるような怖さがあります。勝つときも負けるときも、勢いがついてしまうと止められない。でも今回の場合は、阪神に勢いがあるわけではない、というのが寂しいところで。


<9月14日>(月)

○イチローが9年連続200本安打を達成。すごいですなあ。その前には日本で7年連続首位打者だったりするわけですから、いったいどれだけ打ち続けるのか。政治や経済の世界では、人間の利口さよりも阿呆さを思い知らされることの多い世の中ですが、スポーツの世界にはこんな偉業があるというよい例ではないかと思います。

○あんまり比較すべき対象ではありませんが、この溜池通信には10年の歴史があります。それは書いている不肖かんべえにとって、まことに長い時間であるわけですが、それとほぼ同じ期間を、世界でもっとも競争の厳しい世界に身を置きつつ、第一人者であり続ける努力とはどんなものなのか、ちょっと想像を絶するところがあります。単に努力の積み重ねというだけではなく、スランプからの脱出や、ありとあらゆる種類の節制があってのことなのだと思います。

○例えばイチロー選手は、あまりヘッドスライディングをしないのだそうです。盗塁も、確実に決められる自信があるとき以外はしない。それもこれも、「無事これ名馬」を実践するための戦略なのでしょう。自分の決めたルールにどこまで忠実でいられるか。どこまで頑固にポリシーを守れるか。中途半端な人生を送っている者の一人としては、しみじみ頭を下げるほかはありません。


<9月15日>(火)

○「私は新聞をスポーツ欄から読む。他の面には人間の愚行が書かれているが、そこには人間の偉業が書かれているからだ」(フランクリン・D・ルーズベルト)。

○という言葉が、ピッタリ当てはまるのが今朝の新聞でありました。政治欄には新政権発足へ、経済欄にはリーマンショックから1年、そしてスポーツ欄にはイチローの偉業達成。とはいえ、政治欄の新政権には頑張ってもらわねば困ります。閣僚人事はともかく、民間人の登用にはかなり苦戦しているようです。官邸には誰が入るのでしょう。この人も断ったみたいだし・・・・。

○とはいえ、民主党新政権への期待は高い。この点は、選挙直後とはちょっと違っていて、「せっかく投票したのだから、成果を見守りたい」という機運が高まっているようだ。おそらく新政権の「最初の100日」には、少々の失敗は見逃してもらえるでしょうし、小さな成功でも大きく売ることができる。さて、明日はどんな内閣ができますか。

○ところでこの記念すべき日に、「グッチーポスト」がオープンしましたね。繁栄をお祈りしたいと思います。リーマンショックから1年、これから先の投資家諸氏にとって、よき航海の海図となってくれますように。では!


<9月16日>(水)

○本日は岡三証券の法人セミナーで、「オバマ経済政策の進展と課題」というテーマで、ISI社のトム・ギャラガー氏とご一緒にパネルディスカッションをやってきました。ギャラガー氏はこの世界では有名な政治・金融のアナリストで、ISIのワシントン所長。実は今日が初対面だったのだけど、「ネルソンレポート」に登場する常連なので、いったん話を始めると後は早いのである。

○ギャラガー氏、「オバマ政権はアクティビスト・ガバメントなので、アメリカは大きな政府に向かうだろう」と言う。つまり1980年のレーガン革命の逆が2008年であるという。当方はむしろ、医療保険改革の成り行きを見ても、アメリカ有権者の民意は大きな政府を拒絶するんじゃないかと思っているが、その辺のディスカッションができたのは収穫でした。先方がアメリカ政治における「1980年と2008年」の比較を語れば、こちらが日本政治における「1993年と2009年の類似」について語るというのも、考えてみれば不思議な一致です。

○また、「リーマンショックから1周年についてどう思うか」と聞いてみたところ、興味深い返事が返ってきた。リーマンをつぶさなければ良かった、というような結果論が語られるのは残念なことで、あれだけのグローバルインバランスがあったからには、いつかどこかで破局は訪れていただろう。しかしその結果、政策当事者の見方が変わった。バブルは予測できない(FRBビュー)が後退し、バブルは警戒すべきだ(BISビュー)に取って代わった。それが重要なことではないかと。

○ギャラガー氏は、つい先日、行なわれたカンザスシティー連邦準備銀行主催の3日間の会議に参加している。おそらく世界の中央銀行総裁たちのコンセンサスがそうなっているのだろう。ところでこの会議、いつもワイオミング州ジャクソンホールという小さな町で行なわれるのだが、もともとの起こりは1980年代にFRB議長だったポール・ボルカーがフライ・フィッシングの趣味があったことから定着したのだそうだ。ダボス会議も元はスキー場ですが、それもまた豪快な話だと思います。

○もうひとつ、当方が「アメリカは金融問題への楽観論が生じてますけど、CRICサイクルでいうComplacency(怠慢)になってませんか?」てな話をしたところ、ギャラガー氏が「それは面白い」と受けていた。これがきっかけになって、アメリカで「CRICサイクル論」が流行ったら面白いではありませんか。思いがけず、ロバート・フェルドマン氏に仕事が舞い込むやも知れません。


<9月17日>(木)

○ニュージーランド大使のケネディさんと話す機会があったので、こんなことを申し上げました。

「私は今までニュージーランドの人たちが、俺はナショナルだ、俺はレイバーだと言って争うのを聞いたことがありません。二大政党制でも、アメリカ人と違って党派色が薄い。やはり島国はこうあるべきで、日本の政権交代はニュージーランドをお手本にしたいと思います」

「過去のニュージーランド政治のパターンを見ていると、政権のパフォーマンスが悪ければ2期6年で辞めさせるし、良ければ3期9年までやらせる。でも10年以上になると長過ぎるから、問答無用で辞めさせる。日本の二大政党制も、そんな感じになるといい」

○すると大使はニッコリ笑って、こんなことを言われました。

「ニュージーランドの国論が二分されることは滅多にありません。過去に1回あったのは、ラグビーの話です。アパルトヘイトをやっている南アフリカに、われらがチームを派遣するかどうか。それはそれは真剣な議論になったものです」

○そのオールブラックスが、日本にやってきます。相手は宿敵・オーストラリアのワラビーズ。10月31日にブレディスローカップが東京・国立競技場で行なわれるのです。チケットがちょっと高いんですけれども、ただ今、発売中。うーむ、どうしたものか。


<9月18日>(金)

○民主党の鳩山新政権を見ていて、ふとこんなことに気がつきました。

○彼らは脱官僚依存と言いつつも、「財務省と外務省と経済産業省」の三強とは喧嘩をするつもりがない。この辺をぶち壊すようでは、それこそ国外にも迷惑をかけてしまう。特別会計から埋蔵金をゲットするには財務省の協力が必要だし、外務省の手助けなしには経験不足の外交が怖いし、経済産業省の担当範囲はそもそも苦手分野である。だから藤井、岡田、直嶋というベテランを配している。これは賢明な態度だと思います。

○おそらく霞ヶ関における主戦場は、「総務省と国土交通省と厚生労働省」だと決めているのでしょう。そこに原口、前原、長妻という次世代リーダーを配した。郵政民営化、地方分権、デジタル放送(総務省)、公共事業の中止、高速道路無料化、JALの経営(国土交通省)、消えた年金、子供手当て、後期高齢者医療制度(厚生労働省)など、この3つには山のように問題がある。でも、この辺は失敗の許される範疇です。少なくとも、よその国には迷惑が及ばない。

○ひとつだけ計算外だったのは、そういう空気を読めていない金融担当大臣を選んでしまったこと。金融危機が続いているのに、金融庁で喧嘩をするつもりはなかったはずです。亀井さん、さすがに「平成の徳政令」はまずいっしょ。藤井財務大臣が顔をしかめておられますよ。それに下手をすると、「借り手救済はまずアイフルから」てなことになりかねませんぞ。


<9月21日>(月)

○今日は敬老の日。いや、本当は昨日なのかな? まあ、いいや。今朝の新聞にこんな数字が出ています。

高齢者人口:2898万人(22.7%) 

男性:19.9%  女性:25.4%

*総人口1億2756万人に占める65歳以上の人口

「男性は5人に1人、女性は4人に1人」と覚えればよいようです。敬老の日には、全国的に「お年寄りを大切に」ということになるわけですが、これだけ数が増えるとありがたみも薄れる理屈で、まことにお寒い現実としかいいようがありません。

○高齢化率はまだまだ上昇するでしょうが、自然の摂理によってある程度で頭打ちとなる。経済政策や社会政策を考える側としては、そうなるまでが勝負となる。とりあえず、団塊の世代の先頭(1947年生まれ)が65歳に達する2012年まではまだ余裕がある。思い切った改革をやるなら、今のうちです。それを過ぎると、医療問題でも年金問題でも、「変えるに変えられない」ということになるでしょう。果たして政権交代が吉と出るか、凶と出るか。

○しかるに高齢者人口は、1985年時点では1241万人で、高齢化率は10%程度であった。実に倍になったことになります。以前にもどこかで書いたと思いますが、かんべえは80年代後半にこの現象に興味を持ち、「21世紀には5人に1人以上が高齢者になる時代が来るのかあ」などと思い描いていた。電車の中を見渡しながら、「65歳以上が20%を超えた社会では、どんな景色になるんだろうか」などと考えた覚えがある。今の若い人たちが、1980年代の都内の景色を見たら、若者が多くて、白髪が少ないことに驚くかもしれない。なにしろ10%と20%の違いですから。

○で、これは拙著『1985年』でも書いたことですが、そうなることは当時から分かっていた。この年の経済白書は、「人口の高齢化と経済活力」をテーマに取り上げている。そしてその予想通りの展開になった。「もっとほかにやりようはなかったのか?」と聞かれれば、割りと早くからこの問題に気づいていた者の一人としては、「まさかこれほどひどくなるとは思わなかった」的な言い訳をするほかはありません。他は推して知るべし、でありましょう。

○80年代後半はバブル期で、首都圏では地価が高騰していた。住宅ローンを背負って、家を買ったばかりの先輩などが、「もう君たちは間に合わない」などと断言するのを聞くたびに、「人口が減る社会で、地価が上がり続けるわけないだろう」と内心で思っていた記憶がある。お陰で、不動産購入には失敗しなくて済みましたが、早く気づいて得したことは畢竟、その程度でありましたな。

○社会を大きく変えるような話は、まことにゆっくりと動いているものであります。


<9月22日>(火)

○今日は大相撲に行ってきました。実は配偶者がファンである琴欧州を応援するために、インターネットで升席(安いやつ)をとったのです。でも、ウチの家族の声援もむなしく、今日の琴欧州は負けちゃいました。それも今場所3敗している魁皇に。あーああ。家に帰ってみたら、阪神もしっかり横浜に負けているではありませんか。なんという脱力感。シルバーウィーク最大のイベントは、かくしてあっけなく終わってしまったのでした。

○でもここは気を取り直して、久しぶりに国技館で見た大相撲について書いておきましょう。現場で見ていると、意外に重要なのが懸賞の本数です。NHKの中継を見ていると、懸賞の幟が土俵が上がった瞬間にカメラが引いてしまうので、その辺の面白さが伝わりません。でも、その場で見ている観客は、「おおっ、今度は○本上がったぞ!」などといって盛り上がっているのです。

○NHKの中継を見ていても、永谷園の幟が上がっていることは見てとれます。では、永谷園はどの取り組みに何本立てているのか。今日の懸賞取り組みのうち、永谷園が立てたのは以下の通りでありました。


時天空(○)対高見盛(●):5本=「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」+「梅干茶づけの永谷園」+「たらこ茶づけの永谷園」+「わさび茶づけの永谷園」

栃ノ心(●)対把瑠都(○):2本=「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」

琴光喜(●)対日馬富士(○):2本=「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」

魁皇(○)対琴欧州(●):3本=「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」+「梅干茶づけの永谷園」

鶴竜(●)対白鵬(○):3本=「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」+「梅干茶づけの永谷園」

朝青龍(○)対稀勢の里(●):3本=「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」+「梅干茶づけの永谷園」


○現場で見ると一目瞭然、依然としてロボコップ・高見盛は人気があるのです。永谷園の幟は5本も上がり、上記5つの名前が連呼されます。そして高見盛には惜しみない拍手と声援が送られます。でも、今日は負けて10日目にして5勝5敗でした。あんまり威張れた戦績ではありません。それにしても、永谷園のお茶づけに「わさび茶づけ」があったとは知りませんでした。大相撲の懸賞金は5万円だそうですが、こんなに安い広告媒体はないのではないかと思いました。

○懸賞金の帝王はなんといっても朝青龍です。今日の幟は23本!あんまりすごいので、きょう立った分を全部記録しておきましょう。なんなんだ、これは〜!?


「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」+「さけ茶づけの永谷園」+「梅干茶づけの永谷園」+「植物を超元気にするHB−101」+「悪臭を1秒で消す!!ニオイノンノ」+「置き薬のモチノキ薬品」+「イエス!イエス!高須クリニック」+「イエス!イエス!高須クリニック」+「イエス!イエス!高須クリニック」+「ハローキティ相撲コラボ展開中」+「医療機械のパワーヘルス」+「発明特許のパワーヘルス」+「マイナスイオンのパワーヘルス」+「おいしさできたてのマクドナルド」+「24時間・マクドナルド」+「ビッグマック・マクドナルド」+「暮し爽快ルノンの空気を洗う壁紙」+「日本の和室を彩るルノンの襖紙」+「ごはんと共にカルシウム骨太家族」+「栄養機能食品のナチュラリープラス」+「いつもまじめな関彰商事」+「沖釣り専門紙・つり丸」+「沖釣り専門紙・つり丸」


<9月23日>(水)

○昨日の文化放送「くにまるワイド ごぜんさま〜」では、「すしの回数、月1.4回に減少」というニュースが紹介されました。食品メーカー・ミツカンのアンケート調査によりますと、この1年間にすしを食べた回数は月平均1.4回と昨年1月の前回調査(2.0回)に比べて3割減少し、不景気の影響がくっきりと表れたとのこと。内訳は下記の通りです。

全体 2.0回から1.4回に ▲0.6回
テークアウトの寿司 0.8回から0.5回に ▲0.3回
回転ずし 0.6回から0.5回に ▲0.1回
手巻きなど家でのすし 0.5回から0.3回に ▲0.2回
すし屋のにぎりずし 0.1回から0.1回に


○そういえば先日も、水産部のT君が「マグロが売れない」とぼやいておりましたな。ほんの2年程前には「もうマグロは日本では食えなくなる」などと世間では騒いでおりましたが、変われば変わるものです。

○かんべえも、たまたま先日、近所の「王将」へ行こうとしたら、ものすごい行列でとても入り切れませんでした。あきらめて、すぐ近所の「銚子丸」に向かったところ、こちらはすんなり入れました。どうやら、中華は人気で回転ずしは不振ということのようです。そのときは、ちゃんと青いお皿の中トロも食べたのでありますが、たしかに王将の方が安上がりでありますな。

○ということで、本日は順番を待って「王将」に行ってきました。うーむ、やはりここはうまくて安い。これなら行列ができるのも納得というものでしょう。ついついデフレ意識が復活し、その後はダイソーを冷やかしてしまいました。つまようじと風呂掃除用のスポンジを購入して210円。どちらも前から気になっていたもので。


<9月24日>(木)

○久々に安全保障関係の研究会に顔を出しました。場所が東京財団、というのも何とも懐かしい。2004年から丸3年、ここで「若手安保研」を運営していて、あれはとても勉強になったなあ。ただし本日は、当時よりはプロフェッショナルなメンバーであって、はてさて、ワシはここでどんな貢献ができるのかと考えると心もとない気もする。なにしろ昨今は、勉強不足になっておるからな。でも、ちょっと新鮮で刺激を受けました。経済・金融ワールドと外交・安保ワールドを行き来する、というのが当溜池通信の原点であります。

○明日からはユーラシア21研究所の「外交・安保サマーセミナー」に行ってきます。昨年に続いて2度目。どんな学生たちに出会えるか、楽しみであります。


<9月25日>(金)

○本日は長年の念願がかない、横須賀基地で海軍カレーをご馳走になりました。甘口を予想しておりましたが、思ったより辛かったですな。聞けば船ごとに味は違うのだそうです。それから副菜も含めたボリュームがすごい。なおかつ、こんなチャンスに「お代わり」しないという選択はあり得ないわけで、ついつい食べ過ぎましたな。いやはや、満足であります。

○といいつつも、外交安保サマーセミナーの中身はいちおう「チャタムハウスルール」となっておりますので、ここで気安く内容をばらすわけにはまいりません。そこで今日、自分が話した内容についてご紹介しておきます。

○この話、溜池通信の2003年12月頃に、イラクへの自衛隊派遣問題をめぐって考えた枠組みの焼き直しです。日本外交が目指すべきはA案か、B案か。どうも今までの自民党政権では「A案しかないっしょ」という感じだったのだけど、民主党の新政権では真剣にB案を検討しているのではないかと思います。かんべえ自身も、6年前には「A案しかない」と思っておりましたが、現時点で考えると結構迷う部分もあります。さあ、ご一緒に考えてくださいませ。


●日本外交の選択

○従来の議論:「A案」(Ambitious Japan)←小泉政権・自民党?

「日本は超大国のはしくれ。国際的な責務を果たすべし」

現状認識

日本は世界第2位の経済大国。リーダーとしての役割あり

方向性

「普通の国」を目指す。まず集団的自衛権の解釈変更を。

対米関係

日米関係が外交の基軸。日米安保条約は国際公共財。

対アジア関係

「アジアの盟主」の座は中国には譲れない。

対国連

当然、常任理事国の地位を目指す。

イラク・アフガン

中東の安定は日本の国益。応分の負担を行う。

北朝鮮問題

「対話と圧力」では「圧力」に力点。

経済外交

ドーハラウンド、FTA交渉を通じて貿易自由化に貢献。


○新しい方針:「B案」(B=Blue Japan)←鳩山政権・民主党?

「日本は衰退過程にあることを自覚し、抑制的な外交を展開すべし」

現状認識

経済より安全保障優先の世界では日本はミドルパワー。

方向性

国際貢献は非軍事に限定。なるべく憲法の範囲内で。

対米関係

安保体制は堅持するも、従来通り「Reluctantな同盟国」で。

対アジア関係

地域覇権国になる中国をなるべく刺激しない。(例:靖国神社)

対国連

真面目な一加盟国として汗を流す。環境問題で貢献。

イラク・アフガン

無駄な努力にはなるべく手を貸さない。民間の支援を中心に。

北朝鮮問題

「対話と圧力」では「対話」に力点。

経済外交

農産物の自給率向上。戦略物資の確保に努める。


○この問題で、悩ましいのは「A案をB案に切り替えれば、日本は楽になれるか」というと、そうは限らないということ。それはわれわれ自身の期待値を下げるということですから、本当は「痛い目」に遭わないと難しいのです。イギリスだってスエズ動乱とポンド危機のお陰で、ようやく大英帝国の夢を吹っ切れた。みずからの意思だけで、果たして路線の変更ができるものなのか。

○他方、添谷先生の「ミドルパワー論」を引き合いに出すまでもなく、日本は本来、B案のような抑制的な外交の方が得意なんです。自民党政権だって、プラザ合意で1ドルが250円から120円になっちゃうまでは、B案で良しとしてきた。そもそも吉田ドクトリンというのが、軽武装という一種のB案だったわけですし。なかなか悩ましいですぞ。ついつい夜が遅くなってしまうほど。


<9月26日>(土)

○鳩山首相の訪米を見ていて、こんなキーワードが浮かびました。それは、「最初はチュー」

●訪米日程

9/21 日中首脳会談(ニューヨーク)

9/22 国連気候変動首脳会合で演説、温暖化ガスの25%削減を提唱

9/23 日米、日ロ、日豪、日韓各首脳会談

9/24 核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合
    国連総会で一般討論演説
    G20首脳会議(ピッツバーグ〜9/25)


○アメリカに着いた直後に行なった首脳会談の相手が胡錦濤・国家主席。今までの新政権は、「最初はベイ(米)」が常識だったのですが、鳩山さんはチュー(中)を選びました。しかも30分の予定のところをオーバーして1時間。ここでは胡錦濤さんに対して、「東アジア共同体を一緒にやりましょう」と呼びかけたと伝えられている。これに対し、日米首脳会談の時間は35分間。しかも東アジア共同体に関する説明はナシ。これってマハティール・マレーシア首相の「EAEC構想」(1990年)に端を発する話だけに、アメリカ側はかなり気にしているはずなんですけどねえ。

○この議論を昔からやっている者の一人としては、「おいおい、東アジアサミットというのは、ASEAN+3のことなのか、それとも+6なのか」「アメリカの参加は認めるのか、どうするのか」「その場合、台湾の扱いはどうするのよ」などと突っ込みたくなるところです。この間、東アジアサミットの首脳に提言するERIAというシンクタンクもできていることなので、日本が目指すのは当然ASEAN+6であってほしいと思うのですが、中国の意向は当然、ASEAN+3でありましょう。その辺の定義は詰まっているのだろうか。同床異夢ではないのかなど、気にかかることは一杯あります。

○「日本はアメリカを取るのか、中国を取るのか」というテーマは、そんなに生易しい問題ではありません。「われわれは先進民主主義国なのか、それともアジアの一員なのか」てなテーマは、それこそ福沢諭吉や夏目漱石の時代から日本が悩み続けてきた問題ですから、こんなところですんなり答えが出るはずもない。この苦しいジレンマを乗り越えるために、大平首相が生み出したキーワードが「環太平洋」であり、それを実現したものがAPEC首脳会議でした。これを使えば、日本は米中の二兎を追うことができる。そして日本は来年のAPEC開催国です。この機会を活用する方が、ずっと賢いと思うのですが。

○鳩山外交は、この後も中国に対して傾斜しています。9月28日には日中韓外相会談、10月10日には日中韓首脳会談が中国で行なわれます。さらに10月25日には東アジアサミットがタイで行なわれる予定(今度こそ、同国で何もありませんように)で、その後の11月中旬のAPEC首脳会議(シンガポール)がある。おそらくその直前にオバマの訪日があるでしょうけれども、それまでに日中の会合は相当な場数を踏んでいるはずです。

○世界中の二大政党制の国では、ほとんどの場合、「親米の党」と「そうでない党」に分かれます。日本はたまたま親米の自民党政権が長く続いてきましたが、それが下野してしまえば、新しくできるのが「親米でない政権」となるのは自然な理というもの。この辺の理屈はアメリカ側もちゃんと分かってて、というよりはこの手のケースには昔から慣れていて、「最初はチュー」の鳩山外交に対して、特別に怒ったり焦ったりする様子は見られません。

(余談ながらこの法則は、「プロビジネスの党」と「そうでない党」にも当てはまります。民主党政権は、おそらく経済界よりは労組やNPOの方を向いた政権になるのでしょう。経済界としては、「今までは楽でよかったなあ」とあらためて感じるところですが、かくなる上は政治離れを目指すしかありますまい。商人は食わねど高楊枝、で行きたいものです。でも温暖化ガスの25%削減などと言われると、正直なところCO2の前にため息が出てしまうところですが)

○「最初はベイ」を「最初はチュー」に変えることは、鳩山新政権としてのひとつの方針転換というものでしょう。でも、それが単に中国側の策謀に乗せられているのだとしたら目も当てられない。ロシアの動きにもくれぐれもご用心ください。「友愛」の精神を共有できるような相手ではないと思いますぞ。


<9月27日>(日)

○フジテレビの『新報道2001』で、黒岩キャスターが引退しましたね。政権交代に伴って身を引く、というわけでもないでしょうけれども、単に番組の改変期というだけではないのでしょう。そこにゲストとして中曽根さんが出ている、というのも意味深長で、いろんなものが変わっていくなあ、と感じています。黒岩さんの新天地でのご活躍をお祈りしたいと思います。

○先方はきっと覚えていないでしょうけれども、私は1988年ごろ、日商岩井の広報室で企業出版の担当者をしていた当時に、黒岩さんの取材を受けたことがあります。たしか夕方のニュースのネタとして放送されたと思います。収録が終わって黒岩さんが帰った後で、当時、私の下に配属されていた菅原一秀君が、「あの人、早稲田雄弁会の先輩なんですよ〜」と言っていた。つまらん話ですが、ふと思い出しました。

○次週から黒岩さんの代わりを務めるのが、平井文夫フジテレビ政治部長というのも不思議な因縁で、過去に溜池通信で何度か登場した「選挙の票読みの名手、H氏」とは彼のことなのです。来週からはちゃんと見なきゃいけませんな。

○その一方で私めは、本日、久々にサンプロのコメンテーター席に座りました。半年振りの「出戻り」ですが、ひょっとすると今日は「亀井さん対策」要員だったのかなあ。でも、私ごときがいくら言っても、天下の金融担当大臣はびくともしません。「中小企業への債務返済猶予制度」の持論を悠々とぶっておられました。最後は、出演者の一人ひとりに挨拶をして、ご機嫌で帰っていかれました。


<9月29日>(火)

○昨日の自民党総裁選を制したのは「平時の谷垣」でした。おいおい今は非常時だろ、というツッコミはさておいて、この際、癒し系でも何でもいいから、自民党は早いところ戦闘モードに戻ってくださいませ。でないと鳩山新政権に緊張感を与えられないし、そもそも自民党自身が分裂してしまいかねない。ということで、コーノタロー君、新自由クラブを作ろうなどとは、ゆめゆめ思わないように。みんなの党も、たぶん入れてくれないと思うよ。

○日本の二大政党制は日が浅いせいもあって、大きな欠点があると思います。それは「逆張り」ができないこと。かつての小泉時代には、民主党が「改革が生ぬるい」と言っていたし、民主党が改革の見直しを目指している今は、自民党が「地方の声を大切に」と言っている。これじゃ、差別化にはなりませんわな。今は評価されなくても、4年後のトレンドを先取りすればいい、というくらいの意気込みで、与党の方針の正反対を言い続ける方が、野党としては得策というものです。

○それでは何を新しい自民党の旗印にするか。今さらタカ派路線や伝統回帰ではないでしょう。それこそ「頑固に改憲、元気に軍備」という、右の社民党路線へまっしぐらとなってしまいます。また、「最初はチュー」の民主党外交に異議申し立てするのも、悪くはないでしょうけれども、それは鳩山外交が行き詰ってから言えばいい話。谷垣さんの持論は「財政均衡」なので、消費税増税で与党への対立軸を形成する手もある。が、野党の政策としては魅力に欠けますな。

○民主党の経済政策は、「企業部門より家計部門重視」「外需よりも内需重視」という路線を鮮明に打ち出している。それがうまく行くなら、有権者としては望外の幸福というものだが、おそらくは成功しないでしょう。むしろ当面の景気は、腰折れ乃至は足踏みの公算が大である。なにせ新政権は、「温暖化ガス排出25%減」「補正予算の差し止め」「財務相の円高容認発言」「亀井ショック」など、景気に悪いことを連発しておりますし。

○自民党が拠って立つ価値のひとつに、「プロ・ビジネス」があるはずです。産業界の発展なくして、日本経済の繁栄なし、という当たり前のことを言い続ければよい。今の時点では、この考えはおそらく有権者には受けない。でも、いずれ経済政策はここへ戻ってくるはず。ちょうど台湾における国民党のやり方ですな。逆張りする値打ちが十分にあると思います。


<9月30日>(水)

日経ビジネスイノベーションフォーラムでパネリストを務める。お題は「都市再生の在り方」。スポンサーはURこと都市再生機構。こんな話が、なんでワシのところへ来たのかは不明。でも、面白そうだと思って受けちゃった。会場である日経ホールへ行ってみたら、島田春雄先生の基調講演が始まっていて、これが大変な熱演である。しかも話の内容が、環境問題やら医療問題にまで広がっていて、当方が事前に想定していたものとまったく噛み合っていない。いやー、弱ったな。

○案の定、パネルディスカッションでは押されまくりである。いやしくも40代が60代に負けていいものか、とあの手この手で持論を展開して主導権を握ろうとするも、何なんだ、あのパワーは。まあ、相手は天下の島田先生である。不肖かんべえが相手にするのは10年早かったかも知れぬ。とりあえず今日のところは、これくらいにしておいてやろう。今日の内容は、後日、BSジャパンで放映されるらしい。やれやれ。

○夜は切込隊長の呼びかけた会合へ。ぐっちーポストさんとか、本石町日記さんとか、フェルディナンド山口さんとか。気がつけば、SPA!の寄稿者がやたらと多い。仮面を外したフェルディナンド氏は、荻原健司のようなさわやか系であった。でも、普段やっていることは、あちこちの雑誌に書いている以上であるとのこと。恐るべし。そのうち、ダブル山口に挟まれたかんべえの写真がどこかで流出するやも知れぬ。うむ、困ったものだ。









編集者敬白



不規則発言のバックナンバー

***2009年10月へ進む

***2009年8月へ戻る

***最新日記へ


溜池通信トップページへ


by Tatsuhiko Yoshizaki