●かんべえの不規則発言



2017年10月







<10月1日>(日)

○フジテレビの『報道2001』、NHKの『日曜討論』を見ていたら、民進党の前原代表が出ていない。そりゃそうだよね、「希望の党」に合流するつもりなのだから。その代わりに希望の党を代表して出ているのが若狭さん。でも、いかにもパシリ感が否めず。なにしろ小池都知事の最側近と言われつつ、一瞬でハシゴを外されてしまう人ですから。つくづく小池さんは昔の小沢さんと同じ独裁者。側近と言えどもその心中は分からない。小池さんは人当たりのいい小沢さん、といったところか。

○ワシ的にはまったく分からない。党が丸ごと希望の党に移れるなんて絵空事を、なぜ民進党の皆さんは信じたんでしょう。小池さんはハッキリ選別すると言っていたじゃないですか。あの人から見たら、「リベラル」=「えんがちょ」なのだと思うのです。安保法制は憲法違反だと言ってるような人を、彼女が受け入れるはずがないと思うのです。

○ところが民進党は希望の党への合流を正式に議決してしまった。前原代表はどう言って説得に成功したのやら。意図的に騙したとは思わないのですが、騙された側の心理の方が興味深い。自分のことになると、人はついつい甘い判断をしてしまうものなのでしょうか。

○ところでふと気がついたのだが、今回、話題になっている議員さんはなぜか「4区」が多い。


●「このハゲー」で離党した豊田真由子さんは埼玉4区。

●不倫問題で出馬辞退の中川俊直さんは広島4区。

●スキャンダルで自民党を離党した武藤貴也氏は滋賀4区で再挑戦。


○そうかと思うと、神奈川4区は浅尾慶一郎さんだし、群馬4区は福田達夫さんだし、まともな人だっているのです。それに山口4区は安倍晋三さんだったりして・・・。ちなみに小沢一郎さんの選挙区だった岩手4区は、今回廃止されて3区に統合されたのだとか。日本全国、4区もいろいろであります。


<10月2日>(月)

11月5日、××カントリークラブは絶好の好天に恵まれていた。

「どうです、トランプ大統領。この季節の日本はすばらしいでしょう」

「まったくだ、シンゾウ。今日はすごくいいスコアが出るような予感がするぞ」

「いっそのこと3年後の東京五輪も、この季節に開催できるといいのですけれども・・・」

「あははは、そりゃあダメだ。3年後のこの時期は、俺は大統領選挙のまっ最中だよ」

そういうと、トランプ大統領は大笑いして見せた。安倍首相は少しだけ付き合い笑いをして、そこで後ろを振り返って目配せをした。

「ところで大統領、ご紹介したい人が居ます。ミズ・小池。東京都知事です。わが国最大野党の「希望の党」党首でもあります。私にとっては実に手強いライバルです。ただしこのたび発足した第4次安倍内閣では、五輪担当大臣を兼務してもらうことにしました。なにしろ国難のさなかですからね。野党といえども閣僚の1人というわけです」

トランプ大統領は、大きな身体を折りたたむようにして小池都知事と握手をした。

「マダム・コイケ、お噂は聞いていますよ。先月の選挙ではシンゾウをきりきり舞いさせたとか。日本初の女性首相を目指しておられるとのことですが、もう少しだけ待ってもいいですよね。私の友人であるシンゾウに、時間を与えていただきたい。とりあえずあのリトル・ロケットマンを退治するまではね」

「聞き捨てならないことをおっしゃいますわね。ミスター・プレジデント」

小池都知事が優雅に笑いかけた。

「Xデーは、いつになさるおつもりかしら」

「うーん、マダム、それはまだ決めていないのだ。この後、私はソウルに行ってあのムーン何とか大統領に会って、それから北京で習近平に会って、ついでにベトナムのAPECとフィリピンの何とか会議に出なきゃいけないんだが、その間にマクマスターとマティスがプランをまとめてくれることになっている。何より地上軍を出すのは中国側だから、人民解放軍の準備が整わないことにはゴーサインは出せないのだよ。ところが中国の内部は誰と話せばいいのか、サッパリわからんのだ」

横から安倍首相が口を挟んだ。

「確かに先月の党大会も波乱だらけだったからね。いろんな情報が挙がって来ていたけれども、李克強が閑職に飛ばされて、汪洋が総理になったのにはちょっと驚いた」

小池都知事がトランプ大統領を正面から見据えて発言した。

「大統領にお願いがあるのですけれども、軍事オプションはなるべく寒い季節にやっていただけないかしら。できれば12月から2月の間に」

「ほほう、それはなぜ?」

「ボートピープルが大勢やって来ると困りますもの」

小池の発言に2人は思わず顔を見合わせた。トランプ大統領がまたも大声で笑いだした。

「わはははは。マダム・コイケは実にチャーミングなレディだ。いや、おっしゃる通り。ジャパン・ファーストで考えればまさにそうあるべきだ。シンゾウ、君も同じ意見だな?」

「・・・実はこの件については、かなり前から彼女とは話し合っているのです。朝鮮半島有事がこれだけ目の前に迫っているというのに、平和安保法制は憲法違反だ、などという野党が大勢居るのでは困ってしまう。いや、彼らだって引っ込みがつかなくなっているだけで、現実的にならなきゃいけないことは分かっているとは思うんですけどね。そこで小池さんに一芝居打ってもらったんです。私が国会を解散し、彼女が新党を立ち上げる。お蔭で民進党はバラバラになり、今の日本は保守二大政党。リベラル派の議員はごく少数派になってくれました。わが国の政治的安定度は格段に改善しました」

「ふうむ、面白い。アメリカもそんな風にならないものかなあ」

「大統領、ここだけの話、私はこの北朝鮮の問題が一段落したら、適当な理由をつけて総辞職するつもりでいます。そうなると憲政の常道として、野党第一党の党首である小池さんが組閣をします。自民党が野党になって、閣外協力をしながら憲法改正に取り組みます。いや、結局のところ、わが国で憲法を改正しようと思ったら、野党第一党がその気にならなきゃどうにもならんのです。そのことにやっと気がつきました。だから自民党は下野するしかない。もちろん、ひと仕事が終わった後は、また政権を返してもらいますけどね」

「うーん、何だか君たちがうらやましくなったよ。俺とヒラリーの間じゃ、そんな会話はまったく不可能だものなあ」

「大統領、野暮な話はこの辺にしておきましょう。実は彼女のゴルフの腕前は相当なものですよ。後はビル・ハガティ駐日大使が今日のメンバーです。さあ、今日は思いっきり楽しみましょう」


<10月3日>(火)

○日本はとうとう、「自民党対希望の党」という保守二大政党の時代に入ったのか、と思ったら、結局は「立憲民主党」という左派政党が復活し、天下三分の計と相成りました。確かにこの方がスッキリとはする。ただし安倍内閣を打倒する確率はぐぐぐっと下がった。票が割れますからね。ついでにいうならば、立憲民主党はたぶんそんなには議席を取れないと思います。まあ、朝日新聞や毎日新聞は応援してくれるでしょうが、票にはつながらないでしょうなあ。

○ここに至る過程で、なぜ保守の野党に期待が集まったかというと、いつまでたっても自民党内から安倍さんを引き摺り下ろそうという勢力が現れなかったからでしょう。でもそれは当たり前の話で、今の選挙制度の下で、国政選挙で4連勝もした党首に、党内から挑戦する人が出てくるはずがない。かつての自民党ではないのです。そこで外から挑戦してくれる小池さんが変に魅力的に見えた。でも、冷静になってみたら無理筋であった。そりゃそうだよ。早く気付けよ、てな思いがいたします。

○もともと「政権交代可能な二大政党制」を作るために、今の小選挙区制を導入したのです。だから安倍内閣を倒すためには、野党第一党に頑張ってもらうべきなのです。ところが民進党がどうにも衰退著しくて、政権を取るどころではなかった。このままだとなくなりそうだというので、最後は藁をもつかむ思いで小池さんの蜘蛛の糸にしがみついてしまった。そこでハシゴを外されて、ガラパゴス左派政党たる「立憲民主党」ができるわけですが、だったら最初からそうすればよかったのに。変な話です。

○もう過去形で語ってもいいと思いますが、1996年に結党した民主党は一度は政権奪取に成功したものの、その後はいいことがなかったですね。所詮は、自民党という太陽の光を浴びて輝いている月のような存在であった。有権者としては「一度で懲りた」。5年たっても、まだ民主党政権当時の怒りを覚えていて許してくれないのだから。失敗の原因を、「バカ」と「ズル」と「ワル」という個人の属性に帰してもいいのですが、やっぱり日本では本質的に「リベラル左派政党」は無理なんじゃないか、という気がしてなりません。

○この国でリベラル左派政党が成立するためには、@まず共産党と社民党が穏健化して合流してくれないと難しい。A安全保障で、ある程度現実的な政策を採らなければならない。B経済、金融、エネルギー政策などでも専門家を育てなければならない。C海外の首脳とちゃんと渡り合えるような党首を育てなければならない。ただし全部だめでしたな。子育てや年金や環境問題に一家言ある政治家は出てくるけれども、財政や安全保障問題を見据える人が居ない。強いて言えば野田佳彦首相は立派だったと思いますが、コアな民主党支持者は彼のことがどうもお嫌いなようです。それじゃダメだと思うんですよねえ。

○いつの日か日本でもトニー・ブレアのような首相が誕生して、ちゃんとした中道左派政権をつくる日が来ないとは限らない。ただし、支持者がもっと大人にならない限り、そういうチャンスはめぐってこないんじゃないかなあ。政治家を責めるのは簡単ですが、答えはそこにはないような気がします。


<10月4日>(水)

○西日本経済協議会の総会で金沢へ。せっかくなので、ちょっと早めに行ってまずは「回る富山湾 すし玉 金沢駅店」でランチ。ブリもノドグロも美味である。ただし最近、どうやら水温が少しだけ上がって、富山湾などではブリが不漁になっていると聞いた。言われてみれば、最近は北海道産のブリをよく見かけるのである。

○さらに以前から宿題になっていた「金沢21世紀美術館」へ。金沢市役所の隣で、兼六園に隣接したロケーションに、現代アートの美術館をつくっているところがさすが文化都市である。ゆったりとした周囲の景観と円形のファサードがうまく溶け合っている。平日でも客の入りが多く、学生や外国人観光客も多く見かけた。収蔵品としては、レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」が有名だ。一見の価値ありと言っておこう。

○ただし館内が複雑なつくりになっていることと、係員が多くて妙に口うるさいのは何とかならんのか。割りと美術館は数を見ている方だと思うけど、ここは「ガードの堅さ」が気になった。まあ、それだけ混んでいるということなのかもしれないが。

○併設されている茶室でやっていた「波津彬子が描く泉鏡花の世界」に感心した。金沢出身の泉鏡花の作品を、金沢出身の漫画家が描いている。こういう企画は、他所の都市にはなかなか真似できないよね。誰もやってこない和室を独り占めして、しみじみと原画に見入ってしまいました。

○仕事が始まる前にもう少しだけ、ということで、美術館の向かい側にある「石川四高記念文化交流館」を覗いてみる。こっちはガラガラなんだけれども、ワシ的にはその方が好ましい。旧制高校の建物がそのまま残っていて、往時の記録が展示してある。

○しかもこの建物の中には石川近代文学館が入っている。ちなみに「三文豪」というのがあって、泉鏡花と室生犀星はすぐにわかるが、あと一人は誰かと思ったら徳田秋声という小説家なんだそうだ。御免、知らんわ。そういえば忘れられた作家、シマセイこと島田清次郎も石川県なんだよな。今じゃ青空文庫で読めるらしい。いつの日か、暇になったら読もう。

○ところで旧制高校のいわゆるナンバースクールというやつ、こういうラインナップだったんですな。


(1)一高 東京都→東京大学

(2)二高 仙台市→東北大学

(3)三高 京都市→京都大学

(4)四高 金沢市→金沢大学

(5)五高 熊本市→熊本大学

(6)六高 岡山市→岡山大学

(7)七高 鹿児島市→鹿児島大学

(8)八高 名古屋市→名古屋大学


○こうしてみると、大きな藩があった都市が多いことに気がつく。仙台は伊達藩だし、金沢は前田藩だし、熊本は細川藩で、鹿児島は島津藩である。当時も大都市であったはずの大阪には、ナンバースクールは作られなかった。やはり商人の街だったからだろうか。

○てなことで、わずかな時間の散策であったのだが、やっぱり歴史のある町はいいもんだなあ、としみじみ感じたのであった。その後の仕事の方はつつがなく、ということで。


<10月6日>(金)

○このところ、「リベラルとは何ぞや」てな議論が増えている。民進党の分裂に伴って、いわゆる「左派リベラル」がピンチになっている。保守はカッコいいけど、リベラルはイケてない。そのことに対して、朝日新聞的な「識者」が異論を唱え、世間一般的には「そもそもLiberalとかLiberalismってどういう意味だっけ」と思い悩んでいる。

○当たり前の話をすると、Liberalという言葉はLiberty(自由)から来ている。もともと「自由主義」のことである。左派や社会主義という価値観とは本来、無関係である。「あの人はオールド・リベラリストだ」などと言うときは、この意味でよろしい。権力や大勢に逆らってでも、みずからの信じるがままに自由に生きる。わが国でも大正生まれの世代などには、ときどきこういうカッコいい紳士が居たものである。

○一方でアメリカにおけるLiberalには、「大きな政府」という意味合いがついてしまい、ある時期からカッコ悪い言葉になった。1988年選挙で民主党のデュカキス候補が、「そうだ、俺はリベラルだ、文句あっか」と居直ったら、ブッシュお父さんに負けてしまった。今でも「私はLiberalだ」と言いたかったら、代わりにProgressive(進歩的)という言葉を使うことが政治的なお作法になっている。

○法哲学者の井上達夫先生によれば、リベラルという価値観の基本は「自由」ではなくて「正義」である。「正義」に立脚して世の中を見渡すと、今日の「リベラル派」は欺瞞と偽善とエリート意識に陥っている。朝日新聞も護憲派も平和主義者も呪われてしかるべきである。ということで、リベラルを語るときには『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』(毎日新聞社)は必読書と考えるべきである。

○わが国におけるリベラル没落の端緒となったのは、1996年の民主党旗揚げであろう。初代党首となった鳩山由紀夫は、立党に当たって「リベラルとは愛である」という小冊子を配ったものである。こういうことを赤面せずに言えてしまう人物を、後年、首相にしてしまったことは、わが国政治史における痛恨の極みと言わなければならない。

○それではお前はどう考えるのか、と問われたら、リベラルに対する溜池通信的定義をご披露すべきであろう。どの本であったかは忘れたが、宮崎市定が書いていたのだけれども、「中国の古典に出てくる『仁』とは、『自由』のこと」なのだそうだ。それで蒙が啓けたのであるが、「リベラル≒自由≒仁」なのではないか。「あの人は仁なるかな」と言われたら、その人は自由人であり、リベラリストである。こういうときのリベラルは、掛け値なしにカッコいい。

○逆に言うならば、会社の経費を使うような「社畜」は、「仁」でもなければ「リベラル」でもない。「仁」になるためには、ちゃんと身銭を切れるようにならなければならず、そういう経済的基盤を持ってはじめて自由人=仁者と呼ぶことが許される。つまりは「仁」や「リベラル」は誰でも簡単になれるものではない。意識が高ければいい、なんてものではない。

○これを政治の世界に置き換えれば、空気を読んだり、「寄らば大樹」と考えるような政治家はリベラルではない。「俺はリベラルだ」などと言いつつ、勝てそうな政党に駆け込もうとする政治家は嘲笑されてしかるべきである。少なくともそれらは「仁者」ではない。だってカッコ悪いんだもの。そういう手合いがあまりにも多くて、ゲップが出そうなんだもの。


<10月7日>(土)

○第8回中部アカデミアのシンポジウムで名古屋へ。「グローバリズムとナショナリズム」という硬派なテーマであり、ご一緒するのが一橋大学の先生方で、文字通りアカデミックだというので、少々アウェイ感あり。と言っても当方としては、いつもと同じように、トランプ政権がああでもない、こうでもないという話をするしかないのである。

○このイベント、中部地区における一橋大学のPRという目的がある。といっても、ワシなどは大学時代にじぇんじぇん勉強しなかった者なので、そんなことでいいのか、という気もする。強いて言えば、卒業してから多少は勉強するようになって、その時点で如水会などの一橋ネットワークにはずいぶん助けていただいた。そういう意味では「学恩」を感じている。諸君、大学出たら勉強しよう(大田弘子教授)。

○一方で、パネルディスカッションの部分で、森千香子准教授の「難民・移民危機とEU都市」という話を聞いているうちに、学生時代に阿部謹也先生の西洋中世史の授業で教わった「都市の空気は自由にする」という言葉を思い出した。と言ってもほとんど中身は再現できないのだが。それでも教壇に立った阿部先生の堂々とした姿は今も印象に残っている。教育とはそういうものでよいのではないか。

○個人的にショックだったのは、ご一緒した一橋大学副学長の中野聡教授が、卒業年次で言うと1年先輩で、ほとんど同世代人であったということ。うーん、そうか、ワシもとうとうそんな年代になったということか。そういえば明日でまたひとつ年を取ってしまうのだなあ。


<10月8日>(日)

○忘れないように書いておこう。昨日一番驚いた話。一橋大学は商学部と経済学部で第2外国語を止めちゃうのだそうだ。法学部と社会学部は従来通り。なぜそういうことになるかというと、「だって英語で全部用事が済んじゃうから」。すでに学内で英語の授業も増えているし、今じゃフランスの大学に留学しても、授業はフランス語なしでOKなんですって。うーん、これでは第2外国語を勉強する気にはならなくなりますわな。

○そもそも世界中の大学と交換留学を増やしているので、もう学生の10%くらいは外国人なのだとか。それもすごいよねえ。つい先日、弊社の若い社員同士がカフェテリアでネイティブ英語でひそひそ話をしているのを耳にして、ここはいったいどこじゃらほい、と焦ってしまったワシは、確実に世の中から遅れつつあるらしい。

○「最近の学生はちゃんと授業に出る」とか、「20歳までは、と言って酒を断る学生が居る」とか、その程度はまあ承知しておるのですが、なるほど世の中は変わりつつある。まあ、ワシが大学に居たのは30年以上前のことなので、この程度で驚いてはいかんのだろうな。


<10月9日>(月)

○三連休は仕事が山積み。今日は中国関連の原稿書き。ということで、なかなか選挙ムードに浸れない昨今なのであるが、明日はもう衆院選の公示日である。平成に入ってから10回目、そしておそらく平成で最後の選挙となる。平均すれば3年に1度ということですな。

○ざっくり見て、「天下三分の計」になったからには、面白い選挙区が増えるので、たぶん投票率は上がるでしょう。とくに希望の党はどこまで行けるのか、それとも失速してしまうのか。「選挙のための一夜城」ですから、ボラティリティが高いので関心を集めますよね。小池さんはそろそろサプライズがネタ切れのようなので、これから先は苦しくなるかもしれません。

○「東京から日本を変える」ということは、小池さんも言ってるし、石原さんも言っていた。以前から引っかかっていたことなのだが、国と自治体には大きな違いがある。国家は閉鎖系であり、都市は開放系である。仮に東京都の政策が嫌な人は、他の道府県に引っ越しするという権利がある。逆に東京都の側としては、開き直って「ついて来れない人は置いていくよ〜」と言えてしまう。だけど国家にはそれができない。日本人を辞めるのは大変なのです。

○海外の事例で言えば、パリやニューヨークが地球環境問題で積極的な役割を果たしたり、難民の受け入れで踏み込んだ対応をしている。要するに、「ウチはこういう方針でやらせてもらいます。文句がある人は出て行っていただいても結構です」と言えてしまうのが、都市の強みなのである。それが国家の場合、「だったらお前、日本人辞めろ」とはなかなか言えない。だから閉鎖系の運営は辛い。難民だって、数が増えれば必ず文句は政府に来る。パリやニューヨークの市長のところへは来ない。

○この開放系と閉鎖系の違い、気づいていない人が多いです。企業のトップの人が、「俺に日本国総理をやらせてくれれば・・・」みたいなことを考えるのも同様で、企業なんて所詮は開放系の組織なんですから、経営者として成功している人でも、閉鎖系の難しさがまるでわかっていないことがある。その典型がトランプ大統領で、国家を統合するという仕事を放棄してしまっている。やっぱりアメリカ大統領ともあろうお方が、「ついて来れない人は置いていくよ〜」では拙いんだよな。

○全体が向かうべきベクトルに合わせて、都市がその方向に先導するのが理想だと思います。でも、単に政府に文句を言うためだけに、都市が「ええかっこしい」をしていることもある。野心家が自治体のトップになった時は、特にありがちですな。小池さんが東京都でやってきたことは、たぶんにそういうところが多かったのではないだろうか。

○もっとも今回は安倍政治を信認するかどうか、という選挙であります。小池さんが目立ち過ぎるのは、それはそれで困ったものであります。













編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki