<10月1日>(火)
〇本日は自衛隊OBの方々の会合に呼ばれて、米大統領選挙の話をするのである。聞き手の中に同業者がいるのでまことにやりにくい。
〇ひそひそ声で聞こえてくるのは、「石破さん、大丈夫でしょうかねえ」。「まあ、周りがしっかりしているから何とかなるでしょう」。「そう言えばかんべえさんも、昨日はひどく書かれてましたからねえ」(ギクッ!)・・・・そうだよね、長島昭久補佐官にも、しっかりしてもらわないと。お宅のボス、意外とわかってないみたいだからねっ!
〇今回の閣僚人事について、過去の怨念がいろいろ積もっている、てな声がチラホラ伝わってきます。非主流派の在庫一掃セールだの、身体検査は済んでいるのかだの。知らんがな。そんなこと。石破さんはあまりにも政界一人旅が長かったので、今となっては誰がどうなっているのかわかりにくい。
〇そこで過去5回分の石破さんの推薦人名簿を作ってみました。いやもう、上海馬券王先生の「10年トレンド」じゃないですが、歴史の重みというものを感じます。昔は平成研(津島派)に所属していたんです。それから派閥を捨てて、自前の派閥「水月会」を作り、それをまた解散して今日に至る。信望を頼って来る人も居れば、去っていく人も居る。白雲悠々去りまた来る。
●石破茂、慟哭の16年間と1勝4敗の歴史(出典:ウィキペディア)
2008年 | 2012年 | 2018年 | 2020年 | 2024年 | |
勝利者 | 麻生太郎 | 安倍晋三 | 安倍晋三 | 菅義偉 | 石破茂 |
その他対抗馬 | 与謝野馨 小池百合子 石原伸晃 |
石原伸晃 町村信孝 林芳正 |
なし | 岸田文雄 | 高市早苗 小林鷹之 林芳正 小泉進次郎 上川陽子 加藤勝信 河野太郎 茂木敏充 |
推薦人代表 | 鴨下一郎(津島派) | 鴨下一郎(無派閥) | 尾辻秀久(竹下派) | 鴨下一郎(石破派) | 岩屋毅(無派閥) |
選挙責任者 | 小坂憲次(津島派) | 梶山弘志(無派閥) | 古川禎久(石破派) | 山本有二(石破派) | 青木一彦(無派閥) |
推薦人 | 赤沢亮正(無派閥) 伊藤達也(津島派) 今津寛(津島派) 小渕優子(津島派) 大塚高司(津島派) 岡下信子(津島派) 岡本芳郎(津島派) 木村隆秀(津島派) 倉田雅年(津島派) 竹下亘(津島派) 渡嘉敷奈緒美(津島派) 西銘恒三郎(津島派) 橋本岳(津島派) 林田彪(津島派) 原田憲治(津島派) 平口洋(津島派) 佐藤正久(津島派) 田村耕太郎(津島派) |
石田真敏(山崎派) 後藤田正純(無派閥) 齋藤健(無派閥) 田村憲久(額賀派) 平将明(無派閥) 竹本直一(古賀派) 橘慶一郎(無派閥) 谷公一(伊吹派) 中谷元(古賀派) 永岡桂子(麻生派) 山口俊一(麻生派) 山本拓(無派閥) 石井浩郎(額賀派) 片山さつき(伊吹派) 小坂憲次(無派閥) 佐藤正久(額賀派) 中西祐介(麻生派) 三原じゅん子(無派閥) |
石井準一(竹下派) 松村祥史(竹下派) 青木一彦(竹下派) 島田三郎(竹下派) 舞立昇治(石破派) 中西哲(石破派) 村上誠一郎(無派閥) 中谷元(谷垣G) 渡海紀三朗(無派閥) 橘慶一郎(無派閥) 伊藤達也(石破派) 田村憲久(石破派) 赤沢亮正(石破派) 平将明(石破派) 福山守(石破派) 田所嘉徳(石破派) 神山佐市(石破派) 冨樫博之(石破派) |
門山宏哲(石破派) 八木哲也(石破派) 山下貴司(石破派) 後藤田正純(石破派) 舞立昇治(石破派) 中西哲(石破派) 村上誠一郎(無派閥) 中谷元(谷垣G) 渡海紀三朗(無派閥) 橘慶一郎(無派閥) 伊藤達也(石破派) 齋藤健(石破派) 赤沢亮正(石破派) 平将明(石破派) 福山守(石破派) 三原朝彦(竹下派) 神山佐市(石破派) 冨樫博之(石破派) |
赤澤亮正(無派閥) 泉田裕彦(無派閥) 伊東良孝(二階派) 小里泰弘(無派閥) 門山宏哲(無派閥) 平将明(無派閥) 橘慶一郎(無派閥) 田所嘉徳(無派閥) 谷公一(二階派) 冨樫博之(無派閥) 長島昭久(二階派) 細野豪志(二階派) 村上誠一郎(無派閥) 八木哲也(無派閥) 保岡宏武(無派閥) 藤井一博(無派閥) 舞立昇治(無派閥) 山田俊男(旧森山派) |
〇ここからはっきりと読み取れる傾向があります。
*最後まで尽くしてくれた人には報いている(赤沢亮正、平将明、橘慶一郎、中谷元、村上誠一郎など)
*途中で見限った人に対しては冷たい(伊藤達也、斎藤健、田村憲久、中西哲、古川禎久、山下貴司など)
〇まあ、プライドの高い人なんでしょうなあ。自民党の危機に登場したという点では「令和の三木武夫」的な感じがあるのだけれども、三木さんほどのバルカン政治家ではない。どこか評論家的なところがあって、野党支持者の信認はあるけれども、与党支持者の人気は乏しい。そうそう、SNS上で「石破茂」とか「野田佳彦」の記事を書いても、全然「いいね!」がつかないのだそうです。知らんけど。
〇とはいうものの、上記の表を作ってみて感じることは、石破さんはわれわれ俗人には考えられないような愛憎の中を生きてこられたのであろうな、ということであります。田中角栄の薫陶を受け、小沢一郎にくっついて離党し、竹下登のお陰で復党し・・・などという人生、とてもじゃないが想像を超えている。願わくばその経験値が、どうかこれから日本国のために活かされますように。
<10月2日>(水)
〇本日はアメリカ大統領選挙の副大統領候補討論会。仕切りはCBSで場所はニューヨーク。共和党からは「孤高のインテリ」JDヴァンス上院議員。民主党からは「愛すべきとなりのおっさん」ティム・ウォルズ州知事。ウェルズさんに関しては、「アメリカの森山幹事長」というのもいいかもしれません。どちらも「これ以上、偉くならなくてもいい」という欲のなさを武器としている珍しいタイプの政治家ですよね。
〇不肖かんべえの判定は「6対4でヴァンスの勝ち」ですな。いや、カメラをまっすぐに見据えて早口でまくし立てるのですが、多少、怪しい話も含めて自信満々なのである。対するウォルズ氏は、不安そうな表情が出やすくて押され気味に感じました。最後の「2020年選挙を認めるのか」などと攻め込んだところは見せ場になっていて、もうちょっと攻撃的になってもよかったのではないでしょうか。
〇今日の討論会では、@中東問題、A気候変動、B移民、C景気、D指導力、E中絶問題、F銃規制、Gインフレ、Hヘルスケア、Iファミリー・子どもケア、J民主主義、と幅広いテーマを取り上げたのですが、両候補はお互いに攻撃しあうものの、ほとんどちゃんと噛み合った議論になっていた点に新鮮な感動がありました。
〇しかも討論会終了後には、両者は握手を交わし、さらには両夫人も合せて紹介しあっておりました。なんだか麗しい姿に見えたのですが、考えてみたらドナルド・トランプが登場する以前はこれが当たり前だったのですよね。果たして2028年選挙では、これが当たり前になるのであろうか。そしてウォルズはともかく、ヴァンスは確実に2028年選挙に出てくるだろうな、と感じた次第である。
〇本日の「Nらじ」さんで、本件についてインタビューに応えました。どこかでお耳に入っていれば幸いであります。
<10月3日>(木)
〇本日はサクッと大阪に行って(一社)関西アジア倶楽部さんへ。米大統領選挙についてお話ししてまいりました。関経連及び大商の両専務理事さんもお見えでございました。それにしても鷲尾代表、本当によくやられてますねえ。
〇全体2時間の内訳は、プレゼンが30分で残りの90分が質疑。これが同会の流儀なんですが、ワシ的にはこういう時間配分は好きです。「パワポ抜き」というのも好ましい。「真剣勝負をやっている!」という感じがあります。
〇せっかく大阪まで行ったのですが、締め切りもいっぱいあるのでそのまま素帰り。「551」のお土産さえ買っていないのである。新幹線の中では、せっせと原稿を書く。ああ、なんてストイックな私。
〇ところで先日聞いたところによると、大阪・関西万博はどうやら目鼻がついてきて、海外パビリオンの建設もほとんどが間に合うらしい(サウジアラビア館がちょっとだけ心配とのこと)。さすがはニッポン、尻に火が付くと何とかなるのです。意外なことに、来年になったら「万博は成功したけど、維新は消えてなくなっていた」なんてことになっていたりして。
<10月4日>(金)
〇日本政治とアメリカ政治を代わる代わる追いかけている日々でありますが、そんな中で中東ではイスラエルとイランのドンパチがエスカレートしております。これぞ「オクトーバー・サプライズ」。かねてから、10月7日の「ハマスによるテロ攻撃1周年」がヤバいんじゃないかと思っておりましたが、NY原油が上がっていると聞くと、これはもう民主党側に打撃でありましょう。
〇イスラエルとしては、軍事行動を加速することにはほとんどリスクがない、と考えているのだろう。まさか大統領選挙の直前に、アメリカが自分たちを見捨てられるはずがない。そしてバイデン政権をいくら困らせても、次がトランプ政権であれば何の問題もない。
〇先日の副大統領候補討論会で、「そうかっ!」と思ったフレーズは、ヴァンス氏のこの一言だった。「40年間生きてきて、この国が紛争に巻き込まれなかったのはトランプ政権の4年間だけだった」。それは違う、違うぞ〜!と思ったけれども、ミレニアル世代の眼には、そんな風に映っているのかもしれない。
〇実際問題として、トランプ政権の復活はG7の視点からすればDisasterであろう。ところがG20目線で見ると、かなり違って見えるはずである。なんとなれば、G20(EUを除くと19か国)のメンバーには、「プーチン大統領(ロシア)」「習近平主席(中国)」「モディ首相(インド)」「エルドアン大統領(トルコ)」「MBS皇太子(サウジアラビア)」の5人は、皆さん揃ってトランプ第1期政権を記憶している。トランプ氏が第47代大統領になれば、「やあ、お帰り」と迎えられるだろう。25%以上がそうなんです。
〇それだけじゃないですよ。イランのハメネイ師、イスラエルのネタニヤフ首相なども以下同文です。彼ら独裁者ワールドから見たら、「おう、なんだ、アメリカにやっと話の分かるヤツが戻ってきたのか」ということになる。
〇その結果として世界は平和になる、かどうかはわからないが、たぶんハリス政権よりもマシなのではないか。バイデンさん外交のベテランで、彼なりにベストを尽くしたけれども、ウクライナ戦争を止められず、アフガン撤退では米軍が醜態をさらした。ハリス氏がそれよりも上手くやれるとはとても思われない。
〇まあ、ヤクザの親分さんたちが「ナシを打っといた」みたいな世界になってしまうのだろうが、どんなに悪い平和であっても、良い戦争よりはマシである。だからトランプ氏を応援しましょう、とまでは言い切れないのが悩ましいところであります。
<10月5日>(土)
〇今週末から封切りの『シビルウォー』。どれ、予約を入れようと思って映画館のサイトを見たら、副題に「アメリカ最後の日」とあるのに気づいて、一瞬、気持ちが萎えかけたのでありますが、「いや、これは仕事のうちだ」「講演会のネタにもなるだろうし」と気持ちを奮い起こし、行ってまいりましたですよ。東宝シネマズへ。
〇ちなみに原題を見たら"Civil War --Welcome To The
Frontline"となっていて、正しい副題は「最前線へようこそ」である。本当に戦場(Frontline)、それも見慣れたアメリカ国内が戦場になっているという衝撃的なシーンの連続でありまして、なかなかすごかったですぞ、この映画。ワシントンDCの市街戦なんて、よくまあリアルに描けております。
〇内戦が発生した理由は、劇中ではほとんど説明されません。察するに、トランプさんみたいな大統領が登場して、任期が切れたのにそのまま居座って、FBIを解散してしまうなど好き放題をしている。そこで、業を煮やしたカリフォルニア州とテキサス州が、同盟軍(WF=West
Forces)を作ってワシントンに向けて進撃を始めた、てな感じでしょう。ただし、そこをリアルにしてしまうと、この映画は一気に詰まらなくなってしまうわけでありまして。
〇何よりこの映画の中では、みんなが知ってるあのアメリカが、まるで中東かどこかのような破綻国家になっている。米ドルは暴落していて、カナダドルがハードカレンシーである。すでに19州が連邦を離脱しており、ミズーリ州やコロラド州では内戦は「ないこと」にされている、というのがまたリアルである。「いや、アメリカはひとつ間違えれば、こんな風になっても不思議はない」と思えてくる。
〇物語はアメリカ映画によくある「ロードムービー」の体裁をとり、主人公たちにニューヨークからワシントンDCへの旅(なぜかウェストヴァージニア州を経由する)をさせる。ジャーナリストの先輩と後輩、戦場カメラマンのベテランとひよっこ、などの人間模様を書き込んで、奥行きの深い映画が出来上がっている。ケイリー・スピーニーという若い女優さん、「いまどきのZ世代」という感じで、なかなか良かったですよ。
〇ただし万人にお勧めできる映画ではないらしく、終了後は明らかに「なんじゃ、これはぁ!」と憤然と席を立つお客さんがいらしたような気がいたします。音楽の使い方にクセがあって、ちょっと首をかしげるようなところもありました。ということで、アッという間に上映が終わってしまうかもしれませぬ。ご関心のある向きは、なるべく早めに映画館に行かれる方がよろしいかと存じます。
<10月6日>(日)
〇政界を引退された渡辺よしみ先生、こんなNoteを書いていらしたのですね。
●お笑い自民食堂 秋の料理祭り(フィクション) (9/19)
自民食堂の総シェフは日本料理組合の理事長を事実上兼ねている。広島風お好み焼きを得意とするキッシー総シェフが自民食堂の裏金料理人続出でケチがつき、客離れ防止のため辞任を表明した。秋の料理コンクールで優勝した料理人が後継者となる。
コンクールの投票権を持つのは自民食堂料理人と4000円の年会費を2年以上払った登録会員。1回目投票で過半数が取れなければ上位1、2位にによる料理人と都道府県代表による決戦投票となる。
一番人気は「鳥取風・梨ゴレン」のゲル・バシイ料理人。自民食堂では出戻り組である。過去4連敗してるので最後の戦いと位置づける今回は、5連敗のイメージを避け鳥取名産「猛者エビ」でエントリー。非常に美味なのだが、鮮度が落ちるのが早く地元でしか食べられない「幻のエビ」と言われている。果たして全国民に食してもらえる日が来るか。
二番人気はシンジロー料理人。親父さんは激辛路線の「横須賀変人カレー」で総シェフとなったが、倅は「横須賀エコカレー」のマイルド味で勝負する。誰にでも受ける口当たりマロヤカさが逆に災となり、中味のない「ポエムカレー」と揶揄され人気急落との評が出ている。ちなみに、親父は三度目の正直で優勝した。
三番人気はサナエ・タカ料理人。「奈良・三輪素麺」保守風味を掲げる。口当たりは滑らかだが、コシが強い。推薦人20人のうち13人が裏金料理人であるものの、人気は急上昇中。日本料理組合財務部の緊縮路線には反対、同銀行部の利上げにも反対。リーフレット30万部を郵送(一部250円だと郵送料だけで7500万円)したと批判されている。
〇「お笑い自民党食堂」が初めて登場したのは2001年のこと。当欄の2001年4月7日のことでした。なにしろ23年も前のことなので、今読み返すと何のことだかわからないかもしれない。親切なかんべえさんがちゃんと説明しておいてあげよう。
*「岡山かつ丼」:橋本龍太郎
*「横須賀の本格派カレー」:小泉純一郎
*「神の国弁当」:森喜朗
*「海の家ラーメン」:小渕恵三
*「福岡風シーフードサラダ」:麻生太郎
*「京都ド迫力御膳」:野中広務
*「広島風カメの子せんべい」:亀井静香
〇懐かしいねえ。自民党総裁選挙も随分変わりました。世の中はそれ以上の速度で変わっております。まあ、そういう世の中ですから、文句を言っても始まりませぬな。
<10月7日>(月)
〇石破内閣がヤバいぞヤバいぞ、自民党が分裂するかもしれない、てな声が多く聞こえてきますが、ワシはへそ曲がりなのでつい逆を読みたくなります。
〇まず、「裏金議員は非公認」という今回の石破首相の判断は、「当選してくれば、その後はお咎めなし」という意味ですから、自民党らしい実力主義ともいえます。選挙という「みそぎ」さえ済ませれば、説明責任を果たしたことになるのです。メディアや野党はうるさいことを言い続けるでしょうけど、党内的にはそこはもう関係ない。
〇次に「自民党が割れるかもしれない」という話については、確かに日本保守党へ逝きたい人が何人かいるかもしれませんけど、地元に自前の組織を持っている議員さんたちが真面目にそんなことを考えますかね? たとえ党内野党であっても、政権に近いところに居たい。理屈じゃなくて、利益で結びついているのが自民党というものですから。
〇それから今回の勝敗ラインですが、計算してみればすぐわかることです。自民党は現有議席を1割減らしても、単独過半数にはギリ届きます。自公連立では2割近く減らしても、なんとか与党過半数はキープできます。現時点の期待値は、せいぜいその中間くらいじゃないですかねえ。
〇野党は「自公を過半数割れに追い込む」と言ってますけど、彼らは10月15日の公示日までに選挙区調整を済まさなければなりません。あと1週間で、間に合いますかね?しかも立憲民主党の野田代表は共産党に喧嘩を売った直後です。さらに維新の会は落ち目です。どうやって連携するんでしょうか。そっちの心配をしている人を見かけないのが不思議です。
〇しかも彼らは国会が忙しくて、水面下で候補者調整をしているようには見えません。今から負けたときの言い訳をしているようにも見えます。その辺が利益じゃなくて、理屈で結びついている人たちの限界なんだと思います。
〇今から20日後の総選挙の結果がどうなるかは、もちろん神のみぞ知る世界であります。ただし、メディアが「ヤバいぞヤバいぞ」と騒いでいるのは、「そうなってほしいんだけどなあ!」という願望の表われでしょう。もしくは単なるリスクヘッジか。3年前に岸田さんが行った解散・総選挙の時も、彼らの予想が思い切り外れたことを皆さん、お忘れですか?
〇不肖かんべえ、米国大統領選挙はToss Upということで白旗を揚げますが、来る日本の総選挙は、自民党が負け渋る方に賭けたいと思いますね。石破さんって、見た目はキモいけど、可愛げがあって憎めない人ですからねえ。
<10月8日>(火)
〇本日は経済同友会の会員セミナーに呼ばれて、日本経済や日米の政治情勢をネタに熊谷亮丸さんと掛け合いをやる。この年になると、誕生日と言ってもめでたい気はしないのであるが、こんな風に「古巣」(といっても同友会に出向していたのは30年も前のこと!)に呼ばれるのはうれしいですな。
〇それから今朝の産経新聞にはこんな拙稿が載りました。石破さん、読んでくれますかねえ。
●<正論>石破内閣は令和の「富国強兵」を
〇でもって、明日はモーサテに出演です。明日予定の解散・総選挙について語る予定です。
(ということで、忙しさに紛れて各方面に不義理を重ねておりますが、どうかひらにご容赦を)
<10月9日>(水)
〇本日の党首討論、「石破vs野田」の部分だけを見ましたが、なんとも幸福な時間でありました。さすがはご両人。昭和なオヤジが共に舞台に立ち、論戦を演じるのでありますが、真剣に切り結びつつも、相互にリスペクトがあって、もちろんフェアープレイで、互いの良さを引き出しあうという見事な展開でした。惜しみない拍手を送りたいと思います。
〇おそらくはご両人にとって、「一生に一度でいいから、こういう論戦をやってみたい!」という舞台だったのではないでしょうか。石破さんが5度目の挑戦で首相の座を射止め、野田さんが野党第一党の代表に返り咲いたことで、この企画が実現した。さしずめ矢吹丈が力石徹やホセメンドーサとの戦いの中で、エクスタシーを感じているような時間であったかと拝察します。
〇どちらの勝ちか、と言えば、それはやはり鉄壁の守りを見せた石破さんでしょう。ごく一片の失言でも、3週間後の総選挙の命取りとなりかねない状態でしたが、「これはもう絶対に間違えてくれない」という藤井聡太七冠の終盤戦みたいでした。こういう安定感は、高市さんや進次郎じゃあ不可能ですよ。
〇もっとも今日は、党首討論というフォーマルな舞台でありました。これが反則あり、引っ掛けあり、何でもありの予算委員会となれば、おそらくは別の世界となり得るでしょう。石破さんと言えども、前のめりになってしまうかもしれない。自民党側としては、やはり早期解散に打って出たことが正解というものです。
〇何と言っても、野党に候補者調整をさせる暇を与えなかった。今年の共産党は、全国で200人も候補者を立てちゃうのですな。つまり「立憲共産党」にはならないということです。野田代表は最初からそのつもりだったでしょうが、自民党から見ればこの方が与しやすいでしょう。いや、ホント、今日は面白いものを見させてもらいました。
<10月11日>(金)
〇政経懇話会の仕事で函館へ。米大統領選挙の直前情勢と今後の日米関係(石破さん、大丈夫かしら?)みたいなお話しを一席。
〇最初に「どっちが勝つかはわかりません」と前置きするのがこの仕事のコツであります。だってねえ、7つのサイコロを振って、出た目を足して多い方が勝ち、みたいなゲームですから。ちなみに7つのサイコロとは、「PA19」「NC16」「GA16」「MI15」「AZ11」「WI10」「NV6」です。どっちがどっちに行くかで、無数の組み合わせが出来てしまうんですねえ。
〇今日は秋晴れ。街中に外国人があふれているが、これは今朝、クルーズ船が函館港に着いたからである。皆さん、せっせと観光をなさるのだが、混乱も少なくないらしい。タクシーに乗ったら、「日本人のお客さんを乗せるとホッとします」と言われてしまいました。
〇インバウンドが多いのは結構なことなれど、24万人都市としては人口減少に頭が痛い。間もなく選挙も始まる。ご当地北海道8区は、立憲民主党の重鎮、逢坂誠二氏の地元。ところがここへ自民党の女性落下傘候補、向山じゅん氏が挑戦している。地縁まったくなしで殴り込み、というのが「いまどき」チックな話である。注目の選挙区のひとつでありますね。
〇函館に来るのはこれが4回目である。函館駅近くの「土方歳三最期の地」に立ち寄りました。今宵は湯の川温泉に泊まります。いや、まことに結構なのであります。
<10月12日>(土)
〇朝晩の函館は上着がないと少し寒い。が、この冷えた空気が、内地からの旅行客にとっては何よりのご馳走である。朝風呂を浴びた後で散歩し、コンビニにて北海道新聞函館版を購入する。昨日の講演会で、自分の記事が出ていることをいちおう確認するのであります。
〇ありがたいことに、コンビニではちゃんと競馬新聞を売っていた(昨晩見たときにはまだなかった)。いつもの「優馬」を購入して、部屋に戻ってしばし今日のレースを研究。これから函館競馬場に行ってひと勝負するのである。
〇それにしても函館競馬場は恵まれた場所にある。空港から近く、湯の川温泉にも近い。海が見える競馬場、というのは他にないのではないか。函館市のいいところは、すぐ近くに青函海峡が見えて、朝獲れのイカが美味なことである。旅打ちにはもってこいではないか。
〇これで飛行機代が安くなれば、全国から多くの競馬ファンが押し寄せるのではないかと思う。あいにく函館空港はLCCが飛んでいないのだ。そして競馬ファンとは、競馬で4万円負けても平気だけれども、エアチケットに4万円払うのはツラいと感じるものなのである。函館開催の6〜7月だけでも、ご一考願えませんかねえ。
〇今の時期の函館競馬場は、パークウインズ(場外馬券売り場)になっている。さて、この時期にどれくらいお客さんが居るのだろう、と半信半疑で現地に来てみると、9時半の開門前にすでに近郷近在のファンが行列を作っている。良かった、よかった。
〇来る前にネットで見て買った「パドックシート」は、目の前に大スクリーンがあって、デスクには電源もついているのでありがたい。お代は400円也。あいにくお店はあんまり開いていない。ということで、お弁当持参のお客さんが居たりする。ああ、これで場内でイクラ丼が食べられれば言うことなしなのだが。
〇この3連休、今日は新潟と京都のレースである。明日は秋華賞(G1)があって東京と京都開催。明後日は東京と新潟開催という変則開催である。つまり今日はそんなに盛り上がる日ではない。ワシも一応、ちゃんと帰ってこなければならないので、7レースまでやって席を立つのである。でもって、すぐ近くの函館空港にて海鮮丼を頂戴するのである。
〇それでも今日は、新潟メインの飛翼特別(2勝クラス、芝1000m)を当てたので、しっかり浮いた。いや、今年は新潟の千直がよく当たるのです。これは羽田空港に着いてから確認。とりあえずこれで、JRAの10会場のうち8会場を制覇したのである。北から順に札幌、函館、福島、中山、府中、京都、阪神、小倉。残っているのは新潟と中京である。今後の楽しみにとっておきましょう。
<10月14日>(月)
〇わが阪神タイガースのシーズンは、CS連敗であっけなく終わってしまった。まあ、今年はやっぱり強いチームではなかったな。
〇だいたい今年のタイガースはホームランが出ないチームである。佐藤輝と森下が16本で大山が14本。クリーンナップの3人を足して大谷翔平ひとりに届かない。これでは迫力がないことはなはだしい。今から考えれば、もうちょっと補強しておくべきではなかったか。
〇とはいうものの、岡田監督はお疲れさまであった。もうちょっと続けてほしいところだが、まあ、いろいろ裏の事情がありそうでもある。そこはタイガースなんで、文句を言っても始まらない。「アレンパ」できなくてちょっと悔しい。
〇ところで日ハムっていいチームですなあ。いや、球場がいいのは知っていたけれども、新庄監督も実は名監督なのかもしれない。今日のCSでロッテの下克上を見事に封じたが、こうなるとソフトバンクとの死闘を見てみたい。日本シリーズは別にどうだっていいのである。
<10月15日>(火)
〇今朝、「飯田浩司のOK!Cozy
up!」出演のためにニッポン放送に到着したら、スタッフの皆さんから「お久しぶりですね」。はて、ワシが前回出たのはいつだったっけ。そうか、斎藤健さん登場で、間もなく自民党総裁選が封切られるという9月3日であった。それが今日になったら衆院選の公示日である。いやはや。なんという早さでしょうか。
〇今日のうちに、ご近所の選挙掲示板には早くもポスターが貼られている。あと12日後には結果が出てしまう。そして投開票日にはキチンと集計がされて、翌日朝には大勢が判明している。そして翌日の夕刊には正しい得票数が掲載されている。素晴らしいことに全国くまなく同一ルールで開票が行われ、その結果に対してはほとんど疑義が出ない。さすがはニッポン。
〇これに比べれば、11月5日の米大統領選挙などは酷いものである。なにしろ「7つのサイコロを投げて、出た目を足し合わせて決まる」ような戦いなので、ほとんど予測ができない。それどころか、「いつになったら結果が出るのか」さえよくわからない。おそらくは選挙結果に対する裁判沙汰も起きるはずなので、はてさていったいいつになったら勝者が判明するのか。
〇そこで「激戦7州では、一体いつ頃に選挙結果が判明するのか」が問われ始めている。ここで大切なのは、「期日前投票分を、いつから計算し始めるのか」である。何しろ州ごとに選挙法が違うので、期日前投票に対するルールも違うのである。現時点でここまではわかっている。
*アリゾナ州(EV11人):期日前投票分は、この州では受け取り次第カウントして良いことになっている。東部の激戦州よりも早く結果が公表されるかもしれない。
*ジョージア州(EV16人):郵便投票の封筒が切られるのは10月21日から。投票日前には片付いているだろう。当日の締め切り時間が午後7時と早いので、たぶん最初に結果が出る激戦州となるのでは。全体の流れが見えてくることになるかも。
*ミシガン州(EV15人):投票日の8日前から開票及び集票作業ができる。締め切り時間は午後8時なので、たぶんジョージア州の次に結果が判明しよう。
*ネバダ州(EV6人):郵便投票の集計は投票日の15日前から。全てを郵便投票で行うルールなので、時差が1時間早いアリゾナ州よりも早く結果が出るかも。
*ノースカロライナ州(EV16人):州の西部がハリケーンの被害を受けたため、25の郡で投票が困難になったということで、訴訟の嵐は今からほぼ確定。投票時間は午後7時半締め切り。シャーロットなどの大都市は被害を受けていないので、前回2020年との比較でハリス氏の勝敗が分かってしまうかも。
*ペンシルベニア州(EV19人):2020年に初めて期日前投票制を導入たので慣れていない。事前投票分は当日の午前7時まで開票されないかも。全ての票が数えられるまで、2〜3日を要するかもしれない。
*ウィスコンシン州(EV10人):2020年選挙ではジョージア州、アリゾナ州に次いで僅差だった。ペンシルベニア州と同様、投票日まで開票の前処理が始まらない公算が大。選挙の当事者は、もっと手早くできるように法律を変えてくれと懇願しているが、州議会の共和党は聞く耳もたず。
〇ジョージアとミシガンが早めに開いて、後は辛抱しながら開票を待つ、てなことになりそうですな。はてさて、日本時間ではいつ頃になるのやら。
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by Tatsuhiko Yoshizaki