●かんべえの不規則発言



2020年10月






<10月2日>(金)

〇本日、東洋学園大学のウェビナー講師を務めていたら、Q/Aセッションの部分で司会の朱建栄先生が、「トランプ夫妻がコロナで陽性だったという質問があるんですけど」という。聴講中だった共同通信の方からの質問だという。「ええええええっ」と思ったら、トランプさんが自分でツィートしていた。いやあ、とんでもない。

〇トランプさんには今まで何度も驚かされました。まず当選したこと自体に。それから米朝首脳会談、米中貿易戦争、大阪G20で金正恩にツィッターでラブコールしたりしましたわなあ。イスラエル大使館をエルサレムに移動するとか、まさかホントにやるとはねえ。いやもう、ここまでくると何が起きても驚かない。が、今回のは身体を張ったサプライズである。

〇変な話、昨日の東証システムダウンの話はこれで忘れ去られるかもね。昨日は昨日で驚いたのですが、今日になったら半分忘れかけている。「トランプ氏が陽性!」のニュースで株価が下がることの方が大騒ぎとなっている。人はそうそういろんなことに驚いてはいられないのである。

〇それにしても、「トランプ劇場」はこの先、どんな番狂わせやどんでん返しを用意しているのだろう。ここまでくると、いよいよ終盤戦なのかもしれない。しみじみ、偉大なるショーマンである。


<10月3日>(土)

〇RBG死す(9/18)→保守派の女性判事バレット氏を指名(9/26)→NYT紙がトランプ氏の税金記録でスクープ(9/27-28)→第1回のテレビ討論会は勝者なき泥仕合(9/29)→トランプ夫妻がコロナ陽性(10/2)

〇これ以上何を驚けと言うのでありましょうや。「石原さとみの結婚報道が一番のショックだった」という方もいらっしゃるでしょうが、4年に1度の季節労働者(アメリカ大統領選挙ウォッチャー)としては、気の休まらない日々が続いております。

〇NYT紙のスクープもなかなかのものでして、この膨大な分量の調査報道(9月27日分9月28日分)をじっくり読もうかと思っていたのですが、いかんせんご本尊が入院中ということになると、税金の話どころではありませんな。「トランプ劇場は、大きなサプライズが出ると連続する」の法則は健在です。

〇さて、いくつかの論点を整理しておきましょう。

(1)トランプさんにとって有利か不利か?→トランプさん御用達の世論調査「ラスムッセン」を見ると、10月2日の支持率は前日比で低下している。特に先週は4割台もあったStrongly Approve(トランプ氏の熱烈支持)が、前日比▲4pの35%となっている。「トランプ支持層」からみると、「コロナにかかるようなのは俺たちのトランプではない」という評価になるようです。

(2)ほかの感染者は?→ホワイトハウス内でクラスターが発生していたら大変です。とりあえずマイク・ペンス副大統領は陰性だったようですが、ケリーアン・コンウェイ氏も陽性だとか。コロナ追加対策の協議の場でムニューシン財務長官からペローシ下院議長、なんて経路になっていませんように。そしてTV討論会で一緒だったバイデンさんと司会のウォーレスさんも。

(3)トランプさんは治るのか?→自前で変な薬(ヒドロキシクロロキン)を飲むのではなく、ちゃんとプロの指示に従っているようなので、たぶん大丈夫だと思います。早く治って元気なところを見せて、「俺様はコロナに勝った大統領だぞ」などと憎まれ口をたたいてほしいものです。

(4)候補者が途中で死んだ場合はどうなるのか?→既に郵便投票は始まっていますから、今からチケットの変更はできません。それでもトランプさんが死んだ場合は、仕方がないのでペンスさんが昇格ということになるでしょう。その場合は、新しい副大統領候補を決めなければなりません。たぶんニッキー・ヘイリーでしょうな。

(5)テレビ討論会はどうするのか?→あと2回予定されていますけど、もうやらないのではないかなあ。Zoom方式にして、相手がしゃべっている間に割り込みすると「ミュートボタン」を押す、というのはジョークではなく、本当にそうなってしまうかもしれません。

〇もうひとつ、合衆国憲法修正第25条の問題があります。大統領が執務不能になったときにどうするか。せっかくなので原文をコピーしておきましょう。


O Section 1: The vice president becomes president if the president dies or resigns.

O Section 2: If there is a vice presidential vacancy, the president nominates a vice president who must be confirmed by a majority vote in Congress.

O Section 3: If the president tells the Senate president pro tempore and Speaker of the House in writing he is unable to perform the duties of president, the vice president is acting president until the president notifies in writing otherwise.

O Section 4: If the vice president and majority of either House or Senate write to the Senate president pro tempore and Speaker of the House that the president is unable to perform the duties of the office, the vice resident becomes acting president.


〇第3項は使われたことがあります。ブッシュ(子)大統領が自分の手術中にチェイニー副大統領に権限を委譲したケースがあります。問題は第4項でありまして、映画の中ではよく出てきますが、実際に使われたことはありません。これが検討されるようなことがないことを切に祈ります。


<10月5日>(月)

〇トランプさんは結構元気なようですが、事態はだんだんシャレにならない方向に向かっています。

〇そもそも民主党は「コロナは大変なことだ」(だからマスクをしよう、党大会もリモートです。戸別訪問もやりません)という態度を貫いてきた。これに対して、共和党は「コロナなんて大したことない」(マスクは不要、党大会もなるべくリアルで。選挙戦術は地上戦上等)という感じであった。

〇それがご自身が奥様とともに感染してしまい、どうかするとホワイトハウス内でクラスターが発生していたとあっては、これはもう共和党による国家安全保障上の失態ということになります。何より「国民の目をなるべくコロナから外す」という基本戦略が狂ってしまいます。

〇特に問題なのが、共和党の上院議員の中に感染者が出たことです。これでは追加のコロナ対策予算審議は間に合わないし、「投票日前のバレット判事の承認」も怪しくなってきます。上院共和党が描いていたのは、来週の12日から司法委員会で公聴会を実施して、そのまま10月22日までに委員会で採決するというスケジュールだった。これなら余裕で11月3日前に承認できる。

〇ところが共和党上院議員が3人、コロナに感染してしまった。この人たちは向こう2週間、自主隔離ということになる。3票も減ったら、承認は通らなくなる。何しろ現状は53対47であって、しかも身内の2人が反対する構えなのだから(リサ・マコウスキーとスーザン・コリンズ)。しかも感染した3人中2人は、司法委員会所属だという。逆に民主党側は、あらゆる手段を使って審議を遅らせようとしてくるだろう。

〇そもそも9月26日、エイミー・バレット判事を最高裁判事に指名するセレモニーで、一気に共和党関係者にコロナが広がった、というのがまことにゲンが悪い。民主党側はいったんは諦めモードだったけれども、この人事はひっくり返せるかもしれない、という希望が湧いてきているのではないだろうか。

〇などという話とは全く別に、定番の「マネ育チャンネル」にこんな記事を寄稿しました。これも結構、スゴイ話だと思いますぞ。

●「トランプ帝国」の実態は火の車だった? NYタイムズ紙暴露のすごい中身


<10月7日>(水)

〇仙台市に来ている。本日は午後から東北生産性本部さんで講演会。テーマは「菅新政権の発足と米大統領選の見通し」。

〇昨日は東北電力さんのご案内で、女川原子力発電所を見て参りました。2011年夏、つまり震災の半年後に訪ねて以来です。東日本大震災の時、震源地からの距離でいくと福島第一原発よりも近かった女川原発は、「水面から14.8m」に建てられていたこともあって、間一髪、難を逃れました。もっとも震災後は、牡鹿半島自体が1m沈みこんだので、以前よりも低くなっているそうです。

〇ここでは次なる津波を最高で23.1mと想定し、海抜29mの防潮堤を建設中である。9年前に見たときと、まるで景色が変わっていることに驚く。それから1号機は、既に廃炉に向けて動き始めている。現在、2号機を再稼働に向けて準備中である。そのためには規制委員会のリクエストを全て乗り越えねばならず、何より地域の理解を得なければならない。とはいえ、BWR型炉の再稼働としては、柏崎刈羽よりも女川の方が早いかもしれない。

〇女川の街も覗いてみる。9年前は津波がすべてを押し流してしまった光景と、瓦礫の山が見ていてトラウマになったものである。今では住宅が高台に移転し、海際には瀟洒な店がいくつか並んでいる。町役場や学校などもモダンな建物になっている。きれいな街だが、ちょっと居心地が悪い思いもする。何よりここで一杯やった後は、高台の家まで帰るのが大変だろうなあ。

〇漁業は既に復興の緒についているようだ。はるばる続くリアス式海岸は、この地が世界有数の漁場であることを物語っている。ただしサンマの不漁は深刻であるとのこと。そういえば今年はまだ一度も食べていないなあ。これも気候変動の影響なのだろうか。

〇ともあれ、あれから9年半が経過した。来年3月には丸10年となる。思うことはいろいろあれど、書き下ろすには時間がかかりそうである。どれ、その前に仕事じゃ。


<10月8日>(木)

〇誕生日である。昨日までは50代であったが、本日からは60代である。いわゆる還暦というやつだ。

〇自分の50代はまことにラッキーであった。健康に恵まれ、友人に恵まれ、仕事にも恵まれ・・・と言いたいところだが、考えてみたら大した仕事はしていなかった。それでもいろんなところへ行けたし、退屈する暇もなかったし、何よりそんなに痛い目に遭っていない。どうやらコロナにもかかっていないようである。

〇時節柄、特にお祝いのようなことは予定していなくて、日曜日に家族でてんぷら屋に行ったくらいである。今宵はとっても久しぶりの勉強会であった。ずぶずぶにオタクな議論をしたので、とっても幸福な気分である。

〇せめて今日は赤いネクタイをしていこう、と思っていたのだが、朝になったらスカッと忘れていた。明日こそはちゃんと忘れないようにしよう。明日はモーサテに出勤です。


<10月9日>(金)

〇本日は横浜へ。内外情勢調査会の横浜支部の講師である。

〇会場はホテルニューグランド。今日は天気が悪いので、横浜駅からタクシーで向かう。横浜の一番ヨコハマらしいところを通って、雨に煙る山下公園や日本郵船氷川丸が見えてくる。いいよねえ、横浜は。

〇横浜支部は、2月以来の会合であるとのこと。普通、内外情勢調査会は丸テーブルで会食するのだが、今日は学校方式の配席。そして食事はお弁当である。なるべくサーブする人の移動を減らすためで、なおかつ「食事は不要」という人もいらっしゃる様子。なかなかに気を遣っておられます。

〇で、アメリカ大統領選挙の情勢についてお話しする。今朝のモーサテでも「投票日以降の混乱シナリオ」というお話をしましたが、できれば11月3日にスパッと決まってほしいものです。郵便投票の開票に手間取り、12月に入っても選挙人が確定せず、最高裁も機能不全となり・・・・というのは考えたくありませぬ。

〇ところで昨日発表の9月分景気ウォッチャー調査が画期的な内容で、前月比5.4P上昇の49.3となった。この数値、滅多に50を超えることはない。そして4月には7.9となり、リーマンショックや「3・11」のときさえなかったひとケタ台にまで落ちた。それから5カ月でここまで盛り返すとは。

〇ここはあんまりぬか喜びをしてはいけない。景気ウォッチャー調査は毎月月末に行われるので、9月のプラスはシルバーウィークの人出を素直に評価したもののように思える。8月のお盆に外出や帰省を自粛した人たちが、リベンジ外出したからだろう。飲食関連が前月比18.1P上昇で、55.0というのは出来過ぎじゃないかと思う。

〇それよりも大事なことは、シルバーウィークから2週間たったのに、感染者数が目立って増えていないことである。この病気との付き合いは長くなりそうだけれども、そんな中でも少しはコツが呑み込めてきた、ということではないだろうか。

〇ちょっとずつ世の中が平常を取り戻しつつあることを確認したヨコハマ行きでありました。


<10月10日>(土)

〇今月中に普段の連載や溜池通信などに加え、1万字超の原稿を2本も書かねばならないことに気がついて呆然としている。これでは赤いちゃんちゃんこどころの騒ぎではない。

〇こういう日にふさわしいことに、今週末は寒くて雨が降り続いている。せっせと家で仕事をするしかない。クリーニング屋に行ったのと、サウジアラビアロイヤルカップをちょこっと買ってみたけど、もちろん外しただけである。ああ、なんとストイックなワタシ。

〇とりあえず6000字分くらい書いてみて、ああ、まだ半分かとため息が出るところである。いや、昨晩まではまったく書けないんじゃないかと思っていたところなので、それよりは進んでいると信じたい。実は缶ビールも開けているのだが、まあ、それくらいいいよね。

〇ところで先ほど竜王戦の七番勝負第1局を確認してみた。52手で投了とは、挑戦者の羽生さんはまことに不出来な一局であった。大丈夫かなあ。豊島竜王がそんなにいい手を指した感じではないのであるが。


<10月12日>(月)

〇忘れてしまいそうなので自分用のメモとして。

〇10月2日にトランプさんのコロナ感染がわかったときに、キャンセルした遊説先は「フロリダ州、ウィスコンシン州、ネバダ州、アリゾナ州」であったということ。

〇それを聴いて、「うむ?トランプさん、ラストベルトを捨ててサンベルトを狙っているのかな?」と感じました。

〇2016年にトランプさんの意外な勝利をもたらしたのは、ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州が僅差でひっくり返ったこと。この3州は典型的ブルーステーツで、ヒラリー・クリントンもあまり遊説しなかった(ビル・クリントンが「行った方がいい」と言ったけど、周囲が行かせなかった、などという説もある)。

〇ところが、今回はバイデンさんがペンシルベニア州出身であることもあってか、この3州の目途が立たないらしい。そりゃあ、アメリカにも「次点バネ」みたいな原理はあるので、現場が「前回のような失敗はしたくない」となっていることは想像に難くない。そこでトランプ選対は、民主党のガードが薄そうなサンベルトに目をつけているんじゃないかなあ、と。

〇バイデン選対はおカネの入りもいいので、ガンガンCM攻勢をかけているようだが、コロナを気にして地上戦はお留守になっている。逆に共和党支持者はコロナを気にしないので、普通に「戸別訪問」をガンガンやっているのだとか。逆転の目があるとしたら、これでしょうな。

〇バイデン優勢の報道が多いですが、まだまだ目を離せませんぞ。


<10月13日>(火)

〇1か月くらい前から腰痛が再発している。3年半ぶりのことである。前回は医者から、「アンタの腰痛は運動不足と太り過ぎ」と言われ、なにくそと思って身体を動かして体重を3キロ落としたら、それで解消した。今回はどうするか。ここからあと2キロ落とそうと思ったら、たぶん食事制限とか酒断ちが必要ではないかと思う。それは辛そうだし、嫌だ。さて、どうしたものか。

〇本日は中部経済倶楽部の講師で名古屋へ。あいかわらず賑やかで、暑くるしい町である。タクシーの運転手さん、「リニアが通ればもっと栄えるんだけれども」、と言いつつ、そこから先は静岡県の悪口。「静岡県内の駅は全部すっ飛ばして、小田原駅の次は三河安城駅にすればいいんですよ」。なるほどねえ。

〇本日の演題は「コロナ危機下のアメリカ大統領選挙」。中部経済倶楽部は去年も一昨年も秋に来ているが、いつも「トランプさんが大変で」という話をしているような気がする。それにしても現在の「大変さ」加減は今までとの比ではなくて、何しろトランプさんは切羽詰まっている。

〇考えてみれば、前回の腰痛はトランプ政権発足後の2017年初頭だった。私の腰痛はトランプさんが原因なのかもしれない。トランプ劇場は今が最後のクライマックスかもしれず、そうだとすれば後しばしの辛抱である。その一方で、その後は「トランプ・ロス」の虚脱感に見舞われるような気もする。

〇これから先も、「トランプさんが大変で」というお話をする日が続く。だって本当のことだし。ああ、それにしても腰が痛い。


<10月15日>(木)

〇個人型確定拠出年金の書類が届いて、何かと思ったら「60歳を迎えられた皆様へ」とある。なんと「お受け取り手続き」をしてもいいのだそうだ。一時金で受け取るもよし、年金で受け取るもよしとある。そうはいっても、全然大した金額ではないことは容易に想像がつく。まあ、70歳になったら、しぶしぶ「老齢給付金の裁定請求手続き」なるものをやってやろうかと思う。

〇健康な人が100歳まで生きるという時代に、60歳から年金生活というのは、今ではまったくイメージがわかない。昭和の頃は確かに定年は55歳であって、会社を辞めた先輩はすぐに亡くなられたものであったけれども。これだけ平均寿命が延びたら、受給開始年齢が上がるのは当たり前であろう。

〇個人的には「4年に1度の繁忙期」が押し寄せてきていて、とても引退などという気分ではない。正確に言えば、4年前には「まあ、次のサイクルにはもうワシには仕事は来ないだろう」と思っていたのである。ところがコロナのせいもあってか、仕事を発注する側が新しい人材を開拓するよりも、「この前の人」に仕事を依頼する傾向があるようだ。いや、けっして文句を言っているわけではないのですが。

〇ということで、本日も腰痛をこらえつつ仕事をする。在宅勤務のありがたさ、さきほど風呂を温めなおして入ってきました。それにしてもワシがトランプさんを看取るまでは、この腰痛は終わらないのではないか、などという嫌な予感がしている。


<10月16日>(金)

〇今宵は会社四季報セミナーで東洋経済新報社へ。今日はエミン・ユルマズさんとご一緒。これで3回目だろうか。

〇前回は1月19日に同じ四季報セミナーであった。その時は普通にお客を呼ぶセミナーだったのだが、今回は時節柄、ウェブ方式である。とはいえ、お値段は前回の5000円からさりげなく7000円になっていて、それでも受講者は100人を超えていたというから商売上手というか、たいしたものである。
〇エミンさんが所属する「複眼経済塾」では、会社四季報を読み込んで銘柄を見つけるのだそうだ。前回のセミナーの際にも、「テンバガーを目指す」ということでいくつか銘柄を紹介していたのだが、そのうちの1社がすでに3倍になっているのである。コロナは関係ないのだろうか。なんだかマジックのようである。本日もいくつか銘柄の紹介がありました。

〇当方はいつも通り、アメリカ大統領選挙がどうなるかを論じる役どころである。「11月3日に勝つのはどちらか」ではなくて、「11月3日以降の不透明性をどうやって展望するか」というお話になる。似たようなことをあちらこちらでやっているのだが、とりあえず関心は高いようです。

〇今日のセミナーは、ジム・ロジャースさんのインタビューも入っていて、なかなかにお得感があったのではないかと思う。ロジャースさんが、バフェット氏の日本の商社株購入を評価していた、というのがワシ的にはツボであった。イールド・ハンティングという観点からすれば、日本の商社株ほど確実な投資先はないんじゃないだろうか。いや、これはポジション・トークだと思って聞き流していただきたい。

〇そういえば東洋経済新報社で、このセミナーをプロデュースしていたのはいつもお世話になっている編集F氏である。F氏がこの日、われわれのために用意してくれていたのが人形町のBrozer'sという店のケバブバーガーでありました。激ウマで感動しました。後で行ってみよう。

〇実は月内にもう1回、エミンさんとの掛け合いのチャンスがある。その節はまたご案内いたしまする。


<10月17日>(土)

〇本日、東洋経済オンラインに掲載された記事のご紹介。

●米大統領選、開票日に絶対見るべき1州はどこか?


〇さらに明日は「サンデーニューズ Bizスクエア」にゲストとして出没いたします。


〇でも、今日はホットカーペットの上でゴロゴロするのである。腰痛にはこれが一番。


<10月18日>(日)

〇昨日行われたニュージーランド総選挙では、与党労働党が大勝してジャシンダ・アーダーン首相の続投が決まりました。コロナ対策の成功が勝因、と言われております。

〇選挙結果は以下の通りです(開票率100%、一院制120議席)


*労働党 64議席(49.1%) 

*国民党 35議席(26.8%)

*ACT党 10議席(8%)

*緑の党 10議席(7.6%)

*マオリ党 1議席(1%)


〇1996年に現在の「小選挙区比例代表並立制」が施行されてから、労働党は初めて単独過半数の支持を得たことになります。同党にとって、今回の勝利は劇的なものがあります。

〇なんとなれば3年前の総選挙では、比較第1党は国民党(58議席)だったのです。労働党は45議席しかなくて、2大政党のどちらも過半数に手が届かなかった。こういうとき、普通はACT党(もとは国民党から分かれた改革政党)が補完勢力になってくれるのですが、ACTはこのときわずか1議席という不振でありました。

〇そしたら労働党の45議席に、ニュージーランドファースト党(NZF)9議席と緑の党7議席を足して、ギリギリ61議席という変な算術が成立してしまった。今のアーダーン内閣というのは、かなり危うい基盤の上に成立していたのです。二大政党を両天秤にかけて流れを作ったのは、NZFのウィンストン・ピータース党首でした。そして新政権では、副総理兼外相という地位をゲットしたのです。

〇このピータースさん、去年のラグビー・ワールドカップでももちろん訪日していましたが、とっても愉快な方なのです。マオリの血を引くラガーマンで偉丈夫。まだ単純小選挙区時代だった1993年に、ワンマン政党NZFを旗揚げした。その後は国民党政権と連立したり、労働党政権に閣外協力したり、まことに融通無碍。アーダーン首相が出産休暇(現役首相としてはたぶん世界で初めて!)を取ったときは、首相代行を務めたりもしました。

〇ところが今回の選挙において、NZFはゼロ議席になってしまいました。ピータース氏は以前にも落選して政界引退したことがありますが、果たして2度目の復活はあるでしょうか? 御年75歳ですけど、もう1回くらい大復活があっても不思議はなさそうに思われます。

〇保守主義とポピュリズムとナショナリズムを理念として、高齢者やマオリ族のような弱者の味方をもって任じ、移民や外資に対して警鐘を鳴らす。このポリティカル・モデルを1990年代に試して成功を収めたピータース氏は、時代の先覚者と言っていいんじゃないでしょうか。少なくとも「××ファースト」という名前の政党を立ち上げたのはNZFが最初だと思います。

〇そのNZFが議席ゼロに終わったということは、これから先の国際政治に対して何らかの示唆を投げかけているのでしょうか? NZFのHPを見ると、まだ敗戦のショックから立ち直っていないように見えるのですが。


<10月20日>(火)

〇いろんな人から、思いがけず「腰の調子は大丈夫ですか?」と聞かれる日々である。いや、お恥ずかしい。少しだけ良くなりました。それというのも、重荷になっていた長めの原稿をこの週末に書き終えたから。いや、中身的にはちっとも満足していないのですが、とりあえず終わった、終わった!という解放感の方が大きい。原稿の発注元に対しては、やや申し訳ない気もするのですが。

〇さて、米大統領選挙の投票日までは残るところ2週間。とりあえず明後日の10月22日が注目点で、この日は2度目のテレビ討論会がテネシー州ナッシュビルで行われ、上院司法委員会ではバレット氏の最高裁判事承認の議決が行われる。トランプさんが逆転を目指すなら、この日が乾坤一擲の勝負どころですな。

〇普通に再選を考えるのであれば、ここは投票を迷っている中間層狙いに行くべきところです。しかるにトランプさんの場合は変な迷いがなくて、あくまで自分のコアな支持層に働きかけているようです。それって選挙に勝つことよりも、11月3日以降の混乱を狙っているのではないか、みたいな勘繰りを招きかねないところです。

〇その先にトランプさんが意図しているのは、ひょっとすると憲法修正12条による下院における決選投票なのかもしれません。なかなかに厚かましい作戦ですが、合理的な作戦ではある。さて、民主党はこのシナリオを未然に防ぐことができるのかどうか。

〇ところで1824年に行われたジョン・クインシー・アダムズ第6代大統領と、その次の選挙でこれを打ち破ったアンドリュー・ジャクソン第7代大統領について、この記事は大変に示唆に富むものがあります。エリートのJ・Q・アダムズとたたき上げのA・ジャクソンは、当時の歴史状況においては真っ向から対立する存在であった。そして成りあがりがエリートを叩き潰したことで、アメリカの歴史が新しい次元に突入したのであります。

〇常に対立を作り出して、その先に新たな発展を見出してきたのがアメリカの歴史だと考えると、今の分極化現象というのもある種の「生みの苦しみ」なのではないかという気がしてくる。彼らは民主主義を作るために、日本でいえば江戸時代の頃から何度も憲法を改正し、試行錯誤を続けてきたわけですから。

〇民主主義や選挙制度を「出来合い」のものとして受け入れてきたわが国では、こういう発想にはなりにくい。そして「トランプさんも困ったものですねえ・・・」と他人事のように言っていられる。2020年選挙がどんな形で決着するかは、貴重な歴史的実験になるはずなのですが。


<10月21日>(水)

〇本日は9月の訪日外国人客数のデータが公表されました。


●2020年9月の訪日外客数は、13,700人(前年同月比 99.4%減)となり、12 か月連続で前年同月を下回ったものの、6か月ぶりに 1万人を超えた。


〇なかなかに寂しい現状です。昨年の1〜9月のインバウンド累計は2441万人でした。それが今年は397万人で▲83.7%です。アウトバウンドは昨年が1506万人、今年は308万人で▲79.6%です。国境を越える人の動きは、前年同期比で8割減!ということになります。

〇新型コロナの爪痕と言えばそれまでなのですが、日本経済への影響はどうなるかということで考えると、インバウンドで外国人が日本国内で使ってくれるおカネが減る一方で、アウトバウンドで日本人が海外で使うおカネも減るのだから、行ってこいであまり変わらないという見方も可能であります。つまりは、海外旅行をあきらめた日本人が、その分、ちゃんと国内旅行でおカネを使ってくれればいいのです。Go Toキャンペーンはその背中を押しているのだ、と考えればいいのではないでしょうか。

〇くれぐれも遊民産業を死なせてはいけませぬ。観光業はこの国にとって重要な産業なのだと申し上げたい。


<10月22日>(木)

〇最近伺った「出来のいいお子さん」の話。

〇その1。アメリカの大学を卒業した息子さんが、日本に帰ってきてゴールドマンサックス社とモルガンスタンレー社の両方で内定をもらった。「MS社の方が社風が良さそうだ」ということで、本人は後者に傾いているとのこと。

――私は個人的にGS社支持ですねえ。あっちの方が面白い人が多いもん。若いうちに鍛えてくれるのは、MS社よりもGS社の方だと思いますよ。

〇その2。在学中に司法試験を通り、司法研修生も無事に終了し、大手の弁護士事務所に勤め始めた。信じられないくらい忙しいようだが、年収で親が抜かれる日は近そうだ。

――弁護士さんも数が増えたから、食えない人が多くなったなどという話も聞きますが、いるところにはいるものでありますな。畏れ入りました。

〇その3。政界の2世たちの中で、S元大臣の息子さんが最近、ある方面で名を挙げた。いやいや、N元大臣の息子さんもすごいですよ、などという声が聞こえてくる。世代交代はいつになるのでしょう?

――ピンとキリでいうと、昔はキリの方の噂ばかりが聞こえてきた政治家2世ですが、最近はいい方の話をよく聞きます。H元大臣のお嬢さんもすごいんですって。ひえ〜。

〇昔と違って、エリートが早めに選抜される時代になっているのでしょうか。人の親としては、ついため息が出る思いがいたします。


<10月23日>(金)

〇トランプ対バイデンの最後のテレビ討論会(テネシー州ナッシュビル)。C-SPANのサイトで見ておりましたが、1回目の討論会(オハイオ州クリーブランド)よりはかなりマシで、いちおうディベートらしくなっていました。

〇司会のクリステン・ウェルカーさん(NBC)が頑張っていましたね。彼女、「最初の2分間のプレゼンでは相手側のマイクをミュートにする」という手を使わなかったのではないでしょうか。「奥の手」があるときは、なるべくそれは使わないで済ませる、というのは戦略の初歩というものです。トランプさんも、さすがに今回は少し遠慮したというか、少なくとも前回よりはフェアにふるまっていました。

〇ですから見かけ上は「互角」。すなわちCNNは「バイデンが勝った」というし、FOXニュースは「トランプが勝った」と報じる。見ている人たちがそう判断するのだから、これは逆らえませんね。

〇お互いに言いたいことを言ったように見えますが、その結果、バイデンさんが失言もブチ切れも空白の30秒間もなく、つつがなく90分間を終えたというのは結果オーライと言えましょう。なにしろ2人が直接対決するチャンスはもうありません。いつものベッティングオッズを見ると、バイデン64.5対トランプ36.3とまた少し差が開いているようですね。

〇ひとつ印象に残ったシーンを。トランプさんが「民主党は左傾化している。サンダースはこんなことを言ってるぞ」とけしかけたときに、バイデンさんがこんなことを言った。「あなたは誰の話をしているのか。あなたが戦っているのはこの私、ジョー・バイデンだ」

〇このフレーズが自分でもお気に召したようで、わざわざ終了後にこんなツィートを発していました。


He’s a confused guy. He doesn’t know who he’s running against. He’s running against Joe Biden.


〇バイデンさんの立場になってみると、ここまで来たこと自体が奇跡のように感じられていることでしょう。何しろ1年前の彼はほとんど泡沫候補で、選挙資金の集まりも若い他候補のはるかに後塵を拝していた。ところが今年になってから、数々の幸運に恵まれるのである。


(1)ペローシ下院議長が何を思ったかトランプ大統領を弾劾にかけた。これで他の上院議員、サンダースやウォーレン、クロブチャーなどは選挙活動を封じられてしまった。元副大統領のバイデンはフリーであった。

(2)それなのにアイオワ州党員集会でバイデンは5位に終わった。この時点で普通は選挙戦は終わる。ところが民主党の選挙開票アプリが故障して、正しい結果がすぐに出なかった。その結果、彼の5位は「なかったこと」になった。

(3)サウスカロライナ州予備選挙の直前に、地元のクレイバーン下院議員がエンドースしてくれて、それで一気に黒人票が集まり、奇跡的な大復活を遂げた。

(4)そのすぐ後がスーパーチューズデーが控えていたが、「左派のサンダースを勝たせちゃいけない」ということで、中道派のブティジェッジとクロブチャーが急きょ、バイデン支持に回ってくれた。棚から牡丹餅とはまさにこのこと。

(5)なおかつ、その後はサンダースとの一騎打ちが待っていた。2人で討論したら、悪いけどバイデンに勝ち目はない。ところがここにコロナがやってくる。「人が集まっちゃいけない」という状況下、サンダースは得意の演説を封じられてしまうのだ。

(6)かくしてサンダースは撤退。バイデンは奇跡的に民主党の大統領候補になったのであるが、さらに追い風となったのが「ブラック・ライブズ・マター」の抗議活動である。自分はデラウェアの自宅地下室に籠っていただけなのに、どんどん優勢になった。

(7)さらに副大統領にカーマラ・ハリスを指名したところ、選挙資金の寄付が急に増える。8月、9月は資金量でトランプ陣営を逆転してしまう。

(8)加えて9月18日にRBGことギンズバーグ最高裁判事が死去。これでますますリベラル陣営に危機感が募り、ますます選挙資金の集まりが良くなっている。

(9)コロナの年の選挙、ということを強く意識して選挙戦を展開していたら、最初のテレビ討論会の3日後に、対抗馬であるトランプ大統領がコロナにかかって入院。よくできてるなあ。


〇「俺ってツイてるなあ」とご本人が思っていること間違いなしです。まるでわらしべ長者のような選挙戦です。

〇そういえば昨日会ったナベさんが、面白いことを言っていた。「バイデンさんはうちのオヤジと同じ国対族」。なき渡部恒三先生と同じように、人間関係を武器にして政治的妥協を築き上げていくタイプなのではないかと。言われてみれば、「バイデン」という名を冠した法案は一本もない。あれだけ長く上院議員を務めた人にしては、ほとんど不甲斐ないくらいに見当たらない。

〇まあ、それも「アメリカの国対族」だったから、というのは彼の人となりを表しているのかもしれない。もっとも今のアメリカ政治においては、「国対族」はほとんど絶滅危惧種でありますけどね。


<10月24日>(土)

〇そういえば週明けの26日は岡崎久彦大使の7回忌である。月日が経つのは早いものである。

〇そこでこんなものを読んでみる。


●岡崎家に生まれて〜少年学生時代


〇いや、別に書籍も持っているのですけれども、なんだか懐かしくて。部分的にはご自身から聞いた話もあるのですが、通して読むとまた別の味わいがあります。今宵は懐旧の念に浸りまする。


<10月25日>(日)

〇とっても久しぶりに映画館へ。といっても『鬼滅の刃』じゃありませぬぞ。柏シアターで細々と上映中のドキュメンタリー、『はりぼて』。富山市議会の自民党会派が政務活動費を流用していた、というお話である。それも10万円単位の金額を、非常に初歩的な手口でごまかしていたのであって、それを社員数70人の弱小ローカル局が追う、という構図が面白い。

〇この話、2016年に話題になって、14人の市議が辞任した。さらに翌17年4月の市議選では多くの新人議員が誕生し、これをスクープしたチューリップテレビは記者クラブ特別賞など、いくつもの賞を受賞した。とまあ、これで話は一段落したのかと思ったら、そうではなかった。要は市民はそれほど怒っていなかったし、新たに出てきた議員にはセクハラまがいの変な人も含まれていたし、全体に盛り上がりに欠けていた。富山は野党が弱いしねえ。

〇すると、悪いことをした市議さんたちもだんだん開き直ってくる。とりあえず辞任した議員さんはその後起訴されて、詐欺罪で有罪になったけど、そこは執行猶予がついている。市長さんは「二元代表制」という制度論から、「コメントする立場にない」と逃げる。結果として、世の中はあまり変わらない。描かれていることは全て事実なのですが、限りなくコメディに近いのです。

〇こういうと語弊があるけれども、彼らも「巨悪」ではないのである。たとえば市議さんたちは、こういうときにありがちな「秘書が・・」という言い訳をしない。なにしろ月60万円の議員報酬をお手盛りで10万円上げさせよう、としていたくらいなので、白紙領収書にせよ、数字の書き込みにせよ、あるいは市政報告会のでっち上げにせよ、全部自分でやっている。昔から当たり前にやってきたことだから、頭の切り替えができないのでしょうな。

〇こうなると追及する側が疲れてきて、チューリップテレビの中心人物の1人が辞職して、1人が配置転換されるところで映画は終わる。小さな正義が活動を停止して、小さな悪が生き延びることになりそうだ。とはいうものの、これを見て「怒りが込み上げてきた」というわけでもない。よかれあしかれ、地方政治って今はこんな感じなんじゃないだろうか。

〇そういえば今日は富山県知事選挙の日であった。さて、どうなっているのかなあ。現職の石井さんと挑戦者の新田さん。当方、コメントすべき立場にはないのでありますが。(17:23)

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〇なんと、NHKが午後8時に新田さんで当確を打ちました。どっひゃー!これってアメリカ大統領選挙以上のサプライズかも。(20:12)

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〇北日本新聞社の出口調査は下記のとおりです。(20:27)


●無党派層6割 新田氏に 本紙とKNBが出口調査
2020.10.25 20:09


 25日投開票の知事選で、北日本新聞は同日、北日本放送(KNB)と合同で出口調査を実施した。支持政党別では、新人で前日本海ガス社長の新田八朗氏(62)は、自民支持層の5割を固めた上で、無党派層6割を取り込んだ。

 出口調査は、県内40カ所の投票所で行い、1票を投じた有権者1541人から回答を得た。

 新田氏は日本維新の会の8割、立憲民主党の6割を固め、幅広い政党支持者に浸透した。

 5選を目指した現職の石井隆一氏(74)は自民支持層の5割弱をまとめ、公明支持層の7割強を取り込んだものの、無党派層は3割にとどまるなど広がりを欠いた。

 新人でNGO代表の川渕映子氏(71)は、共産支持層の6割弱の支持を受けたが、無党派層は1割に満たなかった。

 争点となった多選の是非については、6割弱が「考慮した」と回答した。

 「重視してほしい政策」は、「医療・介護・福祉」が3割で最多で、「景気・雇用対策」、「子育て支援・教育」が続いた。「新型コロナウイルス対策」を挙げた人は1割弱だった。

 24日までに有権者の23・28%に相当する20万人5499人が期日前投票しているが、出口調査結果には含まない。


<10月26日>(月)

〇アメリカ大統領選挙、当日の報道をどうするべえ、みたいなご相談をあっちこっちから受けている。誰も明確な予想を持たない、という現状がいっそ小気味がいいくらいである。外交や米国政治の専門家たちと話しても、誰も分かっていない。まあ、今の時点で「××に決まっているよ、きみぃ」みたいなことを言う豪傑タイプは、それだけで却下すべきでありましょう。

〇とはいうものの、先週と今週ではかなり予想が変わってきている。それはこの週末に、「既に全米で4000万〜5000万の期日前投票が行われている」ことが伝わったからである。前回2016年の総投票数が1億3000万票である。投票日までまだ1週間あるというのに、その3割程度が既に投じられた、ということになると、「今年の投票率はどれだけ上がるんだ!」ということになる。これは結果に影響を与えずにはおかないだろう。

〇昨日の驚天動地の富山県知事選挙も、4年前にはわずか35%の投票率だったものが、いきなり60%に上がったら、県民誰もが思ってもいなかったような結果が出てしまったわけである。なんだかものすごい票の掘り起こしが行われているようである。

〇郵便投票の数はとんでもない量になりそうだ。あるいはリアルの期日前投票も、夜明け前から投票所に行列ができるという光景が見られるそうである。それだけコロナを恐れているともいえるし、それだけ投票に熱がこもっているともいえる。そして選挙直前になって、感染者数が急増しているという現実がある。これは意外とバイデンさん、あっさり勝っちゃうかな?という予感も少し出てきた1週間前の状況である。


<10月28日>(水)

〇本日は午前と午後、そして夜に3本の番組収録を行う。FX会社(10分)、マーケット情報番組(30分×2)、そしてテレビ局(2時間)。ネタは全部、米大統領選である。そのうちおいおいご紹介いたします。

〇ということで、繁忙期につきメールのお返事などが遅れることはご了承ください。電話もとれなかったりいたします。くれぐれもご容赦のほど。

〇アメリカ大統領選挙の期日前投票の動きはこちらをご参照。今日現在はこんな感じです。すごいことが進行中ですな。


Total Early Votes: 71,063,593 (期日前投票)

Mail Ballots:     47,753,131(郵便投票)

In-Person Votes:  23,310,462(不在者投票)


〇2016年選挙の総投票数である1億3000万票の半分を超えています。さらにあと1週間で、どこまで伸びるのやら。この4年間の人口増もありますが、かなり新しい有権者を掘り起こしている感がありますね。それがどちらの支持者であるかと言えば、これは自明なことであるように思われます。

〇とりあえずひとつ。ご案内。

●【徹底解説!米大統領選2020】投資家目線で見る今後の注目ポイント【前編】(双日総合研究所 吉崎達彦さん / エコノミスト エミン・ユルマズさん

●【徹底解説!米大統領選2020】投資家目線で見る今後の注目ポイント(後編)


<10月29日>(木)

〇The Cook Political Reportが、テキサス州を"Lean Republican"から"Toss Up"に変更した。長らく「テキサスと言えば真っ赤っか」の州だと思っていた者としては、唖然とするほかはない。いろんな理由があるのだろうが、まあ、万物は流転するのだと考えるのが良いだろう。テキサスと言えば、昔はジョンソン大統領やベンツェン上院議員など、民主党の大物政治家を輩出したお土地柄である。是非に及ばずである。

〇テキサス州がブルーに染まったら、さすがにトランプさんに勝ち目はないだろう。といっても、今さら広いテキサスで選挙運動を展開するわけにはいかない。CMを打つにしてもおカネがかかる。そもそもテキサスが激戦州だったという経験は誰も持ってないので、どうやって戦うのか自体がよくわからない。

〇他方、よりによって、早めに郵便投票が開票されるフロリダ州、ノースカロライナ州などで、ここへきてトランプ支持が盛り返しているとの観測がある。これだとトランプさんは粘ることができる。決着するのはかなり先のことになりそうだ。中西部の郵便投票が全部開くまでには、かなりの時間がかかることだろう。

〇そのうちミシガン州辺りで、支持者間の衝突とかが起きるかもしれない。なにしろ銃が売れているそうなので。そうなると、ますますトランプ大統領の気炎が上がりそうだ。ますます世の中が険悪になってしまう。

〇すべてを解決してくれる可能性として、ハリケーンが11月3日にフロリダ州を襲うというのはどうだろう。これだと期日前投票の民主党票が残って、共和党の当日投票分の票が減る。うーん、サプライズ続きの2020年選挙のフィナーレには、そういうことだってアリじゃないかと思うのだが。


<10月30日>(金)

〇マネースクエアさんのプレミアムビューに登場しましたので、ご案内まで。


●米大統領選挙直前スペシャル

【出演:双日総合研究所 吉崎達彦 氏、マネースクエア 西田明弘、比嘉洋、小暮祐輝】

マーケットViewチャンネル 2020/10/30

〇ううむ、今週は一杯仕事した。週末は競馬じゃ。












編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki