●かんべえの不規則発言



2022年10月






<10月1日>(土)

〇秋らしいいい天気の一日。今日は町内会の集会所のペンキ塗りをお手伝いする。といっても、ワシはあまりお役には立たない。なにしろ脚立に少し登っただけで足に震えが来てしまう。昔は高いところの仕事など、平気だったものだが。

〇考えてみれば、その「昔」というのが40年くらい前のことなので、あまりにも古い記憶であることを認めざるを得ない。学生時代の演劇部の照明取り付け作業のことなど、頭では覚えているのだが、身体がすっかり忘れてしまっている。ということで、危ないことには手を出さずに、町会長さんの後方支援に集中する。

〇以前に外資系の人事部の方に聞いた話だが、「転職希望者の面接では、直近の5年以外昔の経歴は考慮しない」のだそうである。おそらくそれは正しい。10年以上前の職歴など、単に本人が「分かっているつもり」になっているだけか、実務の方ですっかり変貌を遂げていることが多いからであろう。

〇しかしペンキ塗りの仕事というのは、今では「余ったペンキの捨て方」まで考えなきゃいかんのですな。幸いほぼ使い切ったから良かったようなものの、余していたら捨て場所に困っていたはずである。ちなみにペンキの空き缶は、ちゃんと資源ごみになるらしい。なるほど、つくづく新しい経験以外は役に立たんものですな。


<10月2日>(日)

〇誕生日が近いので、今日は免許証の更新に出かける。

〇朝一番で流山の運転免許センターに行ってみたところ、「日曜日は『優良』しかやっていないから、あなたはダメ」と言われてしまう。しまった。ワシは交通違反を1回やっているので、今回から免許証がゴールドからブルーになってしまう。そういう人は『一般』という1時間モノの講習を受けなければならない。案内状にちゃんと書いてあるではないか。錯覚いけない、よく見るよろし。

〇あらためて平日に出直せばいいのだが、そもそもこの後は暇な平日がほとんどない。幕張にある千葉運転免許センターまで行けば、ちゃんと日曜日でも「一般講習」をやっているのだが、果たして幕張までどれくらいかかるのだろう。と、カーナビで検索してみると、なんと45分で到着することがわかる。あ、そうか、松戸インターから外環を使って行けばいいのか。それなら行ってみよう。

〇途中、ガソリンを入れたりしながらカーナビのいう通りにクルマを走らせていくと、ちゃんと45分で幕張に着いた。外環の「松戸〜市川」間を初めてドライブできたので、なんだか得した感がある。しかし、さすがに千葉運転免許センターは混んでいる。入り口で整理券を配られて、あなたは45分待ちと言われる。仕方がないからクルマの中で、ラジオを聴きながら中山の第1レースと第2レースを当てる。どうだ、参ったか。

〇ともあれキチンと行列について、1時間の一般講習を受けて、めでたく免許証の更新が完了した。「講習」というのは意外と面白いものである。横断歩道で歩行者がいるときに、ちゃんと止まってくれるクルマは全国平均では30%程度であり、千葉県ではそれが25%となるらしい。ところが全国一の長野県では、なんと85%のクルマが止まるのだそうだ。同じ日本とは思えない。なぜこんなに差がつくのか。

〇確かにそれは分からんことではない。ワシはいつも千葉で運転しているから、自分でも運転が荒い方だと思う。先週も富山県内でレンタカーを運転していて、自分が羊の群れに混じった狼のように感じたものである。そういえばワシの1回こっきりの交通違反は、4年前に富山県内で高速道路を走っていた時のスピード違反であった。ということで、慣れない場所を走るときはくれぐれも注意すべきである。

〇講習では、「安全運転事故診断」というテストも受けたのだが、これがまたスグレモノであった。ワシの運転は『慎重さ』や『注意力』はあるのだが、『集中力』に問題があるらしい。「周囲のものに気を取られてわき見をしたり、考え事をして運転に必要な集中力を欠く傾向にあります」とある。思い当たることが多いではないか。

〇ともあれ運転免許証は大事にしなければならない。そのうち高齢者になると、取り上げられそうになるだろうが、なるべく長く持ち続けたいものである。カーマニアというほどではないのだけれども、運転すること自体は嫌いじゃないので。


<10月3日>(月)

〇本日はいろんな方からそれぞれの分野でディープなお話を拝聴する。


●為替介入、ここだけのホンネの話

●天然ガスビジネスから見た昨今の国際情勢

永田町ディープスロートさんによる政局分析

●経済団体活動のオーラルヒストリー


〇いろんな分野の「ええええええっ?」という話をたくさん拝聴して、やはりこの世の中で重要なことのほとんどは、紙に書かれてはいないのだということを実感。ましてやネット上に転がっていたりはいたしませぬぞ。検索してヒットするような情報に値打ちはありませぬ。

〇それぞれの業界に埋もれている暗黙知の一端に触れるのは快感であります。「ここだけの話」はいつだって面白い。ということで今日はお腹が一杯。あー面白かった。


<10月4日>(火)

〇今日は長野県信連さんの講演会のために長野市へ。

〇北陸新幹線で行けば、アッという間である(東京駅から約80分)。長野市へは今までに何度も来たことがあるけれども、善光寺にまだ行ったことがない。そこで予定より1本前の「かがやき」に乗って、そそくさと観光を済ませてまいりましたぞ。

〇善光寺は「1400年もの歴史があるから無宗派である」とか、「女人禁制でない」などというところが、いかにも長野っぽくて好感度大である。諏訪大社もそうだけれども、なぜ信州にはかくも歴史の古い神社仏閣が存在し、なおかつ全国に展開しているのか。誰かそういう研究、やっていませんかねえ?

〇善光寺に来たからには、「お戒壇巡り」を試さなければならない。漆黒の闇の中を、足元の小さな明かりだけを頼りに奥に進む。幸いにも「極楽の錠前」に触れることができた。「右手で腰の高さを探るべし」と言うけれども、意外と低い位置にあった感あり。ともあれ、これで「錠前に触れられなかった不幸な男」になることは避けられた。ちなみに善光寺で引いたおみくじは「中吉」であった。考えてみたら、ワシはもう「大吉」が必要な年代ではないのである。

〇そこから徒歩で、会場の長野県JAビルを訪れる。一昨日聞いたばかりの、「長野県では85%ものクルマが横断歩道で止まってくれる」というのは本当かどうか、尋ねてみました。「ああ、それはそんなもんでしょう」「ただしそれは長野市内で顕著な傾向。松本市だとあまり止まってくれない」「長野の交通に慣れている人は、他の街では危ないかもしれない」とのことでありました。この辺も長野流というべきであろうか。

〇さすがはJAさんで、お土産に人気のシャインマスカットを頂戴する。たいへんありがたし。長野には、「ぶどう三姉妹」というのもあるのだそうで、シャインマスカット、ナガノパープル、クイーンルージュの3種類だそうです。長野市長のこの人が、宣伝に努めておられるとのことでした。


<10月6日>(木)

〇一昨日の続き。

〇ウチの町内会の夏祭りはコロナで3年連続で中止になっているけれども、ちゃんとやっていた頃はいつも宵宮に柏諏訪神社の神主さんをお呼びしていた。どうやら柏市内でもご近所の土地は、もともとは諏訪神社の所有であったらしい。

〇ただしそもそもの経緯からいえば、諏訪大社とは大国主命の子ども、つまり『古事記』にある「国譲り」で負けた側の神社であるはず。ゆえに少なくとも関東においては、現天皇家側に加勢した鹿島神宮や香取神宮の方が圧倒的に優勢でなければならない。実際に柏市近辺には香取神社の分社もいっぱいあるのだが、諏訪神社もけっして負けてはいないのである(お隣の流山市にもある)。

〇これはおそらく旧征服王朝側が、とことんまで土着勢力を追い詰めることなく、最後は「なあなあ」で収めたからではないかと拝察する。だってこの対立構造、ちゃんと理解している人は恐ろしく少ないはずである。ネタは違うけど、「神田明神と成田山新勝寺は、両方を参拝してはいけない」というのも、それこそ「知る人ぞ知る」知識ではないのだろうか(平将門の怨霊は怖いのですぞ。なんなら今度、三井物産の社員の方に聞いてみられるといい)。

〇しかるに、これぞ麗しき日本の伝統というものであって、喧嘩両成敗であるとか、既得権を尊重するとか、年上の方を立てましょうとか、そういう発想が根付いているから、昨今流行りの「社会の分断」が起きにくいのではありますまいか。おそらくは神社仏閣の伝統こそが、日本社会の保守性の源流なのではないのかと。

〇古来、信州は日本土着の「抵抗勢力」が盤踞する土地だったのかもしれませぬ。今も野党が強いお土地柄だし。だからと言って、とことん体制側と対立するわけではない。最後は「そんなに固いこと言うなよ〜」で矛を収める。ああ、なんて日本的な世界なんだろう。

〇ちなみにウチの町内会の夏祭りは、ある時期までは国道6号線の向こう側にある赤城神社を祭っていた。それが何かの理由で、あるときに諏訪神社に乗り換えたのだという話も聞いたことがある。この辺までくると、あまりにもテキトーであって、それこそ「神も仏もあるものか」の世界である。

〇宗教とか信仰といった真面目な問題に対し、この国の伝統はかくも融通無碍である。そうか、だからみんな統一教会が許せないのか・・・・。


<10月7日>(金)

〇今日は雨である。それもタルコフスキーの映画に出てくるような寒々しい雨である。こんな日に「明日こそは、絶対にクリーニングに出してやるぞ」というくたびれた夏服のスーツを着て出かけたもんだから、まことに寒さが身に染みるのである。

〇それでも本日は、交詢社の午餐会講師を務めるのである。ちょうど10年前にも一度呼ばれたことがある。そのときは若くして創業した友人から、「交詢社に入会したんだけど、かんべえさんは午餐会の講師をやってるんですね。偉いなあ」と感心されたものである。「いやいや、交詢社の社員になっているアンタの方がよっぽど偉いじゃん」と思ったものである。

〇本日も地下鉄銀座駅で下車し、傘をさして歩いて銀座6丁目の交詢社ビルに入ると、福沢先生の肖像画が見下ろしていたりして恐縮至極である。そこへ安西理事長がおみえになって、「長野に行っておられたのですか?」などと言われるから、さらにさらに恐縮である。追い打ちをかけるかのように、「あのウェブサイトは、20年以上もやっておられるのですね」と。ああ、恥ずかしい。いや、読まれているのはありがたいのですが。

〇午餐会では、ちょうど1か月後に迫った米中間選挙についてあれこれとお話しする。コロナ下になってから、昼食会場は席数を減らして、今はリモート参加者が多くなっているとのこと。とはいえ歴史ある会に、2度呼んでもらえたというのは光栄であります。どんな世界でも、1度目は何かの間違いということがありますから。

〇ちなみに明日はこの番組に登場して、さらにオタクな話をご披露する予定です。


<10月8日>(土)

〇本日はBS-TBSの『Bizスクエア』に久しぶりに登板。以前は日曜夜の番組だったけど、今は土曜午前になっている。ネタは「米中間選挙まで1か月」。

〇古いお付き合いの播摩キャスターから、「遠慮なく選挙のオタク話を」と振られる。そこまでディープなお話はできませんでしたが、こんな楽しいことが仕事になるのだから、ありがたい世の中、ありがたい人の縁であります。

〇で、不肖かんべえは本日をもって62歳となりました。この年齢になりますと、お誕生日にこういう仕事がいただけることが、何よりのプレゼントという気がいたします。いろんな方から頂戴したお祝いメッセージも、心から御礼申し上げます。

〇夜は家族でとっても久しぶり、ご近所のガヴロッシュさんへ。相変わらずお値打ちでございます。


<10月10日>(月)

〇せっかくの3連休であったが、何だか仕事ばかりしていたような。まあ、この年になって、忙しいのは結構なことであります。

〇それでもこの3連休には、わが阪神タイガースがCSファイナルステージに進出を決めました。いやー、3試合とも1点差でいい勝負でしたな。だいたい負け越しているチームがCSに出るというのはいかがなものか、とワシ的にはつねづね思っているのである。DeNAのファンの皆様にはまことに申し訳ない。とはいうものの、「炎の守護神」湯浅投手、よかったですなあ。

〇だいたいですな、シーズン前に監督が「今季限りで辞める」と宣言したり、開幕戦から9連敗するとか、今年のタイガースはひどいんです。それでも防御率が良かったり(1位は青柳で2位は西勇輝)、盗塁数が多かったり(1位が近本で、4位が中野で、5位が島田)、そんなに悪いチームでもないのである。

〇それでもヤクルトさまには及びますまい。なにしろ向こうには3冠王の村上さまがいる。打率3割1分8厘、本塁打56本、打点134、四球118、出塁率4割5分8厘って、いったいどういう成績なんだよ。どうやって抑えたらいいんだ。

〇とはいえ、わが阪神タイガースは2014年にもCS勝利から日本シリーズに進出しておる。2014年と言えば、ウクライナがクリミア半島をロシアに取られちゃった年ではないか。2022年も、似たようなことをやらかしてしまうかもしれぬ。明日からの神宮球場がちょっと気になるぞ。


<10月11日>(火)

〇今宵は商社業界のエネルギー関係者で飲み会。あー、飲んだ、呑んだ。

〇本来は資源ビジネスの未来と地政学を論じるはずだったのだが、まずは「赤坂が懐かしい」とか、「お台場はひどかった」とか、その手の思い出話からキックオフとなる。

〇でもって、商社業界の特有の言葉遣いの話になる。「俺の方からプッシュしておいてやるわ」とか、「アザワイズ、というのは関西人の『知らんけど』というのと同じ逃げだよな」などと。思えば変な世界で長らく生きてきたものだなあ、と感心する。

〇それでエネルギー貿易の未来はどうなるかといえば、この先はどう考えても波乱万丈ということになりそうである。これというのも、欧州勢が変な理想を掲げていたところへ、ロシアがウクライナ戦争をおっぱじめたことが原因である。

〇その点、日本などは下手に理想を掲げる余地がなくて、とにかく現実主義でやっていくしかない、という点において健全なところがある。タテマエに用はない、ホンネで行くしかない、という事情があるのだから。

〇というのとはまったく関係なしに、明日は「モーサテ」に出演して、米中間選挙についてお話しする予定である。ちゃんと起きられますように。


<10月12日>(水)

〇昨晩公表されたIMFのWEO(世界経済見通し)はなかなかに酷い内容でした。欧米経済は地獄を見るぞ、グローバルサウスはもっと大変だぞ、エネルギーも食料も足りないぞ、その中では日本経済はまだましな方、てな内容。来年の世界経済はホントに大変なことになりそう。

今朝のモーサテ、スタジオ入りしたらいきなり為替が145円台後半で、「さあ、介入はあるのか?」という水準。しかし当局が言っていたのは、「為替介入は水準ではなく速度が問題」なので、あまりに動きが速ければ牽制するけれども、じわじわ来る円安の場合はこの限りにあらず。とはいえ、145円という心理的な壁は本日、突破された。これは致し方なし。

〇世の中、変に「介入はケシカラン!」みたいな議論があるけれども、そんなに厳密に考える必要はないだろう。「協調介入でないと効果がない」とか、「アメリカの理解が得られていない」なんて、そんなこと気にすることでしょうかね。今みたいなドル独歩高の現状では、各国が自国通貨を守るしかない。遠慮は不要、と申し上げておきたい。

〇もっと問題なのは英ポンドである。イングランド銀行は英国債を買い支えているが、それもあと3日限りとのこと。ということは、15日には暴落が始まるということではないか。めずらしいことに英国がいじめられっ子になっている。これというのもトラス新政権が不用意だからだが、まったく怖い世の中である。

〇ワシントンではG20財務相・中央銀行総裁会議が始まる。アメリカに対して、「ドル高恨み節」が殺到するだろう。が、アメリカは気にしない。そして明日には恐怖の9月CPIが好評となる。いやはや、しみじみ怖い世の中。自分の身を守るのは自分自身ですぞ。


<10月13日>(木)

〇本日は慶応大学経済学部の寄付講座「金融資産市場論」の講師で三田校舎へ。

〇いかにも大学の大教室、といった場所で100人弱くらいの学生さんを相手に講義をする。コロナ下につき、リモートの受講生もいっぱいいるらしい。パワーポイントの資料を使って授業をするのだが、わざわざプリントアウトしてくる学生はさすがに存在しない。皆さん、PCやiPadを使っておられる様子。

〇というか、資料はちゃんと紙にして、いろいろ書き込みしないと頭に入らない、という時点で旧世代ということになるのだろう。これに比べると、ワシがあちこちで講演する際などは、主催者さんが資料をプリントアウトして配布することがデフォルトとなっている。印刷代がもったいないけれども、若い世代はさすがにそんなことはないようである。

〇授業が始まると、明らかに面白がってくれている生徒さんが数人いる。表情が豊かに反応しているし、「この辺で質問を・・・」と投げかけるとちゃんと手が挙がって、まっとうな問いを頂戴することができる。これはありがたい。言いたいことが確実に届いている、という実感がある。

〇一般人を相手にした講演会だと、ある程度はMassの評価を得ないと、次から2度と呼んでもらえなくなる恐れがあるから、ある程度は全体を見渡して話さねばならない。しかし学生さんが相手なら話は別だ。ごく少数でもこっちが話した内容が届けば、それは一生モノの体験になってくれる可能性があるからだ。

〇ということで、ちょっとした幸福感を覚えた90分間でした。


<10月14日>(金)

〇医者要らずで過ごしてきた人生であるけれども、この年になると、さすがにお医者さんのお世話になることが増えてくる。そこでふと思いついたことをひとこと。

〇お医者さんと共に過ごす時間は短い。待たされる時間は長いけどね。1時間くらい待たされて、ほんの2〜3分で終わってしまう治療の間に、われわれは「ああ、この人は信用できるな」とか、「この次はほかへ行った方がいいかなあ〜」という判断をしなければならない。

〇しかるに、それはそんなに難しいことではない。常識の範囲内でスッと決まる。いくら「ゴッドハンド」と呼ばれる名医であっても、「この人はちょっと・・・」と思ったら避けた方がいい。自分の健康にかかわることは、自分の直観で決めるべきである。他人の評判などに左右されるべきではない。

〇まことに残念なことではあるが、患者には医者の技量を見抜く力がない。これは「プリンシパル=エージェント問題」と呼ばれる古式ゆかしい構造であって、弁護士や税理士や経営コンサルタントなどと同じである(エコノミストは、ここには加えない)。つまりクライアントは、自分より賢い人たちを使わねばならない。でも、偉いのはこっちの方なのである。だってカネを払うのだから。

〇ここ数年、お世話になっているさるお医者さんは、すごく物言いがストレートなのがワシ的には気に入っていて、「この人に騙されるのなら仕方がない」と思っている。これは得難いことではないかと思う。お医者さんというのも、ある意味では客商売なのであるな。


<10月16日>(日)

〇先日、iPhoneのメールが使えなくなったので、久しぶりにアップルに電話をかけてみた。時間はかかったが、ちゃんと対応してくれて、問題点もちゃんとわかった。いや、ホント、ワシのように分かってないお客の相手をしてくれるのは大変だと思うが、こちらとしてはまことにありがたい。

〇で、何が問題だったかというと、いつの間にかiPhoneに入っていたノートンが発信の邪魔をしていた。そもそもiPhoneを買ったときにウイルスバスターを入れているので、2つ目のウイルスソフトなどは要らないはずなのに。ということで、ノートンを削除。これで問題解決である。

〇考えてみたら、自分は家のPCにノートンを入れている。うるさいくらいにチェックしてくれるので、特に不満はないのだが、いつの間にかiPhoneとiPadにまでノートンが入っていた。これではまるで「ウイルスのようなウイルス除去ソフト」である。

〇はてさて、どんなことでそうなったのか。ワシにはわからん。こういうオンチな人間であっても、なんとかiPhoneやiPadやPCを使えているのだから、ありがたい世の中なのだと考えることにしよう。


<10月17日>(月)

〇先日、カナダ産の松茸を買ってきた。家人が作ってくれた松茸ご飯を食してみたところ、これがちゃんと松茸の匂いがするのである。ああ、そうか、世の中にはこういう匂いがあったのか、としばし感動を覚える。いったいいつ以来の松茸であったか。

〇考えてみれば、われわれの五感というのは素晴らしいものではないか。ソムリエがワインの産地や年代を当ててしまうように、味やにおいには無限の情報が込められている。あるいは誰かの一言であっても、耳にした瞬間に「ああ、これは聞き覚えがある人の声だ。果たして誰だったか・・・?」と懐かしい思いがこみあげてくることだってある。

〇ところが「新しい生活様式」とやらのせいもあって、五感を活かさない生活が長くなってしまった。これでも仕事柄、いろんな場所に出かけている人間だとは思うが、最後に海を見て、潮風を感じたのはいつだっただろうか。まったく思い出せない。

〇仕事と言えばPCの画面を見つめ、遊びや息抜きの時さえスマホやタブレットの画面を見つめ、それを味気ないとも何とも思わない暮らしがどれだけ続いていることだろう。こんなリモート生活をしていたら、確実に生き物として退化していることだけは間違いがない。

〇そうなのだ。競馬だってグリーンチャンネルの画面だけじゃなくて、ときには競馬場の風や湿気を感じつつ、欲にまみれたオヤジたちと一緒に歓声を上げつつ勝負するのが、本来の姿であるはずなのだ。それにしても先日訪れた浅草WINSは信じられないくらい空いていた。皆さん、「ネットで競馬」が当たり前になっているのだろうか。

〇ちゃんと身体を動かして初めて分かることが、世の中には一杯あるはずだ。たぶんいつも画面の前にいて、同じ人たちと偏った議論の中に身を置いているから、「名画にスープをぶっかけるのが正義だ」みたいなお馬鹿さんができてしまうのだ。若者よ、ネットを捨てて、街へ出るべし。自分の身体で学んだこと以外は、後に残らないと知るべし。

〇今日は成人病検診の日で、朝からいろんな種類の虐待を受けたのであった。いや、それでもこうやって身体を動かすのはいいことだ。いつもは難儀するバリウムも、午前中に大量の水分を取ったのがよかったのか、ちゃんと昼前に排出できた。めでたいことである。


<10月18日>(火)

〇今朝の産経新聞「正論」欄に寄稿しました。


●論じたい「円安」の賢い使い方


〇中身的には以前から書いているようなことだし、原稿も1週間前に入稿したものだったのですが、たまたま今日は1ドル=149円と安値を更新しました。でも中身的には、ことさらに付け加えるようなことはありませんでしたな。

〇英トラス政権でも新たな動きがあって、新任のハント財務相が「大型減税策ほぼすべて撤回」という荒業に打って出た。「過ちを正すに憚ることなかれ」というけれども、マーケット的にはこれでひとまず落ち着くところである。英ポンド安もホッと一息でしょう。

〇もっともトラス政権は、経済的リアリズムを優先したことで政治的リアリズムを損なうことになる。すなわち、「お前がヤメロ」という党内の圧力を交わせなくなる。ジョンソン政権下で保守党が大勝ちしたのは2019年12月のこと。そろそろ丸3年が経過するので、議員心理としては次の総選挙が気になっている。そして保守党の支持率は労働党を大きく下回っている。

〇言い換えれば、トラス政権は市場からの「イジメ」から逃れることができたが、今度は国内政治の「イジメ」に遭うことになる。既に口さがない英国メディアからは、「トラスとレタス、どっちが長持ちするか?」などと酷いことを言われている。

〇さて、今回の英国の動揺から教訓を見出すとするならば、それは「世界経済の最大の課題はインフレの抑制なのだから、財政を拡張するときは気を付けるように」ということでしょう。実際にバイデン政権は3つ目の財政出動に増税措置を組み合わせ、「インフレ抑制法案」(別名、歳出・歳入法案)という形で導入したくらいである。

〇となると日本はここでも立ち位置が難しくなる。「ウチは金融も緩和しなければならないくらい景気が弱いので、財政もゆるゆるでいいのです」(だから、歳入の裏付けがない防衛費の拡大も許されるのです)というロジックが認められるのかどうか。

〇ひとつ間違えば日本が「イジメ」に遭いかねない状況ですから、ここは慎重に行かねばなりますまい。


<10月19日>(水)

〇本日はとっても久しぶりに霞山会館へ。以前はいろんな会合が行われていたものだが、コロナ下とあっては会合自体が減ってしまうので、ずいぶん足が遠のいたものである。

〇この歴史のページを見ると、そもそも霞が関コモンゲート西館が開業したのが2007年とある。もう15年もたつのですなあ。あの当時は霞が関の景色が、ずいぶん変わったという気がしたものであるが。

〇そして本日は、一般財団法人霞山会にて、午餐会の講師を務める。コロナ下ということもあって、この会合も人数を制限して行われていたらしい。いやー、とっても久しぶりの方々とお会いする。中国共産党大会がどうなるのか、台湾政治がどうなるのか、いろいろお聞きした話はたくさんありまする。

〇当方はこの季節の恒例というか、米中間選挙について最新情勢をご報告するのであるが、「中間選挙の結果がどうなるか」だけを考えればいいのではなくて、「その結果、アメリカ社会に内戦が起きたらどうしましょ」とか、「国際情勢への影響は」みたいなことまで心配しなければならなくなっていて、ずいぶん時代は変わったものである。

〇中国共産党大会についても、「これだけ次の常務委員が読めない大会も珍しい」との声あり。確かに昔は本番直前になると、香港筋あたりから見事なほどに正確な予想が流れてきたものである。ひょっとしたら、まだ本当に決まってないのかもしれませんな。そもそも人数だって、7人じゃないかもしれないらしいし。

〇ということで、米中二大大国はいずれも常ならぬ形で今年の大型イベントを消化しつつある。これから先は鬼が出るか蛇が出るか。


<10月20日>(木)

〇今日はマネースクエアへ行って、古いお付き合いの西田明弘さんと一緒にビデオクリップを収録する。それは週明けに公開になるらしいのだが、感動したのが西田さんが用意してくれていたのが「鳥藤」のお弁当である。いやー、知らんかった。築地にはこんな旨い鳥飯を食わせるところがあるのですね。

〇築地と言えば海鮮系かと思ったら、実は肉も野菜も高度な専門店があるのだとか。そりゃそうだわな。「鳥藤」さんも思い切り朝早くからやっていて、昼過ぎには閉店してしまうのだそうだ。それにしてもこの弁当は美味でありました(注:この記事が書かれた時よりは、現在のお値段は上昇しております。時節柄、ご注意を)。

〇ということで、西田さん、ありがとうございました。次は11月23日のセミナーでまたよろしくお願いします。


<10月21日>(金)

〇内外情勢調査会滋賀支部の講師で大津市へ。会場は琵琶湖ホテルだが、今日は天気がいいので湖面がまことに美しい。大津市から見える琵琶湖は、いちばん南側の狭まった部分なのだけれども、それでも広く見える。それにしても琵琶湖大橋って、一度わたってみたいものである。

〇講演内容としては、世界経済の先行きは暗いし、円安はなかなか止まらないし、米中間選挙は「内戦」があるかもしれず、と景気のいい話は少ないのであるが、その割には皆さん、ちゃんと聞いていただけたような気がする。できれば楽しい話をお届けしたいものだが、そんなわけにもいきませんわなあ。

〇終わってから京都駅へ戻り、夕方までの短い時間で銀閣寺観光へ。京都は修学旅行はいるわ、外国人もいるわ(ただし中国人は見かけず)、観光客が盛大に戻ってきているので、タクシーの運転手さんも「ホッとしてます」とのことでした。

〇そういえば、前回は2019年4月に「平成最後の天皇賞」を見に来たのであったが、あのときはオーバーツーリズムの極みであった。「もう京都には『わび』も『さび』もありまへんわ!」と運転手さんが嘆いていたものである。それに比べれば、今はまだ頃合いである。来月、紅葉が始まったらすごいことになるかもしれませんぞ。

〇銀閣寺はまだそれほど混みあってもおらず、暑くなく寒くないいい感じでした。正式名称は、臨済宗相国寺派銀閣慈照寺。そういえばタモリさんも訪れていましたな。社会科の教科書に出てくる「あの建物」はどうでもよくって、そこから見える山全体を見立てた庭園が絶景なのである。そこが銀閣寺のお値打ちであるということを学習する。

〇庭造りというのは、おそらくは高度な遊びなのだと思う。ここにこんな木を植えて、水をこんな風に流して、すると四季の移ろいはこうなって、なおかつ何年後にはこんな風になっているはず・・・・などと構想を練るのであろう。足利義政の美意識はまことに高度なもので、高度成長期には金閣寺であっても、成熟経済下においてはやはり銀閣寺でありますな。

〇京都駅へ戻って、にしん蕎麦と日本酒を頂戴する。いやあ、結構な時間でありました。


<10月22日>(土)

〇久々に「創作」をしたのでご案内。


●11月のアメリカ中間選挙と世界は大波乱になる?! 空想と妄想に満ちた「政治小説」を作ってみた


11月8日のアメリカ中間選挙が近づいてきた。そこで、今回は小説仕立てで中間選挙直後の民主党・共和党両陣営の舞台裏を妄想してみた。11月は、それと同時並行して、世界をあっと言わせるようなことが起きるかもしれない(なお、この物語は純然たるフィクションであり、現実との類似は偶然の所産によるものです)。


〇火曜日にたまたま何かが「降りて」きて、2晩で仕上げてしまった作品であります。まあ、創作というのはいつもそんな感じです。


<10月23日>(日)

〇本日はめずらしいことに都内へ出かけてお買い物。なんとコロナ後、初めてスーツを購入しました。

〇2年前にコロナが始まって、在宅勤務が増えたときには、これ幸いと古いスーツを捨てたものである。ところがこのところ忙しくなってしまって、週に4〜5回も出勤している。そしてハッと気が付いたら、よく着るスーツの裏側の袖が破れておったのだ。なんなんだ、これは。

〇考えてみたら、今ある中でいちばん古いのは10年物のスーツである。これはさすがにマズいだろう。ウチの会社は近年、どんどん服装はカジュアルになっているのだが、年内にお引き受けした講演も結構な数になっている。とりあえず「座礁資産」にはならないだろうと考えて、新規投資を行うことにした。

〇幸いなことに、コロナ生活が続いているお陰でワシの体型はさほど変わっておらず、某ブランドの「AB6」体型を買えばそれでピッタリなのである。だからお買い物は、あっという間に終わってしまうのであった。結構なことである。


<10月25日>(火)

〇マネースクエアの「プレミアムビュー」に登場いたしました。


●<プレミアムView>吉崎達彦氏と語る米中間選挙の注目点 


〇10月20日に収録したものですが、まあ、こんな感じでいいのかなあ、と。見てやってくださいまし。


<10月27日>(木)

〇最近よく聞く話。岸田内閣はなぜうまくいっていないのか。


(1)岸田さん自身が、首相になったことで満足してしまっている。このまま自民党総裁任期切れまでやれれば丸3年になる。それでも十分じゃないか。

(2)キーパーソンである木原官房副長官が、いっぱいいっぱいになってパンク状態である。松井官房長官は、自分が安倍派だということで遠慮がある様子。

(3)お仲間である宏池会が他人事モードで、総理を必死に支えようとしていない。やっぱりお公家さん集団なのか。

(4)安倍元首相の支持者が自民党離れしている。彼らにとってはまだしも菅義偉さんの方がいい。でも菅さんもイデオロギー色がないからなあ・・・。

(5)今までは「安倍さんじゃないから」ということで岸田さんを応援していたリベラル派も、急にどうでもよくなりつつある。

(6)財界人や学者の中にも応援団を見かけない。新聞の「総理の一日」を見ていると、ほとんど官僚とばかり会っている。

(7)かといって国政選挙も当分はないから、わざわざ引きずり下ろすほどの理由もない。それに野党への期待も高まっていないことだし。


〇一種の「ぬるま湯政局」というのでしょうか。とりあえず不肖かんべえも、政局話に対する関心が沸きませぬ。しばし傍観でよろしいのではないでしょうか。


<10月29日>(土)

〇米中間選挙、最終盤に来て共和党に風が吹いている感じです。やっぱりここへ来てガソリンや食糧価格が上がるのはキツイですね。家賃も上昇しているらしいのですが、これだけ住宅ローン金利が上がると、当然、アパートの供給も減ってしまうわけで、これは金利引き上げを恨むしかない。

〇クックポリティカルレポートでは、10月27日に上院のアリゾナ州をLean DからToss upに変更しました。これで上院のToss up選挙区は合計5つとなりました。民主党はこれを3勝2敗で乗り切ると、ようやく現状維持の50対50となります。逆に共和党は、3つ勝ってしまえば51議席を確保できるので、「ジョージア州(の決選投票)は関係ない」となるかもしれない。上院の1議席はやはり大きい。

〇アリゾナ州の現職は民主党のマーク・ケリー(58)。元宇宙飛行士で、かつて銃撃で重傷を負ったガブリエル・ギフォーズ下院議員の夫。挑戦する共和党のブレイク・マスターズ(36)はベンチャー・キャピタリスト。あのピーター・テールの弟子で、師匠からは500万ドルの資金援助を受けているとのこと。やや危なっかしい感じのヒトなんですが、「MAGA候補なんだから、ちょっとくらいタマが悪くても関係ない」てな雰囲気があります。

〇大統領の不人気さ、しぶといインフレ、先行きの不安感など、選挙のファンダメンタルズは明らかに与党・民主党には逆風となっている。逆に共和党は、ここまでトランプ氏がものの見事に姿を見せず、議員たちも変な失言をやらかしていない。投票日まで残り僅かとなったが、果たしてこの流れは続くのだろうか。ハラハラしますなあ。


<10月30日>(日)

〇この1週間でずいぶん円安圧力が減じたように見えるけれども、それは当局による為替介入に効果があったからではない。単にアメリカの金利先安観測が生じたからである。

〇元をたどるとWSJのこの記事が原因らしい(以下はウォールストリートジャーナル日本版から)。


●FRB利上げの行方、12月のペース減速が焦点に〜11月会合では0.75ポイント利上げへ
By Nick Timiraos
2022 年 10 月 23 日 06:23 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は次回11月1〜2日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.75ポイントの利上げを決める見通しだ。その際、12月会合で利上げペースを減速させるか、その場合には市場にどう伝えていくかが、政策議論の焦点になるとみられる。

 クリストファー・ウォラー理事は今月の講演で、「次回会合では引き締めペースについて徹底した討議を行うことになる」との見方を示している。

 FRB内からは、早期に利上げペースを緩め、かつ来年初めに停止することを求める声も出始めた。今年これまでに実施した利上げがどれほど景気を冷やしているか、見極めるためだ。背後には、いたずらに景気の急減速を招く事態を回避したいとの考えがある。一方で、インフレ高進が想定以上に長引いていることを踏まえると、こうした議論は時期尚早との意見もある。...


〇Nick TimiraosはWSJのエース記者で、ときどきFRBがリーク記事を書かせる相手として知られる。つまり市場の理解が、FRB内部の意図とはなはだしく食い違っている場合などに、「そうじゃないんですよ・・・」と伝えたいときに出番が訪れる。

〇で、この記事を受けて市場の金利先高観が修正され、ドルの長期金利はいきなり4%割れした。日米金利差が縮小したから、ドルが売られて円が買われる。だから先週の日銀金融政策決定会合が「ゼロ回答」であっても、為替市場にはさほど影響がないのである。

〇しかしこうやって考えてみると、しみじみ日本が何をやっても関係ないのねえ。ときどき黒田総裁会見で、「日銀の政策のために、円安で国中が困っている!」みたいな説教調の質問をする記者さんがいらっしゃるのですが、あれってカッコ悪いよねえ。まるで天動説を語っているみたいで。

〇やっぱり今の状況は、「ドル高7分、円安3分」なのであります。それではこの後のドル円レートがどうなるかと言えば、つまるところ来週のFOMCの結果待ちということになる。特に11月2日のパウエル議長の記者会見が重要になる。利上げは0.75%で決まりでしょうけど、問題はその先でありますから。

〇あっ、でも日本時間の11月3日は祝日だから、「モーサテ」がなくて、鈴木敏之さんの解説を聞けないんだっ!・・・それで代わりにこんな放送があるのか。ともあれ、来週も気が抜けません。11月4日夜は雇用統計だし。かくしてマーケット関係者は、アメリカ発の情報に神経を研ぎ澄ます日々が続くのであります。


<10月31日>(月)

〇円安でにぎわっている業界のひとつにFXがあるらしい。というか、為替レートが動かない時のFXくらい情けないものはない。逆に動意づくときはどんどん客が増えるわけで、今年の夏はボーナスが出た、などという話も聞くところである。

〇特筆すべき点として、「ミセス・ワタナベが復活した」説がある。ミセス・ワタナベについては、Wikiの説明が楽しい。なんと英エコノミスト誌が1997年に命名したのだとか。


ミセス・ワタナベ (Mrs. Watanabe)、キモノ・トレーダー (Kimono Trader) は、個人の小口外国為替証拠金取引(FX取引)投資家を意味する俗称。語源は日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家。欧米の報道機関により名付けられた。「ミセス」と呼ばれるが、これら実際の投資家のほとんどは男性である(2019年現在8割)。


〇ミセス・ワタナベは、その昔は高金利通貨の豪ドル、NZドルをバンバン買ったから、これらの国の輸出業者を「なんとかしてくれ〜!」と嘆かせたものである。近年ではトルコリラに手を出して火傷をしたり、素人くさい投資家という印象が絶えなかった。市場であまり噂を聞かなくなったのは、多くの参加者がロスカットして退場したからかもしれない。

〇ところが最近復活したミセス・ワタナベは、非常に洗練されており、「為替介入を相手にひと儲け」を狙っているらしい。以下の説明はなるほど!である。


●個人ニンマリ、円買い介入で利益 円安修正効果減殺も(日本経済新聞)


〇こんな風に「敵」を作ってしまうと、為替介入はうまくいかなくなってしまう。たぶんネット上では、「当局の介入で一時的に円が上がった時が、ドルロングを仕掛ける絶好のねらい目」みたいな知恵が飛び交っているのでありましょう。はてさて神田財務官、困りましたなあ。










編集者敬白



不規則発言のバックナンバー

***2022年11月へ進む

***2022年9月へ戻る

***最新日記へ


溜池通信トップページへ


by Tatsuhiko Yoshizaki