●かんべえの不規則発言



2023年4月






<4月1日>(土)

〇年度が新たまりました。あらためまして、今日から令和5年度の始まりです。うちの近所の桜は、なんとかもっている感じですね。さて、あたらしい年度の予定をチェックしておきましょう。


4月1日   こども家庭庁発足
4月2日   日中外相会談(北京)
4月3日   3月の日銀短観
4月4日   トランプ前大統領が裁判所に出頭して罪状認否(ニューヨーク市)
4月4-5日  核兵器のない世界に向けた国際賢人会議(東京)
4月5日   蔡英文総統が訪米してマッカーシー下院議長と会談(カリフォルニア州)
4月5-6日  藤井6冠が渡辺名人に挑戦する名人戦7番勝負第1局(都内)
4月7日    米雇用統計、Good Friday(イースター休暇で海外株式市場は休業)
4月8日    黒田総裁の任期満了
4月9日    統一地方選挙第一陣(道府県・政令指定都市首長、議員選)
4月9日    植田日銀新総裁が就任
4月10日   植田新総裁の記者会見
4月11日   IMFが世界経済見通し4月分を公表(ワシントンDC)
4月14-16日 IMF世銀春季総会(ワシントンDC)
4月15日   東京ディズニーランド開園40周年
4月15-16日 G7気候エネルギー環境相会合(札幌)
4月16-18日 G7外相会合(軽井沢)
4月22-23日 G7労働雇用相会合(倉敷市)、G7農相会合(宮崎市)
4月23日    統一地方選挙第2陣(市区町村首長、議員)+衆参5補欠選挙
4月24日    故豊田章一郎氏お別れの会(ニューオータニ)
4月26日    米韓首脳会談(ワシントンDC)
4月27日    経済同友会通常総会(帝国ホテル)→新浪剛史代表幹事が就任会見
4月27-28日  日銀・植田新体制下での初のMPM→日銀総裁会見と展望リポート
4月29-30日  G7デジタル技術相会合(高崎市)
4月30日    パラグアイ大統領選
5月2-3日   FOMC→0.25%の利上げ or 据え置き?


〇ちょっと気になるのは来週末の動きですね。4月7日が米雇用統計で、その日はグッドフライデーで海外の株式市場はお休みである。ここで大荒れのデータが出ると、次に市場が開くのは4月10日の東京市場ということになる。

〇しかも4月8日には黒田日銀総裁の任期が切れて、9日日曜日に植田新総裁が就任し、10日に総裁就任会見に臨むことになる。この日の会見は盛り上がるでしょうね。植田新総裁はその週の週末にはワシントンに飛んで、IMF世銀春季総会に出席するでしょう。そして初めての政策決定会合は27‐28日ということになる。

〇問題なのは、この週末はワシが東洋経済オンラインの連載当番に当たっていて、なおかつ4月10日朝はモーサテ出演日だということである。さーて、何の話をしたらいいのやら。


<4月2日>(日)

〇来週日曜日は統一地方選挙の第一陣。ということで、今日になって千葉県議会選挙も公示となりました。誰に入れたらいいのか、サッパリわからない。いや、4年前に誰に入れたのかも覚えていない。しょうがないじゃん、利害もないし、関心もないんだし。

柏選挙区はどうなのかと思ったら、なんと6人出馬しているうちの5人が通るという甘い選挙である。しかも掲示板を見たら、どうみてもアレな候補者もひとり入っているし。これでは投票率が上がらなくても仕方あるまい。

〇今年の地方選挙は議員定数の4人に1人が無投票で決まったそうである。まあ、なり手がいないのは仕方がないだろう。そんなに魅力的な仕事でもないし。しかも「議員を減らせ、待遇も悪くしろ」と言う人は少なくない。

〇こういう状況を見ていると、「制度を変えるべきだ」という声がチラホラ出てくる。しかし今の地方自治体に、そんなエネルギーがあるようにも見えない。たぶん言ってる人たちも、「いやね、どうせ駄目だとは思っているんだけどね」と腰が引けているように見える。

〇まあ、良いのではないだろうか。いよいよ尻に火が付いたら、そのときには候補者も増えるだろうし、投票率も上がるだろう。今はまだそこまで切羽詰まっていないだけである。そうなる前に制度を変える必要はあるまい。この国には、変えるたびに内容が悪化する制度が山ほどあるではないか。敢えて放置するのも一案というものです。


<4月3日>(月)

〇明日、4月4日は画期的な日となります。ドナルド・トランプ前大統領が起訴されて、ニューヨーク市に出向いて罪状認否を行います。アメリカの元大統領が起訴される、というのは前代未聞――ではないけれども、史上2回目のことです。第18代のユリシーズ・グラント大統領の前例があります。もっともグラントさんの罪状はスピード違反であり、それもクルマではなくて馬車でありました。なにしろ日本で言えば明治時代の方ですので。

〇さて、ここで問題です。トランプさんはどんな悪いことをやったのでしょうか?

〇ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズさんと不倫して、そのことに対する口止め料を支払ったから、だと思っている人が少なくないようです。残念ながら、それは違います。よしんばこれが日本であったとしても、浮気の口止め料として当該女性に1億円支払ったとしても、それは刑事事件とはなりえません。そんなことを取り締まる法律はありませんから。アメリカだって同様です。

〇ところがですな、仮に1億円を受け取った女性が所得の申告をしていなかったら、これは脱税という犯罪になる恐れがあります。トランプさんの罪状もそれに近いです。口止め料の13万ドル(1億円よりは安いです)は、選挙資金の中から裁判費用として拠出されたらしい。これは選挙資金規正法と脱税の両方の罪を構成するでしょう。

〇ちなみに実際に口止め料を払ったマイケル・コーエンという札付き弁護士は、既に有罪判決を受けてムショに入って、確かもう出てきたはずです。トランプさんは、「そんなのわしゃ知らんかった」と言ってます。しかし1300ドルならともかく、13万ドルを勝手に立て替えてくれる人がいるとは、普通は考えにくいですよねえ。かつてはトランプさんの腹心だったコーエン氏が、今や不倶戴天の敵となっていることは言うまでもありませぬ。

〇正確に言いますと、トランプさんが何の容疑であるかは現時点では公表されていません。起訴状は裁判のときに初めて公表されます(容疑が30個くらいあるとの噂もある)。元大統領を起訴したのはマンハッタン地区検察のブラッグ検事であり、それはNYの大陪審が「起訴相当」と決したからです。ただし、あくまでもニューヨーク州内の法律に基づいてのことですので、そんなに大きな罪にはならないでしょう。

〇それでも明日になれば、トランプさんはニューヨーク市に出頭して、罪状認否を行います。ついでに指紋を取られ、写真を撮られて、「アナタには黙秘権がある・・・」てなことを告げられます。刑事ドラマによくあるシーンですよね(「ミランダ警告」というそうです)。ただし、元大統領が収監されることはさすがにないでしょう。何しろその場面においても、元大統領にはシークレットサービスがついていて、彼らは元大統領を守るという法律上の責務があるのですから。

〇ところでこの大陪審というヤツ、名前はよく聞きますけど、いったいどんなものなのか。米英法では一般的な存在で、検察が勝手に諦めて不起訴にしてしまうような事件を、陪審員が民意に基づいて起訴させるための仕組みです。アメリカでは非常に権威のある存在です。クリントン大統領が弾劾されたのも、大統領執務室でインターン生とエッチしたからではなくて、大陪審で嘘をついたからでした。アメリカにおける「偽証」は罪が重いです。

〇日本は大陸法なので、このへんの発想はちょっとなじめないものがあります。強いて言えば、検察審査会という制度が大陪審に似せて作られたと言われています。「検察審査会が起訴相当と決めました」というニュースが流れると、「ああ、また公判が維持できそうもない筋ワル案件で時間がつぶれる・・・」といった反応が一部にあったりします。「とにかくあらゆる悪を起訴すべし」と考えるか、「悪を起訴するからには百発百中であるべし」と考えるかは、ここは意見が分かれるところでしょう。

〇しかるに本当の問題はですな、ストーミー・ダニエルズ氏に対して口止め料が支払われたのが2016年であった、つまり大統領選挙の最中であった、という点にあります(実際にエッチしたのは2006年のこと)。仮にあの年のどこかのタイミングでこの問題が弾けていたら、最低でも10万票くらいは動いていただろう。その10万票が、ペンシルベニア州とウィスコンシン州とミシガン州であったならば、選挙結果はひっくり返ってヒラリー・クリントン氏が勝っていたことになる。となれば、13万ドルは安かった!という評価になるはずです。

〇民主党支持者の立場になってみれば、その怒りの深さが容易に理解できます。なにしろ彼らは「2016年は本当は勝っていたはずだ。ロシアの選挙妨害か何かのせいで、信じられないことが起きてしまったのだ」と考えている(2020年選挙における共和党支持者の怒りの裏返し)。リベラル派の多いニューヨーク州の陪審員たちが、「起訴相当」と結論したのも自然な成り行きでしょう。逆に言えば、トランプ支持者たちはそのことが許せない。

〇というわけで、この案件はまことにネタの宝庫なのですが、話はここに止まらない。3月24日付のThe Economist誌が、"Why Stormy Daniels is so dangerous"という記事を載せている。なんと彼女(本名はステファニー・クリフォードという)は、フロリダ州のストリップ劇場に出演中で、つい先日、その前をトランプさんの車列が通った(マー・ア・ラゴからゴルフ場に行く途中だった)てな話が載っている。いや、もう凄すぎます。「39歳のクリフォードさんは、クラブで最も高齢のストリッパーである」とか、そんなこと書くなよ!本筋と関係ないじゃん!

〇格調高いThe Economist誌はさすがにここまでは書いていませんが、彼女はトランプ氏とエッチした時の体験を、"Worst 90 seconds of my life"だと語っている。90分じゃなくて、90秒であったと。トランプさん、まだ息をしているでしょうか。それだけじゃない。彼女は"Full Disclosure"という手記を書いていて、そこではトランプさんの男性自身が"like the mushroom character in Mario Kart."だったとバラしているのです。

〇ということで、エコノミスト誌の結論はこうなる。

Ms Clifford has not merely ridiculed and perhaps imperilled Mr Trump more effectively than anyone else. She has done so, most crushingly of all, while coming across as perfectly pleasant.

(クリフォードさんはトランプ氏を誰よりも効果的に嘲笑し、おそらくは危険にさらしただけではない。彼女は完全に愉快な人物でありながら、もっとも衝撃的なことをやってのけたのだ)


〇いやー、ホントにそうですね。「ダニエルズ無双」とでもいうんでしょうか。あのトランプさんにも全く歯が立たない相手がいる、と考えるとちょっと愉快であります。


<4月4日>(火)

〇将棋界が新たなチャプターに入るようです。


●佐藤康光九段、日本将棋連盟会長を今期限りで退任 「100周年のタイミングで次のメンバーに」  タイトル99期の羽生善治九段が次期役員選挙に立候補 「自分なりの力を尽くす」
4/4(火) 17:00配信


 日本将棋連盟・会長の佐藤康光九段(53)が4月4日、東京・将棋会館で記者会見を開き、次期の役員予定者予備選挙に立候補せず任期をもって退任することを発表した。2024年に日本将棋連盟が創立100年を迎えることを期に、「大きな節目のタイミングで次のメンバーに託すのが良いと判断した」とコメント。また、次期役員選挙には通算タイトル獲得数99期の羽生善治九段(52)が立候補の届出を提出したことも公表された。


〇佐藤九段が会長職を引き受けられたのは、ソフト使用疑惑で将棋界が大混乱のさなかにあった2017年。その前年12月にプロ入りした藤井聡太四段が、棋戦という棋戦を勝ちまくったのがその後の6年でした。今や藤井聡太竜王は六冠となり、しかも今月から名人戦にも挑戦することになる。いやもう、ファンとしては凄いものを見させてもらった日々であったということになる。

〇この間、AIの普及も将棋界を大きく変えました。今はNHK杯トーナメントも「評価値」が画面に出てしまう時代。こうなると将棋の見方もまるで変わってきます。プロ棋士といえどもAIには勝てないが、それはそれとして将棋の面白さは変わっていない。とりあえずAIなんて怖くはないんだ、人間同士の勝負なんだ、というのが将棋界がわれわれに教えてくれていることだと思います。

〇佐藤会長は大変な時期の3期6年を務められたと思います。次が羽生会長、というのも楽しみなことですね。他方、佐藤九段は勝負師としてまだまだ枯れてはいない。


「今の(プレーヤーとしての)活躍状況は不満と言えば不満で、自分としてはもう少しできるんじゃないかと思っているところがある。やはり同世代の羽生さんの活躍が良い刺激になった。常に、タイトル戦に挑戦してトップを目指すという気持ちは役員の間も持っていましたし、環境が変わるのでそれをどう活かしていくかと考えている。“心技体”のすべてを自分なりにより万全にして臨んでいきたい」


〇やっぱり羽生世代の棋士たちは鍛え方が違うので、簡単には引き下がらないですよ。それこそ藤井六冠の牙城を脅かすようであってほしいです。それでこそ将棋界というものではないでしょうか。


<4月5〜6日>(水〜木)

〇諸般の事情によりまして、神戸市に行ってまいりました。神戸で仕事があるときは、なぜか決まってポートピアホテルになるので、市内繁華街である三ノ宮で泊まるというのはなかなかに新鮮な感じでありました。

〇メリケンパークに行きますと、豪華客船が停泊しておりました。3年前の横浜港で悲惨なことになってしまったダイヤモンド・プリンセス号をしみじみと思い出します。コロナはいよいよ終わりつつあるのですなあ。そしてインバウンドが月間150万人ペースでわが国を訪れている。どうか大いに「遊民経済学」を実践してくれますように。

〇「遊民経済学」を実践するときは、何よりも「個の自立」が欠かせない。なぜならば自分が本当に楽しいと思うことは、自分にしかわからない。他人のお付き合いをしているだけでは、本気で遊んでいることにはなりませんから。接待ゴルフやおつきあいカラオケや社内旅行は、遊んだことにはなりません。

〇その意味では、ある時期からわが国で急増した「オタク族」はまことに好ましい傾向でした。彼らは自分が楽しいことがハッキリしているから、他人の趣味に対してはきわめて寛容(or 無関心)である。最近では、「推し」を持つ人が増えたこともいい傾向です。あれは「お仲間」ができるし、おカネを使いますからねえ。

〇この3年間のコロナ禍は、日本人の「個の自立」を遅らせてしまいましたな。隣を見ながら、「マスクつけようか、どうしようか」というのはいかにも日本人的な心情ですが、そんなことではちゃんとした「遊民」にはなれませぬ。しかるがゆえに、今はインバウンドに期待するしかない。なぜなら彼らは本気で身銭を切って遊ぼうとしているのだから。

〇ところで神戸というとワシが思い出すのは、1980年代にニンテンドーゲームが流行りだしたときのゲームソフト「ポートピア連続殺人事件」であります。犯人の意外性もさることながら、神戸市内の北野とか新開地とか三ノ宮とかポートピアといった名所を訪ねつつ、謎を解いていく。あれはしみじみよくできたゲームでした。ちょっと懐かしい。


<4月7日>(金)

〇この事件が気になっています。自衛隊員10人が同時に死亡、というのは前代未聞であります。坂本師団長という高位の人が含まれているということを含めて。


●不明の陸自ヘリ、事故直前に低空飛行か…幹部「救命ボート開く間もなく着水したのだろう」(読売新聞、4月7日21:11)


〇単なる事故であればそれまでですが、裏に何かあったとしたらそれは一大事。日本全体として身構える必要があろうかと存じます。


<4月9日>(日)

〇永田町方面から聞こえてきた噂。

「普通はねえ、統一地方選挙の最中は、議員の皆さんは応援で忙しいだろうからと、国会の議事運営はほどほどの日程になっていたものですよ。それが今年は法案もいっぱい上がってくるし、予算に人事案件も盛りだくさんで、これだけ予定が前倒しになっているということは、やっぱりアレがあるんですかねえ」

〇アレって、アレのことですか。いや、アレは結構ハードル高いと思いますよ。いろいろクリアしなきゃいけないことがありますから。とりあえずはこの辺ですかねえ。


(1)衆院区割り「10増10減」への対応

(2)内閣支持率がそこそこまで上がること。

(3)広島G7サミットがちゃんと成功すること。

(4)統一地方選挙と衆参5補欠選挙で恥ずかしくない結果を残すこと。

(5)公明党の了解を得ること。

(6)「次元の異なる少子化対策」をちゃんと取りまとめて「骨太方針」に入れること

(7)しかるべき「大義名分」を用意すること


〇あれれれれっ?結構、行けちゃうのかも。(1)と(2)はだいたい目途がついちゃったし、(3)は「サミットに失敗なし」というくらいだし。(5)と(6)はどうとでもなるだろうし、(7)は「理屈は後から貨車で来る」というくらいだし。

〇でも、岸田内閣が発足したのは2021年10月だから、まだ1年半しかたっていないんですよ? まあ、野党はダメダメなうえにバラバラだし、岸田さんはああ見えて腹黒いところがあるみたいだし。・・・なるほど、これは解散風が吹くのも無理はない。

〇問題は(4)ですねえ。今日行った千葉県議会選挙は全然盛り上がっていませんでしたけど、とりあえず今宵の開票速報はちゃんと見ておくことにいたしましょう。それ以上に、4月23日の補選はいろいろあるんじゃないですかねえ。そっちの方も、いろんな噂が聞こえてまいりますぞ。


<4月10日>(月)

〇今朝はモーサテに出演。「プロの眼」のテーマは「日銀 植田新体制発足 『出口』はどこに?」でした。私が話した内容とそっくりなことを、今朝の日経紙面に出ていたので、番組中でもご紹介しました。いやもう、激しく同感。


●共同声明で賃上げ促せ サントリーホールディングス社長・新浪剛史氏

日銀の片翼飛行から脱し、政府と日銀がそれぞれの役割を担う二人三脚に期待している。長期金利を日銀がコントロールし続けることには無理があり、政府と連携して異次元緩和の出口への道筋をつくるべきだ。財政規律を緩めるのではなく、日本経済を民需主導に変えなければならない。


〇そういえば新浪さんは、今月末から経済同友会の代表幹事なんですねえ。たまたま今週後半は、全国経済同友会セミナーが長崎で開かれるので、不肖かんべえもそちらに参上します。長崎、楽しみなのであります。


<4月11日>(火)

〇上海馬券王先生に刺激を受けて、試してみましたですよチャットGPTを。まずはこの辺から。


Q:吉崎達彦について教えてください。

A:吉崎達彦(よしざき たつひこ)は、日本の漫画家、イラストレーター、アニメーション作家です。彼は、代表的な作品として「エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインや、アニメーション制作会社「GAINAX」の共同創設者の一人として知られています。

吉崎達彦は、1966年に生まれ、東京都出身です。彼は学生時代からアニメーションや漫画に興味を持ち、高校卒業後にアニメーション制作会社に入社しました。その後、自らの創作活動を行うために退社し、漫画家やイラストレーターとしての活動を始めました。

吉崎達彦の代表作である「エヴァンゲリオン」は、1995年にテレビアニメとして放送され、その後劇場版も制作されました。この作品は、独特の世界観やキャラクターデザイン、物語の深みなどが話題を呼び、多くのファンを獲得しました。また、吉崎達彦は、「エヴァンゲリオン」以外にも、多くのアニメーション作品や漫画作品でキャラクターデザインやイラストレーションを手掛けており、その才能とセンスは多くの人々から高く評価されています。


――おいおいおい、せめてひとつくらいは正しいことを言ってくれよ。生年月日と出身地くらいは、ちゃんとウィキペディアにも出ているんだからさあ。チャットGPTはサブカル系の知識が乏しい、というのは本当のようであります。それでは、こんな質問はどうでしょう。


Q:今年の皐月賞で有力なのはどの馬ですか?

A:私は人工知能のChatGPTであり、情報更新のためには直近の情報が必要です。私は2023年4月9日に更新された情報しか持っていません。ただし、今年の皐月賞はまだ行われておらず、私は未来を予測することはできません。ご了承ください。


――まあ、予想通りでありますな。AIは未来を予想することはできない。結構なことであります。少しひねって、こんな質問はどうだろう。


Q:北杜夫の最高傑作はどの作品ですか。

A:北杜夫(きた・とふ)は、日本の小説家であり、代表的な作品に「檸檬(れもん)」や「河童(かっぱ)」などがあります。彼の最高傑作と言われる作品は、意見が分かれるところですが、一般的には「伊豆の踊子(おどりこ)」とされています。

「伊豆の踊子」は、少女と老人の恋愛を描いた小説であり、北杜夫の代表作の一つとして知られています。この小説は、美しい自然描写と心理描写に優れた作品として高く評価され、多くの人々に愛されています。の人々に愛されています。


――駄目じゃん、北杜夫(きた・もりお)くらいは知っておいてくれよ。死んでなおも愛され続けている珍しい作家ですぞよ。それでは仕方がない、大家の名前を出してみることにしよう。


Q:夏目漱石と森鴎外はどちらが優れた作家でしょうか。

A:夏目漱石と森鴎外は、明治時代から大正時代にかけて活躍した日本の文学者であり、日本の現代文学に大きな影響を与えました。彼ら二人ともに日本文学史上において重要な位置を占めているため、どちらが優れた作家であるかということを単純に比較することは困難です。

夏目漱石は、『坊っちゃん』、『こころ』、『吾輩は猫である』などの代表作を残し、明治期から大正期にかけて活躍しました。彼の作品は、個人の内面的な葛藤を描いたものが多く、時代の風潮を反映しつつも、人間の本質を深く描き出すことで知られています。

一方、森鴎外は、『舞姫』、『山椒大夫』、『雁』などの作品で知られています。彼の作品は、日本文学の伝統や古典的な美意識を現代的な形で表現することで知られています。また、彼は西洋文学にも造詣が深く、その影響が作品にも反映されています。

両者の作品には、それぞれの個性が反映されており、どちらが優れた作家であるかということを単純に比較することはできません。彼ら二人は、日本文学の発展に大きく貢献した重要な作家であり、それぞれの作品には価値があります。


――さすがに大家の名前を出すと、大方正しいことを言ってきます。だんだん慣れてきたので、今度はこんなことを聞いてみました。


Q:1億円の金融資産を運用するにはどんな方法がいいか、アドバイスください。

A:1億円の金融資産を運用するためには、運用目的、投資期間、リスク許容度、個人の経済状況など、様々な要因を考慮する必要があります。以下は一般的なアドバイスですが、個人の状況に応じて適切な投資戦略を選択する必要があります。

分散投資を行う:1億円を一つの投資先に集中させるのではなく、複数の投資先に分散することでリスクを抑えることができます。株式、債券、不動産、コモディティ、通貨など、様々な投資対象に分散して投資することを検討してください。

プロのアドバイスを受ける:投資に詳しいプロのアドバイザーに相談し、投資戦略を策定することをお勧めします。また、信頼できる銀行や証券会社を選び、その提供する商品を比較検討することも重要です。

長期的な視点で投資する:1億円の投資には、長期的な視点が必要です。短期的な値動きに左右されず、長期的な成長性が期待できる銘柄やファンドに投資することが重要です。

リスク管理を徹底する:投資には必ずリスクが伴います。リスクを最小限に抑えるためには、投資先の情報を継続的に収集し、投資先のリスクを理解することが必要です。また、リスク分散やヘッジファンドなどの運用方法も検討してください。

税金や手数料を考慮する:投資には税金や手数料がかかります。投資戦略を策定する際には、税金や手数料の影響も考慮し、収益性を確認することが必要です。

以上のような方法を踏まえ、自分自身の状況に合わせた投資戦略を慎重に考え、実践してください。


〇たぶん山崎元さんに聞いても、似たような返事がかえってくることでしょう。チャットGPTを使うときは、知識を求めるよりは、アドバイスを求めるのが良いようですね。さるベンチャー経営者が言っていましたが、「銀行に作らせた株主総会想定問答集よりも、チャットGPTの方がずっと良かった」と。それは銀行がチャットGPTを使っていない、ということを意味するのではないでしょうか。

〇結論として、われわれは大変な時代を生きているようです。60代に突入しているワシなどは、「逃げ切り世代」と言われてしまうのかもしれぬのう。


<4月12日>(水)

○全日空機に載って夕方から長崎へ。明日から始まる全国経済同友会セミナー長崎大会に参加するためである 。

○この大会でモデレーターを務めることは去年から決まっていたのだが、「いつ行くか」をなかなか決めていなかった。2月に事務方から催促されて、あらためてパンフレットを見てみると、さすがは長崎であって、エクスカーションのプログラムがまことに豊富で楽しそうなのである。軍艦島ツァーなどは、文字通り「秒殺」で満席になってしまったとか。惜しい。ワシも行ってみたかっただよ、軍艦島に。

○会場は出島メッセ長崎 という長崎市のコンベンションホールである。でもって、そこに隣接している長崎ヒルトンにチェックインする。道路を挟んで反対側にあるのは長崎駅。どれどれと覗いてみると、あらら、西九州新幹線は既に開通しているのね。しかるに佐賀県の部分が完成していないために、博多行きが途中で乗り換えが必要だったり、なにかと面倒であるらしい。

○長崎に来たからにはトルコライスでしょ。ということで、駅の構内にあるニッキー・アースティンへ。ここはとにかく100種類以上のトルコライスが用意されている。お昼が焼き鳥丼であったから、夜はポークカツがメインのトルコライス(704番)を注文する。

〇トルコライスは長崎のご当地グルメ。洋の東西が交錯するというコンセプトで、いわば「しっぽく料理」のB級グルメ版である。とんかつ、ピラフ、スパゲティをひとつの皿に盛るのが流儀だが、当店の704番はとんかつ、オムライス、スパゲティの組み合わせであった。これがハンバーグやらドライカレーやらと組みわせると、文字通り無数の順列組み合わせができるという仕組みである。

〇ということで、エビスビールと共に頂戴していると、文字通り身も心もほぐれていく感じがするのであるが、こんなツープラトンの炭水化物メシを食べていたらワシは確実に太ってしまいそうである。そうでなくても、コロナ明けのワシの体重は増加傾向なのだ。まあ、出張先で太るのは仕方がないのだけれども。

〇ホテルに戻って、どれ寝酒を一杯と思ってバーに来たら、なんと明日のパネリストである兼原信克さんがいらっしゃるではないか。それではちょっとだけご一緒に、とオンザロックを傾けていたら、同友会の事務局ご一行さまがどやどやと帰ってきて、そのまま大宴会になだれ込む。1杯だけのはずのタリスカーが4杯になってしまい、ううむ、明日のワシは大丈夫なのだろうか。


<4月13日>(木)

〇ホテルの朝食会場で、たまたま本日第1セッションの基調報告ご担当の鈴木一人教授とご一緒する。そこで打ち合わせが始まるかというと、もちろんそんなことはないのであって、「歴代政権における政治と官僚と学者の関係について」みたいな話が延々と止まらなくなる。

〇昨晩の兼原さんといい、同友会事務局ご一行様といい、こんな風に予期せぬ出会いがあって、そこで新たなアイデアが生まれるというのがリアル会合の良いところである。これがリモートの会議だと、予定にある意見交換しかできませんからね。便利なことには、かならず代償がつきものなのです。

〇まして全国経済同友会セミナー長崎大会には、全国から1100人もの会員が集まってきている。いったいどれだけ新しい出会いがあることか。そして出島メッセ長崎に入ってみると、会場はまことに広大であって、何とパワポの画面が4面もしつらえてある。ワシも今まで「1000人入る会場」で話したことはあるけれども、「1000人以上を前に」話したことはたぶんない。ちょっとビビります。

〇思えば1年前、神戸経済同友会が主催するはずであった全国セミナーは、感染状況がいかんともしがたく中止となったのであった。その代わりにリモート形式で、「ウクライナ危機」に関する特別プログラムが実施された。ともに港町で観光資源を多く持つ神戸市と長崎市ではあるが、なんとも大きな違いではないか。しみじみコロナとは、不条理なものであったことを実感する。

〇さて、長崎大会のテーマは「経済人として安全保障にどう向き合うか」。その第1セッションのモデレーターを務めたのでありますが、鈴木一人教授、中尾武彦さん、兼原信克さんというクセモノ論客3人を束ねて、言いたい放題を言わせて、ちゃんと時間内に収めたのであるから、ワシの司会術もちょっとしたものではないか。といっても、所詮は結果オーライなんだけどね。

〇その後のセッションでは、経済安全保障に関する各地からの報告を拝聴する。サプライチェーンの問題につき、@LNG、A食品、B自動車部品について伺ったのであるが、久々に企業活動のリアリズムを感じる。現場の知恵はやっぱり面白い。

〇夜の懇親会では「龍踊」(じゃおどり)は出るわ、マグロの解体ショーはあるわと、長崎ならではの趣向でありました。ごちそうさまでした。昔だったら、そのまま夜の長崎に出撃するところであるが、さすがにそこまで若くはないので、とりあえずはホテルに戻る。タイガースがジャイアンツを制したことをもって、とりあえずは良しとするのであった。


<4月14日>(金)

〇焦りました。目が覚めたらなんと午前9時過ぎ。ふだんは目覚ましをかけなくとも、「モーサテ」の時間にはちゃんと目が覚めるのだけど、いったいどれだけ寝てたんだよ。ということで、こそこそと第3セッションの途中から会場入りする。

〇沖縄経済同友会の渕辺代表幹事の報告が迫力満点であった。台湾有事の際に、与那国島や八重山諸島はどう対応すればいいのか。この辺のシナリオの切迫感は、東京で話しているときとまるで切迫感が違う。

〇それからジャパネットHD、高田旭人さんの「長崎スタジアムシティプロジェクト」に関するプレゼンが面白かった。三菱重工の工場跡地に、地元のJ2チーム、Vファーレンのためのスタジアムを作ってしまおうという計画なのだが、とにかく今風で稀有壮大なのである。

〇もっともいくらオール長崎の支援があるとはいえ、ジャパネットの企業規模を考えると800億円からの投資を回収できるのか、というのは嫌でも気になるところである。しかるに高田氏いわく、「ドリームキラーはどこにでもいます。長崎じゃ無理だ、なんて言われます。そして自分の中にも、ドリームキラーはいます」。いや、これぞアニマルスピリッツというもの。理屈通りに物事が運ぶのなら、経営者なんて要らないのである。

〇かくして長崎まで行ったお陰で、さまざまなセレンディップな体験が得られたわけでして、コロナ明けのありがたみをしみじみと実感するところです。やっぱりちょっとだけ太ったけどねえ。


<4月16日>(日)

〇来週の日曜日はG1レースがお休みで、代わりに統一地方選挙の後半戦が行われる。それよりも面白いのは、同日に行われる衆参5つの補欠選挙ですな。自民党が3勝2敗ならばまあ普通。5勝0敗なら「早期解散シナリオ」が現実味を帯びる。2勝3敗になったら、ここ数か月の自民党の上昇ムードが吹き飛ぶでしょう。

〇英The Economist誌が4月13日付で"Japan’s prime minister has recovered from a rough patch"(日本の首相は荒波から復調〜地方選挙での勝利は岸田文雄の統率力への疑念を払拭するだろう)という記事を載せていて、後から慌てて「岸田氏は爆発にあったがケガはない。男が逮捕された」と付け加えている。

〇統一地方選の前半戦は、確かに自民党にとっていい結果だった(県議会の51%の議席を獲得し、9つの知事ポストのうち6つを獲得した)。それでも問題はこの後の補選でありますよ。こっちは国政レベルですからね。

〇今朝の各紙の情勢調査を見ると、「安倍さんの弔い合戦」となる山口4区以外は全部接戦みたいですな。そういう意味では、昨日の和歌山県の漁港での爆発事件がどんな影響を及ぼすか、気になるところです。

〇あと1週間もありますから、これからどんなふうに票が動いても不思議はなさそう。例えば、一昨日になって大阪IRの計画が正式に認定されたのは、維新にとって追い風になるのか、それとも向かい風なのか。正直、どっちもありそう。久々に政治オタクの血が騒ぎます。


<4月17日>(月)

〇講演会のために北陸新幹線で金沢へ。そのままとんぼ返りなので、あまりここに記す材料も乏しいのだが、車中の外国人観光客の多さは案の定でしたな。それもほとんどが終点の金沢駅で降りていく。圧倒的な存在感です。

〇そういえば来年の経済同友会全国セミナーは福井県だそうで、閉会式では福井銀行の頭取が「来年は是非、新幹線が開通した福井市でお会いしましょう!」と言っていた。あと1年で開通ということで、現地では急ピッチで整備が進んでいるそうです。

〇北陸新幹線といえば、昨日から軽井沢でG7外相会合が行われている。現地入りする際に、新幹線のグランクラスを1両貸し切りにしたのはいいアイデアでしたね。7人の外相が遠足気分で新幹線の旅を楽しめるのはもちろんのこと、警備がとっても安上がりで済む。これがアナタ、別々にクルマで移動された時には、いったい何人のSPが必要になったことか・・・・。

〇いっそのこと車中で会議にしてしまうのも手かもしれません。それも新幹線の使い道のひとつですな。


<4月18日>(火)

〇仲間内の密談ランチ。チャットGPTから補欠選挙情勢、大阪IRの行方までいろいろ怪情報が飛び交って、ふとその合間に飛び交う「5月の連休の過ごし方」プラン。

〇「グァム島でゴルフ三昧です」「長野の山荘でのんびりします」などという声が飛び交っておるではないか。ふんっ、ワシも今夜になって連休中の温泉宿の予約を入れたんだよ。誰も知らないような、とってもひなびた場所なんだぜ〜。

〇実は明後日が内外情勢調査会の米子支部で講演会なんだけど、明日の前泊が皆生温泉なのである。これ、「かいけ」と呼べますか?というか、そもそも米子市が鳥取県か島根県か、自信を持って言える人がどれだけいるのだろう。

〇あの辺では「水木しげる記念館」も「植田正治写真美術館」も行ったことがあるのだが、皆生温泉は初めてなのである。とまあ、こんな風に行ったことのない場所に行けるのはありがたい。行くぜ温泉。


<4月19〜20日>(水〜木)

〇ということで、鳥取県米子市に行ってきました。このところ水曜日は3週連続で地方都市に行っているのだが、先週の長崎市行きの便とはちょっと違って、羽田空港では飛行機までバスで移動なのである。むむむむむ。

〇そもそも米子鬼太郎空港の存在意義とは何なのか。米子市の人口が23万人、普通に考えたら、そんなに旅客需要があるとは思われない。しかるにこの空港には、「朝に境港で上がった海産物を、その日のうちに首都圏に送り届ける」という重要なミッションがある。つまり「乗客よりも貨物が大事」という路線であるらしい。確かに季節の松葉ガニは高いしねえ。・・・これ、地元のタクシー運転手さんが言っていたことなので、単なるご当地の自虐ネタかもしれません。念のため。

〇お宿は皆生(かいけ)温泉の芙蓉別館である。そのすぐ先は日本海であり、もともとは海中に発生する温泉であった。そのせいか、確かにお湯が塩辛い。「海水浴が楽しめる温泉」は、たぶんそんなに多くはないはずで、ワシの限られた経験から言っても、浴槽から海が見えるなんてのは青森県の浅虫温泉くらいではないかと思う。

〇海が近い、ということで、当地は1981年に日本で初めてトライアスロンが行われた場所でもある。猛暑の中を53人のアスリートたちが、水泳2.5キロ、自転車63.2キロ、マラソン36.5キロに果敢に挑戦したのだそうだ。これはもう聖地認定ですね。

〇とはいえ、コロナ下の3年間、地方の温泉宿に幾多の試練があったことは容易に想像できます。首都圏は既に「リベンジ消費」が始まっていて、この後、5月の大型連休後はマジでお店の予約が取れなくなるのではないかと心配なのですが、どうか当地にも需要が及びますように。

〇自虐ネタ、ということでいうと、空港内にある「すなば珈琲」はなかなかの出来栄えです。「2014年までスタバがない唯一の県」であった鳥取県では、平井伸治知事が「鳥取県にはスタバはないが、日本一の砂場(鳥取砂丘)がある」と言ったら、ホントに県内の業者が「すなば」という名前の喫茶店を作ってしまったとのこと。HPには「目指せ、シアトル!」とあって、この目線の低さが素晴らしい。

〇あ、そうそう、大事なことをお伝えしておきます。境港市の「水木しげる記念館」は再整備のために1年間の休業中です。ただし「水木しげるロード」はいつも通りのようです。


<4月21日>(金)

〇明日は選挙戦の最終日。岸田首相は2度目の和歌山入りをするみたいですね。「総理や官房長官の応援は、1回の選挙で1回だけ」というのが永田町における従来の不文律だったはずですが、先週は爆弾騒ぎもあったことだし、その時お世話になった漁師さんにお礼も言いたいし、ということになると、これは全然不思議なことではない。

〇まして和歌山1区は自民党が大苦戦。前職の岸本周平知事が全力で応援しているらしいのだが、そもそも岸本陣営は長年にわたって自民党の門候補と戦ってきたし、しかも毎回勝ってきたわけで、支持者の間では「今さらそんなこと言われても・・・」という感がぬぐえない。ここは是非、総理の「最後のお願い」が必要なところであろう。

〇それにしても、今回の騒ぎで株を上げたのは漁師さんたちである。つくづく漁師さんたちは、日本の中でも珍しいくらいのリスクテイカーなのである。そりゃあまあ、水産業はギャンブルそのものだし、板子一枚下は地獄だし、水産物は足が速くて腐りやすいので、これはもうリスクは避けて通れない。

〇境港市の「水木しげるロード」なんてのはその典型で、地域おこしなんてものは他人がやらないようなことをやらないと意味がない。普通に「松葉がにロード」みたいなものを作っていたら、越前ガニやズワイガニと競い合うレッドオーシャンになっていたに違いない。

〇ということで、漁師さんにはくれぐれも感謝あるのみ。われわれが今日も美味しい魚を食べられるのは、すべて漁師さんたちのお陰なのである。


<4月23日>(日)

〇週明けの原稿締め切りが3つ重なったので、今週末は仕事に精を出す。最近はこういうことばっかりだなあ。まあ、大型連休を心おきなく過ごすためにも、ここは書き溜めをしておかなければならないのである。

〇選挙が気になるので、ちょくちょくネットを覗いてみるのだが、質量ともに充実しているのは朝日新聞の「統一地方選・衆参補欠選2023」でありますな。まあ、別に今晩8時を過ぎれば開票速報になるのだけれども。

〇まあ、選挙結果はおいおい見ていくことにいたしましょう。そういえば今週は日銀の金融政策決定会合もあるのですなあ。


<4月24日>(月)

〇いやあ、ご案内の通り、ワシもかなりの選挙好きですけど、こんなすごい結果は初めて見ましたな。50.0%対50.0%の戦い。お互いが19万票以上もとったうえで、その差は341票。痺れるような僅差であります。


●参院補選大分

白坂 亜紀(しらさか あき) 自民 新 56歳 当選:1回目 推薦:公明 飲食店経営 196,122(50.0%)

吉田 忠智(よしだ ただとも) 立民 前 67歳 当選:2回 支持:共産・社民 元社民党党首 195,781(50.0%)


〇注目の補欠選挙の結果は、自民党が4勝1敗ということになりましたが、こんなのを見たら「よっしゃ、解散じゃあ!」という気にはならないと思います。まして統一地方選の結果分析が進めば、「思ったよりも足下は危ないぞ。用心、ようじん」ということになるのではないでしょうか。

〇とはいうものの、政局は寸前暗黒。これで来月、G7広島サミットへの評価が高かったりしたら、それこそ、「安倍さんの1周忌に当たる7月9日日曜日(友引)に総選挙!」みたいなことだってあり得るのかもしれません。それはさておき、今回の補選結果は自民党にとってニュートラルであったと受け止めるべきでしょう。

〇今回の5つの補欠選挙では、勝者は日本維新の会、敗者は立憲民主ということになりますな。とくに立民は、わざわざ譲った和歌山1区を維新に取られ、後は全敗だったのですからカッコ悪いことこの上ない。これで泉健太代表のクビが飛ぶかもしれませんが、それはそれで「いつか来た道」。更なる分裂やさらなる党勢衰退へ至る道でしょう。

〇ワシ的には、今度の補選で唯一勝ってほしいと思ったのが平岡秀夫元法相でした。しかし山口2区の応援に、鳩山由紀夫や菅直人を連れて行っちゃいかんでしょう。それは山口県民を愚弄することになりますから。まして山口4区では、有田ヨシフさんが好き勝手を言っているのだから。どうにも彼らは天下を取るつもりがないらしい。だからどんどん隘路にはまっていく。知らんがな。

〇維新の会はどうでしょうかね。彼らは「反・東京」を武器にして関西で勝っている。同じことをオールジャパンでやって勝てるかというと、やっぱりそれは難しい。関東で言うならば、神奈川県では勝てても、埼玉県や千葉県じゃ無理だと思いますぞ。それから日本国内には「反・大阪」という地域も少なからずあります。関西弁嫌い、って人は結構いますからね。ご用心なさいまし。

〇岸田首相としては、年内のどこかで選挙をやっちゃいたい、というのが偽らざるところだと思います。なにしろ2024年になってしまえば、「1月台湾総統選挙、3月ロシア大統領選挙、9月自民党総裁選挙、11月アメリカ大統領選挙」というカルテットがありますからね。

〇だから今年の8月か9月に改造と党役員人事をやって、茂木さん以外の人に幹事長をお願いして、それからが岸田さんにとっての勝負どころではないですかね。いや、それが誰かはよくわからんのでありますけれども。


<4月25日>(火)

〇今宵は第23回の林芳正さんのパーティーへ。セミナーのお相手は宮家邦彦さんで、お二人の掛け合いは瞬く間に世界の森羅万象を駆け巡って楽しい。

〇林さんが外務大臣になって1年半。G7会合は、最初に英国のトラス外相(のち首相)が議長であった年は年2回、翌年はドイツが議長国で、ウクライナ戦争が発生したので11回(電話会談含む)にもなった。お互いに気心が知れてきたので、今年の軽井沢ではヘッドセット(通訳機材)なしになった。つまりは全員が英語で話すようになっている。

〇以前は時々、通訳機材が必要だった。それというのも、フランス外相がときどきフランス語になるからである。するとカナダ外相も「母国語はフランス語なので」、とそっちに靡く。アメリカのブリンケン国務長官は、フランスへの留学経験があるからいいのだけれども、日英の外相は互いに目を見合わせて、やむなくヘッドセットに手を伸ばすというシーンがあったそうである。「国際会議あるある」みたいなお話しである。

〇「最初から容易なことではないと思っていましたが、まさか『戦時の外相』になってしまうとは」と林さん。「アメリカで学んだ際に、ディーン・アチソンのPresent at the Creationという本が教科書でした。戦後秩序を作ったと言われるアチソン国務長官が、『私はただ創造の時代に立ち会っていただけです』と謙虚に語ったものだ。自分もまた、何か大きな時代の変化に立ち会っているのではないかと日々感じている」とも。

〇言われてみれば、この1年半くらいの世界はまさにその通り。アメリカの一極支配の時代が終わり、国連の常任理事国が他国に侵略戦争を始めた場合、容易なことでは止められない。世界全体が手をこまねいて、"Present at the destruction"を呆然と見ている感がある。とはいうものの、ある程度、破壊が終わってしまわないと、新しい秩序の創造は始まらないような気もする。でも、それっていつの話なんだろう。

〇ともあれ、われわれが大変な日々を過ごしていることを、あらためて思い起こさせてくれるような言葉でした。


<4月27日>(木)

〇毎年お引き受けしている慶応義塾大学経済学部の寄付講座「金融資産市場論」で三田キャンパスへ。既にリモート参加はごく一部で、階段式の大教室は上の方まで学生さんで埋まっている。いやはや、結構なことである。

〇「米国経済診断〜脱コロナ、脱インフレは可能か?」というテーマで、普段、「モーサテ」でお話ししているような内容を語ってみる。「ひょっとすると難し過ぎるかな?」などと考えていたのだが、どうやらそんなことはない様子であった。後で聞いたら、先週の講師は鈴木敏之さんであったとのこと。それならワシの方が易しいに違いない。

〇大学に普通のキャンパスライフが戻ってきたのはまことに結構なことながら、過去3年間のリモート講義慣れによって、学生さんたちに変な癖が浸透しているらしい。それは、「授業に遅れて、途中で教室に入ってきても皆、平気である」こと。なぁるほど。それって無理からぬことではないか。これも一種のコロナ後遺症というべきか。

〇夜は経済同友会の通常総会へ。本日から新浪剛史代表幹事が誕生である。懇親会には大勢詰めかけていて、懐かしい方、久しい方、お世話になっている方などにまとめてお会いする。いやはや、こんな風に立食パーティーができるなんて、コロナが明けてホントに良かったなあ。

〇ただし慣れないものだから、ウーロン茶1杯とワイン一杯だけで時間終了になってしまう。はて、昔はちゃんとメシも食いながら、楽しくお話ししていたような気がするのだが。昔の流儀を取り戻さなければならないのだが、それもまだまだ時間がかかりそうである。


<4月28日>(金)

〇昨日の同友会通常総会ではいろんな方にお会いしましたが、佐藤康光九段がいらっしゃってました。そこで「どうもお疲れさまでした」と申し上げました。

〇将棋連盟会長として2期6年、たいへんな時に登板して、混乱を収拾して、東西の将棋会館の建設にも着手して、次の6月からは羽生さんにバトンタッチだそうですので、さぞかしホッとしておられるものと勝手に推察いたします。

〇6年間はどうでしたか?と聞いたら、「私が会長になった時は藤井さんがまだ15歳で四段でしたから、いやあ、まさかあんなに強くなるとは・・・」。いや、確かに。最初の対局はひふみんこと加藤一二三九段とでありましたね。あれから連戦連勝、藤井さんは今や六冠王となって、さらに名人戦に挑戦中。今日で2局目も勝っちゃいました。これはもう竜王・名人になっちゃいそうですなあ。

〇将棋界とチャットGPTの関係、みたいな話も聞きましたが、やっぱりこの業界はAI最前線なのですね。まことに興味深い。とりあえずの結論は、「人間が不要になることはない」。引き続きウォッチしてまいりたいと思います。


<4月29日>(土)

〇大型連休中の定番コース。佐倉市までドライブしてDIC川村記念美術館へ。あいにく庭園のツツジは満開を逃してしまったようだったが、企画展「芸術家たちの南仏」は当たりでした。南仏なんてワシ、行ったことないのに。

〇そこからJR佐倉駅前のシェ・ムラへ。以前に偶然見つけて入った店なんですが、今は完全予約制になっている。完全に納得のフレンチです。クルマだから、ワインに手が出せないのがちょっと悔しい。

〇とまあ、今年も連休はこんな風に安・近・短で済ます予定。とりあえず明日は雨だそうですので、これは春の天皇賞に専念せよということでしょう。とりあえずの予想はこちらに書きました


<4月30日>(日)

〇ゴールデンウィークで海外へ渡航する客が増えると、日本から発着する飛行機の便が増えるので、同時に海外から日本に来る人も多くなる。だってフライト料金が下がるから。それで外国人観光客が増えている。なーんだ、そういうことかって話です。

〇訪日外国人客数は、今年に入ってから150万人(1月)、148万人(2月)、182万人(3月)となっている。第1四半期で480万人なので、年間ペースで2000万人は行くでしょう。過去最高の2019年が通年で3200万人ですから、サービス業の人手が足りてない状況では受け入れられるギリギリの水準じゃないでしょうかね。

〇日本経済全体としては、海外経済が減速しているので製造業が不振である一方で、非製造業は「コロナ明け」のお陰で好調である。どっちが強いかというと、月例経済報告の基調判断は4か月連続の据え置きで、内閣府の見方はわりと慎重であるようだ。

〇実はこれと全く同じ状況が2019年秋にあった。あのときも米中貿易戦争で製造業が悪く、インバウンドが好調で非製造業が良かった。内閣府は「非製造業中心の回復が続く」としていたのだが、実はその前に景気は腰折れしていた(加えて19年10月からの消費税増税が駄目押しになった)という結論になった。

〇そのこともあるので、今回は極めて低姿勢な様子である。でも、今年の景気は強いと思いますぞ。問題はねえ、今年は「正常化」でそこそこ行けてしまうけど、来年がどうなるかわからんってことであります。









編集者敬白



不規則発言のバックナンバー

***2023年5月へ進む

***2023年3月へ戻る

***最新日記へ


溜池通信トップページへ


by Tatsuhiko Yoshizaki