●かんべえの不規則発言



2019年7月






<7月2日>(火)

○先日、商社に関する研究会というものに出席した。もともと日本貿易会の商社原論研究会(ワシも委員だった)の流れをくむもので、経営学者や商社系シンクタンクの人間などが集まっている。久々にそういう世界の議論に浸ったら、これがとても面白かった。

○まず、証券アナリストが、最近の商社について批評をする。これがとっても辛口で、いやもう、面白い。

「今の純利益競争って、1980年代の売上高競争みたいじゃないですか?持ち分法の会社増やして、ハンズオンで経営できるんですか」

「資源高になって資源会社の株は上がっているのに、商社株は上がりませんよ。変だと思いませんか」

「商社って投資が下手ですよね。投資を増やしては減損の繰り返し。投資先もインフラに食料に、ってそんなんでアップサイドがあると思っているのですか」

○いやもう、いちいち図星を突かれて苦笑するしかないのだが、そんなマーケットの声に耳を貸したら最後、どうなるかわからないのがこの世界である。だから下手に反省しちゃいけない。今は好業績でも、20年前にはギリギリまで追い詰められていた業種なんだから。

○それにしても、自分の常識がどんどん非常識になっている、という現実を見せつけられるのはちょっとした快感である。今の総合商社って、こんなことになっているのね。

○もうひとつ、これは高度成長期の商社の活動を研究している経営学者から聞いたお話。商社も明治や大正の時代はほぼ研究が進んでいる。そこでエアポケットとなっているのが戦後のことなのである。特に財閥解体となった商社がいかに合流し、どんなビジネスをやっていたかがサッパリ分からない。たかだか1950年代から60年代のことなのだが、とにかく資料がないんだそうだ。

○そこで三井文庫から、当時の三井物産の社内資料を発掘し、どの会社とどんな取引があったかをせっせと解き明かしているのであるが、「RP」という指標が出てくる。数字から言って、どうやら経常利益のことを指すらしいのだが、RPが何の略なのかが分からない。たしかにそんな言葉、聞いたことがない。

「うーん、PはProfitだとして、Rは何なんだろう?」

「当時の物産の社員に聴けば一発で分かるはずなんだけど」

「当たり前に使っていたわけだから、答えを聞いたらきっとなーんだ、と呆れるようなことに違いない」

○たかだか半世紀前のことがもう全然わからなくなっている。そういう業種が、すっかりビジネスモデルを変えて今日も生き残っている。いやあ、面白いものですわ、わが業界は。ワシもこれで35年くらい付き合っておるのですが、20年後はどうなっていますかね。


<7月3日>(水)

○昨日のエントリーに対し、数々のメールを頂戴いたしました。そのうち圧倒的多数は、「RP=経常利益(Recurring Profit)」ではないのですか?」というものでありました。特に金融関係の方から多かったです。実はこの説明、Wikiで「RP」を引くとちゃんと出てくるので、いかにもそれっぽい。とはいうものの、ワタクシ的には「そりゃちょっと違うだろ」という感覚があったわけであります。

○自分は1984年に商社業界に入りましたが、若い頃に社内誌編集業務を3年ばかりやりましたので、当時の先輩たちにインタビューしたり、過去の社内誌バックナンバーに目を通したりしておったので、1960年代〜70年代の商社に対するイメージはそれなりにあるのです。ところが、RPなんて言葉はまったく聞いたことがなかったし、Recurringなんて英語は商社用語としては「そりゃ違うよ」という感覚があったのであります。

○そしたら本日になって、複数の三井物産の現役及びOBの方々から、「RP=Realized Profit(実現利益)であって、それとは別にEP=Estimated Profit(期待利益)という成約時の明細がありました。これを受け渡し・決済が完了して、損益が確定した時点でRPと称しておりました」との証言をいただきました。

(その中には三井物産OBのこの人も含まれております)

○なるほど、これなら納得なのであります。おそらく物産社内では、「EPじゃないんだ、RPが大事なんだよ」みたいなことを言って、若手社員を教育していたんじゃないかと思います。この辺が、独立採算制を採っていた三井物産の伝統なんでしょうね。ある三井物産OBの方からは、「ほかの商社はRP/EPとは言わなかったのですね」と驚いたとのコメントをいただきました。

○ちなみにこの場合、RPには社員の人件費や本社ビルのコストなどは含んでいないわけで、「経常利益」の概念とはちょっと違います。それよりも部や支店単位で、想定された利益と現実に会社に入ったキャッシュの差(売買差益=「売差」と称したそうです)を強く意識していたことになります。いやあ、企業文化は何よりも「ことば」に現れるという典型でありますね。

○この辺がうまく説明できないのでありますが、"Realized Profit"という言葉であれば、いかにも商社の社内用語なんですよね。昔の日商岩井にはRP/EPという概念はありませんでしたが、「RPとEPを峻別すべし」というコンセプトは実によく理解できます。「売上高と成約高」の違いと言い換えてもいいでしょう。すなわち、RPを稼ぐ人が社内で尊敬されるんです。

○実は商社の社内では、変な英語もかな〜り使われています。例えば海外の首脳が訪日するから、経済団体主催の会合を開かなきゃいけない、ひいては御社の役員の方にも出ていただけませんか、みたいなイベントのことを"Protcol"(プロトコール)と称します(これはたぶん、全商社に共通)。プロトコールという英語には「外交儀礼」という意味もあるし、外務省儀典官室は"Protocol Office"ですから、ので、あながち間違った用法ではありません。

○ところが申し訳ないことに、商社の社内で「プロトコール」という言葉が使われる際には、「めんどくさいし、カネにならないんだけど、お付き合いだから仕方ないんだよね〜」というニュアンスが付きまといます。つまりネガティブな言葉なんですな。こういうのも企業文化の反映でありまして、言葉の意味合いを正しく理解することが、その業界で生きていく第一歩となるわけです。お若い方々は、このことを是非とも学習してくださいまし。言葉は大事なのであります。


<7月4日>(木)

○最近聞いて、ちょっと印象に残ったひとこと。

○その1。尊敬する80代の大先輩同士の会話から。「あなたも自叙伝を書きなさいよ」「そんなものは60代のときに書いちゃったよ」「いや、80代になったらもう1回書くといい。自分の見方が変わっているから」

――60代と80代では、見える景色が変わっているのだそうです。確かに20年もたつと、世の中自体が変わっちゃうしね。60代がそう遠くない身には、その先の人生が少しだけ楽しみになりました。

○その2。高校の同窓会に出席して同級生たちと。「いじめも同調圧力もない、いい学校だったよねえ」

――今から思えば、田舎の進学校というのは、意外と個人主義でうるさいことを言われないのであります。部活しようが、受験勉強に励もうが、みんな自分の勝手でありました。

○その3。歴史の古い某社の方から。「昔は株主総会に、徴用工問題の特殊株主が来ていたものだが、今では『会社は毅然として対応すべし』と応援演説してくれる株主が増えた」。

――5年くらい前からそうなってきたのだそうです。これでは会社としても、「早いとこカネ払って解決しちまえ」などとは言えなくなりますな。


<7月5日>(金)

○注目の米雇用統計、強い数字でしたねえ。6月は失業率3.7%、NFPは22.4万人増でした。

○と思ったら、独立記念日翌日のNY市場は下げて始まりました。その心は、利下げが遠のいたから。でも、ホントに利下げって必要なんでしょうかねえ。今の米国経済に。年後半はやっぱり利上げかも。

○とりあえず長期金利が上がって、為替もドル高円安に振れているようなので、日本経済にとってはホッとする展開です。たぶん日銀がいちばんホッとしているでしょうね。7月会合はとっても悩ましい。ちなみに来週7月10日はパウエル議長の議会証言があります。

○こんな風に米国経済が強いから、貿易戦争が正当化されてしまうんだよなあ。こんなのに付き合わされるほかの国はたまったものではありません。トランプさんとしては、ここで少しくらい減速しても、来年夏に景気が良ければそれでいいんですものね。

○と、ここまで書いたところで、竜王戦の久保九段対藤井聡太七段の対局がようやく終了。184手で藤井七段の勝ち。互いに持ち時間を使い切り、盤面の四隅には桂馬や香車が残っていないという大変な熱戦でした。夕食にはCoCo壱番屋のハッシュドビーフを注文する高校生なんですが、まったく強い。強過ぎるぞ。


<7月7日>(日)

○今日は七夕。ということで、土曜日から泊りがけで福島市へ。この季節にはお馴染みの福島競馬への遠征である。今年の宿は一昨年にも泊まった吉川屋。今年も5人が集まって宴会および翌日の検討会。ご当地の福島民報、高橋利明記者の熱弁に盛り上がりました。諸般の事情で宿泊は3人。ただし日曜日の参加者も別途3人。七夕賞ツァーはどんどん拡大しております。

○今年の福島はとっても涼しくて、上着があってちょうどいいくらい。空は今にも泣き出しそうだが、雨はかろうじて降らないといったところ。今年は5月が暑かったけど、7月は妙に涼しくて、梅雨がいつまでも明けないという変な気候です。そういえば、福島競馬も先週のラジオ日経賞はひどい雨で馬場が荒れたんだよなあ。

○そのラジオ日経賞は、ブレイキングドーンをしっかり当てたので、今週は意気揚々と乗り込んでいる。とはいうものの、そんなに簡単に勝たせてくれる福島競馬ではないのである。いやあ、レースが荒れているわけじゃないのだが、微妙に当たらない。今日は7月7日だからでもないだろうが、藤田菜七子騎手が1勝、2着2回と奮闘している。

○てなわけで、朝から連敗続き。やっと函館のマリーンSで当てて、半分くらい取り戻したところで迎えたのがメインの七夕賞、高橋記者の本命、クレッシェンドラヴから狙うが、惜しくも2着。1着はミッキースワローでした。ううむ、そっちか。菜七子ちゃん騎乗のゴールドサーベラスが4着で、これが入線してくれていれば、高いワイドが取れておりました。残念。

○数えてみたら7月の福島通いは今年で8回連続。そもそも何でこんなことを始めたのか、という理由がだんだん分からなくなってきている。福島は来年のNHK「朝ドラ」がご当地出身の古関裕而氏なんだそうで、それは大変めでたいとこだと思うのだが、この偉大な作曲家のこともたまたま競馬場の近くに記念館があったから知ったんだよな。

○ところで業務連絡です。筆者の自宅用アドレスのニフティが昨日からつながりません。御用の方は、なるべく会社のアドレスをご利用ください。


<7月8日>(月)

○韓国の財閥トップたちが、お忍びでごそっと東京に来ているらしい。半導体原料が入ってこなくなるようでは会社にとって一大事だが、政府に頼んでも埒が明かないだろうと直接交渉に臨んでいるとのこと。とはいえ、経済産業省は「これは純粋に輸出管理の問題」と言っているので、日本の民間企業側としてはどうすることもできない。

○その一方で、政治家は「不誠実な韓国の対応に対して再考を促す」みたいな言い方をしている。経済産業省の説明とは裏腹に、韓国への制裁だと言わんばかり。いわば「未必の故意」であって、これで反韓感情を持つ有権者の支持を取り付けられれば儲けもの、みたいなことを考えているのかもしれない。正直、この国にそういう層がどれだけ居るのかは未知数なので、今回の参院選で初めて分かることになるのじゃないかと思う。

○まあ、確かに文在寅政権になってからの対日対応はひどいものがあって、安倍内閣がブチ切れるのはわからんわけではない。しかし、この国はビジネスを使って相手国に脅しをかける、なんてことを今までまったくやらないできた。国連安保理やG7の制裁には加わるけれども、少なくとも二国間関係でやったという記憶はない。いわば国際政治の優等生を演じてきたわけで、今回の措置は少なくとも通商政策におけるひとつの転換点になるのではないか。

溜池通信の最新号でも書いた通り、今回の措置はあんまりいいことないと思うんですよね。もちろん、これで危機感を抱いた韓国の財閥の皆さんが、文在寅降ろしを始めてくれればそれは結構なことであります。是非、そうであってほしいです。でも、その次の政権が親日になる保証もないんですよね。彼らはわれわれが望んでいるような韓国人にはならないであろうし、われわれだって彼らが望んでいるような日本人になることはないだろう。

○ともあれ、既にサイは投げられております。WSJでウォルター・ラッセル・ミードが「トランプ化する日本外交」という記事を寄稿しておりましたが、「あの日本がIWCから抜け、対韓輸出規制をするのだから、世の中は変わったもんだねえ」というご趣旨でありました。だから、日韓関係だけを見てちゃいけませんよ。第三者にどんな風に見られているか、それが勝負のキモなのであります。


<7月9日>(火)

○昨日あんなことを書いたら、今日になって官邸の説明が急速に経済産業省のライン(あくまでも輸出規制の一環)に収斂してきた。そうあるべきなんです。経済産業省としては、こんなことで行政訴訟を起こされて、敗訴しようもんなら目も当てられない。日本外交の評判にもかかわるので、ここは「木鼻」の対応に終始すべきです。

○逆にWTO提訴なんてことは、あんまり深く考える必要はない。だって答えが出るのは1年かそこら先のことなんだから。勝率は半々くらいだと思いますが、その頃にはみんな忘れているでしょう。半導体産業は確実にそれよりも早く変化する。それがどうなるかは分からないから、今度のギャンブルはちょっと怖いのです。

○今回対象となった3つの品目のうち、韓国向けにレジストとフッ化ポリイミドの両方を輸出しているのがJSRという会社です。この会社の株価がどうなるかを見ておけば、たぶん大きな間違いをしなくて済むでしょう。まあ、株価なんてNY市場やFedの判断ひとつでどうとでも動いちゃうのですが。


<7月10日>(水)

○業務連絡です。Niftyが開通しました。とりあえずウェブメールは見られます。先週土曜日から5日間止まっていたので、ちょっと不安でした。なにしろ25年くらい使っていて、初めての事態でしたから。ただしアウトルックとiPadの直し方がまだよく分かりません。うーむ。(後記:その後、ニフティに電話がつながって、めでたく解決しました)

○ところで札幌に移動しました。新千歳空港からエアポート快速で移動する間、北広島駅からボールパークの建設予定地が見えました。この間、ほとんど景色は原野です。北海道はホントに土地が広いんですなあ。耳元で誰かが"If you build it, he will come."と囁いたような気がしました。


<7月11日>(木)

○さてさて、札幌である。昼間の気温は20度台後半まで上昇するが、空気が乾いているから暑くは感じない。夜はひんやりして風が心地よい。いやもう、今年の首都圏は5月は猛暑、6月は梅雨で晴れ間知らず、そして7月も梅雨明けせずというドツボな気候が続いておりますが、こちらは快適です。

○札幌の街並み、というのはかなりの部分が1972年の札幌五輪の直前にできたのだそうで、さすがに老朽化が目立ち始めている。実際に建て替え工事も始まっている。となると、「そろそろもう1回やりますか!アレを」という声が起きるのもある意味自然なことである。何しろ札幌には、ジャンプ台からカーリングまで、あらゆるタイプのウィンタースポーツの施設が揃っている。冬季五輪を誘致しても、新たな投資はそんなには要らない。

○とはいえ、五輪誘致は昨年の胆振地震でさすがに出ばなをくじかれた。そこで2026年はギブアップして、2030年はどうか、という声があるらしい。というか、その前の2018年が平昌で、2022年が北京なんだから、アジアの都市が3連荘することはさすがに無理でしょう。少しほとぼりを醒ましてから2030年。悪くないと思います。

○ここで問題になってくるのが、北海道新幹線の札幌開業が2031年の予定であることだ。「おい、1年くらい前倒し出来んのか?」と誰でも考える。ところが、新函館北斗駅から小樽を経由する今の計画ルートは、トンネル工事が多いので工期の短縮は難しいらしい。室蘭経由だったら、何とかなったかもしれないんだけど。

○しかしまあ、こういう公共投資で景気を良くしよう、という発想はいかにも旧態依然であるようにも思える。「遊民経済学」の時代においては、地域活性化の基本は「観光と農業とスポーツ」である。そしてこの3つにおいて、日本国内で北海道を超える地域はないだろう。だったら、”Hokkaido”ブランドをとことん世界に広げて、人とおカネが集まってくるようにするのが、これからの時代には適しているんじゃないか。

○ところで、北海道のワイン業者の方から、こんな悩みを聞きました。日米経済協議で、アメリカ産ワインの関税も下がってしまうんじゃないか。日欧EPAのときも、ワイン関税はすぐに下げられた。あれは日本の大手ワイン販売業者が、国産よりも輸入ワインで儲けているからで、国内の生産業者のことを真剣に考えてくれない。チーズ業者は、まだしも補助金が出たんだけどねえ・・・。

○ワインを愛好するものとしては、ナパの値段が下がるのはうれしいけれども、なるほどそういう問題もあるのですな。地方活性化の三種の神器=「観光と農業とスポーツ」のフロントランナーたる北海道にも、いろいろ悩みは尽きないようです。


<7月12日>(金)

○札幌から帰って来ると、空気が湿っていてとっても不快である。しかも気温は高めと来ている。何なんだこれは! 札幌の乾いた空気と自然な風が懐かしい。

○気を取り直して、この2週間で筆者は福島市と札幌市を訪れたが、これは都内や柏市内もそうなんだけど、「ホントに今回の選挙戦は盛り上がっていませんね!」。札幌では聴衆の反応が悪くて、「うーん、イマイチ」という候補者を見かけました。そして福島市では、行き交う人たちが競馬の話をしていることはあっても、選挙の話はまったく出なかったのである。

○そんな中でささやかれている噂は、「果物を産出する県では自民党が優位。米ばっかりの県だと不利」。ははあ、そういうことなのですか。確かに岡山県、山梨県、福島県では自民党が有利なようだ。逆に秋田県、山形県、新潟県では苦戦が続いているらしい。まあ、そんな中でも北陸三県は自民党が安泰だ!という声もある。

○7月21日の投票日まで、残り10日を切った計算になる。これから先がどうなるのか。あまり波乱はないのかなあ、という予感がしております。それがいいのか、悪いのか、は別問題として。


<7月13日>(土)

○町内会の夏祭り、始まる。朝から山車の組み立て作業が始まるが、もう何十回もやっているにもかかわらず、毎回、訳が分からなくなるのはなぜだろう。しかも今朝は暑くて蒸している。丸2日、札幌の快適な空気に慣れていた身には辛過ぎます。申し訳ないが、途中で戦線離脱。

○夕方から交通規制開始。神主さんをお招きしての宵宮は例年通り。天気がギリギリもってくれたのでホッとする。夜はテント横丁で飲み会。高齢者から子供まで揃って盛況である。2015年から始めた企画なので今年で5回目。着実に発展していて、そろそろ横丁が手狭に感じられるようになってきた。

○問題は明日の天気がどうなるか。せめて午前中だけでも晴れてくれればいいのですが。なかなか梅雨が明けてくれないものだから、今年は夏祭りも大変なのであります。

○ちなみに本日、東洋経済オンラインに寄稿した駄文をご紹介。「日韓貿易戦争で日本が絶対有利とは限らない」。編集F氏からは「PV狙いに来ましたね」などといわれたけれども、自然体で持論を述べたつもりであります。但し予想通り、コメント欄には罵詈讒謗がいっぱい寄せられております。あはは。


<7月14日>(日)

○本日はものの見事に雨。町内会の夏祭り、こんなにまともに雨にたたられたのは、長い歴史の中でも初めてのことであるらしい。山車の運航もままならず中止。子供向けのイベントは、ご近所のマンションの集会所を借りて実施。例年は汗だくで作業した後に飲む生ビールが旨いのであるが、本日は作業していると濡れる上に肌寒い。これじゃチューハイだったらお湯割り希望だね。まったくなんという天候でありましょうや。

○とはいうものの、何事につけても想定外の事態に対応するというのは、ためになるものである。昨日作ったばかりの山車を、使わないままに解体作業するのはちょっと虚しかったが。異常気象が普通になる時代、来年以降に使えるノウハウを残していかなければならない。

○「さすがに今日は中止だろう」と思っている子どもたちが、「イベント会場やってるよ」と聞くと喜んでくれるのを見るのは嬉しいものである。たいした景品は用意していないんだけど、水鉄砲とかスーパーボールとかをゲットすると喜んでくれる。これだけは昔から変わらない。まあ、さすがに今日はかき氷とガリガリ君は余っていたようだが。

○ということで、今年は大変な夏祭りであった。しかしこの雨空に、選挙をやっている人たちもいるのだなあ。お疲れ様です。


<7月15日>(月)

○昔、よく使ったネタであるが、フジテレビの『サザエさん』に出てくる磯野波平は54歳という設定である。今のワシよりも若い。1972年に宰相となった田中角栄はやはり54歳で、今太閤と呼ばれて人気を博したが、今見ると70歳くらいの貫録に見えてしまう。でも50年前の50代はあんな感じだったのである。

○それもそのはず、磯野波平さんはあと1〜2年で定年になって、当時の平均年齢だと後10年くらいでお迎えが来るはずである。カツオくんやワカメちゃんの大学卒業には間に合わないかもしれないが、当時の大学進学率は2割くらいなので、あまり気にする必要はないのだろう。と聞くとギョッとするかもしれないが、1970年前後の日本はそんな感じだった。

○昭和の常識というものは、だいたいが「人生70年」くらいの前提でできている。つまり余生があんまり長くはない。特に男性は早死にだった。そこで年金制度も甘く設計してしまったという問題があるのだが、まさか半世紀後に「人生100年時代」が来るとは思わなかったから、それは責められないだろう。

○そんなことよりも、これだけ急速な寿命の伸長があると、だんだん昔の常識が分からなくなってくる。例えば昭和の歌謡曲の中には、「あなたと別れても、思い出とともに生きていく〜」みたいな歌詞がめずらしくないが、今聞くととっても異和感がある。これは、平均寿命が短い時代の発想だと考えれば納得がゆく。自分が90歳まで生きると考えていたら、こんな歌詞は出てこない。つまり男女の情愛さえ、だんだん昔の感覚がわからなくなっていく。

○同様に、「この会社に命をささげよう」という発想も、昭和には普通のことであった。だって人生70年のうち、20歳から55歳くらいまでの大部分を会社が面倒を見てくれたわけだから。ところが今では、会社を離れてからの人生が数十年もある。こうなると「一社懸命」は不合理な選択となってしまう。そりゃあ転職もアリだし、若いうちから副業もやっといたほうがいいですよね。長寿社会は、「個」が強くないと生きていけません。

○人生の時間が長くなると、離婚や再婚が増えることも自然な流れでしょう。だって生きてる時間が長くなるのだから、死別する確率だってそれだけ上がります。既に日本は3組に1組が離婚する時代。「ただ一人の人とだけ添い遂げることが美徳」という考え方は、やはり人生が短かった時期の特色とみることができましょう。

○家族関係も、以前より「長期志向」になるはずだ。つまり親子だけじゃなくて、祖父母と孫みたいな3世代、場合によっては4世代の関係も増えていく。人生が短かった時代には、親や兄弟と喧嘩してもわりと平気だった。今はお互いに老後が長いので、なるべく喧嘩はしない方がいい、ということになりそうだ。ゼロ金利、マイナス金利時代においては、「相続」の問題も重くなっていきますしね。

○長寿化は、政治的には「保守化」につながるだろう。というか、人生100年時代に誰が革命家になろうとするのか。「高齢者が多くなるから社会が保守化する」というのは、あまり当たっていないと思う。今の日本では、高齢者ほど反政府の比率が高くなる。老い先短い者は、無責任になれるのだ。逆にこれから何十年も生きなければならない世代は、政治で下手なギャンブルはできないと考える。このメカニズム、大人はあんまり気づいていないんじゃないだろうか。

○今日のように選挙戦が終盤に差し掛かってくると、案の定、与党の優勢が伝えられてくる。するとリベラル派の媒体が、焦ったかのように「若者よ、投票に行け」などという論陣を張る。でも、若者が投票すると、ますます安倍政権や自民党を利することになると思う。彼らは保守的だから。余生が長い世代にとっては、「あれもこれも全部、政府が面倒を見るべきだ〜」などと言っている野党は、とってもお気楽で無責任に見えていると思うぞ。

○変な言い方になるが、「人生100年時代」は始まったばかりである。それに沿って新しい常識が誕生し、過去の常識がどんどん忘れられていく。だから「昭和の時代」をうまく忘れることが必要ですな。メディアの皆さんも含めて。


<7月16日>(火)

○以下は微妙に昨日の続きのようなネタ。

○たまたま今日、出版社の人たちとランチしていたら、「いま、孤独が売れてます」とのこと。ほれ、下重さんとか五木さんとかの本、あたしゃ読んでないのですけれども。当たり前の話ですが、平均寿命が長くなるとそれだけ孤独な老人が増える。そういう人たちは、健康から預貯金の額、離れて暮らしている家族との関係まで、さまざまな不安を抱えながら生きているわけでありまして。

○ところがこの手の本を読むと、「孤独は素晴らしい」というメッセージが込められていて、勇気づけられるんだそうです。なるほど、そういう需要があったのか。でも、「孤独は寂しくない」というのは、幼子が「腹は減っても、ひもじゅうない」と言っているようで、むしろ痛々しいような気もする。

○何しろ今や単身世帯が全体の35%を占めていて、これが2040年には4割になるらしい。「夫と妻、子供2人」なんて昔の「モデル世帯」は、今じゃ石を投げてもなかなか当たらない。編集者曰く、「少し前までは、『死ぬまでセックス』で読者を掴めたのですが、今じゃ『夫と顔を合わさずに暮らす間取り術』ですから」。ううむ、身につまされるのう。イギリスには「孤独問題担当大臣」があるというではありませぬか。

○そういえばたまたま昨日、柏シアターに中島みゆきの『夜会工場Vol2』を見に行って、ものすごーくガッカリして帰ってきたのである。貴重な休日の午後の2時間と、2500円が惜しまれる。でも、こういう名曲もあったよね。ほら、「1人で生まれて来たのだから」。孤独を応援することにかけて、彼女に勝る者はたぶん居ないのであります。

○するとその後に、図ったかのように冠婚葬祭総合研究所の関係者が来訪。今度はどうやってお葬式やお墓を守っていくか、という話に。神社とお寺はそれぞれ全国に7000軒程度だが、神社は年間を通じてイベントがあるから集客できるけど、お寺は檀家が居なくなったらどうするんだろう、などと。人類の予想を超えた長寿化は、いろんなドラマを生みつつある。それはもちろん商機をももたらす、というお話であります。


<7月17日>(水)

○大阪に来ている。いつもは大阪では、全日空ホテル(正確には「ANAクラウンプラザ大阪」)やリーガロイヤルなど、「キタ」に泊まることが多いのだけど、今日はスポンサーさんの関係で「ミナミ」のシェラトン都ホテルである。

○新大阪駅から地下鉄・御堂筋線に乗ってなんば駅まで来て、近鉄に乗り換えて奈良方面へ2駅、大阪上本町で下車。「うえほんまち」と呼ぶのですね。「かみほんまち」ではありません。そうか、阪神タイガースの「上本内野手」(うえぽん=Weapon)と覚えればいいのか。土地勘がないものだから、何を見ても新鮮な気分である。

○なんばの方から上本町にかけては、かすかに上り坂になっているようにみえる。そうか、これが「ブラタモリ」で言っていた「上町台地」(うえまちだいち)なのか。上本町の北方には大阪城がある。こういう地政学上の要所を見出した信長&太閤秀吉の着眼はすばらしい。

○今も大阪G20首脳会議が行われると、警備のために全国の物流が遅れたりする。やっぱり大阪は物流の要所なのである。「で、大阪G20はいかがでしたか?」と尋ねると、地元の人たちの間では「田舎の県警から派遣された警官が、トイレに拳銃を置き忘れて処分されたんだって」みたいな話が飛び交う。やっぱり大阪やねえ。

○ところで大阪くらいは選挙戦が盛り上がっているのかと思ったら、全然そんな感じがしない。せめて明日は選挙の掲示板くらいは発見したいものである。


<7月18日>(木)

○大阪は蒸し暑い。大阪商工会議所さんの朝食会講師を務めた後、双日の関西拠点である西梅田のダイビルに立ち寄る。そこから、勝手知ったる福島の朝日放送まで歩いてみたら、ドッと汗が吹き出してどうにもならぬ。なんなんだ、この暑さは。まあ、日本全国、どこも似たようなものか。

○しばし久闊を叙してから、神戸へ。ところが福島駅から神戸へというと無数の行き方がある。いやもう、信じられないくらいの順列組合せがある。迷った挙句、普通にJRで行ったのだが、どうせだったら阪神電車を使うべきであった。それであれば甲子園駅を通過できたのである。いや、もちろん阪急もあるし、大阪駅まで戻ってから新快速を使うという手もある。初心者としては苦悩するところなり。

○神戸に着いたら、ひどい雨である。考えてみたら、近年は毎年のようにジェトロ神戸さんにセミナー講師として呼んでもらっているのだが、いつもポートピアホテル近辺で用事が済むので、神戸駅や三宮方面に来ることがない。今回の訪問先はラジオ関西。何と神戸新聞さんと同じビルの中にある。

○番組収録を終えて、新神戸駅へ。なんと大雨で新幹線が遅延している。ホントに日本全体がどうなっているのよ。などと文句を言いつつ、駅で豚まんを買って、恵比寿ビールとともにホームで食べる。これが私の神戸定跡。新幹線の中で食べちゃあ、周囲に申し訳ないでしょ。


<7月19日>(金)

○以下は某医薬品業界の方から伺った話。

●我々の業界においては、韓国経済はまったく眼中にない。なんとなれば、韓国には医薬品業界がほとんど存在しないから。だから輸出はするけれども、輸入はほとんどない。医薬品の世界においては、「輸出規制」などという概念は存在しません。人の命にかかわることですからね。今度の事態にはびっくりしています。

――あたしゃてっきり韓国はフルセット型経済で、医薬品業界もあるのだと思っていました。だって韓国製の化粧品や美容整形はそれなりのニーズがあるようですし。

●医薬品業界が存在しない国では、薬はなるべくならジェネリックにしようとするし、薬価は隙あれば下げようとする。そんな国においては、自国で医薬品事業を興そう、新薬を開発しよう、などという物好きは現れません。それでいい、と考えているのでしょう。

――医薬品業界というのは、とっても参入障壁が高いのですよね。だからこそ利益率は高い(薬九層倍)なわけですが、人の命を預かる業界だけに、何かあったら一発アウトの怖さを秘めています。だからオール・オア・ナッシングになりやすいのですね。

○韓国経済について、われわれが知らないことはまだまだ他にもいっぱいありそうです。



<7月21日>(日)

○いかにも空が泣き出しそうだったので、一家そろって午前中に投票所に行ってきました。似たようなことを考える人が多いと見えて、近所の小学校の投票所は10時台にしては200番台となっておりました。結構なことであります。案の定、帰りがけになるとポツポツと降り出したみたいです。

○投票所に居る人たちは、このじめじめした天候の中を、エアコンの利かない体育館の中で、朝から晩までご苦労様であります。しかも彼らは知り合いが来ても、必要なこと以外は話しかけてはいけないのである。なんという難行苦行でありましょうや。

○こんな多くの人の苦労の上に選挙という作業は成り立っております。いくら盛り上がっていないからと言って、無視したら罰が当たります。目指せ、投票率5割以上。


<7月22日>(月)

○選挙が終わって一夜明け、いろんな人がいろんなことを言っているのだが、2019年参議院選挙を一言で言い表せば、「安倍・自民党による国政選挙6連勝」以外の何ものでもあるまい。2012年衆議院選挙で政権をとってから、2013年参院選でボロ勝ちし、2014年衆院選で皆をあっと言わせ、2016年参院選も無難にまとめ、2017年衆院選ではまたまた意表を突き、2019年参院選は面白くもない安全勝ちといったところだろう。「3分の2がどーのこーの」とか言っている人たちは、あんまり本質をわかってないと思う。

○ジャンケンでも将棋でもプロ野球でも、6連勝はなかなかできるものではない。まして議員さんたちの生命が懸った選挙で、6連勝は途方もない値打ちがある。この間に自民党は勝ち癖がつき、逆に野党は負け癖がついてしまい、とうとう分裂してしまった。今回の選挙で立憲民主党と国民民主党の両方の党首が、「ウチはできたばかりの若い政党ですから」と言っているのを聞いて、ああ、とうとうこいつらは自分たちが政権与党だったことを否定してし始めた、やっぱり彼らにとっても悪夢だったのか、と妙に納得してしまった。

○となれば自民党内では、6連勝した人に対して考えることはひとつしかない。「もう1回勝ってください」であろう。今の自民党で、衆議院で3回生以下の人たち(2009年選挙で勝ち上がった小泉進次郎や斎藤健が4回生である)は、安倍総裁以外の下で選挙を戦ったことがない。実に自民党議員の45%を占めている。彼らの願いは、「あと1回だけ衆院選で勝って、それから辞めてください」であろう。

○他方、6連勝もしてしまった人の立場になってみると、こんなもの、べつに必勝策があるわけじゃない。たまたま今までは運よく勝ってこれたけど、7戦目はこれまた全く別の話で、今度こそ負けるかもしれない。6勝0敗のままで余裕を持って首相の座を降りて伝説を残すのと、6勝1敗で終わって「あーあ、あの人はもう過去の人」と思われてその座を去るのでは、天と地ほどに人生が変わってくる。少しくらい、勿体ぶってもいいところであろう。

○「アベは四選目を狙っている」などというのも、権力の怖さを分かってない人の戯言だ。3選でもう十分に長い。何しろ佐藤栄作どころか桂太郎まで抜いてしまうのだ。ここまで来てしまうと、「どうやって虎の背中から降りるのか」(虎に食われないように)を考えなければならない。総理を引退したら、少しはゆっくりさせてもらって、メディアの監視からも逃れて、あとは清和会の長として収まって、「おい、今度はお前が総理やってみるか?」などと好き放題をやりたいじゃないですか。安倍さんは鬼でもなければ悪魔でもない。ごくフツーの政治家なので、そういう人生設計はちゃんとあると思いますぞ。

○さて、本日は秋田銀行さんのセミナーで秋田市に行っておりました。秋田は激戦区で、昨日は野党統一候補が僅差で勝ちました。安倍さんや菅さんが何度も応援に入ったので、地元経済界としては「これはきっと勝ち目があるんだろう」と思っていたら、意外とそうではなかった。やっぱり東北は難しいですよ。イージスアショアの問題もありましたしねえ。いや、一昨年までの北朝鮮のミサイルがビュンビュン飛んでいた頃ならともかく、米朝首脳会談を3回も見せられた後になると、「なんでそんなものが要るんだ!」となるのは自然な勢いというものです。

○「令和おじさん」こと菅官房長官は秋田出身。選挙区は横浜ですが、菅さんの「秋田・愛」は非常に深いものがあり、頻繁に「お国入り」されるそうです。ご出身は秋田県湯沢市だそうですが、今回、その湯沢市で両候補の票が拮抗していたことが意外感を持って受け止められていました。4月の統一地方選挙では、「令和おじさん」の応援効果は抜群で、北海道知事選などでは信じられないほど票の上積みがあったそうですが。今回の参院選では、さすがに神通力も衰えてきたのか、それとも地元の人にとっては「ああ、菅さんがまた来てくれたか」と有難味が乏しかったのか。

○それはさておき、講演会後の懇親会で、べらぼうに旨い日本酒を頂戴しました。


高清水 和兆

新政 佐藤卯兵衛


○帰りの飛行機の時間がなければ、とことん腰を据えて飲みたいところでした。秋田の日本酒はレベル高いです。というか、日本海側育ちの人間にとっては、秋田や新潟や富山の酒がいちばん身体にあっていて、京都や灘や広島はあんまりいいと思わんのですよね。軟水と硬水の違いなんでしょうか。ともあれ、上の2種はお勧めです。もちろん、いいお値段するみたいですけど。


<7月23日>(火)

○ホントだったら、溜池通信の恒例、参議院選挙のデータ分析をしなきゃいけないのですが、ここに書き起こす暇がありません。そこで、今朝の「くにまるジャパン極」でお話しした内容にリンクを貼っておきます。開票結果について、オタクな話をしております。

○こうやって聞き返してみると、野村邦丸さんが実に適切なツッコミをしていることがわかります。実は毎週、ほとんど打ち合わせなしでやっております。まあ、10年以上やっておりますからねえ。


<7月25日>(木)

○昨日は半年ぶりにマネースクエア社でインタビューを受けました。いつも通り西田明弘さんとの掛け合いなんですが、これまた打ち合わせ10分程度で、なんとかなっちゃうんですよね。ということで、リンクを貼っておきましょう。今後の内外情勢を見通すうえで、何かのご参考になれば幸いです。


●プレミアムView 「前編:国内情勢」


●プレミアムView 「後編:海外情勢」


○そういえば来週はFOMCと日銀MPM(金融政策決定会合)が重なる週だったりする。為替は動きますかね。ちなみに西田さんとは、その後はご一緒に六本木のトルコ料理でランチしました。


<7月26日>(金)

○俳優のルドガー・ハウワー氏が75歳で死去したそうだ。と言ってもピンとこなかったら、『ブレードランナー』(1982年)のレプリカント・ロイが死んだということである。

○ということで、今週末に帰国されるという上海馬券王先生が大好きなセリフを以下の通りメモしておこう。


"Ive seen things you people wouldnt believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhauser Gate. All those moments will be lost in time, like tears in rain. Time to die."


(俺はお前たちが信じられないものを見てきた。オリオン座の肩で燃える宇宙戦艦。タンホイザーゲートの暗闇で光るCビーム。そんなすべての瞬間が失われていく。まるで雨の中の涙のように。お迎えの時が来た)=拙訳



○簡潔にして美しい詩である。降りしきる雨の中の映像も心に残る。そこにヴァンゲリスの音楽が重なる。これまでに何本のSF映画を見たかわからないが、その中でも白眉のシーンである。たとえ俳優が死んでも、見た人のイメージの中でその姿は生き続ける。モノを作る仕事は幸いなるかな。


<7月27日>(土)

○吉本興業ホールディングスの問題について少しだけ。ワシ的には全く関心の沸かない話なのだが、「お笑い芸人に契約書がなかった」ということに驚いている人がいるらしい。そんなの、あったり前でしょうが。

○「物書き」や「コメンテーター」、ときに「有識者」としてのワシの長年の経験からいって、原稿執筆とかテレビ出演にも契約書なんて存在しませんから。確か2007年頃に、日本経済新聞社が外部の執筆者に対して1回ごとに契約書を交わすようになったことがある。あのときは半年ぐらいでなしくずしになったと思う。こちらも「そんなメンドーなこと、止めましょうよ〜」と思っていたので、それは好都合であった。

○その後も新聞社、出版社などは、今日に至るも執筆依頼は全部口約束、メール約束です。でなきゃ、こっちもやってられません。年間に何本書くと思ってるんですか。「よしもとは芸人に契約書を交わすべきだ!」などとどこかの新聞が書いたら、「どの口が言っているんだ」と笑ってさしあげましょう。

○書籍を出すときは、さすがに契約書を交わします。それも本が出た後になって、契約書を持ってこられることが多い。印税が何%かなんて、そのときにならないとわからない。ワシ的には「そんなもの、いくらでも構わんですよ」と見栄を張っていることが多いので、金額が分かって拍子抜けすることもあるのだが、さすがにこれだけ長くやっていると、「今回は××円くらいかな」という予測がほとんど外れなくなった。

○テレビ、ラジオも同様です。NHKも含めて全部口約束で、レギュラー出演の場合も同様です。キャスターさんはさすがに違うでしょうが、コメンテーター稼業で契約書を交わしたことなんてありません。これは「いつでもクビを切れるように」という配慮があるからでしょう。

○最近は出演の後になって、「請求書を出してください」と言われることが増えました。国税庁の指導なんでしょうか。これが困ったことに、消費税や源泉徴収や交通費の扱いが社によって違う。ああいうものの書式は、どこかで統一してくれませんかねえ。

○ちなみに講演会の場合はケースバイケースです。お役所がらみの場合は、一気に書類が増えます。商工会議所さんも最近は増えましたですねえ。しかも変な「誓約書」もどきがついていることがあるので、正直、愉快ではありません。外資系金融さんはさすがに契約書が必須だったりします。これも摩訶不思議な英文が延々と続くので、できれば勘弁してほしいです。

○雑誌とか番組とか講演会いうのは、基本的に「生もの」です。ベテランさんに不都合ができて、「じゃあ、お前、やってみるか?」の一言で新人に出番が回ってきたりします。お笑いの世界はそれがもっと極端なんだろうなあ、と思います。まあ、いずれにせよ普通のビジネスの感覚とはちょっと違います。個人で働く、というのはそういうことが多いです。


<7月28日>(日)

○この2日間、当柏市周辺では明け方まではすごい雨が降って、昼間はなんとか天気がもった。お蔭さまで、この両日、柏祭りはちゃんと開かれました。毎年、7月最終週に行われるイベントなんですが、来年は東京五輪と重なりますので、いよいよできなくなるかもしれません。どうするのかなあ。

○上海馬券王先生が出張で東京にやってきて、ご一緒に日曜競馬を奮闘いたしました。と言っても、新潟競馬のアイビスサマーダッシュはやくざなレースでありまして、滅多に当たるものではないのです。今年もやっぱり「あ〜あ」でしたな。その代わり、小倉競馬場の佐世保ステークスでは、エイシンデネブが2着に来てくれて両者ニッコリでしたが。

○夜は定番コースで焼き肉「くらちゃん」へ。このパターン、今までに何度繰り返したことか。湿気が多い中で過ごした一日の終わりには、冷えた生ビールとハラミやタン塩が望ましい。いつもと同じ、というこの安心感がなによりも望ましい。

○ということで、明日からは梅雨明けと夏本番到来を希望するものです。と言いつつ、湿気は高いのかな。ちなみに明日朝は早起きしてモーサテ出動です。


<7月29日>(月)

今朝のモーサテ、何と言ってもいちばんの見ものは「トップの勝負めし、大塚家具、大塚久美子社長」であったと思います。いやあ、よく出てくれましたねえ。「トップの勝負めし」という企画、ひとつ間違えると「会社が大変なときに、社長は何を能天気なことをしているんだ!」という批判を浴びかねない企画です。その点が「リーダーの栞」との違いですな。たぶん同社の広報担当者も悩んだことでしょう。

○もっとも会社が危ないときに、無難な策に逃げる経営者というのはそのこと自体が問題なわけでして、久美子社長は結構なリスクテイカーなのかもしれません。それはそれで、大塚家具にとっては結構なことなのではないかと。名門の同族企業というのは、つくづく難しいものでありまする。

○今日は番組のCM放送中、思わずこんな言葉が漏れてしまいました。「ホンダにトヨタにアマゾン、立派なCMがつくようになりましたねえ」。いやね、昔のモーサテは怪しげなスポンサーがとっても多かったのです。永谷園のお茶漬けはマシな方だったんです。アナウンサーやゲストの数も増えました。今朝の角谷暁子さんなんて、週末には隅田川花火に出てましたから。それが月曜朝になるとモーサテに出ている。さすがはテレ東さんです。

○朝が早い日は、昼から急速に眠くなる。午後に日本国際問題研究所の公開セミナーに出かけて、こりゃあ今日は寝てしまうかもしれんな、と思っていたら、「トランプ政権をめぐる連続性と不連続性」という企画はあまりに面白くて寝るどころではなかった。特に会田弘継さんの「アメリカ保守主義はナショナリズムを起点に再定義を図っている」という指摘は面白かった。いや、それってもちろん無理筋だと思うけど。

○いくらトランプさんが没理念的な人であっても、やっぱりアメリカは理念の国なんだなあ。そういう議論を尽くして止まない国なんだなあ、というのがとりあえずの感想であります。


<7月30日>(火)

○今朝の産経新聞に「ホルムズ海峡座談会」が掲載されました。あいにくネットでは有料サイトになってしまいますが、いちおうリンクを貼っておきましょう。


ホルムズ海峡座談会・詳報 戦後の発想改め中東に部隊送れ 日米安保条約は「着替え」の時

(坂元一哉・大阪大学教授、湯浅博・客員論説委員、吉崎達彦)


○ホルムズ海峡の話は簡単じゃありません。単純に「船を出せばいいんでしょ?」というわけではない。「有志連合」という言葉の意味を確認しなきゃいけないし、イランとの関係もあるし、欧州諸国も腰が引けている、といった現実もある。それにしても英国はどうするつもりなんでしょう。イランの船を拿捕したところまではよかったが、自国の船をイランに拿捕されてしまい、かな〜りカッコ悪い事態になっております。

○そういえばmこのところ産経新聞づいている。先週は木曜日に「正論」が載ったし(問われる政治的「安定」の意味)、正論の元担当者のUさんとランチして、今宵は「李登輝秘録シリーズ」の執筆者であるKさんと飲み。上海支局にいらした時代には、訪ねていくたびに何度もお世話になった恩人である。

○「まだ書いていない話もあるんでしょ?」と水を向けると、どうやら李登輝さんと南アのマンデラ大統領との水面下の交流というネタが残っているらしい。考えてみれば、アパルトヘイトを打破したネルソン・マンデラ(白人と黒人)と、台湾に民主制をもたらした李登輝さん(外省人と本省人)には、何らかの「同志」的な関係があっても不思議はない。本当は李登輝さんもノーベル平和賞をもらってしかるべき人だと思うのですが。

○かつては「台湾とイスラエルと南アの同盟」なんてものが語られた時代もありました。これは現代史における「白昼の死角」みたいなテーマなんじゃないだろうか。まだまだ表に出てきていない事実は隠れておりますなあ。


<7月21日>(日)

○いかにも空が泣き出しそうだったので、一家そろって午前中に投票所に行ってきました。似たようなことを考える人が多いと見えて、近所の小学校の投票所は10時台にしては200番台となっておりました。結構なことであります。案の定、帰りがけになるとポツポツと降り出したみたいです。

○投票所に居る人たちは、このじめじめした天候の中を、エアコンの利かない体育館の中で、朝から晩までご苦労様であります。しかも彼らは知り合いが来ても、必要なこと以外は話しかけてはいけないのである。なんという難行苦行でありましょうや。

○こんな多くの人の苦労の上に選挙という作業は成り立っております。いくら盛り上がっていないからと言って、無視したら罰が当たります。目指せ、投票率5割以上。


<7月22日>(月)

○選挙が終わって一夜明け、いろんな人がいろんなことを言っているのだが、2019年参議院選挙を一言で言い表せば、「安倍・自民党による国政選挙6連勝」以外の何ものでもあるまい。2012年衆議院選挙で政権をとってから、2013年参院選でボロ勝ちし、2014年衆院選で皆をあっと言わせ、2016年参院選も無難にまとめ、2017年衆院選ではまたまた意表を突き、2019年参院選は面白くもない安全勝ちといったところだろう。「3分の2がどーのこーの」とか言っている人たちは、あんまり本質をわかってないと思う。

○ジャンケンでも将棋でもプロ野球でも、6連勝はなかなかできるものではない。まして議員さんたちの生命が懸った選挙で、6連勝は途方もない値打ちがある。この間に自民党は勝ち癖がつき、逆に野党は負け癖がついてしまい、とうとう分裂してしまった。今回の選挙で立憲民主党と国民民主党の両方の党首が、「ウチはできたばかりの若い政党ですから」と言っているのを聞いて、ああ、とうとうこいつらは自分たちが政権与党だったことを否定してし始めた、やっぱり彼らにとっても悪夢だったのか、と妙に納得してしまった。

○となれば自民党内では、6連勝した人に対して考えることはひとつしかない。「もう1回勝ってください」であろう。今の自民党で、衆議院で3回生以下の人たち(2009年選挙で勝ち上がった小泉進次郎や斎藤健が4回生である)は、安倍総裁以外の下で選挙を戦ったことがない。実に自民党議員の45%を占めている。彼らの願いは、「あと1回だけ衆院選で勝って、それから辞めてください」であろう。

○他方、6連勝もしてしまった人の立場になってみると、こんなもの、べつに必勝策があるわけじゃない。たまたま今までは運よく勝ってこれたけど、7戦目はこれまた全く別の話で、今度こそ負けるかもしれない。6勝0敗のままで余裕を持って首相の座を降りて伝説を残すのと、6勝1敗で終わって「あーあ、あの人はもう過去の人」と思われてその座を去るのでは、天と地ほどに人生が変わってくる。少しくらい、勿体ぶってもいいところであろう。

○「アベは四選目を狙っている」などというのも、権力の怖さを分かってない人の戯言だ。3選でもう十分に長い。何しろ佐藤栄作どころか桂太郎まで抜いてしまうのだ。ここまで来てしまうと、「どうやって虎の背中から降りるのか」(虎に食われないように)を考えなければならない。総理を引退したら、少しはゆっくりさせてもらって、メディアの監視からも逃れて、あとは清和会の長として収まって、「おい、今度はお前が総理やってみるか?」などと好き放題をやりたいじゃないですか。安倍さんは鬼でもなければ悪魔でもない。ごくフツーの政治家なので、そういう人生設計はちゃんとあると思いますぞ。

○さて、本日は秋田銀行さんのセミナーで秋田市に行っておりました。秋田は激戦区で、昨日は野党統一候補が僅差で勝ちました。安倍さんや菅さんが何度も応援に入ったので、地元経済界としては「これはきっと勝ち目があるんだろう」と思っていたら、意外とそうではなかった。やっぱり東北は難しいですよ。イージスアショアの問題もありましたしねえ。いや、一昨年までの北朝鮮のミサイルがビュンビュン飛んでいた頃ならともかく、米朝首脳会談を3回も見せられた後になると、「なんでそんなものが要るんだ!」となるのは自然な勢いというものです。

○「令和おじさん」こと菅官房長官は秋田出身。選挙区は横浜ですが、菅さんの「秋田・愛」は非常に深いものがあり、頻繁に「お国入り」されるそうです。ご出身は秋田県湯沢市だそうですが、今回、その湯沢市で両候補の票が拮抗していたことが意外感を持って受け止められていました。4月の統一地方選挙では、「令和おじさん」の応援効果は抜群で、北海道知事選などでは信じられないほど票の上積みがあったそうですが。今回の参院選では、さすがに神通力も衰えてきたのか、それとも地元の人にとっては「ああ、菅さんがまた来てくれたか」と有難味が乏しかったのか。

○それはさておき、講演会後の懇親会で、べらぼうに旨い日本酒を頂戴しました。


高清水 和兆

新政 佐藤卯兵衛


○帰りの飛行機の時間がなければ、とことん腰を据えて飲みたいところでした。秋田の日本酒はレベル高いです。というか、日本海側育ちの人間にとっては、秋田や新潟や富山の酒がいちばん身体にあっていて、京都や灘や広島はあんまりいいと思わんのですよね。軟水と硬水の違いなんでしょうか。ともあれ、上の2種はお勧めです。もちろん、いいお値段するみたいですけど。


<7月23日>(火)

○ホントだったら、溜池通信の恒例、参議院選挙のデータ分析をしなきゃいけないのですが、ここに書き起こす暇がありません。そこで、今朝の「くにまるジャパン極」でお話しした内容にリンクを貼っておきます。開票結果について、オタクな話をしております。

○こうやって聞き返してみると、野村邦丸さんが実に適切なツッコミをしていることがわかります。実は毎週、ほとんど打ち合わせなしでやっております。まあ、10年以上やっておりますからねえ。


<7月25日>(木)

○昨日は半年ぶりにマネースクエア社でインタビューを受けました。いつも通り西田明弘さんとの掛け合いなんですが、これまた打ち合わせ10分程度で、なんとかなっちゃうんですよね。ということで、リンクを貼っておきましょう。今後の内外情勢を見通すうえで、何かのご参考になれば幸いです。


●プレミアムView 「前編:国内情勢」


●プレミアムView 「後編:海外情勢」


○そういえば来週はFOMCと日銀MPM(金融政策決定会合)が重なる週だったりする。為替は動きますかね。ちなみに西田さんとは、その後はご一緒に六本木のトルコ料理でランチしました。


<7月26日>(金)

○俳優のルドガー・ハウワー氏が75歳で死去したそうだ。と言ってもピンとこなかったら、『ブレードランナー』(1982年)のレプリカント・ロイが死んだということである。

○ということで、今週末に帰国されるという上海馬券王先生が大好きなセリフを以下の通りメモしておこう。


"Ive seen things you people wouldnt believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhauser Gate. All those moments will be lost in time, like tears in rain. Time to die."


(俺はお前たちが信じられないものを見てきた。オリオン座の肩で燃える宇宙戦艦。タンホイザーゲートの暗闇で光るCビーム。そんなすべての瞬間が失われていく。まるで雨の中の涙のように。お迎えの時が来た)=拙訳



○簡潔にして美しい詩である。降りしきる雨の中の映像も心に残る。そこにヴァンゲリスの音楽が重なる。これまでに何本のSF映画を見たかわからないが、その中でも白眉のシーンである。たとえ俳優が死んでも、見た人のイメージの中でその姿は生き続ける。モノを作る仕事は幸いなるかな。


<7月27日>(土)

○吉本興業ホールディングスの問題について少しだけ。ワシ的には全く関心の沸かない話なのだが、「お笑い芸人に契約書がなかった」ということに驚いている人がいるらしい。そんなの、あったり前でしょうが。

○「物書き」や「コメンテーター」、ときに「有識者」としてのワシの長年の経験からいって、原稿執筆とかテレビ出演にも契約書なんて存在しませんから。確か2007年頃に、日本経済新聞社が外部の執筆者に対して1回ごとに契約書を交わすようになったことがある。あのときは半年ぐらいでなしくずしになったと思う。こちらも「そんなメンドーなこと、止めましょうよ〜」と思っていたので、それは好都合であった。

○その後も新聞社、出版社などは、今日に至るも執筆依頼は全部口約束、メール約束です。でなきゃ、こっちもやってられません。年間に何本書くと思ってるんですか。「よしもとは芸人に契約書を交わすべきだ!」などとどこかの新聞が書いたら、「どの口が言っているんだ」と笑ってさしあげましょう。

○書籍を出すときは、さすがに契約書を交わします。それも本が出た後になって、契約書を持ってこられることが多い。印税が何%かなんて、そのときにならないとわからない。ワシ的には「そんなもの、いくらでも構わんですよ」と見栄を張っていることが多いので、金額が分かって拍子抜けすることもあるのだが、さすがにこれだけ長くやっていると、「今回は××円くらいかな」という予測がほとんど外れなくなった。

○テレビ、ラジオも同様です。NHKも含めて全部口約束で、レギュラー出演の場合も同様です。キャスターさんはさすがに違うでしょうが、コメンテーター稼業で契約書を交わしたことなんてありません。これは「いつでもクビを切れるように」という配慮があるからでしょう。

○最近は出演の後になって、「請求書を出してください」と言われることが増えました。国税庁の指導なんでしょうか。これが困ったことに、消費税や源泉徴収や交通費の扱いが社によって違う。ああいうものの書式は、どこかで統一してくれませんかねえ。

○ちなみに講演会の場合はケースバイケースです。お役所がらみの場合は、一気に書類が増えます。商工会議所さんも最近は増えましたですねえ。しかも変な「誓約書」もどきがついていることがあるので、正直、愉快ではありません。外資系金融さんはさすがに契約書が必須だったりします。これも摩訶不思議な英文が延々と続くので、できれば勘弁してほしいです。

○雑誌とか番組とか講演会いうのは、基本的に「生もの」です。ベテランさんに不都合ができて、「じゃあ、お前、やってみるか?」の一言で新人に出番が回ってきたりします。お笑いの世界はそれがもっと極端なんだろうなあ、と思います。まあ、いずれにせよ普通のビジネスの感覚とはちょっと違います。個人で働く、というのはそういうことが多いです。


<7月28日>(日)

○この2日間、当柏市周辺では明け方まではすごい雨が降って、昼間はなんとか天気がもった。お蔭さまで、この両日、柏祭りはちゃんと開かれました。毎年、7月最終週に行われるイベントなんですが、来年は東京五輪と重なりますので、いよいよできなくなるかもしれません。どうするのかなあ。

○上海馬券王先生が出張で東京にやってきて、ご一緒に日曜競馬を奮闘いたしました。と言っても、新潟競馬のアイビスサマーダッシュはやくざなレースでありまして、滅多に当たるものではないのです。今年もやっぱり「あ〜あ」でしたな。その代わり、小倉競馬場の佐世保ステークスでは、エイシンデネブが2着に来てくれて両者ニッコリでしたが。

○夜は定番コースで焼き肉「くらちゃん」へ。このパターン、今までに何度繰り返したことか。湿気が多い中で過ごした一日の終わりには、冷えた生ビールとハラミやタン塩が望ましい。いつもと同じ、というこの安心感がなによりも望ましい。

○ということで、明日からは梅雨明けと夏本番到来を希望するものです。と言いつつ、湿気は高いのかな。ちなみに明日朝は早起きしてモーサテ出動です。


<7月29日>(月)

今朝のモーサテ、何と言ってもいちばんの見ものは「トップの勝負めし、大塚家具、大塚久美子社長」であったと思います。いやあ、よく出てくれましたねえ。「トップの勝負めし」という企画、ひとつ間違えると「会社が大変なときに、社長は何を能天気なことをしているんだ!」という批判を浴びかねない企画です。その点が「リーダーの栞」との違いですな。たぶん同社の広報担当者も悩んだことでしょう。

○もっとも会社が危ないときに、無難な策に逃げる経営者というのはそのこと自体が問題なわけでして、久美子社長は結構なリスクテイカーなのかもしれません。それはそれで、大塚家具にとっては結構なことなのではないかと。名門の同族企業というのは、つくづく難しいものでありまする。

○今日は番組のCM放送中、思わずこんな言葉が漏れてしまいました。「ホンダにトヨタにアマゾン、立派なCMがつくようになりましたねえ」。いやね、昔のモーサテは怪しげなスポンサーがとっても多かったのです。永谷園のお茶漬けはマシな方だったんです。アナウンサーやゲストの数も増えました。今朝の角谷暁子さんなんて、週末には隅田川花火に出てましたから。それが月曜朝になるとモーサテに出ている。さすがはテレ東さんです。

○朝が早い日は、昼から急速に眠くなる。午後に日本国際問題研究所の公開セミナーに出かけて、こりゃあ今日は寝てしまうかもしれんな、と思っていたら、「トランプ政権をめぐる連続性と不連続性」という企画はあまりに面白くて寝るどころではなかった。特に会田弘継さんの「アメリカ保守主義はナショナリズムを起点に再定義を図っている」という指摘は面白かった。いや、それってもちろん無理筋だと思うけど。

○いくらトランプさんが没理念的な人であっても、やっぱりアメリカは理念の国なんだなあ。そういう議論を尽くして止まない国なんだなあ、というのがとりあえずの感想であります。


<7月30日>(火)

○今朝の産経新聞に「ホルムズ海峡座談会」が掲載されました。あいにくネットでは有料サイトになってしまいますが、いちおうリンクを貼っておきましょう。


ホルムズ海峡座談会・詳報 戦後の発想改め中東に部隊送れ 日米安保条約は「着替え」の時

(坂元一哉・大阪大学教授、湯浅博・客員論説委員、吉崎達彦)


○ホルムズ海峡の話は簡単じゃありません。単純に「船を出せばいいんでしょ?」というわけではない。「有志連合」という言葉の意味を確認しなきゃいけないし、イランとの関係もあるし、欧州諸国も腰が引けている、といった現実もある。それにしても英国はどうするつもりなんでしょう。イランの船を拿捕したところまではよかったが、自国の船をイランに拿捕されてしまい、かな〜りカッコ悪い事態になっております。

○そういえばmこのところ産経新聞づいている。先週は木曜日に「正論」が載ったし(問われる政治的「安定」の意味)、正論の元担当者のUさんとランチして、今宵は「李登輝秘録シリーズ」の執筆者であるKさんと飲み。上海支局にいらした時代には、訪ねていくたびに何度もお世話になった恩人である。

○「まだ書いていない話もあるんでしょ?」と水を向けると、どうやら李登輝さんと南アのマンデラ大統領との水面下の交流というネタが残っているらしい。考えてみれば、アパルトヘイトを打破したネルソン・マンデラ(白人と黒人)と、台湾に民主制をもたらした李登輝さん(外省人と本省人)には、何らかの「同志」的な関係があっても不思議はない。本当は李登輝さんもノーベル平和賞をもらってしかるべき人だと思うのですが。

○かつては「台湾とイスラエルと南アの同盟」なんてものが語られた時代もありました。これは現代史における「白昼の死角」みたいなテーマなんじゃないだろうか。まだまだ表に出てきていない事実は隠れておりますなあ。











編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki