<5月1日>(水)
○月変わりである。そこでこのページをチェックしてみました。
●月末時価総額(単位;百万円)
月末 | 東証一部 | 東証二部 | マザーズ | 合計 |
2012/10/31 | 257,801,732 | 2,957,386 | 1,043,032 | 261,802,151 |
2012/11/30 | 271,002,872 | 3,014,999 | 1,012,883 | 275,030,754 |
2012/12/28 | 296,442,945 | 3,227,363 | 1,126,858 | 300,797,167 |
2013/2/28 | 337,490,278 | 3,640,643 | 1,589,674 | 342,720,597 |
2013/3/29 | 359,766,497 | 3,862,508 | 1,823,208 | 365,452,214 |
2013/4/30 | 404,650,096 | 4,183,421 | 2,557,637 | 411,391,155 |
○ちょっとすご過ぎやしないか。いくらアベノミクス効果にしたって、この半年間で東証の時価総額が261兆円が411兆円に化けてしまった。
○これまでは人に聞かれるたびに、「東証時価総額が名目GDPを超えるようになったバブル」「今回はまだまだそれにはほど遠いから大丈夫」と言ってたんですが、昨年の名目GDPは約475兆円ですから、そろそろ危険水域に来ているような気がします。とくにこの1か月のマザーズの増え方はちょっと怖い感じである。
○"Sell in May and go away."なんて言葉もございます。今日から5月。ちょっと警戒モードで行きたいものです。
<5月2日>(木)
なお寒し コート着ていく クールビズ
○といった風情の5月の2日目でしたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。カレンダー通りであれば、明日からは4連休。今日はついつい原稿を3本も納入してしまったぜ。ふふっ。
○さて、明日は憲法記念日。96条改正がどうのこうの、憲法改正は参院選の争点になるかどうか、てな話が明日の新聞には載るのであろう。まあ、年に1度の恒例行事であるし、真面目に読む人は少ないと見た。少なくとも、ワシはほとんど関心がない。
○憲法改正を参院選の争点にしたいと思っているのは、右派よりもむしろ左派の側であろう。ワシはかねがね、「参院選が終われば、安倍さんは本性をむき出しにするだろう」というのは、左派の希望的観測ではないかと思っている。このままで行けば、与党は普通に参院選で勝てる。安倍さんとしては、その前に事を荒立てる必要はない。国民の最大の関心事は経済だ、と言い続ければよろしい。それを敢えて憲法に踏み込むのは、政治ではなくて趣味の範疇になってしまう。
○さらにいえば、参院選で勝ったその後で、安倍政権がさらに「左にウイングを伸ばす」戦略をとった場合、左派はお手上げになってしまうだろう。ただし、本気で憲法を理想の姿に近づけようと思ったら、そうする以外に方法はない。右派の皆さん、ごめんなさい。あなたたちはしばらく我慢していてね、と言うしかないのである。
○前回の安倍政権のときに国民投票法案ができた。そのために衆参両院が憲法改正を発議した後の道筋は一応できている。ただしそれにしたって、3つの宿題が残っている。@成人年齢などの18歳への引き下げ、A公務員の政治的行為の制限規定見直し、B予備的国民投票制度の是非、などである。これらに答えを出さないと、憲法手続きの実務には入れない。
○さらに国民投票法案は、いつもの選挙と同様に、「ご近所の小学校などを投票所とする」形式を想定している。1回の選挙でまとめて投票できるのは、せいぜい衆参ダブルと最高裁判事の3回程度であろう。すなわち、1回の投票で変えられる憲法の条項は、せいぜい3か所止まりなのである。
○右派の気分からすれば、今の憲法を全廃して新しい理想の憲法を制定してやる、どうだ文句あるかぁ、みたいな感じであろう。ただし、そういう事態は望み薄である。1個ずつ、地道に変えていくほかはない。個人的には、最初に手掛けるのが96条というのは少々抵抗あり。やっぱり最初は9条からでしょう。「自衛隊をいつまでも日陰者にしていてはいけない」という大義名分でこれは通ると思う。こういう問題は要領よくやろうとすると失敗する。やはり愚直にやらなければなりません。
<5月3日>(金)
○再び連休モードに戻って本のご紹介シリーズ。今日は『政治主導vs.官僚支配』(信田智人/朝日選書)。
○民主党政権はなぜ失敗したのか、ということで、最近は「ご意見賜りたく」なんて企画ができていたりする。強烈なご意見がたくさん寄せられて、それに対して自虐的な回答があって、最後は党首が涙目になる、という展開が期待、いや予想されてしまいます。まあ、注目を集めることが目的であれば別ですが、民主党が真面目に政権時代の3年間の反省をしたいのであれば、なるべく専門家のご意見を聞いた方がいいんじゃないかと思います。その意味では、本書はたいへんにお勧めでありますぞ。
○民主党は2009年総選挙で圧勝し、「政治主導」を目指して「官僚支配」を終わらせるためにさまざまな制度変更を行った。結果として「官」は弱まったが、それだけ「政」が強くなったわけではなく、むしろ日本政治は迷走した。制度を変えればそれだけでいい政治ができるというのはありがちな錯覚で、制度を上手に使う知恵みたいなものが政治家には求められる。そのためには世論の後押しも必要だ。と、まとめてしまうと当たり前のことになるのだが、「とにかく官僚支配を終わらせなければ」と勘違いしている人はまだまだ少なくないのではないか。「制度を上手に使うことでリーダーシップが生まれる」と言い換えてもいい。思えば平成の25年史は、そういうことの繰り返しであった。
○本書はいきなり福島原発事故のシーンから始まる(著者は民間事故調の委員であり、そこで得られた知見が本書には反映されている)。菅首相の「政治主導」による事故対応は、まことに危なっかしいものであった、というのは既に良く知られた事実であろう。いわゆる「東電全面撤退」をめぐる衝突があり、政府と東電の対策統合本部ができ、そこからようやくコミュニケーションが改善して、物事がまともに動き出す様子が描かれている。このケースがひとつの典型であって、政治家がいくらリーダーシップを発揮しようとしても、現場との意思疎通が悪かったら何にもならないのだ。
○鳩山政権が躓いた普天間基地にも、似たような構図がある。鳩山政権は極端に官僚を排除して、閣僚が代替案を用意しようとしたが、結局現行案を上回るものは得られなかった。事務次官会議を廃止したことで、官邸の力が低下して、なかなか問題に介入することができなかった。また政策決定一元化のために民主党が政調会を廃止したために、民主党議員の協力も得られなかった。さらに小沢幹事長は、名護市長選挙では基地反対派の議員を応援している。よってたかって、首相を失敗させようとしていたようなものだし、制度変更が裏目に出ている点が興味深い。
○2010年秋の尖閣問題を巡る対応も、褒められたものではなかった。この点については、古川元官房副長官の証言が重く響く。外交や安全保障には長い歴史があり、微妙な話がたくさんある。「単にペーパーを読んだら・・・尖閣問題がわかるというような問題ではないのだ」。だから専門家がいるのに、彼らを使いこなす技量がなかった。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の不覚、みたいなものか。
○個人的にもっとも興味深く感じたのは、事務次官会議の廃止についての評価である。民主党は「事務次官会議こそが官僚支配の象徴」と見なしていたのだが、実際に廃止してみると、官邸に情報を集め、首相が政策を主導することが難しくなってしまった。また、事務の官房副長官の機能が低下したことで、官邸の力が弱体化した。実は事務次官会議は、首相にとって重要な機関だったのである。2009年に発足した鳩山政権が、いきなりそこから手を付けた時は、マスコミ大絶賛の嵐であった記憶があるのだが・・・・。
○3人目に登場した野田首相は、各省の事務次官を前に、「皆さんは試験を通じて入ってきた。私たちは選挙を通じて入ってきた」と訓示をし、入り口が違うだけで公に尽くすという心がけは変わらないと述べた。そこでやっと軌道修正し、「各府省連絡会議」という名前で事務次官会議を非公式に復活させる。こうやって少しずつ民主党は与党であることに慣れていくのであるが、ときすでに遅かったという感もあるし、そういう民主党は嫌だ離れていく支持者もいたりして、かくして今日に至るというわけだ。
○読み終えて、政治運営における制度とは何か、ということをしみじみ考えさせられる。平成になってから、細川=政治改革(選挙制度)、橋本=行政改革(省庁再編)、小泉=構造改革(規制緩和・民営化)が行われた。そして制度を変えると、なんとなく達成感があったりするわけだが、それで政治が良くなったかというとよく分からなかったりする。思うに制度というものは、法令など紙に書かれたものはごく一部であって、「皆が何となくそう思っているもの」を広く含めて捉えるべきなのであろう。永田町と霞が関の関係はもちろん、政権とマスコミの関係なんかも、もろにそうですからね。
○そういう意味では、昨今の「成長戦略」の議論なんかも、制度論に傾きすぎないように注意すべきなんでしょう。ついつい政治は目に見える成果を求めるものですが、運用で良くなる部分はいくらでもあるのですから。
<5月4日>(土)
○『微博(ウェイボー)の衝撃』(阪急コミュニケーションズ)は以前からオフィスの机の上で眠っていた。なぜか著者の李小牧氏のサインが入っている。会ったことないんだけどね。ニューズウィーク日本版での連載は以前から知っている。いい書き手だと思っている。先日、ついに手に取ってみたら面白かった。ということで、GWで4冊目のご紹介。
○問題は「微博」である。中国版ツイッターなんだそうだ。そんなこと言われても、中国語が全くできなくて、日本語でさえツイッターをやらない当方としては、覗いてみる気さえ起きない。そうでなくても、低成長下の日本は万事の変化が遅い。そして高度成長下の中国は何事につけ変化が速い。日本から中国を見ていると、「ああ、とてもついていけんわ」という気になってしまう。そこで「もうちょっと変化してから、ゆっくり見ることにしよう」と後回しにしたくなる。これもそれに類する話である。
○ということで、以下は微博なるものの実物を見ないで書くのだが、微博とは「140字以内で文字情報を発信する短文投稿サイト」という点ではツイッターと同様なんだそうだ。ただし音楽や動画もアップロードできるし、そもそも漢字140だと伝えられる情報量は他の言語よりはるかに多い。たとえば、陳勝の「王侯将相寧有種也」というメッセージは天下動乱を巻き起こすわけだが、これって漢字8文字である。漢字というアナログ言語には、そういう怖さがある。日本人にはその感覚が少しだけわかる。
○今までは中国共産党による官製メディアしか許されなかった中国人が、微博によって初めて言論統制をかいくぐることができるようになり、さらには声なき民が「声」を発することができるようになった。となれば、単なるソーシャルメディアにはとどまらない。世論を形成するし、政治を動かすし、スターも誕生するし、マーケティングにも使える。こういう運動は常に初期がいちばんビビッドで面白い。そして後から振り返ってみれば、初期こそが運動の頂点であった、てなことが多いものだ。
○重要なのは、本書に書かれているようなことが、ここ2〜3年の間に起きているということだ。この先にどんな変化があるのか、ちょっと見当がつかない。
○技術革新が社会を変える、ということを、われわれはときどき体験したり目撃したりすることがある。一方で、歴史や伝統はしょせん技術ごときでは変わらない、変えられない、という実感もある。日本の場合も、ITの導入で企業の仕事の仕方なんかは変わったけれども、日本の組織が昔から劇的に変わったわけではないからね。中国もまた同様に、微博で大いに変わるだろうし、変わらないところもあるのだろう。中国のほかのことと同様に、生ぬるく見守っていきたいところである。
<5月6日>(月)
○連休の最後に木村幹著『韓国現代史』(中公新書)。知ってるようで知らない韓国の現代史についてまとめているのだが、「大統領になった人たちの個人史の集大成」という形をとっている。李承晩、朴正煕、金泳三、金大中などが、どんな波乱万丈の人生を送ってきたか。それらが交錯するのだから、面白くないはずがない。ただし60年にわたる歴史を新書一冊にまとめているので、1回読んだくらいではとても理解が及ばない。とりあえず、かの国の戦後史をざっくりと見通せることはありがたい。個人的にはいくつもの発見があった。やはり過去を知らないと現在は見えてこない。
○まず印象付けられるのは、日韓国交正常化に対する韓国側の不満が強かったこと。朴正煕大統領は、前の政権が吹っかけていたより一桁安い「無償3億ドル、有償2億ドル、民間協力基金1億ドル以上」という金額で合意する。朴政権はこの資金を使って経済建設に当たり、それは漢江の奇跡と呼ばれる発展につながっていくわけだが、だからあれは正しかったという評価をするのは我々日本側であって、韓国側からすれば不満が残る交渉であった。
○もうひとつ、1965年の日韓基本条約の締結とともに、悪名高き「李承晩ライン」は廃止されるのだが、これまた韓国側の強い不満の種であった。当時の韓国の漁業設備や技術では、日本の漁船と張り合うことが全くできず、そのために当時の領海3カイリはおろか、いや現在の経済水域200カイリも飛び越えた先に、彼らの言う「平和線」を引いたのである。富裕な網元の息子に生まれた金泳三が、このことで当時の政権を攻撃している、なんてエピソードが残っている。日本から見れば盗人猛々しい話だが、それもまた当時の現実だったのだ。
○この辺のことを知っておくと、今の朴槿惠大統領がいかに父の残影に苦労しているか、親日派と見られたら政治生命を失う、なんてことも想像しやすくなるだろう。なにせかの国は、「法律の上に憲法がある、憲法の上に国民感情がある」というとんでもない政治体制にある(これ、私が言っているだけなので、あまり真に受けないように)。だから安倍さんが親愛の情を示そうとして、「朴槿惠さんとはお爺さんの代から親交があり・・・」などと口にすることは、おそらくはマイナス評価となっている恐れがある。
○日本から見ると、歴代大統領の中でもちゃんとした仕事をしたのは朴正煕くらいだろう、という印象になりがちなのだが、彼が19年間も政権の座にとどまり、この間にあらゆる手を尽くして権力の延命を図ったことが、どれだけ悪い印象を残したかは想像に難くない。韓国政治は1990年代に、不思議なくらいスムーズに軍事政権から民主化へと移行するのだが、それは軍事政権時代が「消したい過去」だったからかもしれない。この辺の評価のズレが、日韓関係をさらに難しくしているのであろう。
○驚いたということで言えば、金泳三と金大中の人生の波乱万丈さ加減には、まったく脱帽するほかはない。そもそもここに登場する人物群像は、落選するとか投獄されるとか大病する、なんてのはほんの序の口で、互いに手を組んだり袂を分かったり、命を狙われたり、とにかく忙しすぎる。そんな中で、「当時の韓国の政治家の多くは、深刻な身体上の問題を抱えたとき、韓国内ではなく、日本国内の病院で治療を受けることが多かった」という記述にまたまた「へえ〜」と驚いてしまう。金大中の拉致事件など、韓国政治にとって日本はあまりにも近い存在であり、そして日本側は韓国のことをあまりにも知らないのであった。
○21世紀になってからの韓国政治は、それまでの実力者たちが退場し、盧武鉉とか李明博といった政治キャリアの浅い大統領が誕生するようになって、「就任してすぐにレイムダック化する」現象が続いている。これを政治家の力量に問題ありと見ることもできるだろうが、著者の木村幹教授は構造的なものだとしている。すでに豊かで民主的な国となった韓国で、反米的ナショナリズムや急進的改革を求める声に応じることは困難である。政治に対して国民が「ないものねだり」をしているようなものといえるだろうか。
○本書の語り口は、ちょっと愛想がないと感じるくらいに中立的で抑制的である。韓国を語るときはついつい興奮してしまいがちなものだが、この点は非常に安心感がある。他の本も読んでみたいと思いました。
<5月7日>(火)
○今日は短く。
○いやあ、2晩連続で阪神タイガースが強いわ。昨日は能見が完投でホームランまで打っちゃうし、今日はスタンリッジが完封で、新井は3試合連続のホームランである。開幕以来、強過ぎる巨人ではあるが、これを倒してこその阪神タイガース。この調子で明日も頼むぞ。
○……といっても、明日は榎田が登板か。しかも首位まで3.5ゲーム差だし。うーむ、こんな風に気にしてしまうと、また負けてしまいそうだ。これぞ阪神ファンの呪いというべきか。
○あー、それでも久々に競馬以外の喜怒哀楽をエンジョイしているような気がする。そういえば久しく野球場に行っていないし、六甲おろしも歌っていない。明日は久々にデイリースポーツでも買ってみるか。
<5月8日>(水)
○連休に富山で法事をやっていたら、ウチの親戚一同が「甘利越え」を知ってたのはともかくとして、お願いした住職さんまでもが、「こないだ昼間のテレビを見ていたら、替え歌の話をやっていましてなあ」と言われたのには焦ってしまった。ここはむしろ、順調に拡散していることを嘉すべきなのでありましょうか。
○思えば当欄に「甘利越え」を記載したのは、今からちょうど1か月前の4月9日でありました。ところが日経平均は、今週でとうとう1万4000円台である。1万3000円が「甘利越え」ラインだとしたら、これはいったいなんと呼べばいいのだろう。そろそろ新しい呼び名が必要なんじゃないだろうか。
○などと思っていたら、今日も日本貿易会の寄合でこんな会話になってしまった。
「天城越えの替え歌って、吉崎さんが作ったんですか?」
「ええっ、誰がそんなこと言ってました?」
「先日、セミナーの講師をお願いした大和証券の熊谷チーフエコノミストが教えてくれましたよ」
○んもー、みつまるさんまでもが拡散に加担していたとは。不覚であった。ぐふっ。
○などと言ってるうちに、またまた新しい馬鹿話を思いついてしまった。題して「日本銀行四大悲劇」。
●第1話、ハムレット:金融政策はこのままでいいのか、いけないのか。それが問題だ・・・・と思い悩む白川青年。ついにバレンタインデーに恋を打ち明けるも、はかなくも市場に振られてしまう。
●第2話、マクベス:野心に燃える黒田青年は、魔女のささやきに唆されて、既成秩序への大胆な造反劇を企む。そして円安・株高の快進撃が始まる。
●第3話、オセロー:ついにレジームチェンジが起きて、日本銀行は「白から黒へ」と転換点を迎える。一説によれば、「黒」は占い師に洗脳されていたという話も・・・・。
●第4話、リア王:深く愛した部下たちに裏切られた白河法王は、孤独のままに荒野をさまようのであった。じゃじゃーん。
○こんな風に茶化しながらも、ときどき「私が応援していた日本銀行はどこへ行ってしまったのよ」と、恨み言をいいたくなる瞬間があるのでありますよ。日銀があんまり見事に豹変してしまうと、元・日銀応援団の立場はなくなってしまうじゃありませんか。「白」の復権という筋書きは、果たしてあるのでしょうか。
<5月9日>(木)
○昨今は自分でも不思議なくらい、国内政治に対する関心がわかないのである。これは永田町全般を覆っている雰囲気も手伝っていて、例えば5月の大型連休は政治家は外遊ラッシュ(ただし中国と韓国を除く)であった。インドネシアなんぞは、閣僚が4人も行ったんで、大使館がてんてこ舞いだったという話を聞いた。要するに、国内に心配事がないということである。
○普通、連休には裏で政局が動くものではなかったか。2009年は小沢代表を引きずり下ろす動きがあり、2010年には鳩山首相を引きずり下ろす動きがあり、2011年には震災後のごたごたがあり、2012年には消費税を巡る暗闘があった。その点、2013年の政局はサッパリである。川口環境委員長の解任騒動も、あまりのレベルの低さにあきれ返るほどである。あんなことをしていると、ますます参議院の値打ちが下がると思うのだが。
○さらに言えば、選挙に対する関心もサッパリなのである。来月は東京都議会選挙があって、7月には参院選があるというのに。確か昨年末の衆院選直後には、「2013年夏の参院選こそが天下分け目」と言っていた。むしろ「大阪冬の陣」の後の「夏の陣」じゃないけれども、勝敗の機微みたいなものは既に失われているのかもしれない。去るベテラン政治記者曰く、「参議院は議員数が衆議院の半分で、しかも半分ずつに分けて選挙する。取材の苦労も4分の1で済むんですよねえ」。なるほど、衆院選直後の参院選は盛り上がらないというわけか。
○他方、アベノミクス関連の話題はなおも活況を呈している。今だったら第三の矢である成長戦略が「旬」であって、これの中身がプアーであったら、外国人投資家に絶好の「利益確定のための売り場」を提供してしまうことになる。すなわち、日本株売りラッシュのきっかけを提供するかもしれない。つくづく「三本の矢」作戦は賢くて、財政政策(補正予算関連)→金融政策(黒田日銀のサプライズ)→成長戦略(産業競争力会議の行方)と、切れ目なく経済関連の話題を提供することに成功している。
○しばらくは経高政低ということでしょうか。
<5月11日>(土)
○昨日は自動車会社の決算が出ました。案の定、ですけどトヨタの決算がすごい。営業利益は1兆円越えで1兆3200億円。純利益の9621億円は前期比3倍なのだそうだ。なおかつ、想定為替レートは1ドル90円と保守的に見積もっているので、このまま為替が100円で推移すると、来期はさらに10円分(4000億円相当)の上積みがあることになる。
○その一方で、日産は減益になっている。この対比が面白い。トヨタは、リーマンショック後も「国内300万台生産」を維持して、国内販売の損失を我慢してきた。日産は対照的に、東南アジアなどで海外生産を増やしてきた。結果として円安になってみたら、トヨタは急激に利益が出るようになり、日産にはあまりメリットがない、ということになった。今季のトヨタは、国内販売も久々に黒字になったのだそうだ。ということで、株価がついに6000円台に乗せた。
○これはどっちが良い、どっちが正しい、という問題ではない。あのまま円高が続いていれば、日産が正しくてトヨタが間違っていた、ということになっただろう。とはいえ、外部環境が変わると、それまでの強みが弱みに転じたり、短所が長所に変わるということが得てして起きる。この辺が企業経営の難しく、また面白いところである。とにかく結果を出すことが大事なのであって、理屈は後からついてくる。
○同様に、ついに首位巨人に1.5ゲーム差に迫った阪神タイガースは、いったいどこが良くなったか。衆目の一致するところ、先発陣の踏ん張りにある。メッセンジャーとスタンリッジに安定感があり、先発に転じた榎田がそこそこやっていて、高卒ルーキー藤浪がローテーションの一角に入り、しかも能見が帰ってきてホームランまで打った。これで岩田が帰ってくるといよいよすごいのだが、それが本題ではない。
○なぜ先発が良くなったかというと、抑えのAFKが頼りないからである。安藤と福原と久保に後を任せたら、自分の勝利投手の権利が消えてしまうかもしれない。だから昨日なんか、メッセンジャーが142球で完投してしまった(ついでに3点タイムリーも打った)。後ろにJFKが居た頃とは全く逆のパターンができあがりつつある。
○今までは中継ぎや抑えを充実させる、というのが勝利への方程式と考えられていた。先発は6回までゲームを作ればよし。後は藤川たちがいるんだから任せよう、というのが昔の阪神。今は先発ができれば完投して、控えの連中を休ませてやろう、のパターンができつつある。これまた、どっちが正しいというものではない。野球なんだから、要は勝ちゃあいいのである。
○などと理屈をこねてみましたが、正直なところ、あたしゃタイガースが強ければそれでいいんです。失礼いたしました。
<5月12日>(日)
○これから2週間の間に、長野県諏訪市、富山県高岡市、新潟県柏崎市、京都府宮津市を訪ねることになっている。全部県庁所在地ではない、というところがわれながらすばらしい。講演旅行ばっかりなので、時間的にはタイトなんですが、いろいろ見聞させてもらおうと思います。
○ちなみに今年になってから訪れたのは以下の都市です。三重県津市(1月)、青森県八戸市、大阪府大阪市(2月)、和歌山県和歌山市、静岡県静岡市、愛知県名古屋市(3月)、大阪府大阪市、山口県周南市、岩国市、青森県青森市(4月)。どこへ行っても「アベノミクスと日本経済」みたいな話になるのですが、地方都市はそれほど景気が良くなっているわけではなく、その辺のギャップをリサーチしてくることが重要な仕事になります。
○とりあえず明日は諏訪市なんですが、10年前にも行ったことがある。その際の顛末は2003年10月16日の当欄に書いてある。塩羊羹をめぐる小さな冒険をしたんですよねえ。こんな風に自分の書いたものが残っていると、10年前のことでもちゃんと思い出すことができる。ありがたい。
○その一方で、こんな記録が残っているのは、このHPが過去10年間、技術的にはまったく進化しておらず、内容だけ書き続けて今日に至っているからであろう。このネット空間では、稀有の存在なんじゃないだろうか。その代わり、いまだにレスも付けられないし、SNSにも対応してないんですけどね。
<5月13日>(月)
○昨日あんなことを書いたら、主催者の信濃毎日新聞さんが塩羊羹を用意して待っておられました。いやー、催促しちゃったみたいで、申し訳ございません。
○でも、今日の会合は上諏訪で、塩羊羹は下諏訪に行かないと売っていないので、これは勿怪の幸いというもの。講演会が済んでから、上諏訪駅で足湯につかりながら、思わず当地ご出身の伊藤洋一さんに電話しちゃいました。
「伊藤さーん、今上諏訪に居て、塩羊羹もらっちゃったんですけど、お裾分けしましょうか?」
「うーん、残念、俺いま新幹線の中で移動中なんだよ」
○そうか、伊藤さんは火曜日に大阪でレギュラー番組を持っていたんだっけ。残念でございました。
○ということで、塩羊羹は今宵の会食のデザートと化したのでありました。もちろん好評でございましたとも。ご馳走様でした。
<5月14日>(火)
○産経新聞「正論」に寄稿。我ながら最近はこんなことばっかり書いております。
●20分で語れる骨太の成長戦略を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130515/plc13051503350003-n1.htm
○第8回目の産業競争力会議が開かれて、そろそろ「まとめ」に入りつつあるようなんですが、果たしてどんなものが出てくるのでしょうか。
<5月15日>(水)
いーやっさー、あ、いーやっさー。いーやっさー、いーやっさー。
○ちょっと聞きなれないお囃子です。これは富山県高岡市で、本日行われている「伏木曳山祭り」通称けんか山の掛け声。通りに人が集まって、この声が飛び交います。たまたま今日、5月15日は曳山祭りの日で、その日にたまたま北日本新聞社の高岡支部情報研究会の講師に呼ばれたのであります。
(先日も青森県八戸市に行ったその日が「えんぶり祭り」だったんですが、今回も全くの偶然でした。例年5月15日がお祭りなんだそうです。まことにラッキーでありました)
○伏木は港町です。男たちの気性は荒いです。といいつつ、女性たちも山車を引きます。粋でいなせです。富山の祭りというと、「越中おわら風の盆」のように、優雅で静かで、適度に鄙びた感じがあるんじゃないかと思うのですが、曳山祭りには岸和田のだんじり祭りのような猛々しいところがあります。町内ごとに分かれて、山車を繰り出します。
○夜になると、提灯を山ほどつけて「かっちゃ」が始まります。その名の通り、山車と山車とが派手にぶつかり合うのです。なにしろ山車の重さは8トンから。ぶつかり合うと、ズシーンと腹にこたえるような音がします。ちなみに、以下はウィキペディアに載っていた解説から。
夜となり提灯山に灯がともり男達の興奮と熱気が最高潮に達しようとした頃、かっちゃが始まる。山鹿流陣太鼓の囃子が鳴る中、50mほど距離を置いた各町の8t程ある山車に繋がれた縄を走りながら引き、付長手の先端どおし、時には横に少しずらし付長手を支える木にぶつけあう。何度となくぶつかり合い、各町の責任者である「総代」同士が長手の上に立ち、お互いに納得し握手を交わすまで多い時は10回以上続けられる。その際に観客から『もっとやれ!』等とヤジが飛ぶのも風物詩の一つである。
ドォーンという大きな音と共に地響きが起き、提灯が大きく揺れ、大歓声が湧き立つ。時に後輪さえも浮くさまは、勇壮かつ港町の男達の心意気が溢れ祭りは最高潮に達する。けんかやまといわれることや、総代同士が長手の上で、まだまだやる、いや、やめておこうと話しているそぶりからも、『ケンカ』のイメージが強く、勝ち負けがあるように思われがちだが、現在は勝敗制度はない。
○いやはや、面白かったでありますぞ。こんな祭りを見ながら、地元のお酒をいただくのがまた結構であります。名前が「勝駒」ってのがいいですな。将棋ファン、および競馬ファンは括目すべし。なにしろ「駒が勝つ」んですぞ。とりあえず不肖かんべえは、これでもう今週末のオークスはとったつもりになってしまっております。やっぱりクロフネサプライズですかねえ。
<5月16日>(木)
○富山に来たついでに、富山県立近代美術館へ。企画展の「ロマンの系譜 怪奇幻想玉手箱」という看板に惹かれたもので。ついでに言うと、空港に行く途中にあるので、時間調整に好適でした。
○「シュルレアリスムの源流はゴヤにあり」というのは、ちょっとこじつけっぽい気がしたけど、着眼点としてはアリでしょう。ポール・デルボーの「夜汽車」がみられるのと、ドラクロアにムンクにピカソにダリも数点ずつ展示していて、コストパフォーマンスはよろしいかもしれません。さらにこの美術館は、20世紀絵画の流れが売り物なので、「なるほどね」という企画でもあります。
○この美術館は1981年にオープンしたのですが、当時大学生だったワタクシめが夏休みにアルバイトをしていた場所でもあります。久しぶりだったので、懐かしかったですぞ。当時に比べると、常設展示のスペースが増えていて、展示物も増えておりましたな。30年もたつと、いろんな形で進化するものです。地方都市の美術館としては、そこそこユニークな存在になっているんじゃないでしょうか。ちょっとひいき目かもしれませんが、一応念のため。
<5月17日>(金)
○今日のお昼は中国から陳先生が来訪。日中経済のいろんなことについて情報交換するも、抱腹絶倒だったのが上海におけるマンション理事会の奮戦記。面白すぎて、ここではちょっと書けません。ただしそこで行われている人間関係の葛藤は、基本的にウチの町内会のあーでもない、こーでもないという話と重なっているように思える。日中遠からず、を実感する瞬間。
○午後は中央公論新社にて座談会の収録。前回は「小幡績vs飯田泰之」のアベノミクス対談でしたが、今回はその続編。またもお友達ベースで鼎談をやっております。アベノミクスはもう始まっちゃったので、今更反対しても遅い。リフレ消極派のエコノミストとしては、実験の推移を見守るのみである。だったら成功した場合と失敗した場合、どんな心構えが必要か、という趣向で議論しました。来月発売号にこうご期待、と言っておこう。
○たまたまその直後にオバゼキ先生の新著、『ハイブリット・バブル』を落掌。これが面白い。国債市場って、そういうことになっていたのか、などと教わること多し。読んでいる最中に、知り合いの弁護士から突然電話。「僕はアベノミクス反対派なんだけど、だれか反対している人を知らないか」。思わず、そのままこの本をご紹介してしまいました。
○などと変な友人たちの有難味を感じた一日でしたが、いちばん驚いたのはこのニュースですな。
●知花くらら 上杉隆氏と大人愛 14歳年上「気にならない」
2006年のミス・ユニバース世界大会2位で、モデルでタレントの知花くらら(31)が、元ジャーナリストで「自由報道協会」代表の上杉隆氏(45)と交際していることが16日、分かった。交際期間は約1年半。周囲によると、共通の知人を介して知り合い、その後デートを重ねて交際に発展したという。仲の良い友人らには交際を報告している。14歳の年の差はあるものの、互いに「気にならない」と周囲に話している。
○脱力さんとは結構長い付き合いになりますが、「14歳年上が気にならない」ったって、オヤジ世代としては気になりますですよ! ここで「うらやましい」となるか、「許せん」となるか、はたまた「ホモだという噂は否定されたのね。ああ、安心した」となるかは微妙なところがありますけれども。とりあえずご本人は否定しているらしいですが、傍証はありますし、ツィッターは既に炎上しているとのことで、そんなの知ったことじゃないですわな。
○ということで、面白い友人に恵まれた幸福を噛みしめた一日でした。
<5月18日>(土)
○ああっ、ここで紹介しないと日曜日に間に合わない!・・・と今朝になって思い出した。
●外国人投資家は日本株を買い増すのか(東洋経済ONLINE)
http://toyokeizai.net/articles/-/14002
○外国人投資家が訪日ラッシュである、というお話です。
○「競馬好きエコノミストの市場深読み劇場」、なかなかに好評なようで、アクセス数も伸びているそうです。これって競馬にからめているので、普段だったら書けないような話をずずずーっと書けてしまうというのがミソなんですが、問題は日曜日のレースに合わせなきゃいけないので、木曜日締め切りの金曜日アップとなります。で、ワシの場合は得てして木曜日の夜遅くになってから原稿を送り、東洋経済のFさんを苦しめることになってしまうのです。ごめんなさい、ごめんなさい。次からもっと早く提出します(以下、10回繰り返す)。
○競馬の予想の方は、当初、著者3人とも外しまくっていたのですが、最近は少し当たるようになってきて、ぐっちーさんも先週は「ヴィルシーナ単勝一本勝負であります!!」と見事に当てている。しかるに明日のオークスも極めて難解なレース。正直、あんまり自信がありません。ここだけはむしろ、日曜朝の上海馬券王先生を信頼した方が良いかと存じます。
<5月19日>(日)
○今週のThe Economist誌はスーパーマンになっている安倍首相が表紙である。
"Is it a bird? Is it
a plane? No... IT'S JAPAN!"
Abenomics, nationalism and the challenge to China
○まあ、読まなくてもだいたい中身は見当がつきますわなあ。
○ところでこの雑誌には、巻末に経済データのページがある。そこで各国の株式インデックスの年初来水準(現地通貨建てとドル建て)が書いてある。今週号のデータを引き出してみたのが下記である。
local currency | $ terms | ||
Japan | Nikkei225 | 45.2 | 23.1 |
United States | DJIA | 16.6 | 16.6 |
Britain | FTSE100 | 13.5 | 6.5 |
Australia | All Ord. | 10.9 | 5.5 |
Euro Area | FTSE Euro 100 | 7.7 | 6.0 |
Canada | S&P TSX | 0.3 | -1.7 |
Korea | KOSPI | -1.3 | -4.5 |
China | SSEA | -2.0 | -0.6 |
India | BSE | 4.0 | 4.1 |
Russia | RTS | -6.6 | -8.9 |
Brazil | BVSP | -9.9 | -7.9 |
○こうしてみると、日本の株高は文字通り一頭地を抜いている。それから米英豪が続き、意外なことに欧州も上がっている。でもって、BRICsがあまりよろしくない。先進国が良くて新興国が悪い、という図式になっている。溜池通信で何度も書いている通り、今年は「BRICs台頭の10年が終わり、先進国経済が再評価される年」なのだと思う。
○そんな中でも、日本が先導役になっているように見える。まことに頼もしい。一方で、日本は中国、韓国との関係で苦労しているし、安倍さんは憲法改正もやりたいようだし、都知事さんや大阪市長さんの「不規則発言」も聞こえてくる。「アイツも、あれさえなければなあ」と思われているんじゃないだろうか。難しいところであります。
<5月20日>(月)
○柏崎法人会の総会の講師で新潟県柏崎市へ。子どもの頃から北陸本線を何度も通過しているが、この駅で降りるのは多分初めて。でも、北陸自動車道を通るときは、かならず柏崎市米山インターのSAで休憩をとることにしている。あそこから見る日本海は絶品なのだ。
○法人会長は地元の東証上場企業、ブルボンさんである。そういえば子どもの頃に、よくブルボンの洋菓子を食べたものである。もともと新潟は「柿の種」など米菓の本場なので、ブルボンも当地では戦前からの長い歴史を持つ大手製菓会社である。で、以下はブルボンの社長さんから聞いたお話。
○日本企業では、常に製品の革新を怠らない。お菓子メーカーも同様で、消費者の好みや健康志向などに合わせて、毎年のように仕様を変えていく。そうすると長い時間の間に味はどんどん変わっていき、例えば羊羹などでも使う砂糖量は昔に比べて激減しているのだそうだ。かくして日本人は、いつしか「甘くないお菓子」に慣れるようになった。
○最近のわれわれがアメリカ製のケーキなどを食べると、「甘過ぎる。信じられない。アメリカ人て味音痴だよね」などと感じるのは、われわれの舌が変わってしまったのであって、昔はそれが普通だったのである。何しろアメリカ企業は、それが「売れるもの」であるなら、まったく変えずに同じものを出し続けるモノグサな連中なんで。
○ということで、COSTCOあたりで売っているアメリカのお菓子は、文字通り「どどーん」という感じで見ているだけで胸焼けがしそうである。対照的に、日本製品は気の利いたパッケージに小分けにされて入っている。おそらくアジア市場では、日本製品に競争力があるんじゃないかと思うが、このあたり、いかにも日米の企業行動の違いの典型例という気がする。
○ちなみに柏崎市の最近の名物は「鯛茶漬け」である。ご当地どんぶり選手権の堂々グランプリであります。ちゃんといただいてまいりましたぞ。うふふふ。
<5月22日>(水)
○すでにいろんなところで話題になっていることと思うが、日経「私の履歴書」の岡本綾子氏がすごい。近来まれに見る面白さじゃないかと思う。
○どんなに立派な人でも、自然体で自分の人生を語るというのは難しいものである。もちろん日経の連載担当者は練達の書き手であるから、そこはもちろんあらゆるテクニックを使って「履歴書」を面白くしようとしているわけだが、やはり会社の社長さんなどは各方面への遠慮があったりするし、他人のチェックが入ったりもして、どんどん話がつまらなくなってしまう。まあ、私なんざ会社人生の始まりが社内誌の編集者だったので、「あ〜面白くしたい、でも面白くしたら怒られる〜」みたいな書き手の葛藤は、少しはわかるのである。
○ところが今回の連載に関しては、取材対象のまことにあっけらかんとしたインタビューを、記者がマンツーマンでそのまま記事にしているように見える。岡本綾子は、もともとソフトボール選手であった。それが「気に食わない後輩が二人いた」みたいな理由で辞めてしまい、それがきっかけでゴルフを始めたのだという。辞めていなければ、後のプロゴルファー岡本綾子は誕生していない。どうにも直情径行な方のようで、人生のいろんな局面であっけないくらい簡単に決断を下してしまう。国民栄誉賞の打診を断った、なんて話もついポロリとして出てくる。まだ9日分もあるから、この後も何が出てくるかわからない。
○不仲と言われた樋口久子に対する評価もかなりストレートである。彼女の言い分を聞いていると、樋口久子はまるで大山十五世名人が若手の有望棋士に対して行ったような心理戦を挑んできたようである。ところが、大山の心理戦も自然流・中原誠にはまったく通用しなかったように、岡本綾子はあっぱれな鈍感力でこれに対抗したようである。なおかつ、それを紙面で語ってしまう。第一人者の座を巡る葛藤というものは、余人には窺い知れないものであるけれども、意外とどこでも似たようなところがあるのかなあ、などと感じましたな。
○アメリカでの武勇伝もすごい。あの国でツァーを転戦することは、結構怖いところもあると思うし、実際にそういう目にも遭っているのだが、それでも楽しくてしょうがなかった様子。まことに放胆な人に見えるけれども、一方で自分は「びびり」だと分析したりもする。こういうのって、よくあるよね。あんたのどこがびびりやねん、と突っ込みたくなるけど。
○世の中がどんどん制度化して個人の自由度が低下している中で、こんな風に野性味あふれる人間は出にくくなっているような気がする。だからこそ、あー、いいよなー、今日の岡本綾子は、と毎朝元気をもらっている。あたしゃゴルフをやらない人なんだけどねえ。
<5月24日>(金)
○今日は日経平均が午前中に1万5000円台に乗せ、午後には1万4000円台を一時的に割り込んだ。ローラーコースターのような一日。昨日という今日といい、この国の金融市場が大いなる実験の最中であることを思い知らせてくれました。
○以下は本日、住宅産業会社のトップから聞いた話。
「今年は1月から住宅着工件数が好調で、消費税の駆け込み需要がもう来たかと思ったら、実は株高による資産効果が大きかった。問題はこれから先で、長期金利が上がってしまうと、住宅ローン金利も上がるから一気に風向きが変わる。これから先はそっちが心配だ」
○長期金利も1%くらいであれば、そんなに慌てるような話ではない。今の金利上昇は、需給関係というよりはテクニカルな問題によるものでしょう。ただしアベノミクスがJGB市場のメカニズムを壊してしまうと、そういう心配もしなければならなくなる。くれぐれも、アベノミクスの暗黒面には落ちたくないものであります。
○思えば今月の冒頭、5月1日の当欄では、「この半年間で東証の時価総額が261兆円が411兆円に化けてしまった」「とくにこの1か月のマザーズの増え方はちょっと怖い感じである」「"Sell
in May and go away."なんて言葉もございます」などと書いている。そこからあんなに上がるとは思わなかったし、ここまでボラティリティが高まるのも予想外だった。それにしても、「5月に売る」なら、23日木曜の午前が最高の瞬間でしたね。
○そういえば昨日の午前中、筆者の職場に武者陵司さんの新刊本が届いたんですよね。そのついでに株価をチェックしたら、日経平均が1万5900円。「へえー、こりゃすごいねえ」と言ってたんですが、暴落はその直後でありました。ひょっとして、あれがシグナルだったの?
<5月26日>(日)
○今日は講演のために日帰りで京都府宮津市へ。
○京都駅までは新幹線で2時間ちょっとですが、そこから「はしだて」号に乗ってさらに2時間弱。亀岡、園部、綾部、福知山といった全然知らない町を通過していく。この辺は丹波の国、日本の原風景というべき、のどかな田園地帯が広がっている。福知山までは山陰線で、そこから先は北近畿タンゴ鉄道という第三セクターの路線になっている。この先に宮津や舞鶴といった丹後の風景が開けてくる。その先は日本海が広がっている。富山湾や新潟の海岸線とは全く違う、リアス式の複雑な海岸線なのである。
○そうか、京都府はこんな風になっていたのか。「京都に行ってきた」というと、普通は京都市のことを指すけれども、京都府の奥座敷は深いのである。というか、京都に海があるって、みなさん気づいてましたか? 京都は縦深地帯なんです。
○政治家でいうと、こんな三層構造があるわけですな。
@山城:伊吹文明、前原誠司(インテリタイプ)
A丹波:野中広務(ゴーワンタイプ)
B丹後:前尾繁三郎、谷垣禎一(悲運タイプ)
○本日は絶好の日和でした。もちろん天橋立にも行ってきましたぞ。松島と宮島は以前に行ったことがあるので、これにて日本三景クリア、であります。傘松公園の展望台から天下の名勝を見下ろしましたが、なるほどこれはすごい。なぜこんな地形ができたのか、というのも不思議だが、松林がずっと続いていて有史以来枯れたことがない、というのも不思議である。両側を海水に挟まれているのに、ちゃんと地面からは真水が湧くのだそうです。だから松が枯れない。
○ここへ来たら、是非ともやらなきゃいけないのが「股覗き」。その名を「マタンゴ!」(股から丹後を覗く)。よしもとの芸人さんが宣伝している、というのがいかにも関西のノリですな。足の間で天地がひっくり返ると、空と海が逆転した天下の奇観が広がります。これはぜひ、現地でお試しください。そのうち京都縦貫自動車道が全線開通しますので。
○考えてみれば、日本三景は全部「水際」なんですね。そのうち、宮島だけが世界遺産になっている。天橋立も運動はしているようですが、認定は簡単ではないようです。単に名勝だというだけでなくて、何かもう少し文化的な要素を付け加える必要がありそうな気がします。例えば、こんな歌がありますよね。
大江山いく野の道も遠ければ まだふみもみず天橋立
○百人一首のうちでも、子供が真っ先におぼえる歌の一つである。わかりやすい掛詞を縦横無尽に使ってあるので、高校の古文の授業でも定番であったと記憶する。若き平安女流歌人の技巧が光る名句であるが、残念なことに「わたくし、天橋立なんて行ってませんことよ、だって遠いんですもの。おほほ」という内容なのである。これでは客を呼ぶストーリーとして使いにくいではないか。
○観光地が人を呼ぶために必要なのは物語である。天橋立の先の兵庫県・但馬には、城崎温泉がある。だから観光客は、ついついお昼に天橋立を見てから、城崎温泉に泊まるのだそうだ。こちらは志賀直哉の『城の崎にて』があるからね。ワシも若いころに読んで、今は内容もほとんど思い出せないが、プライベートで旅行するのだったらきっとそうしてしまうと思う。観光地というのは、とにかく泊まってもらわないとお金が落ちない仕組みになっているから、これでは天橋立が不利である。
○やはり宮津市とお隣の舞鶴市と後方の京丹後市あたりが一緒になって、「この辺で泊まりたくなるような物語」を生み出す必要があると思う。と思ったら、最近は丹後半島を一周するサイクリングが流行っているんだそうです。これは上手い手で、自転車で旅行するとなるとお金もかかるし、ちゃんと泊まってくれますからね。ええ、ちゃんと天橋立は自転車で渡れるんだそうですよ。
○てなことで、現在は帰りの新幹線車中でサイトの更新です。ところで明日はモーサテの出番なんですが、ちゃんと起きられるかなあ。
<5月27日>(月)
○今朝のモーサテでも話したんですが、今月、諏訪市、高岡市、柏崎市、宮津市と回ってみた印象は、「地方都市にアベノミクスの恩恵なし」なんですよねえ。というか、安倍政権以前とあまり変わっていない。その一方で、海外のメディアや投資家は「日本はスゴイ」ということになって、安倍さんがスーパーマンになっちゃったりする。
○今朝発表された日経新聞の世論調査でも、Q4「景気回復を実感してますか」と聞くと、Yes22%、No66%です。ところがQ3「経済政策を評価しますか」と聞くと、Yes62%、No18%となる。これはCX「新報道2001」の世論調査とよく似た傾向です。つまり景気回復を実感しているのは4人に1人。でも、アベノミクスは6割支持なんです。つまりは期待先行ということ。
○もちろんそれが悪いというわけではない。アベノミクスは期待に働きかける政策ですから、すぐに変わっちゃうところとなかなか変わらないところがある。端的に言うと、「お風呂の暖め直し」みたいなところがあって、上の方(期待)はすぐに熱くなるけれども、下の方(実体経済)はまだ冷たいまんまなんですね。
○一応は熱伝導の法則があるので、放っておいてもいずれは全体が温まるはず。でもなるべくなら、ちゃんとお風呂全体をかき混ぜた方がいいですわな。株価さえ上がれば、すべての問題が解決するというわけではないのでありまして。
<5月28日>(火)
○今朝の日経新聞「私の履歴書」の今日の岡本綾子女史の発言で、不肖かんべえの琴線に触れたのは以下のくだりでした。世界ゴルフ殿堂入りの名誉に浴した、という部分です。
私の殿堂入りを推してくれていたベス・ダニエルさんに紹介され、壇上に登った。彼女が「アヤコの『しょうがない』という言葉が印象的だった」などと話していたのが記憶にある。・・・・(中略)・・・・私にとってゴルフは職業だ。食べていくためのものだから、きちっとやろうと自分を戒めていた。一生懸命練習して上手になろうとしたのは「賞金稼ぎ」という仕事のためである。
○「賞金稼ぎ」という言葉に込められたプロゴルファーの誇りには、深く頭を下げるしかありません。だって私どもは、そんなに厳しい生き方をしておりませんので。負けても負けても明日がある、サラリーマンとは、そういう気楽な稼業でございます。この仕事をやっている矜持、なんてものはありません。仲間内で、愚痴を言ってストレスを解消する。そんな恥ずかしいことさえ、許されている仕事なのであります。
○そしてもうひとつ、「しょうがない」という言葉に込められた深い諦念に感動を覚えます。ゴルフをやらない小生ではありますが、察するにプレイをしている最中には、おそらく「なんでこんな目にあわなくきゃいけないんだバカヤロー!」と叫びたくなる瞬間があるのだと存じます。そんなときに、「しょうがないね」の一言で、誰をも責めず、自分をも責めず、するっと先に進めるのは、この日本語が持つ独特の魔力によるものではないかと思います。ちなみに青木功の場合は、「しゃんめえ!」でありますけれども。
○日本人が語る「しょうがないね」という言葉は、欧米人には奇異に響くのだそうであります。そもそもこの言葉は英訳不能でありますし。バブルが崩壊したとか、デフレがなかなか終わらないとか、津波がすべてを押し流していったしまったとか、そういうときに日本人はこの言葉を吐く。なぜそこで怒らないのか。欧米人は、あなたたちが信じられないと言って呆れ、ときにはあなたたちは信じられないと言って尊敬してくれる。これ、すべてわれわれのDNAの中に流れる偉大なる諦念のなせる業であります。
○およそ不愉快極まりないことがあったとき、われわれには常に3通りの選択肢があります。ひとつは他人を責めること。次に自分を責めること。最後に誰も責めないこと。この三択がある場合、不肖かんべえは最後の選択肢を選びたいと念じているものであります。これは理屈ではなくて、単なる好悪の問題であります。いつも誰かを批判したくて虎視眈々としているジャーナリストとか、いつも反省の弁を述べたがっている自称平和主義者などは、わたくしがもっとも嫌うものであります。隙あらば他国を非難したがっている国の外交とか、何かというと自虐的になってしまう外交も以下同文であります。
○不条理に遭いながらも「誰も責めない」というのは、決して楽な道ではありません。道理を曲げなきゃいけないこともあるし、プライドが傷つくこともあるし、手続きに時間を食うこともある。それでも、この道がもっともわれらが内なる心の平安につながることは間違いない。そしてまた、長い目で見ればもっとも後悔が少ない道であるものであると考えます。
○今宵、岡崎研究所の理事会&春のフォーラムに出席し、岡崎久彦氏の国際情勢分析を聞いているうちに、ついついそんなことを思った次第であります。説明不足の段はどうかお許しを。
<5月29日>(水)
○今年の梅雨入りは早い。関東地方は今日からもう梅雨に入ったのだそうだ。大型連休後はいい天気が続いておりましたが、いい季節というのは去ってみると短いもので、明日からの出勤がちょっとユーウツです。
○というのは別にして、5月末は理事会のシーズンでもあるのです。今週は3日間で4つの理事会をハシゴしてしまいました。以下は若干のメモ。
●一般財団法人が1、一般社団法人が1、そしてNPO法人が2
●朝食会が1、昼食会が1、普通の会議が2。
●順調に発展しているもの2、赤字ながらも希望があるもの1、財政問題を抱えるもの1
●プロっぽい審議が1、家庭的な雰囲気のもの2、真面目な議論が1
○ちなみに4つとも目指す方向はバラバラです。主義主張でやっているというよりは、長年のお付き合いでやっているというのが正直なところでありまして。それにしても、会社の外で非営利の活動に関与する、というのはつくづく世界が広がっていいものであります。
<5月30日>(木)
○今後の政治外交日程がどんどん詰まってきた。とりあえず今週末から第5回TICAD会議が横浜で行われ、ここにアフリカの首脳が大勢やってくる。われらが安倍首相としては、その成果を引っ提げて、ついでに成長戦略もまとめあげて、6月17−18日に英国ロックアーンで行われるG8サミットに参上する構えである。サミットで存在感を発揮して、返す刀で7月の参院選を戦う。内政と外政がほどよくミックスした日程になっている。
○その間に、6月7−8日に米カリフォルニア州で行われるのが米中首脳会談である。習近平総書記・国家主席が、いよいよオバマ大統領に見参するわけであるが、歴代中国指導者の訪米としてはかなり早いタイミングである。しかも7月17−18日には、すでにワシントンでの米中戦略・経済対話がセットされているらしい。ということは、米中間の対話は思ったよりも早く、深く、進行していたように見える。
○普通に考えると、このタイミングで米中首脳が会うとなると、アメリカ側は当然「サイバーアタックはいかがなものか」と中国側にねじ込んでくるだろう。習近平としては、そこで「いや、軍がまだちょっと俺の言うことを聞かなくて・・・」などとは、口が裂けても言えないところである。ということは、この時点で米中首脳会談を受けたということは、習近平は既に人民解放軍を掌握済みであるのかもしれない。そうだとしたら、なかなか大したヤツ、と言わざるを得ない。
○一説によれば、若かりし頃の習近平は1970年代に人民解放軍で政治キャリアの第一歩を踏み出した。その時に権力を握ったのがケ小平である。党の実権を握ったケ小平は、いきなり中越戦争を主導する。人民解放軍をベトナムに派遣した動機がなんであったかは、今となってはよく分からないのだが、とにかく戦争が終わってみればケ小平は軍を掌握していた。ひょっとすると、ベトナム相手の戦争は八百長であったのかもしれない。
○それを見ていた習近平は、そこから何事かを学んだ。そこで昨年9月の権力移行期に、わざと尖閣問題で対日強硬路線をとり、人民解放軍に同調したのではないか・・・。その結果として、予定よりもずっとすばやく軍に対する指導力を握ったのかもしれない。そうだとしたら、権力奪取のダシに使われた日本はいい面の皮である。本当のところはわからないけれども、中国ならばあっても不思議ではないシナリオではないだろうか。
○そんなわけで、急速に米中の接近度合いが気になってきた今日この頃なのであるが、本日は某社広報誌の座談会を、ロバート・フェルドマン氏&朱建榮氏と一緒に収録していたのである。要するに「日米中座談会」なのであるが、二人ともとにかくよくしゃべる。彼らは外国語たる日本語で話しているのだが、母国語で対応している当方が必死になってしまう。その姿、まさに米中両大国に挟まれて右往左往する日本外交のごとし。なんでこっちがヘトヘトになってしまうのだろう。
○時候の挨拶のつもりで、フェルドマンさんにこんなことを聞いてみた。「最近、面白いダジャレがありましたか?」
「そういえば今日は湯島に行ってたんです。そしたら『東京医科歯科大学』があるじゃありませんか。私はまたてっきり、獣医学部の大学かと思いましたよ。だって、『イカ・シカ』でしょ?」
○恐れ入りました。もうデープ・スペクターを超えているかもしれない。日本はいったい、どうすればいいのだろうか。
<5月31日>(金)
○当欄の5月1日に"Sell in May and go
away."なんて相場格言を紹介しましたら、ホントにそんな感じになった1か月でした。5月23日には、日経平均が1日に1100円も下げましたけれども、その前後でまったく市場の雰囲気が変わってしまいましたね。
○株が売られた理由としては、国債市場が危なっかしいとか、成長戦略が期待外れだとか、外国人投資家が利益確定の売りに出たとか、いやいやご本尊はアメリカ経済にあるとか、いろんなことが言われています。でも、最大の理由は短期間に上がり過ぎたこと。これに尽きるでしょう。日本株はこの半年で、5割以上上げたんですからね。
○5月1日には、「東証の時価総額が名目GDPを越えてくるとバブル」という経験則をご紹介しました。それでいくと、5月22日終値の東証時価総額は449兆円と、名目GDPの474兆円の一歩手前であったようです。23日の午前中はさらに上げていましたから、たぶん程よいところで調整したのだと思います。
○それから、当欄の5月27日に書きましたけれども、アベノミクスは「お風呂の暖め直し」です。上の方(期待)はすぐに熱くなるが、底の方(実体経済)はまだまだぬるい。これを適度にかき混ぜて、全体の温度差を縮めていく必要があります。その意味では、株価が調整するのは自然な動きでしょう。
○逆に実体経済に関するデータは、着実によい方向に向かっている。なんとかこの調子で、底の方のお湯が温まってほしいものだと思います。確かにアベノミクスは「期待に働きかける政策」だけど、真の目的は実体経済を良くすることでありますからね。
○さて、以下は若干のご報告です。以前に当欄で書きました「甘利越え」ですが、予想を超えた反響もありまして、著作権法に抵触する恐れがあるとのご指摘をいただきました。ここに深く反省し、当「不規則発言」の4月9日分、および溜池通信4月19日号のFrom
the Editor欄を削除いたします。
○「甘利越え」は、その後の株価上昇(および最近の乱高下)によって速やかに忘れられつつありますが、名曲「天城越え」はその価値を減じることなく、長い寿命を保ってもらいたいと心から願うものです。どうぞご理解を賜りたく存じます。
編集者敬白
不規則発言のバックナンバー
***2013年6月へ進む
***2013年4月へ戻る
***最新日記へ
溜池通信トップページへ
by Tatsuhiko Yoshizaki