●かんべえの不規則発言



2013年11月







<11月1日>(金)

○慶応大学三田キャンパスへ。そこでシェルの方から聞いた話がこれでした。すっごく、面白い。

○不肖かんべえは、以前に防衛省のシナリオプランニング研究会に参加したことがある。未来予測の手法については、そこでいろいろ教わった。でも、シナリオ・プランニングの本家本元はロイヤル・ダッチ・シェル社なんですよねえ。そのご本尊が、エネルギーを軸にして、向こう50年の世界を考える、という設定自体がとってもワクワクするものがあります。

○全体が「山」(Mountains)と「海」(Oceans)という2つのシナリオに分かれている。前者は現状からの安定した変化であり、人間の意思の力が山脈を築いているシナリオ。後者は荒波のような激しい変化で、社会や政治の安定が脅かされるようなシナリオ。無限に広がる未来に対して、検討チームが特定の物語を紡ぎだすことによって、将来へのイメージを容易にするというのが、「シナリオプランニング」の要諦なのであります。

Shell has been developing scenarios to explore the future since the early 1970s. Scenarios are stories that consider “what if?” questions. Whereas forecasts focus on probabilities, scenarios consider a range of plausible futures and how these could emerge from the realities of today. They recognise that people hold beliefs and make choices that lead to outcomes. Our scenarios team considers changes such as in the global economic environment, geopolitics, resource stresses such as water, greenhouse gases, and energy supply and demand to help business leaders make better decisions.

○ふと感じた感想を2つほど。

○ひとつは中国のエネルギー消費について。以前から何度も書いている通り、「2003年から10年間の世界経済は特別」だったと思います。新興国経済が奇跡的な成長を遂げて、エネルギーや地下資源を思い切り使ってきた。その中でも、最大のプレイヤーが中国であったことは言を俟たない。ところがその中国も、本当の意味で「エネルギー多消費型の高度経済成長」を続けたのは前半の5年間だけである。むしろ後半は、リーマンショックから脱出するための景気刺激策などで、無理をしながら成長を維持してきたきらいがある。で、さすがに最近になって、無茶をした余波が地方財政などに表れてきた。

○今後の中国の経済成長は、ますます「第三次産業化」「ソフト・サービス化」に向かうだろう。だったら、エネルギー消費量も今後は今までほどは増えないはずである。だからこそ、石油価格の最高値は2008年夏だったのではないか。それ以前は、「中国がどれだけ使うか分からない」世界であったが、それ以降は「もう中国のような存在は現れない」と見切ることができるようになった。2013年以降の世界経済は、今までとは違ったものになるだろう、と思うのです。

○もうひとつはシェールガス革命のインパクトについて。シェールガスの埋蔵量は、中国、アメリカ、アルゼンチン、メキシコ、南ア、豪州、カナダの順なのだそうです。仮に中国のシェールガスが本格稼働するとしたら、世界第1位と第2位のエネルギー消費国の「国内」に大油田が誕生することになる。つまり「生産地と消費地が遠く離れている」というエネルギーのトラフィック問題が解消してしまうのです。

○だったら、世界中にあるタンカーなんぞは、無用の長物ということになりかねない。海運会社はどうなるんだろうか。いや、それだったら商社も「えらいこっちゃ」ではないか。

○ふと気がついたら、お隣の席に居た某鉄鋼会社のTさんがニヤニヤしているから、思わず言ってしまいました。

「エネルギーがダメでも、まだまだ鉄鉱石がありますからね」

「どうですかね。鉄鉱石は掘ればいくらでも出ますよ。北朝鮮あたりにも・・・」

○ううむ、これは少々旗色が悪い。やはり「脱・資源ビジネス」を急がねばならないのであろうか。

○ちなみに本日のスピーカーは、「自分たちの仕事は窓ふきのような仕事。経営者の視界を広げるためにやっている」という謙虚な姿勢でありました。この仕事、奥が深いです。


<11月2日>(土)

○今日は秩父宮ラグビー場へ。目指すはもちろんJapan vs. All Blacks


11・2(土)、ジャパン×オールブラックス、キックオフ!
ラグビー日本代表史上最大の挑戦

1987年ラグビーワールドカップ(RWC)初代覇者にして、2011年のRWC現役王者であるニュージーランド代表。
この秋、正真正銘世界チャンピオンのオールブラックスが秩父宮ラグビー場へ降臨する。 迎え撃つはこの春、ウェールズ代表に歴史的勝利を飾ったエディー・ジョーンズヘッドコーチ率いる日本代表だ。 2015年RWCでの世界トップ10入りを目指す日本代表はオールブラックスを相手に善戦できるのか、過去4試合と同じく力の差をまざまざと見せ付けられて大敗を喫するのか。 ラグビー日本代表の史上最大の挑戦に迫る。



○なんだか試合の口上からして、「下から目線」になってしまっているわけですが、2019年W杯の主催国・日本として恥ずかしい戦いは見せられないところです。それにいくらワシがニュージーランド贔屓だからと言って、そりゃあ負けたくはないっすよ。少なくとも、1995年のW杯南ア大会における17-145のようなのは願い下げである。ちなみに『インビクタス』という映画の中では、マンデラ大統領がその戦績を聞いて、「それは一試合でか?」と聞くシーンが出てきます。この映画、1995年の南ア大会の実話に基づいておるわけですが、それくらい劇中の敵役たるNZは強かったのであります。

○結果は既にご存じの通り、負けました。オールブラックスは強かったです。今日は6−54というスコアでしたが、日本側はペナルティゴールが2本だけ。NZ側はトライが連続8本。ほとんど絶望的な差に感じられました。最後、時間切れ寸前に、というか明らかにロスタイムになって日本側にトライのチャンスがあって、せめて一太刀浴びせることができるかと思ったのですが、最後まで封じられてしまいました。となりの席のニュージーランド人のスコット氏によれば、「あれは認定されない」とのことだったので、最後まで力の差を感じさせられた試合でありました。

○日本とオールブラックスの戦いは1980年代からですが、今のところ5戦全敗。今日の教訓は、ミスが出ると即座に点につながる怖さでありましょうか。なんとなく「片想いの情熱」という言葉が思い浮かんだ試合でありました。片想いをできる人は幸いなるかな。


<11月3日>(日)

○ちょっと早いけれども、今年は流行語が豊作ですな。


●アベノミクス(安倍政権、甘利経済再生担当大臣)

●今でしょ(林修先生)

●ブラック企業(連合?)

●お・も・て・な・し(滝川クリステル)

●じぇじぇじぇ(『あまちゃん』、NHK、宮藤官九郎)

●やられたらやり返す。倍返しだ!(『半沢直樹』、TBS、堺雅人)

●二刀流(日ハム・大谷投手)

●PM2.5(北京市、受賞者なし)

●異次元の金融政策(黒田総裁)

●誤表示(阪急阪神ホテルズ、受賞者辞退)


○あっという間に10個思いついてしまった。ついでに受賞者も予測しちゃいました。これだけあると、どれを大賞にするか迷うところですが、「新語・流行語大賞」の例年の癖から行くと、これだけ悩ましい年は「東京五輪」みたいに当たり障りのないものを選ぶような気がする。

○で、これも気が早いのですが、「今年の漢字」、これはもう「倍」で決まりでしょう。「返し」もあるし、「安政権」もあるし、株価は「」にはなってないけど、インフレを目指すことが政策になっている世の中(マネタリーベースを2年でにして、国債の平均年限もにするのが黒田式)には、とってもふさわしいのではないかと思います。


<11月4日>(月)

○柏駅前のTKPシアターは、シネコンではやらないような映画を低料金で上映してくれるのでありがたい。今日は「台湾アイデンティティー」を見てきました。


台湾は1895年(明治28年)から1945年(昭和20年)までの半世紀、日本の統治下にあった。日本語で教育を受けた「日本語世代」といわれる老人たちは、単に日本語を話すだけではなく、その精神性や行動パターンに至るまで全身に「日本」が染みついている。彼らへのインタビューを通して台湾と日本の近現代史をクローズアップさせた『台湾人生』(2009年)から4年、戦後70年という長い年月が過ぎ、日本語世代と呼ばれる人々は少なくなった。それでも、ある種の「日本人性」を包含している彼らは、今も台湾で存在感を失ってはいない。彼らの人生、特に日本が台湾を去ったあとの道のりとはいかなるものだったのか?


○見ていて、何度もボロボロ泣いてしまいました。私も過去に何度も台湾に行ってるから、ここに描かれているようなことは、知識としておおよそは知っている(と言いつつ、緑島の存在は初めて知ったけど)。台湾の人たちが、「228」という言葉を口にする時の、少しだけ緊張する雰囲気も覚えている。代表的な日本語世代といえば、以前に李登輝さんの日本語も聞いたことがある。それから、まるでこの映画に出てくるのと同じような体験談が、2007年9月17日の当欄には残っている。この映画の中に出てくるのと同じように、誰をも責めず、誰をも恨まず、「しょうがなかったんですよねえ」という暖かい口調であったことが蘇った。

○こういう話を聞いているとき、日本人としては心苦しくて仕方がない。あなた方のことを忘れていてごめんなさい、いやね、私たちも自分のことで精いっぱいだったんですよ――とでも言うしかない。でもね、こういう映画を作って後に残そうという若い日本人もいるから、存外捨てたものではないのかもしれない。後はなるべく多くの人に見てもらうしかありません。


<11月5日>(火)

○少々時機を逸してしまったけど、この週末の東北楽天ゴールデンイーグルス(なんて長いチーム名なんだ)の日本シリーズ制覇は見応えがありました。「3・11」をひっくり返した「11・3」に東北の勝利が決まったというのも、なんだか不思議な運命の計らいを感じます。2005年の球団創設の時に、このチームが10年以内に日本一になるなんて誰が思っただろう。少なくとも、三木谷社長のプランにあったとは思われない。

○さらに今年は、高校野球でも東北勢が強かった。ベストフォーに2校も残った。「優勝旗が白河の関を越える」絶好のチャンスだった。でも、どちらも準決勝で惜しくも甲子園を去った。それだけに日本シリーズに賭ける思いはいかばかりだったか。ちなみに優勝旗は、北海道には渡ったことがある。駒大付属苫小牧高校。あのマー君の母校だ(マー君は、決勝でハンカチ王子=斉藤祐樹投手に敗れて準優勝。懐かしいね)。

○第6戦の田中投手、マー君が打たれたことが、見ていてとても痛かった。彼は今年、負けていないのだ。勝率10割の彼が、今年1番大事な試合に、優勝を決める一番に打たれてしまった。その辛さはどれくらいであったか。ワシなんぞは6勝4敗くらいの人生に、満足しながら50数年を生きてきたけれども、彼は25歳で「勝率10割」の投手になったのです。そんな人、過去にも一人もいないんです。「絶対的エース」と自他ともに認める存在なんです。

○それでも、勝負ごとに絶対はない。野球でも競馬でも将棋でも、絶対なんてものは絶対にない。いつか来る日が、たまたま運命の第6戦で来てしまった。田中投手は、その日が来ることをどれだけ恐れていたことか。それは勝率10割を体験した人にしかわからない、勝率6割程度で満足している人にはけっして理解できない恐怖であったことと推察する。

○彼はきっと心の中で、自分の不甲斐なさを責めながら投げていたことでしょう。そして「ひょっとしたら、味方が逆転してくれるかもしれない」「あきらめずに投げていたら、この試合だって勝てるかもしれない」と念じながら、ついつい完投して160球も投げてしまった。これは途中で下せませんわなあ。星野監督だって、自分がピッチャーとしてできなかった偉業を果たしているマー君に対し、畏敬の念のようなものがあったはずである。一部には、「あんなに投げさせて、選手を使いつぶす星野はけしからん」という声もあるようだが、それってまったくの誤解だと思うぞ。

○もうひとつ。第7戦の最後9回にマー君を起用した星野采配に対しても、いろいろ言う人が居るようだ。あれはねえ、3年がかりの星野マジックの集大成なんですよ。彼はああいうケレン味のある采配をする。そうやって「勝ちたい」ことをチームに浸透させる。それからマスコミにも分からせて、最終的にはファンを動員して球場を満員にする。第7戦なんて、お隣の陸上競技場まで満杯にしてしまった。仙台の瞬間最大視聴率は60%に達したそうだ。野村監督じゃ、絶対にできないことですぜ、これは。

○てなことを、見ていて感じたわけなんですが、ワシは浪花節志向と言うよりは、単にリスク回避的な思考法が嫌いなんで、「メジャーだったらあり得ない」式のコメントを聞くと腹が立つのである。お前ら、マー君の立場になってみろよと。絶対的エースと呼ばれる気持ちが分かるのかと。・・・とまあ、それ以前にワシはアンチ巨人なんで、最後の方は本当に楽天の勝利を祈りながら見ておった次第である。おめでとう、楽天イーグルス。


<11月6日>(水)

○世間の評判について。

●田原総一朗は(仕事の)鬼だったが、みのもんたは(セクハラの)悪魔だった。

――そもそもTBSは、自社の大株主をキャスターにすべきではないですわなあ。

●小泉純一郎元首相の反原発発言は安倍内閣にとってのプレッシャーだが、山本太郎参議院議員の反原発パフォーマンスはただのノイズである。

――彼に投票した67万人全員が悔い改めるまで、議員辞職は認めるべきではないと思います。

●池上彰氏は今や押しも押されもせぬ視聴率男だが、同じ時期にNHKを辞めた手島龍一氏は今何をしているのだろう。

――競馬場の馬主席でよく見かけるとの噂あり。それはそれで羨ましいことではある。

●絶対的エースといえば今は田中将大投手。だが以前は前田敦子のことを指したらしい。

――どこの世界でも、「絶対的」存在は滅多に成立しないということでありましょう。

○ということで、お後がよろしいようで。


<11月7日>(木)

○毎年、この季節に恒例の岡三証券法人セミナー。今年もエド・ハイマン氏(全米人気エコノミストランキング万年第1位)をお迎えしてパネルディスカッションを行いました。

○最初にこの企画に呼ばれたのが2008年秋でした。ちょうどリーマンショックがあって、オバマ氏が大統領選に勝利した直後。それからもう5年になりますが、毎年、いろんなことを教わります。今日も収穫は大でありました。

○端的に言いますと、今年のハイマンさんは過去5年間で一番の強気でありました。今年のプレゼンテーションの中には、こんな強気なキーワードが入っていたのです。

(1)Synchronized Global Expansion

・・・米国は良くなっている。欧州もプラス成長に転じた。日本も目覚ましく蘇った。中国も破綻はしない。どこかがブームということはないが、すべてが良くなっている。こんなことは過去5年間なかった。2013年はQE(量的緩和)の年であったが、2014年はSGE(世界同時景気拡大)の年になるのではないか。

(2)Grand Rotation

・・・債券市場からマネーが逃げ出して、株式市場へ流入している兆しがある。

(3)American Renaissance

・・・「人口の増加」「エネルギーブーム」「強いドル」「労働環境の改善」「ダイナミックなハイテク部門」「住宅市場の回復」「柔軟な金融政策」「企業の強いB/S」など、中長期で見た米国経済の強みが明らかになってきた。

○つまり、米国経済はいよいよ「中期悲観」から「長期楽観」のフェーズに入るだろう、という読み筋なのである。いい話ですねえ。ほかにも、「FRBはQEのバーナンキ時代からFoward Guidanceのイェレン時代に入る」など、面白い指摘がいっぱいありました。

○ところがこうした「いい話」が、目先の米国政治の不透明性によって覆い隠されている。だから投資家のマインドは明るくない。こういうときこそがチャンスなのだ、というハイマンさんお得意の「逆張り」理論です。言われてみれば、11月5日の地方選挙では、ニュージャージー州知事選、ヴァージニア州知事選、アラバマ州の共和党予備選挙などにおいて、これまで日陰に追いやられていた共和党穏健派を鼓舞するような結果が出ている。ポジティブなサインかもしれませんね(この辺をご参照)。

○ただし新しく誕生したニューヨーク市長に関しては、ハイマンさんは「僕の税金が上がっちゃうよ〜」と渋い顔でした。まあ、24年ぶりの民主党市長の誕生なんだそうで、しょうがないですわなあ。


<11月10日>(日)

○今日は柏市長選挙。市民としての義理を果たしに行ったら、投票所がとっても空いていた。2代前の町内会長さんが、立会人として所在無げにしていた。と言っても、話しかけると違反になるんだよねえ。

このページを見たところ、午後8時時点の投票率は24.99%である。過去最低は2001年の25.76%なので、新記録が出たかもしれない。いくら2期目の現職に共産党候補者が挑戦する戦いとはいえ、4人に1人しか投票に行っていないというのはチト問題であろう。ちなみに前回は、現職が引退して新人3人が争ったので、34.14%であった。それでも3人に1人か、と思うと少々寂しいものがある。

○ウチの家族は投票率100%だったのだけど、こんなことでいいのだろうか。それにしても選挙戦ってどこでやっていたのだろう? わがレイソルは、「柏から世界へ」と威勢がいいのだけれど。

○ちなみに結果はこちらをご参照。開票作業が1時間半で終わってしまうんですね。では秋山市長、もう1期よろしく頼みますよ。


<11月11日>(月)

○諸般の事情で、ホテルオークラと帝国ホテルで、豪華なお弁当付きの研究会が続いた。どちらもまことに美味と言うべきであるが、ワシの好みから行くと若干、帝国ホテルの方が上であったな。研究会の密度は、ホテルオークラの方がやや濃かったのだけど。

○お弁当を前に、時節柄、「これは車エビですかねえ」的な会話が飛び交う。まあ、別に芝エビでもブラックタイガーでもなんでもいいんですけどね。偽装問題があってから、伊勢エビの値段が急騰しているのだそうだ。するってえと、今まで食ってたのはなんだったのか。

○アフリカのカナリア諸島には、ラスパルマスという南国の楽園みたいな町がある。その昔、弊社の駐在員事務所があった。水産部の職員が駐在していて、仕事は現地で水揚げされるタイを買い付けることであった。ところがタイにもいろいろあって、優勝した力士に出せるような立派なタイもあれば、もうちょっと小ぶりなタイもあるし、実はビミョーに違う偽物のタイもある。そこは釣ってくる漁師さんたちでさえ見分けがつかない。どのタイをいくらで買うかは、島で唯一の「目利き」である駐在員の独壇場ということになる。

○本物のタイと偽物では、当然、天と地ほどに値段が違う。だったらどこが違うのか。「目利き」は当然、チェックポイントを知っているわけだが、ノウハウを簡単に他人に教えるほどお人よしではない。となると、周囲もこの日本人駐在員を頼りっぱなしになる。まるでこの世のパラダイスみたいなシチュエーションではあるまいか。

○しかるにプロにしか見分けのつかないものは、当然、食べたって違いは分からない。これでは消費者は何にお金を払っているのか分からない。とまあ、この世界、昔からずっと同じ問題を抱えているのである。今日の結婚式で出されたタイが本物かどうか、あなた分かります?

○話は元に戻って、この季節のホテルはどこでもクリスマスツリーを飾っている。早いですなあ。ところでツリーというものは、赤と緑で飾り付けるものだと思っていたが、最近のツリーはもっぱらLEDなので、青や白の明かりが多いです。まあ、文句をつけるような筋合いじゃないんですけどねえ。


<11月12日>(火)

○朝はいつも通り文化放送へ。本番の30分前に入って、今日の放送の打ち合わせをするまでもなく、単なる無駄話。その結論はこれ。

「課長 島耕作=30年前、あぶさん=35年前、ゴルゴ13=40年前」

○そのうち「神童 島耕作」とか、「ケアハウス 島耕作」なんてシリーズも始まるかもしれない。その点、まったく老化現象のないゴルゴ13は偉い。老化現象を感じさせない某財務大臣閣下も。

○午前9時から本番。今日の「深読みジャパン」は、アメリカ経済の強さを語るという予定だったのだが、最初はJR北海道の話から始まり、途中で偽装表示の話になって、やっとエド・ハイマンさんの話になったかと思ったら、最後は三中全会からフィリピンの台風被害に話が及んで終了。これぞ生放送というもの。

○夕方、ご縁があってNHK第一ラジオへ。せっかくなので、明治神宮前から歩いてみる。代々木の体育館の向こうにNHK放送センターがある。そういえば、NHKは昔は千代田区内幸町(現在の当社所在地)にあり、それが東京五輪を契機に今の渋谷区神南に移転したのではなかったか。さすがに建物は古い。

○しばし控室で待機して、6時台のニュースのスタジオへ。入ってみたら、NHKの解説委員がちゃんと台本を読んでいる、という点に一瞬、衝撃を覚える。そうか、ここはCMもなければアドリブも滅多にない、NHK第一放送なのだ。もちろん出演者同士の無駄話もなく、6時15分から本番開始。

○それにしても、夕方6時台のリスナーって、「米雇用統計改善、金融政策への影響は」ってネタは大丈夫なんだろうか。まあ、遠慮なく地でやらせてもらいましたけれども、ちょっと戦々恐々。約25分間で終了。ほぼ時間通り。

○ところでこのNHK放送センター、次の東京五輪の後は、湾岸の五輪跡地に移転したりするんだろうか。BS放送やら国際放送やら、新しい課題がいっぱいあるんだから、いずれはそんな日が来るのかもしれませんな。


<11月13日>(水)

○あと2日で、キャロライン・ケネディ駐日大使が着任する。「初のセレブ大使」と持て囃す声もあれば、「駐英大使ならともかく、駐日大使で大丈夫か」と言っている人もいる。まあ、いろんな読み方ができる人事であります。

○従来、アメリカにとって駐日大使は重量級ポストでありました。モンデール副大統領、フォーリー下院議長、ベーカー上院院内総務と続きましたからな。近年は「大統領のお友だち」シリーズで、ジョン・シーファー、ジョン・ルースと続いている(後者については、「どれだけオバマに近かったのか疑わしい」という声もあったりする。まあ、なにせお友だちの居ない大統領でありますから)。

○新任の駐日大使を考える場合、ジェイ・ロックフェラー上院議員あたりがいかにも適任そうに思える。ちょっと高齢ですけどね。あるいは昔の学者路線(例えばマンスフィールド大使)に戻って、ジョセフ・ナイ教授というのも一案でありましょう(前回、新聞辞令が出た後に撤回されているので、さすがに考えにくい)。

○意外と適任が見当たらない中で、オバマ大統領はキャロライン・ケネディという札を切ってきた。なにしろ彼女は、2008年の民主党予備選が佳境を迎えていた2月時点で、「私の父のような大統領になってくれそうな人」と言って、バラク・オバマ支持を表明した人である。たぶん当時のヒラリー・クリントン陣営は、「なんで女性初の大統領誕生を応援しないのよ!」と怒り心頭であったことだろう。逆にオバマ陣営から見れば、民主党エスタブリッシュメントのお墨付きを得たわけで、あの一言はとっても追い風になったはずである。

○今回の人事は、オバマがその借りを返す意味がある。ところが昨年までは、ヒラリー・クリントンが国務長官であったから、さすがにその下の大使には任命できなかった。オバマ政権の2期目になって、ようやく恩返しのタイミングが到来したともいえる。政治の世界で貸し借りは重要である。

○今回の人事は、いろんな意味で絶妙なタイミングだと思う。なにしろ、来週22日はあの「ダラスの熱い日」から50周年である。JFKが凶弾に倒れたあの日、棺の隣に立っていたいたいけな少女が長女キャロラインであった。11月22日になれば、世界中のメディアが「あれから半世紀」を取り上げることだろう。その日、成長したキャロライン・ケネディは、駐日大使という公職に就いている。これはケネディ家のレガシーにとっても大きなプラスである。「あれから半世紀」の日を東京で迎えるということには、特別な意味があるということだ。

○さて、日本外交はこの"Sweet Caroline"というカードをいかに生かしていくことができるのか。アメリカ外交としても、「セレブ大使」というソフト・パワーを成功させたいところであろう。とりあえず、「新任アメリカ大使と一緒に写真を撮りたい」という人は山ほど出てくるはずである。やっぱり「ケネディ」はブランドだからなあ。


<11月14日>(木)

○今宵は麻布十番の「ワカヌイ」にて、ニュージーランドを愛する仲間の夕べ。ラムは絶品、牛肉もオージービーフとは一味違います。さらにNZワインも珍しいところをそろえています。

●先発:kumeu River Village シャルドネ、白、2009

●中継ぎ:Coleraine TeMATA ホークスベイ、赤、2010

●救援:Matakana プロビンス、赤、2008

○満足度、きわめて高いです。


<11月15日>(金)

○キャロライン・ケネディ大使は無事に着任されたようです。19日に信任状奉呈、20日に官邸を表敬だそうです。信任状奉呈の際には、きっと東京駅から皇居まで馬車で移動するんでしょうね。あれは感動モノですよ。日本に来る各国大使のうち、少なからぬ人があれで痺れてしまうのだそうです。

こんなプレゼンテーションビデオも用意されていて、好感度は大ですね。でも、事前にビデオを用意するということは、「個別のインタビュー依頼はちょっと待っててね。それまでに勉強しないといけないから」という意味も含まれているような気がします。TPPとか沖縄基地問題とか東日本大震災とか、覚えなきゃいけないことはたくさんあります。だからナマ放送は、しばらく控えた方がいいかもしれません。個人的には、ケネディ大使の日本初のテレビ登場は、NHKで国谷裕子キャスターによるインタビューを希望します(タハラさんやミノさんじゃダメですよん)。

○日本人は基本的に、セレブとか名門とか高貴な家柄とかが好きですし、「ケネディ家」に対しても良いイメージを持っていると思います。とっても趣味が悪い「ケネディジョーク」なんてのも、あっちじゃ一杯あるんですけどね。ひょっとすると日本に滞在することは、ご本人にとっても快適なことかもしれません。とりあえず、「11月22日」を本国で過ごすことは、あんまり楽しいことではないでしょう。

○うろ覚えの記憶で恐縮ですが、JFKはビッグス湾侵攻作戦が失敗した時に、「東洋には、”勝ち戦には100人の将軍が名乗りを上げるが、負け戦には誰も声を上げない”、ということわざがある」てなことを記者会見で述べた。すぐに大森実だったかがホワイトハウスにねじ込んで、「そんなことわざ、東洋にはないぞ」と告げたところ、報道官はこんな風に答えたんだそうだ。「あのことわざは、大統領の頭の中だけにあるのさ」。

○JFKには「日本への憧憬」があったように思う。それを受け継いだのが長女キャロラインであって、テッド・ケネディの外遊に同行したり、新婚旅行でも日本を訪れている。それが駐日大使になるというのは、よくできた物語(ナラティブ)というものであって、アメリカ外交が繰り出すソフトパワーの一種である。これをどう生かしていくか。思うにセレブというものは、あんまり本人に努力をさせちゃいけないんで、むしろ周囲で盛り立てていく方がうまく回る。

○例えば「初の女性駐日大使である」ということは、意外に重要な点なのじゃないかと思う。彼女と心底仲良くなれる日本側の女性は誰だろう。・・・・と考えると、ちょっと心もとなくなってくるんですけれども。


<11月17日>(日)

○『軍師の門』(火坂雅志・角川文庫・上下巻)を読了。黒田官兵衛ものであって、来年のNHK大河ドラマのネタ本である。

○が、これがつまらない。まーったく下手な小説だと思う。義理だ、仕事だと自分に言い聞かせながら最後まで読み通した。人物描写は浅いし、ストーリーには山谷がないし、とにかく史実をなぞってみました、という体裁である。荒木村重に投獄される部分も、本能寺の変から中国大返しに至る部分も、ほとんどドラマになっていない。唯一、フィクションでくわえた女性が登場するが、これが全く魅力に欠けると来ている。何が書きたかったのだろう。笑ってしまうのは、最後についている「解説」もひどい。お暇な方は、書店でこの解説だけを立ち読みされたらよい。ワシは「やっぱり買うの止めようか」と思いましたぞ。

○と、いきなり全否定してしまったが、ここ20年くらいで戦国時代研究はずいぶんと進化を遂げているようで、本書にはたとえば官兵衛が九州に行ってからの官兵衛の足跡や、城造りの名手であったことなどが丁寧に描かれている。歴史小説としてはいかんが、官兵衛ファンにとっては読んでおくべき一冊ということになるのかもしれない。でもねえ、これに比べると時代は古くなってしまうし、古い材料を元にして書かれているけど、司馬遼太郎の『播磨灘物語』や吉川英治の『黒田如水』の方が、よっぽど小説としてのレベルは高いし、そっちの方がお勧めだと思う。まあ、比べる相手が悪いという気もするが。

○ワシ自身の官兵衛像は、この辺この辺で書いた通りである。何と10年以上前に書いたものなので、いい加減自分でも忘れているのだが、とにかく官兵衛が「軍師」であったというのが信じがたいと思う。黒田官兵衛孝高は、何はさておいて戦国武将ですよ。自分の家や家来をほったらかして、秀吉の腹心になって満足していたとは思えないんですよねえ。現代人は、軍師とか参謀役とかが妙に好きなわけですが、戦国時代はまだラインとスタッフが未分化な組織で戦争をやっているわけですから、「軍師」の地位はあんまり高くはなかったと思うんです。

○それから、「高松城水攻め」が官兵衛の発案だったという話も嘘くさいと思う。あんな風にカネのかかる作戦は、思いついても口に出せないでしょ、普通。あれは土木事業が大好きだった秀吉が、三木城→鳥取城の城攻め思想を発展させて、トップダウンで決めたと考えるのが自然であろう。官兵衛をスーパースターにしようとすると、ついついそういう設定にしたくなるけど、そういう人ではなかったと思うんだな。

○と、腹ふくるる思いをした不肖かんべえなのであった。ね、官兵衛さん、違うよねえ。


<11月18日>(月)

○あんまり驚いたから、忘れないように書いておこう。最近、日曜日の午前中は、よく11時20分くらいからNHKのEテレをつけて、将棋トーナメントを終盤戦から見ることがある。昨日も、仕事をしながらふとテレビをつけたら、歴史的瞬間を目撃してしまった。

○それは行方八段の「8八同馬」である。この一手で必勝の将棋を落としてしまった。1年に1度くらいの、いや、将棋界に新たな伝説を残したかもしれない大ポカであった。普通、プロの将棋はポカと言っても、説明を聞かないとよく分からないことが多いものである。だが、あれはさすがにアマチュアでも分かる。なにしろ馬と歩を差し違えてしまったのだもの。いや、正直なところ、ワシは次の7六香までは、「この後、何かすごい手があるんだろうなあ。ワクワク」と思いながら見ていた。だっていちおうプロの将棋なんだもん。

○でも、それはタネも仕掛けもないただの勘違いであったのだ。さすがに中盤で馬をタダで捨てたら勝てませんわなあ。駒切れになり、指し切りになり、それでも「と金」を作って粘ろうとする行方八段。これに対し、終始冷静な大石六段は、やがてじっくりと反撃に転じる。もうあきまへん。見るも哀れな手数が続き、行方八段、あえなく投了となった。まことに不本意な棋譜が残っただけでなく、それが電波で全国に流れてしまうショックはいかほどのものであったか。局後の感想戦においても、非常にストレートな反応を吐露していて、まことに鮮烈な印象を残したのでありました。

○この件に関するオバゼキ先生の反応がまた素晴らしかった。「評するも人、評されるも人」といったところか。いわばピュアな精神が、他人のピュアな精神に触発されて、輝いているような感じである。いいものを見せてもらったとしみじみ思う。良かった、あそこでテレビをつけて。


<11月19日>(火)

○今朝の「くにまるジャパン」でお話したことなんですが、二―ル・ダイヤモンドの"Sweet Caroline"という曲がありますわね。あれは1960年選挙でジョン・F・ケネディが大統領になって、それと同時に長女のキャロライン(当時3歳)も一緒にホワイトハウスの住人となった頃の話。ローズガーデンで、「マカロニ」という名の仔馬に乗って遊んでいた彼女の写真が、当時のアメリカではしばしば公開されたわけです。それを見たニール・ダイヤモンドは、「か、可愛い・・・」と思ったかどうか、とにかくいたく詩心を刺激されて、それが名曲誕生のきっかけになった由。

○ただしそのことはずっと内緒にされてきた。キャロライン・ケネディが長じて50歳の誕生日を迎え、その日のパーティーに呼ばれてこの曲を歌うことになったときに、彼が初めて「実はこの曲は・・・」と明かしたという話が、ウィキペディア(英語版)に乗っている。つまり、ごく最近の話であります。

○その彼女は、本日、信任状を奉呈して、正式に駐日アメリカ大使として着任しました。2頭立ての馬車で皇居に向かう途中には、数千人が沿道で見守ったとのことである。"Our Sweet Caroline"は、これから東京の住人となる。そして今週金曜日には「ダラスの惨劇」から50周年を迎え、来週水曜日には新たな誕生日を迎える。慶賀に耐えず。

○今宵は麻布十番の「馬尻」にてらくちんさんの出版記念会。高熱を発しているはずのぐっちーさんも、駆けつけてくれました。これまためでたい夜でありました。


<11月20日>(水)

○昨日は午前2時就寝。今朝は午前5時起床。で、羽田空港へ。7時55分発の飛行機に乗って目指すは高松空港。もちろん電車の中でも、飛行機の中でも爆睡モードである。

○お昼に四国新聞政経懇話会に呼ばれているからなのだけど、なぜこんなに早い便に乗らなきゃいけないかというと、高松空港はしばしば霧が出て、伊丹空港に降りちゃったりするのである。その昔、経済同友会時代に速水代表幹事のお供で高松に向かったところ、ものの見事にこのパターンにハマってしまった。この場合、クルマで新大阪駅に向かい、新幹線で岡山まで行き、そこから瀬戸大橋を超えるのが「定跡」なのだが、まだ携帯電話もなかった時代だったから往生しましたな。1995年3月のことですが、あのときも講演会の予定があったから焦ったんだなあ。

○今日は普通に飛行機が降りてくれたので、午前中は栗林公園へ。高松は何度も来ているのに、ここは初めてである。ワシは日本三名園は全部行ってるが、ここは兼六園(金沢)や後楽園(岡山)よりも上なんじゃないかと思う。とりあえず水戸の偕楽園は落としてもいいのではないかなあ。紫雲山を借景にしている、というアイデアが素晴らしい。余計なものが目に入らないので、今のような紅葉の季節にはまことに見応えがある。なおかつ、園内の水の使い方が絶妙である。ちょっと肌寒いが、ここの日本まで抹茶などいただきつつ、庭園を見る時間は値千金。というか、宿酔いがほどよく醒めてくれるのがありがたい。

○当地の「うどん県」キャンペーンは、大成功を収めたんじゃないかと思う。悪いけど、「香川県」って名前が出にくいんですよね。まだしも「高松市」の方が出やすい。でも、四国に「うどん県」があることは誰でも知っている。まあ、ウチは去年、金比羅さんに行ったし、直島に泊まって瀬戸内海アート観光もしているくらいなんで、「うどん」ばかりじゃないとはよく知ってるんですが、とりあえず「うどん」で注目を集めるのは賢い手法でした。県がやる「自虐キャンペーン」としては、最近では「おしい、広島県」が大傑作でありますけれども、「うどん県」こそはその先駆けであったと言えましょう。

○2009年10月にこの高松に来たときは、ちょうど民主党政権下で「高速道路1000円」をやっていた。それで「うどんツーリズム」が流行って、「地元の人は土日にうどんが食べられない」という状況になっていた。それくらい、全国各地からうどんを食べに来る人が増えたんですな。考えてみれば、当地のうどんは製麺所ごとに作っているので、うどんの名店があっちこっちに拡散している。なおかつ、高いものではないし、1杯で満腹というものでもない。連食が効くので、食べ歩きには好適なのである。

○幸いなことに、高速道路料金が平常に回帰した今でも、「うどんツーリズム」は健在なようである。仕事が終わった後に、「うどん本陣 山田家」に連れて行ってもらって、名物の「釜ぶっかけ」を頂戴しました。お昼をちゃんと食べた後の「3時のうどん」ですが、まあ、うどんは別腹なんです。午後3時にも大勢客が居て、ドライブマップを広げている人が少なくありませんでした。そして駐車場のクルマはほとんどが他県のナンバー。

○余計な話ながら、最近、全国に展開している「丸亀製麺」というのは、実は兵庫県の会社で、丸亀市とはまったく関係がないのだそうです。昨今の情勢から行くと、え、それって偽装表示じゃないの?と言われかねないところながら、なるほどウィキのページで説明を見てみると、微妙な言い回しになっておりますな。地元の人は、「あれは讃岐うどんじゃない」と言っているようです。むべなるかな。


<11月21日>(木)

○本日は名古屋へ。名古屋の用事は、だいたい駅の近くで済むからありがたい。今日はマリオットアソシアホテルで。つまり名古屋駅の真上。助かりますねえ。

○本日は、名古屋における鉄鋼関係の経営者の集まり。いろいろ事情聴取する機会がありました。

○1年前に比べると、確かに景気は明るくなっている。ただし中小企業にはまだ恩恵が行きわたってはおらず、まだまだ過剰設備が続いているのではないか、再編が必要ではないかとの声あり。他方、高炉も今では設備はともかく、人員を絞っているから、余剰はそれほどないのだとの指摘もあった。人手が足りなくなってきているという話は、ここでも珍しくはないようです。

○自動車産業については、2007年当時のような「導線が伸びきった」過熱感はない。それでもトヨタ自動車は、年間1000万台生産という前代未聞の境地に王手をかけつつある。他方、「下請けを儲けさせてくれないトヨタ」に対する不満も少なくないようである。それだけ国際競争が厳しいのだろうけれども、「国内の設備投資は増やしません」(キッパリ!)なんて言わなきゃいいのに、というご意見はごもっとも。

○一方で、来年になれば気持ちも緩んできて、じょじょに国内向けの設備投資が増えるんじゃないかとの見方にも説得力があると思う。幸いなことに、政治も経済も不透明性は低下している。のど元を過ぎたら、ちゃんと熱さは忘れてもらわないといかんのじゃないだろうか。

○などと、いろんな声はあるものの、とにかく東京から名古屋までを往復してみると、新幹線は明らかに以前に比べて混んでいるし、マリオットの宴会場は満杯である。2007年頃に名古屋支店を作ろうとしてやってきて、その後、リーマンショックとともに去って行った東京の企業が、またまた当地に戻ってきている、という話もある。歴史は繰り返すのか。それとも少しは賢くなっているのか。

○いかにも名古屋らしい意見として、経済面では確かに前進があったが、今年の中日ドラゴンズはまことに不本意であったとの声も。来年こそは、谷繁新監督の下で再起を期すぞとの力強い宣言あり。察するに、星野が仙台でニコニコしているのが気に入らん、的な気分もあるのかもしれぬ。それは分からんではないな。

○そういえば、すっかり忘れていた解禁日のボジョレ・ヌーボーを、名古屋にて楽しむことができました。これはちょっと得した感がありましたな。


<11月22日>(金)

○特定秘密保護法案の衆院通過は、週明けに持ち越されたようですが、ことの是非はさておいて私見を少々。

○やっている当人たちが、「これは天下の悪法ですから」と言っているところが、ワシ的には好感度大である。天下の悪法だが、天下のためには通さなきゃいけないと考えてくれるのは自民党だけである。民主党時代の3年3か月はそれがなかった。国民に好かれることだけ、喜ばれることだけをやりたい人たちの政権だった。国家というのは、それでは困るのである。

○と思ったら、野党も「本当は私も賛成なんですが・・・」と言いたげである。国家に秘密が必要であることを、頭から否定する人はあんまり居ないはずである。「でも、ここが気に入らない」とか、「もっと慎重な議論が必要」などと賢そうに言っている。いわゆる存在感を示したいというヤツだ。でもアンタ、特定秘密を決める第三者委員会なんて作ってごらんなさい。委員の下には、おそらく某国からのハニートラップが送り込まれてくるに違いない。ああ羨ましい、ではない、ああ恐ろしい。

○あれこれ言ってるけれども、「維新」や「みんな」はつまるところ賛成したくて仕方がないように見える。まあ、実際そうなんだろうけれども。だんだん「55年体制」下の民社党みたいに見えてきた。そういう意味では、野に下った民主党は、政権に返り咲く気は当面ないと見えて、もちろんその可能性は限りなく低いわけだけれども、旧・日本社会党のポジションを占めつつあるようだ。彼らはさすがにこの法案には賛成できないでしょうな。

○こうなると、確かな野党は日本共産党だけで、日本政治は着実に「55年体制」に戻りつつあるように見える。確か日本には、それ以外の野党も存在したはずであるが、どうにも思い出せない。まあ、どのみち大勢には影響がないから良しとすることにしよう。


<11月24日>(日)

○特定秘密保護法案についての続きです。

○私見によれば、政府が法案を急いでいる理由は2点あって、ひとつはNSC法案とセットだということである。日本版NSCが間もなく誕生し、来年4月からは予算もついて、正式に活動を開始する。ところが、「お前には言えないなあ」と言われてしまっては困るということである。日米のインテリジェンス協力ができないというのでは、せっかくNSCを作った意味がない。安倍政権としては、せめてポーズだけでも、防諜体制を強化しているところを見せたいという事情がある。

○もうひとつは、東京五輪招致が決まったことがある。政府としては、テロ対策に全力を挙げなければいけない。ところが、国際的なテロ関連情報をアメリカに出してもらおうと思ったら、これまた「お前は秘密が漏れるからなあ」と言われてしまいかねない。なにしろ「日本人は秘密を守れない」ということは、1971年のキッシンジャーによる日本の頭越し外交の時代から定評のあることですので。

○誤解を避けるために言っておきますが、日本の公務員はわりと口が堅い方でありまして、最近ではたまにメモワールを書いて全部ばらしちゃう人が居ますけど、昔はそれこそ墓場まで持っていくのが普通でした。日本人で口が軽いのはもっぱら政治家なんですよねえ。ところが議員さんは憲法で身分が保障されているものだから、秘密を漏らしても罰することができない。この点は今回もスルーされていて、残念なことだと思います。

○日米間のインテリジェンス協力については、2000年10月の「第1次アーミテージ・ナイ・レポート」が6つの項目のうちの一つとしてわざわざ取り上げています。全文をご覧になりたい方は拙訳をご参照ください。あのときは、@政治、A安全保障、B沖縄、C諜報活動、D経済関係、E外交関係、という構成になってました。懐かしいねえ。こんなことを書かれているんです。


日米間のより緊密な情報関係には、両国の政治的な支援も必要となる。この観点から、日本は以下の数点の措置を取る必要がある。

● 日本の指導者層は、機密保持のための新たな法律について国民的、政治的支持を得ることが必要である。

● 諜報能力の改善は日本の政策決定の支援体制を改善することになるが、日本の指導者たちはみずからの意思決定プロセスをも改善する必要がある。諜報の共有は日米間だけではなく、日本政府内でも行われるべきである。

● これまでの経験からいって、諜報プロセスにいかに国会を含めるかについての議論が必要である。民主主義国家における諜報の監視は、政治的な支持を維持するにあたり決定的に重要な要素である。

要するに、日本が将来の防衛の必要性を論じ、行政改革に取り組んでいる今こそ、いよいよ日米の諜報協力を箪笥から取り出すときが来たということである。


○呆れたことに、上記の部分の前段も、今読んでも全く古くなっていない。お暇な方は通読してみてくださいまし。なにしろ13年も前に、「日本との戦略的な諜報協力は遅きに失したといえる」とか、「日米の諜報部隊では規模が大きく違っているので、より均衡の取れた分担をするためには時間がかかるだろう」とか、「米国は、日本が自前の情報衛星を含む、独立した諜報能力を開発したいという合理的な願望を支持すべきである」などと見通しているのである。アーミテージ・ナイ・レポート恐るべし。

○こんなことを言われたのが今から13年も前のことで、この間、日本の歴代の政権は分かっていながら問題を先送りし続けてきた。逆に世界では、9/11テロがあったり、インターネット革命があったり、ウィキリークスが登場したりと、インテリジェンスの世界はどんどん先に進化していった。2000年当時から全く変わっていない日本は、何週も遅れているランナーということになる。アメリカ側から見れば、「今頃何をやってるんだ」てな感じでありましょう。

○でもねえ、長期政権だった小泉首相も、基本的に内閣記者会を敵に回さないようにやってましたから、この問題には手を付けなかったんです。この間に、イラク戦争とか北朝鮮核開発とかがあると、マスコミは「日本政府はもっと情報収集に力を入れよ」と言うのでありますが、そこで政府が「じゃあ本気で諜報活動をやりますから、秘密保護にご協力を」と言うと、彼らは「それは国民の知る権利(≒マスコミの既得権)が危うくなる」といって反対するんですよねえ。

○幸か不幸か、マスコミへの信頼感がこの10年くらいでずいぶん落ちましたので、今度の法案が通りそうな感じになっている。通せるものなら、通した方が良いのではないだろうか。少なくとも「拙速」ではないと思うぞ。


<11月25日>(月)

○今日は京都へ。京都新聞の政経文化懇話会にて。あいにくの雨天だったが、今日の都の紅葉は今が盛り。観光客もとても多くて、ホテルはとても予約できないので、滋賀県に宿泊するとか、どうかすると名古屋から通う人が居るとか、とにかくとんでもない人出であるとのこと。

○今年は外国人観光客が増えている。そのことを最も実感できるのが京都であろう。先日の高松市の栗林公園でも多数見かけたが、中国人の団体さんもいつの間にか復活している模様。間もなくリッツカールトンとフォーシーズンズが京都で開業するとの話もあり、そういえばなぜ今までなかったんだろう。

○地元の方に聞くと、昔の紅葉は11月中旬がピークであったが、最近は12月第1週くらいになっているとのこと。たぶんに日本全体が暖かくなっているからだろう。また、「昔は全体が黄色に染まり、それから赤に染まったものだが、最近はどちらともはっきりしないことが多い」とのことである。確かに今日は、黄色と赤と黄緑色が微妙に混ざり合っていたように思う。これも温暖化のせいだろうか。

○それでも雨に煙る紅葉は美しい。何と言っても京都の場合は、神社仏閣の黒い瓦があるから、紅葉の鮮やかな色が映えるのでありますな。西本願寺の広大な建物との対比で、しみじみと古都の風情を堪能した次第。


<11月26日>(火)

○先日読んだ『軍師の門』があまりにも「外れ」だったので、今度はアンソロジー、作品社の『黒田官兵衛』を買ってきた。これは何と、菊池寛、鷲尾雨工、坂口安吾、海音寺潮五郎、武者小路実篤、池波正太郎の6人が書いた「黒田官兵衛」のストーリーを集めているスグレモノである。いずれも短編ばかりだが、さすがに戦争を知ってる世代が書くと、戦国時代にはリアリティが出てくる。というか、そもそもこのクラスになると、小説家としての力量がまるで違う。

○池波正太郎なんてアナタ、書き出しがこうですぜ。(智謀の人 黒田如水)


慶長五年晩夏の或日のことである。


○いきなり池波節炸裂じゃありませんか。でもって、登場する中津で隠居中の黒田如水の最初のセリフがこうである。


「あのな、大坂から珍しい菓子が届いたゆえ、お前らにも持って来てやったぞよ」


○もう、目の前に官兵衛さんが立っている感じである。いやあ、すばらしい。小説というものは、こんな風でなければならない。これはもう読み出したら止まらない。

○長編の官兵衛ものとしては、吉川英治の『黒田如水』、松本清張の『軍師の境遇』、そして司馬遼太郎の『播磨灘物語』がある。3冊を比較すると、松本清張はハッキリ一段落ちる。当たり前か。吉川英治は『新書太閤記』を、司馬遼太郎は『新史太閤記』を書き、いずれも寄り道して官兵衛を書きたくなってしまったようである。ワシは中学生くらいの頃に、両作品を読んで「官兵衛ファン」になった。その頃は、官兵衛さんはあんまり知られてはおらんかったのである。

○どうもNHKの『その時歴史が動いた』で、「秀吉に天下を取らせた男〜戦国最強のナンバー2」(2003年10月1日)で、松平定知さんが思い切り力を入れて紹介した頃から、有名になってしまったんじゃないかと思う。戦国時代研究も、この20年くらいでずいぶん進化したようですし。(例えば、谷口克広氏の貢献度は高いと思う)。それに「歴女」なんて昔は絶無でありましたからなあ。

○特に日本人は、「ナンバーツー」とか「参謀役」が好きであるらしく、平和な世の中になればなるほど官兵衛的な人のファンが増えるらしい。NHK大河ドラマは、これで2007年の『風林火山』(山本勘助)、2009年の『天地人』(直江兼続)に続いて、2014年は3度目の「軍師もの」である。でもね、たぶん戦国時代には「軍師」なんて言葉はありませんからね。あれはきっと江戸時代になって、中国の小説から伝わった概念ですから。それどころか本書によれば、戦前にかかれた小説には、「軍師」という言葉は全く出てこないそうで、菊池寛などは官兵衛のことを「謀将」とか「参謀」と記しているようです。

○何度も言っておりますように、黒田官兵衛は戦国武将であって軍師などではありません。家族に愛され、多くの部下を育て、領民に慕われた武将なんでありまして、そっちの方を評価してあげないといけません。どうも世の中が平和になって、戦争を知らない世代ばっかりになってしまったために、軍師風情にされちゃったんじゃないかと。古い官兵衛ファンとしてはその辺が気になっておるのです。


<11月27日>(水)

○すいません、またしても一発ギャグであります。

●猪瀬都知事   「5000万円は個人的な借入金であります」

●滝川クリステル 「お・も・て・な・し」(表なし=裏)

○いやあ、しみじみ東京五輪招致が決まった後でバレて良かったねえ、としか言いようがない。

○金利も返済期日も決まってなくて、担保もなくて、借用証に収入印紙も貼ってなくて、現金の授受であるから銀行口座に跡も残らなくて、貸した人から催促される気遣いもなくて、税務署も全く気づいていなくて、なおかつ額面が5000万円・・・まるで夢のような借金でありますねえ。ハッキリ言って、限りなく贈与に近いんではないだろうか。ああ、あやかりたい。

○そんなお金を貸す方も問題で、個人のマネーならともかく、組織のマネーだったら確実に背任ですな。「おもてなし」度が過ぎるというものです。

○さて、以下は来週月曜日に発表予定の「2013新語・流行語大賞」に対する本誌見解であります。

●大賞:お・も・て・な・し

●トップテン:PM2.5、DJポリス、ご当地キャラ、倍返し、今でしょ、じぇじぇじぇ、アベノミクス、3本の矢、ブラック企業

○一方でオヤジ世代としては、全然知らなかった「激おこぷんぷん丸」なんて言葉にもつい惹かれてしまいます。若者言葉って、いつも面白いですなあ。


<11月28日>(木)

○消費税を負担するのは国民ですが、納税するのは事業者であります。「私は消費税を払っています」という人は100%だけれど、「納めています」という人はかなり少ないはずである。だから消費税については、皆が知っているつもりであるけれども、意外なほど知られていないことがある。

○現在の消費税5%は、国が4%、地方が1%に分けられている。だから納税の時には、わざわざ2つに分けて計算することになっている。それが8%、さらには10%になるとどうなるのか。このページを見ると、8%のときは国税6.3%と地方消費税1.7%に分けるのだそうですね。さらに10%になると、国が7.8%で地方が2.2%になる。うーむ、端数が出るなんて、なんでそんなに面倒くさいことをしたんだろう。もっと切りのいい数字にしてくれれば計算が楽なのに。

○しかも国税のうちの一部が、地方交付税分となることが決められている。今は1.18%なので、地方消費税と合わせて2.18%が地方の取り分である。それが8%になると1.4%となり、10%になると1.52%になるんだそうだ。これまたややこしい話である。

○消費税のうち、地方の取り分が増えることは、多分方向としては間違っていないのだろう。だが、結果として何が起こるかといえば、東京都の独り勝ちということになるのではないだろうか。この記事を見ると、東京との地方消費税は2015年秋には4000億円増えるのだそうだ。しかも東京五輪はあるし、お台場カジノも実現するかもしれない。とりあえず都道府県別の税収の格差は広がるでしょうな。

○ところが、東京都知事の命運は早くも風前のともしびで、次の選挙はいつになるのやら、みたいな話になっている。さすがに弁護する人はいませんわなあ。来年早々にも、東京都知事選挙があるかもしれません。しばらく国政選挙がなさそうな状況下にあっては、良い暇つぶしになるんじゃないかなあ。とにかく、誰が立つやらまるで見当がつかない。


<11月29日>(金)

○サンプロ時代にお世話になった高世仁さんのブログをよく見るのだが、その11月25日分に特定秘密保護法案に関する興味深い記述がある。


Hさんによれば、メディアに責任があるのは当然だが、メディアへの国民からの冷たい目線を感じるという。メディアやジャーナリストらが法案に反対しても、「困るのは、お前らの商売に関わるからだろ」という空気があると。

「僕らが反対すればするほど、世間は反発するみたいな、変な空気を感じます」。

まったく同感だ。

そして、この背景には、3.11以降のマスコミ不信があるのではないかとも思った。

脱原発のデモなどをテレビが取材していると、デモ参加者から「あんた方、ちゃんと本当のことを報道してんのか」と揶揄されたりする光景をよく見る。以前は右翼がマスコミに悪態をついたものだが、いまは右も左もマスコミには冷笑的だ。

これほどメディアが国民からの信頼を失った時代はなかったのではないか。

メディアの存在意義が感じられなくなるとは、こわい時代である。


○高世さんには申し訳ないけれど、「今頃やっと気づいたか」と思ってしまった。国民の信頼を失っているのは、「職業としてのメディア」であろう。つまり大新聞やテレビが愛想をつかされている。それは別段、怖い時代でもなんでもない。「あんたらはジャーナリストじゃなくて、所詮は会社員なんだろう」と見透かされてしまったというだけのことだ。

○大新聞が、「国家百年の計のために消費税増税は必要だ」と社説で謳いながら、「でも新聞には軽減税率をお願いしたい」と言うのである。これに対して自民党税調が、「わかりました。われわれとしては食品も含めて、一切軽減税率は認めるつもりはありませんが、新聞だけ認めることにしましょう」と言ったら、二度とお願いに来なくなったそうである。そんな手合いが、何を言っても説得力はないでしょうが。

○今はネットがある。仮に公務員が、「これは国民のために、ぜひとも明かさなければならない」と考える秘密があったとしたら、別段、大新聞の手を煩わせる必要はない。匿名ブログで書けばいいだけの話だ。ウィキリークスやスノーデン氏のことを考えてみればいい。それから2010年の尖閣問題を巡るビデオは、ユーチューブで世間に広がったことは記憶に新しいところだろう。ワシントンポストがディープスロートを確保したお蔭で、ウォーターゲート事件が暴けた、なんて話は1970年代のことである。今は秘密を守ることがとっても難しい時代になってしまったのだ。

○ということで、「僕らが反対すればするほど、世間は反発する」というのは、悪いけど当たり前だと思う。有権者の意識はけっして間違ってはいない。プロのジャーナリストだったら、「俺たちの既得権を守れ」なんて恥ずかしくて言えないはずだと思うのである。


<11月30日>(土)

○昨年に引き続き、御殿場にて若手財務部社員の研究発表会につきあう。今年のテーマは、「新興国の企業を買収する」というもの。これをグループ別で研究し、いろんな提案が行われる。

○例えば、インドネシア最大の民間セメント会社を買収するにはどうしたらいいか。かなり無理目の案件になるのだが、魔法のようなスキームが繰り出されて、なおかつ財務諸表も悪化しません、という。ちゃんと前例があるのだと聞いてさらに感心する。世の中にはいろんな知恵があるものである。そうかと思うと、将来の金利上昇に対してどのように備えるべきかという提言があったりする。なるほど、実務家はそんな風に反応するのかと、これまた感心する。「風呂屋の釜」(ゆうばっかし)のエコノミストは、いい加減なものだなと少し反省する。

○短い時間でずいぶん勉強させてもらったが、今年は自家用車で往復したのでちょっと消耗した。帰りの東名高速は2つの事故が重なって大渋滞。4時間超はさすがに疲れる。でも、行きは天気が良かったので、富士山をたっぷり見ることができました。









編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki