●かんべえの不規則発言



2011年3月






<3月1日>(火)

○不肖かんべえは頭が固いので、革命なんてものは信じない方である。エジプトのケースも、実態は軍による宮廷クーデターと考えた方が正確ではないかと思っている。しかしこれを見て、「ああ、今回エジプトで起きたことは、中東版の1968年だったのかも」という気がしましたな。

http://www.youtube.com/watch?v=SJgjIsfPKmE&feature=player_embedded 

○流れてくる歌は限りなくポップス調であるし、背景にあるのは西側の若者たちのような抗議行動である。イスラムにもアラブにも見えない。ムバラクを権力の座から追い払ったのは、反米とも原理主義とも無縁な運動だった。それを起こしたのはエジプト版「今風の若者たち」で、それこそネットやユーチューブやフェースブックと親しんできた世代なのだろう。ことによると、2009年6月4日にカイロ大学でのオバマ演説を聞いて、インスピレーションを受けた人だっていたかもしれない。

○アメリカでも欧州でも日本でも、戦後生まれのベビーブーム世代が20歳くらいになった頃に、学生運動の季節があった。アメリカではベトナム反戦デモがあり、パリの若者はカルチェラタンの敷石を剥がし、全共闘の学生はゲバ棒を振るった。それと同じことが、エジプトでも起きたのではないか。なにしろ中東は、1970年代以降に人口爆発が起きていますので。(そうだとしたら、やっぱり中国や日本では、SNSがあってもジャスミン革命は起こらないことになる)。

○ちなみに日本の怒れる若者たちは、祭りの季節が終わった後は、折りからの経済成長のお陰もあって、しっかり企業社会に取り込まれていった。では、エジプトの場合はどうなのか。意地悪で言うわけではないけれども、どうも彼らの未来は日本の団塊オヤジたちほど恵まれてはいないんじゃないだろうか。少なくとも、「退職金も年金も逃げ切りでラッキー」てなことはあり得ないと思うぞ。


<3月2日>(水)

「防衛大学の山口先生のプロジェクトで、沖縄研修に行くんですよ。ええ、米軍基地を見学してくるんです」

○先日から、こんな風に正直に白状するたびに、自分に対して白い視線が向けられるような気がしたのは、きっと気のせいばかりではないのだと思う。だって、こんなに虫のいい出張があるだろうか。この季節に行き先が沖縄ですぜ。イェイ。とりあえず、しばし花粉症とおさらばできることだけでもありがたし。

○ということで、沖縄の那覇市に来てしまいました。すぐ近くのホテルで、夕刻からこんなセミナーが行われている。パネリストはおなじみの顔ぶれだけど、同じ安全保障問題でも語る場所によって変化するもので、東京と沖縄と北海道ではそれぞれに意識も関心も違う。客席から、「アメリカの財政制約を考えると、防衛予算の削減は相当に進みそうなので、米軍基地の問題も先行き不透明じゃないでしょうか」と質問してみる。いろんな反応があって面白い。

○終了後にレセプション。元NHKのMさんが大学教授になって、沖縄取材中だったのは驚きました。それから、伊豆見先生がこんなことを言ってましたよ。

「尖閣諸島の問題で、日本が動くなら今がチャンスだ。中国はジャスミン革命が怖いし、今週末は全人代もある。反日デモは起こせない状況だ」

○なるほど、誰かが上陸して燃料を投下するなら、今週末あたりがチャンスのようです。石原都知事、いかがでしょうか?

○それから、松尾文夫さんからお噂をうかがっていた、地元・琉球大学の我部教授とお話しできたのも光栄でした。しかも泡盛のオンザロックをご馳走になってしまいました。申し訳ないです。沖縄は懐が深いです。

○こちらへ来る途中、『新書 沖縄読本』(下川裕治+仲村清司:講談社現代新書)を読了しました。重い内容です。リーマンショック以降、空前の沖縄ブームは陰りを見せており、沖縄に恋して本土から移住した人たちも、さまざまな問題に直面しているという。ファストフード化が進んで肥満率が上がり、沖縄が「長寿の島」でなくなりつつあるとか、高校野球で沖縄代表がとても強くなった理由だとか、沖縄本島から遠く離れた八重山諸島の現実とか、いろんな沖縄の「今」を伝えてくれる。やるせない話が多いのだけど、だからといって決定的に暗くなることもない。こんな一節が心に残る。

「沖縄が楽しいときは同時にニッポンも楽しいし、沖縄が悲しいときはニッポンも悲しいのである」

○悲しいニッポンのニュースが多い昨今でありますが、どうやったら沖縄を楽しくすることができるかを考えてみたいと思います。あと2日ほど、お付き合いください。

○もう1冊、持ってきたのは『評伝 若泉敬』(森田吉彦:文春新書)です。これも重い。ホテルの部屋に戻り、「元祖さんぴん茶」を飲みつつ、もう少し読んでみましょう。


<3月3日>(木)

○わざわざコートを置いて出てきたのに、今日の沖縄は肌寒いです。天気も悪い。なおかつ、RIPS(平和安全保障研究所)のご一行が来ているので、当「同盟プロジェクトチーム」(まるで昔の組合みたいな名前である)と合わせて、日本中の安全保障の大家が大挙して押し寄せている感じである。

○嘉数高台公園というところの展望台に登ると、テレビなどでよく見る普天間基地の光景が広がっている。少し角度を変えると海が見え、豪華なラグナガーデンホテル(昼飯、旨かった)が見える。那覇からもとても近い。よく「住宅密集地の中に基地がある」と言われるが、戦後の沖縄は人口が急増したので、今では島の南部全体が住宅密集地になっており、その中に普天間などの基地が含まれている、というのが実態に近いのではないかと思う。

○そこから少し北に行ったところが嘉手納基地である。沖縄防衛局の屋上からは、極東最大の米軍基地の光景が広がる。3700メートルの滑走路が2本あり、羽田の1.5倍というから本当にでかい。ここもすぐ横には海が見える。沖縄戦において、米軍はここから上陸し、最初にこの一帯を確保したのだそうだ。そこから南方の日本軍に向かって攻勢に出た。

○こんな風に、細長い島の中に基地がある。県全体で、基地施設の借料として支払われている金額は年間930億円(平成22年度)。これだけのキャッシュが4万2000人の土地所有者(軍用地主)に落ちる。いちおう一坪反戦地主を除いた数字である。その9割にあたる3万7000人分の契約が平成24年に切れるので、賃貸借契約の更新をしなければならないとのこと。仮に「基地のない沖縄」を目指すとしたら、代わりに「1000億円規模の利益が地元に落ちる産業」を作り出す必要がある。「売り上げが1000億円」ではダメである。ちょっと気が遠くなるような数字。

○イエス、ノーをはっきり言わないのが沖縄の人たちであり、それは狭い島で生きていくための知恵でもある。その沖縄県民が、こぞって「県内移転にノー」を言っている事実は重い。それを全体主義と呼ぶ人もいるみたいだが、そうなるのも無理はないと思う。「島の中には逃げ場がない」のである。(逆に言えば、都会で生きているものにはいくらでも「逃げ場」がある。そういう人たちが、都会暮らしに疲れて癒しを求めて沖縄にやって来る、というのも、考えてみればなんだか変な話である)。

○他方、「海兵隊にとって、ヘリコプター基地は1塁ベースのようなもの。県外じゃ話にならない」という話も聞く。結局、何も変わらないのだが、おそらく今のアメリカの財政事情を考えると、向こう10年で防衛予算はどれくらい切り込まれるか見当もつかない。極端な話、グァム移転の中止だとか、アジアから全面撤退とかも言い出しかねない。向こう10年くらいの東アジアの安全保障を考える際に、これこそ最大のリスクだと思う。ホントは今のうちに基地移転を進めるのが得策だと思うのだが。

○ということで、今日は陸自第15旅団を訪問し、普天間基地を見て、沖縄防衛局を訪れ、嘉手納基地を見て、夜はにセッションがあって、何か話せと言われて焦り、でも中国のジョークが受けたので気を良くし、締めはまたまた泡盛ロックである。そのままつぶれて、夜中に起きだしてメールの山に返事を書き、明け方にサイトの更新。なんだこれは。世間では優雅な出張だと思われているはずなのだが。午前6時を過ぎたが、沖縄はまだ夜明け前である。


<3月4日>(金)

○世の中に難しい問題は数々あれど、普天間基地の移転問題も非常にレベルの高いものでありましょう。世の中にはさまざまな悪徳があって、傲慢とか、怯懦とか、強欲とか、我が身かわいさとか、助平根性とか、小賢しさといったいろんな要素がちょっとずつ重なって、それらを解きほぐそうという善意や知恵や誠意もあるのだけれども、最終的には身動きが取れないようになっている。エメラルドグリーンの辺野古の海を前に、関係者のブリーフィングを聞きながらしばし呆然としてしまいました。

○あらためて当初からの経緯を聞いてみると、守屋元事務次官が最初に主張したという「キャンプシュワブ陸上案」が一番いいように思える。が、それが鎧袖一触で退けられ、沖合の軍民共同空港案が出るも妨害活動にあって頓挫し、やっと辺野古埋め立てV字型滑走路ということに落ち着いた。しかるにこの案が、鳩山前首相の言動によって「ちゃぶ台返し」となり、今ではにっちもさっちもいかなくなっている。ふと、こんなボヤキが口をついて出るところである。

●誰でもすぐに思いつくようなシンプルな案は、解決策にはつながらないものである。(かんべえの法則その1)

○行政側としても、いろんな努力を続けているわけだが、いかんせん小粒な対応策が多くて、かえって関係者の反発を招きかねないようなことになっている。中東における専制政権の末路を見ても同様な構造があるのだけれど、硬化した民意に対する中途半端なご機嫌取りは、かえって状況を悪化させてしまうものなのだ。

●値引きや妥協は一度に大きく。小出しの譲歩は感謝してもらえない。(かんべえの法則その2)

○となると、ついつい犯人捜しをしたくなるわけで、「鳩山さんが寝た子を起こした」という批判にたどりつく。沖縄の人たちにとっては、基地は昔からあるわけだし、騒音にも慣れてはいるのだけれど、ふとしたはずみに自らの不条理に気づき、不幸な歴史に思いが至ると、ヤマトンチューへの怒りがこみあげてくるということがある。しかるに「寝た子を起こした」という人は、「この子はまた寝てくれるかもしれない」というそこはかとない期待を抱いているように思える。そういうところが、ますます怒りを深めてしまうわけであるが。

●人は怒りや驚きといった感情はすぐに忘れてしまうが、恨みや畏怖といった感情はしぶとく残るものである。(かんべえの法則その3)

○説明のうち、かなり多くの部分を占めているのが「ジュゴン」の話である。天然記念物であるから、大切にしなければならないのは当然だが、沖縄本島で確認されているジュゴンは3頭しかおらず、それも辺野古に定住しているわけではないのだそうだ。地元の漁師さんたちは、ジュゴンなんて見たことないと言っているらしい。だとしたら、ジュゴンの餌になる海藻を守るために、埋め立ては許されないという理屈はいったいどういうことなのか。

●話が本当に煮詰まってくると、人はつい細かな問題に全力投球するという錯覚に陥りがちである。(かんべえの法則その4)

○辺野古から大浦湾を挟んで、反対側にはカヌチャベイリゾートがあって、これはあっと息をのむほど美しいホテルである。(たしか藻谷浩介氏が激賞していたはず)。一説によれば、この上を海兵隊のヘリが飛ぶのはいかがなものかということになって、V字型案が浮上したのだという人さえいる。反対側から代替基地の建設予定地をぼんやり眺めつつ、どんな手法であればこの問題を着地せしめられるかと考えてみる。やはりゴルディアスの結び目の故事にちなみ、強力なリーダーシップの発揮という可能性を考えたくなる。

●最終的に物事を解決してくれるのは、巧妙な知恵よりは強力な個性であることが多い。(かんべえの法則その5)

○近年の日本国首相の中では、もっともそういうことを得意とした小泉首相をもってしても、この問題については判断を避けていたようなところがある。それではどんな首相だったら、「あの人が言うんだったら仕方がない」と周囲を納得させてくれるかというと、そんな大物は当分現れそうにないというのが正直なところである。ということは、当分はお役所仕事が続くということになる。が、それはそれで、そんなに悪いことではないのかもしれない。

●難問に対する知恵もリーダーも出ないときには、案外と時間と惰性と既成事実が味方になってくれるものである。(かんべえの法則その6)

○実をいうと、埋め立てはまったく進んでいないのだが、普天間基地の人員を移す米軍の宿舎などは着々と工事が進み、キャンプシュワブ内にどんどん完成しつつある。もしも辺野古への移転が白紙撤回となると、これらの施設は全部無駄になってしまう。と言うと、まるで八ツ場ダムみたいだが、最後の最後になったら「ここまで作っちゃったんだもの、しょうがないでしょうが!」と言い張って、納税者の理解を得るしかないのではないか。

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○ということで、本日は辺野古を見学し、キャンプ瑞慶覧の海兵隊司令部を訪れて意見交換した。一日を終えて、いやあワシは何にも知らんかったのだなあ、と恥じ入ることしきりである。で、問題は少し理解できたとして、物事を前進させるために何ができるのか。せめて経済振興策ぐらい、何かアイデアを出せないものか。

○今回の同盟プロジェクトというのは、「日米同盟」と「米韓同盟」という2つのアライアンス関係者の合同チームであり、日本と韓国の安全保障専門家が集結している。今宵は一行で那覇の国際通りに繰り出し、公設市場の2階でシーフードを買って調理してもらったり、ダーツバーで日韓対抗戦をやったりして盛り上がった。独島を賭けろとか、サムソンを寄越せとか、互いに無茶を言いつつ引き分けに終わったのは、「トライラテラルの協力」を考える上では良かったかもしれない。

○なお、韓国には日本とほぼ同じ「じゃんけん」があり、「王様ジャンケン」によく似たゲームもあり、「あっち向いてホイ」もあることが確認された。「麦か米か」という遊びもあって、これは当方にとって初耳であった。そして3日連続で、「先発は生ビール、中継ぎが泡盛ロック、抑えにさんぴん茶」という継投策をとり、最後はこっそり一人で締めのラーメンまで行ってしまったのであった。昔からずっとそうなのだが、国際会議をやると太ってしまうのである。


<3月5日>(土)

○ここに古い新聞記事のコピーがある。1969年8月27日、朝日新聞の「特集・基地沖縄」である。「沖縄おおう巨大基地」という見出しの下、沖縄本島の地図とそこにある米軍基地すべてが記入されている。全部で5ページある特集の3ページ目には、シオノギ製薬のポポンSの広告があって、とっても若い顔をした仲代達矢が出ているところに時代を感じさせる。以下、少し大きめの活字を拾ってみると、こんな見出しが続く。

「戦じんにおう”兵器庫”基地の島ありのまま」

「陸軍 ベトナム支援を果たす」

「海軍 目みはる施設増強」

「海兵隊 再び常駐への準備」

「空軍 前アジアへ出撃の体制」

「変化する基地機能 極東の紛争に待機 ベトナム支援から転換 中国・北朝鮮を志向」

○当時は沖縄返還の3年前。米軍占領下の沖縄がどんな風になっているかは、まだ軍事機密の向こう側にあった。なにしろ冷戦の最中であり、ベトナム戦争も行なわれていた。「沖縄は今、こんなことになっている」という朝日のスクープは、当時の日本人にとってショッキングなものであったはずである。おそらく米側は、のちのちのショックを避けるために、事前に地図をリークする必要性を感じたのであろう。

○変わり果てた沖縄の姿、ということになるわけだが、一方で別の見方もできる。1945年の沖縄戦では20万もの人命が失われ、島は文字通り灰燼に帰した。ところがそれからの四半世紀で、なんと膨大な投資が行なわれたことか。当時のドルは、世界で唯一のハードカレンシーであったし、1ドル=360円の価値があった。基地が作られるときは、電気、ガス、水道、道路、あるいは病院などの生活インフラも作られる。ひょっとすると米軍がやったことは、沖縄本島の歴史上初の大ケインズ政策であったのかもしれない。

○そもそも島嶼部の経済には、「極小性、拡散性、辺境性」という3条件が働く。人口が少ないから貯蓄が増えにくいし、運輸や通信にもコストがかかる。グローバル化時代になっても、規模のメリットが働かない。気質的にも刻苦勉励型、とはなりにくい(沖縄県民も基本は草食系である)。つまるところ島の経済を良くするためには、どうしても外部に頼らざるを得ない。言いにくいことだが、60年代までの沖縄は基地だらけになってしまったことで、経済的な追い風を受けたのではなかったか。

(もちろん、だからといって沖縄はアメリカに感謝しよう、という話にはならない。むしろ逆であろう。それは植民地時代の日本が韓国でやったことと同じであって、むしろ反感を買う性質の行為である。植民地におけるインフラ投資とは、確かに目に見える資産を残してくれる一方で、心理面ではぬぐいがたい反感という形で負債作ってしまうものである)

○さて、本土復帰後の沖縄では公共投資が盛んに行なわれたし、沖縄海洋博やサミットの会場になったりもした。しかるに軍事を超えるケインズ政策なんてものはない。沖縄の経済支援策、ということを考えると、ここではたと思考が止まってしまう。本土も不景気で、政府の財政にも限りがあるという時代になって、島嶼部経済にどんな支援をすることができるのか。

○沖縄振興特別措置法という法律があって、これが2012年3月で期限が切れることになっている。1972年の本土復帰以来、10年ごとに延長されてきたものだ。これをどうするのか、という議論が間もなく始まるだろう。普天間の辺野古移転問題とも、当然リンクしてくるはずである。それはさておいて、沖縄経済の支援策とはいかにあるべきものなのか。カジノを作る、というのもいいとは思うが、それだけじゃ足りないだろう。さて・・・?


<3月6日>(日)

○自宅のタンブラーに氷を入れて、国際通りで買ってきた琉球泡盛小瓶3本セットを空け、深夜に一杯飲んでみる。旨い。が、どこか違うような気もする。やはり沖縄の気候、沖縄の風土で飲んでこその泡盛なのであろうか。そういえば、今日は外出した瞬間に、くしゃみと鼻水が止まらなくなった。夢のような沖縄出張の日々は終わり、今週は浮世の義理がてんこ盛りになっておる。さて、どないしょ。

○とりあえず日常への回帰を果たしつつ、その上で日米同盟や沖縄の問題を考えようと思っていたら、前原外務大臣が辞任だそうだ。おいおい。こちらは先週の予算委員会なんて見てないから、聞いてビックリである。それにしても、後任をどうするんだろう。

○こんな調子では、外交やら安保政策やらを考えるのが空しくなってしまうが、これがわが国の現状なんだから仕方あるまい。戦場が衆院から参院に変わっただけで、一気に政局は加速している。今週も慌しいことになりそうだ。


<3月8日>(火)

○飽きずに沖縄の話をもう少しだけ。

○その昔、旅行代理店の宣伝コピーで、「でっかいどう」(北海道)、「大きいなわっ」(沖縄)という作品があった。今から考えるとただの駄洒落だが、それなりにインパクトがある広告であったと思う(だからワシなんぞが今でも覚えている)。

○で、これも駄洒落なんだけど、沖縄で米海兵隊が出している情報誌が『大きな輪』という。ちゃんと日英両文で書かれていて、現物はこんな感じです。しっかりした機関紙なのです。

2010年冬号(PDF)

2010年夏号(PDF)

○先の防衛大綱においては、「南西諸島の防衛」という課題が焦点になった。ところが南西諸島とは文字通り「大きな輪」で、とにかく広いのである。九州南端から台湾にかけての島々(中国がいう第一列島線)には、ちょうど本州が丸ごと入るほどの距離がある。仮に本州をそのまま移動させて、下北半島を九州の南端にくっつけたとすると、ちょうど山口県下関が台湾にくっつく。で、主な島々は以下のような配置となる。

●奄美大島は山形県あたり。

●沖永良部島は新潟県長岡市あたり。

●沖縄本島は長野県あたり。ただし面積は12万haと小さく、琵琶湖2個分くらい。

●宮古島は兵庫県淡路島あたり。

●石垣島と西表島は四国あたり。

●尖閣諸島は島根県沖。

●最西端の与那国島は山口県岩国あたり。

○すいません、北大東島と南大東島はずっと東になるので、上記の地図からは漏れてしまいます。ついでに那覇市からの距離をメモしておきましょう。

●鹿児島県大隈半島までは約600キロ。

●北/南大東島までは約350キロ

●尖閣諸島までは約425キロ

●与那国島までは約520キロ

●台湾までは約700キロ

○ということで、ここまで沖縄本島のことばかりを書いてきましたが、沖縄県にはたくさんの島があって、とても広いのです。この地域の防衛警備を担当している陸上自衛隊の第15旅団は、実に東西1000キロ、南北400キロの海域における有人島約50を含む約160の島々をカバーしているとのこと。

○「大きな輪」を少し変えて「大きな和」とすると、ヤマトンチュと同じになってしまう。というか、基本、それで良いのではないでしょうか。全国各地の「噂」を集めたこのページを見ると、なんだかとても身近な存在に思えてきます。

●沖縄の噂 http://wiki.chakuriki.net/index.php/沖縄 


<3月10日>(木)

●かんべえさんが沖縄に行った途端、米国から「ゆすり」発言が飛び出すあたり、「持ってるなあ」と思っております。

○こんなメールを頂戴しましたが、ワシとしても困るのでありますよ。なんて答えたらいいんでしょ。機密公電がウィキリークスで暴露される世の中ですから、オフレコ発言が漏れて世間の指弾を受けるくらいは覚悟しなきゃいけません。当該の日本部長氏は、ちょっと「ルーズキャノン」が過ぎますな。周囲に聞いた感じでは、どうも元々その手の評判があった人のようです。早速更迭されてしまい、後任はラスト・デミング氏となりました。元駐日公使で、このポストにしては大物です。素早いね。

○それにしても、前日本部長氏がたまたま大学で教えていた学生の中に、某日本メディアワシントン支局のスタッフだかインターンだかがいて、思わず授業を聞いたもの同士でノート合わせをして、それがスクープになっちゃったというのは、つくづくツキもなかったですな。内容につきましては、今日のぐっちーさんがこんな解説を書いてくれています。"Extortion"(無理強い、こじつけ、ゆすりetc.)という言葉がどんな文脈で使われたか、なるほど納得であります。

○とはいえ、これでますます沖縄は怒りモードで、県内移転はますます困難になるでしょうが、だとしたら今も辺野古に建設中の関連施設はいったいどうなってしまうのか。滑走路埋め立て用の土砂も、あちこちで探していると言ってましたけど。末端の人たちは、それぞれに最善を尽くしているわけですが、全体として見たら目も当てられないことが行なわれている。アメリカから見たら、「日本全体がextortionだ!」と言われても仕方ないでしょう。

○さて、今週は政局ウィーク。そして花粉症ウィーク。昼も夜も政局情報にまみれて過ごしておりますが、アレルギーの方もきわめて深刻な状況です。夜が更けると少し改善するんで、ついつい昼間はボーっとしてしまい、仕事は夜ということになります。ううう、つらいよぉ。


<3月11〜12日>(金〜土)

<滅多にない経験だったので、この2日間のメモ>

○11日午前:昼以降は忙しいことが分かっていたので、午前中に「溜池通信」の最新号を脱稿。ちょうど12時45分。

○1時10分から全日空ホテルにて某氏とランチ。菅政権はどうしたらいいか、など。

○急いで会社に戻る。2時30分から来社したフジテレビのスタッフと打ち合わせ。テーマはTPPで、日曜の「新報道2001」用。

○2時45分頃に地震発生。17階なので揺れが大きい。図書室の本がわさわさと落ちる。一同テーブルの下に隠れる。

○横揺れが激しかったので震源地は遠いだろうと思ったが、それにしても大きかった。震源地は宮城と聞いて驚く。

○会社全体に避難指示。全員17階から地下1階まで非常階段で降りる。膝小僧が笑う。

○フジテレビのスタッフも慌てて社に戻る。その直後に番組中止の知らせあり。確かに、これではTPPどころの騒ぎではない。

○双日の東京本社社員一同、その場に居るものの無事を確認して、「今日はこのまま解散、帰宅せよ」ということに。

○午後3時30分来社予定の客、午後4時15分からの日本貿易会の研究会などの予定は全部吹っ飛ぶ。あ〜あ。

○電車が動いていないので、仕方なく17階まで階段を登って職場に戻る。携帯も固定電話も通じないが、PCのネットだけは動いていた。

○交通機関が完全に麻痺しているようなので、会社で一泊することを覚悟。ここならトイレもあるし、お茶もある。ただし余震が来るので、ビルはときどき揺れる。

○隣の職場の人が、「メシ行きませんか?」 またしても17階分を下りて外へ出る。赤坂サカスなどの集合商店街は臨時休業状態であった。

○近所の寿司屋に入ったら、エライ混んでいる。皆、考えることは同じか。あっちにもこっちにも見たような顔が。皆、尻が長い。

○同僚たちと、「人は皆、生まれた場所の魚に支配される」などというわけの分からない話をしながら、ジョッキ2杯と梅酒サワー。

○またしても階段昇る。ただしありがたいことに、低層階のエレベーターが1基だけ動いていたので、10階まではラクだった。

○テレビのニュースを見る。暗澹たる状況である。阪神大震災のときもそうだったが、こんなものを2度も目撃することになろうとは。

○会議室のいすを3つ並べて横になって寝る。同期のK氏などは、シャツ一枚になって床に寝ていた。暖房も効いていたので、文句を言ったら罰が当たる。

○12日7時45分、JRが動き始めた、というのを信じて外へ出る。いよいよ帰宅難民へゴー。

○まずはスタバでサンドイッチとコーヒー。『銀河鉄道999』のメーテルの教え、「何が起こるかわからないときは、まず何か食べなさい」を思い出す。

○千代田線は代々木上原と大手町の折り返し運転。とりあえず二重橋前まで行って、東京駅まで歩いてみたら、山手線が動いていなかった。ギョッ。

○そこで日比谷まで歩いて、日比谷線に乗る。「南千住までの折り返し運転」と言っていたが、北千住までは来れた。これで9時30分。

○ところが常磐線は本数が少ないうえに大変な混雑。帰宅難民と地元の人たちとが入れ混じって、警察官も出動してピリピリしている。

○乗り換えをあきらめていったん駅を出て、しばし町を散策。ありがたいことに良い天気であった。1時間後に駅に戻るも、状況はまったく変わらず。

○この日の夜に予定されていた結婚式披露宴はキャンセルとの連絡あり。まあ、しょうがないよね(実は密かに祝辞の内容を考えていたワタシ)。

○柏にたどり着くには、常磐線快速か、千代田線各停か、あるいはTX経由かの3択問題。迷わないように常磐快速に賭けて行列につく。が、まったく動かない。

○電車は20〜30分に1本のペースで到着するが、乗車人数を制限しているので少しずつしか前へ進まない。この状況を我慢している周囲と自分に感心する。

○午前1時半頃になって、ようやく下り電車に乗り込む。もちろんギュウギュウ詰め。が、動いてしまえばこっちのもの。柏に到着。ああ、長かった。


<3月14日>(月)

○沖縄のこと、日米関係のこと、中東のこと、政局のこと、都知事選のこと、etc. 先週まで準備していたことが一気に吹っ飛んで、今の小生はまるで試験のヤマを外してしまって、試験会場で呆然としている学生のようなものです。景気の回復も後ずれはやむなしでしょうね。この1−3月期をボトムに、「足踏み期間からの脱出」ができるかと思ってましたけど。

○でも、世の中には千年に一度かもしれない事態に接して、「今ぞそのとき」とばかりに全力を尽くしている人もいるのですね。東北で救出活動に携わっている皆様、福島の原子力発電所で命を懸けて作業している皆様、あるいは報道の現場に立ち会っている皆様、そして全世界各地からの応援に心から感謝したいと思います。

○改めて思うのですが、われわれの祖先はこういう事態に何度も耐えてきた。地震も津波も台風も、みんなわれわれがよく知っていること。それでも、今日のわが国があるのですから、自暴自棄になっちゃいけない。絶望は愚か者の結論です。

○といって、今すぐできることはたいしてないのです。各自が自分にできることをするほかにない。ということで、今朝の不肖かんべえは、柏税務署に行って確定申告をしてまいりました。もちろん、そのまま銀行に行って、しっかり払いましたとも。


<3月15日>(火)

○今日も聞いていて辛いニュースが多いです。今宵はもうテレビはつけません。代わりにFacebookの中で、友人たちが紹介してくれた「元気の出る映像」を以下の通り並べておきます。

●Japan we are with you(台湾人の心意気)

http://www.youtube.com/watch?v=l5D1nwUlNg4 

●あなたたちは1人じゃない(優しい映像の集大成)

http://www.youtube.com/watch?v=IxUsgXCaVtc 

●祝、九州新幹線全線開通(そういえば3月12日だったのですよ)

http://www.youtube.com/watch?v=UNbJzCFgjnU&feature=player_embedded 


<3月16〜17日>(水〜木)

○こんなときは何をすればいいんだろう、と無力感を覚えることもあるのですが、こういうときは誰もが自分にできる範囲で全力を尽くすほかはない。ここで何を書けばいいのか、というのも悩ましいところで、間違っても流言飛語の類をバラマキたくはない。あるいは不満を述べたり、誰かを罵ったりもしたくない。

○ワシの場合は、本職は経済の予測であるから、それをするのがいちばん妥当なのであろう。昨日くらいから、ちょくちょく見通しを聞かれたりもするので、以下、思うところを書いておきます。本日はどうせ自宅待機だし。


(1)景気

○GDPでいうと、地震の直後から「兵庫県=岩手県+宮城県+福島県」くらいであるから、阪神淡路大震災と比べてどうこう、という議論がしばらく続いた。しかるに今回の被害は相当に大きく、広範囲になっている。交通の麻痺や停電も長期化しそうで、買い控えや自粛なども広がっている。阪神大震災はある程度、地域的な問題であったけれども、今回は全国的な規模になることは間違いない。

○もっとも災害の後には復旧需要が出るので、落ち込みは後で取り返せる、というのがこういうときの常識である。いわゆる「災害に売りなし」というやつだ。景気の見通しとしては、昨年10−12月期がマイナス成長となり、この1−3月から「脱・足踏み局面」というのが大勢の読みであったが、これは半年程度、後ずれすることになろう。電力供給が次第に平常に復帰することを前提にすれば、「外需主導型の緩やかな回復」というシナリオそのものは不変で良いだろう。

○足下の1−3月期はマイナス成長かもしれない。@まず輸出に影響が出る。東北地方は自動車部品やIT産業の基盤が多いし、停電による操業停止も増えている。真面目な話、「1日3時間だけ停電」では半導体などは作れないだろう。A公共投資にも影響が出る。「例年、3月になると道路工事が増える」という経験則は、データ的にも裏付けのある話なのだが、今月後半はそれどころではない。B消費も手控えムードが出ている。関東や東北は当然として、ハウステンボスの観光客がキャンセル、なんて話まである。外国人観光客もしばらく来ないだろう。

○ワシの周りでも、昨日くらいからいろんな予定がキャンセルになっている。強行して迷惑をかけるのは論外だが、できれば「災害に屈せず、なるべく平常どおり」でありたいものである。


(2)為替

○「大災害のときはレパトリで円高」、という条件反射があって、もっぱらそういう説明がされている。この話は少し怪しい。日銀がこれだけ金融緩和をしているときに、損害保険会社が保険金支払いのために、わざわざ海外の資産を売るだろうか。超低金利で借りる方がずっと理に適っている。

○「1995年も円高だった」という議論もかなり怪しい。あのときは1994年末にメキシコ債務危機があって、ドル危機が同時進行していた。あの年は日米自動車摩擦もあって、「日本は外圧をかけても赤字が減らないので、為替レートで調整するしかない」という読みがあった。市場関係者というのは記憶容量が小さいので、「1995年=震災」と短絡してしまう。だが、それが円高の主因ではなかったのである。

○つまるところこの話は、「日本の投資家が外債を買わなくなる→海外資産の買い手が減る→だから円高」と理解する方が良いのだろう。日本は経常黒字国なので、外国への資金の流出が止まると、それだけで円が希少になってしまうのだ。現に日本の個人投資家が好きな豪ドル、NZドルは地震の直後から下げている。普通であれば災害に遭うと、その国の通貨は投げ売りになるはずだが、世界最大の債権国の場合は買われるのである。

○今の円高進行を、「弱り目に祟り目」という声が多いだろう。だが、世界的に資源価格が上がっていて、災害復旧のために輸入を増やさねばならなくなる日本としては、この円高はむしろ良いことではないだろうか。輸出をしたくても、おそらくしばらくは供給力が伴わないだろうし。とにかく、これだけの災害に遭っている国の通貨が買われるという状況は、感謝すべきではないかと思う。少なくとも、円安になって金利が上昇するよりはずっとマシである。

○それでも年度末を控えて70円台は困る、という企業は多いかもしれない。政府による為替介入が正当化できるのは、まさにこういうときであろう。民間部門からの資金還流が進まないときに、政府が一時的にその肩代わりをするのは間違ったことではない。外国政府も、こういうときに敢えて反対はしないはずである。


(3)株価

○日経平均は今日も下げるだろう。3月15日の8000円台はちょっと驚いたが、こういうときの底値は災害の直後には訪れないものである。とはいえ、あまり遠くないどこかでかならずつけるはず。だから買い場はそう遠くないだろう。

○だったら銘柄は何を買えばいいのか?などの相談は他の人にお願いします。投資はくれぐれも自己責任で(以下略)。


(4)対策

○必要な補正予算の規模はエコノミストの間でも諸説あり、少ない人で5兆円、多い人は10兆円超といった感じだろうか。ドタ勘で言わせて貰えば7兆円くらいが頃合じゃないかと思う。むしろこういうときは、規模よりも速度が重要。与野党の協議は昨日くらいから水面下で始まっているようなので、この点は期待したい。この際、八百長でも何でも結構。日切れ法案への目配りも重要である。気がついたら3月31日になっていて、関税やら何やらで民間企業がドヒャー!というのは避けていただきたい。

○増税とのパッケージの議論もあるが、そっちはあまり急がなくても良いと思う。今の東北地方の状態を考えると、消費税増税もすぐには無理だろう。中長期的な財政は確実に悪化するが、当面のことで言えば民間の資金需要はそんなに増えないはずだし。

○最後にこの点はこれから要ご相談だが、日本銀行が「規」を外すようなことがあるとしたら、今ぞそのときではないか。麻生首相はリーマンショックを「百年に一度」と称したが、今回の地震は規模的には「千年に一度」かもしれない。ワシはこれでも「日銀擁護派」の1人のつもりであるし、日銀のこれまでの行動は概ね正しかったと考えているものである。しかるに、こういうときは逆立ちでも何でもしなければいかんのではないだろうか。後世の評価をよく考えて、知恵を絞っていただきたいと切に願う。


<3月18日>(金)

○午前、娘の卒業式に出席する。小学生とはいえ、実にちゃんとしていて、すべてのことが予定通りに進んでいく。卒業証書授与からブラスバンドまで、念の入った練習を続けてきたのだろう。

○それから慌てて出社。これまで難行苦行を続けてきた常磐線が、平常時と同じスピードで走っている。地震から1週間、電力事情は不安があるし、水戸市から先の線路はまだ寸断されていると聞くが、今日から土浦までの運行が可能になった。陰でどれほどの苦労があったのか。頭が下がる。

○時間がなかったので昼飯はマックへ。混雑した時間に、店員たちが手分けして、手際よく客のオーダーをさばいていく。たかがマニュアル労働などと言うなかれ。こんなに士気の高いマックは、世界中どこを探しても見当たらないはずである。

○こんな風に、決まった目標に向けて努力することにかけて、この国は卓抜した能力を有している。無名の人たちがとにかく立派なのだ。今度の震災では、被災した人々が淡々とコンビニの前で行列を作る姿が、海外メディアの感動を誘った。日本のソフトパワーとは、おそらく技術力やソフト力ではなく、そういう民草の真面目さにあるのだと思う。

○ところが福島原発のような異常事態が起きてしまうと、途端に対応が覚束なくなる。決まりきったことをするのは得意なんだが、度胸や応用力が必要な未知の事態になるとお手上げなのだ。特に責任のある地位にある人たちが、腰が引けてたり、保身を図ったり、小賢しいパフォーマンスに走ったりする。ということで、海外メディアの評価も急降下しつつある。

○信じられないことに、某議員からワシのところに「国政報告とカンパのお願い」というレターが届いていた。「東北に義援金を送ってください」ならともかく、このタイミングになんというセンスであろうか。もちろん、そういう「エライ人」を選んでいるのは、「真面目な有権者」であったりするわけなのだが・・・・。


<3月20日>(日)

○大阪の自転車屋さんが単身、仙台まで乗り込んで、無料でパンクの修理をしているのだそうだ。ご本人は「神戸の恩返し」と言っているとのこと。

○こんな風に、無名の人が無類の献身ぶりを発揮するこの国においては、「全世界を相手に1人で立ち向かう」ような孤独な職業になると、途端に人材不足をかこつようになる。端的に言えば、政治家と金融マンとジャーナリストである。現にこの3つの分野で、国際的に通用する人の名前を現役で3人挙げようとすると、かなりの難事業になってしまう。真面目な話、誰かいますかねえ。

○ゆえにこの国の政治と金融とメディアは、国際競争力を有する他の立派な分野(製造業とかアカデミズムとか芸術とかスポーツとか)に比較すると、まことにレベルが低い。幸いなことに、国籍やら言語やらの壁があるために、普段はあまり目立たないで済んでいる。ところが特に今みたいな危機に直面すると、まことに情けない姿をさらけ出してしまう。だって個人として自立できていない人たちが、孤独で非情でリスクのある決断を下せるはずないでしょ。

(実はこの3分野は、ワシの友人・知人が非常に多い業界である。だったら彼らが、「お前が言うな」と怒るかというと、個人的にはとってもいい人たちばかりで、逆に「お前の言う通りだ」などと誉められてしまいそうなところがある。そんな風に、ぬる〜い世界なのである。もちろん、ワシも一部では半分メディアの人と見られているらしいので、立派な同類ということもできるのだが)。

○だったらどうしたらいいのか。福島原発の問題で言えば、やはり東京電力の職員や、自衛隊や警察や消防署や自治体の無名の人たちの努力に期待するほかはないのだと思う。幸いなことに、私は彼らの献身や努力を100%信じることができる。逆に官邸などの安全な場所で、ああでもないこうでもないと言って頭から湯気を出しているような人たちは、あんまり当てにならないのだと思う。

○われらが日本とは、昔からそういう国ではなかったか(すいません、ただの愚痴です)。


<3月21日>(月)

○地震と津波発生以降、ネット上のいろんな情報を目にしてきました。以下はその一部ですが、いちいち勉強になったり、感動したり、いろんなことがありました。「そんなのもう知ってるよ」という人が多いかもしれませんが、感謝の念を込めて、ここでまとめて紹介しておきます。

●元原子力技術者、大前研一さんの解説(3月13日)

http://www.youtube.com/watch?v=U8VHmiM8-AQ&feature=player_embedded#at=1494 

――早い段階で分かりやすく福島原発の状況を解説。「設計思想を超えた災害に見舞われた」ことが原因だとし、「電源が切れたために、中の状態を知る術がなくなっている」という見通しも的確だった。「失敗の本質は、1箇所にまとめて原子炉を作ったこと」という指摘も鋭い。ただし、「後知恵だが、地震の際も1基だけ運転を続けていれば、電源が切れなくて良かったかもしれない」というのは、ちょっと天才過ぎたかもしれません。

●卒業式を中止した高校で校長先生が送る言葉(3月17日)

http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/ 

――こんな言葉を贈られて学校を巣立っていく生徒さんたちは幸せです。そういえば私の大学時代も、「海を見る自由」を満喫した幸せな時間だったことを思い出しました。

●ダニエル・カールさんによるアピール(3月18日)

http://www.youtube.com/watch?v=tH7JYAphuTE 

――山形弁のカールさんが、日本と東北地方を代表して、"Stop the hysteria"と西側メディアに対してユーチューブで訴えたもの。評価するコメントが相次ぐ中で、「カールさんって、英語話せたの?」という間抜けな(でも、ありそうな)レスがありましたぞ。

●How Bad is the Reactor Meltdown in Japan?

http://online.itp.ucsb.edu/online/plecture/bmonreal11/ 

――福島原発の問題をどのように評価するか、カリフォルニア大学サンタ・パーバラ校のモンリアル准教授らがまとめた説明スライド。初歩から丁寧に「放射能とは何か」を説明してくれています。

●福島原発の放射能を理解する(3月20日)

http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html 

――上記の内容を有志研究者が翻訳したもの。最後に「素粒子原子核分野の研究者/院生の皆さん」へのメッセージがあり、このスライドを参考にして、「自分の周りで国民の不安を少しでも取り除くための街角紙芝居に出ていただけませんか」と呼びかけています。

○昔は理科系少年であった不肖かんべえは、書かれている内容の大よそは理解できますが、この資料を使った「街角紙芝居」の弁士は務まりません。そこで、最後のまとめだけを以下に掲げておきます。

*チェルノブイリにおける最悪の一般公衆への影響はストレスと恐怖であった。教育と情報周知に失敗した。

*我々は情報を持っている。mSv を数えてどのように対応するか決めよう。

*私見:福島原発の放射能の危険は最悪の場合でも軽減可能であり局所的 (初期避難と食品中のヨウ素131 摂取をコントロールする必要がある。)

*私見:地球規模災害の恐れはない。

*津波被災者と50人の福島原発の作業従事者のためにみんなのエネルギーを集中しよう。


<3月22日>(火)

○今朝の文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に、セルジオ越後さんがこんな発言をされていることを、リスナーの方から教えてもらった。同感!同感!であります。


●すべての日本人へ 「倒れた人の分まで走るのが、サッカーだ」

今、日本に何が必要か。被災地への義援金、節電、物資の救援。やらなければならないことは山ほどある。一方で、この国の経済活動をきちんと回すこともしなければならない。

経済活動、つまり血の流れを止めてしまうと、本当に日本が沈没してしまうかもしれない。だから、元気な人は、行動するべきだ。それぞれの立場で、どんどん働くべきだ。停電で3時間しか働けないなら、3時間だけでも働けばいいじゃないか。働けない人たちの分まで仕事を増やすのだ。使えない人の分までお金を使うのだ。いっぱい仕事をして、いっぱいお金を生んで、飲みに行って、お金を落として、税金を納めて、どんどん経済を回すべきだと思う。

自粛とは、休むことと同意だよ。元気な人が休んだところで、被災者にとって何の役にも立たない。ニュースを見て心を痛めるのは理解できる。でも、ニュースを見て心を痛めることが復興につながるのかな。

残念ながら、君がいくら涙を流したところで被災者は救えない。社会活動に貢献することこそが、被災地を助けることになるのだと思う。


○募金もいいし、ボランティアも素晴らしい。でも、「自粛」はつまらない。同じCMばかり流れるテレビは見ていて嫌になるし、吊り宣伝広告がほとんどない電車もちょっと不気味だ。とりあえず無難に、ということでスポンサーが出稿を減らしているのだろうけれども、遠慮ばかりしていたらできることもできなくなってしまう。

○今の日本経済は、東北が大きな傷を負ってしまい、関東も電力不足という問題を抱えている。ところが北海道と箱根から西はほとんど平常どおりなのだ。東日本が走れなくなったら、その分まで西日本に頑張ってもらうしかない。例えば今、世界的に日本製の部品不足が生じつつある。それゆえに海外の大企業が製造中止に追い込まれたりする。でも、これが半年とか1年も続くようなら、「仕方がないから、日本製品抜きで間に合わせよう」ということになるかもしれない。そうなったら困るのは日本経済全体である。

○これがサッカーであれば、全員が倒れた選手の周囲に集まるところである。でも、その後はセルジオさんが言うとおり、今度は倒れた人の分まで走らなければならない。でないと倒れている選手も、心中穏やかではないからね。


<3月23日>(水)

○本日は月例経済報告の発表がありました。本来は18日に予定していたものを、震災発生にともなって延期していたとのこと。「基調判断」の文言の変化は以下の通りです。


(12月)景気は、このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある(→)

(1月)景気は、足踏み状態にあるが、一部に持ち直しに向けた動きがみられる。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。(↑)

(2月)景気は、持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。(↑)

(3月)景気は、持ち直しに転じているが、自律性は弱く、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。(→)


○12月までは3ヶ月連続で「足踏み状態」でした。それが1月に「一部に持ち直し」、2月に「持ち直し」と2か月連続で上方修正し、今月は据え置き。そして「地震の影響」という文言が入りました。これはまあ「1回休み」みたいなもので、来月は下方修正が避けられないでしょうね。

○同時に発表される「関係閣僚会議資料」では、普段と違う以下のような資料が加えられています。

東北地方太平洋沖地震のマクロ経済的影響の分析

――@ストックとフローに分けて分析する、Aストックへの直接的被害は「16兆円」と「25兆円」の2つのケースで試算、Bフローへの影響は「サプライチェーン経由」と「電力供給の制約」、および「ストック再建」に分けて考える、という筋道で、常識的な線でまとめられていると思います。ただし原発、放射能、財政制約といった根本的な問題へは言及していません。

震災対応特別会合資料

――こちらは金融庁などが持ち寄った貴重な資料となっています。個人的に興味深く感じたのは、国土交通省による「交通関係の復旧状況」という部分ですね。実は道路も鉄道も思った以上に復旧している。港湾も意外と無事です。ところが常磐線は24%しか回復していない。しかも、「原発規制区間(30.2km)を除く」などという但し書きがついている。

○意外とお役立ち情報ではないかと思います。皆さん、ご参考まで。


<3月24日>(木)

○一昨日のセルジオ越後さんの発言は、とっても反響が大きかったんですが、またまたサッカー界から今度はラモス瑠偉さんのコメントのご紹介です。


●もう一度、冷静になれよ!

なんだか無性に腹が立ってる
いろいろ多方面から 電話を貰う
もちろん心配してくれてる電話や 役に立つ事があれば・・・
などなど 本当にありがたい電話ももらうけど 
関西や九州や沖縄や 外国とか なんで逃げないの?・・・って

ふざけんな!って言いたい
東京は 普通に生活出来てるじゃん
逃げたくても逃げられないで じっとがまんしてる人々が
どれだけいると思ってんの

   ◇   ◇   ◇

海外では この状態でもモラルのある日本人を 
称賛する声が上がってるらしいけど
自分だけ逃げようとか 物を買占めたりとか
そういうやつらもいるのが すごく悔しい

帰りたい外人なんか さっさと帰れ!
残った俺達日本人で もう一度立てなおそうよ!

生き残ってる俺達が 犠牲になった人達の分まで頑張らなかったら 
魂だって安らかに神様の所まで行かれなくなっちゃうよ

   ◇   ◇   ◇

今俺達が少しでも出来る事
節電だったり 最低限の食事だったり・・・
停電したら ロウソクともして お祈りの時間にすればいい
寒ければ 1枚コート着ればいい

東京の人間はまだまだ恵まれてるんだぞ
自分の事だけ考えるのは いいかげんやめようぜ
もう一度 今こそ 世界に日本のがんばりを見せつけたいぞ



○参りました。畏れ入りました。久々に「大和魂」に触れた気がいたします。熱い言葉に感謝したいです。


<3月26日>(土)

○この不規則発言を読み返してみると、「3/11以前の世界はホントによかったなあ」と感じます。だってホントに呑気なことを書いてるんだもの。でも、今さら時間を戻すことは出来ない。しょうがないので、愚痴のような話を書いてみる。

○あらためて考えてみると、「リーマンショック」の3年後に「東日本大震災」が訪れたという不運さは、ちょうど「関東大震災」(1923年)の6年後に、日本が「世界大恐慌」(1929年)に見舞われたときの不運と重なって見える。「天災→金融危機」の当時と、「金融危機→天災」の今回のどっちがマシなのか、その辺は定かではないが、要はどちらも「踏んだり蹴ったり」であることは間違いない。

(注:ちなみにこの話は、後者を1927年の「昭和金融恐慌」に置き換えても成立する。どっちが適切かはあらためて検討しましょう)

○運不運、というのはとても重要なことである。どんな職業であっても、運の要素を軽視する人をワシは信用しない。そもそもワシは、人生の一番大事なことは学生時代に麻雀卓で学習したと思っている。才能は乏しく、努力は少なめでも、運を大事にしていれば、そんなにヒドイ目には遭わないものである。その結論を一言でいうと、ゲンを担ぐ必要なんてサラサラないけれども、今の自分がツイてるかツイてないかはちゃんと意識しておかないといけないのである。

○で、ツイてないときは、慎重にならなければならない。戦前の日本は、あんまりツイてないから頭にきて、1931年に満州事変を起こしてしまった。後は坂を転がり落ちるばかりであった。今の日本も明らかにツイてない。リーマンショックも、今回の地震&津波も、明らかに「ブラック・スワン」なみの低確率が実現してしまった。それが連続してしまったのだから、くれぐれもヤケにならないように心がける必要がある。真面目な話、ヤケになるとツキは逃げていくのである。いつの時代でも、陰日向なく健気に努力する者に運は味方する。

○で、あの頃の日本は今と似ているよ、というのはときどき指摘されていることで、最近出たばっかりの『戦前昭和の社会』(講談社現代新書/井上寿一)も、そういう視点で書かれている。帯には『暗い時代』の明るい日常生活〜大学は出てけれど、新興宗教ブーム、10銭均一売り場・・・・」といったコピーが書かれている。井上氏が挙げている現代との共通点には、「アメリカ化」「格差社会」「大衆民主主義」などがあるのだそうだ。

○特に戦前の二大政党は、イギリスではなくアメリカがお手本だったというのは興味深いところである。政友会と民政党の二大政党は、共和党対民主党に似ているのだそうです。それが不毛な対立を繰り返しているというのは、まことに身につまされるような・・・・。ということで、読み始めたばっかりですが、この本面白そうです。

○思えばワシの両親である昭和ひとケタ世代は、こんな風にツイてない時代に生を受けたのであった。今のこの時代、生まれてくる子どもたちはさぞかし苦労がありそうだけど、大人になる頃には日本はまたツイてる時代を迎えるのではないか。期待するところは大でありますぞ。

(追記:この写真の子どもも、その1人となることでしょう)


<3月28日>(月)

○最近、地下鉄などでほとんどのエスカレーターが動いていないので、仕方なしに階段を使っているけれども、何だか足腰が鍛えられているような気がする。果たして、いいことなのか、悪いことなのか。デパートなどでも、エレベーターが動いていなかったりするから、高齢者などにはしんどいことだと思う。だが、首都圏の電力事情を考えると、こういう状況は当分続くことになりそうだ。

○最近はどこの会社でも節電をしているから、社内が暗くなっている。当社もエレベーターホールが暗いので、お客さんをお見送りするときに申し訳なく感じる。でも、今日は所用があって日本銀行さんを訪ねてみたら、あそこは荘重な建物なので暗さがひときわ際立っている。建物の雰囲気には合わないけれど、いっそのこと照明をLEDに取り替えるというのはどうだろう。きっと節電は長期化するだろうし。

○そもそも「3/11」以前の電力会社は、どうやってCO2の排出量を減らせるかを競っていた。そのためには水力と原子力を多くする必要があり、端的に言えば北陸電力のような供給構造が理想的だった。東京電力も、なるべく火力を減らして原子力を増やすように務めていた。実際のところ、「25%削減」(鳩山前首相)を実現しようと思ったら、全国的な原子力の比率を限りなく5割に近づける必要がある(現状は3割)。

○ところが「3/11」後はそれが一気に変わった。今や福島第一はどうなるか分からない、今ある原発も全部チェックした方がよさそうだ、原子力の新設などは夢のまた夢、既存の原発の再稼動も理解が得られるかどうか、さらに古い原発はもう使うな、という声も沸きあがるかもしれない。だとしたら、当面は地球温暖化には目をつぶって、火力の復活に賭ける他はない。とりあえず今年の夏はそういうことになるだろう。

○それでどうなるかというと、被災した鹿島石油火力が復活するかどうか、停止している横須賀石油火力をどの程度使えるか、他の電力会社からの融通が効くか、などという話になる。この辺は諸説あって、東電は夏場には1000万kWくらい足りなくなるという説明をしているが、意外と足りるんじゃないかという楽観論もある。まあ、正直なところ、やってみないと分からない。今年の夏がどの程度の暑さか、というのもあるし。

○それではこの夏の首都圏はどうやって電力不足を回避するのか。この際だから、無理目のやつも含めて、できるだけアイデアを出してみることにしたい。

●サマータイム制の導入

――このアイデア、日本ではとっても評判が悪い。労働強化につながる、という意見が多いです。欧米圏の駐在経験者の間では、非常に支持率が高いんですがねえ。会社帰りにテニスやゴルフ、日の高い時間に屋外でのバーベキュー、なんてのは悪くないですぞ。

●日本版バカンスシーズンの導入

――お盆休みは強制的に2週間以上とし、首都圏外への疎開を勧奨する。特に東北地方へ旅行するときは、政府がクーポン券を発行し、宿泊費や交通費を補助することにする。ついでに海外旅行に対しては課税してもいい。

●ワーキングスタイルの革新

――クールビズなんてケチなことは言わない。在宅勤務を奨励。通勤が減れば、電車の本数も減らせるし。本社を関東から外へ移す企業には税制優遇。この際、一極集中も是正してしまおう。

●選択的計画停電

――今のような「平等な」計画停電は、中小零細の工場にとっては非常に困る。どうせなら、「第1グループは、今週に限って停電しません」という週を作ってほしい。「いつ止まるかわからない」という状態では、モノづくりが進みません。

●甲子園の高校野球大会を秋に

――球児たちの学業に差し支えることになってしまうが、今年はプロ野球の日本シリーズも後ずれするみたいだし、今年はそれでお願いしてみてはどうだろう。もっともその場合、わが阪神タイガースの「死のロード」も後ずれすることになってしまうが。

○よろしければ、当方にアイデアをお寄せください。おそらく先は長いと思われますので。


<3月29日>(火)

○昨日、ついつい「アイデアをお寄せください」と書いたら、普段からそんなに来ないメールが今日は一度にどっさり。ありがとうございます。今どき、ブログ化さえしてないアナクロなサイトなもので、こういうときにご不便をおかけします。「なるほど」と感じたものを以下、ご紹介させていただきます。


●私もサマータイム導入が効果的だと感じるのですが、いっそのこと日本の標準時間を一時間早めてしまえばいいのに、と思います。現状、東京の社会活動がだいたい9時に動き出すのに、夏だと朝4:30には日が昇っているのでは、いかにも日光の無駄遣いでもったいないです。

――年間を通して早めてしまえ、というのですね。確かに「サマータイム反対論」の中には、「途中で変えるのが面倒くさい」という声が少なくないと思います。

●手っ取り早いのは行政府機能を首都圏から移転させてしまうことではないかと思います。

――ちょっと財源が心配になりますが、いろんな機能の東京脱出を応援するというのは正解だと思います。

●来年4月入学予定者の中学受験を6月に実施する。夏期講習参加者の大幅削減効果。・・・既に信州での合宿形式講習の準備を始めた進学塾等あるのでしょうか。

――ははあ、そういう世界もありましたですか。あれは冷房がガンガン効いた部屋でやりますからねえ。

●皆さん早起きして、5時〜13時の間働く、電気のピークの間は、移動時間で、電車は動くけど、企業も家庭も電気を使わない。飲み屋さんは閑古鳥が鳴くので、そこはかんべえさん以下で責任を持ってフォローしていただく。一番大変なのは、ご主人やお子さんを起こす”お母さん”でしょうけど・・・・

――当方、「モーサテ」の日は朝4時起きですが、そういう日は飲んで帰るのはしんどいですな。だったら午後2時から飲むか。

●節電案ですが、きっこちゃんのブログ(http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/、各家の契約電力を下げる案はいかがでしょう?

●個人住宅について人数割り当ての電気使用量規制をすれば良いのでは?と考えます。下記はあくまで例ですが、
1人暮らし・・・15アンペア 2人暮らし・・・20アンペア 3〜4人暮らし・・・30アンペア 5人以上・・・最大40アンペア

――これは値上げと同じ効果が期待できますね。この先、火力発電が増えますから、電気料金は確実に値上げされるでしょう。きれいな言い方をすると「市場メカニズムを使った節電策」となります。きっと不評でしょうけれども。

●28日のエントリに関連して14:00−16:00の間強制的にシエスタを導入すべきだ、という意見もtwitterで上がっております。夏時間を考慮しますと13:00−15:00でちょうどよいかとも思えます。

――日本民族のラテン化計画ですな。シエスタは職住接近なところでないと難しいですが、導入すればカプセルホテルなんかが流行るかもしれませんね。


○今朝の「くにまるジャパン」でも、「電力消費量を減らすアイデア募集」という話になりました。明日は2月の鉱工業生産速報値が発表になりますが、エコノミスト業界では、「3月の鉱工業生産はエライことになるぞ」てな話になってます。電力消費量は鉱工業生産に連動し、GDPは鉱工業生産とリンクしてますので、目先の景気の落ち込みはかなり深くなるかもしれません。


<3月30日>(水)

○引き続き、電力に関するご意見を多く頂戴しております。こうしてみると、いろいろあるもんですね。

●電力消費を減らす方法ですが、足りないのは主に東京電力管内です。富士川で境としている50/60の境界線を多摩川にずらしてしまうというのはどうでしょうか。
単純に神奈川800万人が西側の扱いになるので、関東3000万人の1/4が西側に移ります。

――なるほど、せめて伊豆と山梨県だけでも中部電力の管内に移す手はありますね。問題は変電設備ですね。・・・・と思ったら、こんなご意見も来ておりました。

●周波数帯の問題も困難ながら 手っ取り早いのは60ヘルツ帯の電力会社のテリトリーを、東電の鉄柱をお借りして希望する大規模施設へとポイント的に広げるのが割とスピーディだと思います。川崎くらいまでならピーク時までになんとかなるのではないでしょうか?
富士川から東エリアの電力需要の希望工場、商業施設を60ヘルツに切り替えて行くのです。
工場にしても、ラインを関西・西日本に移したり、主要品目を他社に委託したりすることを思えば非常に協力的だと思います。

――とりあえず大口の工場などでは十分にチャンスあり、ということのようです。やはりここは、中部電力や関西電力さんに頑張ってもらう必要がありそうです。

●最近建った都心の大規模ビルには相当な規模の非常用自家発電装置が装備されているはずで、 これを一斉にフル稼働させ、そのビルが自弁するだけでなく余剰電力を東電に供給する。

――これは真面目に考えて良いでしょうね。余計なことを申しますが、汐留の某広告代理店さんのビルなどは、いつも膨大な数のエレベーターが動いているのが外から丸見えで、「もったいないなあ」と感じております。そうかと思うと、こんなご意見も。

●とくにこれ以上の対策は必要ではないのでは。震災以降、節電対策とのことで無駄な照明等を街中いたるところで消していますが、本来はこれが正しい姿なのではないでしょうか。・・・・・この10年余りの東京の無駄遣い傾向は目に余るものがありました。

――仰る通りかと。ただし聞くところによると、明かり用の電力はたいしたことなくて、熱に使う電力が効率が悪いのだそうです。最後にこれはプロの方のご意見。

●サマータイムですが、もともとエネルギー消費を削減する効果の試算が怪しげであることに加えて、今回のように昼間のピーク時間の消費を減らすためには役に立たないと考えます。

電気事業法にある「電気の使用制限等」で夏を乗り切る方向にするのではないかと考えています。これは、いろいろと工夫の余地があり、産業への影響をかなり抑えられる可能性あります。

――ありがとうございます。えー、当方としてはなるべく、「皆が我慢しない節電政策」を考えたいと思うのですよね。むしろ、この機会に何か新しい前向きな実験をやってみたいじゃありませんか。

○ということで、皆さまのご協力に深謝申し上げます。


<3月31日>(木)

○今日で年度末。明日から2011年度の始まり。もうじき桜も咲くでしょう。でも、ちょっとユーウツな季節でもあります。この辺の「気分的総括」を、この人が上手にまとめておられます。

○近頃のメディア出演について。

(1)本日、BSイレブン『堂々たる政治、凛とした日本』の収録あり。与謝野大臣に向かって政策論議を吹っかけるという番組。テーマは震災と日本経済。いろんなことを語っております。放送は明日の午後9時から。

(2)昨日、中国中央電子台(CCTV)の取材に応じる。ご質問は「東京電力の国有化は本当か?」で、中国共産党の幹部の皆さんはそういうことに関心があるらしい。そんなこと、被害額も分からないのに、今論じても意味ないでしょ、てなことを答える。即日放送されたらしいのですが、ひょっとすると中国の数億人の方の目に触れたかもしれませぬ。

(3)週刊『アサヒ芸能』の電話取材に応じました。テーマは都知事選について。見本誌が送られてきましたが、不肖かんべえのコメントが掲載されているページの対抗面は、とってもエッチな広告が載っていて、会社のコピー機を使うのが憚られるほど。いやー、こりゃもうセクハラおじさんそのものでありますな。

○最後にこれは、岩手県に派遣されて奮闘した看護士の方の記録。長文ですので、くれぐれも忙しいときに開けないように。「これが現実か」という辛さと、それでも東北の人たちの温かさと、書き手の信じられないほどの普通さと仕事ぶりの偉大さが胸を打ちます。私は昨晩、たくさん水分を出してしまいました。

http://blog.goo.ne.jp/flower-wing 










編集者敬白



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by Tatsuhiko Yoshizaki