2004年度の年金制度改正に向けて、「第3号被保険者」に対する優遇制度の見直し
がテーマになっている。「第3号」とは、年収130万円未満のサラリーマンの扶養妻、
いわゆる専業主婦を指す。年金保険料の負担を世帯単位から個人単位にするのが時代
の趨勢であり、これに伴い年金制度は「専業主婦のいる世帯」から「共働き世帯」を
標準にするように移行するだろう。
専業主婦が肩身の狭い時代である。「妻が働いていると男の沽券にかかわる」とい
われたのは過去の話。今ではサラリーマンにとって、専業主婦は住宅ローン、子供の
教育費と並ぶ「三大不良債権」と呼ぶ声すらある。こうした専業主婦をめぐる議論を
まとめたのが、『夫と妻のための新・専業主婦論争』(中公新書ラクレ編集部)。
山田昌弘氏の指摘が面白い。「専業主婦とは、自分の生活水準が夫の収入に連動す
る存在。高収入の夫を持つ専業主婦は楽ができ、収入の低い夫を持つ専業主婦は努力
を強いられる。両者を一緒にして論じてはいけない」。おっしゃる通り。最近、若い
女性の専業主婦志向が強まっているそうだが、それは前者のケースを指していること
を忘れてはならない。
専業主婦は近代社会になって誕生した。企業が経済の中心となる時代においては、
労働者の負担を軽くし、次世代の労働者を育ててくれる専業主婦はまことに好都合な
存在だった。しかし男性労働者の収入が伸び悩むようになると、このシステムは持続
が困難になる。最近の専業主婦バッシングの根源は、経済の低成長化にあったのだ。
「ラーメンのスープは、ダシとタレが合わさってでき上がる」という書き出しの明
快さに、軽いショックを受けた。ラーメン本は数々あれど、『無敵のラーメン論』
(大崎裕史/講談社現代新書)こそは真打ち登場である。著者は全国各地を訪れ、年
間平均800杯のラーメンを食べ、人気ホームページ「東京のラーメン屋さん」を主宰
している。ラーメンの今日的状況を体系的に解き明かしている文句なしの労作。
『コレあげよっと』(高垣千尋/新宿書房)は、自分で買う気はしなくても、も
らったらきっと嬉しい商品を約200種類ならべたギフト・セレクト・ブック。リビン
グ、キッチン、コスメ、文房具など、1000〜2000円台の価格帯が中心なので、かなり
実践的。あの人に何か気の効いたものはないかしらん、というときにはきっとお役立
ちの一冊。いっそこの本をプレゼントする、という手もアリか。
編集者敬白
*上記のうち、無敵のラーメン論は都合により掲載されず。まあ、ここには載せておきます。
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