●溜池について





外堀通りと六本木通りの交差点が「溜池交差点」です。地下鉄の駅でいえば、銀座線の溜池山王駅、虎ノ門駅、千代田線の国会議事堂前駅、赤坂駅、丸の内線の赤坂見附駅などが最寄りということになるでしょう。

この地点に立つと、永田町、霞ヶ関、虎ノ門、赤坂という4つの地域を見渡すことができます。試しに溜池交差点を中心に、半径500メートルの円を書いてみれば、この中には次のような建物が含まれます。――国会議事堂、首相官邸、議員会館、総理府、大蔵省、米国大使館、アークヒルズ、ジェトロ、共同通信、TBSなど。わが国における重要事項の少なからぬ部分は、この小さな円の中で決定されているといっても過言ではないでしょう。

丸の内や大手町に比べ、夜になっても活気を失わないのがこの一角の良いところ。有名な赤坂の料亭街も健在です。和洋中のグルメ店も豊富。さらに夜12時を過ぎると「リトル・ソウル」の趣きを呈し始めます。ホテルが多いのも取り柄で、オークラ、全日空、キャピタル東急、少し離れてニューオータニや赤坂プリンスまであります。

江戸時代のこの地域には大きな池があり、それも現在の赤坂見附から霞ヶ関に至る広大なものだったとか。玉川上水ができる以前は、上水源として使われていたそうです。その後の埋め立てや水路の変更により、明治期には池は湿地帯となり、今日に至っています。今では「溜池」という地名だけが、かろうじてそのなごりを残しています。

編集者敬白




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